JP4027120B2 - 移動体システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品、機器を搬送する移動体システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体工場などにおいて、固定体に対して移動体が移動することで半導体部品の搬送や作業ロボットの移動等を行う移動体システムが用いられている。移動体システムにはリニアモータ方式やボールスクリュー方式等があるが、静粛性や固定体の同一軌道上に複数の移動体の配置が可能等の理由から、リニアモータ方式を用いる場合が次第に増えている。
リニアモータ方式の移動体システムでは、固定体側、移動体側それぞれに磁石を配置し、これらの磁石の反発力および吸引力を用いて移動体の移動を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
リニアモータ方式の移動体システムでは、磁石の磁力に引かれて鉄粉等の磁性材料の異物が移動体システム内に侵入し、固定体と移動体の間に挟まり、リニアモータを破壊する可能性がある。本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、内部への異物の侵入を防止できる移動体システムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に係る移動体システムは、固定磁石と、該固定磁石の一面と対向する第1の開口部を備え、かつ該固定磁石を内部に保持する固定ケースとを有する固定部と、前記固定磁石の前記一面と対向する面を備えた移動磁石を有し、該第1の開口部の一部を塞ぐと共に、前記固定磁石に対して移動可能な移動部と、前記移動部によって塞がれていない前記第1の開口部を、該移動部の移動に対応して塞ぐ第1の移動カバーとを具備した移動体システムにおいて、前記第1の移動カバーは、移動部を通る連続したシート部材であって、磁性体で形成されていることにより、前記第1の移動カバーが固定磁石に吸引されて第1の開口部を密閉可能とされ、前記移動部は、前記移動磁石に接続され前記固定ケースにおける前記第1の開口部の上方側に移動可能に設置された移動部基体と、回転可能な一対のカバー押圧用のローラと、回転可能な一対のカバー持上用のローラとを備え、前記カバー押圧用のローラは、夫々、前記移動部基体の進行方向の前後に、前記第1の移動カバーを上方から押圧して移動部が移動しても前記第1の移動カバーが常に前記第1の開口部を塞ぐように設置され、前記カバー持上用のローラは、夫々、前記一対のカバー押圧用のローラの間、且つ、前記移動部基体よりも上方位置に、前記第1の移動カバーを上方に持ち上げ前記第1の移動カバーと前記固定ケースとの間に前記移動部基体が位置する空間を形成するように設置されていることを特徴とする。
【0005】
本発明の請求項2に係る移動体システムは、固定磁石と、該固定磁石の一面と対向する第1の開口部を備え、かつ該固定磁石を内部に保持する固定ケースとを有する固定部と、前記固定磁石の前記一面と対向する面を備えた移動磁石を有し、該第1の開口部の一部を塞ぐと共に、前記固定磁石に対して移動可能な移動部と、前記移動部によって塞がれていない前記第1の開口部を、該移動部の移動に対応して塞ぐ第1の移動カバーとを具備した移動体システムにおいて、前記第1の移動カバーは、移動部を通る連続したシート部材であって、磁性体で形成されていることにより、前記第1の移動カバーが固定磁石に吸引されて第1の開口部を密閉可能とされ、前記移動部は、潤滑用カバーを備え、前記移動部の移動の際にこの潤滑用カバー上を前記第1の移動カバーが滑ることにより、前記移動部の移動の際の抵抗を軽減するようになされたものであることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項3に係る移動体システムが、前記固定部を覆い、かつ前記第1の開口部と対応する第2の開口部を有する外部カバーと、前記移動部に接続され、かつ前記第2の開口部の一部を塞ぐ移動部材と、前記移動部によって塞がれていない前記第2の開口部を、該移動部材の移動に対応して塞ぐ第2の移動カバーとをさらに具備してもよい。外部カバーの開口部を移動部材の移動に対応して塞ぐ第2の移動カバーを有することで、固定部内部への異物の侵入をより確実に防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動体システム10を表す斜視図である。また、図2は移動体システム10を上方(図1のZ軸方向)から見た状態を表す上面図であり、図3,4はそれぞれ移動体システム10を図1のX軸方向、Y軸方向から見た状態を表す一部断面図である。
図1〜4に示すように、移動体システム10は固定部(固定体)20,固定部20上をX軸方向に移動する移動部(移動体)30,固定部20と移動部30の間にあって固定部20内への異物の侵入を防止する移動カバー(シャッター)40から構成される。後述するように移動部30の移動はリニアモータ本体50によって行われる。
【0008】
固定部20は、固定ケース21、および固定ケース21内に設置された固定磁石23(第1の固定磁石23aおよび一対の第2の固定磁石23b)から構成される。固定ケース21は、固定ケース底板21a、固定ケース側板21b,固定ケース端板21c、および固定ケース上板21dからなり、固定ケース上板21dに開口部25を有している。第1の固定磁石23aは、その一面が固定ケース上板21dの開口部25と対向するように固定ケース底板21a上に設置されている。一方、一対の第2の固定磁石23bは、両者間の間隙が開口部25と対応するように固定ケース側板21bと固定ケース上板21dとの角部に対向して設置されている。固定磁石23aは、一体1つの、あるいは複数の固定磁石要素をX軸方向に配列して構成されている。一方、固定磁石23bは、互いに異なる磁気特性を有する2つの固定磁石要素を交互に配列して構成されている。固定磁石要素は、固定磁石23aと固定磁石23bそれぞれにおいて互いに対応するように配列され、移動部30を移動させるリニアモータ本体50の一部を構成する。
【0009】
移動部30は、所定の作業を実行するための機器等を適宜に保持する機器保持部として機能する。例えば、半導体部品実装作業を実行する場合には、半導体部品実装ヘッドや半導体部品搬送用ロボットなどが搭載され、単に半導体部品を搬送する作業を実行する場合には、半導体部品等を収容するラックなどが搭載される。なお、移動部30が搭載する作業用機器としては、半導体製造に関わるものに限定されるものではなく、他の用途に用いられるロボット等であってもよい。
【0010】
移動部30は、移動部基体31,移動磁石32,移動ケース33、およびローラ34a〜34dから構成される。
移動部基体31は略平板状であり固定ケース上板21dの上面上方に設置され固定部20上をX軸方向に移動する。
移動磁石32は、略直方体状であり、一端が移動部基体31に接続され、他端が開口部25を通して固定部20の内部に挿入されている。
移動磁石32は、その一面が第1の固定磁石23aと対向し、かつ一対の第2の固定磁石23b間に挟まれた状態となっており、固定磁石23(第1の固定磁石23aおよび第2の固定磁石23b)と組み合わされてリニアモータ本体50を構成する。
【0011】
リニアモータ本体50は、固定磁石23(第1の固定磁石23aおよび第2の固定磁石23b)と移動磁石32によって発生される磁界の反発力および吸引力によって動作し、固定部20に対して移動部30を移動できる。
この移動は、固定磁石23(第1の固定磁石23aおよび第2の固定磁石23b)または移動磁石32のいずれかの磁界の方向(N/S)を変化することで行われる。このため、固定磁石23と移動磁石32のいずれかが電磁石から構成される。即ち、固定磁石23と移動磁石32は、▲1▼固定磁石23が電磁石で移動磁石32が永久磁石、▲2▼固定磁石23が永久磁石で移動磁石32が電磁石、▲3▼固定磁石23、移動磁石32いずれも電磁石の3通りの組み合わせがあり得る。
【0012】
固定磁石23aと移動磁石32に対して、N,Sの磁極の内同じ磁極が互いに対向するようにされ、反発する磁力により、固定磁石23aは移動部20を浮上させるように作用する。
即ち、移動磁石32が一体の永久磁石あるいは電磁石とされる場合には、固定磁石23aも一体の永久磁石あるいは電磁石とされ、移動磁石32が複数の極性が交互に異なる電磁石あるいは永久磁石から構成され、且つ反発力が移動中常に作用するよう、移動磁石32と固定磁石32aの内少なくとも一方は電磁石とされる。
【0013】
移動ケース33は、移動ケース上板33a,移動ケース側板33b,移動ケース端板33cからなり、移動部基体31を覆うと共に、移動部基体31の側面と移動ケース側板33bにおいて接続されている。
【0014】
ローラ34a〜34dはそれぞれ、移動ケース33内にあって、シャフトによって移動ケース側板33bに回転可能に固定されている。この内、一対のカバー押圧用のローラ34a,34dは、移動部30の下方(Z軸負方向)、前後の進行方向(X軸正負方向)にそれぞれ設置されている。即ち、移動部30は、カバー押圧用のローラ34a,34dが回転することで、固定部20上を円滑に移動することができる。さらに、カバー押圧用のローラ34a,34dは、移動カバー40を上方から押圧して、移動部30が移動しても移動カバー40が常に開口部25を塞ぐようにしている。一対のカバー持上用のローラ34b,34cは、固定部20のやや中央上方寄りに設置されている。カバー持上用のローラ34b,34cは、移動カバー40を上方に持ち上げ、移動ケース33内に移動部基体31を設置する空間を確保している。
【0015】
移動カバー40は、シート状であり、その両端が固定部20(固定ケース端板21c)に固定されている。移動カバー40は、開口部25を覆うことで、固定部20内部への異物(特に金属粉等の磁性体)の侵入を防止している。ここで、移動カバー40を磁性体(例えば、金属シート、磁性体粉末を分散含有させた樹脂シート)から構成することで、開口部25から固定部20内部への異物の侵入をより強力に防止できる。磁性体が固定ケース上板21dを通して第2の固定磁石23bに吸引されることで、移動カバー40を固定ケース上板21dに密着する。このためには、固定ケース上板21dの板厚を薄くしたり(例えば、0.2mm以下程度)、固定ケース上板21dを磁性体から構成したりして、第2の固定磁石23bに起因する磁界が固定ケース上板21dの上面上で大きくなるようにするのが好ましい。なお、第1の固定磁石23aも第2の固定磁石23bと同様に、磁性体から構成された移動カバー40を吸引し得る。移動カバー40は、移動ケース33の内部において、カバー押圧用のローラ34a,34dと固定ケース上板21dの上面との間に挟まれ、さらにカバー持上用のローラ34b、34cによって上方に持ち上げられている。
【0016】
次に移動体システム10の動作について説明する。既に述べたように、リニアモータ本体50が動作することで、移動部30が固定部20上をX軸に沿って移動する。移動カバー40は、移動部30が移動する際にもカバー押圧用のローラ34a、34dによって固定ケース上板21dの上面上に押圧され、開口部25を覆うことで固定部20内部への異物の侵入を防止する。移動部30においても、移動部基体31が、さらには持ち上げられる移動カバー40と両側の移動ケース側板33bとが、固定部20の上側の開口すなわち対向配置される固定磁石23の間の間隙の上端を覆い、間隙への異物の侵入を防止する。このため、移動カバー40と両側の移動ケース側板33bとの隙間、移動ケース側板33bの下端と固定部20の上面との隙間は小さくされる。
【0017】
移動部30が移動すると、移動カバー40が持ち上げられた箇所(ローラ34a〜34dで形成された空間)も移動する。この結果、移動部30が移動しても移動部基体31が設置される空間が常に確保される。さらに、ローラ34a〜34dが回転することで、大きな抵抗を受けることなく、移動部30を移動することができる。
【0018】
以上のように、移動カバー40によって開口部25を密閉することで、固定部20内部への異物の侵入が防止される。移動カバー40を磁性体で形成すると、固定磁石23に吸引されることで、固定部20内部への異物の侵入をより確実に防止できる。
【0019】
また、ローラ34a〜34dは、移動部30の移動の際の抵抗の軽減に寄与する。ここで、カバー押圧用のローラ34a,34dの前に移動カバー40の表面に付着する異物を除去するための異物除去部材(例えば、ブラシ)を配置することができる。移動ケース33内における固定部20内部への異物の侵入をより確実に防止できる。
【0020】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る移動体システム110を表す斜視図である。また、図6は移動体システム110を図5のY軸方向から見た状態を表す一部断面図である。
図5,6に示すように、移動体システム110は固定部20,固定部20上をX軸方向に移動する移動部(移動体)130,固定部(固定体)20と移動部130の間にあって固定部20内への異物の侵入を防止する移動カバー(シャッター)140から構成される。
【0021】
移動部130は、移動部基体31,移動磁石32、および潤滑用カバー35から構成される。
【0022】
潤滑用カバー35は、移動部基体31を覆い移動部130の移動の際における移動カバー140の抵抗を軽減する。潤滑用カバー35上を移動カバー140が滑ることから、摩耗が少なくかつ滑りやすい材料、例えば樹脂材料から構成される。
移動カバー140は、シート状であり、その両端が固定部20に固定されている。移動カバー140は、開口部25を覆うことで、固定部20内部への異物(特に金属粉等の磁性体)の侵入を防止している。ここで、移動カバー140を磁性体(例えば、金属シート、磁性体粉末を分散含有させた樹脂シート)から構成することで、移動カバー140を固定カバー上板21dに密着させ、固定部20内部への異物の侵入をより強力に防止できる。移動カバー140は、移動部基体31上において、潤滑用カバー35と接触する。
【0023】
以上のように、移動カバー140によって開口部25が覆われることで、固定部20内部への異物の侵入が防止される。移動カバー140を磁性体で形成すると、固定磁石23に吸引されることで、固定部20内部への異物の侵入をより確実に防止できる。また、潤滑用カバー35は、移動部130の移動の際の抵抗の軽減に寄与する。
これ以外の点では、第1の実施形態と大きく変わるところがないので、説明を省略する。
【0024】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る移動体システム210を表す斜視図である。また、図8は移動体システム210を図7のY軸方向から見た状態を表す側面図である。
図7,8に示すように、移動体システム210は固定部20,固定部20上をX軸方向に移動する移動部(移動体)230,固定部(固定体)20と移動部230の間にあって固定部20内への異物の侵入を防止する移動カバー(シャッター)240、およびローラ251〜254から構成される。
【0025】
移動部230は、移動部基体31,移動磁石32から構成される。
移動カバー240は、シート状であり、その両端が移動部基体31の前後端に固定され、ローラ251〜254によって固定部20の周囲を一周している。移動カバー240は、開口部25を覆うことで、固定部20内部への異物(特に金属粉等の磁性体)の侵入を防止している。移動カバー240は移動部230の移動に伴い、固定部20の周囲を回転する。
【0026】
ローラ251〜254は、それぞれシャフトによって家屋等に回転可能に接続される。移動部230の移動の際にローラ251〜254が回転することで、移動カバー240が大きな抵抗を受けることなく固定部20の周囲を回転できる。
【0027】
ここで、移動カバー240を磁性体(例えば、金属シート、磁性体粉末を分散含有させた樹脂シート)から構成することで、移動カバー240を固定カバー上板21dに密着させ、固定部20内部への異物の侵入をより強力に防止できる。
【0028】
以上のように、移動カバー240によって開口部25を覆うことで、固定部20内部への異物の侵入が防止される。移動カバー240を磁性体で形成すると、固定磁石23に吸引されることで、固定部20内部への異物の侵入をより確実に防止できる。また、ローラ251〜254は、移動部230の移動の際の抵抗の軽減に寄与する。
これ以外の点では、第1の実施形態と大きく変わるところがないので、説明を省略する。
【0029】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る移動体システム310を表す斜視図である。また、図10,11はそれぞれ移動体システム310を図9のX軸方向、Y軸方向から見た状態を表す一部断面図である。
図9〜11に示すように、移動体システム310は固定部20,固定部20上をX軸方向に移動する移動部(移動体)330,固定部(固定体)20と移動部330の間にあって固定部20内への異物の侵入を防止する移動カバー(シャッター)340から構成される。
【0030】
移動部330は、移動部基体31,移動磁石32から構成される。
移動カバー340は、シート状の移動カバー要素341,342から構成される。移動カバー要素341,342はそれぞれ、樹脂材料等の弾性材料から構成され、両端および側辺の一方が固定部20の両側辺それぞれに固定され、かつ他の側辺が互いに重なり合っている。
移動カバー340は移動部基体31と共に、開口部25を覆い、固定部20内部への異物の侵入を防止している。移動部基体31が移動するときには、移動カバー340がその弾力性により伸縮することと、移動カバー要素341,342の重なり合う箇所がずれることで、移動部330の移動に対応し固定部20の上面が覆われた状態を保持する。
移動部基体31の大きさによっては、図9に示したように移動部基体31上に移動カバー340で覆われない箇所が生じることもあるが、固定部20上の移動部基体31が存在しない箇所が移動カバー340で覆われていれば大きな問題とはならない。
【0031】
以上のように、移動カバー340によって開口部25を覆うことで、固定部20内部への異物の侵入が防止される。このとき、移動カバー340の弾力性、および移動カバー要素341、342同士のズレが、固定部20内部への異物の侵入防止に寄与する。
これ以外の点では、第1の実施形態と大きく変わるところがないので、説明を省略する。
【0032】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5の実施形態に係る移動体システム410を表す斜視図である。また、図13は移動体システム410を図12のY軸方向から見た状態を表す一部断面図である。
図12,13に示すように、移動体システム410は固定部20,固定部20上をX軸方向に移動する移動部(移動体)430,固定部(固定体)20と移動部430の間にあって固定部20内への異物の侵入を防止する移動カバー(シャッター)440から構成される。
【0033】
移動部430は、移動部基体31,移動磁石32から構成される。
移動カバー440は、X軸方向に伸縮可能な蛇腹状の移動カバー要素441,442から構成される。移動カバー要素441,442はそれぞれ、両端が固定ケース上板21dの端部および移動部基体31に固定されている。移動カバー440は、開口部25を覆い、固定部20内部への異物の侵入を防止している。そして、移動カバー要素441,442がX軸方向に伸縮することで、移動部430の移動に対応する
これ以外の点では、第1の実施形態と大きく変わるところがないので、説明を省略する。
【0034】
(第6実施形態)
図14は、本発明の第6の実施形態に係る移動体システム510を表す一部断面図であり、図3と対応している。図14に示すように、移動体システム510の固定部520は第2の固定磁石23bを有せず、磁石としては第1の固定磁石23aと対応する固定磁石523のみを有している。この結果、リニアモータ本体550は移動磁石32と固定磁石523のみから構成される。
【0035】
固定磁石523は電磁石からなる固定磁石要素(図示せず)をX軸方向に多数並べて形成される。固定磁石要素は、移動磁石32と対向する部分において移動磁石32の磁極と同じ磁極が互いに対向するように励磁されると共に、移動磁石32と対向する部分から移動先方向に外れる位置においては、移動磁石32の磁極と異なる磁極となるように励磁される。一方、移動磁石32と対向する部分から反移動先方向に外れる位置においては、移動磁石32と対向する部分と同様に固定磁石要素は、移動磁石32の磁極と同じ磁極となるように励磁される。図14では、第1の実施形態で示した移動カバー40を用いて開口部25を覆い、固定部20内部への異物の侵入を防止しているが、これは第1〜第5の実施形態のいずれに示した手段を用いても達成することができる。これ以外の点では、第1の実施形態と大きく変わるところがないので、説明を省略する。
【0036】
(第7実施形態)
図15は、本発明の第7の実施形態に係る移動体システム610を表す一部断面図であり、図3と対応している。図15に示すように、移動体システム610は移動体システム10をさらに外部ケース660で覆い、その開口部661から移動体システム10に接続された保持部670を突き出した構成をしている。
【0037】
外部ケース660は、開口部661を有する外部ケース上板662,外部ケース側板663,外部ケース端板(図示せず),外部ケース底板665から構成された略直方体の外形をしている。
【0038】
保持部670は保持部上板671および保持部底板672から構成され、保持部底板672が移動体システム10の移動部30に接続されている。この結果、リニアモータ本体50を動作することで、保持部670がX軸に沿って移動することになる。
【0039】
移動体システム610では、外部から固定部20内へ侵入する異物は外部ケース660の開口部661を通過する。従って、開口部661に異物の侵入を防止する手段を設置することで固定部20内部への異物の侵入をより確実に防止できる。この手段として、第1〜第6の実施形態に示した異物侵入防止手段を適用することができる。
【0040】
移動体システム610においては、この一例として、第4の実施形態に示した移動カバー340に対応する移動カバー640を用いている。第4の実施形態と同様に移動カバー640は移動カバー要素641,642から構成され、その弾力性等によって保持部670の移動に対応して開口部661を遮蔽した状態を保持している。
【0041】
開口部661の遮蔽による異物の侵入防止は、第1〜第6の実施形態のいずれに示した手段を用いても達成することができる。また、固定ケース21側での異物の侵入防止は、図15に示した第1の実施形態に対応する手段の他、第2〜第6の実施形態で示した手段のいずれを用いることができる。このように、外部ケース660側、固定ケース21側それぞれで適宜に異物侵入防止手段を併用できる。また、異物の侵入防止手段を外部ケース660側、固定ケース21側のいずれか一方のみとすることも可能である。さらに、第7の実施形態においては、両端が外部ケース端板に固定されるリニアガイド35(図示のように1本、あるいはZ軸方向に離間して複数本)が移動磁石32を貫通しX軸方向に配設される。リニアガイド35は、移動部30および保持部670を、Z軸方向およびY軸方向の移動を規制する。複数本の場合には、移動磁石32のX軸回りの回転方向にも規制する。第1〜5実施形態において、同様のリニアガイド35を採用することで、固定磁石23aを廃止でき、第6実施形態においても、同様のリニアガイド35を採用することにより、移動部30を所定のY軸位置、Z軸位置に確実に保持しつつ、X軸方向に移動可能とする。
【0042】
さらにまた、第1〜第7の実施形態において、移動部30(あるいは130,230,330,430のそれぞれ)の固定部20に対する位置を電気的あるいは機械的に検知する位置検出手段を設けることで、検知位置を目標位置に一致させるようフィードバック制御を掛けながら移動部(あるいは130,230,330,430のそれぞれ)を移動させることが可能となり、所望の位置に正確に移動させることが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば内部への異物の侵入を防止できる移動体システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る移動体システムを表す斜視図である。
【図2】 図1に示した移動体システムを上方から見た状態を表す上面図である。
【図3】 図1に示した移動体システムの一部を取り除いた状態を表す一部断面図である。
【図4】 図1に示した移動体システムの一部を取り除いた状態を表す一部断面図である。
【図5】 本発明の第2実施形態に係る移動体システムを表す斜視図である。
【図6】 図5に示した移動体システムの一部を取り除いた状態を表す一部断面図である。
【図7】 本発明の第3実施形態に係る移動体システムを表す斜視図である。
【図8】 図7に示した移動体システムを側面から見た状態を表す側面図である。
【図9】 本発明の第4実施形態に係る移動体システムを表す斜視図である。
【図10】 図9に示した移動体システムの一部を取り除いた状態を表す一部断面図である。
【図11】 図9に示した移動体システムの一部を取り除いた状態を表す一部断面図である。
【図12】 本発明の第5実施形態に係る移動体システムを表す斜視図である。
【図13】 図12に示した移動体システムの一部を取り除いた状態を表す一部断面図である。
【図14】 本発明の第6実施形態に係る移動体システムを表す一部断面図である。
【図15】 本発明の第7実施形態に係る移動体システムを表す一部断面図である。
【符号の説明】
10…移動体システム、20…固定部、21…固定ケース、23(23a,23b)…固定磁石、25…開口部、30…移動部、31…移動部基体、32…移動磁石、33…移動ケース、34(34a〜34d)…ローラ、35…潤滑用カバー、40…移動カバー、50…リニアモータ本体
Claims (3)
- 固定磁石と、該固定磁石の一面と対向する第1の開口部を備え、かつ該固定磁石を内部に保持する固定ケースとを有する固定部と、前記固定磁石の前記一面と対向する面を備えた移動磁石を有し、該第1の開口部の一部を塞ぐと共に、前記固定磁石に対して移動可能な移動部と、前記移動部によって塞がれていない前記第1の開口部を、該移動部の移動に対応して塞ぐ第1の移動カバーとを具備した移動体システムにおいて、
前記第1の移動カバーは、移動部を通る連続したシート部材であって、磁性体で形成されていることにより、前記第1の移動カバーが固定磁石に吸引されて第1の開口部を密閉可能とされ、
前記移動部は、前記移動磁石に接続され前記固定ケースにおける前記第1の開口部の上方側に移動可能に設置された移動部基体と、回転可能な一対のカバー押圧用のローラと、回転可能な一対のカバー持上用のローラとを備え、
前記カバー押圧用のローラは、夫々、前記移動部基体の進行方向の前後に、前記第1の移動カバーを上方から押圧して移動部が移動しても前記第1の移動カバーが常に前記第1の開口部を塞ぐように設置され、
前記カバー持上用のローラは、夫々、前記一対のカバー押圧用のローラの間、且つ、前記移動部基体よりも上方位置に、前記第1の移動カバーを上方に持ち上げ前記第1の移動カバーと前記固定ケースとの間に前記移動部基体が位置する空間を形成するように設置されていることを特徴とする移動体システム。 - 固定磁石と、該固定磁石の一面と対向する第1の開口部を備え、かつ該固定磁石を内部に保持する固定ケースとを有する固定部と、前記固定磁石の前記一面と対向する面を備えた移動磁石を有し、該第1の開口部の一部を塞ぐと共に、前記固定磁石に対して移動可能な移動部と、前記移動部によって塞がれていない前記第1の開口部を、該移動部の移動に対応して塞ぐ第1の移動カバーとを具備した移動体システムにおいて、
前記第1の移動カバーは、移動部を通る連続したシート部材であって、磁性体で形成されていることにより、前記第1の移動カバーが固定磁石に吸引されて第1の開口部を密閉可能とされ、
前記移動部は、潤滑用カバーを備え、前記移動部の移動の際にこの潤滑用カバー上を前記第1の移動カバーが滑ることにより、前記移動部の移動の際の抵抗を軽減するようになされたものであることを特徴とする移動体システム。 - 前記固定部を覆い、かつ前記第1の開口部と対応する第2の開口部を有する外部カバーと、
前記移動部に接続され、かつ前記第2の開口部の一部を塞ぐ移動部材と、前記移動部によって塞がれていない前記第2の開口部を、該移動部材の移動に対応して塞ぐ第2の移動カバーとをさらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の移動体システム。
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