JP4027144B2 - 自動製氷機の駆動装置 - Google Patents

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    • F25CPRODUCING, WORKING OR HANDLING ICE
    • F25C2400/00Auxiliary features or devices for producing, working or handling ice
    • F25C2400/06Multiple ice moulds or trays therefor

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  • Production, Working, Storing, Or Distribution Of Ice (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫の製氷機に係わり、より具体的には、二つの製氷皿を同時に回転して離氷させる駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷蔵庫の自動製氷機で、複数の製氷皿を同時に回転させ、水平位置から反転した位置で同時に製氷皿に捩れを加えて離氷を行う機構は公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、複数の製氷皿を同時に捩って離氷させるのに要するトルクは、製氷皿が2枚になれば2倍となるから、出力が2倍の大型モータが必要なり、冷蔵庫という限られた空間内に収納スペースを求めることが困難となる。また、モータの駆動力を各製氷皿に伝達して回転離氷操作を行わせる歯車は2倍の強度が必要で、寸法を大きくするか、強化された特殊な材料に変えなければならない。その結果、製氷機自体が大型化し、製造コストが増大することになる。
【0004】
そこで本発明の目的は、一つのモータで2基の製氷皿に捩れを加えて離氷させる自動製氷機において、2基の製氷皿を個別に捩ることによって各製氷皿に加える負荷のタイミングをずらした製氷機の駆動機構を提供してモータ出力を軽減することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係わる自動製氷機の駆動装置は、氷を製造する製氷位置から製氷皿を一方に回転して反転させた離氷位置で氷を落下させ、その後前記製氷皿を反対方向に回転することによって前記製氷位置に戻し、逐次氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、前記製氷皿を2基、一つの駆動源で同時に駆動するように構成し、前記製氷皿の各々が前記駆動源からの駆動力伝達側と反対側に、前記離氷位置の直前で前記製氷皿の回転がそれぞれの阻止部に当接して回転が阻止される当接部をそれぞれ備え、前記駆動源は、前記当接部が前記阻止部に当接した後も回転を持続させることにより、前記製氷皿に捩り変形を与えて前記製氷皿から氷塊を離氷させる構成で、前記阻止部として、前記駆動源を一方向に回転させると第一製氷皿の前記当接部のみが当接する位置に第一阻止部を設け、反対方向に回転させると第二製氷皿の前記当接部のみが当接する位置に第二阻止部を設け、前記第一製氷皿の前記当接部が前記第一阻止部に当接した後前記駆動源の一方向への回転を持続させることにより前記第一製氷皿に捩り変形を与えて前記第一製氷皿から氷塊を離氷させるときには、前記第二製氷皿の前記当接部と前記第二阻止部とを干渉させずに空転させ、前記第二製氷皿の前記当接部が前記第二阻止部に当接した後前記駆動源の他方向への回転を持続させることにより前記第二製氷皿に捩り変形を与えて前記第二製氷皿から氷塊を離氷させるときには、前記第一製氷皿の前記当接部と前記第一阻止部とを干渉させずに空転させて、前記2基の製氷皿に加える負荷のタイミングをずらしたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係わる自動製氷機の駆動装置を示す一実施例で、2基の製氷皿10,11を並列配置で設けた駆動装置12の(a)は片側の製氷皿10と機枠12aを除いて示した模式的側面図、(b)はその平面図である。図2は図1(b)の2−2線に沿って機構の概略を図示したもので、カバー13左側の一部を除去して内部を示す。図2右側の第一製氷皿10を駆動する原動歯車1に噛合する第一歯車列2,3を含む構成は、製氷皿1基の場合の駆動装置と同じ機構が内蔵されている。コントローラ9で制御される内設モータが駆動する原動歯車1を共通駆動源として第一歯車列2,3と同じ構成の第二歯車列4,5を噛合させ、第二製氷皿11を駆動する。すなわち、第一製氷皿10および第二製氷皿11を連結する第一、第二出力軸7,8は、完全に同期して同方向に回転する。
【0007】
第一、第二製氷皿10,11の出力軸7,8と反対側に位置する自由端には、出力軸7,8と同心の円柱支軸10a,11aが延在し、機枠12aに回転自在に支持されている。製氷皿10,11は周囲と干渉することなく反転させる運動範囲が必要で、これに要する空間は他の機構が設置できないデッドスペースとなる。製氷能力を一つの製氷皿で行うときの2倍にすることを想定したとき、製氷皿の面積を2倍にしたときに要する運動空間よりも、2基の製氷皿10,11を2軸にして並列配置とすることで、運動範囲は小さく設定でき、デッドスペースを削減することができる。
【0008】
自動製氷機は、図示しない冷蔵庫製氷室内の貯氷容器上方に設置され、駆動装置12は、製氷皿10,11と、貯氷容器内の貯氷量を検知するために昇降する検氷レバー14を連動する。製氷皿10,11の上部には配管15が設置され、必要に応じて水等の液体を一定量供給すようにマイコンで時間制御されている。なお製氷皿10の下面には製氷皿の温度を検知するサーミスタ6が配設され結氷の有無を確認する。検氷レバー14を回動させたり、内設したタクトスイッチ(SW)の開閉レバーを作動させる機械的制御機能は、図3に示すように、第一歯車列2,3の出力歯車3の後面に刻設した内接カム20,21による。内接カム20,21は製氷皿10側から透視した図示となっている。製氷皿10の根元と出力軸7は、出力歯車3に刻装した内接カム20,21と一体に回転するから、以後、回転の記載は出力軸7を主体として表記する。
【0009】
図3に示す出力歯車3の後面に刻設されている内接カム20,21は検氷カム20とSWカム21であって、検氷カム20とカム結合して検氷レバー14を連動するフォロア23は、矢印T方向に弾性付勢されており、出力歯車3が矢印CW方向に回転して、製氷皿10,11の下方に設けた、図示しない貯氷容器に氷が不足しているときは検氷領域のカム面20b1に摺接する。SWカム21とカム結合してタクトスイッチ(SW)の開閉レバーを連動するフォロア24は、矢印S方向に弾性付勢されて、内周面21Aとそれより僅かに大径の拡径面21Bの間でタクトスイッチ(SW)をOFFからONに切換える。貯氷量の不足でレバー14の先端が降下し、フォロア23が検氷領域のカム面20b1と摺接状態にあるときは、フォロア24は拡径面21Bとの係合が阻止されタクトスイッチ(SW)はOFFに維持される。
【0010】
一方、出力歯車3が矢印CWと反対の反時計方向CCWに回転しているときは、フォロア23が非検氷領域カム面20aに摺接しているときと同様に、フォロア24がSWカム21の検氷信号位置20bに応動しないようにする。すなわち駆動装置12は、フォロア24が拡径面21Bに移行させない規制をフォロア23に行わせる別のフリクション部材によるカム機構(図示省略)を備える。機構の細部は特開平2001-165541に開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0011】
フォロア24がフォロア23の干渉を受けないとき、SWカム21は、原点(0°)から矢印CW方向に3°旋回した原信号位置21aでフォロア24を拡径面21Bから内周面21Aに移行して、タクトスイッチ(SW)をONからOFFに切換える。そして、原点(0°)より43°の検氷信号43°位置21b1でフォロア24を内周面21Aから拡径面21Bに移行し、タクトスイッチ(SW)をONに切換える。その後、僅かに回動した検氷信号47°位置21b2でタクトスイッチ(SW)はOFFに戻される。
【0012】
さらに、原点(0°)より+160°の第一離氷信号位置21cで再びフォロア24を内周面21Aから拡径面21Bに移行し、タクトスイッチ(SW)をOFFからONに切換える。逆に、原点(0°)から−160°の第二離氷信号位置21dでは、ONからOFFへの切換信号となる。マイコンは、ONからOFFあるいはOFFからONへの信号の切換方向と各信号間の時間間隔とで判断して動作を処理するようにプログラムされている。これにより、1個のタクトスイッチ(SW)だけで、全ての信号に対応させることができる。
【0013】
図4は、製氷皿10,11における離氷時の駆動態様を示す第一実施例で、コントローラ9により制御されている製氷皿10に同期して製氷皿11が連動する。最初、製氷皿10,11は、結氷した氷塊を搭載して水平な(a)の状態から共に矢印CWで示すように同じ時計方向に旋回する。そして、出力軸7が(b)に第一製氷皿10を二点鎖線で示す160°まで旋回する前に、第一製氷皿10の自由端に突設した当接部16は駆動装置12の機枠12aに固設した第一阻止部18に当接して回動が阻止される。
【0014】
第二製氷皿11は同期して回動するが、第二阻止部19は第二製氷皿11の自由端に突設した当接部17の回転経路内に位置しないから、第二製氷皿11には第二阻止部19の干渉はなく、捩り変形を受けずに結氷した氷塊を隔壁に付着して搭載したまま160°まで反転する。第一製氷皿10は、自由端の回動が160°の手前で阻止されたまま、根元は160°まで回動するので強制的に角度αの捩じれ変形が加えられ、結氷している氷塊面は、製氷皿10の隔壁から剥離して離氷する。それから、二つの製氷皿10,11は同時に反時計方向CCWに反転して(c)に示す水平な原点位置に復帰する。
【0015】
次に、図4(c)の水平な状態から二つの製氷皿10,11は、共に矢印CCWで示すように同時に反時計方向に旋回する。出力軸7は、(b)の離氷動作で空になった第一製氷皿10と共に第二製氷皿11を連動し、同期して旋回するが、第一阻止部18は自由端に突設した当接部16の軌道内に位置しないから、干渉を受けることなく空転する。一方、第二製氷皿11は結氷した氷塊を搭載したまま−160°まで反転する。
【0016】
(d)に二点鎖線で示す−160°まで旋回する前に、第二製氷皿11の自由端に突設した当接部17は駆動装置12の機枠12aに固設した第二阻止部19に当接して回動が阻止される。第二製氷皿11は、自由端の回動が−160°の手前で阻止されたまま、根元は−160°まで回動するので強制的に角度αの捩じれ変形が加えられ、結氷している氷塊面は製氷皿11の隔壁から剥離して離氷する。それから、二つの製氷皿10,11は再び同時に時計方向CWに反転して(a)に示す水平な原点位置に復帰する。
【0017】
図5は、製氷皿10,11における離氷時の駆動態様を示す第二実施例で、第二歯車列4,5の出力歯車5の手前に回転方向を反転するアイドル歯車(図示省略)を挿入することによって、第一製氷皿10が時計方向CWに160°回転するとき、同時に第二製氷皿11の回転方向を第一製氷皿10と逆の反時計方向CCWに−160°回転させている。すなわち、第一製氷皿10は、第一実施例と全く同じ動作で第二製氷皿11を連動して同期回転するが、第二製氷皿11の回転方向は逆になる。このため、(a)に図示されるように、第二製氷皿11自由端の当接部17-2と第二阻止部19-2は第一実施例の第二製氷皿11の回転軸を通る垂直軸に対し左右を逆にした対称位置に突設される。
【0018】
従って、第一製氷皿10の離氷は第一実施例と同様に行われるが、最初の反時計方向CCWの回転では、第二製氷皿11は、当接部17-2が第二阻止部19-2から離隔する方向に旋回するので離氷は行われない。第一製氷皿10が(b)に図示されるように、第一実施例と同様に角度αの捩れ変形が加えられて離氷を行った後に、(c)に示す水平位置に復帰して、次に反時計方向CCWに−160°空転させ、同期して連動する第二製氷皿11を時計方向CWに160°回転させる。
【0019】
第一実施例と同様に第二製氷皿11の自由端に突設した当接部17-2は駆動装置12の機枠12aに固設した第二阻止部19-2に当接して回動が阻止される。第二製氷皿10は、自由端の回動が160°の手前で阻止されたまま、根元は160°まで回動するので強制的に角度αの捩じれ変形が加えられ、結氷している氷塊面は製氷皿11の隔壁から剥離して離氷する。
【0020】
それから、二つの製氷皿10,11は再び同時にそれぞれ時計方向CWと反時計方向CCWに反転して(a)に示す水平な原点位置に復帰する。これにより、第二製氷皿11の氷塊は、第一実施例の場合より内側に落下させることができる。従って、第一製氷皿10についても、当接部17と第一阻止部18の位置を第一製氷皿10の回転軸を通る垂直軸に対し左右を逆にした対称位置に突設し、両製氷皿10,11の氷塊を全て内側に落下させて集積する構成は容易に推測できる。
【0021】
図6および図7は、駆動装置12の動作状況を示すタイムチャートで、マイコンを含むコントローラ9による制御については図8にフローチャートで示す。図6は貯氷が容器に満タンのときのタイムチャートで、電源が入ると、マイコンには先ず後述する初期設定プログラムを開始する。初期設定プログラムは、自動製氷機単体での動作確認、冷蔵庫に取付けたときの動作確認、冷蔵庫を移動したとき、あるいは停電復旧時の初期動作の際等に実行するもので、製氷用水を注入する時点で製氷皿10,11が確実に水平位置に保持されていることを確認するものである。本実施例では、駆動モータとしてDCモータを使用しているため、ロータの慣性による停止位置を安定させるため、必ず反時計回転方向CCWから停止へ移行するようにプログラムされている。
【0022】
離氷開始信号ONで、マイコンはサーミスタ6により結氷の有無確認後、駆動装置12のモータを始動し出力軸7を時計方向CWに回転する。出力軸7は回転開始直後に原信号位置21aがフォロア24を内周面21Aに移行してタクトスイッチ(SW)をONからOFFに切換える。一方、出力軸7の回転に伴って、検氷カム20はフォロア23との対向面が検氷領域のカム面20b1に移行し、検氷レバー14の先端は貯氷容器内に下降する。
【0023】
ところが、図6に示す容器満タンのときは、検氷レバー14は所定の位置まで下降できず、フォロア24に対する干渉作用は機能せず、原点から43°回転した検氷信号43°位置21b1でタクトスイッチ(SW)をOFFからONに切換える。この信号を受けたマイコンはモータを1秒間停止した後に反転させる。この反転によってフォロア24に検氷信号43°位置21b1が再び作用し、タクトスイッチ(SW)をONからOFFに切換える。出力軸7が反時計方向CCWに回転してタクトスイッチ(SW)がONの信号を発するのは原信号位置21aである。マイコンはこの信号を受けた時点から0.3秒後にモータへの通電を停止する。モータは待機状態となり次の離氷開始信号を待つ。この出力軸7の停止位置が製氷皿10,11を水平に保つ原点として設定される。
【0024】
図7は貯氷容器の貯氷量が不足しているときのタイムチャートであって、電源が入ると、マイコンには先ず後述する初期設定(イニシャライズ)プログラムを実行し、その終了後に離氷開始信号ONでサーミスタ6により結氷を確認する。駆動装置12はモータを始動し、出力軸7を時計方向CWに回転する。出力軸7は回転の開始直後に原信号位置21aがフォロア24を内周面21Aに移行してタクトスイッチ(SW)をONからOFFに切換える。一方、出力軸7の回転に伴って、検氷カム20のフォロア23との対向面は検氷領域のカム面20b1に移行し、検氷レバー14の先端は貯氷容器内に下降して回動角度が30°を超える。
【0025】
この動きによってフォロア24の動きが規制され、フォロア24はSWカム20に応動しなくなる。このため、フォロア24は検氷信号位置21bを無視して通過し、原信号位置21aにおける原信号発生から7秒以上経過する間に、フォロア23は検氷カム20の検氷領域カム面21b2に誘導されて、非検氷領域カム面21aに摺接し、フォロア24の規制を解除する。従って、フォロア24は出力軸7が160°回転した位置で初めて第一離氷信号位置21cに応動してタクトスイッチ(SW)をOFFからONに切換える。この信号でマイコンはモータを1秒停止して第一製氷皿10の離氷を行う。
【0026】
その後マイコンはモータを反転させるから、タクトスイッチ(SW)は第一離氷信号位置21cの作用でOFFとなる。上記した特開平2001-165541に開示のフリクション部材によるカム機構によって、出力軸7すなわち出力歯車3が反時計方向CCWに回転するときは、フォロア24は規制を受けないから、タクトスイッチ(SW)は先ず検氷信号47°位置21b2でON、検氷信号43°位置21b1でOFFとなって、原信号位置21aで再びONとなる。この信号パターンによってマイコンは第一製氷皿10が離氷して原点に復帰したことを認識する。次に、原信号位置21aでONとなったタクトスイッチ(SW)がOFFとなるのは、出力軸7が原信号位置21aから−160°反時計方向CCWに回転した第二離氷信号位置21dが、フォロア24を内周面21Aに移行させたときで、マイコンはこの信号を受けると、モータを1秒間停止して第二製氷皿11の離氷を行った後、モータを時計方向CWに反転させる。
【0027】
モータの反転によってタクトスイッチ(SW)はONとなり、出力軸7は時計方向CWに回転し、原信号位置21aに至ってフォロア24は内周面21Aへ移行してタクトスイッチ(SW)をOFFにする。マイコンはこの信号を受けて、0.3秒後にモータへの電力供給を停止する。それから、出力軸7を反時計方向CCWに回転する。この方向の回転でフォロア24が原信号位置21aから離隔し、マイコンはタクトスイッチを(SW)がONに切換った瞬間から0.3秒後にモータへの電力供給を1秒間停止する。
【0028】
この停止位置が原点となり、製氷皿10,11は確実に水平に保持される。製氷皿10,11が傾斜していると、結氷していない製氷用水がこぼれるので給水時に製氷皿10,11を水平に保持することは特に重要である。このように、必ず出力軸7を反時計方向に回転させて、タクトスイッチが(SW)ONになった瞬間から0.3秒後にモータ電源を切ることによって、モータのロータや伝達歯車機構の慣性を含めた原点を確定する。原点に復帰した製氷皿10,11に対して製氷用水の給水と製氷が行われ、プログラムはスタート動作に戻る。
【0029】
次に、本発明に係わる自動製氷機の駆動装置12の初期設定プログラムについて説明する。第一製氷皿10だけがマイコンによって制御されており、第二製氷皿11は第一製氷皿10に連動するだけであるから、初期化は第一製氷皿10を原点において水平に保持することを目的として行うことになる。図9は初期化動作の状態図で、上記したように、冷蔵庫を最初に設置したとき、または移動したとき、あるいは停電のとき等、電源がOFFしたときに製氷皿10は図中▲1▼〜▲6▼のいずれかの位置で停止していると考えられる。そこで、これらの位置から電源を投入して再起動させた時点で製氷皿10がどの位置にあっても、確実に図4または図5の(a)に示す水平位置(原点)に持って行かなければならない。すなわち、マイコンによる初期化プログラムによって原点復帰される製氷皿10の移動経路を模式的に図示したものである。
【0030】
図10および図11は、マイコンの原点復帰プログラムフローチャートである。電源投入時に自動製氷機の製氷皿10がどのような位相で停止しているかを、マイコンに認識させ、自動制御により、製氷皿10を水平に保持する原点に設置する。第一製氷皿10を水平に保持すれば、第二製氷皿11が水平に保持されることは自明である。以下に図9において▲1▼〜▲6▼の各位置に停止する製氷皿10が原点に復帰する動作を図10および図11のフローチャートと対応させながらそれぞれについて説明する。
【0031】
図10は、電源投入によって時計回転CWする場合の初期化プログラムに対するフローチャートである。図9において▲1▼の場合は、共に反転した状態から復帰中の製氷皿10,11を原点に復帰させるプログラムである。フォロア24は、SWカム21の原点信号位置21aと第二離氷信号位置21dの間で拡径面21Bのどこかにあり、タクトスイッチ(SW)はONになっている。従って、電源がONになると、出力軸7は時計方向CWに回転し、25秒以内で原点信号位置21aがフォロア24に達してタクトスイッチ(SW)をOFFにする。
【0032】
そこで、モータを1秒停止した後、一旦反時計方向CCWに1.5秒回転させてから、再び時計方向CWに反転させる。フォロア24に原点信号位置21aが当接してタクトスイッチ(SW)がOFFの信号を出した瞬間から0.3秒後にマイコンはモータへの通電を1秒間停止する。モータを1秒間の通電停止で完全に静止させてから、出力軸7の原点復帰基本動作である反時計方向CCW回転に移る。反時計方向CCW回転によってフォロア14が原点信号位置21aから完全に離間してタクトスイッチ(SW)がON信号に変わった瞬間から0.3秒後にモータの通電を停止しモータ停止位置を出力軸7の原点として確定し初期化を完了する。
【0033】
▲2▼の場合は、検氷動作中の製氷皿10,11を原点に復帰させるプログラムである。フォロア24は原点信号位置21aと検氷信号21bの間で内周カム21Aのどこかにあり、タクトスイッチ(SW)はOFFで、電源がONになると出力軸7は時計方向CWに回転する。25秒以内でフォロア24に検氷信号43°位置21b1が達してタクトスイッチ(SW)をONにする。そこでこの信号を受けたマイコンはモータを1秒間停止した後、反時計方向CCWに反転させる。
【0034】
この反転動作で検氷信号43°位置21b1が直ぐフォロア24を内周面21Aに移行してタクトスイッチ(SW)をOFFにし、原点信号位置21aでは拡径面21Bに移行されるので、タクトスイッチ(SW)はONとなる。出力軸7の原点への復帰は基本動作である反時計方向CCW回転で行われているから、上記した▲1▼の場合と同様にタクトスイッチ(SW)がON信号に変わった瞬間から0.3秒後にモータの通電を停止しモータ停止位置を出力軸7の原点として確定し初期化を完了する。
【0035】
▲3▼の場合は、第一製氷皿10を捩り変形させている出力軸7を原点に復帰させるプログラムである。フォロア24は第一離氷信号位置21cにあって、電源がONになって出力軸7は時計方向CWに回転すると機械的な度当たりに規制されて回転できず25秒間停止したままとなる。これによりマイコンはフォロア24が第一離氷信号位置21cにあることを判断して、モータへの通電を1秒間停止した後、モータを反時計方向CCWに反転させる。
【0036】
この回転方向では、フォロア24は規制を受けないので、第一離氷信号位置21cでタクトスイッチ(SW)はOFFとなり、検氷信号位置21bでONとOFFの切換を経て原点信号位置21aでON信号を発する。出力軸7の原点への復帰は基本動作である反時計方向CCW回転で行われているから、上記した▲1▼および▲2▼の場合と同様にタクトスイッチ(SW)がON信号に変わった瞬間から0.3秒後にモータの通電を停止しモータ停止位置を出力軸7の原点として確定し初期化を完了する。
【0037】
図11は、電源投入によって反時計方向CCWに回転する場合の初期化プログラムに対するフローチャートである。図9において▲4▼は、第一製氷皿10が離氷を終えて第二製氷皿11の離氷動作に向かう途中か、満タンの検氷信号により、第一製氷皿10が離氷を行わずに原点に復帰する途中のいずれかである。フォロア24は原点信号位置21aと検氷信号位置21bの間でタクトスイッチ(SW)をOFFに保ち、原点信号位置21aでON信号を発する。しかしながら、出力軸7が反時計方向CCWに回転するときは、検氷信号47°位置21b2でも同様にON信号が出てしまう。
【0038】
そこで、1.5秒間反時計回転CCWを継続してONのままであれば、原点信号位置21aによるON信号と判断し、モータの通電を1秒間停止した後、時計方向CWに反転する。フォロア24に原点信号位置21aが当接して、タクトスイッチ(SW)がOFFになった瞬間から0.3秒後にモータの通電を1秒間停止する。それから、モータを反転して反時計回転CCWで出力軸7を原点に向けて回動し、フォロア24が原点信号位置21aから離間してタクトスイッチ(SW)がONになった瞬間から0.3秒後にモータの通電を停止しモータ停止位置を出力軸7の原点として確定し初期化を完了する。
【0039】
▲5▼の場合は、離氷を終えて第二製氷皿11の離氷方向に回転する途上で停止している第一製氷皿10を原点に復帰させるプログラムである。フォロア24は、検氷信号位置21bと第一離氷信号位置21cの間で内周面21Aのどこかにあって、タクトスイッチ(SW)をOFFに保っている。電源の投入で反時計方向CCWに回転する出力軸7は、25秒以内に検氷信号47°位置21b2がフォロア24を拡径面21Bに移行してON信号を発する。
【0040】
さらに、1.5秒以内で検氷信号47°位置21b1がフォロア24を内周面21Aに移行するので、タクトスイッチ(SW)はOFF信号を発し、マイコンに第一製氷皿10が▲4▼の状態ではなくて▲5▼の状態であることを認識させる。出力軸7はそのまま原点復帰の基本動作である反時計方向CCW回転を続行し、上記した▲4▼の場合と同様にタクトスイッチ(SW)がON信号に変わった瞬間から0.3秒後にモータの通電を停止しモータ停止位置を出力軸7の原点として確定し初期化を完了する。
【0041】
▲6▼の場合は、第一および第二製氷皿10,11の離氷が完了している状態で、フォロア24は第二離氷信号位置21dを越えている。電源の投入で出力軸7は反時計方向CCWに回転し、機械的な度当たりに規制されて回転できず25秒間停止したままとなる。これによりマイコンはフォロア24が第二離氷信号位置21dにあることを判断して、モータへの通電を1秒間停止した後、モータを時計方向CWに反転させる。
【0042】
フォロア24は第二離氷信号位置21dから離間して拡径面21Bに摺接し、タクトスイッチ(SW)をONに保って原点信号位置21aに向かい、原点信号位置21aに当接して内周面21Aへの移行で、タクトスイッチ(SW)はOFF信号を発する。この瞬間から0.3秒後にモータの通電を1秒間停止してモータを静止させる。それから、出力軸7を原点復帰の基本動作である反時計方向CCW回転でフォロア24が原点信号位置21aから離間して拡径面21Bに移行し、上記した▲4▼および▲5▼の場合と同様にタクトスイッチ(SW)がON信号に変わった瞬間から0.3秒後にモータの通電を停止し、モータ停止位置を出力軸7の原点として確定し初期化を完了する。
【0043】
上記したように、製氷皿を2軸に並列配置して同期回転させる第一実施例および第二実施例のいずれについても、駆動装置12に内設されている駆動モータは、先ず第一製氷皿10を時計方向CWに160°回転させ、回転の途中で自由端に突設した当接部16を駆動装置12の機枠12aに固設した第一阻止部18で規制する。回動を阻止された自由端側に対し、駆動側は二点鎖線で示す位置まで回動するので、製氷皿10には強制的に捩られて捩じれ変形が加わり、第一製氷皿10内で結氷している氷塊面から製氷皿10の隔壁を剥離して、マイコンによる時間制御で1秒間休止して氷塊の確実な落下期間経過の間に確実な離氷を行った後、反時計方向CCWの逆転を開始する。この間、第二製氷皿11の当接部16は第二阻止部19から離隔する方向に旋回するので結氷した氷塊を搭載したまま空転する。
【0044】
第一製氷皿10の離氷後、反時計方向CCWに逆転することによって、第二製氷皿11に設けた当接部17が駆動装置12の機枠12aに固設した第二阻止部19に当接する。回動を阻止された自由端側に対し、駆動側は二点鎖線で示す位置まで回動するので、製氷皿11には強制的に捩られて捩じれ変形が加わり、第二製氷皿11内で結氷している氷塊面から製氷皿11の隔壁を剥離して、マイコンによる時間制御で1秒間休止して氷塊の確実な落下期間経過の間に確実な離氷が行われる。
【0045】
製氷位置に対してほぼ裏返しの反転位置まで回動した製氷皿11が氷塊を貯氷容器内に落下させる間、第一製氷皿10の当接部17の回転経路内で第一阻止部18が干渉することはなく、既に離氷が完了している第一製氷皿10は無負荷で空転する。すなわち、モータは2基の製氷皿10,11を回転駆動するが、離氷時に要する最大出力は一つの製氷皿に要する出力だけで十分である。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明に係わる自動製氷機の駆動装置は、請求項1に記載の記載によれば、氷を製造する製氷位置から製氷皿を一方に回転して反転させた離氷位置で氷を落下させ、その後前記製氷皿を反対方向に回転することによって前記製氷位置に戻し、逐次氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、前記製氷皿を2基、一つの駆動源で同時に駆動するように構成し、前記製氷皿の各々が前記駆動源からの駆動力伝達側と反対側に、前記離氷位置の直前で前記製氷皿の回転がそれぞれの阻止部に当接して回転が阻止される当接部をそれぞれ備え、前記駆動源は、前記当接部が前記阻止部に当接した後も回転を持続させることにより、前記製氷皿に捩り変形を与えて前記製氷皿から氷塊を離氷させる構成で、前記阻止部として、前記駆動源を一方向に回転させると第一製氷皿の前記当接部のみが当接する位置に第一阻止部を設け、反対方向に回転させると第二製氷皿の前記当接部のみが当接する位置に第二阻止部を設け、前記第一製氷皿の前記当接部が前記第一阻止部に当接した後前記駆動源の一方向への回転を持続させることにより前記第一製氷皿に捩り変形を与えて前記第一製氷皿から氷塊を離氷させるときには、前記第二製氷皿の前記当接部と前記第二阻止部とを干渉させずに空転させ、前記第二製氷皿の前記当接部が前記第二阻止部に当接した後前記駆動源の他方向への回転を持続させることにより前記第二製氷皿に捩り変形を与えて前記第二製氷皿から氷塊を離氷させるときには、前記第一製氷皿の前記当接部と前記第一阻止部とを干渉させずに空転させて、前記2基の製氷皿に加える負荷のタイミングをずらしたので、2基の製氷皿で離氷するとき、最大負荷が加わる捩れ動作のタイミングがずれ、モータトルクと、伝達機構の強度が従来の1軸製氷機と全く同じ構成で、スペース並びにコストを抑制して従来の2倍の製氷能力が発揮できるから附加価値の増大を図ることができる。
【0047】
また、1軸製氷機の機構をそのまま適用して1歯車列の追加だけで構成できるから、1軸と2軸に対する部品の共用が可能で2機種の製氷機を効率よく製造することができ、生産性が向上できる。さらに、1軸の機種に対して離氷に要する時間は倍増するが、高々数十秒の違いで2時間程度の製氷時間に比べると、その割合は僅かであるから製氷効率を阻害するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施例を説明する模式図で、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】図1(b)の2−2線に沿って機構の概略を示す正面図である。
【図3】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施例におけるカム機構の平面図である。
【図4】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施例における第一駆動例の動作説明図である。
【図5】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施例における第二駆動例の動作説明図である。
【図6】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施例における貯氷満タン時のタイムチャートである。
【図7】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置の実施例における貯氷量不足時のタイムチャートである。
【図8】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置における実施例の装置を制御するマイコンのフローチャートである。
【図9】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置における実施例の装置を初期化するときの動作説明図である。
【図10】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置における実施例の装置を時計回転により初期化するときのマイコンのフローチャートである。
【図11】本発明に係わる自動製氷機の駆動装置における実施例の装置を反時計回転により初期化するときのマイコンのフローチャートである。
【符号の説明】
1 原動歯車
2 第一歯車列
3 第一出力歯車
4 第二歯車列
5 第二出力歯車
6 サーミスタ
7 第一出力軸
8 第二出力軸
9 コントローラ
10 第一製氷皿
11 第二製氷皿
12 駆動装置
14 検氷レバー
16 当接部(第一製氷皿)
17 当接部(第二製氷皿)
18 第一阻止部
19 第二阻止部
20 検氷カム
21 SWカム
23 フォロア(検氷カム)
24 フォロア(SWカム)

Claims (1)

  1. 氷を製造する製氷位置から製氷皿を一方に回転して反転させた離氷位置で氷を落下させ、その後前記製氷皿を反対方向に回転することによって前記製氷位置に戻し、逐次氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、前記製氷皿を2基、一つの駆動源で同時に駆動するように構成し、前記製氷皿の各々が前記駆動源からの駆動力伝達側と反対側に、前記離氷位置の直前で前記製氷皿の回転がそれぞれの阻止部に当接して回転が阻止される当接部をそれぞれ備え、前記駆動源は、前記当接部が前記阻止部に当接した後も回転を持続させることにより、前記製氷皿に捩り変形を与えて前記製氷皿から氷塊を離氷させる構成で、前記阻止部として、前記駆動源を一方向に回転させると第一製氷皿の前記当接部のみが当接する位置に第一阻止部を設け、反対方向に回転させると第二製氷皿の前記当接部のみが当接する位置に第二阻止部を設け、前記第一製氷皿の前記当接部が前記第一阻止部に当接した後前記駆動源の一方向への回転を持続させることにより前記第一製氷皿に捩り変形を与えて前記第一製氷皿から氷塊を離氷させるときには、前記第二製氷皿の前記当接部と前記第二阻止部とを干渉させずに空転させ、前記第二製氷皿の前記当接部が前記第二阻止部に当接した後前記駆動源の他方向への回転を持続させることにより前記第二製氷皿に捩り変形を与えて前記第二製氷皿から氷塊を離氷させるときには、前記第一製氷皿の前記当接部と前記第一阻止部とを干渉させずに空転させて、前記2基の製氷皿に加える負荷のタイミングをずらしたことを特徴とする自動製氷機の駆動装置。
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