JP4029587B2 - レバー式コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レバー式コネクタの一例として特開平8−185926号公報に記載されたものが知られている。このものは、内部に雌ハウジングが嵌合可能とされる雄ハウジングにカム溝を有するレバーが回動可能に装着されており、レバーが雄ハウジングの上方に突出した初期位置から完了位置へと回動されるのに伴って、カム溝に沿って雌ハウジングのカムピンが変位することで、雌ハウジングが引き込まれるようになっている。
このコネクタの製造手順としては、まず成形現場にて雄雌のハウジングとレバーとを成形した後、雄ハウジングに対してレバーを初期位置に装着した状態で、上記嵌合作業などを行う組付現場へ搬送している。しかしながら、搬送途中では、初期位置としたレバーが雄ハウジングから突出しているため、その突出部分に他部品が干渉するとレバーが変形したり破損する可能性がある。
【0003】
その対策として、レバーの装着位置として新たに雄ハウジングからのレバーの突出量が小さくなるような格納位置を設定することが考えられる。すなわち、搬送前の段階で、雄ハウジングに対してレバーを格納位置に装着しておくことで、搬送途中でのレバーの変形などの不具合を回避するのである。この場合、組付現場への搬送後にレバーを初期位置に戻してから、雌ハウジングとの嵌合作業を行うようにする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のようにレバーの装着位置を格納位置と初期位置との2つ設定するには、レバーを両位置に位置決め保持するために2つの保持手段をレバーとハウジングとにそれぞれ設ける必要がある。このため、コネクタの構造が複雑化するという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタの構造を簡単にすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングには、一対のアーム部の外側端部が連結部にて連結され前記アーム部にカム溝を備えたレバーが回動可能に装着され、このレバーが初期位置から完了位置側へ回動されるのに伴って、前記カム溝に沿って前記相手ハウジングに設けたカムピンが変位することで両ハウジングが嵌合または離脱されるようになっているとともに、前記完了位置は、前記レバーを前記ハウジングの外面からの突出量を前記初期位置に比して減少させた格納位置と一致し、かつ前記レバーは前記初期位置と前記格納兼完了位置においてそれぞれ保持されるようになっているレバー式コネクタであって、前記ハウジングには、弾性変形可能な弾性片が片持ち状に一体形成されかつその延出端部外面には保持突部が外方へ突出して形成される一方、前記アーム部における前記レバーの回動軌跡の外側端部近傍には係合片が突設され、前記初期位置においては前記係合片の前面が前記弾性片の延出端面に係合することにより、前記レバーが前記初期位置から前記格納兼完了位置へ回動するのを規制可能であり、また、前記保持突部における前記レバーの回動軌跡の外周側となる縁部には弾性片の長さ方向に細長い保持力増強突部が外方へ突出して形成され、かつ前記保持突部において前記延出端部と反対側には傾斜面をなす解除案内面が形成されかつ前記保持力増強突部にはこの解除案内面に連続した勾配を有する傾斜面が形成される一方、前記レバーの前記アーム部には前記係合片と前記連結部との間には係合孔が穿設され、前記格納兼完了位置においては前記係合孔内に前記保持突部が進入し、この保持突部の延出端面とその反対側の面が前記係合孔の孔縁にそれぞれ係合することで、前記レバーが格納兼完了位置に保持されるようになっている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記弾性片が前記ハウジングの表裏両側面に一対設けられるとともに、その撓み方向が共に内向きとなっているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記格納位置及び前記完了位置に達した前記レバーと前記ハウジングとが衝合する部位には、衝合に伴って検知音を発生させる検知音発生手段が設けられている
ところに特徴を有する。
【0009】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
ハウジングとレバーとを組付現場へ搬送する前に、ハウジングに対してレバーを格納位置に組み付けておく。搬送途中では、格納位置としたレバーが他部品との干渉により損傷を受けるのを極力回避できる。組付現場へ搬送した後、レバーを格納位置から初期位置に戻してから、両ハウジングの嵌合作業を行う。
弾性片はレバーの初期位置での係合と格納兼完了位置における保持のいずれにも利用されるため、コネクタの構造を簡単にすることができる。
また、保持力増強突部に解除案内面に連続した勾配を有する傾斜面を形成したため、つまり格納位置におけるレバーの保持をセミロックとしたため、組付現場に搬入した後にレバーを格納兼完了位置から初期位置に戻す作業を容易に行うことができる。しかし、その場合においても弾性片には保持力増強突部が形成されているため、格納位置におけるレバーの保持力は充分なものとなっている。
【0010】
<請求項2の発明>
両弾性片を外側から摘んで押圧することで、初期位置係合部との係合状態を解除しつつ内側に撓ませることができる。従って、例えば搬送前の段階でレバーを初期位置から格納位置に回動させる際の作業性が良好となる。
<請求項3の発明>
レバーが格納兼完了位置に達したかどうかを検知音の有無によって検知できるから、レバーが途中位置に留められるといった不具合を回避することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図18によって説明する。この実施形態に示すレバー式コネクタは、分割ハウジング27などを収容するハウジング本体21にレバー35を装着してなる雌コネクタ20と、ジャンクションボックス(図示せず)に一体化された雄コネクタ10とが互いに嵌合されるようになっている。なお以下では両コネクタ10,20における嵌合面側を前方として説明する。
【0014】
雄コネクタ10は、図1に示すように、ジャンクションボックスの上面側に一体成形された合成樹脂製の雄ハウジング11を備え、この雄ハウジング11は、上方に開口するとともに内側に雌コネクタ20が嵌合可能とされるフード部12を有している。雄ハウジング11の底面からは、図示しない雄タブ端子が複数本突設されているとともに、雌コネクタ20の嵌合動作を案内するための断面T字状のガイド片13が2本上方へ突出して設けられている。
【0015】
フード部12は、横長の略角筒状に形成されており、その長手部分の内面図示左寄り位置には、レバー35のカム溝39に係合可能とされる円形のカムピン14が一対互いに対向する位置に配設されている。両カムピン14の前方には、雌コネクタ20のフランジ33を逃がすための一対の切欠部15がフード部12の上縁部を切り欠いて形成されている。フード部12の長手部分の内面右寄り位置には、レバー35が回動時に外側へ開くのを許容する一対の逃がし凹部16が対向状に配設されている。両逃がし凹部16の右端上部には、後に詳しく説明する雌コネクタ20の第2弾性片44に係合可能な解除突部17がそれぞれ突出して対向状に設けられている。解除突部17の前面は、テーパ状に形成されている。フード部12のうち右側の短手部分は、他の部分よりも一段低く形成されるとともに、その内面上端部には、レバー35のロックアーム40に係止可能なロック突部18が設けられている。
【0016】
次に雌コネクタ20について説明する。ハウジング本体21は、合成樹脂製とされ、図1及び図3に示すように、後方へ開口する横長の略箱型に形成されるとともに、内部が縦に仕切られることで、後方から3つの分割ハウジング27を個別に収容可能な収容室22が3室並んで配設されている。ハウジング本体21における図3の右端の収容室22の下側には、電線の端末に接続された雌端子金具(図示せず)を後方から挿入可能なキャビティ23が2室並んで設けられている。ハウジング本体21の前壁24には、図2に示すように、両コネクタ10,20の嵌合時に相手の雄タブ端子の挿通を許容する端子挿通孔25が対応する位置に複数穿設されるとともに、ガイド片13の挿通を許容するガイド片挿通孔26が2つ穿設されている。
【0017】
各分割ハウジング27は、合成樹脂製とされ、図1に示すように、それぞれ大きさが異なる複数種類の雌端子金具(図示せず)が収容可能とされるキャビティ28を複数室並んで備えており、各キャビティ28は対応する雌端子金具に合わせた大きさにそれぞれ形成されている。なお、各キャビティ23,28内に挿入される雌端子金具は、ランスなどの端子保持手段によって抜け止め保持可能とされている。各分割ハウジング27の両外側面には、図12に示すように、抜け止め突部29が一対ずつ設けられており、この抜け止め突部29が各収容室22の内面に一対ずつ突設された各被抜け止め突部30(図3参照)の前側に係止されることで、各分割ハウジング27をハウジング本体21から抜け止め保持可能とされている。また、図1に示す中央と右側の分割ハウジング27には、雄コネクタ10のガイド片13を受け入れ可能なガイド溝部(図示せず)が前方へ開口してそれぞれ形成されている。
【0018】
ハウジング本体21の両長手壁31の外面における後部左寄り位置には、図7に示すように、レバー35を回動可能に軸支するための軸突部32が一対設けられている。軸突部32は、前後に細長いブロック状に形成されるとともに、その前後面が円弧状に形成されている。両軸突部32の突出端には、装着したレバー35の外開きを規制するための円板状のフランジ33がそれぞれ設けられている。両長手壁31の外面には、レバー35の回動軌跡に沿って湾曲した形状の回動案内リブ34が軸突部32に対して左側に1つ、右側に2つ互いに分離した状態で設けられており、各回動案内リブ34にレバー35の外周縁が摺接されることでその回動動作を案内可能とされている。
【0019】
レバー35は、合成樹脂製とされ、図1に示すように、一対のアーム部36の端部が連結部37によって連結されることで、全体が略門型に形成されている。このレバー35は、ハウジング本体21の両長手壁31を両アーム部36によって挟むようにして装着されるとともに、両軸突部32に対して両アーム部36の先端側にそれぞれ設けた軸受け凹部38を後方から嵌めることで、軸突部32を中心として回動可能に軸支されるようになっている(図8参照)。軸受け凹部38は、図7に示すように、その入り口部分が軸突部32の短手寸法とほぼ同じ幅とされるとともに、奥側部分が軸突部32の長手寸法とほぼ同じ径の略円形状に形成されている。
【0020】
両アーム部36には、雄コネクタ10のカムピン14に係合可能なカム溝39がそれぞれ設けられている。このカム溝39は、入り口部39aから奥側へ行くのに従って次第に軸受け凹部38に接近するような略渦巻き状に形成されている。またアーム部36の外周縁のうち、カム溝39の入り口部39aを挟んだ左右の所定領域は、軸受け凹部38を中心とする円弧状に形成され、この部分が回動案内リブ34に摺接可能とされている。このレバー35は、図13に示すように、ハウジング本体21に対してカム溝39の入り口部39aが正面を向いた初期位置に装着された状態から、カム溝39にカムピン14を係合させつつ時計回り方向に回動されるのに伴って、カムピン14がカム溝39に沿って変位されることで、両コネクタ10,20の嵌合を助勢できるようになっている。そして、レバー35が、カム溝39の奥端部が軸突部32の真ん前に配される完了位置に達すると、図18に示すように、両コネクタ10,20が完全嵌合に至る。
【0021】
連結部37の中央部分には、レバー35が完了位置に達したときに雄コネクタ10のロック突部18に係止することで両コネクタ10,20を嵌合状態に保持可能なロックアーム40が設けられている。このロックアーム40は、連結部37を切欠することで弾性変形可能な片持ち状に形成されているとともに、その延出端(後端)側には、ロック突部18の後面に係止可能な係止段部41が形成されている。また、連結部37の後端部におけるロックアーム40の両側方には、レバー35を回動操作するための一対の操作部42が設けられている。
【0022】
ところで初期位置とされたレバー35は、図13に示すように、ハウジング本体21から後方へ起立した姿勢をとっているのに対し、完了位置とされたレバー35は、図18に示すように、ハウジング本体21に対して寝たような姿勢をとっている。つまり、レバー35は、初期位置よりも完了位置のときの方がハウジング本体21から後方へ突出する量が減少しており、この完了位置がレバー35を格納しておくための格納位置(図10参照)を兼ねている。
【0023】
さて、この雌コネクタ20には、レバー35を初期位置と完了位置及び格納位置とに保持するための保持手段が備えられている。この保持手段として、ハウジング本体21の両長手壁31には、図3及び図7に示すように、レバー35に係合可能な第1弾性片43と第2弾性片44とが表裏に一対ずつ形成されている。第1弾性片43と第2弾性片44は、共に長手壁31を切欠することで後方へ延出する片持ち状に形成されるとともに、内方へ弾性変形可能とされている。長手壁31における第1弾性片43の撓み方向奥側の切欠縁部には、図3に示すように、第1弾性片43が過度に撓み変形する手前の段階で第1弾性片43に係合することで、その過度撓みを規制可能な第1過度撓み規制部45が設けられている。長手壁31における第2弾性片44の撓み方向奥側の切欠縁部には、第1過度撓み規制部45と同様の機能を有する第2過度撓み規制部46が設けられている。
【0024】
両第1弾性片43は、図7に示すように、右側の2つの回動案内リブ34の間の位置に配されるとともに、その延出端外面には、外方へ突出する第1保持突部47が設けられている。この第1保持突部47は、図8に示すように、アーム部36のうちカム溝39の奥端部付近の位置に穿設された第1係合孔48内に進入されるとともに、その前面が第1係合孔48の孔縁前部に係合することで、レバー35を初期位置から反時計回り方向について回動規制できるようになっている。この第1保持突部47の前面は、図4に示すように、長手壁31の外面に対して鋭角をなす逆テーパ状に形成されることで、第1係合孔48の孔縁との係合状態を強固に保つことができる。その一方、第1保持突部47の後面は、長手壁31の外面に対して鈍角をなすテーパ状に形成されることで、レバー35の装着動作に伴って第1弾性片43が弾性変形するよう案内可能とされている。
【0025】
両第2弾性片44は、図7に示すように、上記第1弾性片43よりも長さ寸法・幅寸法共に大きく設定されており、長手壁31の右端位置に配されるとともに、その延出端外面には、外方へ突出する第2保持突部49が設けられている。この第2保持突部49の後面に対して、図8に示すように、アーム部36における連結部37付近の位置(レバー35における回動軌跡の外側端部近傍)に突設された係合片50の前面が係合可能とされ、これによりレバー35を初期位置から時計回り方向について回動規制できるようになっている。この第2保持突部49の後面は、図5に示すように、長手壁31の外面に対して鋭角をなす逆テーパ状に形成されることで、係合片50との係合状態を強固に保つことができる。また係合片50の前面も第2保持突部49の後面に沿った傾斜面とされている(図14参照)。その一方、第2保持突部49の前面は、長手壁31の外面に対して鈍角をなすテーパ状に形成されている。従って、嵌合時に雄コネクタ10の解除突部17が第2保持突部49の前面に係合されるのに伴って第2弾性片44が係合片50との係合状態を解除しつつ弾性変形するよう案内可能とされている(図16参照)。この第2保持突部49の前面が解除案内面49aとされている。
【0026】
第2保持突部49は、レバー35が格納位置及び完了位置に配されると、図10及び図11に示すように、アーム部36のうち係合片50と連結部37との間の位置に穿設された四角形状の第2係合孔51内に進入されるとともに、その前後面が第2係合孔51の孔縁前後面にそれぞれ係合されることで、レバー35を格納位置及び完了位置に保持できるようになっている。また第2保持突部49の外面右側縁部には、前後に細長い保持力増強突部52が外方へ突出して設けられているので、レバー35の保持力を増強することができる。ここで第2保持突部49の前面には、解除案内面49aが形成されるとともに、保持力増強突部52の前面には、解除案内面49aに連続した勾配を有する傾斜面52aが形成されているから、レバー35を格納位置及び完了位置から初期位置側へ所定以上の力でもって回動させた場合には、その力を受けて第2弾性片44が第2係合孔51の孔縁との係合状態を解除しつつ自動的に弾性変形されるようになっている。つまり、格納位置及び完了位置における第2弾性片44によるレバー35の保持は、セミロックとされている。なお、保持力増強突部52の後面は、初期位置から格納位置及び完了位置側へレバー35が回動し易くなるように、ハウジング本体21の外面に対して鈍角をなすテーパ状に形成されるとともに、その後端が第2保持突部49の外面に繋げられている。
【0027】
ところで、連結部37のうち操作部42とは反対側の端部には、レバー35が格納位置及び完了位置に至るのに伴ってハウジング本体21の右側端部に突設した被衝合部54の後面に衝合される衝合部53が全幅にわたって形成されている。これら衝合部53と被衝合部54とが衝合することで、検知音が発生するとともに、レバー35が格納位置及び完了位置から時計回り方向へ回動するのが規制される。なお嵌合時には、完了位置に至るとレバー35の両操作部42が雄コネクタ10のフード部12の前端面に衝合される。ハウジング本体21のうち被衝合部54に対して左隣りの位置には、図2及び図6に示すように、上記した検知音を響かせるための長方形状の音響空間55が前方へ開口して形成されている。さらには、レバー35のうち衝合部53の後方に配された両操作部42にも同様の機能を有する音響空間56が側方へ開口して形成されている。
【0028】
続いて、本実施形態のレバー式コネクタの製造手順を説明する。まず、成形現場にて雄タブ端子をインサートしつつジャンクションボックスと共に雄ハウジング11を成形する一方で、雌コネクタ20側のハウジング本体21、各分割ハウジング27及びレバー35をそれぞれ成形する。その後、各部品を箱詰めして組付現場へと搬送するのであるが、ここでレバー35はハウジング本体21に対して格納位置に装着した状態で箱詰めしている。レバー35の装着に当たっては、図7及び図8に示すように、レバー35をハウジング本体21の後方から挟み付けて一旦初期位置まで回動させる。その後、図9に示すように、両第2弾性片44を外側から摘んで押圧することで、係合片50との係合状態を解除するよう内方へ弾性変形させつつ、図10に示すように、レバー35を格納位置へと回動させる。このとき、レバー35の衝合部53がハウジング本体21の被衝合部54に衝合することで検知音が発生するので、レバー35が格納位置に至ったか否かを明瞭に検知できる。このように両第2弾性片44の解除操作を摘んで行うことができるので、作業性に優れる。
【0029】
この格納位置では、レバー35を初期位置とした場合と比較してハウジング本体21からのレバー35の突出量が小さくなっているから、搬送途中におけるレバー35と他部品との干渉を極力回避でき、レバー35の損傷を防ぐことができる。それに加えて、容積効率に優れ、搬送コストの低減にも寄与できる。また、格納位置としたレバー35は、図11に示すように、弾性復帰した第2弾性片44の第2保持突部49及び保持力増強突部52が共に第2係合孔51の孔縁に係合することで保持されているので、十分な保持力が得られており、搬送途中にレバー35が格納位置から位置ずれするような事態を極力回避できる。
【0030】
搬送先である組付現場では、ハウジング本体21の両キャビティ23及び各分割ハウジング27の各キャビティ28内に電線に接続した雌端子金具を収容した後、図12に示すように、レバー35を格納位置としたハウジング本体21の各収容室22内に、各分割ハウジング27を後方から挿入して組み付ける。このとき格納位置のレバー35は、連結部37が収容室22の側方に退避しているので分割ハウジング27の組み付けがスムーズに行われる。その後、レバー35を格納位置から反時計回り方向へ回動操作すると、第2弾性片44は、第2保持突部49の解除案内面49a及び保持力増強突部52の傾斜面52aにより案内されて、第2係合孔51の孔縁との係合状態を解除しつつ弾性変形されるので、図13に示すように、レバー35を初期位置まで戻しておく。このように第2弾性片44によるレバー35の保持がセミロックとなっているので、作業性に優れる。この初期位置では、レバー35は、図13及び図14に示すように、その回動軌跡の外側端部近傍に配された係合片50が第2弾性片44の第2保持突部49に係合することで、十分な保持力が得られているから、続いて行われる嵌合作業までの間にレバー35が初期位置から位置ずれするのを防ぐことができる。
【0031】
このようにして組み付けた雌コネクタ20を雄コネクタ10に嵌合する作業を行う。雄コネクタ10のフード部12内に雌コネクタ20を上方から軽く嵌合させ、図15に示すように、カムピン14がカム溝39の入り口部39aに進入させる。この過程で、図16に示すように、第2保持突部49に解除突部17が係合し、解除案内面49aに案内されて第2弾性片44が係合片50との係合状態を解除しつつ内方へ弾性変形される。これにより、初期位置としたレバー35の回動規制状態が解除されるから、レバー35を時計回り方向へ回動操作する。レバー35が回動されるのに伴って、図17に示すように、カム溝39に沿ってカムピン14が奥方へと変位することで、両コネクタ10,20の嵌合が進行される。そして、レバー35が完了位置に達すると、図18に示すように、両コネクタ10,20が完全嵌合状態に至るとともに、ロックアーム40の係止段部41にロック突部18が係止する。このとき、第2保持突部49が第2係合孔51内に進入して、その孔縁の前後面に係合される。これらロックアーム40と第2弾性片44とにより両コネクタ10,20が嵌合状態から離脱不能に保持される。この完全嵌合に至るのに伴って、レバー35の衝合部53がハウジング本体21の被衝合部54に衝合することで検知音が発生するから、レバー35が完了位置に至ったか否かを明瞭に検知でき、レバー35が途中で留められて両コネクタ10,20が半嵌合とされるのを防ぐことができる。なお、アーム部36のうち第2係合孔51の周縁前後には、嵌合過程及び完全嵌合時に雄コネクタ10の解除突部17を逃がすための逃がし溝57が形成されている。
【0032】
一方、メンテナンスなどの事情により両コネクタ10,20を取り外す場合には、ロックアーム40を撓ませてロック突部18との係止状態を解除した後に、レバー35を完了位置から初期位置へと反時計回り方向に回動させる。するとカムピン14がカム溝39に沿って入り口部39a側へ変位することで、両コネクタ10,20の離脱が進行される。レバー35が初期位置に至ったら、両コネクタ10,20を引き離すようにする。
【0033】
以上説明したように本実施形態によれば、レバー35を初期位置と完了位置及び格納位置との2位置に保持するための保持手段として第2弾性片44を共通構造としたから、仮に共通させないようにした場合と比較してコネクタの構造を簡単にすることができる。しかも、嵌合時にレバー35を回動させる際には、嵌合動作を利用して解除突部17によって第2弾性片44を撓ませることでその保持状態を解除できるから、例えば凹凸の嵌まり合いによって保持する場合と比較してレバー35の回動操作性に優れる。
【0034】
さらには、両第2弾性片44をハウジング本体21の表裏両面に一対配設したから、両第2弾性片44を摘んで簡単に内方へ撓ませることができ、搬送時にレバー35を搬送位置へ回動させる作業を簡単に行うことができる。しかも、第2弾性片44に係合する係合片50がレバー35の回動軌跡の外側端部近傍に配設されているから、レバー35の保持力を十分に得ることができ、レバー35を確実に初期位置に保つことができる。
【0035】
また、第2弾性片44に解除案内面49aを設けることで格納位置におけるレバー35の保持をセミロックとしたから、組付現場に搬送したレバー35を初期位置に戻す作業を容易に行うことができる。しかも、第2弾性片44に保持力増強突部52を設けるとともに、その保持力増強突部52に解除案内面49aに連続する勾配を有する傾斜面52aを設けるようにしたから、レバー35の回動操作性を損なうことなく、レバー35の保持力を増強することができる。
【0036】
また、レバー35の完了位置と格納位置とを一致させ、第2弾性片44によって両位置に保持するようにしたから、コネクタの構造を一層簡単にすることができる。しかも、レバー35が完了位置及び格納位置に達したかどうかを検知音の有無によって検知できるから、レバー35が途中位置に留められるといった不具合を回避することができる。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、レバーの格納位置と完了位置とを一致させる場合について示したが、コネクタの構造や使用状況などにより制約がある場合には、完了位置と格納位置とを別々に設定するようにしてもよい。
【0038】
)上記した実施形態では、雄コネクタがジャンクションボックスに一体化されたものを示したが、例えば、電線の端末に接続した雄端子金具を収容するタイプの雄コネクタを上記実施形態の雌コネクタに嵌合するようなものも本発明に含まれる。
)上記した実施形態では、レバーを雌コネクタ側に装着した場合を示したが、逆に雄コネクタ側に装着する場合にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレバー式コネクタの分解斜視図
【図2】ハウジング本体の正面図
【図3】ハウジング本体の背面図
【図4】図3のA−A線断面図
【図5】図3のB−B線断面図
【図6】図3のC−C線断面図
【図7】ハウジング本体にレバーを装着する前の状態を示す平面図
【図8】ハウジング本体にレバーを初期位置に装着する作業を示す平面図
【図9】両第2弾性片を押圧する作業を示す図8のD−D線断面図
【図10】ハウジング本体にレバーを格納位置に装着した状態を示す平面図
【図11】図10のB−B線断面図
【図12】ハウジング本体に分割ハウジングを収容する前の状態を示す平面図
【図13】両コネクタを嵌合する前の状態を示す部分切欠平面図
【図14】図13のD−D線断面図
【図15】両コネクタの嵌合初期の状態を示す部分切欠平面図
【図16】図15のD−D線断面図
【図17】両コネクタの嵌合途中の状態を示す部分切欠平面図
【図18】両コネクタが完全嵌合に至った状態を示す部分切欠平面図
【符号の説明】
11…雄ハウジング(相手ハウジング)
14…カムピン
21…ハウジング本体(ハウジング)
35…レバー
39…カム溝
43…第1弾性片(初期位置保持手段)
44…第2弾性片(共通構造である弾性片)
49a…解除案内面
50…係合片(初期位置係合部)
51…第2係合孔(格納位置係合部)
52…保持力増強突部
52a…傾斜面
53…衝合部(検知音発生手段)
54…被衝合部(検知音発生手段)

Claims (3)

  1. 相手ハウジングと嵌合可能なハウジングには、一対のアーム部の外側端部が連結部にて連結され前記アーム部にカム溝を備えたレバーが回動可能に装着され、このレバーが初期位置から完了位置側へ回動されるのに伴って、前記カム溝に沿って前記相手ハウジングに設けたカムピンが変位することで両ハウジングが嵌合または離脱されるようになっているとともに、前記完了位置は、前記レバーを前記ハウジングの外面からの突出量を前記初期位置に比して減少させた格納位置と一致し、かつ前記レバーは前記初期位置と前記格納兼完了位置においてそれぞれ保持されるようになっているレバー式コネクタであって、
    前記ハウジングには、弾性変形可能な弾性片が片持ち状に一体形成されかつその延出端部外面には保持突部が外方へ突出して形成される一方、前記アーム部における前記レバーの回動軌跡の外側端部近傍には係合片が突設され、前記初期位置においては前記係合片の前面が前記弾性片の延出端面に係合することにより、前記レバーが前記初期位置から前記格納兼完了位置へ回動するのを規制可能であり、
    また、前記保持突部における前記レバーの回動軌跡の外周側となる縁部には弾性片の長さ方向に細長い保持力増強突部が外方へ突出して形成され、かつ前記保持突部において前記延出端部と反対側には傾斜面をなす解除案内面が形成されかつ前記保持力増強突部にはこの解除案内面に連続した勾配を有する傾斜面が形成される一方、前記レバーの前記アーム部には前記係合片と前記連結部との間には係合孔が穿設され、前記格納兼完了位置においては前記係合孔内に前記保持突部が進入し、この保持突部の前記延出端面とその反対側の面が前記係合孔の孔縁にそれぞれ係合することで、前記レバーが格納兼完了位置に保持されるようになっていることを特徴とするレバー式コネクタ。
  2. 前記弾性片が前記ハウジングの表裏両側面に一対設けられるとともに、その撓み方向が共に内向きとなっていることを特徴とする請求項1記載のレバー式コネクタ。
  3. 前記格納位置及び前記完了位置に達した前記レバーと前記ハウジングとが衝合する部位には、衝合に伴って検知音を発生させる検知音発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のレバー式コネクタ。
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