JP4026360B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は滞留した水を吐出させるドレイン排水部を有する燃料電池発電システムの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池発電システムが注目されている。燃料電池発電システムは、燃料ガスと酸化剤である酸素含有ガス(一般的には空気)とを用いて発電する燃料電池と、燃料を燃料電池に供給する燃料供給通路と、酸素含有ガスを燃料電池に供給する酸化剤供給通路とを有する。このような燃料電池発電システムの各経路では、水が滞留することがある。殊に、燃料電池発電システムの性能を高めるために、酸素含有ガスは加湿されていることが多い。電解質膜の過剰乾燥は、発電性能の確保に好ましくないためである。燃料ガスも改質反応により水蒸気を含むことが多い。このため燃料電池発電システムの各経路においては、水が滞留することが多い。滞留した水は、酸素含有ガスや燃料ガスの流路面積を小さくするおそれがある。この場合、燃料電池発電システムの性能向上には好ましくない。そこで各経路にドレイン排水部を適宜設け、ドレイン排水部から水を外部に排出する技術が開発されている。
【0003】
特開平8−195215号公報には、水が溜まる通路の下方に向けて直列に配置された複数のタンクと、タンク内の水位を検知する水位センサと、タンク内を開閉する開閉電磁バルブとを備えている燃料電池発電システムが開示されている。水がタンク内に溜まると、タンク内の水位が所定水位となったことを水位センサが検知したら、電磁バルブを開放させて水を排出させる。
【0004】
また特開平5−251107号公報には、燃料電池の入口側のマニホルドと出口側配管とを、内径の小さな排水管でつなぎ、燃料電池の入口側のマニホルドに滞留する滞留水を排水管を経て出口側配管に排出させる燃料電池発電システムが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平8−195215号公報に係る技術によれば、水位センサ、開閉電磁バルブを必要とし、コスト的に不利である。特開平5−251107号公報に係る技術によれば、入口側のマニホルドの滞留水を排水管を経て出口側配管に排出させ得るものの、排水管は水で常にシールされるものではなく、従って入口側のマニホルドと出口側配管とが連通されている関係上、燃料電池の反応ガスが排水管を経て漏れることになり、反応ガスの利用効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、コストの低減を図りつつ、ドレイン排水部におけるシール性を確保すると共に、ドレイン排水部に溜まった水を吐出できる熱料電池発電システムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る燃料電池発電システムは、燃料及び酸化剤に基づいて発電する燃料電池と、燃料を燃料電池に供給する燃料供給通路と、酸化剤を前記燃料電池に供給する酸化剤供給通路と、燃料電池発電システムに設けられ水を凝縮させる凝縮部と、凝縮部に設けられ凝縮部の水を排水するドレイン排水部と、燃料電池に装備されているマニホルドに設けられマニホルドの水を排水するドレイン排水部と、凝縮部のドレイン排水部およびマニホルドのドレイン排水部のうちの少なくとも一方に接続されドレイン排水部の水を吐出させる排水シール手段とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
排水シール手段は、筒形状をなしており、
高さ方向に延設されシール用の水が溜まる第1集水通路と、第1集水通路に連通するように高さ方向に延設されシール用の水が溜まる第2集水通路と、第1集水通路および第2集水通路が互いに隣接するように且つ第1集水通路の底部と前記第2集水通路の底部とが連通するように第1集水通路および第2集水通路を仕切る仕切壁と、第1集水通路に連通すると共にドレイン排水部における水を受けて第1集水通路に流す受水口と、前記第2集水通路に連通すると共に第2集水通路内の水を吐出可能な吐水口と、ドレイン排水部側の圧力が過剰に増加したときにおいて吐水口からの水の過剰吐出を抑制する過剰吐出抑制手段とを有しており、
吐水口は大気に連通しており、受水口からの受水量が増加すると、吐水口から水を吐出させることを特徴とするものである。
【0008】
燃料電池発電システムではドレイン排水部に水が流れる。ドレイン排水部に流れた水は、受水口から第1集水通路に流れ、第1集水通路及び第2集水通路に溜まる。第1集水通路及び第2集水通路における水量が増加すると、吐水口から吐出される。第1集水通路及び第2集水通路は、当該通路に貯められた水でシールされているため、ドレイン排水部から気体が漏れることは抑えられる。ドレイン排水部側の圧力が過剰に増加したとき、過剰吐出抑制手段により、吐水口からの水の過剰吐出が抑制される。
【0009】
【発明の実施の形態】
(1)本発明に係る燃料電池発電システムによれば、燃料電池発電システムにおけるドレイン排水部に接続された排水シール手段が設けられている。排水シール手段はドレイン排水部の水を吐出させるものである。排水シール手段は、高さ方向に延設された第1集水通路と、第1集水通路に連通するように高さ方向に延設された第2集水通路と、第1集水通路に連通すると共にドレイン排水部における水を受けて第1集水通路に流す受水口と、第2集水通路に連通すると共に第2集水通路内の水を吐出可能な吐水口とをもつ。
【0010】
燃料電池発電システムにおけるドレイン排水部としては、水が溜まる部位であれば、どこに設けても良い。凝縮部のドレイン排水部、燃料電池に装備されているマニホルドのドレイン排水部等とする。
【0011】
排水シール手段は、前記ドレイン排水部側の圧力が過剰に増加したときにおいて前記吐水口からの水の過剰吐出を抑制する過剰吐出抑制手段を有する。過剰吐出抑制手段として、第1集水通路及び第2集水通路のうちの少なくとも一方に設けられた絞り孔を採用することができる。絞り孔は複数個設けることができる。この場合、水の流れにそって直列に設けても良いし、並列に設けても良い。
【0012】
第1集水通路の受水口及びドレイン排水部はそれぞれ複数設けられている実施形態を採用することができる。この場合、各受水口は複数のドレイン排水部にそれぞれ接続されている。また燃料電池から排出された発電後のオフガスが流れる凝縮部が設けられていることが好ましい。この場合、前記したドレイン排水部として、凝縮部のドレイン排水部を用いることができる。
【0013】
燃料電池は、これの酸化剤極(空気極)に酸化剤(酸素含有ガス、一般的には空気)を供給するマニホルド、及び、これの燃料極に燃料を供給するマニホルドを有することが好ましい。ドレイン排水部としては、酸化剤極のマニホルド及び燃料極のマニホルドのうちの少なくとも一方のドレイン排水部を用いることができる。更に燃料電池発電システムに各種の熱交換部が設けられている場合には、各熱交換部に設けられたドレイン排水部を用いても良い。
【0014】
(2)本発明に係る燃料電池発電システムは、燃料電池、改質部、燃焼部、原料水供給通路、燃焼部、凝縮部を有することが好ましい。燃料電池は燃料及び酸化剤ガスに基づいて発電するものであり、電池セルを積層した方式を例示できる。代表的な燃料としてはガス状、液体状の燃料を採用でき、炭化水素系等の燃料ガスが挙げられる。燃料ガスとしては、メタン、プロパン、ブタン等の少なくとも1種を主要成分とするガスを用いることができ、天然ガス、メタノール、ガソリン、バイオガスを例示することができる。燃料としては、燃料を改質した改質ガスである水素含有ガスを用いることができる。酸化剤としては空気などの酸素含有ガスを用いることができる。燃料電池は業務用、家庭用、定置用、車載用、固定式、可動式を問わない。蒸発部は、燃料と反応して改質ガスとしての水素含有ガスを生成する水蒸気を生成するために原料水を蒸発させるものである。原料水供給通路は、水源の原料水を蒸発部に供給するものであり、水源と蒸発部とを接続する。原料水は水蒸気を生成するための原料として機能する水であり、純度が高いものが好ましく、純水を例示できる。燃焼部は、燃料供給通路から供給された燃料を燃焼させるものであり、改質部で改質ガスを生成する熱源として用いることができる。凝縮部は、燃料電池から排出された発電後のオフガス(燃料極のオフガス、酸化剤極つまり空気極のオフガス)に含まれている水分を凝縮によりオフガスから低減させるものである。
【0015】
【実施例】
(全体構成)以下、本発明の第1実施例の全体構成について説明する。図1は定置形の燃料電池発電システムの概念図を示す。まず全体構成から説明する。本実施例に係る燃料電池発電システムは、図1に示すように、燃料としての燃料ガスと水蒸気とで改質反応を生じさせて発電に適する水素含有ガスを生成する改質部1と、水素含有ガスを生成する水蒸気を生成するために原料水を蒸発させる蒸発部2と、改質部1に熱交換部3を経て燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路(燃料供給通路)4と、改質部1で生成された水素含有ガスに含まれている一酸化炭素を除去するCO除去部5と、給水源としての水道管に接続された水源6(例えば水タンク)と、水源6と蒸発部2とを接続し水源6の原料水を蒸発部2に供給する原料水供給通路7とを有する。燃料ガスから発電に適する水素含有ガスを生成する改質系は、改質部1、蒸発部2、後述する燃焼部13で構成される。燃焼部13の熱は改質部1に伝達される。CO除去部5は、シフト反応により一酸化炭素を低減させるCOシフト部と、空気を用いて一酸化炭素を低減させるCO選択酸化部とを有するが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本実施例に係る燃料電池発電システムは、図1に示すように、酸素含有ガスとしての空気(酸化剤、酸化剤ガス)と水素含有ガスとで発電する燃料電池8と、改質部1で生成された水素含有ガスを弁9aを経て燃料電池8に供給する水素供給通路9(燃料供給通路)と、燃料電池8から排出された発電後の燃料極のオフガスを弁10a、燃料極側の凝縮部10、弁10cを経て流す燃料オフガス通路12と、燃料オフガス通路12に接続され燃料電池8の燃料極のオフガスを燃焼させる燃焼部13と、燃料ガス供給通路4と燃焼部13とを分岐部4mを介して接続すると共に燃料ガスを燃焼のために燃焼部13に供給する燃焼部連通路14と、燃料オフガス通路12において燃焼部13と燃料電池8との間に位置するように設けられた燃料極側の凝縮部10と、酸素含有ガスとしての発電用の空気を燃料電池8に供給する空気供給通路(酸化剤供給通路)16と、燃料電池8から排出された発電後の空気のオフガスを流して排出させる空気オフガス通路(酸化剤オフガス通路)18と、空気オフガス通路18に設けられた加湿部20とを有する。燃料電池8は高分子電解質型であり、プロトン伝導性高分子膜を電解質として用いたセルを複数積層したスタックで構成されている。
【0017】
図1に示すように、燃焼部連通路14には、燃料ガスを燃焼部13に向けて搬送するポンプ14pが設けられている。燃料ガス供給通路4から供給された燃料ガスは、燃焼部連通路14を経て燃焼部13に供給されて燃焼部13で燃焼されるため、燃焼部13が高温となる。よって、改質部1の温度を改質反応に適するように温度領域に維持することができ、ひいては改質系において水素含有ガスを効果的に発生させる。
【0018】
燃料ガス供給通路4の上流端は燃料ガス源15(都市ガスの配管)に接続されており、メタン、プロパン、ブタン等の少なくとも1種を主要成分とする燃料ガスを供給する。燃料ガス供給通路4には、2個並設された弁27,28からなる二連弁29,燃料ガス搬送用のポンプ4p、脱硫部4a、弁4b、合流部4cが設けられている。合流部4cは、燃料ガス供給通路4からの燃料ガスと蒸発部2で蒸発された水蒸気とを混合し、熱交換部3を介して改質部1に供給する。
【0019】
図1に示すように、空気供給通路16には空気清浄化用のフィルタ16a、空気搬送用のファン16b、空気加湿用の加湿部20が設けられている。加湿部20は、燃料電池8に供給する酸素含有ガスである空気を加湿する。燃料電池8の電解質膜が過剰に乾燥されると、燃料電池8の発電効率が低下するためである。原料水供給通路7には、原料水浄化用のフィルタ7a、弁7b、弁7c、原料水の浄化度を高める水精製装置7d、水源6、原料水搬送用のポンプ7f、開閉制御弁7hが設けられている。
【0020】
図1に示すように、燃料電池8の熱を奪う冷却水が流れる電池冷却通路22には、ポンプ22p、熱交換部23が設けられている。燃料電池発電システム全体で発生する熱を奪って湯として貯留する貯湯部26が設けられている。貯湯部26の吐出口26iから延設された熱交換通路31には、冷却水搬送用のポンプ31p、燃料側の凝縮部10が設けられており、更に適宜の部位に図略の複数の熱交換部が設けられている。従って貯湯部26から熱交換通路31を流れた冷却水は、燃料側の凝縮部10を経て、更に適宜の部位に設けた図略の複数の熱交換部を流れ、熱交換により加熱され、熱交換部23を経て、貯湯部26の吸入口26oに帰還する。このため、貯湯部26に貯留されている冷却水は熱を帯び、湯となる。貯湯部26の冷却水である湯は、他の用途への給湯源として利用できる。貯湯部26には給水源である水道から水が補給通路26kを経て補給される。
【0021】
(要部構成)さて図2は要部構成を示す。図2に示すように、燃料電池発電システムの構成要素である空気側の凝縮部60が空気オフガス通路18に設けられている。燃料電池8から排出され空気オフガス通路18を流れる空気のオフガスは、水分と共に熱を有する。熱の有効利用を図るため、空気オフガス通路18を流れる空気のオフガスは、凝縮部60の冷却通路60xを流れる冷却水と凝縮部60において熱交換される。このとき凝縮部60の室60mで結露が生じ、室60mで水が生成される。生成水は室60mの流路面積を制限するおそれがある。このため凝縮部60の底部にはドレイン排水部61が設けられている。ドレイン排水部61の下方には、ドレイン排水部61に溜まった水を吐出させる排水シール手段70が設けられている。排水シール手段70は、高さ方向に延設された第1集水通路71と、第1集水通路71の底部に連通するように高さ方向に延設された第2集水通路72と、第1集水通路71の上部に連通すると共に水を受けて第1集水通路71に流す受水口73と、第2集水通路72の上部に連通すると共に第2集水通路72内の水を吐出可能な吐水口74とをもつ。吐水口74は吐出通路79を経て生成水収集タンク80(貯水部)に接続されている。生成水収集タンク80は大気に連通する。
【0022】
図2に示すように、燃料電池発電システムの構成要素である燃料電池8の空気極側のマニホルド8fには、ドレイン排水部61Bが設けられている。ドレイン排水部61Bの下方には、ドレイン排水部61Bの水を吐出させる排水シール手段70Bが設けられている。排水シール手段70及び排水シール手段70Bは互いに独立している。排水シール手段70Bは、排水シール手段70と同様の構造であり、高さ方向に延設された第1集水通路71Bと、第1集水通路71Bの底部に連通するように高さ方向に延設された第2集水通路72Bと、第1集水通路71Bの上部に連通すると共に水を受けて第1集水通路71Bに流す受水口73Bと、第2集水通路72Bの上部に連通すると共に第2集水通路72B内の水を吐出可能な吐水口74Bとをもつ。吐水口74Bは吐出通路79を経て生成水収集タンク80に接続されている。
【0023】
ところで燃料電池発電システムの運転時には、燃料電池に供給される空気は、発電出力を高めるため、加湿部20で予熱及び加湿されている。このため燃料電池8の運転が継続されると、凝縮部60内で生成した水がドレイン排水部61に次第に溜まる。凝縮部60のドレイン排水部61に溜まった水は、受水口73から第1集水通路71に流れるため、排水シール手段70の第1集水通路71及び第2集水通路72に次第に溜まる。運転時には凝縮部60の室60mの内圧は、配管の圧損により外気よりもやや高い。故に第1集水通路71の水位は、一般的には、第2集水通路72の水位よりもやや低い。
【0024】
受水口73からの受水量が増加すると、第1集水通路71の水位及び第2集水通路72の水位が上昇する。第2集水通路72の水位が吐水口74の高さ位置に至ると、第2集水通路72に集水されていた水は吐水口74から吐出され、生成水収集タンク80に移し替えられる。このようにして凝縮部60の室60mに溜まった水を生成水収集タンク80に自動的に吐出することができる。ここで排水シール手段70の第1集水通路71及び第2集水通路72は、当該通路71,72に貯められた水でシールされているため、凝縮部60の室60mの空気が生成水収集タンク80側に漏れることは抑えられる。故に本実施例によれば、凝縮部60のドレイン排水部61におけるシール性を確保しつつ、ドレイン排水部61に溜まった水を良好に吐出することができ、凝縮部60の室60m等の流路を狭めることを防止することができ、空気の円滑流れに有利である。
【0025】
燃料電池8の運転が継続すると、燃料電池8の空気極側のマニホルド8fのドレイン排水部61Bにも水が次第に溜まる。ドレイン排水部61Bに溜まった水は、第2排水シール手段70Bの受水口73Bから第1集水通路71Bに流れるため、排水シール手段70Bの第1集水通路71B及び第2集水通路72Bに溜まる。第1集水通路71B及び第2集水通路72Bにおける水量が次第に増加すると、前述同様に、第2集水通路72Bの水は吐水口74Bから吐出され、生成水収集タンク80に移し替えられる。このようにして燃料電池8の空気極側のマニホルド8fのドレイン排水部61Bに溜まった水を生成水収集タンク80に吐出することができる。ここで排水シール手段70Bの第1集水通路71B及び第2集水通路72Bは、当該通路71B,72Bに貯められた水でシールされているため、空気極側のドレイン排水部61Bからの空気が生成水収集タンク80側に漏れることは抑えられる。故に、燃料電池8の空気極側のマニホルド8fのドレイン排水部61Bにおけるシール性を確保しつつ、ドレイン排水部61Bに溜まった水を良好に吐出することができ、燃料電池8の空気極側のマニホルド8fの流路を狭めることを防止することができる。
【0026】
燃料電池8に供給する空気の圧力は燃料電池発電システムの用途及び種類によって多少相違するものの、一般的には、0.5〜10KPa、殊に1〜3KPa程度である。このため9.8Pa≒1mmH2Oとすると、水柱に換算したとき、1KPa≒102mmH2O≒10cmH2Oのため、水柱の高さとしてはコンパクトで済む利点が得られる。しかも高価な開閉電磁バルブを設けずとも良く、コスト低廉にも有利である。
【0027】
なお、運転開始直後から排水シール手段70,70Bにおけるシール性を良好に維持させるためには、排水シール手段70の第1集水通路71及び第2集水通路72に水を予め供給しておくと共に、排水シール手段70Bの第1集水通路71B及び第2集水通路72Bに水を予め供給しておくが好ましい。
【0028】
(他の概念構成)
以下述べる他の概念構成は基本的には前記したが概念構成と同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下相違する部分を中心として説明する。同一機能を奏する部位には同一の符号を付する。
【0029】
図3は他の概念構成を示す。図3に示すように、燃料電池発電システムの構成要素である燃料電池8の燃料極側のマニホルド8kの底部には、ドレイン排水部61Cが設けられている。ドレイン排水部61Cの下方には、ドレイン排水部61Cの水を吐出させる排水シール手段70Cが設けられている。ドレイン排水部61Cに溜まった水は、排水シール手段70Cの受水口73Cから第1集水通路71Cに流れるため、排水シール手段70Cの第1集水通路71C及び第2集水通路72Cに溜まる。第1集水通路71C及び第2集水通路72Cにおける水量が次第に増加すると、第2集水通路72Cに集水された水は吐水口74Cから吐出され、生成水収集タンク80に移し替えられる。
【0030】
更に図3に示すように、燃料電池発電システムの構成要素である燃料極側の凝縮部10の底部に、ドレイン排水部61Dが設けられている。ドレイン排水部61Dの下方には、ドレイン排水部61Dの水を吐出させる排水シール手段70Dが設けられている。ドレイン排水部61Dに溜まった水は、排水シール手段70Dの受水口73Dから第1集水通路71Dに流れるため、排水シール手段70Dの第1集水通路71D及び第2集水通路72Dに溜まる。第1集水通路71D及び第2集水通路72Dにおける水量が次第に増加すると、第2集水通路72Dに集水された水は吐水口74Dから吐出され、生成水収集タンク80に移し替えられる。
【0031】
図4は実施例を示す。本実施例によれば、図4に示すように、排水シール手段70は縦長の円筒形状または縦長の角筒形状をなしており、高さ方向に延設された縦長の第1集水通路71と、縦長の第1集水通路71の底部に連通路71eを介して連通するように高さ方向に延設された第2集水通路72と、第1集水通路71の上部に連通すると共にドレイン排水部61の水を受けて第1集水通路71に流す縦向きの受水口73と、第2集水通路72の上部に連通すると共に第2集水通路72内の水を吐出可能な横向きの吐水口74とをもつ。縦長とは、高さ寸法が幅寸法、径寸法よりも大きい意味である。第1集水通路71及び第2集水通路72は互いに隣接しており、仕切壁71wにより仕切られているものの、一体化されている。第1集水通路71及び第2集水通路72は、図4に示すように、高さ方向において同じ位置に配置されており、底部同士が連通している。
【0032】
第2集水通路72内には複数の仕切壁72mが所定の間隔で複数設けられており、各仕切壁72mには、オリフィスなどの絞り孔72x,72y,72zが過剰吐出抑制手段として設けられている。絞り孔72x,72y,72zは第2集水通路72の長さ方向に沿って、つまり水の流れ方向にそって直列に3個形成されている。
【0033】
燃料電池発電システムの運転状況によっては、凝縮部60の室60mの圧力が変動することがある。凝縮部60の室60mの圧力が変動したときには、変動量の如何によっては、第2集水通路72の水位上昇に伴い水が吐水口74から過剰漏出されてしまうおそれがある。この場合、排水シール手段70における必要水量が確保されず、排水シール手段70におけるシール性を確保するのに好ましくない。この点本実施例によれば、第2集水通路72の通過流量を絞る絞り孔72x,72y,72zが形成されているため、凝縮部60の室60mの圧力が変動するときであっても、第2集水通路72に集水されている水の液面の昇降変動を抑えることができ、ひいては第2集水通路72の水が吐水口74から過剰漏出されてしまうことを抑えることができる。故に排水シール手段70における必要水量を確保するのに有利であり、排水シール手段70におけるシール性を確保するのに有利である。なお、絞り孔72x,72y,72zの数は3個に限定されず、1個でも、2個でも、4個でも良い。絞り孔72x,72y,72zの絞り径は適宜選択できる。複数の絞り孔72x,72y,72zにおいて、各絞り径は同一でも良いし、異径でも良い。水路の下流に向かうにつれて、絞り孔72x,72y,72zの絞り径を小さくしても良い。
【0034】
図5は第2実施例を示す。本実施例によれば図5に示すように、排水シール手段70Fの第1集水通路71の上部には複数の受水口73r,73s,73t,73u,73vが設けられている。各受水口73r,73s,73t,73u,73vは、燃料電池発電システムの複数の各種のドレイン排水部にそれぞれ個別に接続されている。排水シール手段70は各ドレイン排水部に共通するものである。
【0035】
図6は第3実施例を示す。本実施例によれば図6に示すように、排水シール手段70Hの第1集水通路71の流路面積よりも、第2集水通路72の流路面積は大きくされている。凝縮部60の室60mの圧力が変動したときであっても、第1集水通路71の水位の変動よりも、第2集水通路72の水位の変動は抑制され、第2集水通路72の水の過剰漏出は抑制される。また図7に示す第4実施例のように、排水シール手段70Kの第1集水通路71の流路面積を、第2集水通路72の流路面積よりも大きくしても良い。第1集水通路71における貯水性が確保される。
【0036】
図8は第5実施例を示す。本実施例によれば図8に示すように、排水シール手段70Lには、排水シール手段70の通路に連通する補給室88が大気連通孔と共に形成されている。第1集水通路71に集水された水は補給室88にも流入するため、補給室88に予備的に貯水することができる。燃料電池発電システムの運転状況によってドレイン排水部61の圧力が変動し、第2集水通路72の水が吐水口74から過剰漏出されるときであっても、補給室88に溜まっていた水を速やかに第1集水通路71、第2集水通路72に補給することができ、排水シール手段70におけるシール性を確保するのに有利である。補給室88としては、燃料電池発電システムのうちの適宜の貯水部位に連通して、そこから給水されることにしても良い。
【0037】
(その他)
本発明は燃料電池発電システムは上記した図1に示す配管系統を有する実施例に限定されるものではない。上記した実施例では燃料ガス源15は都市ガスの配管であるが、これに限らず、燃料ガスを装填したガスタンクでも良い。上記した実施例は定置用の燃料電池発電システムに適用しているが、これに限らず、車両に搭載される燃料電池発電システムに適用しても良い。この場合、排水シール手段70の高さ寸法を、ガス圧力に対応させることが好ましい。上記した実施例は高分子電解質形の膜を有する燃料電池発電システムに適用しているが、これに限られるものではない。燃料として燃料ガス(都市ガス等)を用いているが、これに限られるものではない。酸化剤である酸素含有ガスとして空気を用いているが、これに限られるものではない。図4に示す排水シール手段70は円筒形状または角筒形状をなしているが、これに限定されるものではない。その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0038】
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)各請求項または各付記項において、前記燃料電池の酸化剤極及び燃料極の少なくとも一方から排出された発電後のオフガスと冷却系統の冷却液とを熱交換させることにより前記オフガスの水分を低減させる凝縮部が設けられており、前記ドレイン排水部は、前記凝縮部のドレイン排水部であることを特徴とする燃料電池発電システム。凝縮部のドレイン排水部の排水に対処できる。
(付記項2)各請求項または各付記項において、前記燃料電池は、これの酸化剤極に酸化剤を供給するマニホルド、及び、これの燃料極に燃料を供給するマニホルドを有し、前記ドレイン排水部は、酸化剤極側のマニホルド及び燃料極側のマニホルドのうちの少なくとも一方のドレイン排水部であることを特徴とする燃料電池発電システム。燃料電池のマニホルドのドレイン排水部の排水に対処できる。
(付記項3)燃料及び酸化剤に基づいて発電する燃料電池と、燃料を前記燃料電池に供給する燃料供給通路と、酸化剤を前記燃料電池に供給する酸化剤供給通路と、燃料電池発電システムに設けられたドレイン排水部と、前記ドレイン排水部に接続され前記ドレイン排水部の水を吐出させる前記排水シール手段とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
前記排水シール手段は、高さ方向に延設された第1集水通路と、前記第1集水通路に連通するように高さ方向に延設された第2集水通路と、前記第1集水通路に連通すると共に前記ドレイン排水部における水を受けて前記第1集水通路に流す受水口と、前記第2集水通路に連通すると共に前記第2集水通路内の水を吐出可能な吐水口とを有することを特徴とする燃料電池発電システム。
(付記項4)各請求項または各付記項において、排水シール手段は縦長の筒形状に形成されていることを特徴とする燃料電池発電システム。水が少ないときでも、第1集水通路及び第2集水通路におけるシール性が確保される。ドレイン排水部におけるシール性を確保しつつ、燃料電池発電システムにおけるドレイン排水部に溜まった水を吐出することができる。
(付記項5)付記項3において、排水シール手段は、それぞれがドレイン排水部につながる複数の受水口をもつことを特徴とする燃料電池発電システム。排水シール手段を共通化できる。
(付記項6)各請求項または各付記項において、第1集水通路及び第2集水通路は底部同士が連通していることを特徴とする燃料電池発電システム。第1集水通路及び第2集水通路に溜まった水が少ないときでも、第1集水通路及び第2集水通路におけるシール性が確保される。第1集水通路及び第2集水通路の高さ寸法の過剰化を抑制できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池発電システムによれば、ドレイン排水部の水は、受水口から第1集水通路に流れるため、第1集水通路及び第2集水通路に溜まる。受水口からの受水量が増加すると、吐水口から吐出される。即ち、ドレイン排水部に溜まった水を吐出することができる。また第1集水通路及び第2集水通路は、当該通路に貯められた水でシールされているため、ドレイン排水部からの気体が漏れることは抑えられる。故に、ドレイン排水部におけるシール性を確保しつつ、燃料電池発電システムにおけるドレイン排水部に溜まった水を吐出することができ、流路を狭めることを防止することができる。ドレイン排水部側の圧力が過剰に増加したとき、過剰吐出抑制手段により、吐水口からの水の過剰吐出が抑制される。更に電磁バルブの開放により水を排出させる方式とは異なり、電力低減の面でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池発電システムの概念図である。
【図2】概念構成に係り、要部配管を示す構成図である。
【図3】概念構成に係り、要部配管を示す構成図である。
【図4】実施例に係り、排水シール手段の断面図である。
【図5】実施例2に係り、排水シール手段の断面図である。
【図6】実施例3に係り、排水シール手段の断面図である。
【図7】実施例4に係り、排水シール手段の断面図である。
【図8】実施例5に係り、排水シール手段の断面図である。
【符号の説明】
図中、4は燃料ガス供給通路(燃料供給通路)、16は空気供給通路(酸化剤供給通路)、10及び60は凝縮部、61はドレイン排水部、70は排水シール手段、71は第1集水通路、72は第2集水通路、72x,72y,72zは絞り孔(過剰吐出抑制手段)、73は受水口、74は吐水口を示す。
Claims (5)
- 燃料及び酸化剤に基づいて発電する燃料電池と、燃料を前記燃料電池に供給する燃料供給通路と、酸化剤を前記燃料電池に供給する酸化剤供給通路と、燃料電池発電システムに設けられ水を凝縮させる凝縮部と、前記凝縮部に設けられ前記凝縮部の水を排水するドレイン排水部と、前記燃料電池に装備されているマニホルドに設けられ前記マニホルドの水を排水するドレイン排水部と、前記凝縮部の前記ドレイン排水部および前記マニホルドの前記ドレイン排水部のうちの少なくとも一方に接続され前記ドレイン排水部の水を吐出させる前記排水シール手段とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
前記排水シール手段は、筒形状をなしており、
高さ方向に延設されシール用の水が溜まる第1集水通路と、前記第1集水通路に連通するように高さ方向に延設されシール用の水が溜まる第2集水通路と、前記第1集水通路および前記第2集水通路が互いに隣接するように且つ前記第1集水通路の底部と前記第2集水通路の底部とが連通するように前記第1集水通路および前記第2集水通路を仕切る仕切壁と、前記第1集水通路に連通すると共に前記ドレイン排水部における水を受けて前記第1集水通路に流す受水口と、前記第2集水通路に連通すると共に前記第2集水通路内の水を吐出可能な吐水口と、前記ドレイン排水部側の圧力が過剰に増加したときにおいて前記吐水口からの水の過剰吐出を抑制する過剰吐出抑制手段とを有しており、
前記吐水口は大気に連通しており、前記受水口からの受水量が増加すると、前記吐水口から水を吐出させることを特徴とする燃料電池発電システム。 - 請求項1において、前記過剰吐出抑制手段は、前記第1集水通路及び前記第2集水通路のうちの少なくとも一方に設けられた絞り孔であることを特徴とする燃料電池発電システム。
- 請求項1または請求項2において、前記排水シール手段の前記受水口は複数設けられており、且つ、前記ドレイン排水部は複数設けられており、各前記受水口は複数の前記ドレイン排水部にそれぞれ接続されていることを特徴とする燃料電池発電システム。
- 請求項1〜請求項3のうち一項において、前記第1集水通路の流路面積および第2集水通路の流路面積のうちの一方は、他方より大きくされていることを特徴とする燃料電池発電システム。
- 請求項1〜請求項4のうち一項において、前記排水シール手段には、排水シール手段の通路に連通する補給室が大気連通孔と共に形成されていることを特徴とする燃料電池発電システム。
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