JP2003123856A - 光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子

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JP2003123856A
JP2003123856A JP2001321087A JP2001321087A JP2003123856A JP 2003123856 A JP2003123856 A JP 2003123856A JP 2001321087 A JP2001321087 A JP 2001321087A JP 2001321087 A JP2001321087 A JP 2001321087A JP 2003123856 A JP2003123856 A JP 2003123856A
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JP
Japan
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photoelectric conversion
transport layer
layer
conversion element
electron transport
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Application number
JP2001321087A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Miyamoto
勉 宮本
Yuji Fujimori
裕司 藤森
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】安価に製造ができ、光電変換効率に優れる固体
型色素増感型光電変換素子を提供すること。 【解決手段】図1に示す太陽電池1は、電解質溶液を必
要としない、いわゆる乾式太陽電池と呼ばれるものであ
り、第1の電極3と、第1の電極3と対向して設置され
た第2の電極6と、これらの間に位置する電子輸送層4
と、電子輸送層4と接触する色素層Dと、電子輸送層4
と第2の電極6との間に位置し、色素層Dに接触する正
孔輸送層5と、バリヤ層8とを有し、これらは、基板2
上に設置されている。正孔輸送層5は、主として芳香族
アミン誘導体で構成されている。このような太陽電池1
では、正孔輸送層5から色素層Dへの電子の伝達を効率
よく行うことができ、極めて優れた光電変換効率が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、環境にやさしい電源として、
シリコンを用いた太陽電池(光電変換素子)が注目を集
めている。シリコンを用いた太陽電池の中には、人工衛
星等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池もある
が、実用的なものとしては、特に多結晶シリコンを用い
た太陽電池や、アモルファスシリコンを用いた太陽電池
が、産業用や家庭用として実用化が始まっている。
【0003】しかしながら、これらのシリコンを用いた
太陽電池は、いずれも、製造コストが高く、また、製造
に多大なエネルギーを必要とし、必ずしも省エネルギー
な電源とは言えなかった。
【0004】特開平01−220380号公報、特開平
05−504023号公報や特開平06−511113
号公報に示されるような色素増感型湿式太陽電池は、蒸
気圧の高い電解液を用いているため、電解液が揮発する
という問題があった。
【0005】また、このような欠点を補うものとして、
完全固体型色素増感型太陽電池の発表(K. Tennakone,
G.R.R.A. Kumara, I.R.M. Kottegoda, K.G.U. Wijiayan
tha,and V.P.S. Perera: J. Phys. D: Appl. Phys. 31
(1998)1492)がされているが、p型半導体層が、TiO
層を突き抜けて、対極とショートしてしまうという欠
点があった。
【0006】また、この発表のCuIを用いた太陽電池
は、劣化により発生電流が低下するという問題があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価
に製造ができ、光電変換効率に優れる固体型色素増感型
光電変換素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(35)の本発明により達成される。
【0009】(1) 第1の電極と、該第1の電極と対
向して設置された第2の電極と、前記第1の電極と前記
第2の電極との間に位置し、その少なくとも一部が多孔
質な電子輸送層と、該電子輸送層と接触する色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置する正孔
輸送層とを有する光電変換素子であって、前記第1の電
極と前記正孔輸送層との間での短絡を防止または抑制す
るバリヤ層を有し、前記正孔輸送層を、主として芳香族
アミン誘導体で構成したことを特徴とする光電変換素
子。
【0010】(2) 前記芳香族アミン誘導体は、モノ
マーである上記(1)に記載の光電変換素子。
【0011】(3) 前記芳香族アミン誘導体は、オリ
ゴマーまたはプレポリマーである上記(1)に記載の光
電変換素子。
【0012】(4) 前記オリゴマーは、ダイマーであ
る上記(3)に記載の光電変換素子。
【0013】(5) 前記ダイマーは、スピロ型構造を
有する上記(4)に記載の光電変換素子。
【0014】(6) 前記芳香族アミン誘導体は、ポリ
マーである上記(1)に記載の光電変換素子。
【0015】(7) 前記ポリマーは、重量平均分子量
が5000以上である上記(6)に記載の光電変換素
子。
【0016】(8) 前記芳香族アミン誘導体は、トリ
フェニルジアミン誘導体である上記(1)ないし(7)
のいずれかに記載の光電変換素子。
【0017】(9) 前記バリヤ層の空孔率をA[%]
とし、前記電子輸送層の空孔率をB[%]としたとき、
B/Aが1.1以上である上記(1)ないし(8)のい
ずれかに記載の光電変換素子。
【0018】(10) 前記バリヤ層の空孔率は、20
%以下である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載
の光電変換素子。
【0019】(11) 前記バリヤ層と前記電子輸送層
との厚さの比率は、1:99〜60:40である上記
(1)ないし(10)のいずれかに記載の光電変換素
子。
【0020】(12) 前記バリヤ層は、平均厚さが
0.01〜10μmである上記(1)ないし(11)の
いずれかに記載の光電変換素子。
【0021】(13) 前記バリヤ層は、前記電子輸送
層と同等の電気伝導性を有する上記(1)ないし(1
2)のいずれかに記載の光電変換素子。
【0022】(14) 前記バリヤ層は、主として酸化
チタンで構成される上記(1)ないし(13)のいずれ
かに記載の光電変換素子。
【0023】(15) 前記バリヤ層は、MOD法によ
り形成されたものである上記(1)ないし(14)のい
ずれかに記載の光電変換素子。
【0024】(16) 前記バリヤ層と前記電子輸送層
との全体における厚さ方向の抵抗値が100Ω/cm
以上である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載
の光電変換素子。
【0025】(17) 前記バリヤ層は、前記第1の電
極と前記電子輸送層との間に位置する上記(1)ないし
(16)のいずれかに記載の光電変換素子。
【0026】(18) 前記バリヤ層と前記電子輸送層
との界面は、不明確である上記(17)に記載の光電変
換素子。
【0027】(19) 前記バリヤ層と前記電子輸送層
とは、一体的に形成される上記(17)または(18)
に記載の光電変換素子。
【0028】(20) 前記電子輸送層の一部が、前記
バリヤ層として機能する上記(1)ないし(16)のい
ずれかに記載の光電変換素子。
【0029】(21) 前記色素層は、受光により、電
子と正孔とを発生する受光層である上記(1)ないし
(20)のいずれかに記載の光電変換素子。
【0030】(22) 前記色素層は、前記電子輸送層
の外面および細孔の内面に沿って形成されている上記
(1)ないし(21)のいずれかに記載の光電変換素
子。
【0031】(23) 前記電子輸送層は、少なくとも
前記色素層で発生した電子を輸送する機能を有する上記
(20)ないし(22)のいずれかに記載の光電変換素
子。
【0032】(24) 前記電子輸送層は、膜状をなし
ている上記(1)ないし(23)のいずれかに記載の光
電変換素子。
【0033】(25) 前記電子輸送層は、平均厚さが
0.1〜300μmである上記(1)ないし(24)の
いずれかに記載の光電変換素子。
【0034】(26) 前記電子輸送層の空孔率は、5
〜90%である上記(1)ないし(25)のいずれかに
記載の光電変換素子。
【0035】(27) 前記電子輸送層の少なくとも一
部は、平均粒径が1nm〜1μmの電子輸送層材料の粉
末を用いて形成されたものである上記(1)ないし(2
6)のいずれかに記載の光電変換素子。
【0036】(28) 前記電子輸送層の少なくとも一
部は、平均粒径が1nm〜1μmの電子輸送層材料の粉
末を含有するゾル液を用いるゾル・ゲル法により形成さ
れたものである上記(1)ないし(27)のいずれかに
記載の光電変換素子。
【0037】(29) 前記電子輸送層材料の粉末の前
記ゾル液中の含有量は、0.1〜10重量%である上記
(28)に記載の光電変換素子。
【0038】(30) 前記電子輸送層は、主として二
酸化チタンで構成される上記(1)ないし(29)のい
ずれかに記載の光電変換素子。
【0039】(31) 前記色素層を加熱しつつ、前記
正孔輸送層材料を、前記色素層上に塗布する上記(3
0)に記載の光電変換素子。
【0040】(32) 前記第1の電極を支持する基板
を有する上記(1)ないし(31)のいずれかに記載の
光電変換素子。
【0041】(33) 前記第1の電極が正、前記第2
の電極が負となるようにして、0.5Vの電圧を印加し
たとき、抵抗値が100Ω/cm以上となる特性を有
する上記(1)ないし(32)のいずれかに記載の光電
変換素子。
【0042】(34) 前記色素層への光の入射角が9
0°での光電変換効率をR90とし、光の入射角が52
°での光電変換効率をR52としたとき、R52/R
90が0.8以上である上記(1)ないし(33)のい
ずれかに記載の光電変換素子。
【0043】(35) 太陽電池である上記(1)ない
し(34)のいずれかに記載の光電変換素子。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光電変換素子を添
付図面に示す好適な実施形態について詳細に説明する。
【0045】図1は、本発明の光電変換素子を太陽電池
に適用した場合の実施形態を示す部分断面図、図2は、
太陽電池の厚さ方向の中央部付近の断面を示す拡大図、
図3は、色素層が形成された電子輸送層の断面を示す部
分拡大図、図4は、電子輸送層および色素層の構成を示
す模式図、図5は、太陽電池の原理を示す模式図、図6
は、図1に示す太陽電池回路の等価回路を示す図であ
る。
【0046】図1に示す太陽電池1は、電解質溶液を必
要としない、いわゆる乾式太陽電池と呼ばれるものであ
り、第1の電極3と、第1の電極3と対向して設置され
た第2の電極6と、これらの間に位置する電子輸送層4
と、電子輸送層4と接触する色素層Dと、電子輸送層4
と第2の電極6との間に位置し、色素層Dに接触する正
孔輸送層5と、バリヤ層8とを有し、これらは、基板2
上に設置されている。
【0047】以下、各構成要素について説明する。な
お、以下の説明では、図1および図2中、各層(各部
材)の上側の面を「上面」、下側の面を「下面」と言
う。
【0048】基板2は、第1の電極3、バリヤ層8、電
子輸送層4、色素層D、正孔輸送層5および第2の電極
6を支持するためのものであり、平板状の部材で構成さ
れている。
【0049】本実施形態の太陽電池1では、図1に示す
ように、基板2および後述する第1の電極3側から、例
えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入
射させて(照射して)使用するものである。このため、
基板2および第1の電極3は、それぞれ、好ましくは実
質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされ
る。これにより、光を、後述する色素層Dに効率よく到
達させることができる。
【0050】この基板2の構成材料としては、例えば、
各種ガラス材料、各種セラミックス材料、各種プラスチ
ック材料、もしくは、ポリカーボネート(PC)のよう
な各種樹脂材料、または、アルミニウムのような各種金
属材料等が挙げられる。
【0051】基板2の平均厚さとしては、材料、用途等
により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次
のようにすることができる。
【0052】基板2をガラス材料のような硬質材料で構
成する場合、その平均厚さとしては、0.1〜1.5m
m程度であるのが好ましく、0.8〜1.2mm程度で
あるのがより好ましい。
【0053】また、基板2をポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のようなフレキシブル素材(可撓性材料)
で構成する場合、その平均厚さとしては、0.5〜15
0μm程度であるのが好ましく、10〜75μm程度で
あるのがより好ましい。なお、基板2は、必要に応じ
て、省略することもできる。
【0054】基板2の上面には、層状(平板状)の第1
の電極3が設置されている。換言すれば、第1の電極3
は、後述する色素層Dが形成された電子輸送層4の受光
面側に、この受光面を覆うようにして設置されている。
この第1の電極3は、後述する色素層Dで発生した電子
を、電子輸送層4およびバリヤ層8を介して受け取り、
これに接続された外部回路100へ伝達する。
【0055】第1の電極3の構成材料としては、例え
ば、インジウムティンオキサイド(ITO)、フッ素ド
ープした酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、
酸化錫(SnO2)のような金属酸化物、アルミニウ
ム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデ
ン、チタン、タンタルのような金属またはこれらを含む
合金、あるいは、炭素等が挙げられ、これらのうちの1
種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】第1の電極3の平均厚さとしては、材料、
用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例え
ば、次のようにすることができる。
【0057】第1の電極3を前記の金属酸化物(透明導
電性金属酸化物)で構成する場合、その平均厚さとして
は、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1
〜1.5μm程度であるのがより好ましい。
【0058】また、第1の電極3を前記の金属またはこ
れらを含む合金、あるいは、炭素で構成する場合、その
平均厚さとしては、0.01〜1μm程度であるのが好
ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ま
しい。
【0059】なお、第1の電極3は、図示の構成のよう
なものに限定されず、例えば、複数の櫛歯を有する形状
のもの等であってもよい。この場合、光は、複数の櫛歯
同士の間を通過して、色素層Dに到達するので、第1の
電極3は、実質的に透明でなくてもよい。これにより、
第1の電極3の構成材料や形成方法(製造方法)等の選
択の幅を拡大することができる。また、この場合、第1
の電極3の平均厚さとしては、特に限定されないが、例
えば、1〜5μm程度とするのが好ましい。
【0060】また、第1の電極3としては、このような
櫛歯状の電極と、ITO、FTO等からなる透明な電極
とを組み合わせて(例えば、積層等して)用いることも
できる。
【0061】第1の電極3の上面には、膜状(層状)の
バリヤ層(短絡防止手段)8が設置されている。なお、
このバリヤ層8の詳細については、後述する。
【0062】バリヤ層8の上面には、多孔質な電子輸送
層4と、この電子輸送層4と接触する色素層Dとが設置
されている。
【0063】電子輸送層4は、少なくとも色素層Dで発
生した電子を輸送する機能を有するものである。
【0064】電子輸送層4の構成材料としては、例え
ば、二酸化チタン(TiO)、一酸化チタン(Ti
O)、三酸化二チタン(Ti)等の酸化チタン、
酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)のようなn
型酸化物半導体材料や、その他のn型半導体材料等が挙
げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わ
せて用いることができるが、この中でも、酸化チタン、
特に、二酸化チタンを用いるのが好ましい。すなわち、
電子輸送層4は、主として二酸化チタンで構成されてい
るのが好ましい。
【0065】二酸化チタンは、特に、電子の輸送能力に
優れ、また、光に対する感受性が高いので、電子輸送層
4自体でも、電子を発生することができる。その結果、
太陽電池1では、光電変換効率(発電効率)をより向上
することができる。
【0066】また、二酸化チタンは、その結晶構造が安
定しているので、二酸化チタンを主とする電子輸送層4
では、過酷な環境下に曝された場合でも、経年変化(劣
化)が少なく、安定した性能が長期間継続して得られる
という利点を有する。
【0067】さらに、二酸化チタンとしては、結晶構造
がアナターゼ型の二酸化チタンを主とするもの、ルチル
型の二酸化チタンを主とするもの、アナターゼ型の二酸
化チタンとルチル型の二酸化チタンとの混合物を主とす
るもののいずれであってもよい。
【0068】結晶構造がアナターゼ型の二酸化チタン
は、電子をより効率よく輸送することができるという利
点を有する。
【0069】なお、ルチル型の二酸化チタンとアナター
ゼ型の二酸化チタンとを混合する場合、ルチル型の二酸
化チタンとアナターゼ型の二酸化チタンとの混合比は、
特に限定されないが、例えば、重量比で95:5〜5:
95程度であるのが好ましく、80:20〜20:80
程度であるのがより好ましい。
【0070】電子輸送層4は、複数の孔(細孔)41を
有している。図3は、電子輸送層4に、光が入射してい
る状態を模式的に示している。図3に示すように、バリ
ヤ層8を通過した光(図3中の矢印)は、電子輸送層4
の内部まで侵入し、電子輸送層4内を透過、または、孔
41内で任意の方向に反射(乱反射、拡散等)する。
【0071】このとき、光は、色素層Dと接触すること
になり、色素層Dにおいて高い頻度で電子および正孔を
発生させることができる。
【0072】詳述すると、色素層Dでは受光により、色
素の最高被占軌道(HOMO)に存在している電子が、
最低空軌道(LUMO)に励起され、速やかに電子輸送
層4へ移動する。このため、色素では、電子が不足した
状態、すなわち正孔が発生した状態となる。
【0073】この電子輸送層4の空孔率としては、特に
限定されないが、例えば、5〜90%程度であるのが好
ましく、15〜50%程度であるのがより好ましく、2
0〜40%程度であるのがさらに好ましい。
【0074】電子輸送層4の空孔率を、このような範囲
内とすることにより、電子輸送層4の表面積を十分大き
くすることができる。したがって、電子輸送層4の外面
および孔41の内面に沿って形成される色素層D(後述
参照)の形成面積(形成領域)も十分に大きくすること
ができる。このため、色素層Dでは、十分な電子を発生
させることができるとともに、この電子を効率よく電子
輸送層4へ受け渡すことができる。その結果、太陽電池
1では、発電効率(光電変換効率)をより向上すること
ができる。
【0075】また、電子輸送層4は、比較的厚さの大き
なものであってもよいが、膜状をなすものが好ましい。
これにより、太陽電池1の薄型化(小型化)、製造コス
トの削減を図ることができ有利である。
【0076】この場合、電子輸送層4の平均厚さ(膜
厚)としては、特に限定されないが、例えば、0.1〜
300μm程度であるのが好ましく、0.5〜100μ
m程度であるのがより好ましく、1〜25μm程度であ
るのがさらに好ましい。
【0077】このような電子輸送層4には、色素を、例
えば吸着、結合(共有結合、配位結合)等させることに
より、色素層Dが接触するようにして形成されている。
【0078】この色素層Dは、受光により、電子と正孔
とを発生する受光層であり、図4に示すように、電子輸
送層4の外面および孔41の内面に沿って形成されてい
る。これにより、色素層Dで発生した電子を効率よく電
子輸送層4に受け渡すことができる。
【0079】この色素層Dを構成する色素としては、特
に限定されないが、例えば、顔料、染料等が挙げられ、
これらを単独または混合して使用することができるが、
経時的変質、劣化がより少ないという点で顔料を、電子
輸送層4への吸着性(電子輸送層4との結合性)がより
優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
【0080】また、顔料としては、特に限定されない
が、例えば、フタロシアニングリーン、フタロシアニン
ブルー等のフタロシアニン系顔料、ファストイエロー、
ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ペンゾイミダゾ
ロンイエロー、ジニトロアニリンオレンジ、ペンズイミ
ダゾロンオレンジ、トルイジンレッド、パーマネントカ
ーミン、パーマネントレッド、ナフトールレッド、縮合
アゾレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、ベンズイミ
ダゾロンブラウン等のアゾ系顔料、アントラピリミジン
イエロー、アントラキノニルレッド等のアントラキノン
系顔料、銅アゾメチンイエロー等のアゾメチン系顔料、
キノフタロンイエロー等のキノフタロン系顔料、イソイ
ンドリンイエロー等のイソインドリン系顔料、ニッケル
ジオキシムイエロー等のニトロソ系顔料、ペリノンオレ
ンジ等のペリノン系顔料、キナクリドンマゼンタ、キナ
クリドンマルーン、キナクリドンスカーレット、キナク
リドンレッド等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッ
ド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料、ジケトピロ
ロピロールレッド等のピロロピロール系顔料、ジオキサ
ジンバイオレット等のジオキサジン系顔料のような有機
顔料、カーボンブラック、ランプブラック、ファーネス
ブラック、アイボリーブラック、黒鉛、フラーレン等の
炭素系顔料、黄鉛、モリブデートオレンジ等クロム酸塩
系顔料、カドミウムイエロー、カドミウムリトポンイエ
ロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリトポンオレン
ジ、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリトポンレッ
ド、硫化等の硫化物系顔料、オーカー、チタンイエロ
ー、チタンバリウムニッケルイエロー、べんがら、鉛
丹、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、酸
化クロム、コバルトグリーン、コバルトクロムグリー
ン、チタンコバルトグリーン、コバルトブルー、セルリ
アンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、鉄
黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライト
ブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラッ
ク等の酸化物系顔料、ビリジアン等の水酸化物系顔料、
紺青等のフェロシアン化物系顔料、群青等のケイ酸塩系
顔料、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等
のリン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セ
レン化カドミウム等)のような無機顔料等が挙げられ、
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0081】また、染料としては、特に限定されない
が、例えば、RuL2(SCN)2、RuL2Cl2、RuL2(CN)2、Ruteni
um535-bisTBA(Solaronics社製)、[RuL2(NCS)2]2H2Oの
ような金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色
素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色
素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色
素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を
組み合わせて用いることができる。なお、前記組成式中
のLは、2,2'ーbipyridine、または、その誘導体を示
す。
【0082】色素層Dが形成された電子輸送層4の上面
には、層状(平板状)の正孔輸送層5が設置されてい
る。換言すれば、正孔輸送層5は、色素層Dが形成され
た電子輸送層4を介して第1の電極3と対向して設置さ
れている。この正孔輸送層5は、色素層Dで発生した正
孔を捕捉し、輸送する機能を有する。換言すれば、この
正孔輸送層5は、後述する第2の電極6を介して、また
は、正孔輸送層自体が電極となり外部回路100へ正孔
を輸送する機能を有する。
【0083】このような正孔輸送層5は、主として、芳
香族アミン誘導体で構成されている。この芳香族アミン
誘導体は正孔の輸送能力が優れている。このため、正孔
輸送層5を主として芳香族アミン誘導体で構成すること
により、太陽電池1の光電変換効率(エネルギー変換効
率)をより向上させることができる。
【0084】また、このような、芳香族アミン誘導体
は、比較的容易かつ安価に入手可能な化合物であるた
め、太陽電池1の製造コスト削減に有利である。
【0085】この芳香族アミン誘導体としては、特に限
定されないが、例えば、N,N'−ジフェニル−N,N'
−ビス(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル
−4,4'−ジアミン(以下、「TPD1」と略
す。)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−メ
トキシフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジ
アミン(以下、「TPD2」と略す。)、N,N,
N',N'−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,
1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(以下、「TPD
3」と略す。)、N,N,N',N'−テトラフェニル−
4,4'−ジアミノフェニル、N,N,N',N'−テト
ラ(p−トリル)−4,4'−ジアミノフェニル等のト
リフェニルジアミン誘導体、N−イソプロピルカルバゾ
ール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール誘導
体、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン等のアミン
系化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、
オキサジアゾール系化合物や、フタロシアニン系化合物
等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組
み合わせて用いることができる。これらの中でも、芳香
族アミン誘導体としては、特に、トリフェニルジアミン
誘導体を用いるのが好ましい。トリフェニルジアミン誘
導体は、芳香族アミン誘導体の中でも、特に正孔の輸送
能力が優れている。
【0086】また、このような芳香族アミン誘導体は、
モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーのいず
れを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。
【0087】また、モノマー、オリゴマーやプレポリマ
ーは、比較的低分子量であることから、有機溶媒等の溶
媒への溶解性が高い。このため、例えば正孔輸送層5の
形成に際し、後述するような塗布法を用いる場合には、
正孔輸送層材料の調製をより容易に行うことができると
いう利点がある。
【0088】このうち、オリゴマーとしては、ダイマー
またはトリマーを用いるのが好ましく、特に、スピロ構
造を有するものを用いるのがより好ましい。具体的に
は、2,2',7,7' −テトラキス(N,N'−ジ(4
−メトキシフェニル)アミン)−9,9' −スピロビフ
ルオレン(以下、「OMeTAD」と略す。)が好適に
使用される。
【0089】一方、ポリマーは、比較的長い主鎖を有し
ており、この主鎖を介して電子を伝達することができ
る。このため、主としてポリマーを用いて形成された正
孔輸送層5は、さらに正孔の輸送能力に優れたものとな
る。
【0090】ポリマーとしては、重量平均分子量が、特
に限定されないが、例えば、5000以上程度のものを
用いるのが好ましく、50000以上程度のものを用い
るのがより好ましい。このような範囲の重量平均分子量
のポリマーを用いることにより、得られる正孔輸送層5
と色素層Dとの密着を向上することができる。なお、前
記範囲の上限値を超えるような重量平均分子量のポリマ
ーでは、その種類等によっては、溶媒への溶解性等が低
下し、正孔輸送層材料の調製が煩雑になる場合がある。
【0091】なお、ポリマーは、芳香族アミン誘導体の
モノマーのみからなるものであってもよく、芳香族アミ
ン誘導体のモノマーを主成分として、他のモノマー成分
との共重合体であってもよい。この共重合体は、芳香族
アミン誘導体が主鎖となっているもの、側鎖となってい
るもののいずれであってもよい。
【0092】正孔輸送層5の平均厚さとしては、特に限
定されないが、例えば、0.1〜100μm程度である
のが好ましく、0.5〜50μm程度であるのがより好
ましく、1〜20μm程度であるのがさらに好ましい。
これにより、正孔輸送層5から色素層Dへ正孔を伝達す
る効率(伝達効率)が低下するのを、より確実に防止す
ることができる。
【0093】また、正孔輸送層5は、図2に示すよう
に、色素層Dが形成された電子輸送層4の孔41内に入
り込んで形成されている。これにより、色素層Dと正孔
輸送層5との接触面積を増大することができるので、正
孔輸送層5は、より効率よく色素層Dで発生した正孔
(ホール)を伝達することができ、太陽電池1は、発電
効率をさらに向上することができる。
【0094】正孔輸送層5の上面には、層状(平板状)
の第2の電極6が設置されている。第2の電極6の平均
厚さとしては、材料、用途等により適宜設定され、特に
限定されない。
【0095】また、第2の電極6の構成材料としては、
例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、
銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルのような金
属またはこれらを含む合金、あるいは、炭素等が挙げら
れ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて
用いることができる。なお、この第2の電極6は、必要
に応じて、省略することもできる。
【0096】このような太陽電池1では、図5に示すよ
うに、光が入射すると、色素層Dでは、色素の最高被占
軌道(HOMO)に存在する電子が、最低空軌道(LU
MO)に励起される。この励起された状態にある電子
は、速やかに電子輸送層4へ伝達される。
【0097】電子が不足した状態(正孔が発生した状
態)の色素(色素層D)は、正孔輸送層5へ正孔を注入
(伝達)することにより、元の状態に回復する。
【0098】その後、電子は、電子輸送層4中を、一
方、正孔は、正孔輸送層5中を、それぞれ移動する(輸
送される)。その結果、第1の電極3と第2の電極6と
の間に、電位差(光起電力)が生じて、外部回路100
に、電流(光励起電流)が流れる。
【0099】この様子を等価回路で表すと、図6に示す
ようなダイオード200を有する電流の循環回路が形成
されている。
【0100】なお、光の照射(受光)により、色素層D
では、電子および正孔が同時に発生するが、以下の説明
では、便宜上、「電子が発生する」と記載する。
【0101】さて、本発明では、第1の電極3と正孔輸
送層5との間での短絡(リーク)を防止または抑制する
短絡防止手段を設けたことに特徴を有している。
【0102】以下、この短絡防止手段について、詳述す
る。本実施形態では、短絡防止手段として、膜状(層
状)をなし、第1の電極3と電子輸送層4との間に位置
するバリヤ層8が設けられている。このバリヤ層8は、
電子輸送層4の空孔率より、その空孔率が小さくなるよ
う形成されたものである。
【0103】太陽電池1を製造する際には、後述するよ
うに、例えば、正孔輸送層材料を塗布法により、色素層
Dが形成された電子輸送層4の上面に塗布することが行
われる。
【0104】この場合、仮に、バリヤ層8が設けられな
い太陽電池では、電子輸送層4の空孔率を大きくする
と、正孔輸送層材料が色素層Dが形成された電子輸送層
4の孔41内を浸透していき、第1の電極3に到達して
しまうことがある。すなわち、バリヤ層8を有さない太
陽電池では、第1の電極3と正孔輸送層5との間で接触
(短絡)が生じることにより、漏れ電流が多くなり、発
電効率(光電変換効率)の低下を招く場合がある。
【0105】これに対し、バリヤ層8が設けられた太陽
電池1では、前述のような不都合が防止され、発電効率
の低下が好適に防止または抑制される。
【0106】また、バリヤ層8の空孔率をA[%]と
し、電子輸送層4の空孔率をB[%]としたとき、B/
Aが、例えば、1.1以上程度であるのが好ましく、5
以上程度であるのがより好ましく、10以上程度である
のがさらに好ましい。これにより、バリヤ層8と電子輸
送層4とは、それぞれ、それらの機能をより好適に発揮
することができる。
【0107】より具体的には、バリヤ層8の空孔率Aと
しては、例えば、20%以下程度であるのが好ましく、
5%以下程度であるのがより好ましく、2%以下程度で
あるのがさらに好ましい。すなわち、バリヤ層8は、緻
密層であるのが好ましい。これにより、前記効果をより
向上することができる。
【0108】さらに、バリヤ層8と電子輸送層4との厚
さの比率は、特に限定されないが、例えば、1:99〜
60:40程度であるのが好ましく、10:90〜4
0:60程度であるのがより好ましい。換言すれば、バ
リヤ層8と電子輸送層4との全体におけるバリヤ層8の
占める割合は、厚さで1〜60%程度であるのが好まし
く、10〜40%程度であるのがより好ましい。これに
より、バリヤ層8は、第1の電極3と正孔輸送層5との
接触等による短絡を、より確実に防止または抑制するこ
とができるとともに、色素層Dへの光の到達率が低下す
るのを好適に防止することができる。
【0109】より具体的には、バリヤ層8の平均厚さ
(膜厚)としては、例えば、0.01〜10μm程度で
あるのが好ましく、0.1〜5μm程度であるのがより
好ましく、0.5〜2μm程度であるのがさらに好まし
い。これにより、前記効果をより向上することができ
る。
【0110】このバリヤ層8の構成材料としては、特に
限定されないが、例えば、電子輸送層4の主たる構成材
料である酸化チタンの他、例えば、SrTiO、Zn
O、SiO、Al、SnOのような各種金属
酸化物、CdS、CdSe、TiC、Si、Si
C、BN、BNのような各種金属化合物等の1種また
は2種以上を組み合わせて用いることができるが、この
中でも、電子輸送層4と同等の電気伝導性を有するもの
であるのが好ましく、特に、酸化チタンを主とするもの
がより好ましい。バリヤ層8をこのような材料で構成す
ることにより、色素層Dで発生した電子をより効率よ
く、電子輸送層4からバリヤ層8へ伝達することがで
き、その結果、太陽電池1の発電効率をより向上するこ
とができる。
【0111】このバリヤ層8と電子輸送層4との全体で
の厚さ方向の抵抗値としては、特に限定されないが、例
えば、100Ω/cm2以上程度であるのが好ましく、
1kΩ/cm2以上程度であるのがより好ましい。これ
により、第1の電極3と正孔輸送層5との間でのリーク
(短絡)をより確実に防止または抑制することができ、
太陽電池1の発電効率の低下を防ぐことができるという
利点がある。
【0112】また、バリヤ層8と電子輸送層4との界面
は、明確でなくても、明確であってもよいが、明確でな
い(不明確である)のが好ましい。すなわち、バリヤ層
8と電子輸送層4とは、一体的に形成されているのが好
ましい。これにより、バリヤ層8と電子輸送層4との間
での電子の伝達を、より確実に(効率よく)行うことが
できる。
【0113】さらに、バリヤ層8と電子輸送層4とは、
同一の組成の材料(例えば、二酸化チタンを主とする材
料)を用いて作成し、それらの空孔率のみが異なる構
成、すなわち、電子輸送層4の一部が、前記バリヤ層8
として機能するような構成であってもよい。
【0114】この場合、電子輸送層4は、その厚さ方向
に、密な部分と粗な部分とを有し、このうち、密な部分
がバリヤ層8として機能する。
【0115】また、この場合、密な部分は、電子輸送層
4の第1の電極3側に形成されているのが好ましいが、
厚さ方向の任意の位置に形成することもできる。
【0116】また、この場合、電子輸送層4は、密な部
分で粗な部分を挟んだ部分を有する構成のものや、粗な
部分で密な部分を挟んだ部分を有する構成のもの等であ
ってもよい。
【0117】このような太陽電池1では、色素層D(色
素層Dが形成された電子輸送層4)への光の入射角が9
0°での光電変換効率をR90とし、光の入射角が52°
での光電変換効率をR52としたとき、R52/R90が0.
8以上程度となるような特性を有しているのが好まし
く、0.85以上程度であるのがより好ましい。このよ
うな条件を満たすということは、色素層Dが形成された
電子輸送層4が光に対する指向性が低い、すなわち、等
方性を有するということである。したがって、このよう
な太陽電池1は、太陽の日照時間のほぼ全域に渡って、
より効率良く発電することができる。
【0118】さらに、太陽電池1では、第1の電極3が
正、第2の電極6(正孔輸送層5)が負となるようにし
て、0.5Vの電圧を印加したとき、その抵抗値が、例
えば、100Ω/cm2以上程度となる特性を有するの
が好ましく、1kΩ/cm2以上程度となる特性を有す
るのがより好ましい。このような特性を有するというこ
とは、太陽電池1では、第1の電極3と正孔輸送層5と
の間での接触等による短絡(リーク)が好適に防止また
は抑制されていることを示すものである。よって、この
ような太陽電池1では、発電効率(光電変換効率)をよ
り向上することができる。
【0119】このような太陽電池1は、例えば、次のよ
うにして製造することができる。まず、例えばソーダガ
ラス等で構成された基板2を用意する。この基板2に
は、厚さが均一で、たわみのないものが好適に用いられ
る。
【0120】<1> まず、第1の電極3を基板2の上
面に形成する。第1の電極3は、例えばFTO等で構成
される第1の電極3の材料を、例えば、蒸着法、スパッ
タリング法、印刷法等を用いることにより、形成するこ
とができる。
【0121】<2> 次に、バリヤ層8を第1の電極3
の上面に形成する。バリヤ層8は、例えば、ゾル・ゲル
法、蒸着(真空蒸着)法、スパッタリング法(高周波ス
パッタリング、DCスパッタリング)、スプレー熱分解
法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法等
により形成することができるが、この中でも、ゾル・ゲ
ル法により形成するのが好ましい。
【0122】このゾル・ゲル法は、その操作が極めて簡
単であり、例えば、ディッピング、滴下、ドクターブレ
ード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロール
コーター等の各種塗布法と組み合わせて用いることによ
り、大掛かりな装置も必要とせず、好適にバリヤ層8を
膜状(厚膜および薄膜)に形成することができる。
【0123】また、塗布法によれば、例えばマスキング
等を用いることにより、所望のパターン形状のバリヤ層
8を容易に得ることができる。
【0124】このゾル・ゲル法としては、バリヤ層材料
中での後述するチタン化合物(有機または無機)の反応
(例えば、加水分解、重縮合等)を許容しない(防止す
る)方法(以下、「MOD(Metal Organic Deposition
または Metal Organic Decomposition)法」と言
う。)、あるいは、これを許容する方法が挙げられる
が、特に、MOD法を用いるのが好ましい。
【0125】このMOD法によれば、バリヤ層材料中で
のチタン化合物(有機または無機)の安定性が維持さ
れ、また、バリヤ層8をより容易かつ確実に(再現性よ
く)、緻密なもの(前記範囲内の空孔率)とすることが
できる。
【0126】特に、チタンテトライソプロポキシド(T
PT)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキ
シド、チタンテトラブトキシドのような化学的に非常に
不安定な(分解しやすい)チタンアルコキシド等の有機
チタン化合物を用いて、緻密なTiO層(本発明のバ
リヤ層8)を形成する場合には、このMOD法は最適で
ある。
【0127】以下、バリヤ層8のMOD法による成形方
法について説明する。 [バリヤ層材料の調製]例えば、チタンテトライソプロ
ポキシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタン
テトラエトキシド、チタンテトラブトキシドのようなチ
タンアルコキシド等の有機チタン化合物のうちの1種ま
たは2種以上組み合わせたものを用いる場合には、ま
ず、この有機チタン化合物(またはこの溶液)を、例え
ば、無水エタノール、2−ブタノール、2−プロパノー
ル、2−n−ブトキシエタノール等の有機溶媒(または
これらの混合溶媒)に溶解する。
【0128】これにより、有機チタン化合物の前記溶液
中の濃度(含有量)を調製(例えば0.1〜10mol
/L程度)して、得られるバリヤ層材料の粘度を調製す
る。このバリヤ層材料の粘度としては、前記塗布法の種
類等により、適宜設定され、特に限定されないが、スピ
ンコートを用いる場合には、好ましくは高粘度(例えば
0.5〜20cP程度)とされ、スプレーコートを用い
る場合には、好ましくは低粘度(例えば0.1〜2cP
程度)とされる。
【0129】次に、この溶液に、添加物として、例え
ば、四塩化チタン、酢酸、アセチルアセトン、トリエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン等の前記チタンアル
コキシドを安定化し得る化合物を添加する。
【0130】これらの添加物を加えることにより、チタ
ンアルコキシド中のチタンに配位するアルコキシド(ア
ルコキシル基)に置換して、これらの添加物がチタン原
子に配位される。この場合、この添加物とチタンアルコ
キシドとの配合比は、特に限定されないが、例えば、モ
ル比で1:2〜8:1程度とするのが好ましい。
【0131】より具体的には、チタンアルコキシドにジ
エタノールアミンを配位した場合、チタンアルコキシド
のアルコキシド(アルコキシル基)に換わり(置換し
て)、チタン原子にジエタノールアミンが2分子配位さ
れるので、チタンアルコキシドよりも二酸化チタンを形
成する上で安定化した化合物となる。他の場合の組み合
わせでも同様である。
【0132】これにより、バリヤ層材料(バリヤ層形成
用のゾル液:MOD用ゾル液)を得る。
【0133】また、四塩化チタン(TTC)等の無機チ
タン化合物を用いる場合には、この無機チタン化合物
(またはこの溶液)を、無水エタノール、2−ブタノー
ル、2−プロパノール、2−n−ブトキシエタノール等
の有機溶媒(またはこれらの混合溶媒)に溶解すること
により、有機溶媒がチタンに配位し、添加物を加えない
で安定した化合物となる。
【0134】さらに、チタンオキシアセチルアセトナー
ト(TOA)等の有機チタン化合物を用いる場合には、
この有機チタン化合物(またはこの溶液)が単独で安定
なものであるので、前記有機溶媒に溶解することで安定
したバリヤ層材料を得ることができる。
【0135】なお、本発明において、MOD法でバリヤ
層8を形成する場合には、上述した3つの溶液のうち、
チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテト
ラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ
ブトキシドのようなチタンアルコキシド等の有機チタン
化合物(またはこの溶液)を溶媒で溶解(または希釈)
し、この溶液に、四塩化チタン、酢酸、アセチルアセト
ン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の添
加物を添加することにより、チタン原子にこれらの添加
物を配位し、二酸化チタンを形成する上で安定化した化
合物を得る方法が最適である。
【0136】これによって、化学的に不安定なチタンア
ルコキシドを安定的な化合物にすることができるので、
本発明における二酸化チタンの緻密なバリヤ層8を形成
する材料として非常に安定化した化合物を利用して、本
発明の緻密なバリヤ層8を形成することが可能となる。
【0137】[バリヤ層8の形成]第1の電極3の上面
に、塗布法(例えば、スピンコート等)により、バリヤ
層材料を塗布して膜状に形成する。塗布法としてスピン
コートを用いる場合、回転数を500〜4000rpm
程度で行うのが好ましい。
【0138】次いで、かかる塗膜に対して、熱処理を施
す。これにより、有機溶媒を揮発、除去する。この熱処
理条件としては、好ましくは50〜250℃程度で1〜
60分間程度、より好ましくは100〜200℃程度で
5〜30分間程度とされる。
【0139】かかる熱処理は、例えば、大気中、窒素ガ
ス中で行うことができる他、例えば、各種不活性ガス、
真空、減圧状態(例えば、10−1〜10−6Tor
r)のような非酸化性雰囲気中で行うようにしてもよ
い。
【0140】なお、バリヤ層材料の第1の電極3の上面
への塗布は、第1の電極3を加熱しつつ行うようにして
もよい。
【0141】さらに、塗膜に対して、前記熱処理より高
温で熱処理を施す。これにより、塗膜中に残存する有機
成分を除去するとともに、二酸化チタン(TiO)を
焼結させ、アモルファスまたはアナターゼ型の結晶構造
の二酸化チタンからなるバリヤ層8を形成する。この熱
処理条件としては、好ましくは300〜700℃程度で
1〜70分間程度、より好ましくは400〜550℃程
度で5〜45分間程度とされる。
【0142】なお、かかる熱処理の雰囲気は、前記熱処
理と同様の雰囲気とすることができる。
【0143】以上のような操作を、好ましくは1〜20
回程度、より好ましくは1〜10回程度行って、前述し
たような平均厚さのバリヤ層8を形成する。
【0144】この場合、1回の前記操作により得られる
塗膜の厚さ(膜厚)は、100nm以下程度とするのが
好ましく、50nm以下程度とするのがより好ましい。
このような薄膜を積層してバリヤ層8を形成することに
より、バリヤ層8をより均一で密度の高いものとするこ
とができる。また、1回の前記操作により得られる膜厚
の調整は、バリヤ層材料の粘度を調製することで、容易
に行うことができる。
【0145】なお、バリヤ層8の形成に先立って、第1
の電極3の上面には、例えば、O2プラズマ処理、EB
処理、有機溶剤(例えばエタノール、アセトン等)での
洗浄処理等を行うことにより、第1の電極3の上面に付
着した有機物を除去するようにしてもよい。この場合、
バリヤ層8を形成する部分を残し、第1の電極3の上面
にマスク層を形成し、マスキングしておく。また、この
マスク層は、バリヤ層8の形成後に除去するようにして
もよく、太陽電池1の完成後に除去するようにしてもよ
い。
【0146】<3> 次に、バリヤ層8の上面に、電子
輸送層4を形成する。電子輸送層4は、例えば、ゾル・
ゲル法、蒸着法、スパッタリング法等により形成するこ
とができるが、この中でも、ゾル・ゲル法により形成す
るのが好ましい。
【0147】このゾル・ゲル法は、その操作が極めて簡
単であり、例えば、ディッピング、滴下、ドクターブレ
ード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロール
コーター等の各種塗布法と組み合わせて用いることによ
り、大掛かりな装置も必要とせず、好適に電子輸送層4
を膜状(厚膜および薄膜)に形成することができる。
【0148】また、塗布法によれば、例えばマスキング
等を用いることにより、所望のパターン形状の電子輸送
層4を容易に得ることができる。
【0149】この電子輸送層4の形成には、電子輸送層
材料の粉末を含有するゾル液を用いるのが好ましい。こ
れにより、電子輸送層4をより容易かつ確実に多孔質と
することができる。
【0150】電子輸送層材料の粉末の平均粒径として
は、特に限定されないが、例えば、1nm〜1μm程度
であるのが好ましく、5〜50nm程度であるのがより
好ましい。電子輸送層材料の粉末の平均粒径を前記の範
囲内とすることにより、電子輸送層材料の粉末のゾル液
中での均一性を向上することができる。また、このよう
に電子輸送層材料の粉末の平均粒径を小さくすることに
より、得られる電子輸送層4の表面積(比表面積)をよ
り大きくすることができるので、色素層Dの形成領域
(形成面積)をより大きくすることができ、太陽電池1
の発電効率の向上に寄与する。
【0151】以下に、電子輸送層4の形成方法の一例に
ついて説明する。 [酸化チタン粉末(電子輸送層材料の粉末)の調製] <3−A0> ルチル型の二酸化チタン粉末とアナター
ゼ型の二酸化チタン粉末とを所定の配合比(アナターゼ
型の二酸化チタン粉末のみ、ルチル型の二酸化チタン粉
末のみの場合も含む)にて、配合し混合しておく。
【0152】これらのルチル型の二酸化チタン粉末の平
均粒径と、アナターゼ型の二酸化チタン粉末の平均粒径
とは、それぞれ異なっていてもよいし、同じであっても
よいが、異なっている方が好ましい。なお、酸化チタン
粉末全体としての平均粒径は、前述の範囲とする。
【0153】[ゾル液(電子輸送層材料)の調製] <3−A1> まず、例えば、チタンテトライソプロポ
キシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタンテ
トラエトキシド、チタンテトラブトキシドのようなチタ
ンアルコキシド、チタンオキシアセチルアセトナート
(TOA)等の有機チタン化合物や、四塩化チタン(T
TC)等の無機チタン化合物のうちの1種または2種以
上組み合わせたものを、例えば、無水エタノール、2−
ブタノール、2−プロパノール、2−n−ブトキシエタ
ノール等の有機溶媒(またはこれらの混合溶媒)に溶解
する。
【0154】このとき、チタン化合物(有機または無
機)の溶液中の濃度(含有量)としては、特に限定され
ないが、例えば、0.1〜3mol/L程度とするのが
好ましい。
【0155】次に、必要に応じて、この溶液中に各種添
加物を添加する。例えば、有機チタン化合物としてチタ
ンアルコキシドを用いる場合には、安定度が低いので、
例えば、酢酸、アセチルアセトン、硝酸等を添加するよ
うにする。この場合、この添加物とチタンアルコキシド
との配合比は、特に限定されないが、例えば、モル比で
1:2〜8:1程度とするのが好ましい。
【0156】<3−A2> 次に、この溶液に、例え
ば、蒸留水、超純水、イオン交換水、RO水等の水を混
合する。この水と有機チタン化合物との配合比は、モル
比で1:4〜4:1程度とするのが好ましい。
【0157】<3−A3> 次いで、かかる溶液に、前
記工程<3−A0>で調製した酸化チタン粉末を混合し
て懸濁(分散)液を得る。
【0158】<3−A4> さらに、この懸濁液を前記
の有機溶媒(または、混合溶媒)で希釈する。これによ
り、ゾル液を調製する。この希釈倍率としては、例え
ば、1.2〜3.5倍程度が好ましい。
【0159】また、酸化チタン粉末(電子輸送層材料の
粉末)のゾル液中の含有量としては、特に限定されない
が、例えば、0.1〜10wt%(重量%)程度である
のが好ましく、0.5〜5wt%程度であるのがより好
ましい。これにより、電子輸送層4の空孔率を好適に前
記範囲内とすることができる。
【0160】[電子輸送層(酸化チタン層)4の形成] <3−A5> バリヤ層8を好ましくは加熱しつつ、バ
リヤ層8の上面に、塗布法(例えば、滴下等)により、
ゾル液を塗布して膜状体(塗膜)を得る。この加熱温度
としては、特に限定されないが、例えば、80〜180
℃程度であるのが好ましく、100〜160℃程度であ
るのがより好ましい。
【0161】以上のような操作を、好ましくは1〜10
回程度、より好ましくは5〜7回程度行って、前述した
ような平均厚さの電子輸送層4を形成する。
【0162】次いで、この電子輸送層4に、必要に応じ
て、例えば、温度250〜500℃程度で0.5〜3時
間程度、熱処理(例えば、焼成等)を施してもよい。
【0163】<3−A6> 前記工程<3−A5>で得
られた電子輸送層4には、必要に応じて、後処理を行う
ことができる。
【0164】この後処理としては、例えば、形状を整え
るための、研削、研磨等のような機械加工(後加工)
や、その他、洗浄、化学処理のような後処理等が挙げら
れる。
【0165】また、電子輸送層4は、例えば、次のよう
にして形成することもできる。以下、電子輸送層4の他
の形成方法について説明する。なお、以下の説明では、
前記の形成方法との相違点を中心に説明し、同様の事項
については、その説明を省略する。
【0166】[酸化チタン粉末(電子輸送層材料の粉
末)の調製] <3−B0> 前記工程<3−A0>と同様の工程を行
う。
【0167】[塗布液(電子輸送層材料)の調製] <3−B1> まず、前記工程で調製した酸化チタン粉
末を適当量の水(例えば、蒸留水、超純水、イオン交換
水、RO水等)に懸濁する。
【0168】<3−B2> 次に、かかる懸濁液に、例
えば硝酸等の安定化剤を添加し、メノウ製(またはアル
ミナ製)の乳鉢内で十分に混練する。
【0169】<3−B3> 次いで、かかる懸濁液に、
前記の水を加えてさらに混練する。このとき、前記安定
化剤と水との配合比は、体積比で好ましくは10:90
〜40:60程度、より好ましくは15:85〜30:
70程度とし、かかる懸濁液の粘度を、例えば0.2〜
30cP程度とする。
【0170】<3−B4> その後、かかる懸濁液に、
例えば、最終濃度が0.01〜5wt%程度となるよう
に界面活性剤を添加して混練する。これにより、塗布液
(電子輸送層材料)を調製する。
【0171】なお、界面活性剤としては、カチオン性、
アニオン性、両イオン性、非イオン性のいずれであって
もよいが、好ましくは非イオン性のものが用いられる。
【0172】また、安定化剤としては、硝酸に代わり、
酢酸やアセチルアセトンのような酸化チタンの表面修飾
試薬を用いることもできる。
【0173】また、塗布液(電子輸送層材料)中には、
必要に応じて、例えばポリエチレングリコールのような
バインダー、可塑剤、酸化防止剤等の各種添加物を添加
してもよい。
【0174】[電子輸送層(酸化チタン層)4の形成] <3−B5> 第1の電極3の上面に、塗布法(例え
ば、ディッピング等)により、塗布液を塗布・乾燥して
膜状体(塗膜)を形成する。また、塗布・乾燥の操作を
複数回行って積層するようにしてもよい。これにより、
電子輸送層4を得る。
【0175】次いで、この電子輸送層4に、必要に応じ
て、例えば、温度250〜500℃程度で0.5〜3時
間程度、熱処理(例えば、焼成等)を施してもよい。こ
れにより、単に接触するのに止まっていた酸化チタン粉
末同士は、その接触部位に拡散が生じ、酸化チタン粉末
同士がある程度固着(固定)するようになる。なお、こ
の状態で、電子輸送層4が多孔質となる。
【0176】<3−B6> 前記工程<3−A6>と同
様の工程を行う。以上のような工程を経て、電子輸送層
4が得られる。
【0177】<4> 次いで、電子輸送層4と、前述し
たような色素を含む液(例えば、色素を溶媒に溶解した
溶液、色素を溶媒に懸濁した懸濁液)とを、例えば、浸
漬、塗布等により接触させることにより、色素を電子輸
送層4の外面および孔41の内面に例えば吸着、結合等
して色素層Dを形成する。
【0178】より具体的には、基板2、第1の電極3、
バリヤ層8および電子輸送層4の積層体を、色素を含む
液に浸漬することにより、容易に、色素層Dを電子輸送
層4の外面および孔41の内面に沿って形成することが
できる。
【0179】色素を溶解または懸濁(分散)する溶媒
(液体)としては、特に限定されないが、例えば、各種
水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチ
レン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等が挙げ
られ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0180】この後、前記積層体を前記溶液(懸濁液)
中から取り出し、例えば、自然乾燥による方法や、空
気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法等により溶媒を
除去する。
【0181】さらに、必要に応じて、この積層体を、例
えば60〜100℃程度の温度で、0.5〜2時間程
度、クリーンオーブン等で乾燥してもよい。これによ
り、色素をより強固に電子輸送層4に吸着(結合)させ
ることができる。
【0182】<5> 次に、色素層D(色素層Dが形成
された電子輸送層4)の上面に、正孔輸送層5を形成す
る。
【0183】正孔輸送層5は、芳香族アミン誘導体(例
えば、トリフェニルジアミン等)を含む正孔輸送層材料
(電極材料)を、色素層Dが形成された電子輸送層4の
上面に、例えば、ディッピング、滴下、ドクターブレー
ド、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコ
ーター等の各種塗布法により、塗布して形成するのが好
ましい。
【0184】このような塗布法によれば、正孔輸送層5
を色素層Dが形成された電子輸送層4の孔41内に、よ
り確実に浸透するようにして形成することができる。
【0185】また、必要に応じて、かかる塗膜には、例
えば、減圧下、不活性雰囲気下等で、熱処理を施すよう
にしてもよい。これにより、塗膜中の溶媒(液体)を除
去することができ、より迅速に正孔輸送層5を形成する
こと、すなわち、太陽電池1の製造時間の短縮に有利で
ある。この加熱温度としては、好ましくは、50〜15
0℃程度とされている。
【0186】正孔輸送層材料に用いる溶媒としては、テ
トラヒドロフラン(THF)、ブチレンオキシド、クロ
ロホルム、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、アセト
ン、各種アルコールのような極性溶媒、ジメチルホルム
アミド(DMF)、アセトニトリル、ジメトキシエタ
ン、ジメチルスホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミ
ドのような非プロトン性溶媒等の有機溶媒等が挙げら
れ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0187】このような正孔輸送層材料中には、必要に
応じて、例えば、N(PhBr)SbCl、Li
[(CFSON]等の各種添加剤を添加するよ
うにしてもよい。これらの正孔輸送層材料に添加剤を加
えることにより、正孔輸送層5は、より効率よく正孔を
伝達(輸送)することができる。
【0188】また、比較的低分子量の芳香族アミン誘導
体(例えば、モノマー、オリゴマー)を用いる場合、正
孔輸送層材料中には、必要に応じて、有機バインダー等
の添加物を添加してもよい。この有機バインダー(高分
子バインダー)としては、正孔の輸送を極度に阻害しな
いものを用いるのが好ましく、例えば、ポリエチレンオ
キサイド(PEO)、ポリビニリデンフロライド(PV
DF)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメ
チルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等を用いるこ
とができる。
【0189】また、このような塗布、熱処理(乾燥)の
操作を、繰り返し行って積層するようにしてもよい。
【0190】なお、芳香族アミン誘導体として、比較的
低分子のものを用いる場合は、正孔輸送層5は、例え
ば、蒸着法等を用いることにより成形することもでき
る。
【0191】この蒸着法によれば、正孔輸送層5を、よ
り精度よく均質な膜として、形成することができるとい
う利点がある。
【0192】<6> 次に、第2の電極6を、正孔輸送
層5の上面に形成する。第2の電極6は、例えば白金等
で構成される第2の電極6の材料を、例えば、蒸着法、
スパッタリング法、印刷法等を用いることにより、形成
することができる。以上のような工程を経て、太陽電池
1が製造される。
【0193】以上、本発明の光電変換素子を図示の実施
形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定さ
れるものではない。光電変換素子を構成する各部は、同
様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換すること
ができる。
【0194】なお、本発明の光電変換素子は、太陽電池
のみならず、例えば、光センサー、光スイッチのよう
な、光を受光して電気エネルギーに変換する各種素子
(受光素子)に適用することができるものである。
【0195】また、本発明の光電変換素子では、光の入
射方向は、図示のものとは異なり、逆方向からであって
もよい。すなわち、光の入射方向は、任意である。
【0196】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0197】(実施例1)次のようにして、図1に示す
太陽電池(光電変換素子)を製造した。
【0198】−0− まず、寸法:縦30mm×横35
mm×厚さ1.0mmのソーダガラス基板を用意した。
次に、このソーダガラス基板を85℃の洗浄液(硫酸と
過酸化水素水との混合液)に浸漬して洗浄を行い、その
表面を清浄化した。
【0199】−1− 次に、ソーダガラス基板の上面
に、蒸着法により、寸法:縦30mm×横35mm×厚
さ1μmのFTO電極(第1の電極)を形成した。
【0200】−2− 次に、形成したFTO電極の上面
の縦30mm×横30mmの領域に、バリヤ層を形成し
た。これは、次のようにして行った。
【0201】[バリヤ層材料の調製]まず、チタンテト
ライソプロポキシド(有機チタン化合物)を、2−n−
ブトキシエタノールに0.5mol/Lとなるように溶
解した。
【0202】次いで、この溶液に、ジエタノールアミン
(添加物)を添加した。なお、ジエタノールアミンとチ
タンテトライソプロポキシドとの配合比は、2:1(モ
ル比)となるようにした。
【0203】これにより、バリヤ層材料を得た。なお、
バリヤ層材料の粘度は、3cPであった。
【0204】[バリヤ層の形成]バリヤ層材料をスピン
コート(塗布法)により塗布し、塗膜を得た。なお、こ
のスピンコートは、回転数を1500rpmで行った。
【0205】次いで、ソーダガラス基板、FTO電極お
よび塗膜の積層体を、ホットプレート上に設置して、1
60℃で10分間、熱処理を施すことにより塗膜を乾燥
した。
【0206】さらに、かかる積層体を、480℃で30
分間、オーブン内で熱処理を施すことにより、塗膜中に
残存する有機成分を除去した。かかる操作を10回繰り
返して積層するようにした。
【0207】これにより、空孔率が1%未満のバリヤ層
を得た。なお、このバリヤ層の平均厚さは、0.8μm
であった。
【0208】−3− 次に、バリヤ層の上面(全体)に
酸化チタン層(電子輸送層)を形成した。これは、次の
ようにして行った。
【0209】[酸化チタン粉末の調製]ルチル型の二酸
化チタン粉末と、アナターゼ型の二酸化チタン粉末との
混合物からなる酸化チタン粉末を用意した。なお、酸化
チタン粉末の平均粒径は、40nmであり、ルチル型の
二酸化チタン粉末とアナターゼ型の二酸化チタン粉末と
の配合比は、重量比で60:40とした。
【0210】[ゾル液(酸化チタン層材料)の調製]ま
ず、チタンテトライソプロポキシドを、2−プロパノー
ルに1mol/Lとなるように溶解した。
【0211】次いで、この溶液に、酢酸(添加物)と、
蒸留水とを混合した。なお、酢酸とチタンテトライソプ
ロポキシドとの配合比は、1:1(モル比)となるよう
に、また、蒸留水とチタンテトライソプロポキシドとの
配合比は、1:1(モル比)となるようにした。
【0212】次いで、かかる溶液に、調製した酸化チタ
ン粉末を混合した。さらに、この懸濁液を2−プロパノ
ールで2倍に希釈した。これにより、ゾル液(酸化チタ
ン層材料)を調製した。なお、酸化チタン粉末のゾル液
中の含有量を、3wt%とした。
【0213】[酸化チタン層の形成]ソーダガラス基
板、FTO電極およびバリヤ層の積層体を、400℃に
加熱したホットプレート上に設置し、バリヤ層の上面
に、ゾル液(酸化チタン層材料)を滴下(塗布法)し、
乾燥した。この操作を7回繰り返し行って積層するよう
にした。
【0214】これにより、空孔率が30%の酸化チタン
層を得た。なお、この酸化チタン層の平均厚さは、7.
5μmであった。
【0215】なお、バリヤ層と酸化チタン層との全体に
おける厚さ方向の抵抗値は、1kΩ/cm2以上であっ
た。
【0216】−4− 次いで、ソーダガラス基板、FT
O電極、バリヤ層および酸化チタン層の積層体を、ルテ
ニウムトリスビピジル(有機染料)の飽和エタノール溶
液に浸漬した後、かかるエタノール溶液から取り出し、
自然乾燥により、エタノールを揮発した。さらに、80
℃、0.5時間、クリーンオーブンで乾燥した後、一晩
放置した。これにより、酸化チタン層の外面および孔の
内面に沿って色素層を形成した。
【0217】−5− 次いで、色素層Dが形成された酸
化チタン層(電子輸送層)の上面に、TPD1のTHF
溶液(正孔輸送層材料)をスピンコート(塗布法)により
塗布し、塗膜を得た。なお、スピンコートは、回転数を
1000rpmで行った。
【0218】次いで、150℃で10分間、熱処理を施
すことにより、溶媒を除去し、塗膜を乾燥した。かかる
操作を3回繰り返して積層するようにした。
【0219】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのTPD1層(正孔輸送層)を得た。
【0220】−6− 次いで、正孔輸送層の上面に、蒸
着法により、寸法:縦30mm×横30mm×厚さ0.
1mmの白金電極(第2の電極)を形成した。
【0221】(実施例2)TPD1に代えて、TPD2
を用いた以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を
製造した。
【0222】色素層Dが形成された酸化チタン層(電子
輸送層)の上面に、TPD2のTHF溶液(正孔輸送層
材料)をスピンコート(塗布法)により塗布し、塗膜を
得た。なお、スピンコートは、回転数を1000rpm
で行った。
【0223】次いで、150℃で10分間、熱処理を施
すことにより、溶媒を除去し、塗膜を乾燥した。かかる
操作を3回繰り返して積層するようにした。
【0224】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのTPD2層(正孔輸送層)を得た。
【0225】(実施例3)TPD1に代えて、TPD3
を用いた以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を
製造した。
【0226】色素層Dが形成された酸化チタン層(電子
輸送層)の上面に、TPD3のTHF溶液(正孔輸送層
材料)をスピンコート(塗布法)により塗布し、塗膜を
得た。なお、スピンコートは、回転数を1000rpm
で行った。
【0227】次いで、150℃で10分間、熱処理を施
すことにより、溶媒を除去し、塗膜を乾燥した。かかる
操作を3回繰り返して積層するようにした。
【0228】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのTPD3層(正孔輸送層)を得た。
【0229】(実施例4)TPD1に代えて、OMeT
ADを用いた以外は、前記実施例1と同様にして太陽電
池を製造した。
【0230】色素層Dが形成された酸化チタン層(電子
輸送層)の上面に、OMeTADのDMF溶液(正孔輸
送層材料)をスピンコート(塗布法)により塗布し、塗
膜を得た。また、OMeTADのDMF溶液には、N
(PhBr)SbClをOMeTADの0.3%
(モル比)添加した。なお、スピンコートは、回転数を
2000rpmで行った。
【0231】次いで、150℃で20分間、熱処理を施
すことにより、溶媒を除去し、塗膜を乾燥した。かかる
操作を5回繰り返して積層するようにした。
【0232】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのOMeTAD層(正孔輸送層)を得
た。
【0233】(実施例5)TPD1に代えて、ポリマー
状のTPD1を用いた以外は、前記実施例1と同様にし
て太陽電池を製造した。
【0234】色素層Dが形成された酸化チタン層(電子
輸送層)の上面に、重量平均分子量8000のポリマー
状のTPD1のDMF溶液(正孔輸送層材料)をスピンコ
ート(塗布法)により塗布し、塗膜を得た。なお、スピ
ンコートは、回転数を2000rpmで行った。
【0235】次いで、150℃で20分間、熱処理を施
すことにより、溶媒を除去し、塗膜を乾燥した。かかる
操作を5回繰り返して積層するようにした。
【0236】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのポリマー状のTPD1層(正孔輸送
層)を得た。
【0237】(実施例6)TPD1に代えて、ポリマー
状のTPD1を用いた以外は、前記実施例1と同様にし
て太陽電池を製造した。
【0238】色素層Dが形成された酸化チタン層(電子
輸送層)の上面に、重量平均分子量60000のポリマ
ー状のTPD1のDMF溶液(正孔輸送層材料)をスピン
コート(塗布法)により塗布し、塗膜を得た。なお、ス
ピンコートは、回転数を2000rpmで行った。
【0239】次いで、150℃で20分間、熱処理を施
すことにより、溶媒を除去し、塗膜を乾燥した。かかる
操作を5回繰り返して積層するようにした。
【0240】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのポリマー状のTPD1層(正孔輸送
層)を得た。
【0241】(実施例7)塗布法に代えて、蒸着法を用
いた以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を製造
した。
【0242】ソーダガラス基板、FTO電極、バリヤ層
および色素層Dが形成された酸化チタン層(電子輸送
層)の積層体を、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定
し、真空チャンパー内を0.1Torrまで減圧した。
【0243】次いで、前記積層体の温度を100℃と
し、前記TPD1を200℃まで加熱して、TPD1を
蒸着速度5nm/秒で、色素層Dが形成された酸化チタ
ン層に堆積させた。
【0244】これにより、寸法:縦30mm×横30m
m×厚さ5μmのTPD1層(正孔輸送層)を得た。
【0245】(比較例)TPD1に代えて、AgBrを
用いて、以下に示す方法により、正孔輸送層を形成し
た。
【0246】ソーダガラス基板、FTO電極、バリヤ層
および色素層Dが形成された酸化チタン層(電子輸送
層)の積層体を、80℃に加熱したホットプレート上に
設置し、色素層Dが形成された酸化チタン層の上面に、
AgBrのアセトニトリル溶液(正孔輸送層材料)を滴
下し、乾燥した。この操作を繰り返し行って積層するよ
うにして、寸法:縦30mm×横30mm×厚さ10μ
mのAgBr層(正孔輸送層)を形成した。
【0247】(評価1)実施例1〜7および比較例にお
いて製造した太陽電池において、FTO電極が正、白金
電極が負となるようにして、0.5Vの電圧を印加した
ときの、抵抗値を、それぞれ測定した。
【0248】(評価2)実施例1〜7および比較例にお
いて製造した太陽電池に、それぞれ、人工太陽灯の光を
照射し、このときの光電変換効率を測定した。なお、色
素層(色素層が形成された酸化チタン層)への光の入射
角度は、90°と52°に設定し、光の入射角度が90
°のときの光電変換効率をR90とし、52°のときの光
電変換効率をR52とした。これらの評価1および評価2
の結果を表1に示す。
【0249】
【表1】
【0250】表1に示す結果から、芳香族アミン誘導体
で構成された正孔輸送層を有する太陽電池(実施例1〜
7)では、AgBrで構成された正孔輸送層を有する太
陽電池と比較して、光電変換効率に優れるものであっ
た。
【0251】これは、芳香族アミン誘導体がAgBrよ
りも電子輸送能力が優れることを示唆するものである。
【0252】また、実施例1〜7の太陽電池は、いずれ
も、R52/R90が0.85以上であり、このことは、実
施例1〜7の太陽電池が、光に対する指向性がより低い
ことを示すものであった。
【0253】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、正
孔輸送層を、主として芳香族アミン誘導体で構成したこ
とにより、正孔輸送層から色素層への電子の伝達を効率
よく行うことができ、その結果、極めて優れた光電変換
効率が得られる。
【0254】また、芳香族アミン誘導体の種類を適宜選
択することにより、前記効果をより向上することができ
る。また、本発明の光電変換素子は、製造が容易であ
り、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場
合の実施形態を示す部分断面図である。
【図2】実施形態の太陽電池の厚さ方向の中央部付近の
断面を示す拡大図である。
【図3】色素層が形成された電子輸送層の断面を示す部
分拡大図である。
【図4】電子輸送層および色素層の構成を示す模式図で
ある。
【図5】太陽電池の原理を示す模式図である。
【図6】図1に示す太陽電池回路の等価回路を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 太陽電池 2 基板 3 第1の電極 4 電子輸送層 41 孔 5 正孔輸送層 6 第2の電極 8 バリヤ層 100 外部回路 200 ダイオード D 色素層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA11 BA18 CB13 FA02 FA06 FA13 FA15 GA03 GA05 HA03 HA04 HA05 HA20 5H032 AA06 AS06 AS16 EE02 EE06 EE16 HH00 HH01 HH04 HH08

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の電極と、 該第1の電極と対向して設置された第2の電極と、 前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置し、その
    少なくとも一部が多孔質な電子輸送層と、 該電子輸送層と接触する色素層と、 前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置する正孔
    輸送層とを有する光電変換素子であって、 前記第1の電極と前記正孔輸送層との間での短絡を防止
    または抑制するバリヤ層を有し、 前記正孔輸送層を、主として芳香族アミン誘導体で構成
    したことを特徴とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 前記芳香族アミン誘導体は、モノマーで
    ある請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 【請求項3】 前記芳香族アミン誘導体は、オリゴマー
    またはプレポリマーである請求項1に記載の光電変換素
    子。
  4. 【請求項4】 前記オリゴマーは、ダイマーである請求
    項3に記載の光電変換素子。
  5. 【請求項5】 前記ダイマーは、スピロ型構造を有する
    請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 【請求項6】 前記芳香族アミン誘導体は、ポリマーで
    ある請求項1に記載の光電変換素子。
  7. 【請求項7】 前記ポリマーは、重量平均分子量が50
    00以上である請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 【請求項8】 前記芳香族アミン誘導体は、トリフェニ
    ルジアミン誘導体である請求項1ないし7のいずれかに
    記載の光電変換素子。
  9. 【請求項9】 前記バリヤ層の空孔率をA[%]とし、
    前記電子輸送層の空孔率をB[%]としたとき、B/A
    が1.1以上である請求項1ないし8のいずれかに記載
    の光電変換素子。
  10. 【請求項10】 前記バリヤ層の空孔率は、20%以下
    である請求項1ないし9のいずれかに記載の光電変換素
    子。
  11. 【請求項11】 前記バリヤ層と前記電子輸送層との厚
    さの比率は、1:99〜60:40である請求項1ない
    し10のいずれかに記載の光電変換素子。
  12. 【請求項12】 前記バリヤ層は、平均厚さが0.01
    〜10μmである請求項1ないし11のいずれかに記載
    の光電変換素子。
  13. 【請求項13】 前記バリヤ層は、前記電子輸送層と同
    等の電気伝導性を有する請求項1ないし12のいずれか
    に記載の光電変換素子。
  14. 【請求項14】 前記バリヤ層は、主として酸化チタン
    で構成される請求項1ないし13のいずれかに記載の光
    電変換素子。
  15. 【請求項15】 前記バリヤ層は、MOD法により形成
    されたものである請求項1ないし14のいずれかに記載
    の光電変換素子。
  16. 【請求項16】 前記バリヤ層と前記電子輸送層との全
    体における厚さ方向の抵抗値が100Ω/cm以上で
    ある請求項1ないし15のいずれかに記載の光電変換素
    子。
  17. 【請求項17】 前記バリヤ層は、前記第1の電極と前
    記電子輸送層との間に位置する請求項1ないし16のい
    ずれかに記載の光電変換素子。
  18. 【請求項18】 前記バリヤ層と前記電子輸送層との界
    面は、不明確である請求項17に記載の光電変換素子。
  19. 【請求項19】 前記バリヤ層と前記電子輸送層とは、
    一体的に形成される請求項17または18に記載の光電
    変換素子。
  20. 【請求項20】 前記電子輸送層の一部が、前記バリヤ
    層として機能する請求項1ないし16のいずれかに記載
    の光電変換素子。
  21. 【請求項21】 前記色素層は、受光により、電子と正
    孔とを発生する受光層である請求項1ないし20のいず
    れかに記載の光電変換素子。
  22. 【請求項22】 前記色素層は、前記電子輸送層の外面
    および細孔の内面に沿って形成されている請求項1ない
    し21のいずれかに記載の光電変換素子。
  23. 【請求項23】 前記電子輸送層は、少なくとも前記色
    素層で発生した電子を輸送する機能を有する請求項20
    ないし22のいずれかに記載の光電変換素子。
  24. 【請求項24】 前記電子輸送層は、膜状をなしている
    請求項1ないし23のいずれかに記載の光電変換素子。
  25. 【請求項25】 前記電子輸送層は、平均厚さが0.1
    〜300μmである請求項1ないし24のいずれかに記
    載の光電変換素子。
  26. 【請求項26】 前記電子輸送層の空孔率は、5〜90
    %である請求項1ないし25のいずれかに記載の光電変
    換素子。
  27. 【請求項27】 前記電子輸送層の少なくとも一部は、
    平均粒径が1nm〜1μmの電子輸送層材料の粉末を用
    いて形成されたものである請求項1ないし26のいずれ
    かに記載の光電変換素子。
  28. 【請求項28】 前記電子輸送層の少なくとも一部は、
    平均粒径が1nm〜1μmの電子輸送層材料の粉末を含
    有するゾル液を用いるゾル・ゲル法により形成されたも
    のである請求項1ないし27のいずれかに記載の光電変
    換素子。
  29. 【請求項29】 前記電子輸送層材料の粉末の前記ゾル
    液中の含有量は、0.1〜10重量%である請求項28
    に記載の光電変換素子。
  30. 【請求項30】 前記電子輸送層は、主として二酸化チ
    タンで構成される請求項1ないし29のいずれかに記載
    の光電変換素子。
  31. 【請求項31】 前記色素層を加熱しつつ、前記正孔輸
    送層材料を、前記色素層上に塗布する請求項30に記載
    の光電変換素子。
  32. 【請求項32】 前記第1の電極を支持する基板を有す
    る請求項1ないし31のいずれかに記載の光電変換素
    子。
  33. 【請求項33】 前記第1の電極が正、前記第2の電極
    が負となるようにして、0.5Vの電圧を印加したと
    き、抵抗値が100Ω/cm以上となる特性を有する
    請求項1ないし32のいずれかに記載の光電変換素子。
  34. 【請求項34】 前記色素層への光の入射角が90°で
    の光電変換効率をR 90とし、光の入射角が52°での
    光電変換効率をR52としたとき、R52/R90
    0.8以上である請求項1ないし33のいずれかに記載
    の光電変換素子。
  35. 【請求項35】 太陽電池である請求項1ないし34の
    いずれかに記載の光電変換素子。
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