JP4029435B2 - シールリングの分離方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一まとまりに束ねた例えばOリング等のごときシールリングを1個毎に分離するシールリングの分離方法および装置に係り、さらに詳細には、1個毎の分離を確実に行うことができ、かつ分離後のシールリングの位置決めを正確に行うことのできるシールリングの分離方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係る先行例として、例えば特開平8−187624号公報がある。上記先行例における装置の構成は、図4に示すように、ベース101上に装置したサーボモータ103によって回転駆動される水平なメインスクリュー105を備えると共に、上記メインスクリュー105の下側に上下動可能かつ回転自在なアイドルシャフト107を備え、さらに、前記メインスクリュー105の先端側上部に接触して回転自在の分離ローラ109を備えた構成である。
【0003】
上記構成において、前記アイドルシャフト107をメインスクリュー105に接近させると共に分離ローラ109を持上げた状態において、メインスクリュー105及びアイドルシャフト107がOリング等のごときシールリング111の内側に位置するように、一束にまとめたシールリング111をメインスクリュー105の基部側にセットする。
【0004】
そして、アイドルシャフト107をメインスクリュー105から離反せしめてシールリング111に適宜の張力を与えると共に、分離ローラ109をメインスクリュー105の先端側上部に接触せしめた後、メインスクリュー105の全長に亘って設けた螺旋溝113によってシールリング111を先端側へ移動すべくサーボモータ103によってメインスクリュー105を回転駆動すると、シールリング111はメインスクリュー105の先端側へ移動する。
【0005】
この際、アイドルシャフト107に適宜間隔に設けた複数のガイドローラ115にシールリング111の下部側が引っ掛り、シールリング111の上部側の移動に対して下部側が遅れる態様となり、シールリング111の下部側が前記ガイドローラ115を乗り越えることにより、一まとめのシールリングから1個毎のシールリングに解かれるものである。そして、前記メインスクリュー105の先端部からシールリングを落下するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のごとき従来の構成においては、断面形状が円形状のOリングを対象とし、かつメインスクリュー105に形成した螺旋溝は上記Oリングの断面形状に対応した角ねじ状に形成してある。
【0007】
したがって、対象とするOリングの場合には1個毎の分離を行うことができるものの、例えば断面形状が長方形状のカットシールの場合には対象が異なり、1個毎の分離を行うことができないことがあるという問題がある。
【0008】
さらに、先行例においては、メインスクリューに角ねじ状の螺旋溝を形成するものであるから、メインスクリューの製造費が大きくなると共に、上記メインスクリューからシールリングを落下して位置決めするとき、位置決め精度に問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、一まとまりのシールリングをセットしたメインシャフトとアイドルシャフトとを離反せしめて前記シールリングに張力を付与し、前記メインシャフトを回転することにより、当該メインシャフトに設けた螺旋部によって前記シールリングを上記メインシャフトの先端側へ移動するとき、シールリングのアイドルシャフトに接触した部分よりもメインシャフトに接触した部分が先行するように移動して一まとまりのシールリングからシールリングを1個毎分離する分離方法において、前記メインシャフトの基部側に形成した分離領域における螺旋部の螺旋溝をシールリングが1個だけ入り込むことのできるピッチの螺旋溝とし、複数のシールリングが互に密着した状態に整列し得るように、前記分離領域のピッチより小さなピッチでかつ浅い螺旋溝に形成した分割領域を、前記分離領域に連続して前記メインシャフトに備え、上記分割領域における螺旋溝のピッチよりも大きなピッチの螺旋溝を備えた再接触防止領域を、前記メインシャフトの先端部と前記分割領域との間に備えた構成のメインシャフトを回転して、前記シールリングを前記メインシャフトの先端側へ移送するとき、前記分離領域の一まとまりのシールリングから1個毎に分離して前記分割領域に整列した状態に移送し、前記分割領域から前記再接触防止領域へシールリングを移送するとき、前記分割領域と前記再接触防止領域との間の前記螺旋部の1部に形成した突出部を先行するシールリングと後続するシールリングとの間に割り込ませて先行するシールリングと後続するシールリングとを分離し、かつ前記再接触防止領域においてシールリングが再接触することを防止するために上記分離後の先行するシールリングの移送速度を前記分割領域の移送速度よりも大きくすることを特徴とするシールリングの分離方法である。
【0010】
請求項2に係る発明は、一まとまりのシールリングをセットしたメインシャフトとアイドルシャフトとを離反せしめて前記シールリングに張力を付与し、前記メインシャフトを回転することにより、当該メインシャフトに設けた螺旋部によって前記シールリングを上記メインシャフトの先端側へ移動するとき、シールリングのアイドルシャフトに接触した部分よりもメインシャフトに接触した部分が先行するように移動して一まとまりのシールリングからシールリングを1個毎分離する装置において、前記メインシャフトは、当該メインシャフトの基部側に形成した分離領域に、シールリングが1個だけ入り込むことのできるピッチの螺旋溝を備え、複数のシールリングが互に密着した状態に整列し得るように、前記分離領域のピッチより小さなピッチでかつ浅い螺旋溝を形成した分割領域を、前記分離領域に連続して前記メインシャフトに備え、前記分割領域における螺旋溝のピッチよりも大きなピッチの螺旋溝を備えた再接触防止領域を、前記メインシャフトの先端部と前記分割領域との間に備え、前記分割領域から前記再接触防止領域へシールリングを移送するときに先行するシールリングと後続するシールリングとの間に割り込み可能の突出部を、前記分割領域と前記再接触防止領域との間の螺旋部に備えていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、アイドルシャフトに螺旋部を設けてなるものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の発明において、メインシャフトに設けた螺旋部およびアイドルシャフトに設けた螺旋部はコイルにより構成してある。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項2,3又は4に記載の発明において、アイドルシャフトの先端部に、分離されたシールリングの落下を案内するシールリング落下案内部材を垂直にかつアイドルシャフトに対して相対的に回転可能に設けてなるものである。
【0014】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、請求項1に係る発明によれば、先行するシールリングと後続するシールリングとが接触した状態にあっても、突出部の割り込みによって確実に分離される。したがって、シールリングの断面形状が種々の場合であっても確実に分割することができる。
【0015】
そして、分割された後の先行するシールリングは移動速度を大きくして移動されるので、後続するシールリングと再接触することがなく、次工程へのシールリングの供給を確実に1個毎に行うことができるものである。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、先行するシールリングと後続するシールリングとが接触した状態にあっても前記突出部の割込み作用によって確実に分割することができる。この際の分割は、先行するシールリングと後続するシールリングとの間への突出部の割込み作用によるものであるから、シールリングの断面形状が円形状であっても、カットリングのごとく長方形状であっても何等の問題なく容易に分割することができるものである。
【0017】
そして、分割後の先行するシールリングは大きなピッチでもって先端側へ移動されるので、後続するシールリングと再接触することがなく、1個毎に分離しての移送供給を確実に行うことができる。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、アイドルシャフトに螺旋部を設けてなるものであるから、アイドルシャフト側においても送り機能を有するものであり、一束にまとめた状態のシールリングの解き作用が効果的に行われる。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の発明において、メインシャフトに設けた螺旋部およびアイドルシャフトに設けた螺旋部はコイルにより構成してあるから、メインシャフトの外周面に螺旋溝を加工する場合に比較して製造が容易であり、安価になるものである。また、コイルよりなることにより、螺旋部のピッチが異なる場合であっても、その製作が容易である。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項2,3又は4に記載の発明において、アイドルシャフトの先端部に、分離されたシールリングの落下を案内するシールリング落下案内部材を垂直にかつアイドルシャフトに対して相対的に回転可能に設けてなるものであるから、1個毎に分離されたシールリングを所定位置に案内して落下せしめることができ、シールリングの位置決め精度が向上するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1を参照するに、本例に係るシールリング分離装置1はベースプレート3を備えており、このベースプレート3に取付けた軸受ブロック5には軸受を介してメインシャフト7が水平にかつ回転自在に支持されている。このメインシャフト7は、前記ベースプレート3に取付けたモータブラケット9に装着したサーボモータ11と適宜に連動連結してあり、その先端部は何等支持されることのない自由端に構成してある。
【0022】
上記メインシャフト7の外周面には、前記サーボモータ11によって回転されたときに、一束にまとめられたOリング,カットシール等のごときシールリング13(図には1個のみを示す)を先端側へ移動するための螺旋部15が設けてある。上記螺旋部15としては、メインシャフト7の外周面に螺旋溝あるいは螺旋凸条を形成する構成であっても良いが、本例においてはコイルスプリング17によって形成してあってメインシャフト7に固定してある。
【0023】
前記螺旋部15は、一束にまとめられたシールリング(一まとめの状態は図示省略)からシールリング13を1個毎に解きながら分離してメインシャフト7の先端側へ移動するための分離領域15Aと、分離されたシールリング13をほぼ整列した状態で移送して先行するシールリング13と後続するシールリング13とが密着した状態にある場合であっても確実に分割することのできる分割領域15Bと、分割されたシールリング13の相互の再接触を防止する再接触防止領域15Cの各領域に区画してある。
【0024】
前記分離領域15Aはメインシャフト7の基部側に比較的長く設けてあり、この分離領域15Aにおけるコイルスプリング17のピッチはシールリング13が1個だけ入り込むことのできる程度の適宜ピッチに構成してある。
【0025】
前記分割領域15Bは、前記分離領域15Aに連続して設けてあって複数個のシールリング13が互いに密着した状態に整列し得る適宜長さに亘って設けてあり、この分割領域15Bにおけるコイルスプリング17は、図3より理解されるように、シールリング13がメインシャフト7に接触する態様に割り込まないように、密着した状態に形成してある。したがって、分割領域15Bにおいては、コイルスプリング17の密着により、コイルスプリング17の線径にほぼ等しい小ピッチの浅い螺旋溝が形成されているものであり、この浅い螺旋溝にシールリング13の一部が係合することにより、分割領域15Bにおいてもシールリング13を先端部側へ移送することができるものである。
【0026】
上記分割領域15Bにおいて互いに密着した状態にあるコイルスプリング17の先端側の1巻の部分,換言すれば、前記再接触防止領域15Cと分割領域15Bの境界部には、図2に示すように、コイルスプリング17の一部を外方向へ突出変形した突出部17Pが形成してある。この突出部17Pは、分割領域15Bにおいて互いに接触した状態にあるシールリング13の間に割り込んで互いの接触状態を解除する作用をなすものである。
【0027】
前記再接触防止領域15Cは、前記分割領域15Bとメインシャフト7の先端部との間に設けてあって、この再接触防止領域15Cにおけるコイルスプリング17のピッチは、前記突出部17Pによって分割されたシールリング13を先端部側へ移動する速度を大きくして後続するシールリング13と再接触することを防止するために、シールリング13の断面部の径の数倍の大きなピッチに形成してある。
【0028】
上記構成より明らかなように、メインシャフト7に備えた螺旋部15のピッチは、分離領域15A,分割領域15Bおよび再接触防止領域15Cによってそれぞれ異なるものである。したがって、メインシャフト7の外周面に螺旋溝等を加工するよりも、コイルスプリング17の製造時にピッチを変えて製造することにより、製造が容易であると共に安価に製造することができるものである。
【0029】
前記メインシャフト7における螺旋部15の分離領域15Aにセットされた一束にまとめられたシールリング13に適宜の張力を付与するために、前記メインシャフト7の下側にはアイドルシャフト19が上下位置調節可能かつ回転自在に設けてある。
【0030】
より詳細には、前記アイドルシャフト19は前記軸受ブロック5に上下位置調節可能に支持された軸受(図示省略)に水平にかつ回転自在に支持されていると共に、前記ベースプレート3に立設した支持ブラケット21に上下位置調節可能に支持された軸受ブロック23に基端部を水平にかつ回転自在に支持されている。なお、詳細な図示は省略するが、上記軸受ブロック23は、例えばレバー25によって操作される螺子機構と螺合してあって、上記レバー25を操作することにより、支持ブラケット21に沿って上下に位置調節できるように構成してある。
【0031】
前記アイドルシャフト19の基部側の前記分離領域15Aに対応した領域には螺旋部としてのコイルスプリング27が設けてある。なお、上記コイルスプリング27は必ずしも必要ではなく、場合によっては省略することも可能である。また、前記コイルスプリング17に準じて各領域に対応してピッチを異にして、アイドルシャフト19の全長に亘ってコイルスプリング17を設けることも可能である。
【0032】
前記アイドルシャフト19の先端部は前記メインシャフト7の先端部に近接した位置に延伸してあって、アイドルシャフト19の先端部には、分離されたシールリング13の落下を案内するシールリング落下案内部材29が垂直にかつ相対的に回転可能に装着してある。
【0033】
より詳細には、上記シールリング落下案内部材29は、突出軸及び嵌合穴の嵌合構成によって前記アイドルシャフト19の先端部に対して水平方向(アイドルシャフト19の軸方向)に着脱可能かつアイドルシャフト19に対して相対的に回転可能のガイドブラケット31を備えており、このガイドブラケット31には垂直なシールリング案内部33が設けてある。
【0034】
上記シールリング案内部33は、内方向への変形が生じ易いように、短冊状あるいは小径棒状のごとき適宜形状の複数の案内片を垂直に設けかつ円形状に配置した構成であって、上記シールリング案内部33の外径は、シールリング13の内径より僅かに小さな径に設定してある。
【0035】
前記メインシャフト7の上方には、分離ローラ35を先端部に回転自在に備えたローラ支持軸37が水平にかつ上下動可能に設けてある。より詳細には、前記軸受ブロック23と同様に前記支持ブラケット21に上下位置調節可能に支持された昇降ブロック39に前記ローラ支持軸37の基部側が支持されており、前記メインシャフト7の先端部付近に延伸した上記ローラ支持軸37の先端部に前記分離ローラ35が回転自在に支持されているものである。
【0036】
上記分離ローラ35は、前記再接触防止領域15Cにおける螺旋部に適宜長さに亘って接触するように適宜の長さに設けてあるが、その内端面35Eは、図3に示すように、前記分割領域15Bにおいて互いに密着した状態にあるコイルスプリング17の先端側の一巻の部分17Eから適宜に離反した位置に位置せしめてある。
【0037】
前記突出部17Pは上記一巻の部分17Eに形成してあるものであり、この一巻の部分17Eと前記分離ローラ35の内端面35Eとの間隔は、前記突出部17Pによって分割された1個のシールリング13が再接触防止領域15Cに移行し得る間隔である。
【0038】
シールリング13の断面形状の相違や断面径の相違等に対応して前記一巻の部分17Eと分離ローラ35の内端面35Eとの間隔を所望間隔に調整可能に設けることが望ましい。この場合、ローラ支持軸37の先端部に取付けたセンサブラケット41と前記分離ローラ35との間に適宜厚さのスペーサ43を着脱交換可能に介在する構成とすることにより容易に実施し得るものである。なお、前記センサブラケット41には、前記メインシャフト7の先端部からシールリング13が落下したことを検出するための適宜のセンサ45が取付けてある。上記センサ45は、シールリング13の落下を検出したときに、前記サーボモータ11の回転を停止せしめるべく機能するものである。
【0039】
以上のごとき構成において、昇降ブロック39,ローラ支持軸37を上昇せしめて分離ローラ35をメインシャフト7から上方向へ離反すると共に、前記アイドルシャフト19の先端部からシールリング落下案内部材29を取り外し、かつ軸受ブロック23を上昇せしめて、アイドルシャフト19をメインシャフト7に近接せしめる。
【0040】
上述のごとき状態にあるときに、一束にまとめたシールリング13をメインシャフト7における分離領域15Aの基部側にセットする。そして、前記アイドルシャフト19を下降せしめて上記一束にまとめたシールリング13に適宜の張力を与えると共に、アイドルシャフト19の先端部にシールリング案内部材29を装着する。また前記ローラ支持軸37を下降せしめて、分離ローラ35を、メインシャフト7における先端側の再接触防止領域15Cに接触せしめる。
【0041】
前述のごとく一束にまとめたシールリング13を分離領域15Aにセットした状態にあるときにサーボモータ11によってメインシャフト7を回転すると、メインシャフト7に備えた螺旋部15としてのコイルスプリング17が一体的に回転し、シールリング13を先端側へ移動する。上述のごとくメインシャフト7を回転すると、シールリング13を介してアイドルシャフト19も従動回転し、コイルスプリング27の回転によって先端側へ移動される。
【0042】
この際、メインシャフト7の駆動回転に対してアイドルシャフト19が従動回転であることにより、シールリング13はメインシャフト7側が先行しアイドルシャフト19が遅れる傾向にあり、一まとまりのシールリングからシールリング13が解かれて1個毎に分離されつつ先端側へ移動されることになる。
【0043】
前記分離領域15Aにおいて1個毎に分離されて先端側へ移動されたシールリング13は、分割領域15Bの密着した状態のコイルスプリング17上に乗りあげて整列される状態となり、さらに先端側へ移送される。
【0044】
上記分割領域15Bの先端側へシールリング13が移動されているときに、メインシャフト7の回転により、分割領域15Bの端部に形成した突出部17Pが下側から上部側へ移動するときに、先行するシールリング13と後続するシールリング13との間に割り込む態様となるので、分割領域15Bにおいてシールリング13が互いに接触した状態で先端側へ移動される場合であっても、シールリング13を1個毎に分割することができる。
【0045】
前記コイルスプリング17の突出部17Pによって分割されたシールリング13は再接触防止領域15Cに至り、図3に示すように、シールリング13がコイルスプリング17の間に割り込み、分割ローラ35によってメインシャフト7に圧着されると共にコイルスプリング17の大きなピッチでもって先端側へ移動される。すなわち、再接触防止領域15Cにおいては大きな移動速度で先端側へ移動され、後続するシールリング13と大きく離反されて再接触が防止されるものである。
【0046】
前記再接触防止領域15Cの先端部にシールリング13が移動されると、シールリング13はメインシャフト7の先端部から離脱し、シールリング案内部材29におけるシールリング案内部33に沿って案内され落下する。したがって、シールリング13の落下位置は一定しており、シールリング13の位置決め精度が向上する。よって、例えば次工程の組付用のロボットがシールリング13を保持するとき、シールリング13の保持を確実に行うことができるものである。
【0047】
前記シールリング案内部33においてシールリング13が傾斜してシールリング案内部33に引っ掛かる傾向にあるときには、シールリング案内部33を構成する案内片が内方向へ変形して前記引っ掛りを解消するので、シールリング13の落下案内を確実に行うことができるものである。
【0048】
ところで、前記シールリング案内部33を円筒形状に形成した場合には、シールリング案内部33の外周面に摩擦抵抗が小さく滑り易い物質のコーティングを行うことによっても、シールリングの落下案内を確実に行うことができるものである。
【0049】
前述のごとくメインシャフト7の先端部から外れてシールリング13が落下するとき、センサ45によってシールリング13の落下が検出され、サーボモータ11の回転が停止される。そして、制御装置(図示省略)の制御の下にサーボモータ11が再び駆動され、前述のごとき動作を繰り返すことにより、次工程へのシールリング13の1個毎の供給が行われるものである。
【0050】
以上のごとき説明より理解されるように、分離領域15Aにおいて一束のまとまりのシールリングから1個毎のシールリング13に分離されて分割領域15Bへ整列状に移送され、この分割領域15Bの端部に備えた突出部17Pが先行するシールリング13と後続するシールリング13との間に割り込む態様となって1個毎に分割するものであるから、シールリング13の断面形状が種々の場合であっても確実に分割することができるものである。
【0051】
そして、分割されたシールリング13は再接触防止領域15Cにおいて後続するシールリング13と大きく離反されるので、メインシャフト7の先端からシールリング13を落下するとき、複数のシールリング13を同時的に落下することを防止でき、次工程への1個毎の供給を確実に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールリング分離装置の全体的構成を概略的に示した正面説明図である。
【図2】図1におけるII−II線矢視の端面拡大説明図である。
【図3】図1における主要部分の拡大説明図である。
【図4】従来技術の構成を示す概略的な構成説明図である。
【符号の説明】
1 シールリング分離装置
7 メインシャフト
11 サーボモータ
13 シールリング
15 螺旋部
17,27 コイルスプリング
17P 突出部
19 アイドルシャフト
29 シールリング落下案内部材
35 分離ローラ
Claims (5)
- 一まとまりのシールリングをセットしたメインシャフトとアイドルシャフトとを離反せしめて前記シールリングに張力を付与し、前記メインシャフトを回転することにより、当該メインシャフトに設けた螺旋部によって前記シールリングを上記メインシャフトの先端側へ移動するとき、シールリングのアイドルシャフトに接触した部分よりもメインシャフトに接触した部分が先行するように移動して一まとまりのシールリングからシールリングを1個毎分離する分離方法において、
前記メインシャフトの基部側に形成した分離領域における螺旋部の螺旋溝をシールリングが1個だけ入り込むことのできるピッチの螺旋溝とし、複数のシールリングが互に密着した状態に整列し得るように、前記分離領域のピッチより小さなピッチでかつ浅い螺旋溝に形成した分割領域を、前記分離領域に連続して前記メインシャフトに備え、上記分割領域における螺旋溝のピッチよりも大きなピッチの螺旋溝を備えた再接触防止領域を、前記メインシャフトの先端部と前記分割領域との間に備えた構成のメインシャフトを回転して、前記シールリングを前記メインシャフトの先端側へ移送するとき、
前記分離領域の一まとまりのシールリングから1個毎に分離して前記分割領域に整列した状態に移送し、
前記分割領域から前記再接触防止領域へシールリングを移送するとき、前記分割領域と前記再接触防止領域との間の前記螺旋部の1部に形成した突出部を先行するシールリングと後続するシールリングとの間に割り込ませて先行するシールリングと後続するシールリングとを分離し、
かつ前記再接触防止領域においてシールリングが再接触することを防止するために上記分離後の先行するシールリングの移送速度を前記分割領域の移送速度よりも大きくすることを特徴とするシールリングの分離方法。 - 一まとまりのシールリングをセットしたメインシャフトとアイドルシャフトとを離反せしめて前記シールリングに張力を付与し、前記メインシャフトを回転することにより、当該メインシャフトに設けた螺旋部によって前記シールリングを上記メインシャフトの先端側へ移動するとき、シールリングのアイドルシャフトに接触した部分よりもメインシャフトに接触した部分が先行するように移動して一まとまりのシールリングからシールリングを1個毎分離する装置において、
前記メインシャフトは、当該メインシャフトの基部側に形成した分離領域に、シールリングが1個だけ入り込むことのできるピッチの螺旋溝を備え、複数のシールリングが互に密着した状態に整列し得るように、前記分離領域のピッチより小さなピッチでかつ浅い螺旋溝を形成した分割領域を、前記分離領域に連続して前記メインシャフトに備え、前記分割領域における螺旋溝のピッチよりも大きなピッチの螺旋溝を備えた再接触防止領域を、前記メインシャフトの先端部と前記分割領域との間に備え、前記分割領域から前記再接触防止領域へシールリングを移送するときに先行するシールリングと後続するシールリングとの間に割り込み可能の突出部を、前記分割領域と前記再接触防止領域との間の螺旋部に備えていることを特徴とするシールリングの分離装置。 - 請求項2に記載の発明において、アイドルシャフトに螺旋部を設けてなることを特徴とするシールリングの分離装置。
- 請求項2又は3に記載の発明において、メインシャフトに設けた螺旋部およびアイドルシャフトに設けた螺旋部はコイルにより構成してあることを特徴とするシールリングの分離装置。
- 請求項2,3又は4に記載の発明において、アイドルシャフトの先端部に、分離されたシールリングの落下を案内するシールリング落下案内部材を垂直にかつアイドルシャフトに対して相対的に回転可能に設けてなることを特徴とするシールリングの分離装置。
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