JP4027860B2 - 押出成形セメント板の取付方法及びそれに用いる取付装置 - Google Patents

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本発明は、両端面に開口する複数の中空穴が並設された押出成形セメント板を、中空穴が上下に延在する向きで建物の躯体に取付ける(所謂、縦貼りする)押出成形セメント板の取付方法及びそれに用いる取付装置に関する。
未硬化のセメント材を押出した後に硬化させて得る押出成形セメント板は、軽量で、高強度を有することから建物の外装板として好適に用いられる。この種の押出成形セメント板は、一般的にファスナーやZクリップと称される取付金具を用いることで、建物の躯体に取付けられる。従来、このような押出成形セメント板の取付方法では、押出成形セメント板の最下部で、パネル重量を受けているため、当該最下部に対応する建物の躯体位置に、この重量を受けるための下地が必要であった。
特開平4−179766号公報
上記特許文献1に開示される従来の押出成形セメント板の取付方法では、建築物を構成する鉄骨の長方形の板材を縦張りして外壁を形成する場合、図7に示すように建物の外周部に配置されたH鋼等からなる鉄骨梁1の上面にアングル材2の一辺2aを水平に突出させてブラケット3を介して固定し、この一辺2aに長方形の板材4を縦方向にして載置するとともに、クリップ5を用いて上記アングル材2に係止している。また、板材4の上部は、アングル材2´を一辺が垂直となるようにH鋼1の下部にブラケット3´を介して取付け、Zクリップ5によって固定している。さらに中間の係止が必要な場合には、上下の梁間に間隔をおいて垂直な鉄骨を複数本取付け、これにブラケットを介してアングル材を取付け、同様にZクリップ5で係止する(図示せず)。なお、6は床スラブである。
上記板材としては、耐火性に優れ軽量であることから、窯業系材料の押出成形によって造られた、平行な多数の貫通孔が設けられた、長方形の中空板材4が多く用いられている。この中空板材4は、押出成形によって造られるので、断面形状の選択は自由で、長手縁に、本実、相決り等の接合部を容易に形成することができる。上記中空板材4を使用する場合には、貫通孔にナットを入れ、このナットに、Zクリップ5に挿通したボルトを螺合することによって中空板材4を強固に固定することができる。
しかしながら、上記した従来の押出成形セメント板の取付方法は、中空板材(押出成形セメント板)の最下部に対応する建物の躯体に、パネル重量を受けるための下地(アングル材2)を設けることで、押出成形セメント板の鉛直荷重を受けていたため、押出成形セメント板の最下部に必ず下地が設置されていなければならず、建物躯体の構造上、梁の位置とパネル最下部との位置が一致しない場合(例えば、梁下から押出成形セメント板の下部が飛び出す場合)には、パネル荷重を受けるための下地を近傍の梁等から延出させる余分な工事が発生した。このように、従来の押出成形セメント板の取付方法では、特別な下地の必要となることがあり、施工の自由度が低く、特別な下地が必要となれば、手間を要して、施工性が低下するとともに、施工コストも増大した。
また、押出成形セメント板の重量を受けるための下地を設けずに、押出成形セメント板の重量を負担するファスナーを直接押出成形セメント板に取付ける方法は、施工性が良く、低コストでの取付けが可能になるものの、ファスナー取付部に応力集中が発生し易く、長期荷重によって押出成形セメント板にクラックを誘発させる虞があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、施工の自由度が高まるとともに、施工性が向上し、且つ施工コストも低減され、しかも、押出成形セメント板の耐久性、信頼性が高まる押出成形セメント板の取付方法及びそれに用いる取付装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の押出成形セメント板の取付方法は、両端面に開口する複数の中空穴が並設された押出成形セメント板を、前記中空穴が上下に延在する向きで配置し、前記押出成形セメント板の下面を載置する荷重受部が形成された吊下げバーを、前記中空穴に差し入れ、押出成形セメント板の裏面から前記中空穴へ貫通して穿設した取付穴に、少なくとも該取付穴の貫通長さと同等かそれより長いスリーブを嵌入し、水平片を建物の躯体に固着した上部ファスナーの垂直片にバー支持ボルトを貫通し、該バー支持ボルトを前記スリーブに挿通して前記吊下げバーの雌ネジ孔に螺着することで、前記吊下げバーを前記スリーブを介して該垂直片に固定し、前記押出成形セメント板を建物の躯体に取付けることを特徴とする。
この押出成形セメント板の取付方法では、押出成形セメント板の主な鉛直荷重が荷重受部と、スリーブとによって支持され、吊り持ち的な支持構造で押出成形セメント板が建物の躯体に取付けられる。従って、躯体構造上、梁下から押出成形セメント板の下部が垂下する場合であっても、特別な下地を設けることなく吊持ち構造で取付けができ、施工の自由度が高まる。そして、このような場合、従来必要であった下地の増設が不要となるので、施工性が向上するとともに、施工コストも低減される。また、吊下げバーがスリーブを介して上部ファスナーに固定されるので、バー支持ボルトの締め付け力が直接押出成形セメント板に加わらなくなり、応力集中が生じず、押出成形セメント板の耐久性、信頼性が高まる。さらに、吊下げバーが中空穴に沿って押出成形セメント板を縦断して挿入されるので、吊下げバーが押出成形セメント板の骨材として働き、仮に押出成形セメント板が破損しても、押出成形セメント板が分離し難くなり、脱落防止のための安全性が高まる。
請求項2記載の押出成形セメント板の取付装置は、両端面に開口する複数の中空穴が並設された押出成形セメント板の前記中空穴に差し入れられ、雌ネジ孔を有するとともに、下端に押出成形セメント板の下面を載置する荷重受部が形成された吊下げバーと、押出成形セメント板の裏面から前記中空穴へ貫通して穿設された取付穴と、該取付穴に嵌入され、少なくとも該取付穴の貫通長さと同等かそれより長いスリーブと、水平片が建物の躯体に固着され、垂直片に貫通されたバー支持ボルトが前記スリーブに挿通されて前記吊下げバーの雌ネジ孔に螺着されることで、前記吊下げバーが前記スリーブを介して該垂直片に固定される上部ファスナーとからなることを特徴とする。
この押出成形セメント板の取付装置では、バー支持ボルトが吊下げバーに螺合されると、吊下げバーがスリーブを介して上部ファスナーに固定される。即ち、押出成形セメント板の下面を荷重受部によって支持した吊下げバーが、上部ファスナーを介して建物の躯体に固定されることになる。従って、押出成形セメント板は、下面が吊下げバーによって支持され、この吊下げバーを介して吊り持ち状態で支持される。これにより、梁下から押出成形セメント板の下部が飛び出す場合であっても、特別な下地を設けることなく取付けが可能となり、施工の自由度が高まる。そして、従来必要であった下地の増設が不要となるので、施工性が向上するとともに、施工コストも低減される。また、吊下げバーがスリーブを介して上部ファスナーに固定されるので、バー支持ボルトの締め付け力が直接押出成形セメント板に加わらなくなり、応力集中が生じず、押出成形セメント板の耐久性、信頼性が高まる。さらに、吊下げバーが中空穴に沿って挿入されるので、仮に押出成形セメント板が破損しても、押出成形セメント板が分離し難くなり、脱落防止のための安全性が高まる。
請求項3記載の押出成形セメント板の取付装置は、前記上部ファスナーの垂直片に、二つのボルト穴が横並びに穿設され、該一方のボルト穴に、前記バー支持ボルトが貫通され、該他方のボルト穴に、前記中空穴に隣接する他の中空穴へ貫通され、該他の中空穴内でナットに螺合される回転防止ボルトが貫通されたことを特徴とする。
この押出成形セメント板の取付装置では、吊下げバーを上部ファスナーに固定するためのバー支持ボルトに加え、回転防止ボルトが垂直片に貫通され、他の中空穴へ貫通されて、この中空穴内でナットに螺合される。従って、一つの上部ファスナーから2本のボルトが押出成形セメント板に貫通され、バー支持ボルトを中心に発生しようとする回転モーメントが回転防止ボルトによって受け止められ、押出成形セメント板の水平軸(バー支持ボルト)回りの回転が規制される。
請求項4記載の押出成形セメント板の取付装置は、前記他方のボルト穴が、横方向に長い長穴であることを特徴とする。
この押出成形セメント板の取付装置では、回転防止ボルトを挿通するために穿設される他方のボルト穴が、横方向に長い長穴となることで、バー支持ボルトに対する回転防止ボルトの位置が、長穴の範囲で移動可能となり、並設される中空穴のピッチが異なる種々の押出成形セメント板に対して、一つの上部ファスナーで対応が可能となる。
請求項5記載の押出成形セメント板の取付装置は、前記吊下げバーが、断面C字形のみぞ形鋼からなることを特徴とする。
この押出成形セメント板の取付装置では、吊下げバーが、断面C字形のみぞ形鋼からなることで、簡素な構造で強度が確保され、市販品の利用も可能となる。また、断面形状が四角形の中空穴に対し、断面輪郭形状が同一の四角形となるみぞ形鋼を選定することで、みぞ形鋼の平行二片が中空穴の対向内壁面に当接し、吊下げバーに対する押出成形セメント板のガタツキが確実に防止可能となる。
請求項6記載の押出成形セメント板の取付装置は、前記吊下げバーには、前記雌ネジ孔の下方に、他の雌ネジ孔が穿設され、該他の雌ネジ孔には、Zクリップの一端に貫通された下部ボルトが前記押出成形セメント板を貫通して螺合され、 該Zクリップの他端と前記押出成形セメント板の裏面との間に、建物の躯体に固着された下部ファスナーの垂直片が挟入されたことを特徴とする。
この押出成形セメント板の取付装置では、上部が上部ファスナーに固定された吊下げバーにおいて、その下部にZクリップが固定され、このZクリップと押出成形セメント板裏面との間に、建物の躯体に固着された下部ファスナーの垂直片が挟入されることで、吊下げバー下部における建物躯体から離反する方向の移動が規制される。つまり、吊下げバーは、上部が上部ファスナーによって建物の躯体に固定され、下部がZクリップを介して下部ファスナーに固定されて、下部にバタツキが生じなくなる。
本発明に係る押出成形セメント板の取付方法によれば、中空穴が上下に延在する向きで配置した押出成形セメント板の中空穴に、押出成形セメント板の下面を載置する荷重受部が形成された吊下げバーを差し入れ、躯体に固着した上部ファスナーの垂直片にバー支持ボルトを貫通し、このバー支持ボルトをスリーブに挿通して吊下げバーに螺着することで、吊下げバーを、スリーブを介して上部ファスナーの垂直片に固定するので、押出成形セメント板の鉛直荷重が荷重受部と、スリーブとによって支持され、吊り持ち的な支持構造で押出成形セメント板を建物の躯体に取付けることができる。従って、躯体構造上、梁下から押出成形セメント板の下部が飛び出す場合であっても、特別な下地を設けることなく吊持ち構造で取付けができ、施工の自由度を向上させることができる。そして、このような場合、従来必要であった下地の増設が不要となるので、施工性が向上するとともに、施工コストを低減することができる。また、吊下げバーがスリーブを介して上部ファスナーに固定されるので、バー支持ボルトの締め付け力が直接押出成形セメント板に加わらなくなり、応力集中を生じなくして、押出成形セメント板の耐久性、信頼性を向上させることができる。さらに、吊下げバーが中空穴に沿って挿入されるので、吊下げバーが押出成形セメント板の骨材として働き、仮に押出成形セメント板が破損しても、押出成形セメント板が分離し難くなり、脱落防止のための安全性を大幅に向上させることができる。
また、本発明に係る押出成形セメント板の取付装置によれば、下端に押出成形セメント板の下面を載置する荷重受部が形成され、押出成形セメント板の中空穴に差し入れられる吊下げバーと、押出成形セメント板の裏面から中空穴へ貫通して穿設された取付穴に嵌入され、少なくとも取付穴の貫通長さと同等かそれより長いスリーブと、建物の躯体に固着され、貫通されたバー支持ボルトがスリーブに挿通されて吊下げバーに螺着されることで、吊下げバーがスリーブを介して垂直片に固定される上部ファスナーとを備えたので、バー支持ボルトが吊下げバーに螺合されると、吊下げバーがスリーブを介して上部ファスナーに固定される。即ち、押出成形セメント板の下面を荷重受部によって支持した吊下げバーが上部ファスナーを介して建物の躯体に固定されることになる。従って、押出成形セメント板は、下面が吊下げバーによって支持され、この吊下げバーを介して吊り持ち状態で支持される。この結果、梁下から押出成形セメント板の下部が飛び出す場合であっても、特別な下地を設けることなく取付けができ、施工の自由度を向上させることができる。そして、従来必要であった下地の増設が不要となるので、施工性が向上するとともに、施工コストを低減することができる。また、吊下げバーがスリーブを介して上部ファスナーに固定されるので、バー支持ボルトの締め付け力が直接押出成形セメント板に加わらなくなり、応力集中を生じなくして、押出成形セメント板の耐久性、信頼性を向上させることができる。さらに、吊下げバーが中空穴に沿って挿入されるので、仮に押出成形セメント板が破損しても、押出成形セメント板が分離し難くなり、脱落防止のための安全性を大幅に向上させることができる。
以下、本発明に係る押出成形セメント板の取付方法及びそれに用いる取付装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る押出成形セメント板の取付装置を押出成形セメント板と共に表した側面図、図2は図1のA−A矢視図、図3は図2のB−B矢視図、図4は吊下げバーが差し入れられた押出成形セメント板の斜視図、図5は吊下げバーの斜視図、図6は上部ファスナーの側面視を(a)、正面視を(b)で表した説明図である。
本実施の形態による押出成形セメント板の取付装置100は、押出成形セメント板11を建物の躯体13に取付ける場合に好適に用いることができる。押出成形セメント板11には、両端面11a、11aに開口する複数の中空穴15(図4参照)が板面と平行に並設される。この中空穴15は、未硬化の水硬性材料(セメント等に補強繊維、混和材等を混練したもの)を口金から押出成形する際に、口金に配置した中玉によってセメント材の押出しを排除して形成される。
取付装置100は、この中空穴15に差し入れられる吊下げバー17(図5参照)と、押出成形セメント板11に穿設される取付穴19(図4参照)と、この取付穴19に嵌入されるスリーブ21と、スリーブ21に挿通されるバー支持ボルト23(図1参照)と、躯体13側に固定されて吊下げバー17を支持する上部ファスナー25とを主要な構成部材として有している。
吊下げバー17は、押出成形セメント板11の押出し長さに合わせて形成され、図5に示すように、雌ネジ孔27を有するとともに、下端に押出成形セメント板11の下面11b(一方の端面11a)を載置する荷重受部29を有している。吊下げバー17は、例えば断面C字形のみぞ形鋼を好適に用いることができる。吊下げバー17は、みぞ形鋼からなることで、簡素な構造で強度が確保され、市販品の利用も可能となる。また、断面形状が四角形の中空穴15に対し、断面輪郭形状が同一の四角形となるみぞ形鋼を選定することで、みぞ形鋼の平行二片17a、17aが中空穴15の対向内壁面15a、15aに当接し、吊下げバー17に対する押出成形セメント板11のガタツキが確実に防止可能となる。なお、吊下げバー17は、上記のみぞ形鋼の他、フラットバー、鋼管等であってもよい。
雌ネジ孔27は、例えばプレートナットPを溶接して形成することができる。この他、雌ネジ孔27は、吊下げバー17自体に雌ネジを直接形成して設けても良い。雌ネジ孔27の数は、押出成形セメント板11の長さによって異なり、押出成形セメント板11が短い場合には一箇所であってもよい。また、押出成形セメント板11が長い場合には、後に詳述するように、押出成形セメント板11の下部側を別途Zクリップで固定するための他の雌ネジ孔が設けられる。
取付穴19は、押出成形セメント板11の裏面11cから中空穴15へ貫通して穿設されている。押出成形セメント板11には中空穴15を挟むように表壁と裏壁とが設けられるが、取付穴19はこのうち裏壁のみを貫通して形成される。また、取付穴19は、中空穴15に差入れられた吊下げバー17の雌ネジ孔27と一致するよう配設される。
スリーブ21は、両端が開口する円筒体からなり、取付穴19にガタツキ無く挿入(嵌入)される。このスリーブ21は、軸線方向の長さが、少なくとも取付穴19の裏壁貫通長さと同等か、それより若干長く形成される。
本実施の形態による取付装置100は、躯体13を構成する例えばH形鋼材からなる鉄骨梁31に固定される。鉄骨梁31は、図1に示すように、平行片31a、31aが水平となるように配置されている。上方の平行片31aにはフラットプレート33が溶接固定され延出されている。
上部ファスナー25は、図6に示すように、水平片35と垂直片37とを折曲したL字形に形成され、水平片35には上方へ突出する固定ボルト39が溶接固定される。固定ボルト39としては、例えばM16程度のものが使用される。上部ファスナー25の垂直片37にはボルト穴41が穿設される。このボルト穴41には、吊下げバー17の雌ネジ孔27に螺合するバー支持ボルト23が挿通される。
上部ファスナー25は、例えば工場出荷時に、予め押出成形セメント板11に取付けておくことができる。上部ファスナー25を押出成形セメント板11に取付けるには、先ず、中空穴15に吊下げバー17を差し入れる。また、押出成形セメント板11の裏面11cに穿設した取付穴19には、スリーブ21を嵌入しておく。この状態で、上部ファスナー25の垂直片37に設けたボルト穴41に、バー支持ボルト23を通し、その先端をスリーブ21に挿通して、吊下げバー17の雌ネジ孔27に螺合する。これにより、吊下げバー17は、スリーブ21を介して垂直片37に固定されることになる。つまり、スリーブ21の両端が吊下げバー17と垂直片37とに当接することで、締付け挟持力が、押出成形セメント板11の裏壁に直接作用しないようになっている。
上部ファスナー25の垂直片37には、二つのボルト穴41、43が横並びに穿設される。一方のボルト穴41には、上記したバー支持ボルト23が貫通される。他方のボルト穴43には、中空穴15に隣接する他の中空穴15へ貫通され、他の中空穴15内でナット45(図3参照)に螺合される回転防止ボルト47が貫通される。
即ち、上部ファスナー25では、吊下げバー17を固定するためのバー支持ボルト23に加え、回転防止ボルト47が貫通されて他の中空穴15内でナット45に螺合される。従って、一つの上部ファスナー25から2本のボルトが押出成形セメント板11に貫通され、バー支持ボルト23を中心に発生しようとする回転モーメントが回転防止ボルト47によって受け止められ、押出成形セメント板11の水平軸(バー支持ボルト23)回りの回転が規制されるようになっている。
ここで、他方のボルト穴43は、図2、図6に示すように、横方向に長い長穴であることが好ましい。他方のボルト穴43が、横方向に長い長穴となることで、バー支持ボルト23に対する回転防止ボルト47の位置が、長穴の範囲で移動可能となり、並設される中空穴15のピッチが異なる種々の押出成形セメント板11に対して、一つの上部ファスナー25で対応が可能となる。
本実施の形態において、吊下げバー17には、雌ネジ孔27の下方に、図5に示す他の雌ネジ孔51が穿設されている。この他の雌ネジ孔51も雌ネジ孔27と同様に形成することができる。図1、図2に示すように、他の雌ネジ孔51には、Zクリップ53の一端53aに貫通された下部ボルト55が、押出成形セメント板11を貫通して螺合される。また、Zクリップ53の他端53bと押出成形セメント板11の裏面11cとの間には、躯体13に固着された下部ファスナー57の垂直片57aが挟入されている。なお、Zクリップ53の他端53bと下部ファスナー57の垂直片57aとは、溶接固定されてもよい。
即ち、本実施の形態では、上部が上部ファスナー25に固定された吊下げバー17において、その下部にZクリップ53が固定され、このZクリップ53と押出成形セメント板裏面11cとの間に、建物の躯体13に固着された下部ファスナー57の垂直片57aが挟入される。これにより、吊下げバー17の下部における建物躯体13から離反する方向の移動が規制される。つまり、吊下げバー17は、上部が上部ファスナー25によって建物の躯体13に固定され、下部がZクリップ53を介して下部ファスナー57に固定されて、下部にバタツキが生じないようになっている。
これら上部ファスナー25、下部ファスナー57とは、押出成形セメント板11の大きさにより、左右方向及び上下方向に任意の数で設けることができる。なお、上記したように、押出成形セメント板11は、小型のものであれば、一つの上部ファスナー25のみを用いて躯体13に取付けることができる。
押出成形セメント板11の裏面11cと、下部ファスナー57の垂直片57aとの間には、弾性を有する緩衝材59が挟入されることが好ましい。このようにして、押出成形セメント板11の裏面11cと、下部ファスナー57の垂直片57aとの間に、緩衝材59が挟入されることで、下部ファスナー57の垂直片57aが緩衝材59を介して押出成形セメント板11の裏面11cに当接することとなり、風圧や地震等によって加わる外力によって押出成形セメント板11と緩衝材59とに変位が生じても、その変位が緩衝材59によって吸収され、垂直片57aが直接裏面11cに衝接することによる押出成形セメント板11の破損が防止される。
この押出成形セメント板の取付装置100によれば、バー支持ボルト23が吊下げバー17に螺合されると、吊下げバー17がスリーブ21を介して上部ファスナー25に固定される。即ち、押出成形セメント板11の下面11bを荷重受部29によって支持した吊下げバー17が、上部ファスナー25を介して建物の躯体13に固定されることになる。従って、押出成形セメント板11は、下面11bが吊下げバー17によって支持され、この吊下げバー17を介して吊り持ち状態で支持される。これにより、梁下から押出成形セメント板11の下部が飛び出す場合であっても、特別な下地を設けることなく取付けが可能となり、施工の自由度が高まる。
そして、従来必要であった下地の増設が不要となるので、施工性が向上するとともに、施工コストも低減される。また、吊下げバー17がスリーブ21を介して上部ファスナー25に固定されるので、バー支持ボルト23の締め付け力が直接押出成形セメント板11に加わらなくなり、応力集中が生じず、押出成形セメント板11の耐久性、信頼性が高まる。さらに、吊下げバー17が中空穴15に沿って挿入されるので、仮に押出成形セメント板11が破損しても、押出成形セメント板11が分離し難くなり、脱落防止のための安全性が高まる。
次に、上記の取付装置100を用いた押出成形セメント板の取付方法の一例を説明する。
取付装置100は、押出成形セメント板11の工場出荷時に、吊下げバー17及び上部ファスナー25を予め押出成形セメント板11に固定しておくことができる。なお、取付装置100は、押出成形セメント板11と別体で現場へ搬入し、現場にて押出成形セメント板11に固定するものであっても勿論よい。以下の説明では、取付装置100を予め固定する場合を例に説明する。また、本実施の形態では、上部ファスナー25に加え、Zクリップ53が押出成形セメント板11に固定される場合を説明する。
先ず、押出成形セメント板11の中空穴15に吊下げバー17を差入れ、押出成形セメント板11の下面11bに、吊下げバー17の荷重受部29を当接させる。これにより、吊下げバー17の雌ネジ孔27が取付穴19に一致する。押出成形セメント板11の取付穴19には、予めスリーブ21を嵌入しておく。
次いで、上部ファスナー25の垂直片37にバー支持ボルト23を通し、スリーブ21に挿通して雌ネジ孔27に螺合する。垂直片37の他方のボルト穴43には回転防止ボルト47を通し、他の中空穴15に入れたナット45に螺合する。これにより、上部ファスナー25の押出成形セメント板11への取付けが完了する。
次いで、Zクリップ53に下部ボルト55を通し、下部ボルト55を中空穴15に入れたナット45に螺合して仮固定を行う。Zクリップ53は、下部ボルト55が現場にて緩められることで、裏面11cとの間に間隙が形成され、この間隙に躯体13に固定された下部ファスナー57の垂直片57aが挟み入れられることになる。また、必要に応じてZクリップ53の他端53bに対向する裏面11cに緩衝材59を貼り付けておく。
上部ファスナー25、Zクリップ53の取付けられた押出成形セメント板11は、現場に搬送される。この際、押出成形セメント板11同士は、上部ファスナー25及びZクリップ53が取付けられた裏面11c同士の間に離間材が挿入され、傷つきや擦れが防止される。
押出成形セメント板11の取付けられる躯体13には、予め所定位置に、フラットプレート33、下部ファスナー57が溶接等によって固定されている。押出成形セメント板11は、上部ファスナー25の水平片35に設けられた固定ボルト39を、フラットプレート33に下方から挿通し、ナット61を螺合する。
押出成形セメント板11の下部側は、Zクリップ53の下部ボルト55を緩め、それによって形成されたZクリップ53と裏面11cとの間隙に、下部ファスナー57の垂直片57aを挿入し、再び下部ボルト55を締付けることで、躯体13側に固定する。その後、必要に応じてZクリップ53の他端53bと下部ファスナー57の垂直片57aとを溶接固定する。これにより、押出成形セメント板11の躯体13への取付けが完了する。
この押出成形セメント板11の取付方法によれば、押出成形セメント板11の主な鉛直荷重が荷重受部29と、スリーブ21とによって支持され、吊り持ち的な支持構造で押出成形セメント板11が建物の躯体13に取付けられる。従って、躯体構造上、梁下から押出成形セメント板11の下部が垂下する場合であっても、特別な下地を設けることなく吊持ち構造で取付けができ、施工の自由度が高まる。
そして、このような場合、従来必要であった下地の増設が不要となるので、施工性が向上するとともに、施工コストも低減される。また、吊下げバー17がスリーブ21を介して上部ファスナー25に固定されるので、バー支持ボルト23の締め付け力が直接押出成形セメント板11に加わらなくなり、応力集中が生じず、押出成形セメント板11の耐久性、信頼性が高まる。さらに、吊下げバー17が中空穴15に沿って押出成形セメント板11を縦断して挿入されるので、吊下げバー17が押出成形セメント板11の骨材として働き、仮に押出成形セメント板11が破損しても、押出成形セメント板11が分離し難くなり、脱落防止のための安全性が高まる。
本発明に係る押出成形セメント板の取付装置を押出成形セメント板と共に表した側面図である。 図1のA−A矢視図である。 図2のB−B矢視図である。 吊下げバーが差し入れられた押出成形セメント板の斜視図である。 吊下げバーの斜視図である。 上部ファスナーの側面視を(a)、正面視を(b)で表した説明図である。 従来の取付方法によって取付けられた押出成形セメント板を建物の躯体側から見た斜視図である。
符号の説明
11…押出成形セメント板、11a…両端面、11b…下面、11c…裏面、13…建物の躯体、15…中空穴、17…吊下げバー、19…取付穴、21…スリーブ、23…バー支持ボルト、25…上部ファスナー、27…雌ネジ孔、29…荷重受部、35…水平片、37…垂直片、41…一方のボルト穴、43…他方のボルト穴、45…ナット、47…回転防止ボルト、51…他の雌ネジ孔、53…Zクリップ、53a…Zクリップの一端、53b…Zクリップの他端、55…下部ボルト、57…下部ファスナー、57a…垂直片、59…緩衝材、100…押出成形セメント板の取付装置

Claims (6)

  1. 両端面に開口する複数の中空穴が並設された押出成形セメント板を、前記中空穴が上下に延在する向きで配置し、
    前記押出成形セメント板の下面を載置する荷重受部が形成された吊下げバーを、前記中空穴に差し入れ、
    押出成形セメント板の裏面から前記中空穴へ貫通して穿設した取付穴に、少なくとも該取付穴の貫通長さと同等かそれより長いスリーブを嵌入し、
    水平片を建物の躯体に固着した上部ファスナーの垂直片にバー支持ボルトを貫通し、
    該バー支持ボルトを前記スリーブに挿通して前記吊下げバーの雌ネジ孔に螺着することで、前記吊下げバーを前記スリーブを介して該垂直片に固定し、前記押出成形セメント板を建物の躯体に取付けることを特徴とする押出成形セメント板の取付方法。
  2. 両端面に開口する複数の中空穴が並設された押出成形セメント板の前記中空穴に差し入れられ、雌ネジ孔を有するとともに、下端に押出成形セメント板の下面を載置する荷重受部が形成された吊下げバーと、
    押出成形セメント板の裏面から前記中空穴へ貫通して穿設された取付穴と、
    該取付穴に嵌入され、少なくとも該取付穴の貫通長さと同等かそれより長いスリーブと、
    水平片が建物の躯体に固着され、垂直片に貫通されたバー支持ボルトが前記スリーブに挿通されて前記吊下げバーの雌ネジ孔に螺着されることで、前記吊下げバーが前記スリーブを介して該垂直片に固定される上部ファスナーと
    からなることを特徴とする押出成形セメント板の取付装置。
  3. 前記上部ファスナーの垂直片に、二つのボルト穴が横並びに穿設され、
    該一方のボルト穴に、前記バー支持ボルトが貫通され、
    該他方のボルト穴に、前記中空穴に隣接する他の中空穴へ貫通され、該他の中空穴内でナットに螺合される回転防止ボルトが貫通されたことを特徴とする請求項2記載の押出成形セメント板の取付装置。
  4. 前記他方のボルト穴が、横方向に長い長穴であることを特徴とする請求項3記載の押出成形セメント板の取付装置。
  5. 前記吊下げバーが、断面C字形のみぞ形鋼からなることを特徴とする請求項2又は3記載の押出成形セメント板の取付装置。
  6. 前記吊下げバーには、前記雌ネジ孔の下方に、他の雌ネジ孔が穿設され、
    該他の雌ネジ孔には、Zクリップの一端に貫通された下部ボルトが前記押出成形セメント板を貫通して螺合され、
    該Zクリップの他端と前記押出成形セメント板の裏面との間に、建物の躯体に固着された下部ファスナーの垂直片が挟入されたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の押出成形セメント板の取付装置。
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