JP4026893B2 - 給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、供給された水を加熱して給湯する給湯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4には給湯器のシステム構成がモデル図により示されている。この給湯器(器具)は、器具ケース1内にバーナ2を有し、このバーナ2には該バーナ2に燃料ガスを導くためのガス供給通路3が接続されている。ガス供給通路3には該通路の開閉を行う電磁弁4,5と、弁開度でもってバーナ2への燃料ガスの供給量を制御する比例弁6とが介設されている。
【0003】
上記バーナ2の上方には給湯熱交換器8が設けられ、この給湯熱交換器8の入側には水供給源の水を給湯熱交換器8に供給するための給水通路10が接続され、この給水通路10には該通路を流れる通水流量を検出する水量センサ11と、給湯熱交換器8に流れ込む入水温度を検出する入水サーミスタ12とが設けられている。
【0004】
また、給湯熱交換器8の出側には該給湯熱交換器8から流れ出た湯水を台所やシャワー等の給湯場所に導くための給湯通路14が接続されている。給湯熱交換器8の出側の給湯通路14には給湯熱交換器8から流れ出た湯水の温度を検出するための給湯サーミスタ15が設けられている。
【0005】
さらに、この給湯器には給湯運転等を制御する制御装置16が設けられ、この制御装置16にはリモコン17が信号接続されている。上記リモコン17には給湯温度を設定するための給湯温度設定手段や、給湯設定温度等を表示する表示部等が設けられている。上記制御装置16は次のように給湯運転を制御する。
【0006】
例えば、給湯通路14の先端側に介設された台所やシャワー等の給湯栓(図示せず)が開栓され、水量センサ11が給水通路10の通水を検知すると、電磁弁4,5を開弁してバーナ2へ燃料ガスを供給しバーナ2の燃焼を開始させ、バーナ2の燃焼火炎の熱による給湯熱交換器8の通水加熱を開始し、給湯される湯温がリモコン17に設定されている給湯設定温度となるようにバーナ2の加熱熱量を比例弁6の弁開度でもって(つまり、バーナ2への供給燃料ガス量を制御することで)制御し、給湯熱交換器8で作り出された湯を所望の給湯場所に供給する。
【0007】
そして、上記給湯栓が閉栓され、水量センサ11が給水通路10の通水停止を検知すると、電磁弁4,5を閉弁してバーナ2の燃焼を停止し、給湯運転を終了する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、給湯熱交換器8内の水温が給湯設定温度よりもかなり低めである状態から給湯栓が開栓されて給湯運転が開始されたときには、上記給湯熱交換器8内に滞留していた給湯設定温度よりもかなり低めの温度の水が給湯通路14を通って給湯された後に、バーナ2の燃焼熱により給湯熱交換器8で加熱された湯が給湯されることから、給湯設定温度の湯が給湯されるまでに多くの時間を要するという問題がある。
【0009】
そこで、次に示すように給湯熱交換器8内の滞留湯水の保温を行って、給湯が開始されたときには給湯設定温度の湯を瞬時に給湯することができるようにする保温制御の手法が提案されている。
【0010】
例えば、給湯器の電源が投入された以降の給湯運転停止中に、例えば給湯サーミスタ15のセンサ出力を給湯熱交換器8内に滞留している湯水温度として監視し、給湯サーミスタ15により検出された給湯熱交換器8の湯水温度が予め定めた燃焼作動温度(例えば、リモコン17に設定されている給湯設定温度よりも予め定めた温度(例えば、4℃)だけ低めの温度、又は、給湯設定温度に関係なく予め定めた固定の温度(例えば、33℃))に低下したときには、例えば、予め定めた最小加熱熱量で予め定めた短時間(例えば、数秒間)だけバーナ2を燃焼させ給湯熱交換器8内の滞留湯水の温度を高めるチョイ点火を行い給湯熱交換器8内の滞留湯水を保温する。このような保温機能を備えることで、例えば、朝1番で給湯が開始されたときにも、給湯設定温度の湯を瞬時に給湯することができる。
【0011】
しかしながら、上記保温機能によるチョイ点火は給湯熱交換器8内の湯水の有無に拘らず行われるので、例えば、冬季に、給湯器内の水が凍結するのを防止するために、就寝前に給湯器内の水が抜かれ給湯熱交換器8内に水が無い場合にも上記保温機能が作動し、給湯熱交換器8内に水が無いのにバーナ2のチョイ点火が行われ、給湯熱交換器8が空焚きとなってしまうという問題発生の虞がある。
【0012】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、給湯熱交換器内の湯水の有無を自動的に判断する制御構成を備えて、給湯熱交換器の空焚きを確実に防止することができる給湯器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は次のような構成をもって前記課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタを加熱するための加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が開始された直後の時間の経過に対する給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の傾きが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0014】
第2の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタを加熱するための加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が開始されてから予め定めた微小な時間を経過したときに給湯サーミスタから出力された信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0015】
第3の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタを加熱するための加熱手段と;給湯サーミスタから出力された信号のレベルを監視する信号レベル監視部と;上記加熱手段による給湯サーミスタの加熱が開始された以降に、上記信号レベル監視部により監視された給湯サーミスタの出力飽和値が予め定めたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0016】
第4の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、予め定められたタイミングで給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が停止した直後の時間の経過に対する給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の傾きが予め定められたしきい値よりも小さいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成と成し、前記しきい値は給湯熱交換器内に湯水が無い場合における給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の下降傾きよりも大きく、かつ、給湯熱交換器内に湯水が有る場合における給湯サーミスタの出力信号レベル変化の下降傾きよりも小さい値によって設定されている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0017】
第5の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、給湯サーミスタの出力信号レベルが予め定めたレベルに達したときに給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が停止してから予め定められた微小な時間を経過したときに給湯サーミスタから出力された信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成と成し、前記しきい値は給湯熱交換器内に湯水が無い場合における給湯サーミスタの出力信号レベルよりも小さく、かつ、給湯熱交換器内に湯水が有る場合における給湯サーミスタの出力信号レベルよりも大きい値によって設定されている構成をもって前記課題を解決する手段としている。また、第6の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、給湯サーミスタの出力信号レベルが予め定めたレベルに達したときに給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が停止した時点を起点としてその加熱停止時点から予め定められた微小な時間を経過したときに給湯サーミスタから出力された信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0018】
第7の発明は、供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、予め定められたタイミングで給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;給湯サーミスタから出力された信号のレベルを監視する信号レベル監視部と;上記加熱手段による給湯サーミスタの加熱の停止後に、上記信号レベル監視部により監視された給湯サーミスタの出力下方安定値が予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0019】
第8の発明は、上記第1〜第7の発明のうちの1つの発明の構成に加えて、給湯熱交換器内に滞留している湯の温度が予め定めた燃焼作動温度に低下したときにバーナ燃焼を開始させ給湯熱交換器内の湯を加熱して保温する保温制御部が設けられており、給湯熱交換器湯水有無判断部から水無し信号が出力されたときには、上記保温制御部は保温動作を停止する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0020】
上記構成の発明において、給湯熱交換器又はその近傍に配設された給湯サーミスタを加熱手段により加熱する。給湯サーミスタから出力される信号レベルは加熱開始直後には時間の経過と共に上昇し、その信号レベルの上昇傾向は給湯熱交換器内に水が有る場合よりも水が無い場合の方が急激である。また、給湯サーミスタを加熱し続けると、給湯サーミスタの出力信号レベルは給湯熱交換器内の湯水の有無によってそれぞれ異なる出力飽和値に達し、給湯熱交換器内に湯水が無い場合の出力飽和値は水が有る場合の出力飽和値よりも大きい。
【0021】
さらに、上記給湯サーミスタを加熱して給湯サーミスタの出力信号レベルが上昇した後に給湯サーミスタの加熱を停止した場合、給湯サーミスタから出力される信号レベルは加熱停止直後には時間の経過と共に下降し、その信号レベルの下降傾向は給湯熱交換器内に水が有る場合よりも水が無い場合の方が緩やかである。さらにまた、加熱停止してから時間が経つと、給湯サーミスタの出力信号レベルは給湯熱交換器内の湯水の有無によってそれぞれ異なる出力下方安定値で安定し、給湯熱交換器内に湯水が無い場合の出力下方安定値は水が有る場合の出力下方安定値よりも大きい。
【0022】
上記の如く、給湯サーミスタの加熱を開始した以降の給湯サーミスタ出力信号レベルの上昇傾向や出力飽和値、また、加熱停止した後の給湯サーミスタ出力信号レベルの下降傾向や出力下方安定値は給湯熱交換器に水が有る場合と水が無い場合とで異なることから、この発明では、この点に着目し、給湯熱交換器湯水有無判断部は、加熱開始後の給湯サーミスタ出力信号レベルの上昇傾向又は出力飽和値、又は、加熱停止後の給湯サーミスタ出力信号レベルの下降傾向又は出力下方安定値を利用して給湯熱交換器内の湯水の有無を判断し、給湯熱交換器内に水が無いと判断したときには、水無し信号を出力する。この水無し信号が出力された後には、例えば、保温制御部による保温動作が停止され、給湯熱交換器内に水が無いときにはバーナ燃焼が行われず、給湯熱交換器の空焚きが防止される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を説明する。この実施形態例は前記図4に示すシステム構成を有し、図1には本実施形態例において特徴的な制御構成がブロック図により示されている。本実施形態例に示す制御装置16は、図1に示すように、前述したような保温機能を制御する保温制御部18に加えて、加熱手段20と、信号レベル監視部21と、給湯熱交換器湯水有無判断部22とを有して構成されている。
【0024】
保温制御部18は、前述したように、給湯燃焼の停止中に予め定めた時間間隔で給湯サーミスタ15のセンサ出力を給湯熱交換器8内の湯水温度として検出し、該給湯サーミスタ15により検出された湯水温度を予め定められている燃焼作動温度(例えば、給湯設定温度よりも予め定められた温度分だけ低めの温度、又は、給湯設定温度に関係なく予め定めた固定の温度)に比較し、上記検出された給湯熱交換器8の湯水温度が燃焼作動温度以下であると判断したときには、予め定めた加熱熱量(例えば、予め定まる最小加熱熱量)で予め定めた期間(例えば、数秒間)だけバーナ2の給湯燃焼を行うチョイ点火を行わせ、給湯熱交換器8内の滞留湯水の保温を行う。
【0025】
加熱手段20は、例えば、給湯運転停止中に予め定められた時間間隔(例えば、20分間隔)毎に給湯熱交換器湯水有無判断部22から出力される加熱指令を受けて、給湯サーミスタ15自体を発熱させることができ、かつ、給湯サーミスタ15の熱破損の虞がない電圧又は電流を給湯サーミスタ15に通電し、給湯サーミスタ15を発熱させる。
【0026】
上記給湯サーミスタ15は抵抗成分を有し、この抵抗成分は、表1に示すように、給湯サーミスタ15自体の温度に応じた抵抗値を示し、この抵抗値によって定まるレベルをもつ出力信号が給湯サーミスタ15から出力される。通常、給湯サーミスタ15には予め定めた発熱しない電圧(又は電流)が通電されており、給湯サーミスタ15の温度は給湯熱交換器8内の湯水温度の変化に伴って変化する。この給湯サーミスタ15の温度変化により上記給湯サーミスタ15の抵抗成分の抵抗値が変化して給湯サーミスタ15から出力される信号はレベルが可変するので、給湯サーミスタ15は給湯熱交換器8内の湯温に対応したレベルをもつ信号を出力することができる。
【0027】
【表1】
【0028】
信号レベル監視部21は、上記加熱手段20の動作情報を取り込み、該動作情報に基づき加熱手段20により給湯サーミスタ15の加熱が開始されたことを検知した以降に、給湯サーミスタ15の抵抗値に対応したレベルを持つ出力信号を時々刻々と取り込み、この取り込んだ給湯サーミスタ15の出力信号のレベルを給湯サーミスタ15の加熱開始からの経過時間に対応させて内蔵のメモリ(図示せず)に格納する。
【0029】
なお、加熱するための電圧又は電流を給湯サーミスタ15に通電しながら、該給湯サーミスタ15の発熱による抵抗値変化に伴う給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化を監視することは困難であるので、次のようにして熱交サーミスタ15の出力信号のレベルを監視する。例えば、給湯サーミスタ15に発熱させるための予め定めた一定の電流を通電し、この状態で、給湯サーミスタ15の入力側と出力側間の両端電圧を測定し、該測定した両端電圧とオームの法則に基づき給湯サーミスタ15の抵抗値を算出して該抵抗値に対応した給湯サーミスタ15の出力信号レベルを予め定めた演算に基づいて算出する。
【0030】
また、給湯サーミスタ15に発熱させるための予め定めた一定の電圧を通電し、この状態で、給湯サーミスタ15に流れる電流を測定し、該測定した電流とオームの法則に基づき給湯サーミスタ15の抵抗値を算出して該抵抗値に対応した給湯サーミスタ15の出力信号レベルを予め定めた演算に基づいて算出してもよい。
【0031】
さらに、給湯サーミスタ15を発熱させることが可能な電圧又は電流を給湯サーミスタ15の抵抗値の変化に応じて可変しながら熱交サーミスタ15に通電し、上記熱交サーミスタ15へ供給した電圧と電流とオームの法則に基づき上記の如く給湯サーミスタ15の抵抗値を算出して該抵抗値に対応した給湯サーミスタ15の出力信号レベルを予め定めた演算に基づいて算出してもよい。
【0032】
さらに、給湯サーミスタ15の発熱量が予め定めた発熱量に一致する方向に予め定めた制御手法により熱交サーミスタ15に供給する電圧と電流を、例えば、図5に示すように、変化させて上記の如く給湯サーミスタ15の出力信号レベルを算出してもよい。
【0033】
上記の如く加熱手段20により給湯サーミスタ15の加熱が開始された直後には、給湯サーミスタ15の発熱によって給湯サーミスタ15の抵抗値が変化し、図2のグラフに示すように、給湯サーミスタ15から出力される信号のレベルは時間の経過と共に上昇し、この給湯サーミスタ15の加熱開始直後の時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾き(上昇傾向)は給湯熱交換器8内に湯水が有る場合よりも湯水が無い場合の方が急激である。また、給湯サーミスタ15の加熱を継続して行うと、上記給湯サーミスタ15の出力信号レベルは給湯熱交換器8内の湯水の有無によってそれぞれ異なる出力飽和値に達し、給湯熱交換器8内に湯水が無い場合の出力飽和値Kkhは給湯熱交換器8内に湯水が有る場合の出力飽和値Kmhよりも大きい。
【0034】
給湯熱交換器湯水有無判断部22は加熱手段20の動作情報を取り込み、該動作情報に基づき加熱手段20により給湯サーミスタ15の加熱が開始されたことを検知した以降に、給湯熱交換器8内の湯水の有無を次に示す第1〜第6の手法のうちの1個以上の手法により判断する構成を有する。
【0035】
まず、第1の手法は、給湯熱交換器8内の湯水の有無によって異なる給湯サーミスタ加熱開始直後の給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾きを利用して給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断する手法である。
【0036】
前述したように、給湯サーミスタ15の加熱を開始した直後の給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾きは、給湯熱交換器8内に水が無い場合の方が水が有る場合よりも大きく、上記給湯熱交換器8内に水が無い場合の上記出力信号レベルの変化の上昇傾きと、給湯熱交換器8内に水が有る場合の上記出力信号レベルの変化の上昇傾きとは予め定まることから、給湯サーミスタ15の加熱開始直後の給湯サーミスタ15からの出力信号レベルの変化の上昇傾きM1によって給湯熱交換器8内の湯水に有無を判断することができるしきい値Ssmを予め求め与えておくことができる。このことから、第1の手法では、上記しきい値Ssmが予め求め与えられている。
【0037】
第1の手法では、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱が開始されると、その加熱開始直後の、時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾きを求める。具体的には、信号レベル監視部21に格納された給湯サーミスタ15の出力信号レベルと該出力信号に対応する加熱開始からの経過時間との情報に基づき、例えば、加熱開始から時間T1が経過したときの給湯サーミスタ15の出力信号のレベルがK1であり、加熱開始から上記時間T1よりも僅かに長い時間T2が経過したときの給湯サーミスタ15の出力信号のレベルがK2であるときには、時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの傾きM1を、M1=(K2−K1)/(T2−T1)の演算式に従って、求める。
【0038】
また、給湯サーミスタ15の加熱を開始してから予め定められた図2に示す時間Thu(つまり、給湯熱交換器8内に湯水が無い場合に給湯サーミスタ15の出力信号のレベルが出力飽和値にほぼ達する時間)を経過するまでの間、予め定めた時間間隔毎に、上記時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾きを複数求め、それら求めた傾きの平均値を求めて、その平均値を給湯サーミスタ15の加熱開始直後の時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾きM1として求めるようにしてもよい。
【0039】
上記のように求められた給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の上昇傾きM1を上記しきい値Ssmに比較し、上記上昇傾きM1が上記しきい値Ssmよりも大きいと判断したときには、給湯熱交換器8内に湯水が無いと判断し、それ以外は給湯熱交換器8内に湯水が有ると判断する。
【0040】
第2の手法は、給湯サーミスタ15の加熱開始直後に給湯サーミスタ15から出力される信号レベルが給湯熱交換器8内の湯水の有無によって異なる現象を利用して給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断する手法である。
【0041】
給湯サーミスタ15の加熱が開始されてから予め定められた微小な時間、例えば給湯サーミスタ15の出力信号レベルが出力飽和値に達する前の図2に示すΔt1が経過したときには、図2に示すように、給湯サーミスタ15の出力信号レベルは給湯熱交換器8内に水が無い場合の方が水有りの場合よりも大きく、給湯熱交換器8内に水が有る場合の給湯サーミスタ15の出力信号レベルKmzと、水が無い場合の給湯サーミスタ15の出力信号レベルKkkとは給湯サーミスタ15の加熱開始時の出力信号レベルKonからそれぞれ予め定まる上昇量(水有りの場合は図2に示すΔK1、水無しの場合は図2に示すΔK2)を上昇させた値であり予め定まることから、第2の手法では、給湯サーミスタ15の加熱が開始されてから予め定めた微小な時間Δt1を経過したときの給湯サーミスタ15の出力信号レベルによって給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断するためのしきい値Ssnを求めるための次式(1)に示すしきい値演算式データが予め与えられている。
【0042】
Ssn=Kon+ΔK・・・・・(1)
【0043】
ただし、上記式(1)に示すKonは給湯サーミスタ15の加熱が開始されたときに給湯サーミスタ15から出力された信号のレベルであり、ΔKは上記ΔK1よりも大きく、かつ、ΔK2よりも小さい予め定めた定数である。
【0044】
第2の手法では、加熱手段20により給湯サーミスタ15の加熱が開始されたときの出力信号レベルKonを信号レベル監視部21から読み出し、この読み出した出力信号レベルKonと上記しきい値演算式データに基づいて、しきい値Ssnを求める。
【0045】
そして、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱が開始されてから予め定められた微小な時間Δt1を経過したときの給湯サーミスタ15の出力信号レベルを信号レベル監視部21から読み出し、この読み出した信号レベルを上記求めたしきい値Ssnに比較し、上記検出した信号レベルがしきい値Ssnよりも大きいときには給湯熱交換器8内に湯水が無いと判断し、それ以外のときには給湯熱交換器8内に湯水が有ると判断する。
【0046】
第3の手法は、給湯サーミスタ15の加熱を開始してからしばらく経つと、給湯サーミスタ15の出力信号レベルは飽和状態に達し、その給湯サーミスタ15の出力信号レベルの出力飽和値が給湯熱交換器8内の湯水の有無によって異なることを利用して給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断する手法である。
【0047】
上記給湯サーミスタ15の出力信号レベルの出力飽和値は給湯熱交換器8内の湯水の有無および加熱手段20により給湯サーミスタ15に供給される予め設定された電圧(又は電流)によって予め定まり、給湯熱交換器8内に水が無い場合の出力飽和値Kkhは水が有る場合の出力飽和値Kmhよりも大きい値であることから、第3の手法では、上記給湯サーミスタ15の加熱開始後の給湯サーミスタ15の出力信号レベルの出力飽和値に基づいて給湯熱交換器8内の湯水有無を判断するためのしきい値Ss0(つまり、上記給湯熱交換器8内に水が無い場合の出力信号レベルの出力飽和値Kkhよりも小さく、かつ、水有りの場合の出力信号レベルの出力飽和値Kmhよりも大きい値)が予め与えられている。
【0048】
第3の手法では、信号レベル監視部21により監視された給湯サーミスタ加熱開始後の給湯サーミスタ15の出力信号レベルの出力飽和値を上記しきい値Ss0に比較し、上記検出された出力飽和値が上記しきい値Ss0よりも大きいときには給湯熱交換器8内に水が無いと判断し、それ以外は給湯熱交換器8内に湯水が有ると判断する。
【0049】
第4の手法は、給湯サーミスタ15の加熱を停止した直後の給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の下降傾きが、図3に示すように、給湯熱交換器8内の湯水の有無によって異なることを利用して給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断する手法である。
【0050】
加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を停止させた直後の時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の下降傾きは、図3のグラフに示すように、給湯熱交換器8内に水が無い場合の方が水有りの場合よりも小さく、水無しの場合における出力信号レベルの変化の下降傾きと、水有りの場合における出力信号レベルの変化の下降傾きとはそれぞれ予め定まることから、第4の手法では、給湯サーミスタ15の加熱停止直後における給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の下降傾きに基づいて給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断するためのしきい値Skl(つまり、上記水無しの場合における出力信号レベルの変化の下降傾きよりも大きく、かつ、水有りの場合における出力信号レベルの変化の下降傾きよりも小さい値)を予め定めて与えておく。
【0051】
第4の手法では、例えば、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を予め定めたタイミング(例えば、給湯サーミスタ15の出力信号レベルが設定のレベルKoff に達したタイミング)で停止させ、その加熱停止直後の時間の経過に対する給湯サーミスタ15の出力信号レベルの変化の下降傾きを、前述した上昇傾きを求めた場合と同様にして求め、この求めた信号レベルの変化の下降傾きM2を上記しきい値Sklに比較し、上記下降傾きM2がしきい値Sklよりも小さいときには給湯熱交換器8内に水が無いと判断し、それ以外は給湯熱交換器8内に湯水が有ると判断する。
【0052】
第5の手法は、加熱手段20による加熱によって上昇した給湯サーミスタ15の出力信号のレベルが予め定めた設定のレベルKoff に達したときに加熱手段20による加熱動作を停止させてから、図3に示すように、給湯サーミスタ15の出力信号のレベルが出力下方安定値(Kjh,Knh)に達する前の予め定めた微小な時間Δt2を経過したときにおける給湯サーミスタ15の出力信号レベルが、給湯熱交換器8内の湯水の有無によって異なることを利用して給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断する手法である。
【0053】
加熱手段20による加熱によって給湯サーミスタ15の出力信号レベルが予め定められたレベルKoff に達したときに、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を停止し、この停止時から予め定めた図3に示す微小な時間Δt2を経過したときに給湯サーミスタ15から出力される信号レベルは、給湯熱交換器8内に水が無い場合と水が有る場合とでそれぞれ予め定まり、その給湯熱交換器8内に水が無い場合の出力信号レベルKjkは水が有る場合の出力信号レベルKnzよりも大きいことから、第5の手法では、加熱停止してから予め定めた微小な時間Δt2を経過したときの給湯サーミスタ15の出力信号のレベルに基づき給湯熱交換器8内の湯水有無を判断するためのしきい値Skn(上記出力信号レベルKjkよりも小さく、かつ、出力信号レベルKnzよりも大きい値)を予め定め与えておく。
【0054】
第5の手法では、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を上記の如く停止してから、予め定めた微小な時間Δt2が経過したときの給湯サーミスタ15の出力信号のレベルを信号レベル監視部21から取り込み、この取り込んだ信号レベルを上記しきい値Sknに比較し、上記検出した信号レベルがしきい値Sknよりも大きいときには給湯熱交換器8内に水が無いと判断し、それ以外のときには給湯熱交換器8内に湯水が有ると判断する。
【0055】
第6の手法は、図3に示すように、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を停止した以降に給湯サーミスタ15の出力信号レベルは、給湯熱交換器8内に湯水の有無によってそれぞれ異なる出力下方安定値に安定することを利用して給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断する手法である。
【0056】
加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を停止した以降に、給湯サーミスタ15の出力信号レベルは、図3に示すように、給湯熱交換器8内に水が無い場合と水が有る場合とでそれぞれ異なる下方安定値Kjh,Knhに安定し、その給湯熱交換器8内に水が無い場合の下方安定値Kjhは水が有る場合の下方安定値Knhよりも大きいことから、第6の手法では、給湯サーミスタ15の加熱停止後の出力下方安定値に基づいて給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断するためのしきい値Sk0(上記下方安定値Kjhよりも小さく、かつ、上記下方安定値Knhよりも大きい値)を予め定めて与えておく。
【0057】
第6の手法では、予め定めたタイミングで加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を停止した以降に、信号レベル監視部21により監視された給湯サーミスタ15の出力信号レベルの出力下方安定値を取り込み、該取り込んだ出力下方安定値を上記しきい値Sk0に比較し、上記検出した出力下方安定値が上記しきい値Sk0よりも大きいときには給湯熱交換器8内に水が無いと判断し、それ以外のときには給湯熱交換器8内に湯水が有ると判断する。
【0058】
給湯熱交換器湯水有無判断部22は、上記第1〜第6の手法のうちの1個以上の手法により、給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断し、水が無いと判断したときには給湯熱交換器8内に水が無いことを示す水無し信号を出力する。
【0059】
保温制御部18は上記給湯熱交換器湯水有無判断部22から水無し信号が出力されたことを検知したときには、前述した保温動作を停止し、例えば、水量センサ11により給水通路10の通水を検知したとき等、予め定めた解除条件を満たしたときに、上記保温動作停止状態を解除する。
【0060】
この実施形態例によれば、給湯サーミスタ15を加熱したときに該給湯サーミスタ15から出力される信号のレベルの上昇傾きや出力飽和値や、給湯サーミスタ15の加熱を停止した後に給湯サーミスタ15から出力される信号のレベルの下降傾きや出力下方安定値は、給湯熱交換器8内に水が有る場合と水が無い場合とで顕著な違いが認められ、この現象を利用して、給湯熱交換器8内の湯水の有無を自動的に判断する構成を備えたので、給湯熱交換器8内の湯水の有無を自動的に予め定めた期間毎に判断することができ、給湯熱交換器8内に湯水が無いと判断されたときにはバーナ2の給湯燃焼を停止させることによって、給湯熱交換器8の空焚きを確実に回避することができる。
【0061】
上記のことから、例えば、給湯熱交換器8内の滞留湯水の保温機能を備えたものでは、冬季に給湯器内の水の凍結防止のために就寝前に給湯器内の水抜きが行われて給湯熱交換器8内に湯水が無いのにも拘らず、上記保温機能が作動して給湯熱交換器8が空焚きしてしまい危険であるという問題を防止することができる。
【0062】
なお、この発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記実施形態例では、給湯サーミスタ15を発熱させることができる電圧や電流を給湯サーミスタ15に供給して、給湯サーミスタ15を加熱(発熱)させていたが、給湯サーミスタ15の外部に該給湯サーミスタ15を加熱するためのヒーター等の加熱手段を設けて、この加熱手段により給湯サーミスタ15を加熱するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態例では、給湯熱交換器8の近傍の湯水温度を検出する給湯サーミスタ15から出力されたセンサ出力を給湯熱交換器8内の湯水温度として用いていたが、給湯熱交換器8内の温度を検出する図4の点線に示すサーミスタ25を設け、給湯サーミスタ15のセンサ出力の代わりに上記サーミスタ25から出力されるセンサ出力に基づいて上記実施形態例同様に給湯熱交換器8内の湯水の有無判断を行うようにしてもよい。また、給湯熱交換器8内に湯水が滞留している状態では、給湯熱交換器8の入側近傍の湯水温度を検出する入水サーミスタ12から出力されるセンサ出力を給湯熱交換器8内の湯水温度として用いることができるので、給湯サーミスタ15のセンサ出力の代わりに入水サーミスタ12のセンサ出力に基づいて上記実施形態例同様に給湯熱交換器8内の湯水の有無判断を行うようにしてもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態例では、給湯熱交換器湯水有無判断部22は、給湯熱交換器8内に水が無いと判断したときに水無し信号を出力し、水が有ると判断したときには水が有ることを示す信号を出力しなかったが、水が有ると判断したときに給湯熱交換器8内に湯水が有ることを示す水有り信号を出力するようにしてもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態例では、給湯熱交換器湯水有無判断部22は給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断するためのしきい値は水無しを判断するためのしきい値と、水有りを判断するためのしきい値とが共通であったが、水無しを判断するためのしきい値と、水有りを判断するためのしきい値とを別個に設けるようにしてもよい。
【0066】
さらに、上記実施形態例では、給湯熱交換器湯水有無判断部22から水無し信号が出力された後に、保温制御部18の保温動作を停止させる例を示したが、水量センサ11の通水検知の有無に関係なくバーナ燃焼を開始する機能が備えられている場合には、給湯熱交換器湯水有無判断部22から水無し信号が出力されたときには、上記保温動作以外にも上記水量センサ11の通水検知有無に関係なく行われるバーナ燃焼を停止するようにしてもよい。
【0067】
さらに、上記実施形態例では、給湯燃焼停止中に予め定めた時間間隔毎に、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を開始させ、給湯熱交換器湯水有無判断部22によって給湯熱交換器8内の湯水の有無を判断していたが、水量センサ11の通水検知の有無に関係なくバーナ燃焼が開始される直前にのみ、加熱手段20による給湯サーミスタ15の加熱を開始させ、給湯熱交換器湯水有無判断部22によって給湯熱交換器8内に湯水の有無を判断してもよい。
【0068】
さらに、上記実施形態例では、図4に示す給湯器を例にして説明したが、この発明は、給湯熱交換器と該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度を検出する給湯サーミスタを備えた給湯器であれば、上記図4に示す給湯器に浴槽への湯張り機能を付加したものや、浴槽水の追い焚きを行う追い焚き機能を付加したもの等、図4に示す給湯器以外にも適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
この発明によれば、給湯サーミスタの加熱を開始した直後に該給湯サーミスタから出力される信号レベルの変化の上昇傾きおよび出力飽和値や、給湯サーミスタの加熱を停止した直後の給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の下降傾きや出力下方安定値が、給湯熱交換器内に湯水が有る場合と湯水が無い場合とで顕著な違いが認められる現象を利用して、給湯熱交換器内の湯水の有無判断を行う構成を備えたので、予め定めた期間毎に自動的に給湯熱交換器内の湯水有無判断を行うことが可能となり、給湯熱交換器内に湯水が無いと判断したときにはバーナ燃焼を行わせないようにすることによって、給湯熱交換器の空焚きを確実に回避することができる。
【0070】
給湯サーミスタの加熱を開始した直後における給湯サーミスタの出力信号のレベル又は給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の上昇傾きや、給湯サーミスタの加熱停止直後の給湯サーミスタの出力信号レベル又は給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の下降傾きを用いて給湯熱交換器内の湯水の有無を判断する構成を備えたものにあっては、給湯サーミスタの加熱を開始した直後又は加熱停止した直後に瞬時に給湯熱交換器内の湯水の有無を判断することができる。
【0071】
給湯熱交換器内の滞留湯水の保温を行う機能を備えた給湯器に、上記給湯熱交換器内の湯水有無判断を自動的に行う構成を設けたものにあっては、例えば、冬季に就寝前に凍結防止のため給湯器内の水抜きが行われたときには、上記の如く、給湯熱交換器内に水が無いと判断されて保温動作が停止するので、保温機能が作動して給湯熱交換器が空焚きとなるという危険が確実に回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る実施形態例において特徴的な制御構成を示すブロック図である。
【図2】給湯サーミスタの加熱を開始した後に、時間の経過と共に変化する給湯サーミスタ出力信号レベルの変化例を給湯熱交換器内に湯水が有る場合と無い場合とで分けて示すグラフである。
【図3】給湯サーミスタの加熱を停止した後に、時間の経過と共に変化する給湯サーミスタ出力信号レベルの変化例を給湯熱交換器内に湯水が有る場合と無い場合とで分けて示すグラフである。
【図4】給湯器の一例を示すモデル図である。
【図5】給湯サーミスタを発熱させるために給湯サーミスタに供給する電圧の時間的な変化の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
2 バーナ
8 給湯熱交換器
15 給湯サーミスタ
18 保温制御部
20 加熱手段
21 信号レベル監視部
22 給湯熱交換器湯水有無判断部
Claims (8)
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタを加熱するための加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が開始された直後の時間の経過に対する給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の傾きが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けたことを特徴とする給湯器。
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタを加熱するための加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が開始されてから予め定めた微小な時間を経過したときに給湯サーミスタから出力された信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けたことを特徴とする給湯器。
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタを加熱するための加熱手段と;給湯サーミスタから出力された信号のレベルを監視する信号レベル監視部と;上記加熱手段による給湯サーミスタの加熱が開始された以降に、上記信号レベル監視部により監視された給湯サーミスタの出力飽和値が予め定めたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けたことを特徴とする給湯器。
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、予め定められたタイミングで給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が停止した直後の時間の経過に対する給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の傾きが予め定められたしきい値よりも小さいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成と成し、前記しきい値は給湯熱交換器内に湯水が無い場合における給湯サーミスタの出力信号レベルの変化の下降傾きよりも大きく、かつ、給湯熱交換器内に湯水が有る場合における給湯サーミスタの出力信号レベル変化の下降傾きよりも小さい値によって設定されていることを特徴とする給湯器。
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、給湯サーミスタの出力信号レベルが予め定めたレベルに達したときに給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が停止してから予め定められた微小な時間を経過したときに給湯サーミスタから出力された信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けた構成と成し、前記しきい値は給湯熱交換器内に湯水が無い場合における給湯サーミスタの出力信号レベルよりも小さく、かつ、給湯熱交換器内に湯水が有る場合における給湯サーミスタの出力信号レベルよりも大きい値によって設定されていることを特徴とする給湯器。
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが 可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、給湯サーミスタの出力信号レベルが予め定めたレベルに達したときに給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;該加熱手段による給湯サーミスタの加熱が停止した時点を起点としてその加熱停止時点から予め定められた微小な時間を経過したときに給湯サーミスタから出力された信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けたことを特徴とする給湯器。
- 供給された水をバーナ燃焼熱により加熱して給湯する給湯熱交換器と、該給湯熱交換器又はその近傍の湯水温度に対応したレベルをもつ信号を出力することが可能な給湯サーミスタとを備えた給湯器において、バーナ燃焼の停止中に加熱指令を受けて上記給湯サーミスタの加熱を開始し、予め定められたタイミングで給湯サーミスタの加熱を停止する加熱手段と;給湯サーミスタから出力された信号のレベルを監視する信号レベル監視部と;上記加熱手段による給湯サーミスタの加熱の停止後に、上記信号レベル監視部により監視された給湯サーミスタの出力下方安定値が予め定められたしきい値よりも大きいときには給湯熱交換器内に湯水が無いことを示す水無し信号を出力する給湯熱交換器湯水有無判断部と;を設けたことを特徴とする給湯器。
- 給湯熱交換器内に滞留している湯の温度が予め定めた燃焼作動温度に低下したときにバーナ燃焼を開始させ給湯熱交換器内の湯を加熱して保温する保温制御部が設けられており、給湯熱交換器湯水有無判断部から水無し信号が出力されたときには、上記保温制御部は保温動作を停止する構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれか1つに記載の給湯器。
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