JP4027458B2 - X線マスクブランク及びその製造方法並びにx線マスクの製造方法 - Google Patents

X線マスクブランク及びその製造方法並びにx線マスクの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線リソグラフィーに用いるX線マスクブランク及びその製造方法並びにX線マスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体産業において、シリコン基板等に微細なパターンからなる集積回路を形成する上で必要な微細パターンの転写技術としては、露光用電磁波として可視光や紫外光を用いて微細パターンを転写するフォトリソグラフィー法が用いられてきた。
【0003】
しかし、近年、半導体技術の進歩とともに、超LSIなどの半導体装置の高集積化が著しく進み、従来のフォトリソグラフィー法で用いてきた可視光や紫外光での転写限界を超えた高精度の微細パターンの転写技術が要求されるに至った。
【0004】
そして、このような微細パターンの転写を実現するために、可視光や紫外光よりも波長の短いX線を用いたX線リソグラフィー法の開発、実用化が進められている。
【0005】
X線リソグラフィーに用いられるX線マスクの構造を図4に示す。
【0006】
同図に示すように、X線マスク1は、X線を透過するX線透過膜(メンブレン)12と、X線を吸収するX線吸収体パターン13aから構成されており、これらは、シリコンからなる支持基板(支持枠)11aで支持されている。
【0007】
X線マスクブランクの構造を図5に示す。X線マスクブランク2は、シリコン基板11上に形成されたX線透過膜12とX線吸収体膜13から構成されている。
【0008】
X線透過膜としては、高いヤング率をもち、X線照射に対して優れた耐性をもつ炭化ケイ素が一般に用いられ、X線吸収体膜には、X線照射に対して優れた耐性をもつTaを含むアモルファス材料が良く用いられている。
【0009】
X線マスクブランク2からX線マスク1を作製するプロセスとしては、例えば、以下の方法が用いられる。
X線マスクブランク2上に所望のパターンを形成したレジスト膜を配し、このレジストパターンをマスクとしてドライエッチングを行いX線吸収体パターンを形成する。その後、裏面に形成されたX線透過膜のうちのウインドウエリア(裏面凹部)に位置する領域部分の膜をCF4をエッチングガスとしたリアクティブイオンエッチング(RIE)により除去し、残った膜をマスクにして、フッ酸と硝酸の混合液からなるエッチング液によりシリコン基板の裏面をエチング加工してX線マスク1を得る。
【0010】
この際、レジストには、一般に、電子線ビーム(EB)レジストを用い、EB描画法によりパターン形成(露光)を行う。
【0011】
しかしながら、EBレジストは、X線吸収体膜を加工するドライエッチングに対して十分な耐性を持たない(エッチング速度が速い)ために、レジストパターンをマスクとして直接X線吸収体膜をエッチングすると、X線吸収体のパターン形成が完了する前にレジストパターンがエッチングによって消失し、所望のX線吸収体パターンが得られない。
【0012】
そこで、X線吸収体膜とレジストとの間に、X線吸収体膜に対して高いエッチング選択比をもつエッチングマスク層と呼ばれる膜を挿入し、X線吸収体膜のパターン形成を行うのが一般的である。
【0013】
その場合、レジストパターンとX線吸収体パターンとのサイズのずれ(パターン変換差と呼ぶ)をなくすために、エッチングマスク層の厚みはできるだけ薄くする必要がある。したがって、X線吸収体膜をパターニングする際に、X線吸収体膜のエッチング速度に対して、エッチングマスク層のエッチング速度が十分に小さい(高いエッチング選択比をもつ)必要がある。
【0014】
一方、X線吸収体膜のエッチングは、マスク面内に部分的なエッチング残りを生じることなくウエハ面内で均一なパターン形状を確保するために、X線吸収体膜のエッチングに要する時間よりもエッチングを長く行ういわゆるオーバーエッチングをある程度行う必要がある。
【0015】
このオーバーエッチングにより、X線吸収体膜の下層であるX線透過膜がプラズマに曝されることになる。例えば、X線吸収体膜の下層が炭化ケイ素からなるX線透過膜である場合、X線吸収体膜のエッチング条件に対して、X線透過膜のエッチング速度が無視できる速度を超えるので、オーバーエッチングによりX線透過膜がエッチングされ、下層のX線透過膜の膜厚が減少するほか、X線吸収体膜自体のパターン形状の劣化を引き起こす。X線透過膜の減少は、X線アライナーへの装着時のアライメントに必要な光学透過率の変化やマスクの位置歪みの増大を招くため、望ましくない。
【0016】
したがって、X線吸収体膜とX線透過膜との間には、X線吸収体膜のエッチングに対してエッチングされにくい(高いエッチング選択比をもつ)材料からなるエッチング停止層を挿入することが望ましい。
【0017】
従来、Taを主成分とするX線吸収体膜のエッチングは、塩素ガスを用いて行われており、このX線吸収体膜に対して高いエッチング選択比を実現できるエッチングマスク層及びエッチング停止層としては、Cr膜が良く用いられている。また、Wを主成分とするX線吸収体膜のエッチングは、SF6のようなフッ化物のガスを用いて行われており、このX線吸収体膜に対するエッチングマスク層及びエッチング停止層としても、Cr膜が用いられている。これらのCr膜は、ほとんどの場合スパッタリング法によりX線吸収体膜の上及び/又は下に形成されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
X線マスクには、高い位置精度が要求され、例えば、0.18μmのデザインルールパターンを有する1Gbit−DRAM用のX線マスクでは、22nm以下の歪みに抑える必要がある。
【0019】
位置歪みは、X線マスク材料の応力に強く影響され、X線吸収体膜、エッチングマスク層、エッチング停止層の応力が高いとその応力によって位置歪みが誘発される。したがって、X線吸収体膜、エッチングマスク層、エッチング停止層は極めて低い応力である必要がある。
【0020】
しかしながら、1Gbit−DRAM以降のX線マスクについて、応力の研究やパターン側壁の垂直性やパターンのシャープさの研究は十分なされていない。
【0021】
本発明は上述した背景の下になされたものであり、高いエッチング選択比を保持したままで極めて低い応力を得ることができ、したがって、極めて高い位置精度を有するX線マスクを製造できるX線マスクブランク及びその製造方法等の提供を第一の目的とする。
【0022】
また、X線吸収体膜パターンの側壁が垂直で、かつパターンがシャープであるX線マスクを製造できるX線マスクブランク及びその製造方法等の提供を第二の目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、従来主として使用されてきたCr膜は、X線吸収体膜に対して10以上の高いエッチング選択比をもつというエッチング耐性の点で優れた材料であるが、Cr膜は、結晶質の膜で、スパッタリングの成膜条件にほとんど依存せず500MPa以上の高い応力をもつ。このような大きな応力をもったCr膜をエッチングマスク層あるいはエッチング停止層に適用した場合、応力による位置歪みで要求されるマスクの位置精度を満たすことができず、1Gbit−DRAM以降のX線マスクの製造が困難であることを確認した。
【0024】
そして、さらに研究を重ねた結果、シュミレーション解析によって、X線吸収体膜の応力は10MPa以下、エッチングマスク層及びエッチング停止層の応力は100MPa以下とする必要があることを見い出した。また、エッチングマスク層及びエッチング停止層として、高いエッチング選択比を有するとともに極めて低い膜応力を得ることができる膜材料としては、クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料が適していることを見い出し、これらの材料が、1Gbit−DRAM以降のX線マスクの製造に不可欠な材料であることを見い出した。さらに、これらの材料からなるエッチングマスク層及びエッチング停止層を用いてX線マスクを製造するとX線吸収体膜パターンの側壁が垂直でかつパターンがシャープであるX線マスクを製造できることを見い出した。また、これらの効果を得るためには、単にエッチングマスク層及びエッチング停止層の材料としてクロムと炭素及び/又は窒素を含む材料を用いるだけでは不十分であり、エッチングマスク層やエッチング停止層の膜厚や膜組成を最適化する必要があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0025】
すなわち、本発明のX線マスクブランクは、マスク基板上に、X線を透過するX線透過膜を有し、該X線透過膜上にX線を吸収するX線吸収体膜を有するX線マスクブランクであって、前記X線吸収体膜の上に、クロムと炭素を含む材料からなるエッチングマスク層を設けた構成としてある。
また、本発明の他のX線マスクブランクは、マスク基板上に、X線を透過するX線透過膜を有し、該X線透過膜上にX線を吸収するX線吸収体膜を有するX線マスクブランクであって、前記X線吸収体膜の上に、クロムと窒素を含む材料からなるエッチングマスク層を設けた構成としてある。
さらに、本発明の他のX線マスクブランクは、マスク基板上に、X線を透過するX線透過膜を有し、該X線透過膜上にX線を吸収するX線吸収体膜を有するX線マスクブランクであって、前記X線吸収体膜の上に、クロムと炭素及び窒素を含む材料からなるエッチングマスク層を設けた構成としてある。
また、本発明の他のX線マスクブランクは、マスク基板上に、X線を透過するX線透過膜を有し、該X線透過膜上にX線を吸収するX線吸収体膜を有するX線マスクブランクであって、前記X線吸収体膜の上に、クロムを主成分とするアモルファス構造及び/又は微結晶構造の膜からなるエッチングマスク層を設けた構成としてある。
【0026】
また、本発明のX線マスクブランクは、上記本発明のX線マスクブランクにおいて、
上記エッチングマスク層の表面粗さRaが、1.0nm以下である構成、
上記X線透過膜が、炭化ケイ素からなる構成、
上記X線吸収体膜が、Taを主成分とする材料からなる構成、
上記X線吸収体膜が、Taを主成分とし少なくともBを含む材料からなる構成、 上記X線吸収体膜が、Taを主成分とするアモルファス構造の膜である構成、あるいは、
上記X線吸収体膜の下に、クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチング停止層を設けた構成としてある。
【0027】
また、本発明のX線マスクブランクの製造方法は、マスク基板上に、X線透過膜を形成する工程と、前記X線透過膜上にX線吸収体膜を形成する工程と、前記X線吸収体膜の上にクロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチングマスク層を形成する工程とを有し、前記エッチングマスク層を形成する工程において、クロムターゲットを用い、炭素を含むガス及び/又は窒素を含むガスをスパッタリングガス中に添加してエッチングマスク層を形成する構成としてある。
【0028】
さらに、本発明のX線マスクの製造方法は、上記本発明のX線マスクブランクを用いてX線マスクを製造する構成としてある。
【0029】
【作用】
本発明においては、エッチングマスク層及びエッチング停止層としてクロムと炭素及び/又は窒素を含む材料を用いることで、高いエッチング選択比を保持したままで100MPa以下の極めて低い応力を得ることができるため、膜応力による位置歪みが少なく、極めて高い位置精度を有するX線マスクが得られる。
【0030】
また、これらの材料からなるエッチングマスク層及びエッチング停止層を用いてX線マスクを製造するとX線吸収体膜パターンの側壁が垂直でかつパターンがシャープであるX線マスクを製造できる。
【0031】
さらに、エッチングマスク層及びエッチング停止層等の膜厚や膜組成を比較的狭い範囲内で最適化することで、極めて高いパターン精度及び極めて高い位置精度を有するX線マスクが得られる。
【0032】
なお、本発明は、1Gbit−DRAM以降のX線マスクの量産性に優れており、4Gbit−DRAM(0.13μmライン&スペース以下のデザインルール)以降のX線マスクの製造にも適している。
【0033】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明のX線マスクブランクについて説明する。
【0035】
本発明のX線マスクブランクは、基板上に、X線透過膜を有し、このX線透過膜上にX線吸収体膜を有する。
【0036】
ここで、基板としては、シリコン基板(シリコンウエハ)がよく用いられるが、これに限定されず、石英ガラスなどの公知の基板を用いることもできる。
【0037】
X線透過膜としては、SiC、SiN、ダイヤモンド薄膜などが挙げられる。X線照射耐性等の観点からはSiC等が好ましい。
X線透過膜の膜応力は、50〜400MPa以下であることが好ましい。また、X線透過膜の膜厚は、1〜3μm程度であることが好ましい。
【0038】
X線吸収体膜としては、タンタル、タングステンなどの高融点金属を主成分とする材料等が挙げられる。具体的には、例えば、TaとBの化合物[例えばTa4B(Ta:B=8:2)や、Ta4B以外の組成をもつホウ化タンタルなど]、金属Ta、Taを含むアモルファス材料、Taと他の物質を含むTa系の材料や、金属W、Wと他の物質を含むW系の材料等が挙げられる。なお、X線照射耐性等の観点からはタンタルを主成分とする材料等が好ましい。
【0039】
ここで、タンタルを主成分とするX線吸収体材料は、Ta以外に少なくともBを含むことが好ましい。これは、Ta及びBを含むX線吸収体膜は、内部応力が小さく、高純度で不純物を含まず、X線吸収率が大きい等の利点を有するからである。また、スパッタリングで成膜する際のガス圧を制御することで容易に内部応力を制御できるからである。
【0040】
Ta及びBを含むX線吸収体膜におけるBの割合は、15〜25原子%とすることが好ましい。X線吸収体膜におけるBの割合が上記範囲を超えると微結晶の粒径が大きくなりサブミクロンオーダーの微細加工が難しくなる。なお、X線吸収体膜におけるBの割合に関しては、本願出願人はすでに出願を行っている(特開平2−192116号公報)。
【0041】
タンタルを主成分とするX線吸収体材料は、アモルファス構造あるいは微結晶構造を有することが好ましい。これは、結晶構造(金属構造)であるとサブミクロンオーダーの微細加工が難しく、内部応力が大きくX線マスクに歪みが生じるからである。
【0042】
X線吸収体膜の膜応力は、10MPa以下であることが好ましい。また、X線吸収体膜の膜厚は、0.3〜0.8μm程度であることが好ましい。
【0043】
本発明のX線マスクブランクは、上記X線吸収体膜の上に、クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチングマスク層を設けたことを特徴とする。
【0044】
クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチングマスク層は、高いエッチング選択比を保持したままで極めて低い膜応力を得ることができる。この場合、膜組成、スパッタガスの全圧、RFパワー、スパッタ装置の種類等を調節及び選択することでエッチング選択比や膜応力の制御が可能である。特に、スパッタガスの混合比等を微調整することで膜応力の微妙な制御が可能である。その一例を図1に示す。図1からスパッタガスの混合比を狭い範囲で微調整することで膜応力の微妙な制御が可能であることがわかる。
また、クロム単体の膜が柱状構造(結晶構造)であるのに対し、クロムに炭素及び/又は窒素を添加することにより、アモルファス構造あるいは微結晶構造の膜(両構造を有する膜を含む)を形成することができ、その結果、エッチングマスク層の表面粗さを低減することができる(表面を平滑にできる)ため、エッチングマスクパターンのエッジラフネスを低減できるという利点がある。このときのエッチングマスク層の表面粗さRaは、1.0nm以下が好ましく、より好ましくは0.8nm以下、さらに好ましくは0.6nm以下である。
さらに、クロムに炭素及び/又は窒素を添加することにより、洗浄液として良く使用される硫酸、過水硫酸等に対して高い耐薬品性を示す。
【0045】
クロムと窒素及び/又は炭素を含む膜の好ましい組成は所望する膜特性(膜応力、エッチング選択比、耐酸性など)等によって異なるので一概には言えないが、例えば、クロムと窒素を含む膜の場合には膜中の窒素含有量は原子%比でN:Cr=1:2〜15程度が好ましく、また、クロムと炭素を含む膜の場合には膜中の炭素含有量は原子%比でC:Cr=1:1.5〜15程度が好ましく、また、クロムと窒素及び炭素を含む膜の場合には膜中の各成分の含有量はCr:N:C=55〜66原子%:1〜33原子%:1〜40原子%程度が好ましい。
【0046】
クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチングマスク層は、クロムと炭素及び窒素を含む三元系材料としたり、エッチング選択比や膜応力に影響を与えない範囲で酸素、フッ素などの他の元素を添加することで、耐熱性、耐洗浄性等を改良することができる。
【0047】
本発明では、X線吸収体膜の下に、クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチング停止層を設けることができる。
このエッチング停止層の構成及び作用効果に関しては上記エッチングマスク層と同様であるので説明を省略する。ただし、両者を組み合わせることで、単独の場合に比べ、より膜応力による位置歪みが少なく、極めて高い位置精度を有するとともに、X線吸収体膜パターンの側壁が垂直でかつパターンがシャープであるX線マスクを製造できる。
【0048】
エッチングマスク層の膜厚は、10〜200nm、好ましくは15〜60nm、より好ましくは30〜50nmである。
エッチングマスク層の膜厚を薄くすると、垂直な側壁のエッチングマスクパターンが得られるとともにマイクロローディング効果の影響を低減できるので、エッチングマスクパターンをマスクとしてX線吸収体材料層をドライエッチングする際のパターン変換差を低減できる。
【0049】
エッチング停止層の膜厚は、5〜100nm、好ましくは7〜50nm、より好ましくは10〜30nmである。
エッチング停止層の膜厚を薄くすると、エッチング時間を短くできるので、エッチング停止層を除去する際のX線吸収体パターンのエッチングによる形状変化を低減できる。
【0050】
エッチングマスク層、エッチング停止層における膜応力と膜厚との積は、±1×104dyn/cm以下であることが好ましい。
膜応力と膜厚との積が上記範囲を超えると、応力による位置歪みが大きく、極めて高い位置精度を有するX線マスクが得られない。
【0051】
次に、本発明のX線マスクブランクの製造方法について説明する。
【0052】
本発明のX線マスクブランクの製造方法は、エッチングマスク層及び/又はエッチング停止層を、クロムターゲットを用い、炭素を含むガス及び/又は窒素を含むガスをスパッタリングガス中に添加して形成することを特徴とする。
【0053】
ここで、スパッタリング法としては、例えば、RFマグネトロンスパッタリング、DCスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリングなどが挙げられる。
【0054】
炭素を含むガスとしては、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素系ガス等が挙げられる。
窒素を含むガスとしては、窒素、アンモニアガス、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素等が挙げられる。
【0055】
スパッタガスとしては、アルゴン、キセノン、クリプトン、ヘリウムなどの不活性ガス等が挙げられる。
【0056】
スパッタガス中に添加される炭素を含むガス及び/又は窒素を含むガスの添加量は、所望する膜組成、膜質(アモルファス構造、微結晶構造)及び膜特性(膜応力、エッチング選択比、耐酸性等)を制御すべく調整する。
好ましい添加量はガスの種類やその他の成膜条件及び所望する膜特性等によって異なるので一概には言えないが、例えば、スパッタガス中に窒素を添加してクロムと窒素を含む膜を成膜する場合には好ましい窒素の添加量はガス圧比で7〜50%(より好ましくは15〜40%)であり、また、スパッタガス中にメタンを添加してクロムと炭素を含む膜を成膜する場合には好ましいメタンの添加量はガス圧比で6〜40%(より好ましくは7〜30%)であり、また、スパッタガス中に窒素及びメタンを添加してクロムと窒素及び炭素を含む膜を成膜する場合には好ましい窒素の添加量はガス圧比で1〜30%であり、好ましいメタンの添加量はガス圧比で1〜40%である。
【0057】
なお、X線マスクブランクの他の製造工程に関しては特に制限されず、従来より公知のX線マスクブランクの製造工程が適用できる。
【0058】
次に、本発明のX線マスクの製造方法について説明する。
【0059】
本発明のX線マスクの製造方法は、上述した本発明のX線マスクブランクを用いてX線マスクを製造することを特徴とする。
【0060】
X線マスクの製造工程に関しては特に制限されず、従来より公知のX線マスクの製造工程が適用できる。
【0061】
例えば、エッチングマスク層のパターニングには、レジスト(フォト、電子線)を用いたリソグラフィー法(レジスト塗布、露光、現像、エッチング、レジスト剥離、洗浄など)、多層レジスト法、多層マスク(金属膜/レジスト膜等)法などの公知のパターニング技術が使用できる。レジストを用いる場合にあっては、レジストの膜厚は薄い方が好ましく、50〜1000nm、好ましくは100〜300nmである。
【0062】
エッチングマスク層及びエッチング停止層をドライエッチングする際のエッチングガスとしては、塩素と酸素の混合ガスを用いることが好ましい。
これは、エッチングガスである塩素に対して酸素を混入させた混合ガスによるエッチングを行うことで、Taを主成分とする材料のエッチング速度(エッチングレート)を極端に低下させることができるので、Taを主成分とする材料に対するCrと炭素及び/又は窒素を含む材料のエッチング選択比(Cr/Ta)を大きくすることが可能となり、塩素ガス単体によるエッチングの場合(エッチング選択比は0.1)に比べ、相対エッチング速度を逆転(1以上に)することが可能となるからである。
【0063】
ドライエッチング装置としては、プラズマエッチング装置、光エッチング装置、RIE(反応性イオンエッチング:Reactive Ion Etching)装置、反応性イオンビームエッチング装置(RIBE)、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置などが使用できる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例にもとづき本発明をさらに詳細に説明する。
【0065】
実施例1〜3及び比較例1
低応力膜の成膜
金属クロムをスパッタリングターゲットとし、アルゴンとメタンとの混合ガス(全圧約1.2Pa)をスパッタガスとして、RFマグネトロンスパッタリングにより、エッチングマスク層としてクロムと炭素を含む膜を500オングストローム(50nm)の膜厚で成膜した。表1にアルゴンとメタンの混合比を変化させたときの膜応力、Ta4B吸収体膜に対するエッチング選択比、表面粗さ、及び耐薬品性(硫酸、過水硫酸)を示す(実施例1〜3)。また、比較例として、メタンを混合せずにアルゴンのみをスパッタガスとして上記と同様の条件でスパッタリングにより成膜した金属クロム膜の膜応力等の膜特性を表1に併せて示す(比較例1)。
【0066】
【表1】
Figure 0004027458
【0067】
表1から明らかなように、クロムと炭素を含む膜(実施例1〜3)は、金属クロム膜(比較例1)と比較して、膜応力が極端に低いことがわかる。また、アルゴンとメタンの混合比を変えることによって膜応力を制御できることがわかる。なお、スパッタガスの全圧、RFパワーによっても膜応力を制御できる。さらに、クロムと炭素を含む膜(実施例1〜3)は、各種X線吸収体膜材料に対し、従来の金属クロム膜と同様のエッチング選択比をもつことを確認した。また、クロムと炭素を含む膜(実施例1〜3)は、金属クロム膜(比較例1)と比較して、表面粗さ及び耐薬品性(硫酸、過水硫酸)に優れることがわかる。なお、耐薬品性は硫酸及び過水硫酸(H2SO4:H2O2=4:1)をそれぞれ100℃に加熱し1時間浸漬して評価した(「0.1<」は0.1以下を示す)。また、表面粗さの評価にはAFMを用いた。
【0068】
実施例4
金属クロムをスパッタリングターゲットとし、アルゴンと窒素とを含むガスをスパッタガスとして、RFマグネトロンスパッタリングにより、エッチングマスク層としてクロムと窒素を含む膜を成膜した。その際、アルゴンと窒素の混合比、スパッタガスの全圧、RFパワーを変えることによって膜応力を制御した。
その結果、実施例1と同様に、低応力であって高いエッチング選択比を有するとともに、表面平滑性及び耐薬品性(硫酸、過水硫酸)に優れた膜が得られた(表1)。
【0069】
実施例5
金属クロムをスパッタリングターゲットとし、アルゴンとメタン及び窒素とを含むガスをスパッタガスとして、RFマグネトロンスパッタリングにより、エッチングマスク層としてクロムと炭素と窒素を含む膜を成膜した。その際、アルゴンとメタン及び窒素の混合比、スパッタガスの全圧、RFパワーを変えることによって膜応力を制御した。
その結果、実施例1と同様に、低応力であって高いエッチング選択比を有するとともに、表面平滑性及び耐薬品性(硫酸、過水硫酸)に優れた膜が得られた(表1)。
【0070】
実施例6
図2に本発明の一実施例に係るX線マスクブランク製造工程を示す。
【0071】
まず、シリコン基板11の両面に、X線透過膜12として炭化ケイ素膜を成膜した(図2(a))。
【0072】
なお、シリコン基板11としては、大きさ3インチφ、厚さ2mmで結晶方位(100)のシリコン基板を用いた。また、X線透過膜12である炭化ケイ素膜は、ジクロロシランとアセチレンを用いてCVD法により2μmの厚みに成膜した。さらに、機械研磨により膜表面の平坦化を行い、Ra=1nm以下の表面粗さを得た。
【0073】
次いで、X線透過膜12上に、タンタル及びホウ素からなるX線吸収体膜13をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.5μmの厚さで形成した(図2(b))。
【0074】
なお、スパッタターゲットは、タンタルとホウ素を原子数比(Ta/B)で8/2の割合で含む焼結体とした。スパッタ条件は、スパッタガス:Ar、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:1.0Paとした。
【0075】
続いて、上記基板を窒素雰囲気下で、250℃、2時間アニーリングを行い、10MPa以下の低応力のX線吸収体膜13を得た。
【0076】
次に、X線吸収体膜13上に、エッチングマスク層14としてクロムと炭素を含む膜をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.05μmの厚さで形成した。この結果、100MPa以下の低応力のエッチングマスク層14を得た(図2(c))。
【0077】
なお、スパッタターゲットにはCrを用い、スパッタ条件は、スパッタガス:Arにメタンを7%混合したガス、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:1.2Paとした。
【0078】
X線マスクの製造
上記で得られたX線マスクブランクを用いてX線マスクを製造した。
【0079】
具体的には、まず、X線マスクブランク上に塗布した電子線レジストに設計値0.25μmのラインアンドスペース(以下、L&Sと記す)パターンを電子線描画し、湿式現像によって電子線レジストパターンを形成した。
【0080】
この電子線レジストパターンをマスクとして、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング装置を用いて、マイクロ波600W、コイル電流13A、RFパワー120mW/cm2のエッチング条件下、基板部分を2.5℃に冷却しながら塩素と酸素の混合ガス(塩素:25sccm、酸素:5sccm)にてエッチングマスク層のエッチングを行い、エッチングマスクパターンを得た。
【0081】
このエッチングマスクパターンをマスクとして、ECRドライエッチング装置を用い、マイクロ波600W、コイル電流13A、RFパワー120mW/cm2のエッチング条件下、基板部分を2.5℃に冷却しながら塩素ガス(25sccm)にてX線吸収体層のエッチングを行い、次いでエッチングマスクパターンを除去し、X線吸収体パターンを形成して、X線マスクを得た。
【0082】
評価
上記で得られたX線マスクのパターン断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって形状観察した結果、側壁が垂直に形成された極めて良好(側壁の垂直性、側壁の表面状態、ラインの直線性等)な0.18μmのL&SのX線吸収体パターンの形成が確認された。
【0083】
さらに、上記で得られたX線マスクの位置歪みを座標測定機により評価した結果、1Gbit−DRAM用のX線マスクに要求される22nm以下の位置歪みであり、高い位置精度が実現できることを確認した。
【0084】
実施例7
実施例7に係るX線マスクブランクの製造工程は、実施例6と同様であるので図2を用いて説明する。
【0085】
まず、シリコン基板11の両面に、X線透過膜12として炭化ケイ素膜を成膜した(図2(a))。
【0086】
なお、シリコン基板11としては、大きさ3インチφ、厚さ2mmで結晶方位(100)のシリコン基板を用いた。また、X線透過膜12である炭化ケイ素膜は、ジクロロシランとアセチレンを用いてCVD法により2μmの厚みに成膜した。さらに、機械研磨により膜表面の平坦化を行い、Ra=1nm以下の表面粗さを得た。
【0087】
次いで、X線透過膜12上に、タンタル及びホウ素からなるX線吸収体膜13をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.5μmの厚さで形成した(図2(b))。
【0088】
なお、スパッタターゲットは、タンタルとホウ素を原子数比(Ta/B)で8/2の割合で含む焼結体とした。スパッタ条件は、スパッタガス:Ar、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:1.0Paとした。
【0089】
続いて、上記基板を窒素雰囲気下で、250℃、2時間アニーリングを行い、10MPa以下の低応力のX線吸収体膜13を得た。
【0090】
次に、X線吸収体膜13上に、エッチングマスク層14としてクロムと窒素を含む膜をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.05μmの厚さで形成した。この結果、100MPa以下の低応力のエッチングマスク層14を得た(図2(c))。
【0091】
なお、スパッタターゲットにはCrを用い、スパッタ条件は、スパッタガス:Arに窒素を35%混合したガス、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:0.6Paとした。
【0092】
X線マスクの製造
上記で得られたX線マスクブランクを用い実施例6と同様にしてX線マスクを製造した。
【0093】
評価
上記で得られたX線マスクのパターン断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって形状観察した結果、側壁が垂直に形成された極めて良好(側壁の垂直性、側壁の表面状態、ラインの直線性等)な0.18μmのL&SのX線吸収体パターンの形成が確認された。
【0094】
また、上記で得られたX線マスクの位置歪みを座標測定機により評価した結果、1Gbit−DRAM用のX線マスクに要求される22nm以下の位置歪みであり、高い位置精度が実現できることを確認した。
【0095】
実施例8
実施例8に係るX線マスクブランクの製造工程は、実施例6と同様であるので図2を用いて説明する。
【0096】
まず、シリコン基板11の両面に、X線透過膜12として炭化ケイ素膜を成膜した(図2(a))。
【0097】
なお、シリコン基板11としては、大きさ3インチφ、厚さ2mmで結晶方位(100)のシリコン基板を用いた。また、X線透過膜12である炭化ケイ素膜は、ジクロロシランとアセチレンを用いてCVD法により2μmの厚みに成膜した。さらに、機械研磨により膜表面の平坦化を行い、Ra=1nm以下の表面粗さを得た。
【0098】
次いで、X線透過膜12上に、タンタル及びホウ素からなるX線吸収体膜13をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.5μmの厚さで形成した(図2(b))。
【0099】
なお、スパッタターゲットは、タンタルとホウ素を原子数比(Ta/B)で8/2の割合で含む焼結体とした。スパッタ条件は、スパッタガス:Ar、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:1.0Paとした。
【0100】
続いて、上記基板を窒素雰囲気下で、250℃、2時間アニーリングを行い、10MPa以下の低応力のX線吸収体膜13を得た。
【0101】
次に、X線吸収体膜13上に、エッチングマスク層14としてクロムと炭素及び窒素を含む膜をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.05μmの厚さで形成した。この結果、100MPa以下の低応力のエッチングマスク層14を得た(図2(c))。
【0102】
なお、スパッタターゲットにはCrを用い、スパッタ条件は、スパッタガス:Arにメタン5%、窒素を30%混合したガス、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:0.6Paとした。
【0103】
X線マスクの製造
上記で得られたX線マスクブランクを用い実施例6と同様にしてX線マスクを製造した。
【0104】
評価
上記で得られたX線マスクのパターン断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって形状観察した結果、側壁が垂直に形成された極めて良好(側壁の垂直性、側壁の表面状態、ラインの直線性等)な0.18μmのL&SのX線吸収体パターンの形成が確認された。
【0105】
また、上記で得られたX線マスクの位置歪みを座標測定機により評価した結果、1Gbit−DRAM用のX線マスクに要求される22nm以下の位置歪みであり、高い位置精度が実現できることを確認した。
【0106】
実施例9
図3に本発明の他の実施例に係るX線マスクブランク製造工程を示す。
【0107】
まず、シリコン基板11の両面に、X線透過膜(X線マスクメンブレン)12として炭化ケイ素膜を成膜した(図3(a))。
【0108】
なお、シリコン基板11としては、大きさ3インチφ、厚さ2mmで結晶方位(100)のシリコン基板を用いた。また、X線透過膜12である炭化ケイ素膜は、ジクロロシランとアセチレンを用いてCVD法により2μmの厚みに成膜した。さらに、機械研磨により膜表面の平坦化を行い、Ra=1nm以下の表面粗さを得た。
【0109】
次いで、X線透過膜12上に、エッチングストッパー層15としてクロムと炭素を含む膜をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.02μmの厚さで形成した(図3(b))。この結果、100MPa以下の低応力のエッチングストッパー層15を得た。
【0110】
なお、スパッタターゲットにはCrを用い、スパッタ条件は、スパッタガス:Arにメタンを8%混合したガス、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:1.2Paとした。
【0111】
次に、エッチングストッパー層15上に、タンタル及びホウ素からなるX線吸収体膜13をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.5μmの厚さで形成した(図3(c))。
【0112】
なお、スパッタターゲットは、タンタルとホウ素を原子数比(Ta/B)で8/2の割合で含む焼結体とした。スパッタ条件は、スパッタガス:Ar、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:1.0Paとした。
【0113】
続いて、上記基板を窒素雰囲気下で、250℃、2時間アニーリングを行い、10MPa以下の低応力のX線吸収体膜13を得た。
【0114】
次に、X線吸収体膜13上に、エッチングマスク層14としてクロムと炭素を含む膜をRFマグネトロンスパッタリング法によって0.05μmの厚さで形成した(図3(d))。この結果、100MPa以下の低応力のエッチングマスク層14を得た。
【0115】
なお、スパッタターゲットにはCrを用い、スパッタ条件は、スパッタガス:Arにメタンを10%混合したガス、RFパワー密度:6.5W/cm2、スパッタガス圧:0.6Paとした。
【0116】
上記で得られたX線マスクブランクを用いてX線マスクを作製し、位置歪みを座標測定機により評価した結果、1Gbit−DRAM用のX線マスクに要求される22nm以下の位置歪みであり、高い位置精度が実現できることを確認した。
【0117】
また、上記で得られたX線マスクのパターン断面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって形状観察した結果、側壁が垂直に形成された極めて良好(側壁の垂直性、側壁の表面状態、ラインの直線性等)な0.18μmのL&SのX線吸収体パターンの形成が確認された。
さらに、エッチング停止層の除去に伴うX線透過膜の膜減りについても同様に調べたが、X線透過膜の膜減りは確認されなかった。
【0118】
以上好ましい実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるものではない。
【0119】
例えば、RFマグネトロンスパッタリング法の代わりに、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて、エッチングマスク層及びエッチング停止層の成膜を行っても同様の効果がある。
【0120】
また、Arガスの代わりにキセノン、クリプトン、ヘリウム、ネオン等の他の不活性ガスを用い、メタンの代わりに得たん、プロパンなどの炭化水素系ガスを用いても同様の効果がある。
【0121】
さらに、メタンあるいは窒素の添加濃度は実施例の値に限定されず、スパッタリング装置、スパッタガス圧、パワー等に応じて適宜変更される。
【0122】
また、エッチングマスク層は、クロムと窒素以外に酸素を含むものとしてもよい。
また、エッチングマスク層の応力制御をより正確に行うために、エッチングマスク層又はエッチングマスクパターンを200℃〜250℃の温度でアニール処理してもよい。
【0123】
さらに、X線吸収体膜として、Ta4B以外の組成をもつホウ化タンタル、金属Ta、Taを含むアモルファス材料を等用いてもよい。
【0124】
また、X線透過膜として、炭化ケイ素の代わりに、窒化ケイ素やダイヤモンド膜等を用いてもよい。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エッチングマスク層及びエッチング停止層としてクロムと炭素及び/又は窒素を含む材料を用いることで、高いエッチング選択比を保持したままで極めて低い膜応力を得ることができるため、膜応力による位置歪みが少なく、極めて高い位置精度を有するX線マスクが得られる。
また、これらの材料からなるエッチングマスク層及びエッチング停止層を有するX線マスクブランクを用いてX線マスクを製造するとX線吸収体膜パターンの側壁が垂直でかつパターンがシャープであるX線マスクを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタガスの混合比と膜応力との関係を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るX線マスクブランクの製造工程を説明するための図である。
【図3】本発明の他の実施例に係るX線マスクブランクの製造工程を説明するための図である。
【図4】X線マスクの構造を説明するための断面図である。
【図5】X線マスクブランクを説明するための図である。
【符号の説明】
1 X線マスク
2 X線マスクブランク
11 シリコン基板
11a 支持基板(支持枠)
12 X線透過膜
13 X線吸収体膜
13a X線吸収体パターン
14 エッチングマスク層
15 エッチング停止層

Claims (8)

  1. マスク基板上に、X線を透過するX線透過膜を有し、該X線透過膜上にX線を吸収するX線吸収体膜を有するX線マスクブランクであって、
    前記X線吸収体膜の上に、クロムを主成分とし、クロムと、炭素及び/又は窒素を含む材料からなるアモルファス構造及び/又は微結晶構造の膜からなり、膜応力が100MPa以下であるエッチングマスク層を設けたことを特徴とするX線マスクブランク。
  2. エッチングマスク層の表面粗さRaが、1.0nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のX線マスクブランク。
  3. 前記X線透過膜が、炭化ケイ素からなることを特徴とする請求項1又は2記載のX線マスクブランク。
  4. 前記X線吸収体膜が、Taを主成分とするアモルファス構造の膜あるいは微結晶構造の膜であることを特徴とする請求項1〜3から選ばれるいずれか一項に記載のX線マスクブランク。
  5. 前記X線吸収体膜の下に、クロムと炭素及び/又は窒素を含む材料からなるエッチング停止層を設けたことを特徴とする請求項1〜4から選ばれるいずれか一項に記載のX線マスクブランク。
  6. 前記エッチング停止層の膜応力が100MPa以下であることを特徴とする請求項5記載のX線マスクブランク。
  7. 前記エッチングマスク層、又は前記エッチング停止層における膜応力と膜厚との積は、±1×10dyn/cm以下であることを特徴とする請求項1〜6から選ばれるいずれか一項に記載のX線マスクブランク。
  8. 請求項1〜7に記載のX線マスクブランクを用いてX線マスクを製造することを特徴とするX線マスクの製造方法。
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