JP2016178166A - 光電極の製造方法、光電極、太陽電池の製造方法および太陽電池 - Google Patents

光電極の製造方法、光電極、太陽電池の製造方法および太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】焼成工程を必須としない、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層を備えた光電極の製造方法、光電極、その光電極を使用した太陽電池の製造方法及び太陽電池を提供する。
【解決手段】導電性を有する基材8と、基材8上に積層された下地層3と、下地層3の表面及び内部の少なくとも何れか一方に形成された有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層7と、を有する光電極9の製造方法であって、N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の少なくとも何れか一方を基材8に吹き付けることにより下地層3を形成する工程を有する光電極の製造方法。前記有機無機ペロブスカイト化合物は、下記組成式(I)で表される化合物であることが好ましい。
ABX ・・・(I)
[式中、Aは有機カチオン、Bは金属イオン、Xはハロゲンイオンを表す。]
【選択図】図1

Description

本発明は、焼成処理を必須としない光電極の製造方法、その製造方法によって製造された光電極、その光電極を用いた太陽電池の製造方法、及びその製造方法によって製造された太陽電池に関する。
有機無機ハイブリッドのペロブスカイト化合物は、色素増感太陽電池の色素に替わる増感剤として注目を集めている。このペロブスカイト化合物からなる結晶層(ペロブスカイト化合物層)の表面にビフルオレン型低分子sprio-OMeTADの有機正孔輸送層を製膜した、電解液を使用しない固体太陽電池が10.9%の光電変換効率を示したことが報告されている(非特許文献1参照)。この報告を皮切りに、更なる光電変換効率の向上が相次いで報告され(非特許文献2参照)、実用化に向けた開発が盛んになりつつある。実用化するためには、光電変換効率の向上を図るだけでなく、製造コストを下げることも求められている。
従来、チタニア微粒子とバインダー樹脂を含むペーストを導電性ガラス基板上に塗布し、この塗膜を焼成して得られた多孔質膜が、ペロブスカイト化合物層の下地として利用されている。しかし、約500℃で30〜60分という条件の焼成工程は製造コストを押し上げる要因であるため、多孔質膜を低温かつ短時間で製膜することが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、焼成工程を必須としない、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層を備えた光電極の製造方法、光電極、その光電極を使用した太陽電池の製造方法及び太陽電池の提供を課題とする。
[1] 導電性を有する基材と、前記基材上に積層された下地層と、前記下地層の表面及び内部の少なくとも何れか一方に形成された有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層と、を有する光電極の製造方法であって、N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の少なくとも何れか一方を前記基材に吹き付けることにより前記下地層を形成する工程を有する光電極の製造方法。
[2] 前記N型半導体微粒子が、ZnO、TiO及びSnOから選ばれる何れか1種以上からなる微粒子である、上記[1]に記載の光電極の製造方法。
[3] 前記絶縁体微粒子が、Al、ZrO及びMgOから選ばれる何れか1種以上からなる微粒子である、上記[1]に記載の光電極の製造方法。
[4] 前記N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の平均粒径が10nm〜70nmである、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の光電極の製造方法。
[5] 前記有機無機ペロブスカイト化合物が、下記組成式(I)で表される、上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の光電極の製造方法。
ABX ・・・(I)
[式中、Aは有機カチオン、Bは金属イオン、Xはハロゲンイオンを表す。]
[6] 上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の方法によって製造された光電極。
[7] 上記[6]に記載の光電極と、対向電極とを備えた太陽電池の製造方法であって、上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の方法によって前記光電極を得る工程と、前記光電極の光吸収層の表面に前記対向電極を配置する工程と、を有する、太陽電池の製造方法。
[8] 上記[6]に記載の光電極と、正孔輸送層と、対向電極とを備えた太陽電池の製造方法であって、上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の方法によって前記光電極を得る工程と、前記光電極の光吸収層の上に前記正孔輸送層を形成する工程と、前記正孔輸送層の上に前記対向電極を配置する工程と、を有する、太陽電池の製造方法。
[9] 前記光吸収層の表面に前記正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層の表面に前記対向電極を配置する、上記[8]に記載の太陽電池の製造方法。
[10] 上記[6]に記載の光電極と、対向電極とを備える太陽電池。
[11] 上記[7]〜[9]の何れか一項に記載の方法によって製造された太陽電池。
本発明にかかる光電極及び太陽電池の製造方法によれば、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層の下地層を、焼成することなく常温で製膜できるので、製造コストを低減することができる。さらに、下地層を形成する基材として、耐熱性の低い樹脂フィルムを適用できるので、従来よりも幅広い設置形態及び多様な用途に適用可能なフィルム型太陽電池を低コストで製造することができる。
本発明にかかる光電極の積層構造の一例を示した断面模式図である。 本発明にかかる光電極の製造方法に適用可能な製膜装置の概略構成図である。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。なお、本明細書において、「膜」と「層」は特に明記しない限り区別しない。
《光電極》
本発明の光電極の第一実施形態は、図1に示す光電極9である。光電極9は、導電性を有する基板1と、基板1の表面に積層されたブロック層2と、基板1上であってブロック層2の表面に積層された下地層3と、下地層3の表面及び内部の少なくとも一方に形成された有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層7と、を有する。
本明細書においては、有機無機ペロブスカイト化合物を単に「ペロブスカイト化合物」と呼ぶ。
光電極9において、導電性基板1とブロック層2を合わせて基材8と呼ぶ。導電性基板1及びブロック層2のうち何れか一方が配置されていない場合には、配置された残りの他方が基材8である。光電極9において基材8の表面に下地層3が配置されている。
光電極9の下地層3は多孔質膜であり、ペロブスカイト化合物が多孔質膜の内部にも含まれている。多孔質膜の表面には、ペロブスカイト化合物によって構成されたアッパー層4が積層されている。多孔質構造によって支持されたペロブスカイト化合物を含む多孔質膜(下地層3)と、下地層3の上方に位置するペロブスカイト化合物によって構成されたペロブスカイト化合物層(アッパー層4)と、を合わせて光吸収層7と呼ぶ。
下地層3は、多孔質膜に替えて、非多孔質の緻密膜であってもよい。この場合、緻密膜中にペロブスカイト化合物は含まれないので、アッパー層4のみが光吸収層7である。
光電極9において、ブロック層2は必須の構成ではないが、ブロック層2が導電性基板1と光吸収層7の間に配置されていることが好ましい。ブロック層2を配置することにより、導電性基板1と光吸収層7とが直接接触することを防ぎ、光電変換効率を向上させることができる。ブロック層2はN型半導体によって構成された緻密層であることが好ましい。
光吸収層7に含まれるペロブスカイト化合物層は、結晶構造を有し、典型的な化合物半導体と同様にバンドギャップ励起による光吸収を示す。ペロブスカイト化合物として公知であるCH3NH3PbI3からなる結晶においては、PbI2が可視光吸収を担い、色素増感太陽電池の増感色素と比べて、単位厚さ当たりの吸光係数(cm-1)が1桁高いことが知られている。
光電極9は図1に示す太陽電池10を構成しており、光電極9のアッパー層4の表面に正孔輸送層5が形成され、正孔輸送層5の表面に対向電極6が配置されている。正孔輸送層5及び対向電極6の詳細は後述する。
本発明にかかる光電極9の各構成の好適な材料、厚さなどについては次の製造方法の説明において例示する。
《光電極の製造方法》
本発明の光電極の製造方法の第一実施形態として、図1に例示した光電極9の製造方法を説明する。
<基板1の準備>
基材8を構成する基板1の種類は特に制限されず、例えば従来の太陽電池の光電極に使用される透明基板が挙げられる。前記透明基板としては、例えばガラス若しくは合成樹脂からなる基板、合成樹脂製フィルム等が挙げられる。基板1には可撓性を有するフレキシブルなフィルムも含まれる。
N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の少なくとも何れか一方の微粒子の吹き付けによって下地層3を形成する本実施形態の製造方法においては、高温の焼成処理が必須ではなく、室温で下地層3を形成できるので、200℃未満のガラス転移温度を有する基板、例えば合成樹脂製の基板、フィルム等を基板1として適用できる。したがって、従来に比べて多種類の基板を使用することができるので、従来よりも広範な目的及び用途に応じた、種々のペロブスカイト化合物を有する太陽電池を製造することが可能である。
基板1の材料がガラスである場合、そのガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、バイコールガラス、無アルカリガラス、青板ガラス及び白板ガラスなどの公知のガラスが挙げられる。
基板1の材料が合成樹脂である場合、その合成樹脂としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)が、薄く、軽く、かつフレキシブルな太陽電池を製造する観点から好ましい。
基板1の表面には透明導電層を構成する金属酸化物がコーティングされていることが好ましい。このコーティングにより、基板1の透明性を損なうことなく、その表面に導電性を付与することができる。金属酸化物としては、公知の太陽電池の透明導電層に使用される化合物が適用可能であり、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、酸化ガリウム/酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。
前記金属酸化物からなる透明導電層は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。
本実施形態で使用する基板1は常法により作製可能であり、市販品を使用してもよい。
基板1の厚みと材料は特に限定されず、例えば1mm〜10mm厚のガラス基板、0.01mm〜3mm厚の樹脂フィルム等が挙げられる。
基板1の表面に設けられる透明導電層の厚みは、所望の導電性が得られる厚みであれば特に限定されず、例えば1nm〜10μm程度が挙げられる。
<ブロック層2の形成>
基板1の表面の透明導電層と、光吸収層7を構成するペロブスカイト化合物とが直接接触して起電力の損失又はリーク電流が生じることを防ぐために、基板1の透明導電層の表面にN型半導体からなるブロック層2を配置することが好ましい。上記損失を確実に防ぐために、非多孔性の緻密層のブロック層2を配置することが好ましい。
ブロック層2を構成するN型半導体としては、例えばZnO、TiO、SnO、IGZO、SrTiO、などの電子伝導性に優れた酸化物半導体が挙げられる。これらの中でも特にTiOが電子伝導性に優れるので好ましい。
ブロック層2を構成するN型半導体の種類は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
ブロック層2の層数は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
ブロック層2の合計の厚みは特に限定されないが、例えば1nm〜1μm程度が挙げられる。1nm以上であると上記損失を防止する効果が充分に得られ、1μm以下であると内部抵抗を低く抑えることができる。
ブロック層2の形成方法は特に限定されず、基板1の透明導電層の表面に所望の厚みでN型半導体からなる緻密層を形成可能な公知方法が適用できる。例えば、スパッタ法、蒸着法、N型半導体の前駆体を含む分散液を塗布するゾルゲル法等の公知方法が挙げられる。
N型半導体の前駆体としては、例えば、四塩化チタン(TiCl)、ペルオキソチタン酸(PTA)や、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド(TTIP)等のチタンアルコキシド、亜鉛アルコキシド、アルコキシシラン、ジルコニウムアルコキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
<下地層3の形成>
本発明の光電極の製造方法の第一実施形態は、導電性を有する基材8と、基材8上に積層された下地層3と、下地層3の表面及び内部の少なくとも何れか一方に形成された有機無機ペロブスカイト化合物(以下、単にペロブスカイト化合物と呼ぶことがある。)を含む光吸収層7と、を有する光電極9の製造方法であって、N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の少なくとも何れか一方を基材8に吹き付けることにより下地層3を形成する工程を有する。基材8は前述した導電性基板1及びブロック層2を備える。
本実施形態の製造方法は、N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の少なくとも何れか一方を基材8に吹き付けることにより、基材8と微粒子とを接合させるとともに、微粒子同士を接合させ、下地層3を形成する工程を有する。
前記微粒子を基材8に吹き付ける方法は特に限定されず、従来の粉体吹き付け方法が適用可能であり、例えば、搬送ガスにより微粒子を加速するエアロゾルデポジション法(AD法)、静電力により微粒子を加速する静電微粒子コーティング法(静電スプレー法)、コールドスプレー法等が挙げられる。これらの方法のうち、吹き付ける微粒子の速度を調整することが容易であり、形成する下地層3の強度や層厚を調整することが容易であることから、AD法が好ましい。
AD法は、窒素等の搬送ガスによって微粒子を亜音速〜超音速程度まで加速して基材に吹き付け、基材表面に微粒子からなる膜を製膜する方法である。基材表面に接合した微粒子に対して、続けて吹き付けられた微粒子が衝突することによって、微粒子同士が接合した膜が形成される。微粒子同士の衝突においては、微粒子が溶融するような温度上昇は発生し難い。また、形成された多孔質膜は、太陽電池の電極として充分な強度及び電子伝導性を有するので、製膜後の焼結工程を必須としない。ただし、必要に応じて焼結(焼成)を行ってもよい。
吹き付ける微粒子の速度を適宜調整することによって、製膜レートと膜の多孔度を調整することができる。通常、高速で吹き付けるほど、製膜レートは増加し、膜の多孔度が低下する傾向にある。従って、下地層3を形成する際に、微粒子の吹き付け速度を調整することにより、多孔質膜又は緻密膜の何れかの膜構造を任意に選択して、下地層3を形成することができる。
前記吹き付けの速度を調整する方法としては、例えば吹き付けノズルの開口径(開口部の直径又は開口部の一辺の長さ)を調整することによって行うことができる。前記開口径を広げるほど、吹き付け速度を遅くすることができ、前記開口径を狭めるほど、吹き付け速度を速めることができる。例えば、窒素ガスで搬送された微粒子(小径微粒子又は大径微粒子)を1mm以下の開口径のノズル口を通して吹きつけることによって、例えば、10〜1000m/sに加速できる。微粒子の吹き付け速度は特に限定されず、基材の材質に応じて適宜設定される。
前記N型半導体微粒子を構成するN型半導体の種類は特に制限されず、公知の無機半導体が適用可能であり、例えば10nm〜100μm程度の粒子径を有する微粒子に成形することが可能な無機半導体が好ましい。このような無機半導体として、例えば、従来の色素増感太陽電池の光電極を構成する酸化物半導体が挙げられる。具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO, SnO2)、IGZO、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等の電子伝導性に優れた酸化物半導体が例示できる。また、5価の元素をドープしたSi、Cd、ZnSなどの化合物半導体も適用できる場合がある。これらのうち、特に酸化チタンが電子伝導性に優れるので好ましい。
前記無機半導体として、1種の無機半導体を使用してもよいし、2種以上の無機半導体を併用してもよい。
一般に、産業上利用される酸化チタン(チタニア)はアナターゼ型とルチル型とに大別され、その他にブルッカイト型や非晶質(アモルファス)の酸化チタンが知られている。
N型半導体として酸化チタンを用いる場合、上記いずれの型の酸化チタンを用いてもよく、複数の型が混合された酸化チタンであってもよい。
前記絶縁体微粒子を構成する絶縁体の種類は特に制限されず、公知の無機絶縁体が適用可能であり、例えば10nm〜100μm程度の粒子径を有する微粒子に成形することが可能な無機絶縁体が好ましい。このような無機絶縁体として、例えば、従来の半導体デバイスの絶縁層を構成する酸化物が挙げられる。具体的には、二酸化ジルコニウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム(AlO, Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)等が例示できる。これらのうち、特に酸化アルミニウム(III)(Al2O3)が分散性に優れるので好ましい。
前記無機絶縁体として、1種の無機絶縁体を使用してもよいし、2種以上の無機絶縁体を併用してもよい。
下地層3を形成するために吹き付ける前記微粒子として、N型半導体微粒子の1種以上と、絶縁体微粒子の1種以上とを併用してもよい。
前記微粒子の平均粒径rは、1nm≦r<200nmが好ましく、10nm≦r≦70nmがより好ましく、10nm≦r≦30nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上において大きい程、ペロブスカイト化合物を下地層3の多孔質構造を構成する細孔内に充分に挿入することが容易である。上記範囲の上限値以下において小さい程、ペロブスカイト化合物とN型半導体微粒子との界面が増加し、光電子の取り出しが容易になるとともに、下地層3と正孔輸送層5が接触して起電力の損失又はリーク電流が生じることを防止できる。
前記微粒子の平均粒径rは、複数の微粒子を電子顕微鏡で観察して測定した粒子径の平均値として求めることができる。この場合、測定する微粒子の個数は多いほど好ましく、例えば10〜50個を測定して、その算術平均を求めればよい。或いは、レーザー回折式粒度分布測定装置の測定により得られた粒子径(体積平均径)分布のピーク値として決定することもできる。同じ微粒子の測定試料を上記2種類の方法によって測定し、その測定値が互いに異なった場合、電子顕微鏡で観察して得られた値に基づいて上記平均粒径の範囲に含まれるか否かを判定する。
前記微粒子の平均粒径の測定方法は、前記2種類の方法(電子顕微鏡観察又はレーザー回折式粒度分布測定)には限られず、その他の公知方法によって測定してもよい。その他の公知方法によって測定した粒子径が、上述の好適な範囲外であっても、前記2種類の方法によって測定して、上述の粒子径の範囲に入るのであれば、当該微粒子は本実施形態における好適な粒子径を有する微粒子である。
下地層3の形成は、ペロブスカイト化合物が入り込む細孔を有する多孔質膜として形成することが好ましい。下地層3が多孔質膜であることにより、下地層3とペロブスカイト化合物との接触面積が拡がり、光吸収層7中から作用極へ光電子を取り出す効率が高まるので、光電変換効率をより向上させることができる。
下地層3を構成する多孔質膜の平均細孔径は、1nm〜100nm以上が好ましく、5nm〜80nmがより好ましく、10nm〜50nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、細孔内にペロブスカイト化合物を十分に挿入することができる。上記範囲の上限値以下であると多孔質膜の強度を高めることができる。
平均細孔径は、公知のガス吸着試験又は水銀圧入試験によって測定することができる。
下地層3としての多孔質又は非多孔質の厚さは特に限定されず、例えば、10nm〜10μmが好ましく、50nm〜1μmが好ましく、100nm〜0.5μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、アッパー層4を構成するペロブスカイト化合物の結晶化に適した足場になる。さらに、多孔質膜の細孔内に多くのペロブスカイト化合物を挿入し、光の吸収効率をより高めて光電変換効率をより向上させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、光吸収層7で発生した光電子が下地層3を介して導電性基材8に到達する効率が高まり、光電変換効率をより向上させることができる。
<光吸収層7の形成>
光電極9において、ペロブスカイト化合物を含む多孔質膜(下地層3)及び多孔質膜の表面に形成されたアッパー層4からなる光吸収層7には、ペロブスカイト化合物の結晶が含まれている。ペロブスカイト化合物の結晶が光を吸収すると、結晶内で光電子及び正孔が発生する。光電子は基材1が構成する作用極(正極)に移動し、正孔は正孔輸送層5を介して対向電極6が構成する対極(負極)に移動する。
本実施形態で使用するペロブスカイト化合物は、光吸収により起電力を発生させ得るものであれば特に限定されず、公知のペロブスカイト化合物が適用可能である。なかでも、ペロブスカイト型の結晶を形成可能であり、単一の化合物内に有機成分及び無機成分を有する下記組成式(1):
ABX ・・・(1)
で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
組成式(1)において、Aは有機カチオンを表し、Bは金属カチオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。ペロブスカイト型結晶構造において、Bサイトは、Xサイトに対して八面体配位をとり得る。Bサイトの金属カチオンと、Xサイトのハロゲンイオンの原子軌道とが混成し、光電変換に関わる価電子帯と伝導帯が形成される、と考えられる。
組成式(1)のBで表される金属カチオンを構成する金属は特に限定されず、例えばCu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Euが挙げられる。なかでも、Xサイトのハロゲンイオンの原子軌道との混成により伝導性の高いバンドを容易に形成することが可能な、Pb及びSnが好ましい。
Bサイトを構成する金属カチオンは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
組成式(1)のXで表されるハロゲンイオンを構成するハロゲンは特に限定されず、例えばF、Cl、Br、Iが挙げられる。なかでも、Bサイトの金属カチオンとの混成軌道により伝導性の高いバンドを容易に形成することが可能な、Cl、Br及びIが好ましい。
Xサイトを構成するハロゲンイオンは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
組成式(1)のAで表される有機カチオンを構成する有機基は特に限定されず、例えばアルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体が挙げられる。
Aサイトを構成する有機カチオンは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記アルキルアンモニウム誘導体がなす有機カチオンとして、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、tert-ブチルアンモニウム、ペンチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、フェニルアンモニウム等の、炭素数1〜6のアルキル基を有する1級又は2級のアンモニウムが挙げられる。なかでも、ペロブスカイト型結晶が容易に得られる、メチルアンモニウムが好ましい。
前記ホルムアミジニウム誘導体がなす有機カチオンとして、例えば、ホルムアミジニウム、メチルホルムアミジニウム、ジメチルホルムアミジニウム、トリメチルホルムアミジニウム、テトラメチルホルムアミジニウムが挙げられる。なかでも、ペロブスカイト型結晶が容易に得られる、ホルムアミジニウムが好ましい。
組成式(1)で表される好適なペロブスカイト化合物として、例えば、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbI3-hClh(hは0〜3を表す。)、CH3NH3PbI3-jBrj(jは0〜3を表す。)等の下記組成式(2):
RNH3PbX3 ・・・(2)
で表されるアルキルアミノ鉛ハロゲン化物が挙げられる。組成式(2)において、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲンイオンを表す。この組成式を有するペロブスカイト化合物は、その吸収波長域が広く、太陽光の広い波長範囲を吸収できるので、優れた光電変換効率が得られる。
組成式(2)のRで表されるアルキル基は、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の飽和又は不飽和アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖状飽和アルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基又はn−プロピル基であることがさらに好ましい。これらの好適なアルキル基であると、ペロブスカイト型結晶が容易に得られる。
光吸収層7を構成するペロブスカイト化合物は、ペロブスカイト化合物又はペロブスカイト化合物の前駆体を溶解した原料溶液を下地層3の表面に塗布し、溶媒を乾燥することによって、ペロブスカイト型結晶として得られる。
前記前駆体からペロブスカイト化合物が形成される反応は、常温で起き得るが、この反応を促進するために加熱してもよい。また、光電変換効率を高める観点から、ペロブスカイト型結晶を80〜150℃程度でアニーリングしてもよい。さらに、必要に応じて150℃を超える温度で加熱又は焼結しても構わない。
下地層3に塗布した前記原料溶液の少なくとも一部は下地層3の多孔質膜内に浸透し、溶媒の乾燥とともに結晶化が進行し、多孔質膜内にペロブスカイト型結晶が形成される。また、充分量の前記原料溶液を塗布することにより、多孔質膜内に浸透しなかった前記原料溶液は、溶媒の乾燥とともに多孔質膜の表面にペロブスカイト型結晶を形成し、ペロブスカイト型結晶からなるアッパー層4を形成する。アッパー層4を構成するペロブスカイト型結晶と下地層3内のペロブスカイト型結晶は、一体的に形成されており、光吸収層7を一体的に構成する。
前記原料溶液に含まれる前記前駆体としては、例えば、前述したBサイトの金属イオン及びXサイトのハロゲンイオンが含有されたハロゲン化物(BX)、前述したAサイトの有機カチオン及びXサイトのハロゲンイオンが含有されたハロゲン化物(AX)、が挙げられる。ハロゲン化物(AX)及びハロゲン化物(BX)が含まれた単一の原料溶液を下地層3に塗布してもよいし、各ハロゲン化物が個別に含まれた2つの原料溶液を順に下地層3に塗布してもよい。
前記原料溶液の溶媒は、原料を溶解し、下地層3を損なわない溶媒であれば特に限定されず、例えば、エステル、ケトン、エーテル、アルコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、カーボネート、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、スルホン、スルホキシド等の化合物が挙げられる。
一例として、ハロゲン化アルキルアミンとハロゲン化鉛を、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒に溶かし、その溶液を下地層3に塗布して乾かすことによって、前記組成式(2)で表されるペロブスカイト化合物からなるペロブスカイト型結晶が得られる。さらに、非特許文献2に記載されているように、ペロブスカイト型結晶の上に当該結晶を溶解せず、GBLやDMSOと混和する溶媒、例えばトルエン、クロロホルムなどを塗布した後、100℃程度でアニーリングする処理を加えてもよい。この追加処理によって、結晶の安定性が向上し、光電変換効率が高まる場合がある。
前記原料溶液中の原料の濃度は特に限定されず、充分に溶解され、多孔質膜内に当該原料溶液が浸透可能な程度の粘度を呈する濃度であることが好ましい。
下地層3に塗布する前記原料溶液の塗布量は特に限定されず、例えば、多孔質膜内の全体又は少なくとも一部に浸透するとともに、多孔質膜の表面に厚さ1nm〜1μm程度のアッパー層4が形成される程度の塗布量が好ましい。
下地層3に対する前記原料溶液の塗布方法は特に限定されず、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の公知方法を適用できる。
下地層3に対する前記原料溶液の塗布は、1回で終えてもよいし、乾燥後に2回目以降の塗布を繰り返してもよい。2回目以降の塗布量は、1回目の塗布量と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
下地層3に塗布した前記原料溶液を乾燥する方法は特に限定されず、自然乾燥、減圧乾燥、温風乾燥等の公知方法を適用できる。
下地層3に塗布した前記原料溶液の乾燥温度は、ペロブスカイト化合物の結晶化が充分に進行する温度であればよく、例えば4〜40℃の範囲が挙げられる。
以上で説明した本実施形態の製造方法によって、導電性基板1及びブロック層2からなる基材8と、下地層3及びアッパー層4からなる光吸収層7とを備えた光電極9が得られる。以下にAD法による製膜方法の説明を補足する。
《AD法による製膜方法》
図2は、本実施形態に適用可能な製膜装置60の構成図である。但し、本実施形態の製膜方法に用いる製膜装置は、基材に前記微粒子を吹き付けることができる装置であればよく、図2に示す構成に限定されない。
<製膜装置>
製膜装置60は、ガスボンベ55と、搬送管56と、ノズル52と、基台63と、製膜室51と、を備えている。ガスボンベ55には、微粒子54を加速させて基材53に吹き付けるための搬送ガスが充填されている。ガスボンベ55には、搬送管56の一端が接続されている。ガスボンベ55から供給される搬送ガスは、搬送管56に供給される。搬送管56には、前段側から順に、マスフロー制御器57と、エアロゾル発生器58と、搬送ガス中の微粒子54の分散具合を適度に調整できる解砕器59及び分級器61とが設けられている。マスフロー制御器57により、ガスボンベ55から搬送管56に供給される搬送ガスの流量を調整する。エアロゾル発生器58に装填された微粒子54は、マスフロー制御器57から供給された搬送ガス中に分散され、解砕器59及び分級器61へ搬送される。
ノズル52は、図示略の開口部が基台63上の基材53に対向するように配置されている。ノズル52には、搬送管56の他端が接続されている。微粒子54を含む搬送ガスは、ノズル52の開口部から基材53に噴射される。基台63の上面72には、基材53の一方の面73が当接するように、基材53が載置されている。また、基材53の他方の面71(製膜面)はノズル52の開口部に対向している。ノズル52から搬送ガスと共に噴射される微粒子54は、製膜面に衝突し、微粒子54からなる複合膜が製膜される。減圧雰囲気で製膜を行うために設けられた製膜室51には、真空ポンプ62が接続されており、必要に応じて製膜室51内が減圧される。
《太陽電池》
本発明の太陽電池の第一実施形態は、図1に示すように、前述の光電極9と、正孔輸送層5と、対向電極6とを備える。本実施形態の正孔輸送層5及び対向電極6として、従来の太陽電池に使用される正孔輸送層及び対向電極が挙げられる。
光電極9において光を吸収したペロブスカイト化合物で生じた光電子と正孔は、光吸収層7をそれぞれ拡散する。正孔は、正孔輸送層5を介して又は正孔輸送層5が存在しなければ直接に、対向電極6に受容され、対向電極6が構成する対極(正極)に移動する。一方、光電子は下地層3又はブロック層2に受容され、導電性基板1が構成する作用極(負極)に移動する。
太陽電池10において正孔輸送層5は必須の構成ではないが、光吸収層7の表面に配置されていることが好ましい。光吸収層7の表面、好ましくはアッパー層4の表面に正孔輸送層5を配置することにより、逆電流の発生を抑制し、光吸収層7で発生した正孔を対極へ容易に輸送することが可能となり、光電変換効率及び電圧を高めることができる。
《太陽電池の製造方法》
本発明の太陽電池の製造方法の第一実施形態は、光電極と、対向電極とを備えた太陽電池の製造方法であって、前述の光電極9を得る工程と、光電極9の有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層7の表面に対向電極6を配置する工程と、を有する、太陽電池の製造方法である。対向電極6の形成方法は特に限定されず、例えば後で説明する方法が挙げられる。
本発明の太陽電池の製造方法の第二実施形態は、光電極と、対向電極とを備えた太陽電池の製造方法であって、前述の光電極9を得る工程と、光電極9の有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層7の上に正孔輸送層5を形成する工程と、正孔輸送層5の上に対向電極6を配置する工程と、を有する、太陽電池の製造方法である。正孔輸送層5の形成方法は特に限定されず、例えば後で説明する方法が挙げられる。
本実施形態において、光吸収層7と正孔輸送層5の間に、任意の導電性層を挿入しても構わない。また、正孔輸送層5と対向電極6の間に、任意の導電性層を挿入しても構わない。太陽電池10の内部抵抗を減らして光電変換効率を高める観点から、光吸収層7の表面に正孔輸送層5を形成し、正孔輸送層5の表面に対向電極6を配置することが好ましい。
<正孔輸送層5の形成>
正孔輸送層5の材料は特に限定されず、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよく、例えば、公知の太陽電池の正孔輸送層の材料が適用できる。
前記有機材料としては、例えば、Spiro-OMeTAD
(2,2',7,7'-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenilamine)-9,9'-spirobifluorene)、
P3HT(Poly(3-hexylthiophene))、PTAA(polytriarylamine) などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えばCuI、CuSCN、CuO、CuO等の銅化合物やNiOなどのニッケル化合物などが挙げられる。
正孔輸送層5の形成方法は特に限定されず、公知方法が適用可能であり、例えば、ペロブスカイト型結晶を溶解しない溶媒に上記の材料を溶解又は分散し、光吸収層7の表面に塗布し、乾かすことにより正孔輸送層5を得る方法が挙げられる。
上記方法により、例えば、厚さ1nm〜1000nmの正孔輸送層5を形成することができる。
正孔輸送層5の厚さが1nm以上であることにより、光吸収層7と対向電極6の接触を防ぐことでリーク電流を防ぐことができる。
正孔輸送層5の厚さが1000nm以下であることにより、正孔を対向電極6まで充分に輸送することができる。
<対向電極6の形成>
正孔輸送層5の表面、或いは正孔輸送層5を設けない場合には光吸収層7の表面に、対向電極6を形成する方法は特に限定されず、例えば、従来の太陽電池の対極を形成する、スパッタ法、蒸着法等の公知の製膜方法が適用できる。
対向電極6を構成する材料は特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル及びクロムからなる群から選択される何れか1種以上の金属が好適である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
ガラス基板の表面にフッ素ドープされたSnO2からなるFTO膜が製膜された導電性ガラス基板を使用した。チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)をイソプロパノールに溶解した溶液(シグマ-アルドリッチ社製)を公知の噴霧熱分解法によりFTO膜の表面に吹き付けて、チタニアからなる厚さ30nmのブロック層を形成した。
エアロゾルデポジション法(AD法)によって、平均粒径が約15nmのアナターゼ型TiO粒子(日本エアロジル社製;商品名:P15)をブロック層の表面に吹き付けて、チタニア微粒子からなる厚さ300nmの多孔質層を1分で形成した。
0.9M濃度のヨウ化鉛(PbI2)を含むN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)をスピンコート法により多孔質層の上に塗布し、70℃で30分の乾燥処理をした後、0.04M濃度のヨウ化メチルアンモニウム(CH3NH3I)を含むイソプロパノール溶液に20秒間浸漬し、取り出した後、100℃で30分の乾燥処理を施すことにより、組成式(CH3NH3PbI3)で表されるペロブスカイト化合物からなる有機無機ハイブリッドのペロブスカイト結晶層を多孔質膜の表面及び内部に形成した。
0.07M濃度のspiro-OMeTADが含まれたクロロベンゼン溶液をスピンコート法によりペロブスカイト結晶層の表面に塗布し、spiro-OMeTADからなる厚さ200nmの正孔輸送層を形成した。
公知の蒸着法により、正孔輸送層の表面に金(Au)からなる厚さ50nmの対向電極を製膜した。
上記方法によって、導電性基板1/ブロック層2/ペロブスカイト化合物を含んだ多孔質層3/アッパー層4としてのペロブスカイト結晶層/正孔輸送層5/対向電極6、が順に積層した図1に示す構造を備えた実施例1の太陽電池10を得た。
[実施例2〜10]
多孔質層を形成する微粒子として、表1に記載のN型半導体又は絶縁体からなる微粒子(φは平均粒径)を使用した以外は、実施例1と同様に光電極及び太陽電池を作製した。
[比較例1]
実施例1と同様に、FTO基板の表面にチタニアからなる厚さ30nmのブロック層を形成した。
次に、平均粒径が約15nmのアナターゼ型TiO粒子(日本エアロジル社製;商品名:P15)をイソプロパノールに分散した分散液をスピンコート法によってブロック層の上に塗布し、乾燥した。形成された塗膜を500℃で60分間焼成し、チタニア微粒子からなる厚さ300nmの多孔質層を形成した。
続いて、実施例1と同様の方法で、形成した多孔質層の表面及び内部にペロブスカイト結晶層、正孔輸送層、対向電極を順に形成した。
上記方法によって、導電性基板1/ブロック層2/ペロブスカイト化合物を含んだ多孔質層3/ペロブスカイト結晶層4/正孔輸送層5/対向電極6、が順に積層した図1に示す構造を備えた比較例1の太陽電池を得た。
[比較例2〜4]
多孔質層を形成する微粒子として、表1に記載のN型半導体又は絶縁体からなる微粒子(φは平均粒径)を使用した以外は、比較例1と同様に光電極及び太陽電池を作製した。
[比較例5〜8]
多孔質層を形成する微粒子として、表1に記載のN型半導体又は絶縁体からなる微粒子(φは平均粒径)を使用し、焼成温度を150℃に変更した以外は、比較例2〜4と同様に光電極及び太陽電池を作製した。
Figure 2016178166
作製した太陽電池の電流-電圧特性を評価するために、短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子FF、光電変換効率Effを、ソーラーシュミレーター(AM1.5)を使用して測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2016178166
以上の結果において、同じ原料微粒子を使用した、実施例1と比較例1及び比較例5、実施例2と比較例2及び比較例6、実施例7と比較例3及び比較例7、実施例8と比較例4及び比較例8、の何れの組み合わせの試験群においても、AD法により多孔質膜(下地層)を製膜した実施例の方が光電変換効率に優れていた。
このようにAD法による製膜プロセスが光電極の発電性能の向上に寄与した理由として、AD法によって形成された多孔質膜が、ペロブスカイト化合物の結晶の形成場として、従来の焼成による多孔質膜からは得られ難い何らかの好ましい作用を発揮した、と推測される。
本発明の光電極の製造方法においては室温で下地層を製膜することができるため、従来の焼成工程を要する製膜方法においては使用することができなかった耐熱性の低い基材に対しても製膜することができる。さらに、AD法によれば短時間(例えば1分)で下地層を製膜できるので、樹脂シートを基材として用いて、ロールトゥロール方式による大量生産も可能である。
なお、従来のスピンコート法と低温焼成により製膜した場合(比較例5〜8)には、比較的耐熱性の低い基材の使用は可能であるが、発電性能が低下する問題と、大量生産には不向きな比較的長時間の焼成時間を要する問題がある。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明の光電極の製造方法は、太陽電池の分野に広く適用可能である。
1…基板、2…ブロック層、3…下地層、4…アッパー層、5…正孔輸送層、6…対向電極、7…光吸収層、8…基材、9…光電極、10…太陽電池、51…製膜室、52…ノズル、53…基材、54…複合微粒子、55…ボンベ、56…搬送管、57マスフロー制御器、58…エアロゾル発生器、59…解砕器、60…製膜装置、61…分級器、62…真空ポンプ、63…基台、71…製膜面、72…基台の載置面(上面)、73…製膜面の反対側の面

Claims (11)

  1. 導電性を有する基材と、前記基材上に積層された下地層と、前記下地層の表面及び内部の少なくとも何れか一方に形成された有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層と、を有する光電極の製造方法であって、
    N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の少なくとも何れか一方を前記基材に吹き付けることにより前記下地層を形成する工程を有する光電極の製造方法。
  2. 前記N型半導体微粒子が、ZnO、TiO及びSnOから選ばれる何れか1種以上からなる微粒子である、請求項1に記載の光電極の製造方法。
  3. 前記絶縁体微粒子が、Al、ZrO及びMgOから選ばれる何れか1種以上からなる微粒子である、請求項1に記載の光電極の製造方法。
  4. 前記N型半導体微粒子及び絶縁体微粒子の平均粒径が10nm〜70nmである、請求項1〜3の何れか一項に記載の光電極の製造方法。
  5. 前記有機無機ペロブスカイト化合物が、下記組成式(I)で表される、請求項1〜4の何れか一項に記載の光電極の製造方法。
    ABX ・・・(I)
    [式中、Aは有機カチオン、Bは金属イオン、Xはハロゲンイオンを表す。]
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の方法によって製造された光電極。
  7. 請求項6に記載の光電極と、対向電極とを備えた太陽電池の製造方法であって、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の方法によって前記光電極を得る工程と、
    前記光電極の光吸収層の表面に前記対向電極を配置する工程と、を有する、太陽電池の製造方法。
  8. 請求項6に記載の光電極と、正孔輸送層と、対向電極とを備えた太陽電池の製造方法であって、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の方法によって前記光電極を得る工程と、
    前記光電極の光吸収層の上に前記正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層の上に前記対向電極を配置する工程と、を有する、太陽電池の製造方法。
  9. 前記光吸収層の表面に前記正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層の表面に前記対向電極を配置する、請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 請求項6に記載の光電極と、対向電極とを備える太陽電池。
  11. 請求項7〜9の何れか一項に記載の方法によって製造された太陽電池。
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