JP4026501B2 - 光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器 - Google Patents

光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、環境にやさしい電源として、太陽電池(光電変換素子)が注目を集め、人工衛星用電源等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池、また、多結晶シリコンやアモルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用に広く用いられている。
【0003】
また、最近では、安価な材料を用いて、大掛かりな設備を必要とせずに低コストで製造することができる太陽電池として、湿式色素増感型太陽電池(特許文献1参照。)、乾式色素増感型太陽電池(特許文献2参照。)が提案されている。
これらの色素増感型太陽電池では、実用化に向けて、更なる光電変換効率(発電効率)の向上を図るべく、種々の検討がなされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−252040号公報
【特許文献2】
特開2002−314107号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光電変換効率に優れる光電変換素子を製造し得る光電変換素子の製造方法、光電変換効率に優れる光電変換素子、および、この光電変換素子を備える電子機器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光電変換素子の製造方法は、基板上に、第1の電極を形成する工程と、
該第1の電極上に、少なくとも一部が多孔質な電子輸送層を形成する工程と、
該電子輸送層と接触するよう色素層を形成する工程と、
該色素層と接触するよう正孔輸送層を形成する工程と、
該正孔輸送層上に、第2の電極を形成する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、
前記第1の電極は、金属酸化物で構成されており、
該金属酸化物の前駆体を含む溶液を、インクジェット法により前記基板上に吐出して膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより、前記第1の電極を得ることを特徴とする
これにより、光電変換効率に優れる光電変換素子が得られる。
【0007】
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記電子輸送層を、該電子輸送層形成用の液体を用いて膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより得ることが好ましい。
これにより、光電変換素子の光電変換効率をより向上させることができる。
【0008】
本発明の光電変換素子の製造方法は、基板上に、第1の電極を形成する工程と、
該第1の電極上に、緻密質な電子輸送層を形成する工程と、
該緻密質な電子輸送層と接触するよう多孔質な電子輸送層を形成する工程と、
該多孔質な電子輸送層と接触するよう色素層を形成する工程と、
該色素層と接触するよう正孔輸送層を形成する工程と、
該正孔輸送層上に、第2の電極を形成する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、
前記第1の電極は、金属酸化物で構成されており、
該金属酸化物の前駆体を含む溶液を、インクジェット法により前記基板上に吐出して膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより、前記第1の電極を得るとともに、
前記緻密質な電子輸送層および前記多孔質な電子輸送層のうちの少なくとも一方を、該層形成用の液体を用いて膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより得ることを特徴とする。
これにより、光電変換効率に優れる光電変換素子が得られる。
【0013】
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記水熱処理が施されるべき膜は、インクジェット法により形成されることが好ましい。
これにより、水熱処理が施される膜を、大掛かりな設備を必要とせず、前記膜を容易かつ高精度で形成することができる。
【0014】
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記水熱処理は、飽和水蒸気圧で100〜180℃の温度で行われることが好ましい。
これにより、水熱処理が施された層をより均質なものとすることができる。
【0015】
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記水熱処理による処理時間は、1〜50時間であることが好ましい。
これにより、水熱処理が施された層をより均質なものとすることができる。
【0017】
本発明の光電変換素子の製造方法では、前記基板は、主として樹脂材料で構成される可撓性基板であることが好ましい。
【0018】
本発明の光電変換素子は、本発明の光電変換素子の製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、光電変換効率に優れる光電変換素子が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を備えることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器について添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の実施形態を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の紙面上、上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言い、各層(各部材)の上側の面を「上面」、下側の面を「下面」と言う。
【0020】
図1に示す光電変換素子1は、電解質溶液を必要としない、いわゆる乾式光電変換素子と呼ばれるものである。この光電変換素子1は、基板2と、第1の電極(面電極)3と、緻密質層(緻密質な電子輸送層)41と、多孔質層(多孔質な電子輸送層)42と、色素層Dと、正孔輸送層5と、第2の電極(対向電極)6とを有している。以下、各層(各部)の構成について説明する。
【0021】
基板2は、第1の電極3、緻密質層41、多孔質層42、色素層D、正孔輸送層5および第2の電極6の各層を支持するものである。この基板2は、平板状(または層状)の部材で構成されている。
本実施形態の光電変換素子1では、図1および図2に示すように、基板2および後述する第1の電極3側から、例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入射させて(照射して)使用するものである。このため、基板2および第1の電極3は、それぞれ、好ましくは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。これにより、光を、後述する色素層Dに効率よく到達させることができる。
【0022】
この基板2の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種セラミックス材料、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような各種樹脂材料等が挙げられる。また、基板2は、単層または複数層の積層体で構成されていてもよい。
基板2の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のようにすることができる。
【0023】
基板2が硬質なものである場合、その平均厚さは、0.1〜1.5mm程度であるのが好ましく、0.8〜1.2mm程度であるのがより好ましい。また、基板2が可撓性(フレキシブル性)を有するもの(主として樹脂材料で構成された可撓性基板)である場合、その平均厚さは、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、10〜75μm程度であるのがより好ましい。
なお、光電変換素子1を各種の電子機器に搭載する場合、電子機器の構成部材を光電変換素子1の基板2として利用することができる。
【0024】
基板2の上面には、層状の第1の電極(面電極)3が設けられている。
第1の電極3の構成材料には、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、フッ素ドープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO2)のような各種金属酸化物(透明導電性酸化物)、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような各種金属材料、カーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンのような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
第1の電極3の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のようにすることができる。
第1の電極3を各種金属酸化物で構成する場合、その平均厚さは、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、第1の電極3を各種金属材料や各種炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
【0026】
第1の電極3の上面には、電子輸送層4が設けられている。すなわち、電子輸送層4は、第1の電極3と後述する第2の電極6との間に位置している。本実施形態では、この電子輸送層4は、第1の電極3側に設けられた緻密質層41と、この緻密質層41と接触するようにして、緻密質層41の上面に設けられた多孔質層42とで構成されている。この電子輸送層4は、後述する色素層Dで発生した電子を補足し、輸送する機能を有する。
【0027】
電子輸送層4の構成材料としては、例えば、二酸化チタン(TiO)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、SrTiO、SiO、Al、SnOのような酸化物、TiC、SiCのような炭化物、Si、BN、BNのような窒化物、CdSのような硫化物、CdSeのようなセレン化物のような各種n型半導体材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、電子輸送層4の構成材料としては、酸化チタン(特に、二酸化チタン)を用いるのが好ましい。すなわち、電子輸送層4は、二酸化チタンを主材料とするものが好適である。
【0028】
二酸化チタンは、特に、電子の輸送能力に優れる。また、二酸化チタンは、光に対する感受性が高く、二酸化チタンを主材料として電子輸送層4を構成することにより、電子輸送層4自体でも、電子を発生させることができる。これにより、光電変換素子1の光電変換効率(発電効率)をより向上させることができる。また、二酸化チタンは、その結晶構造が安定しているので、二酸化チタンを主材料とする電子輸送層4は、過酷な環境下に曝された場合でも、経年変化(劣化)が少なく、安定した性能が長期間継続して得られるという利点を有する。
【0029】
さらに、二酸化チタンとしては、アナターゼ型の二酸化チタン、ルチル型の二酸化チタン、または、これらの混合物を用いることができる。なお、二酸化チタンとして、アナターゼ型の二酸化チタンとルチル型の二酸化チタンとの混合物を用いる場合、これらの混合比は、特に限定されないが、重量比で95:5〜5:95程度とするのが好ましく、80:20〜20:80程度とするのがより好ましい。
【0030】
緻密質層41は、その空孔率が多孔質層42の空孔率より小さく設定されている。この緻密質層41は、後述する正孔輸送層5と第1の電極3とが接触するのを防止または抑制する機能を有する。この緻密質層41を設けることにより、光電変換素子1の光電変換効率(エネルギー変換効率)が低下するのを防止することができる。
【0031】
一方、多孔質層42は、その空孔率が比較的大きく設定されており、図2に示すように、複数の空孔421を有している。この多孔質層42には、後述するように、色素層Dが接触するように設けられるが、多孔質層42を複数の空孔421を有する形状とすることにより、色素層Dを多孔質層42の外面および空孔421の内面に沿って形成することができる。
【0032】
このため、色素層Dと多孔質層42との接触面積を十分に確保することができる。これにより、色素層Dで発生した電子を電子輸送層4へより効率よく伝達させることができる。また、多孔質層42に入射した光は、多孔質層42の内部まで侵入し、多孔質層42を透過、または、空孔421内で任意の方向に反射(乱反射、拡散等)して、より高い確率で色素層D中の色素に吸収されることになり、色素層Dでは、より効率よく電子および正孔が発生することになる。このようなことから、光電変換素子1の光電変換効率(エネルギー変換効率)をより向上させることができる。
【0033】
緻密質層41および多孔質層42に、それぞれ、それらの機能を如何なく発揮させる観点からは、緻密質層41および多孔質層42の条件を、次のように設定するのが好ましい。
緻密質層41の空孔率をA[%]とし、多孔質層42の空孔率をB[%]としたとき、B/Aは、1.1以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。
具体的には、緻密質層41の空孔率Aは、20%未満であるのが好ましく、5%未満であるのがより好ましく、2%未満であるのがさらに好ましい。一方、多孔質層42は、20%以上であるのが好ましく、20〜50%程度であるのがより好ましく、20〜40%程度であるのがさらに好ましい。
【0034】
また、緻密質層41と多孔質層42との厚さの比率は、特に限定されないが、1:99〜60:40程度であるのが好ましく、10:90〜40:60程度であるのがより好ましい。
具体的には、緻密質層41の平均厚さは、0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜5μm程度であるのがより好ましい。一方、多孔質層42の平均厚さは、0.1〜300μm程度であるのが好ましく、0.5〜100μm程度であるのがより好ましく、1〜25μm程度であるのがさらに好ましい。
【0035】
また、緻密質層41と多孔質層42との界面は、不明確であること、すなわち、緻密質層41と多孔質層42とは、互いに部分的に重なりあった状態であることが好ましい。これにより、多孔質層42から緻密質層41へ電子をより確実に伝達させることができる。
なお、例えば、後述する正孔輸送層5の構成材料の種類等によっては、緻密質層41は、省略することもできる。すなわち、電子輸送層4は、その一部が多孔質なものである図示の構成と異なり、その全体が多孔質なものであってもよい。また、例えば、電子輸送層4は、その厚さ方向の途中に緻密質層41を有する構成であってもよい。
【0036】
色素層Dは、多孔質層42に接触するように設けられている。この色素層Dは、主として色素で構成され、多孔質層42の外面および空孔421の内面に沿って形成されている。
この色素層D(色素)は、受光により電子と正孔とを発生する。このうち、電子は、前記の電子輸送層4へ、また、正孔は、後述する正孔輸送層5へ、それぞれ伝達される。
この色素には、例えば、各種顔料や各種染料を単独または混合して使用することができるが、経時的変質(劣化)が少ないという点で顔料を、電子輸送層4(多孔質層42)への吸着性に優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
【0037】
顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、アゾメチン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、ニトロソ系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料のような各種有機顔料、炭素系顔料、クロム酸塩系顔料、硫化物系顔料、酸化物系顔料、水酸化物系顔料、フェロシアン化物系顔料、ケイ酸塩系顔料、リン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セレン化カドミウム等)のような各種無機顔料等が挙げられる。
【0038】
また、染料としては、例えば、RuL2(SCN)2、RuL2Cl2、RuL2(CN)2、Rutenium535-bisTBA(Solaronics社製)、[RuL2(NCS)2]2H2Oのような金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色素等が挙げられる。なお、前記組成式中のLは、2,2'ーbipyridine、または、その誘導体を示す。
【0039】
色素層Dが形成された電子輸送層4の上面には、色素層Dに接触するように層状の正孔輸送層5が設けられている。すなわち、正孔輸送層5は、電子輸送層4(多孔質層42)と後述する第2の電極6との間に位置している。この正孔輸送層5は、色素層Dで発生した正孔を捕捉し、輸送する機能を有する。
正孔輸送層5の構成材料としては、例えば、各種イオン伝導特性を有する物質、トリフェニルジアミン(モノマー、ポリマー等)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、フタロシアニン化合物(例えば、銅フタロシアニン)またはこれらの誘導体のような各種p型半導体材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、正孔輸送層5の構成材料としては、特に、イオン伝導特性を有する物質(イオン伝導性物質)が好ましい。すなわち、正孔輸送層5は、イオン伝導特性を有する物質を主材料とするものが好適である。イオン伝導特性を有する物質を主材料として正孔輸送層5を構成することにより、正孔輸送層5は、色素層Dで発生した正孔(ホール)をより効率よく補足し、輸送することができるようになる。これにより、光電変換素子1の光電変換効率(発電効率)をより向上させることができる。
【0040】
また、イオン伝導特性を有する物質としては、例えば、CuI、AgIのようなヨウ化物、AgBrのような臭化物等のハロゲン化物、CuSCNのようなチオシアン酸塩(ロダン化物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イオン伝導特性を有する物質としては、ヨウ化物、臭化物等のハロゲン化物が好ましく、ヨウ化物がより好ましい。ハロゲン化物(特に、ヨウ化物)は、特に正孔の輸送能力に優れている。このため、ヨウ化物を主材料として正孔輸送層5を構成することにより、光電変換素子1の光電変換効率をより向上させることができる。
【0041】
また、正孔輸送層5は、図2に示すように、色素層Dが形成された多孔質層42の空孔421内に入り込んで形成され、色素層Dと正孔輸送層5との接触面積が十分に確保されている。このため、色素層Dで発生した正孔(ホール)を正孔輸送層5へより効率よく伝達させることができる。
正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜30μm程度であるのがさらに好ましい。
【0042】
正孔輸送層5の上面には、層状の第2の電極6が設けられている。すなわち、第2の電極(対向電極)6は、第1の電極(面電極)3と対向して設けられている。
この第2の電極6の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような各種金属材料、あるいは、カーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンのような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。その他、第2の電極6の構成材料には、各種透明導電性酸化物を用いることもできる。
第2の電極6の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.01〜5μm程度であるのが好ましく、0.03〜1.5μm程度であるのがより好ましい。
【0043】
以上のような構成の光電変換素子1に、基板2側から光が入射すると、主に色素層D(色素)において電子が励起され、電子(e)と正孔(h)とが発生する。このうち、電子は、電子輸送層4へ、正孔は、正孔輸送層5へ伝達され、各層中を輸送される。これにより、第1の電極3と第2の電極6との間に電位差(光起電力)が生じる。そして、光電変換素子1の第1の電極3と第2の電極6とを外部回路8により接続すると、外部回路8に電流(光励起電流)が流れる。
このような光電変換素子1は、例えば、次のようにして製造される。
【0044】
以下、光電変換素子1の製造方法の各工程について、順次説明する。
[1] 第1の電極3の形成
まず、基板2を用意する。この基板2には、厚さが均一で、たわみのないものが好適に用いられる。
この基板2の上面に、第1の電極3形成用の液体を用いて膜を形成し、この膜に水熱処理を施すことにより、第1の電極3を形成する。
【0045】
かかる方法によれば、第1の電極3形成用の液体、すなわち、得られる膜中に存在する有機物を効率よく除去することができ、第1の電極3を均質なものとすることができる。また、比較的低温で第1の電極3を形成することができるので、基板2として、主として樹脂材料で構成される可撓性基板を用いる場合には、基板2の加熱による変質・劣化を防止することができ、有利である。さらに、第1の電極3形成用の液体として、例えば、後述するような各種金属酸化物の前駆体を含む溶液を用いる場合には、アモルファス状態の金属酸化物の結晶を得ることができ、光電変換素子1の光電変換効率の向上に寄与する。
【0046】
前記膜(水熱処理が施されるべき膜)は、例えば、インクジェット法、印刷法、塗布法、スプレーコート法、スピンコート法等により形成することができるが、これらの中でも、特に、インクジェット法により形成するのが好ましい。インクジェット法によれば、大掛かりな設備を必要とせず、前記膜を容易かつ高精度で形成することができる。
【0047】
以下、本工程[1]、後述する工程[2−1]および工程[2−2]では、水熱処理が施されるべき膜を、インクジェット法により形成する場合を代表に説明する。このインクジェット法では、例えば、図3に示すような液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。
図3に示す液滴吐出装置10は、基板2を載置する載置テーブル20と、載置テーブル20をx軸方向に移動(主走査)するx軸駆動ローラ30と、ノズル40を有する液滴吐出ヘッド50と、液滴吐出ヘッド50をy軸方向に移動(副走査)するy軸駆動機構60とを有している。
【0048】
液滴吐出ヘッド50内には、第1の電極3形成用の液体が収納され、ノズル40の先端に形成された小孔から液滴70として吐出される。
載置テーブル20をx軸方向へ移動させるとともに、液滴吐出ヘッド50をy軸方向において往復動させつつ、液滴70をノズル40の小孔から吐出させることにより、前記膜を形成する。
【0049】
用いる液体の粘度(常温)は、特に限定されないが、通常、3〜10cps程度であるのが好ましく、4〜8cps程度であるのがより好ましい。用いる液体の粘度をかかる範囲とすることにより、ノズル40の小孔からの液滴70の吐出をより安定的に行うことができる。
液滴70の1滴の量(平均)も、特に限定されないが、通常、5〜40pL程度であるのが好ましく、10〜30pL程度であるのがより好ましい。液滴70の1滴の量(平均)をかかる範囲とすることにより、より精密な形状を形成することができる。
【0050】
第1の電極3形成用の液体としては、例えば、次のようなものを用いることができる。
▲1▼:第1の電極3を各種金属酸化物、各種金属材料、各種炭素材料で構成する場合、第1の電極3形成用の液体としては、これらの材料で構成された粒子を含む分散液(懸濁液)を用いることができる。
この場合、第1の電極3形成用の液体中の粒子の含有量は、特に限定されないが、1〜40wt%程度であるのが好ましく、10〜30wt%程度であるのがより好ましい。
用いる粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1〜100nm程度であるのが好ましく、2〜30nm程度であるのがより好ましい。
【0051】
また、粒子には、常温での凝集を阻止するための凝集阻止剤(分散剤)で被覆したものを用いるのが好ましい。この凝集阻止剤としては、例えば、アルキルアミンのような窒素原子を含む基を有する化合物、アルカンジオールのような酸素原子を含む基を有する化合物、アルキルチオール、アルカンジチオールのような硫黄原子を含む基を有する化合物等が挙げられる。
【0052】
また、この場合、第1の電極3形成用の液体中には、所定の処理(例えば、加熱等)により、凝集阻止剤を除去し得る除去剤が添加される。この除去剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクチル酸のような炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の飽和カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、安息香酸、ソルビン酸のような不飽和カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のような二塩基酸等の各種カルボン酸類、これらのカルボン酸類のカルボキシル基をリン酸基やスルホニル基に置換した各種リン酸類や各種スルホン酸類等の有機酸、または、その有機酸エステル、その他、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)のような芳香族酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物のような環状脂肪族酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物などの脂肪族酸無水物等を挙げることができる。
分散媒には、例えば、テルピネオール、ミネラルスピリット、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、エタノール、イソプロパノール(IPA)、水またはこれらを含む混合液を用いることができる。
【0053】
また、第1の電極3形成用の液体中には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オリゴエステルアクリレート樹脂、キシレン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂のような各種熱硬化性樹脂の前駆体が添加(混合)されていてもよい。
なお、このような第1の電極3形成用の液体の粘度は、例えば、粒子の含有量、分散媒の種類や組成、添加物の有無や種類等を適宜設定することにより調整することができる。
【0054】
▲2▼:第1の電極3を各種金属材料で構成する場合、第1の電極3形成用の液体としては、各種金属材料の前駆体である金属酸化物で構成された粒子と、還元剤とを含む分散液(懸濁液)を用いることができる。
この場合、第1の電極3形成用の液体中の粒子の含有量は、特に限定されないが、1〜40wt%程度であるのが好ましく、10〜30wt%程度であるのがより好ましい。
【0055】
用いる粒子の平均粒径は、特に限定されないが、100nm程度以下であるのが好ましく、30nm程度以下であるのがより好ましい。
また、還元剤としては、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、硫化水素、シュウ酸、一酸化炭素等が挙げられる。
【0056】
分散媒には、例えば、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール等の低粘度油脂類、2−プロパノール等のアルコール類またはこれらを含む混合液を用いることができる。
なお、このような第1の電極3形成用の液体の粘度は、例えば、粒子の含有量、分散媒の種類や組成等を適宜設定することにより調整することができる。
【0057】
▲3▼:第1の電極3を各種金属酸化物で構成する場合、第1の電極3形成用の液体としては、各種金属酸化物の前駆体を含む溶液を用いることができる。
用いる金属酸化物の前駆体としては、例えば、金属アルコキシド、酢酸または酢酸誘導体の金属塩のような有機金属化合物、金属塩化物、金属硫化物、金属シアン化物等の無機金属化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
第1の電極3形成用の液体中の金属酸化物の前駆体の濃度(含有量)は、特に限定されないが、1〜50wt%程度であるのが好ましく、10〜30wt%程度であるのがより好ましい。
また、溶媒には、例えば、水、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンのような多価アルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコールモノアセタートのような単価アルコールまたはこれらを含む混合液を用いることができる。
【0059】
なお、このような第1の電極3形成用の液体の粘度は、例えば、金属酸化物の前駆体の濃度、溶媒の種類や組成等を適宜設定することにより調整することができる。
このような第1の電極3形成用の液体を、ノズル40の小孔から液滴70として吐出して、基板2の上面に膜(薄膜または厚膜)を形成する。
【0060】
次いで、得られた膜に対して水熱処理を施す。この水熱処理は、通常の水熱反応が生じる条件であれば、特に限定されないが、飽和水蒸気圧で100〜180℃程度の温度で行われるのが好ましく、飽和水蒸気圧で100〜130℃程度の温度で行われるのがより好ましい。処理温度が前記下限値未満であると、第1の電極3を均質なものとすることができない場合があり、処理温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が期待できないばかりか、基板2に不要な温度がかかり好ましくない。
【0061】
また、水熱処理による処理時間も、処理温度等により適宜設定され、特に限定されないが、1〜50時間程度であるのが好ましく、5〜24時間程度であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
なお、このような水熱処理には、例えば、オートクレーブ装置が好適に使用される。
【0062】
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの第1の電極3を形成する。
なお、第1の電極3の形成方法としては、かかる方法に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法、電解メッキ法、無電解メッキ法等を用いて形成してもよい。
【0063】
[2] 電子輸送層4の形成
次に、第1の電極3の上面に、電子輸送層4を形成する。以下では、主として二酸化チタンで構成される電子輸送層4を形成する場合を一例として説明する。
[2−1] 緻密質層41の形成
まず、第1の電極3の上面に、前記工程[1]と同様にして、緻密質層41を形成する。
【0064】
緻密質層41形成用の液体としては、例えば、二酸化チタンの前駆体を含む溶液を用いることができる。
二酸化チタンの前駆体としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシド、チタンオキシアセチルアセトナート(TOA)のような有機チタン化合物や、四塩化チタン(TTC)のような無機チタン化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0065】
緻密質層41形成用の液体中の二酸化チタンの前駆体の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.1〜10mol/L程度であるのが好ましく、0.2〜3mol/L程度であるのがより好ましい。
また、溶媒には、例えば、無水エタノール、2−ブタノール、2−プロパノール、2−n−ブトキシエタノールまたはこれらを含む混合液を用いることができる。
【0066】
なお、二酸化チタンの前駆体としてチタンアルコキシドを用いる場合、緻密質層41形成用の液体中には、例えば、四塩化チタン、酢酸、アセチルアセトン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種添加物を添加するのが好ましい。これにより、チタンアルコキシドの加水分解反応を抑止することができる。この添加物とチタンアルコキシドとの配合比は、特に限定されないが、モル比で1:2〜8:1程度とするのが好ましい。
【0067】
なお、このような緻密質層41形成用の液体の粘度は、例えば、二酸化チタンの前駆体の濃度、溶媒の種類や組成、添加物の有無、種類、組成や濃度等を適宜設定することにより調整することができる。
このような緻密質層41形成用の液体を、ノズル40の小孔から液滴70として吐出して、第1の電極3の上面に膜(薄膜または厚膜)を形成する。
次いで、得られた膜に対して水熱処理を施す。この水熱処理の条件は、前記工程[1]と同様とするのが好ましい。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの緻密質層41を形成する。
【0068】
また、緻密質層41は、低温スパッタリング法により形成するようにしてもよい。低温スパッタリング法によれば、緻密質層41を均一(均質)なものとすることができるととともに、緻密質層41の光の透過率が低下するのを防止することができる。また、第1の電極3との密着性に優れた緻密質層41を得ることができる。
【0069】
低温スパッタリング法による処理条件は、例えば、次のように設定することができる。
用いるガス(プロセスガス)種としては、例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、酸素、窒素、または、これらを含む混合ガス等が挙げられる。
プロセスガス圧(スパッタリング装置内の圧力)は、好ましくは0.1〜70mTorr程度、より好ましくは1〜50mTorr程度とされる。
投入電力密度は、好ましくは0.1〜10W/cm程度、より好ましくは1〜5W/cm程度とされる。
【0070】
サンプル(基板2と第1の電極3との積層体)の温度は、好ましくは室温〜200℃程度とされ、より好ましくは50〜150℃程度とされる。サンプル温度が低過ぎると、緻密質層41が効率よく形成されない場合があり、一方、サンプル温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が期待できないばかりか、基板2に不要な温度がかかる、あるいは温度降下時に膜の微小クラック発生要因となり好ましくない。
ターゲットには、チタンまたは二酸化チタンを主材料とするものが用いられる。
このような処理条件において、例えば、ターゲットとサンプルとの距離や処理時間等を調整することにより、所望の厚さの緻密質層41を形成する。
【0071】
なお、緻密質層41の形成方法としては、上記2種の方法に限定されず、例えば、真空蒸着法、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法、電解メッキ法、無電解メッキ法等を用いて形成してもよい。
また、緻密質層41の形成に先立って、第1の電極3の上面には、例えば、O2プラズマ処理、EB処理、有機溶剤(例えばエタノール、アセトン等)での洗浄処理等を行うことにより、第1の電極3の上面に付着した有機物を除去するようにしてもよい。
【0072】
[2−2] 多孔質層42の形成
次に、緻密質層41の上面に、前記工程[1]と同様にして、多孔質層42を形成する。
多孔質層42形成用の液体としては、例えば、二酸化チタン粉末と二酸化チタンの前駆体とを含む分散液(ゾル液)を用いることができる。これにより、前述したような構成の多孔質層42を比較的容易に得ることができる。
用いる二酸化チタン粉末(粒子)としては、アナターゼ型の二酸化チタン粉末単独、ルチル型の二酸化チタン粉末単独またはこれらの混合物のいずれであってもよい。
【0073】
二酸化チタン粉末の平均粒径は、特に限定されないが、1nm〜1μm程度であるのが好ましく、1〜100nm程度であるのがより好ましく、5〜50nm程度であるのがさらに好ましい。これにより、二酸化チタン粉末を多孔質層42形成用の液体中により均一に分散させることができ、多孔質層42の空孔形態(例えば、空孔率、空孔の分布等)の制御が容易となる。
また、アナターゼ型の二酸化チタン粉末とルチル型の二酸化チタン粉末とを混合して用いる場合、これらの2種類の粉末は、それらの平均粒径が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
多孔質層42形成用の液体中の二酸化チタン粉末の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10wt%程度であるのが好ましく、0.5〜5wt%程度であるのがより好ましい。
【0074】
多孔質層42形成用の液体は、次のようにして調製することができる。
すなわち、まず、前述した緻密質層41形成用の液体と同様の液体を用意する。なお、この液体中の二酸化チタンの前駆体の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.1〜3mol/L程度であるのが好ましく、0.1〜1mol/L程度であるのがより好ましい。
【0075】
次に、この液体に水を混合する。この水と二酸化チタンの前駆体との配合比は、特に限定されないが、モル比で1:4〜4:1程度とするのが好ましい。
次に、この混合液に、二酸化チタン粉末を混合することにより、多孔質層42形成用の液体を得る。また、この多孔質層42形成用の液体は、必要に応じて、例えば、前記緻密質層41形成用の液体に用いる溶媒を用いて希釈して用いるようにしてもよい。
【0076】
なお、このような多孔質層42形成用の液体の粘度は、例えば、二酸化チタン粉末の含有量、二酸化チタンの前駆体の濃度、溶媒の種類や組成、添加物の有無、種類、組成や濃度、希釈の程度(希釈倍率)等を適宜設定することにより調整することができる。
このような多孔質層42形成用の液体を、ノズル40の小孔から液滴70として吐出して、緻密質層41の上面に膜(薄膜または厚膜)を形成する。
【0077】
次いで、得られた膜に対して水熱処理を施す。この水熱処理の条件は、前記工程[1]と同様とするのが好ましい。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの多孔質層42を形成する。
なお、多孔質層42の形成方法としては、かかる方法に限定されず、例えば、電解メッキ法、無電解メッキ法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、スプレー熱分解(SPD)法、パイロゾル法等を用いて形成してもよい。
【0078】
[3] 色素層Dの形成
次に、多孔質層42(電子輸送層4)に、色素層D形成用の液体を接触させることにより色素層Dを形成する。
色素層D形成用の液体を多孔質層42に接触させる方法としては、例えば、インクジェット法、印刷法、浸漬法、刷毛塗り、スピンコート法、ドクターブレード、ロールコーターを用いる方法等が挙げられる。
【0079】
色素層D形成用の液体としては、例えば、色素を含む溶液または分散液(懸濁液)を用いることができる。
色素層D形成用の液体中の色素の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.0001〜0.1wt%程度であるのが好ましく、0.002〜0.01wt%程度であるのがより好ましい。
【0080】
また、溶媒または分散媒には、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)またはこれらを含む混合液を用いることができる。
なお、このような色素層D形成用の液体の粘度は、前記接触方法に応じて調整すればよく、例えば、色素の濃度、溶媒または分散媒の種類や組成等を適宜設定することにより調整することができる。
【0081】
次いで、例えば、自然乾燥による方法や、空気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法等により溶媒を除去する。さらに、必要に応じて、例えば、60〜100℃×0.5〜2時間程度等の熱処理等を施すことにより乾燥してもよい。これにより、色素は、多孔質層42の外面および空孔421の内面に、例えば、吸着(化学吸着)、結合(共有結合、配位結合)等する。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの色素層Dを形成する。
【0082】
[4] 正孔輸送層5の形成
次に、色素層Dが形成された多孔質層42(電子輸送層4)に、正孔輸送層5形成用の液体を接触させることにより正孔輸送層5を形成する。以下では、主としてイオン伝導特性を有する物質(イオン伝導性物質)で構成される正孔輸送層5を形成する場合を一例として説明する。
正孔輸送層5形成用の液体を、色素層Dが形成された多孔質層42に接触させる方法としては、インクジェット法、印刷法、浸漬法、刷毛塗り、スピンコート法、ドクターブレード、ロールコーターを用いる方法等が挙げられる。
【0083】
正孔輸送層5形成用の液体としては、例えば、イオン伝導特性を有する物質を含む溶液を用いることができる。
正孔輸送層5形成用の液体中のイオン伝導特性を有する物質の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.01〜0.5mol/L程度であるのが好ましく、0.05〜0.2mol/L程度であるのがより好ましい。
また、溶媒には、例えば、水、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールまたはこれらを含む混合液を用いることができるが、これらの中でも、特に、アセトニトリルが好ましい。
【0084】
なお、正孔輸送層5の構成材料として、イオン伝導特性を有する物質を用いる場合、正孔輸送層5形成用の液体中には、バインダーとして、例えばシアノレジン等のシアノエチル化物を添加するのが好ましい。この場合、イオン伝導特性を有する物質とシアノエチル化物との配合比は、特に限定されないが、重量比で99:1〜80:20程度とするのが好ましい。
【0085】
また、正孔輸送層5形成用の液体中には、正孔の輸送効率を向上させる機能を有する正孔輸送効率向上物質を添加するのが好ましい。これにより、正孔輸送層5のキャリア移動度(正孔輸送能)をより向上させることができる。
この正孔輸送効率向上物質としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム等の各種ハロゲン化物を用いることができるが、特に、テトラプロピルアンモニウムヨーダイド(TPAI)が好適である。
【0086】
正孔輸送層5形成用の液体中の正孔輸送効率向上物質の濃度(含有量)は、特に限定されないが、1×10-4〜1×10-1wt%程度であるのが好ましく、1×10-4〜1×10-2wt%程度であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
さらに、正孔輸送層5形成用の液体中には、イオン伝導特性を有する物質が結晶化する際に、その結晶サイズが増大するのを抑制する結晶サイズ粗大化抑制物質を添加するのが好ましい。これにより、イオン伝導特性を有する物質は、結晶化する際に結晶サイズが増大するのが防止または抑制される。このため、電子輸送層4でのクラックの発生、色素層Dと正孔輸送層5との接触性の低下等の不都合を好適に防止することができる。その結果、光電変換素子1の光電変換効率等の特性が低下(劣化)するのを防止することができる。
【0087】
この結晶サイズ粗大化抑制物質としては、例えば、前述したシアノエチル化物、正孔輸送効率向上物質の他、例えば、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、チオシアン酸カリウム(KSCN)、チオシアン酸銅(CuSCN)、チオシアン酸アンモニウム(NHSCN)のようなチオシアン酸塩(ロダン化物)等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
正孔輸送層5形成用の液体中の結晶サイズ粗大化抑制物質の濃度(含有量)は、特に限定されないが、1×10- 〜10wt%程度であるのが好ましく、1×10-4〜1×10-2wt%程度であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
なお、このような正孔輸送層5形成用の液体の粘度は、前記接触方法に応じて調整すればよく、例えば、正孔輸送層5の構成材料の種類、組成や濃度、正孔輸送効率向上物質の種類や濃度、溶媒の種類や組成、添加物の有無、種類や濃度等を適宜設定することにより調整することができる。
【0089】
このような正孔輸送層5形成用の液体を、色素層Dが形成された多孔質層42の上面に供給して膜(薄膜または厚膜)を形成する。
この際、色素層D(色素層Dが形成された多孔質層42)を加熱しつつ、色素層Dが形成された多孔質層42の上面に、正孔輸送層5形成用の液体を供給するのが好ましい。この加熱温度としては、特に限定されないが、50〜150℃程度であるのが好ましく、70〜90℃程度であるのがより好ましい。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの正孔輸送層5を形成する。
【0090】
[5] 第2の電極6の形成
次に、正孔輸送層5の上面に、前記工程[1]と同様にして、第2の電極6を形成する。
以上のような光電変換素子1の製造方法は、各層を比較的低温で形成することができるので、特に、基板2が主として樹脂材料で構成される可撓性基板を用いた光電変換素子1の製造への適用に適している。
【0091】
なお、本発明では、第1の電極3、緻密質層41および多孔質層42の少なくとも1つの層を、前述した方法により形成すればよいが、これらの層のうちの任意の2つの層を、前述した方法により形成するのが好ましく、本実施形態のように、各層を前述した方法により形成するのがより好ましい。これにより、光電変換素子1の光電変換効率をより向上させることができる。
本発明の電子機器は、このような光電変換素子1を備えるものである。
【0092】
以下、図4および図5に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図4は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図5は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
図4に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および光電変換素子設置部104とを備えている。
図4に示す構成では、光電変換素子設置部104には、光電変換素子1が5つ直列に接続されて配置されている。
【0093】
図5に示す携帯電話機200は、本体部201と、本体部201の前面に設けられた表示部202、複数の操作ボタン203、受話口204、送話口205および光電変換素子設置部206とを備えている。
図5に示す構成では、光電変換素子設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子1が複数、直列に接続されて配置されている。
なお、本発明の電子機器としては、図4に示す電卓、図5に示す携帯電話機の他、例えば、光センサー、光スイッチ、電子手帳、電子辞書、腕時計、クロック等に適用することもできる。
【0094】
以上、本発明の光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器について図示の各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成と置換することができる。また、本発明の光電変換素子では、その他の構成(例えば、各層の間に、任意の目的の1層以上の層)が付加されていてもよい。
【0095】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
次のようにして、図1に示す光電変換素子を製造した。
まず、寸法:縦70mm×横30mm×厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート基板(PET基板)を用意した。
【0096】
−1− 第1の電極の形成
[第1の電極形成用の液体の調製]
ブチルセロソルブに、テトラブチルスズ:10wt%、過酸化水素:3wt%、フッ化アンモニウム5wt%およびITO粉末1wt%となるように混合して、第1の電極形成用の液体を調製した。
なお、第1の電極形成用の液体の粘度(常温)は、5cpsであった。
【0097】
[第1の電極の形成]
基板を、液滴吐出装置のXYテーブル上に載置し、第1の電極形成用の液体を、液滴(約20pL)として基板の上面に吐出して膜を形成した。
次いで、この膜が形成された基板をオートクレーブ装置に収納して、水熱処理を施した。水熱処理の処理条件は、飽和水蒸気圧で105℃×12時間とした。なお、第1の電極の寸法は、縦70mm×横30mm×厚さ0.1μmとした。
【0098】
−2− 緻密質層(緻密質な電子輸送層)の形成
[緻密質層形成用の液体の調製]
まず、2−n−ブトキシエタノールに、チタンテトライソプロポキシド(有機チタン化合物)を0.5mol/Lとなるように溶解した。
次いで、この溶液に、ジエタノールアミン(添加物)を混合することにより、緻密質層形成用の液体を調製した。ジエタノールアミンは、ジエタノールアミン:チタンテトライソプロポキシド(モル比)が2:1となるように混合した。
なお、緻密質層形成用の液体の粘度(常温)は、3cpsであった。
【0099】
[緻密質層の形成]
次に、前記工程−1−と同様にして(インクジェット法を用いて)、緻密質層形成用の液体を、液滴として第1の電極の上面に吐出して膜を形成し、この膜に対して、前記工程−1−と同様の処理条件で水熱処理を施す操作を行った。かかる操作を繰り返すことにより、緻密質層を得た。得られた緻密質層は、空孔率が1%未満であった。
なお、緻密質層の寸法は、縦60mm×横30mm×厚さ2μmとした。
【0100】
−3− 多孔質層(多孔質な電子輸送層)の形成
[多孔質層形成用の液体の調製]
まず、2−プロパノールに、チタンテトライソプロポキシド(有機チタン化合物)を1mol/Lとなるように溶解した。
次いで、この溶液に、酢酸(添加物)と蒸留水とを混合した。酢酸は、酢酸:チタンテトライソプロポキシド(モル比)が1:1となるように、また、蒸留水は、蒸留水:チタンテトライソプロポキシド(モル比)が1:1となるように混合した。
【0101】
次いで、この溶液に、アナターゼ型の二酸化チタン粉末(平均粒径:40nm)を混合し、さらに、この混合液(分散液)を、2−プロパノールで2倍に希釈して、多孔質層形成用の液体を調製した。アナターゼ型の二酸化チタン粉末の多孔質層形成用の液体中の含有量は、3wt%となるようにした。
なお、多孔質層形成用の液体の粘度(常温)は、5cpsであった。
【0102】
[多孔質層の形成]
次に、前記工程−1−と同様にして(インクジェット法を用いて)、多孔質層形成用の液体を、液滴として緻密質層の上面に吐出して膜を形成し、この膜に対して、前記工程−1−と同様の処理条件で水熱処理を施す操作を行った。かかる操作を繰り返すことにより、多孔質層を得た。得られた多孔質層は、空孔率が34%であった。
なお、多孔質層の寸法は、縦60mm×横30mm×厚さ10μmとした。
【0103】
−4− 色素層の形成
[色素層形成用の液体の調製]
エタノールに、ルテニウムトリスビピジル(色素)を0.005wt%となるように溶解させて、色素層形成用の液体を調製した。
なお、色素層形成用の液体の粘度(常温)は、2cpsであった。
[色素層の形成]
次に、前記工程−1−と同様にして(インクジェット法を用いて)、色素層形成用の液体を、液滴として多孔質層の上面に吐出した後、自然乾燥、次いで、80℃×0.5時間で熱処理を施すことにより、色素層を得た。
【0104】
−5− 正孔輸送層の形成
[正孔輸送層形成用の液体の調製]
まず、アセトニトリルに、CuIを0.1mol/Lとなるように溶解した。次いで、この溶液に、テトラプロピルアンモニウムヨーダイド(正孔輸送効率向上物質)、シアノレジン(シアノエチル化物)およびチオシアン酸ナトリウム(結晶サイズ粗大化抑制物質)を混合して、正孔輸送層形成用の液体を調製した。テトラプロピルアンモニウムヨーダイドは、1×10-3wt%となるように、シアノレジンは、CuI:シアノレジン(重量比)が97:3となるように、また、チオシアン酸ナトリウムは、1×10-3wt%となるように混合した。
なお、正孔輸送層形成用の液体の粘度(常温)は、5cpsであった。
【0105】
[正孔輸送層の形成]
次に、前記工程−1−と同様にして(インクジェット法を用いて)、正孔輸送層形成用の液体を、液滴として80℃に加熱した色素層が形成された電子輸送層の上面に、吐出する操作を繰り返すことにより、正孔輸送層を得た。
なお、正孔輸送層の寸法は、縦60mm×横30mm×厚さ10μmとした。
−6− 第2の電極の形成
前記工程−1−と同様にして、第2の電極を形成した。
なお、第2の電極の寸法は、縦60mm×横30mm×厚さ0.1μmとした。
【0106】
(実施例2)
寸法:縦70mm×横30mm×厚さ1mmの石英ガラス基板を用い、それ以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
(実施例3)
多孔質層を次のようにして形成し、それ以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
[多孔質層形成用の液体の調製]
前記工程−3−と同様にして、多孔質層形成用の液体を調製した。
[多孔質層の形成]
次に、前記工程−1−と同様にして(インクジェット法を用いて)、多孔質層形成用の液体を、液滴として140℃に加熱した緻密質層の上面に吐出する操作を繰り返すことにより、多孔質層を得た。得られた多孔質層は、空孔率が45%であった。
【0107】
(実施例4)
緻密質層を次のようにして形成し、それ以外は、前記実施例2と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
[緻密質層形成用の液体の調製]
前記工程−2−と同様にして、緻密質層形成用の液体を調製した。
[緻密質層の形成]
次に、前記工程−1−と同様にして(インクジェット法を用いて)、緻密質層形成用の液体を、液滴として第1の電極の上面に吐出して膜を形成した。
次いで、基板、第1の電極および膜の積層体を、ホットプレート上に設置して、160℃×10分で、膜を乾燥させ、さらに、オーブン内に設置して、480℃×30分で、膜に熱処理を施す操作を行った。
以上のような操作を繰り返すことにより、緻密質層を得た。得られた緻密質層は、空孔率が1%未満であった。
【0108】
(実施例5)
第1の電極を真空蒸着法により形成し、それ以外は、前記実施例2と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
(実施例6)
多孔質層を前記実施例3と同様にして、また、緻密質層を前記実施例4と同様にして形成し、それ以外は、前記実施例2と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
【0109】
(実施例7)
多孔質層を前記実施例3と同様にして、また、第1の電極を前記実施例5と同様にして形成し、それ以外は、前記実施例2と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
(実施例8)
緻密質層を前記実施例4と同様にして、また、第1の電極を前記実施例5と同様にして形成し、それ以外は、前記実施例2と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
【0110】
(実施例9)
低温スパッタリング法により緻密質層を形成し、それ以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
この低温スパッタリング法における処理条件は、次の通りである。
【0111】
ガス種:アルゴンと酸素との混合ガス(アルゴン:酸素=30:70)
プロセスガス圧:12mTorr
投入電力密度:2.7W/cm
サンプル温度:150℃
ターゲット:二酸化チタン
ターゲットとサンプルとの距離:100mm
処理時間:10時間
(実施例10)
寸法:縦70mm×横30mm×厚さ1mmの石英ガラス基板を用い、それ以外は、前記実施例9と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
【0112】
(比較例)
多孔質層を前記実施例3と同様にして、緻密質層を前記実施例4と同様にして、また、第1の電極を前記実施例5と同様にして形成し、それ以外は、前記実施例2と同様にして、図1に示すような光電変換素子を製造した。
【0113】
(評価)
実施例1〜10および比較例で製造した光電変換素子に、人工太陽灯の光(照射光強度:AM1.5、100W/m)を、基板に対して90°の方向から照射して、各光電変換素子の光電変換効率について比較した。
この結果を表1に示す。なお、表1には、比較例で製造した光電変換素子の光電変換効率を100として、各光電変換素子の光電変換効率を相対値で示した。
【0114】
【表1】
Figure 0004026501
【0115】
表1に示すように、実施例1〜4で製造した光電変換素子(本発明の光電変換素子)は、いずれも、比較例で製造した光電変換素子と比較して、光電変換効率に優れることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光電変換素子の実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1中のA−A線断面図である。
【図3】 インクジェット法で用いられる液滴吐出装置を模式的に示す図である。
【図4】 本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図である。
【図5】 本発明の電子機器を適用した携帯電話機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1……光電変換素子 2……基板 3……第1の電極 4……電子輸送層 41……緻密質層 42……多孔質層 421……空孔 5……正孔輸送層 6……第2の電極 8……外部回路 D……色素層 10……液滴吐出装置 20……載置テーブル X軸駆動ローラ……30 40……ノズル 50……液滴吐出ヘッド 60……Y軸駆動機構 70……液滴 100……電卓 101……本体部 102……表示部 103……操作ボタン 104……光電変換素子設置部 200……携帯電話機 201……本体部 202……表示部 203……操作ボタン 204……受話口 205……送話口 206……光電変換素子設置部

Claims (9)

  1. 基板上に、第1の電極を形成する工程と、
    該第1の電極上に、少なくとも一部が多孔質な電子輸送層を形成する工程と、
    該電子輸送層と接触するよう色素層を形成する工程と、
    該色素層と接触するよう正孔輸送層を形成する工程と、
    該正孔輸送層上に、第2の電極を形成する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記第1の電極は、金属酸化物で構成されており、
    該金属酸化物の前駆体を含む溶液を、インクジェット法により前記基板上に吐出して膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより、前記第1の電極を得ることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 前記電子輸送層を、該電子輸送層形成用の液体を用いて膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより得る請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 基板上に、第1の電極を形成する工程と、
    該第1の電極上に、緻密質な電子輸送層を形成する工程と、
    該緻密質な電子輸送層と接触するよう多孔質な電子輸送層を形成する工程と、
    該多孔質な電子輸送層と接触するよう色素層を形成する工程と、
    該色素層と接触するよう正孔輸送層を形成する工程と、
    該正孔輸送層上に、第2の電極を形成する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記第1の電極は、金属酸化物で構成されており、
    該金属酸化物の前駆体を含む溶液を、インクジェット法により前記基板上に吐出して膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより、前記第1の電極を得るとともに、
    前記緻密質な電子輸送層および前記多孔質な電子輸送層のうちの少なくとも一方を、該層形成用の液体を用いて膜を形成し、該膜に水熱処理を施すことにより得ることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  4. 前記水熱処理が施されるべき膜は、インクジェット法により形成される請求項2または3に記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 前記水熱処理は、飽和水蒸気圧で100〜180℃の温度で行われる請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 前記水熱処理による処理時間は、1〜50時間である請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  7. 前記基板は、主として樹脂材料で構成される可撓性基板である請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子の製造方法により製造されたことを特徴とする光電変換素子。
  9. 請求項に記載の光電変換素子を備えることを特徴とする電子機器。
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