JP4028198B2 - 熱処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、「基板」と称する)を保持して搬送する基板搬送装置を備えた熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基板に熱処理を施すため、ホットプレートを備える熱処理装置と、そのような熱処理装置に対して基板を受け渡す基板搬送装置が広く用いられている。そして、その様な装置間での基板の受け渡し機構として、以下のようなものが提案されている。
【0003】
図17は、従来の熱処理装置と基板搬送装置の搬送アームの様子を示す図である。図17に示すように、熱処理装置100には、熱処理装置100に進入する基板搬送装置110の搬送アーム111との基板の受け渡しのために、上端が同じ高さを保ちつつホットプレート101上を昇降する複数の支持ピン102が備えられている。一方、基板搬送装置110は内部に冷媒の通る配管(図示省略)が埋め込まれた板状の搬送アーム111に複数のスリット状の切り込み112を備えるとともに冷却機能を備えている。
【0004】
そして、熱処理装置100から基板搬送装置110に基板Wを渡す際には、複数の支持ピン102の上端で基板Wを裏面から支えつつ、その基板Wの下方に搬送アーム111が進入し、各支持ピン102がそれら切り込み112に遊嵌し、搬送アーム111が進入し終わると全支持ピン102が同時に下降することによって、基板Wを搬送アーム111に渡し、その後搬送アーム111が後退することによって基板Wが熱処理装置100から搬出される。逆に搬送アーム111から熱処理装置100に基板Wを渡す際には、この逆の手順で行う。
【0005】
そして、熱処理装置100内で加熱処理を受けた基板Wを冷却する際には搬送アーム111上に基板Wを載置した状態で冷却するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来技術においては、基板搬送装置110の搬送アーム111には冷却時や基板搬送時に、それら切り込みを通じた熱拡散や切り込み112からの熱風の吹き込み等により、基板主面内、とりわけデバイス形成が行われる領域である有効領域における温度分布の均一性が損なわれるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板主面のうちの少なくとも有効領域における温度分布の均一性が高い熱処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、基板に低酸素雰囲気にて熱処理を行う熱処理室と前記熱処理室に対して基板を搬出入する搬送部とを備えた熱処理装置において、前記搬送部に、基板の裏面側から基板主面のうちの少なくともデバイス形成が行われる有効領域の全域に当接または近接して基板を保持する長尺の板状の搬送アームと、前記搬送アームを冷却する冷却手段と、を備え、前記搬送アームに、前記熱処理室にて加熱後の基板を受け取ってから当該基板の温度が所定温度以下になるまで前記熱処理室内に待機させて前記冷却手段によって当該基板を冷却した後に、前記熱処理室から退出させて当該基板を搬出している。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記搬送アームの幅を基板の大きさよりも狭くしている。
【0010】
また、請求項3の発明は、基板に低酸素雰囲気にて熱処理を行う熱処理室と前記熱処理室に対して基板を搬出入する搬送部とを備えた熱処理装置において、前記搬送部に、基板の裏面側から当接または近接して基板を保持する長尺の板状の搬送アームと、前記搬送アームを冷却する冷却手段と、を備え、前記搬送アームの幅を基板の大きさよりも狭くするとともに、前記搬送アームに、前記熱処理室にて加熱後の基板を受け取ってから当該基板の温度が所定温度以下になるまで前記熱処理室内に待機させて前記冷却手段によって当該基板を冷却した後に、前記熱処理室から退出させて当該基板を搬出している。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記搬送アームに対して基板を受け渡すためのピンが通過する複数の孔を前記搬送アームに穿設している。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記熱処理室に、前記搬送部との間で基板の受け渡しを行うときに基板の端縁部を支持する複数の支持ピンを備え、前記搬送部に、前記熱処理室との間で基板の受け渡しを行うときに前記搬送アームを前記複数の支持ピンの間に進入させている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
<1.第1実施形態>
<1−1.基板処理装置の全体構成>
まず、本発明に係る基板搬送装置および熱処理装置を組み込んだ基板処理装置の全体構成について説明する。図1は、基板処理装置の全体構成の一例を示す平面図である。この基板処理装置は、基板Wを払い出すためのインデクサIDと、各種処理液を塗布するための回転式塗布処理装置(スピンコータ)SC1,SC2と、本発明に係る熱処理装置LOH1,LOH2と、基板Wに加熱処理を施すホットプレート部HP1,HP2と、基板Wに冷却処理を施すクールプレート部CP1,CP2と、これらの間で基板Wの搬送を行う搬送ロボットTRとを備えている。
【0016】
インデクサIDは、複数の基板Wを収納可能なカセットを複数載置することができるとともに、そのカセットと搬送ロボットTRとの間で基板Wの移載を行う移載機構(図示省略)を備える。インデクサIDは、カセットに収納された未処理の基板Wを搬送ロボットTRに払い出すとともに、処理が終了した基板Wを搬送ロボットTRから受け取ってカセットに収納する機能を有する。
【0017】
回転式塗布処理装置SC1,SC2は、ともに略水平姿勢にて保持した基板Wを回転させつつ、各種処理液をその基板Wに吐出することによりSOD(Spin-on-Dielectronics)やポリイミド等の低誘電体材料の塗布処理を行う。
【0018】
熱処理装置LOH1,LOH2は、いずれもSODやポリイミド等の低誘電体材料の処理液が塗布された基板Wに低酸素雰囲気にて熱処理を施すことによって、その基板W上に層間絶縁膜を形成する機能を有する。なお、熱処理装置LOH1,LOH2については、後に詳述する。
【0019】
ホットプレート部HP1,HP2は、加熱機構を有し、搬入された基板Wを所定温度にまで加熱する機能を有する。また、クールプレート部CP1,CP2は、冷却機構を有し、搬入された基板Wを所定温度にまで冷却するとともに、基板Wをその温度にて維持する機能を有する。なお、ホットプレート部HP1,HP2およびクールプレート部CP1,CP2はこの順序で上から順に積層されているものであるが、図1においては図示の便宜上、平面的に配置されているように記載している。
【0020】
搬送ロボットTRは、回転式塗布処理装置SC1,SC2からなる処理部列と熱処理装置LOH1,LOH2、ホットプレート部HP1,HP2、クールプレート部CP1,CP2からなる処理部列との間の搬送路に沿って矢印AR1にて示すように水平方向に移動可能に構成されている。また、搬送ロボットTRは、インデクサIDおよび上記の各処理部間で基板Wの搬送を行うことができる。
【0021】
また、基板処理装置の内部にはコンピュータを用いて構成される制御部CRが設けられている。制御部CRは、上述した各処理部と電気的に接続されており、所定の処理プログラムに従って各処理部の動作や搬送ロボットTRによる基板搬送を制御する。
【0022】
<1−2.熱処理装置LOH1,LOH2の構成>
次に、上記基板処理装置に組み込まれた熱処理装置LOH1,LOH2の構成について説明する。ここでは、熱処理装置LOH1について説明するが、熱処理装置LOH2についても全く同様である。
【0023】
図2は熱処理装置LOH1を側面から見た主要部の断面図であり、図3は熱処理装置LOH1を上面から見た断面図である。なお、図2および図3においては、それらの方向関係を明確にするため、水平面をXY面とし、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座表系を付している。
【0024】
熱処理装置LOH1は、大別して加熱部10と搬送部50とを備えている。加熱部10は加熱処理を行う機能を有し、本発明に係る基板搬送装置である搬送部50は基板Wを加熱部10に搬入したり、加熱部10から搬出する機能を有するとともに、基板Wを冷却する機能を有する。
【0025】
加熱部10は、チャンバ15の内部にヒータ30を配置して構成されている。チャンバ15は略直方体形状の筐体であり、その天井部分13は円柱形状とされている。チャンバ15は、その内部に搬入された基板Wに熱処理を行う処理室である。
【0026】
ヒータ30は、円盤状の部材であってその内部に抵抗加熱等による加熱源を有しており、予め設定された所定温度を維持している。
【0027】
また、ヒータ30を鉛直方向(Z方向)に貫通して支持ピン36が4本設けられている。4本の支持ピン36はその下端で一体となってその下方に設けられた昇降駆動手段であるエアシリンダ35に連結されており、エアシリンダ35の伸縮により同期して昇降する。
【0028】
また、図3に示すように4本の支持ピン36はヒータ30上に支持される基板の端縁部、従って、基板Wを保持した搬送アーム60が加熱部10に進入してヒータ30上方の進入位置IP1に位置する状態での基板Wの端縁部で、しかも、搬送アーム60が進入位置IP1に位置した状態で支持ピン36が昇降しても搬送アーム60の両脇を通過して搬送アーム60と干渉しない平面的位置に配置されている。
【0029】
そして、4本の支持ピン36はその上端が同一高さとなるように設けられており、4本の支持ピン36の上端で基板Wを支持した状態にてエアシリンダ35が支持ピン36を昇降させることにより、支持ピン36に支持された基板Wがヒータ30直上の加熱位置とそれよりも上方の基板受け渡し位置との間で鉛直方向に昇降する。そのため、基板Wが支持ピン36によって加熱位置に支持されているときには、その基板Wがヒータ30によって所定温度に加熱されることとなり、換言すれば、ヒータ30はチャンバ15に搬入された基板Wを載置して加熱する加熱手段であると言える。
【0030】
また、チャンバ15には基板Wを搬出入するための開口41が設けられている。開口41は、ヒータ30に載置された基板W、すなわち支持ピン36によって加熱位置に支持された基板Wの一端側の側方に設けられている。さらに、チャンバ15にはゲートバルブ40が設けられている。ゲートバルブ40は図示を省略する駆動機構によって昇降可能とされており、開口41はゲートバルブ40が上昇することによって遮蔽され、ゲートバルブ40が下降することによって開放される。ゲートバルブ40が下降して開口41が開放されているときには、開口41を介して搬送部50がチャンバ15への基板Wの搬出入を行う。ゲートバルブ40が上昇して開口41が遮蔽されているときには、チャンバ15の内部に閉空間が形成される。
【0031】
また、チャンバ15には、天井部分13にガス供給口17が、ヒータ30の周囲に排気口45がそれぞれ設けられている。ガス供給口17は、図示しない窒素ガス供給部に接続されており、窒素ガスをチャンバ15内に上方から流入させる。また、チャンバ15の天井部分13の内部には天板12が設けられている。天板12は、ガス供給口17から流入した窒素ガスが通過するための通気孔を多数有する。そして、加熱部10での基板Wの加熱処理中は、ガス供給口17および排気口45が開放され、チャンバ15内に窒素ガスのダウンフローが形成され、排気口45から排気される。
【0032】
搬送部50は、主として搬送アーム60と、搬送アーム60を駆動するモータ70と、基板Wを支持する横断面が円形の支持ピン63によって構成されている。搬送アーム60は、基板Wの主面のうちの少なくともデバイス形成が行われる有効領域EAの全域を覆うとともに、その幅(進退方向に垂直な方向(X方向)の長さ)が基板Wの大きさ(直径)よりも狭い長尺の板状の部材である(図3参照)。また、搬送アーム60には、複数の突起62が設けられるとともに、3つの丸い貫通孔64が穿設されている。そして、複数の突起62が基板Wの裏面に当接して支持することにより、搬送アーム60は基板Wの裏面側から有効領域EAの全域に近接して基板Wを保持することができる。
【0033】
また、3つの貫通孔64は3本の支持ピン63それぞれが通過することができるよう、各貫通孔64の内径は支持ピン63の断面の直径より大きくなっている。
【0034】
また、3本の支持ピン63は搬送アーム60が図3に示す搬送部50に退避した退避位置SP1に位置する状態での3つの貫通孔64に対応する平面的位置に配置されている。また、3本の支持ピン63は、その下端で一体となりその下方に設けられた昇降駆動手段であるエアシリンダ67に連結されており、エアシリンダ67の伸縮により昇降する。そして、3本の支持ピン63はその上端が同一高さとなるように設けられており、3本の支持ピン63の上端で基板Wを支持できるものとなっている。そのため、3本の支持ピン63の上端で基板Wを支持した状態にてエアシリンダ67が支持ピン63を昇降させることにより、基板Wを昇降させることができる。
【0035】
また、前述のような平面的位置に支持ピン63が配置されているため、搬送アーム60が退避位置SP1に位置する状態で、支持ピン63が搬送アーム60の下方から上昇すると、3本の支持ピン63が搬送アーム60の3つの貫通孔64を通過することができ、搬送アーム60と干渉することがない。
【0036】
また、搬送アーム60の内部には、図3に示すように、冷却配管66が配設されている。冷却配管66は、冷却水供給部65に接続されている。冷却水供給部65から供給された冷却水は冷却配管66内を通過して再び冷却水供給部65に帰還する。つまり、冷却水供給部65は、冷却配管66に冷却水を循環させるのである。そして、冷却配管66内を冷却水が通過することによって、搬送アーム60のうち少なくともそれが保持する基板Wに対向する領域はほぼ均一に冷却される。これにより、搬送アーム60が保持する基板Wが冷却されることとなるのである。なお、冷却水供給部65および冷却配管66が本発明の冷却手段に相当する。
【0037】
搬送アーム60は、モータ70、駆動プーリ73、従動プーリ72、ベルト71からなる駆動機構によってY方向に移動することができる。モータ70のモータ軸には駆動プーリ73が固設されている。従動プーリ72は、回転自在に設けられている。駆動プーリ73と従動プーリ72とにはベルト71が巻き掛けられている。これにより、モータ70が正または逆方向に回転すると、その回転に伴って駆動プーリ73も回転することとなり、ベルト71が駆動プーリ73と従動プーリ72との間で回走する。
【0038】
一方、搬送アーム60の下部にはアーム支持部75が垂設されている。アーム支持部75はガイド部材74に対して摺動自在とされている。そして、アーム支持部75とベルト71とは連結部材76によって連結されている。従って、モータ70が回転してベルト71が回走すると、アーム支持部75はY方向にスライド移動し、それに伴って搬送アーム60がチャンバ15に対して進退移動を行うこととなる。このような搬送アーム60のチャンバ15に対する進退移動により、搬送アーム60はチャンバ15への基板Wの搬入およびチャンバ15からの基板Wの搬出を行うことができる。
【0039】
なお、搬送アーム60が保持する基板Wを冷却する手段としては冷却水供給に限定されるものではなく、例えばペルチェ素子等の他の冷却機構を用いるようにしてもよい。
【0040】
<1−3.搬送ロボットTRの構成>
次に、搬送ロボットTRの構成について説明する。図4は搬送ロボットTRの平面図であり、図5は搬送ロボットTRの側面図である。図4および図5においても、それらの方向関係を明確にするため、水平面をXY面とし、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座表系を付している。
【0041】
搬送ロボットTRは2段の搬送アーム80a,80bを備えるとともに、基台81下方に設けられた水平駆動機構82、垂直駆動機構83および旋回駆動機構84によって、X軸方向の並進、Z軸方向の昇降およびZ軸方向を軸としての旋回が自在なように構成されている。なお、水平駆動機構82、垂直駆動機構83および旋回駆動機構84の構造は任意のものを用い得る。例えば水平駆動機構82は床面に沿って設けられたボールネジとそれを回転するモータとからなるもの、垂直駆動機構83はエアシリンダ、旋回駆動機構84はサーボモータ等とすればよい。
【0042】
また、搬送アーム80aは、先端に、内径が上記基板Wより若干大きい円弧状の基板保持部85が形成された板状部材である。そして、上記基板保持部85の内周面には3本の支持ピン86が設けられており、基板Wを保持する際にはこれら支持ピン86によって基板Wを支持する。また、搬送アーム80aの先端部分、すなわち基板保持部85の切り欠き部NPの幅は搬送部50の3本の支持ピン63の配置されている間隔より広く形成されており、支持ピン63が上昇した位置にある場合でも、それら支持ピン63と干渉することなく、搬送アーム80aが搬送部50に進入できるようになっている。なお、搬送アーム80bも同様の構造を有している。
【0043】
基台81内部には、搬送アーム80a,80bそれぞれに対して、搬送部50における搬送アーム60が備えるモータ、プーリ、ベルト等からなる水平方向の進退駆動機構と同様の機構が設けられており、搬送アーム80a,80bは、それぞれ独立して水平方向(Y方向)に進退自在とされている。また、上述した各駆動機構が制御部CRにそれぞれ電気的に接続されている。
【0044】
以上のような構成により、搬送ロボットTRは制御部CRの指示に従って、インデクサID、回転式塗布処理装置SC1,SC2、熱処理装置LOH1,LOH2、ホットプレート部HP1,HP2およびクールプレート部CP1,CP2の各処理部間を基板Wを保持して移動し、各処理部と基板Wの受け渡しを行うことによって基板Wを搬送する。
【0045】
<1−4.熱処理装置LOH1,LOH2における基板の受け渡し動作>
次に、熱処理装置LOH1,LOH2における基板の受け渡し動作の詳細および概略の処理手順を、図6から図9を用いつつ説明する。図6から図9は、それぞれ、熱処理装置LOH1における加熱部10と搬送部50との基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【0046】
なお、ここでは、熱処理装置LOH1について説明するが、熱処理装置LOH1と熱処理装置LOH2とは並列処理を行う関係にあり、熱処理装置LOH2についても全く同様である。また、熱処理装置LOH1における処理は、全て制御部CRの指示に従って行われる。
【0047】
まず、搬送ロボットTRが基板Wを熱処理装置LOH1に搬入する。具体的には、搬送ロボットTRが基板Wを搬送アーム60に渡す。なお、搬送ロボットTRから搬送アーム60への基板Wの受け渡し動作については後述する。
【0048】
図6は、搬送アーム60に基板Wが渡されたときの熱処理装置LOH1の状態を示す図である。搬送アーム60に基板Wが渡された段階では、まだゲートバルブ40が上昇して開口41が遮蔽されている。
【0049】
次に、ゲートバルブ40が下降して開口41が開放され、基板Wを保持した搬送アーム60がチャンバ15内に進入する。図7は、開口41が開放され、基板Wを保持した搬送アーム60がチャンバ15内に進入したときの熱処理装置LOH1の状態を示す図である。チャンバ15内に進入した搬送アーム60は、チャンバ15内の進入位置IP1にて停止する。
【0050】
そして、支持ピン36が上昇して基板Wの裏面端縁部に当接し、その基板Wを持ち上げて搬送アーム60から離間させる。つまり、搬送アーム60から支持ピン36に基板Wが渡されるのである。このとき、4本の支持ピン36は搬送アーム60の両脇を通過する。換言すると、このとき搬送アーム60は4本の支持ピン36の間に進入した状態にある。図8は、搬送アーム60から支持ピン36に基板Wが渡されたときの熱処理装置LOH1の状態を示す図である。
【0051】
次に、基板Wを渡した搬送アーム60が後退してチャンバ15から退出する。そして、ゲートバルブ40が上昇して開口41が遮蔽された後、基板Wを支持する支持ピン36が下降し、その基板Wをヒータ30直上の加熱位置まで下降させる。ヒータ30は既に所定温度にまで昇温されているため、基板Wがヒータ30直上の加熱位置まで下降されることによって直ちに基板Wの加熱処理が開始される。図9は、基板Wの加熱処理が行われているときの熱処理装置LOH1の状態を示す図である。基板Wの加熱処理中は、ゲートバルブ40が上昇して開口41が遮蔽されている。
【0052】
やがて、所定時間が経過して基板Wの熱処理が終了すると、支持ピン36が上昇し、基板Wをヒータ30直上の加熱位置から基板受け渡し位置まで上昇させる。
【0053】
その後、ゲートバルブ40が下降して開口41が開放される。そして、搬送アーム60が前進してチャンバ15内に進入し、チャンバ15内の進入位置IP1にて停止する。なお、前述のようにこの段階では既に支持ピン36が上昇している状態であるので、搬送アーム60は4本の支持ピン36の間に進入するのである。また、このときには、冷却配管66内に冷却水が循環されている。
【0054】
その後、基板Wを支持する支持ピン36が下降し、基板Wが支持ピン36から搬送アーム60に渡される(図7参照)。
【0055】
冷却配管66内に冷却水が循環されているため、搬送アーム60に保持されている基板Wはチャンバ15内において冷却されることとなる。また、冷却水が循環される搬送アーム60上に基板Wを保持することによってその基板Wを冷却しているため、迅速に基板Wを冷却することができる。
【0056】
その後、所定時間が経過して基板Wが所定温度以下にまで冷却された後、基板Wを保持する搬送アーム60が後退してチャンバ15から退出する。すなわち、搬送アーム60は、加熱後の基板Wを受け取った後、基板Wの温度が所定温度以下となるまでチャンバ15内に基板Wを待機させた後に、チャンバ15から退出するのである。
【0057】
そして、この後、搬送ロボットTRが熱処理後の基板Wを搬送アーム60から受け取り、熱処理装置LOH1における一連の処理が終了する。なお、搬送ロボットTRと搬送アーム60との基板Wの受け渡しは後に詳述する。
【0058】
このように、チャンバ15内に搬入された基板Wを直ちに加熱することができるとともに、冷却水が循環される搬送アーム60上に基板Wを保持することによって迅速に基板Wを冷却することができるため、熱処理装置LOH1における処理に要する時間が短くなり、高い処理効率を得ることができる。
【0059】
<1−5.熱処理装置LOH1,LOH2と搬送ロボットTRとの基板の受け渡し動作>
次に、熱処理装置LOH1,LOH2と搬送ロボットTRとの基板の受け渡し動作の詳細を、図10から図14を用いつつ説明する。図10から図14は、それぞれ、熱処理装置LOH1における搬送部50と搬送ロボットTRとの基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【0060】
ここでも、熱処理装置LOH1について説明するが、前述のように熱処理装置LOH1と熱処理装置LOH2とは並列処理を行う関係にあり、熱処理装置LOH2についても全く同様である。また、搬送ロボットTRの受け渡し動作については搬送アーム80aのみについて説明するが、搬送アーム80bについても全く同様である。さらに、搬送部50および搬送ロボットTRの動作は、全て制御部CRの指示に従って行われる。
【0061】
まず、熱処理装置LOH1の搬送部50から搬送ロボットTRへの基板の受け渡し動作について説明する。
【0062】
加熱処理後には、図10に示すように基板Wが搬送部50の搬送アーム60上に支持された状態で、支持ピン63は下降している。また搬送ロボットTRの搬送アーム80aは退避位置SP2に位置している(図10)。
【0063】
次に、搬送部50の支持ピン63が上昇して支持位置に位置する。その際、支持ピン63はそれぞれ搬送アーム60の貫通孔64を通過した状態となる(図11)。
【0064】
次に、搬送ロボットTRの搬送アーム80aが前進して進入位置IP2に位置する。このとき、搬送部50の支持ピン63は搬送アーム80aの切り欠き部NP(図4参照)に位置するので搬送アーム80aと干渉することがない(図12)。
【0065】
次に、支持ピン63が下降して退避する(図13)。これにより、それまで支持ピン63で支持されていた基板Wは搬送ロボットTRの搬送アーム80aに保持された状態になる(図13)。
【0066】
そして、搬送ロボットTRの搬送アーム80aが退避位置SP2に後退することにより基板Wは搬送ロボットTRに渡される(図14)。
【0067】
逆に、搬送ロボットTRから熱処理装置LOH1の搬送部50への基板Wの受け渡し動作は上記図10〜図14の各部の動作を逆に行っていく。
【0068】
すなわち、まず、搬送ロボットTRの搬送アーム80aが基板Wを保持した状態で退避位置SP2に位置する(図14)。
【0069】
次に、搬送アーム80aが基板Wを保持したまま、前進し、熱処理装置LOH1の搬送部50の進入位置IP2に位置する(図13)。
【0070】
次に、支持ピン63が上昇して搬送アーム80a上の基板Wを突き上げる(図12)。このときも、支持ピン63は搬送アーム80aの円弧状の基板保持部85中を通過するため、支持ピン63の上昇と搬送アーム80aとが干渉することがない。
【0071】
次に、搬送アーム80aが後退して、退避位置SP2に位置する(図11)。このとき、搬送部50の支持ピン63は搬送アーム80aの切り欠き部NP(図4参照)を通過するので搬送アーム80aと干渉することがない。
【0072】
次に、搬送部50の支持ピン63が下降することによって搬送ロボットTRから搬送部50への基板Wの受け渡しが終了する(図10)。
【0073】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、搬送部50が、基板Wの裏面側から有効領域EAの全域に近接して基板Wを保持する長尺の板状の搬送アーム60を備えるため、基板Wの有効領域EAにおける温度分布の均一性を高く保ちつつ基板Wの搬送および冷却が行える。搬送アーム60が基板の少なくとも有効領域EAの全域に近接する板状のものであるため、スリット状の切り込み等の特別な加工を施す場合に比べて、加工再現性が高く、また搬送アーム60の水平度の維持が容易である。また、搬送アーム60に切り込みがないので切り込みがある場合に比べてシール性が要求される部分が少なく、製造時の組み立ても容易である。
【0074】
また、搬送アーム60の幅を基板Wの大きさよりも狭く形成してあるため、加熱部10との間で基板Wの受け渡しを行う際に、基板Wの端縁部を支持ピン36で支持した状態で受け渡すことができ、基板Wの中心側の有効領域EAに悪影響を与えることが少ない。
【0075】
また、搬送アーム60に対して基板Wを受け渡すための支持ピン63が通過する複数の貫通孔64が搬送アーム60に穿設されているため、基板Wの中央付近においても支持ピン63により支持して受け渡すことができるので、受け渡しの自由度が高まる。
【0076】
さらに、加熱部10が、基板Wの端縁部を支持する複数の支持ピン36を備えるため、支持ピンとして基板の中心部付近を支持するものを設ける場合に比べて、ヒータパターンの形成が容易である。
【0077】
<2.第2実施形態>
図15は、第2実施形態の熱処理装置における搬送部51の平面図であり、図16は第2実施形態の熱処理装置における搬送部51を側面から見た主要部の断面図である。なお、図15および図16においても、それらの方向関係を明確にするため、水平面をXY面とし、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座表系を付している。また、図15および図16において、第1実施形態の搬送部50と共通する構成要素には第1実施形態と同様の参照符号を付している。
【0078】
図15に示すように、搬送部51は第1実施形態の搬送部50の搬送アーム60とほぼ同形状の搬送アーム90を備えている。すなわち、基板Wの有効領域EAの全域を覆うとともに、その幅(進退方向に垂直な方向(X方向)の長さ)が基板Wの大きさ(直径)よりも狭い長尺の板状の部材である。そして、搬送アーム90にも、複数の突起62が設けられている。ただし、搬送アーム90には貫通孔が設けられていない点が搬送アーム60と異なっている。
【0079】
代わりに、搬送部51には加熱部10と同様の、基板Wの端縁部の4カ所をそれぞれ支持する4本の支持ピン93を備えている。この4本の支持ピン93もその下端で一体となりその下方に設けられた第1実施形態と同様のエアシリンダ67に連結されており、エアシリンダ67の伸縮により同期して昇降する。そして、図15に示すように4本の支持ピン93は基板Wの端縁部で、しかも、搬送アーム90が退避位置SP1に位置した状態で支持ピン93が昇降しても搬送アーム90の両脇を通過して搬送アーム90と干渉しない平面的位置に配置されている。そして、搬送アーム90が基板Wを保持する場合も第1実施形態の搬送アーム60と同様、基板Wの裏面側から有効領域EAの全域に近接して基板Wを保持する。
【0080】
なお、搬送アーム90の進退駆動機構も第1実施形態と全く同様である。また、基板受け渡し動作およびその手順についても支持ピン93による基板Wの支持位置以外は第1実施形態と同様である。
【0081】
以上説明したような構成であるので、本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態における搬送アーム60が貫通孔64を備えていることによる効果以外の効果と同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、搬送アーム90が貫通孔を備えないので、より搬送アームの構造が簡単であり、加工や組み立てが一層容易である。
【0083】
<3.変形例>
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はこれらの構成に限定されるものではない。
【0084】
上記各実施形態では搬送アームが少なくとも基板の有効領域全域を覆うものとしたが、必ずしも有効領域全域を覆わなくてもよく、基板Wの中心部付近のみを覆う長尺の板状のもの等としてもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、搬送アームが基板Wを支持するための突起62を備えるものとしたが、搬送アームを突起を備えないものとしてもよい。その場合、搬送アームは基板Wの裏面側から有効領域EAの全域に当接して基板Wを保持する。
【0086】
また、上記第1実施形態では、搬送部50の備える支持ピン63を横断面が円形とし、搬送アームの備える貫通孔64を丸いものとしたが、横断面が四角形等の多角形や楕円形等その他の形状としてもよい。
【0087】
また、上記各実施形態では、熱処理装置LOH1,LOH2を、SODやポリイミド等の低誘電体材料の処理液が塗布された基板Wに熱処理を施すことによって、その基板W上に層間絶縁膜を形成するものとしていたが、これに限定されるものではなく、何らかの目的にて基板Wに熱処理を行う装置であれば良い。
【0088】
さらに、上記各実施形態では設けなかったが、パーティクル対策や基板裏面の残存ガスの置換のために基板裏面から窒素ガス等をブローする機構を設けてもよい。その場合でも、搬送アームが少なくとも基板の有効領域全域を覆うため、基板の有効領域における温度分布の均一性を高く保つことができる。
【0089】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1および請求項2の発明によれば、基板の裏面側から基板主面のうちの少なくともデバイス形成が行われる有効領域の全域に当接または近接して基板を保持する長尺の板状の搬送アームを備えるため、基板主面のうちの少なくとも有効領域における温度分布の均一性を高く保ちつつ基板の搬送および冷却が行える。また、パーティクル対策や基板裏面の残存ガスの置換のために基板裏面からのブローを設けた場合でも、少なくとも有効領域全域を覆うことになり、基板の有効領域における温度分布の均一性を高く保つことができる。搬送アームが基板の少なくとも有効領域の全域に当接または近接する板状のものであればよいため、搬送アームの構造が簡単で加工が容易である。
【0090】
また、請求項3の発明によれば、搬送アームの幅を基板の大きさよりも狭くするため、他の装置との間で基板の受け渡しを行う際に、端縁部を支持した状態の基板を受け渡すことができ、基板の中心側の有効領域に悪影響を与えることが少ない。
【0091】
また、請求項4の発明によれば、搬送アームに対して基板を受け渡すためのピンが通過する複数の孔を前記搬送アームに穿設するため、基板の中央付近においてもピンにより支持して受け渡すことができるので、受け渡しの自由度が高まる。
【0093】
また、請求項5の発明によれば、搬送部が、熱処理室との間で基板の受け渡しを行うときに搬送アームを熱処理室が備える複数の支持ピンの間に進入させるため、基板の端縁部を支持して熱処理室と基板を受け渡すことができ、基板の中心側の有効領域に悪影響を与えることが少ない。さらに、熱処理室が、基板の端縁部を支持する複数の支持ピンを備えるため、支持ピンとして基板の中心部付近を支持するものを設ける場合に比べて、熱処理室のヒータパターンの形成が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板処理装置の全体構成の一例を示す平面図である。
【図2】熱処理装置LOH1を側面から見た主要部の断面図である。
【図3】熱処理装置LOH1を上面から見た断面図である。
【図4】搬送ロボットTRの平面図である。
【図5】搬送ロボットTRの側面図である。
【図6】熱処理装置LOH1における加熱部10と搬送部50との基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図7】熱処理装置LOH1における加熱部10と搬送部50との基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図8】熱処理装置LOH1における加熱部10と搬送部50との基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図9】熱処理装置LOH1における加熱部10と搬送部50との基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図10】熱処理装置LOH1における搬送部50と搬送ロボットTRとの基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図11】熱処理装置LOH1における搬送部50と搬送ロボットTRとの基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図12】熱処理装置LOH1における搬送部50と搬送ロボットTRとの基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図13】熱処理装置LOH1における搬送部50と搬送ロボットTRとの基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図14】熱処理装置LOH1における搬送部50と搬送ロボットTRとの基板の受け渡しの一工程を示す図である。
【図15】第2実施形態の熱処理装置における搬送部51の平面図である。
【図16】第2実施形態の熱処理装置における搬送部51を側面から見た主要部の断面図である。
【図17】従来の熱処理装置と基板搬送装置の搬送アームの様子を示す図である。
【符号の説明】
36 支持ピン
10 加熱部(熱処理室)
50,51 搬送部(基板搬送装置)
60 搬送アーム
63,93 支持ピン
64 貫通孔
65 冷却水供給部
66 冷却配管
LOH1,LOH2 熱処理装置
W 基板
Claims (5)
- 基板に低酸素雰囲気にて熱処理を行う熱処理室と前記熱処理室に対して基板を搬出入する搬送部とを備えた熱処理装置であって、
前記搬送部は、基板の裏面側から基板主面のうちの少なくともデバイス形成が行われる有効領域の全域に当接または近接して基板を保持する長尺の板状の搬送アームと、前記搬送アームを冷却する冷却手段と、を備え、
前記搬送アームは、前記熱処理室にて加熱後の基板を受け取ってから当該基板の温度が所定温度以下になるまで前記熱処理室内に待機して前記冷却手段によって当該基板を冷却した後に、前記熱処理室から退出して当該基板を搬出することを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1記載の熱処理装置において、
前記搬送アームの幅を基板の大きさよりも狭くすることを特徴とする熱処理装置。 - 基板に低酸素雰囲気にて熱処理を行う熱処理室と前記熱処理室に対して基板を搬出入する搬送部とを備えた熱処理装置であって、
前記搬送部は、基板の裏面側から当接または近接して基板を保持する長尺の板状の搬送アームと、前記搬送アームを冷却する冷却手段と、を備え、
前記搬送アームの幅を基板の大きさよりも狭くするとともに、
前記搬送アームは、前記熱処理室にて加熱後の基板を受け取ってから当該基板の温度が所定温度以下になるまで前記熱処理室内に待機して前記冷却手段によって当該基板を冷却した後に、前記熱処理室から退出して当該基板を搬出することを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記搬送アームに対して基板を受け渡すためのピンが通過する複数の孔を前記搬送アームに穿設することを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱処理装置において、
前記熱処理室は、前記搬送部との間で基板の受け渡しを行うときに基板の端縁部を支持する複数の支持ピンを備え、
前記搬送部は、前記熱処理室との間で基板の受け渡しを行うときに前記搬送アームを前記複数の支持ピンの間に進入させることを特徴とする熱処理装置。
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