JP4997804B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関し、詳しくは、フラッディングを防止した良好な運転を実現する燃料電池システムに関する。
近年、燃料電池の燃料極(水素極)に水素を多量に含む燃料ガスを供給するとともに、空気極に酸化剤ガスとしての空気を供給し、所定の電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得る燃料電池システムが知られている。このような燃料電池システムは、例えば車両の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
燃料電池システムに用いられる燃料電池としては、例えば車両に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプのものが知られている。この固体高分子タイプの燃料電池は、水素極と空気極との間に電解質膜として固体高分子電解質膜が設けられたものである。この固体高分子タイプの燃料電池においては、水素極にて水素ガスが水素イオンと電子とに分離する反応が生じ、空気極にて酸素ガスと水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。このとき、固体高分子電解質膜がイオン伝導体として機能し、水素イオンは固体高分子電解質膜を空気極に向かって移動することになる。
このような燃料電池システムの燃料電池内には、その発電原理上、発電に伴って生成された生成水が常に存在することになる。この生成水を燃料電池内から適切に排出させることができないと、固体高分子電解質膜付近での水分が過多となるフラッディングが生じ、燃料電池システムの安定した運転を阻害してしまうことになる。
そこで、燃料電池の発電時の電圧低下代に応じて、フラッディング解消運転を行う手法(特許文献1参照。)や、燃料電池システムの運転開始時に排水量を増大させる排水量増大処理モードとしてフラッディングの発生を防止し、燃料電池の運転停止時に水分量低減処理モードとしてフラッディング防止運転に相当する水分の排出運転を実行する手法(特許文献2参照。)が開示されている。
特開2004−152532号公報 特開2005−141950号公報
ところで、燃料電池システムには、燃料電池の燃料極に供給する水素ガスを有効に利用するために、水素ガスを循環させて利用する燃料電池システムがある。このような燃料電池システムにおいて、空気によって燃料極が置換された状態となっている運転停止時に水素ガス循環系内の温度が低下すると、系内の飽和した水蒸気が凝縮し液水として現出して水素ガス循環系内に残留してしまう。
このように、水素ガス循環系内に残留した滞留液水は、燃料電池システムの再運転に伴い、水素ガス循環系を循環して燃料電池の燃料極へと流入してしまう。これにより燃料電池の燃料極側においてフラッティング(アノードフラッティング)が生じ、燃料電池システムの安定運転を損なってしまうといった問題がある。つまり、このような水素ガス循環系を有する燃料電池システムでは、運転開始時(起動時)においてアノードフラッティングを発生してしまう可能性がある。
しかしながら、上述した特許文献1で開示されている手法は、フラッディング解消運転を燃料電池の電圧低下代に応じたフィードバック制御により、行っているため、燃料電池システムの運転開始時など、燃料電池から負荷への電力を取り出す前段において生ずるフラッディングを迅速に解消することが困難である。また、特許文献1では、フラッディング解消運転を燃料電池の電圧低下代に応じたフィードバック制御により、行っているため、急激に電圧低下してしまうような過渡的な運転に追従することができないといった問題もある。
また、特許文献2では、燃料電池システムの運転開始時にフラッディングの発生を防止する運転処理を実行するが、この処理を実行している期間中は、燃料電池から出力を取り出すことができないため、ユーザの運転開始要求に迅速に応答することができないといった問題がある。さらに、特許文献2では、燃料電池システムの運転停止時にもフラッディング防止運転に相当する水分の排出運転を実行するため、運転停止要求をしてから運転停止に要する時間が増加してしまい、ユーザの要求に迅速に応答することができないといった問題がある。
そこで、本発明は、上述した実情を鑑みて提案されたものであり、燃料電池システムの起動時において、出力取り出し時間を遅延することなく、フラッティングを確実に防止することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の燃料電池システムは、燃料電池の燃料極に燃料ガスを循環させて供給する燃料ガス循環供給系を有すると共に、前記燃料ガス循環供給系内の不純物ガスを排出する不純物ガス排出手段と、前記燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水を気液分離し回収する気液分離手段と、当該燃料電池システムの起動時に、前記不純物ガス排出手段によって燃料ガス循環供給系内の不純物ガスを排出しながら、前記燃料極へ燃料ガスを供給する際、前記燃料ガス循環供給系に備えられた循環ポンプの回転数を、所定の継続時間だけ、前記所定の継続時間経過直後の回転数よりも大きくすることにより、前記燃料ガス循環供給系内で循環させる燃料ガスの循環流量を、前記所定の継続時間だけ、当該燃料電池システムの起動に必要とされる循環流量よりも増加させた所定の循環流量とし、前記燃料ガス循環供給系内の圧力を、当該燃料電池システムの起動に必要とされる圧力よりも上昇させた所定の圧力とすることで、前記燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水を前記気液分離手段によって気液分離させて回収し、燃料ガス循環供給系外へと排出させる液水排出運転を行うよう制御する制御手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。

本発明によれば、燃料電池システムの起動時において、出力取り出し時間を遅延することなく、フラッティングを確実に防止することを可能とする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[燃料電池システムの構成]
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムの構成について説明をする。
図1に示すように、燃料電池システムは、燃料電池本体である燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10の燃料極であるアノード11に水素を供給する水素ガス循環供給系20と、燃料電池スタック10の酸化剤極であるカソード12に酸化剤ガスである空気ガスを供給する空気ガス供給系40と、発電により昇温した燃料電池スタック10を冷却液を循環させることで冷却する冷却系50と、燃料電池スタック10からの出力を取り出して負荷へと供給する図示しない出力系と、当該燃料電池システムの運転を統括的に制御するシステムコントローラ60とを備えている。
この燃料電池システムは、当該燃料電池システムの起動時において、出力取り出し時間を遅延することなく、起動時に発生するフラッティングを確実に防止することができる。
(燃料電池スタック10)
燃料電池スタック10は、発電単位である単セルを複数積層することで構成され、アノード11に燃料ガスとして供給される水素ガスと、カソード12に供給される空気ガス中の酸素の化学反応により発電する。例えば、燃料電池スタック10は、電解質として高分子電解質膜を用いた高分子電解質形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)などであり、単セルの構造が、高分子電解質膜の両側に触媒層をそれぞれ設け、燃料極、酸化剤極が形成されたMEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化されている。
燃料電池スタック10には、燃料電池スタック10内の温度を測定する温度センサ13が設けられている。温度センサ13で測定された燃料電池スタック10内の温度は、システムコントローラ60に出力される。さらに、燃料電池スタック10には、当該燃料電池スタック10を構成する単セルの各セル電圧を検出するセル電圧モニタ14が設けられている。セル電圧モニタ14で検出されたセル電圧は、システムコントローラ60に出力される。
なお、燃料電池スタック10のアノード11からは、発電に消費されなかった水素ガスがアノードオフガスとして排出され、カソード12からは、一部の酸素が消費され且つ発電により生成した水分を含んだカソードオフガスが排出される。
アノード11の出口には、アノードオフガスの一部を気液分離するセパレータ15が設けられている。セパレータ15で分離された液水は、ドレインタンク70で回収される。ドレインタンク70内には、水位センサ71が備えられており回収された液水の水位を検出する。水位センサ71によって検出された水位は、システムコントローラ60に出力され、システムコントローラ60によってドレインタンク70内の水位監視がなされる。
ドレインタンク70の排水口には、オリフィス72、システムコントローラ60により開閉制御がなされる排水弁73が設けられ、ドレインタンク70に回収された液水を排水する排水配管74が接続されている。システムコントローラ60は、水位センサ71で検出された水位が管理上限水位に達したことに応じて、排水弁73を開き、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力と、排水配管74の内部圧力との差圧を利用して回収された液水を排水する。なお、排水配管74より排水される液水の排水速度は、オリフィス72の径と上述した差圧とによって決まる。
(水素ガス循環供給系20)
水素ガス循環供給系20は、燃料ガスである水素ガスを貯蔵する高圧水素タンクといった水素ガス供給源21、水素ガス供給源21より供給される高圧水素ガスを減圧する水素ガス供給バルブ22、水素ガス圧力制御弁23が設けられ、水素ガス供給源21に貯蔵された水素ガスを燃料電池スタック10のアノード11に供給する水素ガス供給配管24と、アノード11の出口に設けられアノードオフガスを気液分離し、分離した液水を回収する気液分離装置25、パージ弁26が設けられ、アノード11の水素ガスに含まれる不純物ガスを排出する水素ガス排出配管27と、水素ガス排出配管27に接続され、水素ガスを循環させる水素ガス循環ポンプ28が設けられ、アノード11の水素ガスを循環させる水素ガス循環配管29と、水素ガス循環配管29を介して循環される水素ガスを水素ガス供給配管24へと合流させる合流部(エゼクタ等)30とを備えている。
この水素ガス循環供給系20では、通常、システムコントローラ60により、パージ弁26を閉じるように制御されるため、発電によって消費されなかった水素ガスであるアノードオフガスは、燃料電池スタック10のアノード11から排出され、水素ガス循環配管29を介して水素ガス供給配管24へと循環供給される。
水素ガス供給配管24には、アノード11に供給される水素ガスの圧力を測定する水素ガス入口圧力センサ31が設けられている。この水素ガス入口圧力センサ31によって測定された圧力は、システムコントローラ60に出力される。
気液分離装置25内には、水位センサ32が備えられており回収された液水の水位を検出する。水位センサ32によって検出された水位は、システムコントローラ60に出力され、システムコントローラ60によって気液分離装置25内の水位監視がなされる。
気液分離装置25の排水口には、オリフィス33、システムコントローラ60により開閉制御がなされる排水弁34が設けられ、気液分離装置25に回収された液水を排水する排水配管35が接続されている。システムコントローラ60は、水位センサ32で検出された水位が管理上限水位に達したことに応じて、排水弁34を開き、気液分離装置25の内部圧力と、排水配管35の内部圧力との差圧を利用して回収された液水を排水する。なお、排水配管35より排水される液水の排水速度は、オリフィス33の径と上述した差圧とによって決まる。
気液分離装置25は、上述したセパレータ15を介したドレインタンク70と共に、アノードオフガスを気液分離し液水を回収することで、水素ガス循環に伴い液水が再循環することを防止する。また、このように、気液分離装置25、ドレインタンク70にて液水を回収すると、水素ガス循環ポンプ28への液水流入によって発生する急激なトルク増加による水素ガス循環ポンプ28への悪影響も同時に防止することができる。
このような水素ガス循環供給系20では、水素ガス供給配管24に設けられた水素ガス入口圧力センサ31によって検出される水素ガス圧力に応じたシステムコントローラ60の制御により、水素ガス圧力制御弁23の開度を制御することで、水素ガス供給源21から水素ガス供給配管24を介して供給される水素ガスを、当該燃料電池システムが運転できる範囲で定められた所定の圧力に調節して燃料電池スタック10のアノード11へ供給する。
また、水素ガス循環供給系20では、システムコントローラ60の制御により、燃料電池スタック10のアノード11に供給する水素ガス流量を、出力電流に相当する反応水素ガス流量より当量比を大きくすることで、複数のセルで構成される燃料電池スタック10の各セルに不足なく水素ガスが供給できるようにされている。
さらにまた、発電を継続するにつれて、燃料電池スタック10のアノード11には、水素ガス以外の不純物ガス、例えば窒素などが蓄積され、水素濃度を減少させてしまう。水素濃度が減少すると発電効率の低下、燃料電池スタック10の劣化を招くので、システムコントローラ60は、水素ガス排出配管27に接続されたパージ弁26の開度を制御することで、水素ガス排出配管27を介して不純物ガスを排出するよう制御する。システムコントローラ60は、パージ弁26の開度制御を負荷(発電電流)の状態に応じて開閉時間を制御することで行う。
(空気ガス供給系40)
空気ガス供給系40は、吸入空気量を計測するエアフロメータ41、空気を圧縮して空気ガスとして供給するコンプレッサ42、圧縮され昇温した空気ガスを冷却系50の冷却液を用いて冷却するアフタークーラ43とが設けられ、燃料電池スタック10のカソード12に空気ガスを供給する空気ガス供給配管44と、空気ガス圧力制御弁45が設けられ、カソード12のカソードオフガスを排出する空気ガス排出配管46とを備えている。
また、空気ガス供給配管44と空気ガス排出配管46には、加湿装置47が設けられている。加湿装置47は、空気ガス供給配管44において、燃料電池スタック10のカソード12に供給する空気ガスを加湿する。また、加湿装置47は、水蒸気交換機能を有しており、カソード12から空気ガス排出配管46を介して排出されるカソードオフガス中に含まれる水分を、空気ガス供給配管44を介してカソード12に供給される空気ガスに移動させる。加湿装置47が備える水蒸気交換機能は、例えば、ポリイミドのような水分透過性が高い材料で形成された膜によって実現することができる。
このように、加湿装置47は、カソード12に供給する空気ガスを加湿することで、高分子電解質膜に水分供給をし、高分子電解質膜のイオン輸送能力を低下させることなく良好なイオン伝導性を保つように水分管理を行う。このように、加湿装置47によって水分管理がなされるカソード12に対し、アノード11では、カソード12側の水分がアノード11方向へ高分子電解質膜を介して逆拡散されることで加湿がなされる。アノード11側へと逆拡散した水分は、アノード11側にてバルクな液水として現出する。
このような空気ガス供給系40は、システムコントローラ60の制御により、コンプレッサ42の回転数を制御するなどして、空気ガスを燃料電池システムが運転できる範囲で定められた所定の圧力に調節して、燃料電池スタック10のカソード12へ空気ガス供給配管44を介して供給する。不要な空気ガスは、排出される空気ガスの圧力を制御することでカソード12に供給される空気ガスの圧力を制御する空気ガス圧力制御弁45が設けられた空気ガス排出配管46を介して排出される。
(冷却系50)
冷却系50は、冷却液を循環させる冷却液ポンプ51と、外気と冷却液との間で熱交換を行うラジエータ52と、ラジエータ52に補給する冷却液を貯蔵するリザーバタンク53と、燃料電池スタック10を通過し、冷却液を供給する冷却液供給配管54とを備えている。また、冷却液供給配管54には、燃料電池スタック10を冷却した冷却液をラジエータ52をバイパスして循環させるバイパス配管56が、三方弁55を介して接続されている。ラジエータ52を経由する冷却液の流量と、ラジエータ52をバイパスさせる冷却液の流量との割合は、システムコントローラ60により三方弁55の各弁の開度を制御することで任意に調節することができる。
また、冷却液供給配管54には、燃料電池スタック10で昇温された冷却液の温度を測定する冷却液温度センサ57が設けられている。冷却液温度センサ57で測定された冷却液の温度は、システムコントローラ60に出力される。なお、この冷却液温度センサ57で測定された冷却液の温度を、当該燃料電池システムにおける各処理において、燃料電池スタック10内の温度として用いるようにしてもよい。
システムコントローラ60は、燃料電池システムを統括的に制御する制御手段である。システムコントローラ60は、温度センサ13、水素ガス入口圧力センサ31、冷却液温度センサ57、水位センサ32、71などのセンサ類から出力された信号を読み込み、読み込んだ各種信号と内部に保有する制御ロジック(プログラム)とに基づき、運転指令に応じて最適な運転がなされるよう、水素ガス循環供給系20、空気ガス供給系40、冷却系50、図示しない出力系をそれぞれ制御する。
具体的には、システムコントローラ60は、燃料電池スタック10の発電中においてアノード11に供給する水素ガスの循環流量、圧力を、燃料電池スタック10での現在の発電電流、燃料電池スタック10が要求する水素ストイキ比、圧力によって決定する。
システムコントローラ60は、燃料電池システムの起動時において、出力取り出し時間を遅延することなく、起動時に発生するフラッティングを防止するようなフラッティング解消運転を実行する。このシステムコントローラ60によるフラッティング解消運転の制御処理については、後で詳細に説明をする。
また、システムコントローラ60には、当該システムコントローラ60で制御がなされる時間に起因する各処理を計時するタイマ61が接続されている。システムコントローラ60は、例えば、水素ガス循環供給系20の水素ガス循環ポンプ28の回転数を所定時間継続させる時間を、このタイマ61を参照することで計時することができる。
[燃料電池システムの起動時の動作]
続いて、このような構成の燃料電池システムにおいて、運転開始をする起動時に実行されるフラッティング解消運転について説明をする。
まず、燃料電池システムを起動させる前段の運転停止時における燃料電池システムの状態について説明をする。燃料電池システムが運転停止している状態では、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内は、水素ガスではなく空気によって置換されている。
上述したように、アノード11は、高分子電解質膜を介してカソード12から逆拡散により加湿がなされている。したがって、アノード11を含む水素ガス循環供給系20は、ほぼ飽和状態になっているため、温度が低下するような環境にさらされると、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内の水蒸気が凝縮して液水として現出してしまうことになる。
このように、燃料電池システムの運転停止時において、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内に現出した液水は、水素ガス循環供給系20内に残留する滞留液水(アノード液水)となり、次回、燃料電池システムを運転した際には、アノード11へと流入してしまい燃料電池システムの安定運転を損なうアノードフラッティングを発生させてしまう虞がある。
ところで、システムコントローラ60は、燃料電池システムの起動時において、アノード11に水素ガス供給源21より水素を供給すると共に、発電に必要な水素量を早急に確保するために、パージ弁26を開いて水素ガス循環供給系20内の一部のガスを排出し、水素ガス循環供給系20内のガスを強制的に水素に置換させる。これにより、比較的短時間で、水素ガス循環供給系20内の窒素などの不純物ガスを排出することができる。
システムコントローラ60は、このようなアノード11を含む水素ガス循環供給系20内の不純物ガスを排出して水素ガスへの置換を行う処理の際に、水素ガス循環供給系20内の水素ガス循環流量を所定の時間だけ継続的に増加させ、さらに圧力を上昇させ所定の時間だけ保持するよう制御することで、燃料電池システムの起動時において、出力取り出し時間を遅延することなく、起動時に発生するフラッティングを防止するフラッティング解消運転を実行することができる。
通常、起動時において、システムコントローラ60は、水素ガス供給時から水素ガス循環供給系20内の水素ガスによる置換を行う際、水素ガス循環供給系20外への不純物ガスの排出を促すように、水素ガス循環供給系20内を昇圧し、パージ弁26を開いて水素ガス循環供給系20内の窒素分圧を下げる。
このとき、システムコントローラ60は、図示しないメモリ内に初期値としてあらかじめ記憶されプリセットされた水素ガス循環流量の増加流量値、この増加流量値を用いた流量増加状態を継続させる継続時間値、水素ガス循環供給系20内の圧力上昇値を読み出す。そして、システムコントローラ60は、読み出した初期値を用いて、増加流量値に基づき水素ガス循環供給系20内の水素ガス循環流量を増加させ、継続時間値に基づく継続時間の間、増加状態を継続させ、圧力上昇値に基づき圧力を上昇させるよう運転制御をする。なお、圧力上昇値に基づき一旦上昇された水素ガス圧力は、積極的に減圧するように水素ガス圧力制御弁23を制御しない限り、継続時間値に基づき流量増加状態が継続されることに伴い、上昇状態がある程度保持されることになる。
このように、水素ガス循環供給系20内の水素ガス循環流量を増加させ、圧力を上昇させると、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内の滞留液水を良好に排出する液水排出運転(フラッティング解消運転)が実行されることになる。
つまり、システムコントローラ60は、燃料電池システムの起動時に実行される水素ガス循環供給系20内を水素ガスにて置換する水素ガス置換処理時に、図示しないメモリ内にプリセットした初期値に基づいた運転を実行することで、液水排出運転を同時に実行することができる。これにより、燃料電池システムの起動時において、残留液水を排出する運転を独立して実行する必要がなくなり、燃料電池スタック10からの出力取り出し時間の遅延を防止できる。
次に、図示しないメモリ内にあらかじめプリセットされた初期値である水素ガス循環流量の増加流量値、水素ガス循環供給系20内の圧力上昇値、流量増加状態を継続させる継続時間値について説明をする。
この初期値は、燃料電池スタック10のアノード11内の流路形状、面積、水素ガス循環ポンプ28の特性、水素ガス循環供給系20を構成する配管内面積、径などに応じて決まる値であり、実験などによってあらかじめ算出することになる。このとき、液水排出運転を伴う水素ガス置換処理を実行することで増加してしまう不純物ガスと共に排出されてしまう水素ガスの量を最小限としながら、液水排出運転を伴う水素ガス置換処理時間が、液水排出運転を伴わない水素ガス置換処理時間よりも長くなることがないように初期値を決定する。
具体的には、水素ガス循環供給系20内の循環流量は、水素ガス循環ポンプ28の回転数に依存しているため、増加流量値は、水素ガス循環ポンプ28の回転数(r1)として規定することになる。したがって、循環流量を増加させる流量増加状態を継続させる継続時間値としては、上述した水素ガス循環ポンプ28の回転数を継続させる継続時間(t1)として規定される。
また、水素ガス循環供給系20内の圧力上昇値は、水素ガス圧力制御弁23の開度を制御することで調節される水素ガスの目標圧力値(p1)である。システムコントローラ60は、水素ガス入口圧力センサ31によって検出される水素ガス圧力が、この目標圧力値となるよう水素ガス圧力制御弁23の開度を制御する。
つまり、図示しないメモリには、増加流量値として水素ガス循環ポンプ28の回転数(r1)が、継続時間値として継続時間(t1)が、圧力上昇値として目標圧力値(p1)が、初期値としてプリセットされ記憶される。
図2(a)乃至(e)に、燃料電池システムの起動時に液水排出運転を伴う水素ガス置換処理を実行した際の水素ガス循環供給系20内の圧力(kPa)、増加流量値として規定される水素ガス循環ポンプ28の回転数(rpm)、気液分離装置25の水位(mm)、ガス密度(kg/m3)、水素ガス循環供給系20内のガス濃度(vol%)の時間(sec)変化の様子をそれぞれ示す。なお、時間(sec)が“ゼロ”の状態は、燃料電池システムが運転停止している状態を示す。
システムコントローラ60は、運転停止されている燃料電池システムを起動する際、図示しないメモリに記憶された水素ガス循環ポンプ28の回転数(r1)と、水素ガス循環ポンプ28の回転数を継続させる継続時間(t1)、目標圧力値(p1)を読み出し、この値に基づき、図2(a)、(b)に示すように、水素ガス圧力制御弁23、水素ガス循環ポンプ28を制御する。
このとき、気液分離装置25、ドレインタンク70にて回収された滞留液水は、上述したように、水位センサ32、71で検出された水位が管理上限水位に達したことに応じて、システムコントローラ60が排水弁34、73を開き、気液分離装置25の内部圧力と排水配管35の内部圧力とのオリフィス33を介した差圧、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力と排水配管74の内部圧力とのオリフィス72を介した差圧を利用して排水される。図2(c)に、気液分離装置25、又はドレインタンク70で回収された滞留液水が、排出される様子を示す。
気液分離装置25、ドレインタンク70は、容量に制限があるため、この差圧を利用した排水処理が効率よくなされないと滞留液水を良好に回収することができないことになる。
本発明の実施の形態として示す燃料電池システムでは、水素ガス置換処理時に、図示しないメモリ内にプリセットした初期値に基づいた運転を実行することで、液水排出運転を同時に実行している。このような、起動時の処理により、水素ガス循環供給系20内の圧力及び窒素濃度は、図2(a)、図2(e)に示すように比較的高くなるため、図2(d)に示すようにガス密度も相対的に高くなる。したがって、上述したような差圧を利用した滞留液水の排出効率を高くすることができる。
このように、燃料電池システムは、燃料電池システムの起動時に実行される水素ガス置換処理時に、図示しないメモリ内に初期値としてあらかじめ記憶されプリセットされた水素ガス循環流量の増加流量値、この増加流量値を用いた流量増加状態を継続させる継続時間値、水素ガス循環供給系20内の圧力上昇値を用いた、フィードフォワード的な制御により液水排出運転を実行する。
また、システムコントローラ60は、起動時において、水素ガス循環供給系20内の水素ガスの循環流量を起動に必要とされるよりも増加させた所定の循環流量とし、水素ガス循環供給系20内の圧力を起動に必要とされるよりも上昇させた所定の圧力として液水排出運転を開始させ、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収した滞留液水の排水回数及び水位から積算量、又は積算量の時間変化を求め、求めた積算量又は積算量の時間変化のうち少なくとも1つ以上が所定の閾値以下となるまで液水排出運転を継続させるといった、フィードバック的な制御を行うようにしてもよい。
[回収した滞留液水を排出をするのに十分な差圧を確保できない場合の処理]
上述したように、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、気液分離装置25の内部圧力と排水配管35の内部圧力とのオリフィス33を介した差圧、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力と排水配管74の内部圧力とのオリフィス72を介した差圧を利用して、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収した滞留液水を良好に排水することができる。
しかしながら、気液分離装置25の内部圧力、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力は、燃料電池スタック10のアノード11の流路圧力損失、水素ガス循環供給系20の配管を構成する水素ガス供給配管24、水素ガス排出配管27、水素ガス循環配管29などによる圧力損失、水素ガス循環供給系20内のガス密度、水素ガス循環供給系20内圧力、水素ガス循環ポンプ28の回転数により決定される循環流量といった各種要素に依存しているため、例外的に、排水配管35、74内の圧力以下となってしまう場合がある。
例えば、起動時の圧力上昇(p1)後に圧力を保持することなく、水素ガス圧力制御弁23を制御して、燃料電池システムの運転圧をp1よりも小さくなるように調圧する一方で、水素ガス循環ポンプ28の回転数(r1)を増加させ、水素ガス循環ポンプ28の回転数増加を継続する継続時間(t1)を保持し、液水排出運転を実行する場合などである。この場合、気液分離装置25の内部圧力、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力は、例外的に、排水配管35、74の圧力以下となってしまう。
したがって、システムコントローラ60が、水位センサ32、71で検出された水位が管理上限水位に達したことに応じて、排水弁34、74を開くと排水配管35、74内の気体、又は液水などを、気液分離装置25、ドレインタンク70へと逆流させてしまうことになる。
ところで、燃料電池スタック10のアノード11の流路圧力損失、水素ガス循環供給系20の配管による圧力損失は、設計によって決まり一定であるため、水素ガス循環供給系20内のガス密度、水素ガス循環供給系20内圧力、水素ガス循環ポンプ28の回転数により決定される循環流量によって、気液分離装置25の内部圧力、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力が排水配管35、74の圧力以下となってしまうかどうかが決まる。
そこで、このように、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収した滞留液水を排出するのに十分な差圧を確保できない場合、システムコントローラ60は、図3に示すフローチャートのような処理動作を実行して、良好な液水排出運転を実現する。
まず、図3に示すフローチャートを実行する前段として、システムコントローラ60は、図示しないメモリ内に、水素ガスを供給開始してからの経過時間に対する水素ガス循環供給系内のガス密度ρ(t)を関数として、又は実験などにより事前に求めてテーブルとして保持している。
ステップS1において、システムコントローラ60は、燃料電池システムが起動されると、水素ガス入口圧力センサ31で測定された圧力値を、水素ガス循環供給系20内の圧力の代表値としてモニタすることを開始する。
ステップS2において、システムコントローラ60は、タイマ61で計時される水素ガスを供給開始してからの経過時間からガス密度ρ(t)を取得する。そして、システムコントローラ60は、取得したガス密度ρ(t)、水素ガス循環ポンプ28の回転数で決まる循環流量、既知である燃料電池スタック10のアノード11の流路圧力損失から、燃料電池スタック10のアノード11の流路での圧力低下分ΔPを算出する。
ステップS3において、システムコントローラ60は、ステップS1においてモニタを開始された水素ガス入口圧力センサ31で測定された圧力値から、ステップS2で算出したアノード11の流路での圧力低下分ΔPを減算して、燃料電池スタック10のアノード11の出口側に接続された気液分離装置25、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力である(P1−ΔP)を算出する。
ステップS4において、システムコントローラ60は、排水弁34、73と逆側の排水配管35、74内の圧力をP2とし、ステップS3で算出した気液分離装置25、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力である(P1−ΔP)と、P2とを比較する。なお、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収された液水を大気中へ排水する場合、P2は大気圧となる。
システムコントローラ60は、気液分離装置25、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力である(P1−ΔP)が、排水弁34、73と逆側の排水配管35、74内の圧力であるP2よりも大きい場合、ステップS5へと処理を進め、(P1−ΔP)がP2以下の場合、ステップS6へと処理を進める。
ステップS5において、システムコントローラ60は、(P1−ΔP)がP2よりも大きいことに応じて、気液分離装置25の内部圧力と排水配管35の内部圧力とのオリフィス33を介した差圧、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力と排水配管74の内部圧力とのオリフィス72を介した差圧が正常であり、回収された滞留液水が、水素ガス循環供給系20へと逆流することなく良好に排水できるとして、排水弁34、73を開くように制御する。
ステップS6において、システムコントローラ60は、(P1−ΔP)がP2以下であることに応じて、気液分離装置25の内部圧力と排水配管35の内部圧力とのオリフィス33を介した差圧、セパレータ15及びドレインタンク70の内部圧力と排水配管74の内部圧力とのオリフィス72を介した差圧が正常ではなく、回収された滞留液水が、水素ガス循環供給系20へと逆流してしまう虞があることから、排水弁34、73を開くことなく閉じたままとなるよう制御する。
なお、図3に示したフローチャートによる処理に替えて、水素ガスの供給を開始してからの経過時間に依存して変化するガス密度ρ(t)を、液水排出運転開始時のガス密度ρ(t0)で一定として、処理を簡略化するようにしてもよい。
この場合、水素ガス入口圧力センサ31で測定される圧力値、水素ガス循環ポンプ28の回転数に閾値を設定して、システムコントローラ60が、水素ガス入口圧力センサ31で測定される圧力値が閾値α以下となり、水素ガス循環ポンプ28の回転数が閾値β以上となった場合に、排水弁34、73を開くことがないように制御することで、気液分離装置25、ドレインタンク70内に回収された滞留液水を水素ガス循環供給系20へと逆流させることなく良好に排水することができる。
さらに、簡略化する場合は、循環流量を制御する水素ガス循環ポンプ28の回転数(r1)、目標圧力値(p1)、循環流量の継続時間(t1)といった初期値を、逆流が生じないように事前に実験にて求めた実験初期値とし、システムコントローラ60は、この実験初期値にて液水排出運転を実行すると共に、排水弁34、27の開閉制御を水素ガス循環ポンプ28の回転数、水素ガス入口圧力センサ31で測定される圧力値に応じて制御するようにする。
[初期値の補正処理]
上述したように、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、燃料電池システムの起動時に実行される水素ガス置換処理時に、図示しないメモリ内に初期値としてあらかじめ記憶されプリセットされた水素ガス循環流量の増加流量値、この増加流量値を用いた流量増加状態を継続させる継続時間値、水素ガス循環供給系20内の圧力上昇値を用いた、フィードフォワード的な制御により液水排出運転を実行する。
この初期値は、燃料電池システムの水素ガス循環供給系20のハードウェア構成などに基づきあらかじめ求められてメモリにプリセットされた値であるため、この初期値を用いた液水排出運転だけでは、様々な環境下、条件下におかれ運転がなされる燃料電池システムの水素ガス循環供給系20内に滞留する滞留液水を排水できない場合がある。
そこで、水素ガス循環供給系20内に滞留している滞留液水が、この初期値を用いた液水排出運転によっても排出できないと推定される場合や、この初期値を用いた液水排出運転を実行したにも拘わらずアノードフラッティングが検出されてしまった場合、初期値を、滞留液水の排出を促進する方向に補正し、補正した補正初期値を用いた制御により液水排出運転を実行するようにする。
(液水排出運転によって排出できないと推定される場合の処理)
液水排出運転によって滞留液水を排出できるかできないかどうかは、水素ガス循環供給系20内に滞留している滞留液水量を推定することで判断することができる。
例えば、システムコントローラ60は、滞留液水を回収する気液分離装置25、ドレインタンク70にそれぞれ備えられている水位センサ32、71で、燃料電池システムの運転が停止している状態で検出される値から、水素ガス循環供給系20内に滞留している滞留液水量を推定し、起動時に実行する液水排出運転によってこの滞留液水を排出することができるかどうかを判断することができる。
図4(A)に示した気液分離装置25の水位(mm)は、初期値を決定する際に設定した燃料電池システムのおかれる環境、水素ガス循環供給系20の条件で、液水排出運転を実行した際に水位センサ32で検出される水位変化を示している。
起動時に実行する液水排出運転によって滞留液水を排出することができるかどうかを判断するには、まず、このように変化する気液分離装置25の水位の変化率を標準値Aとして、実験や演算などにより事前に求めておき、システムコントローラ60の図示しないメモリに記憶させておく。標準値Aは、所定の時間間隔で複数求めておく。
図4(B)に示した気液分離装置25の水位(mm)は、実際に燃料電池システムを起動させ初期値を用いて液水排出運転を実行した際に水位センサ32で検出される水位変化を示している。システムコントローラ60は、燃料電池システムを起動し、初期値を用いた液水排出運転を開始したことに応じて、事前に標準値Aを求めたのと同じ時間間隔で互いに対応するように水位の変化率Bをリアルタイムで算出していく。
そして、システムコントローラ60は、変化率Bと、変化率Bに対応する標準値Aとの差分を算出し、その大小関係を求める。システムコントローラ60は、“変化率B−標準値A”の値が、ゼロより大きい場合(変化率B−標準値A>0)、非常に速いペースで滞留液水が回収されているため、あらかじめプリセットされた初期値による液水排出運転では、滞留液水を排出することができないとして、初期値のうち少なくとも1つを滞留液水の排出を促進させる方向に補正をする。
例えば、循環流量を増量する方向に補正し、圧力保持するように補正し、循環流量継続時間を増加方向に補正することで、滞留液水の排出を促進させることができる。補正する初期値としては、少なくとも1つを補正すれば十分であるが、例えば、初期値を1つ補正しただけでは、滞留液水を排出することができないというような状況によっては、任意の2つ以上の初期値を補正するようにしてもよい。
これにより、初期値による液水排出運転では、間に合わないと推定される場合であっても、アノードフラッティングの発生を事前に抑制することができる。
図4(A)に示す水素ガス循環ポンプ28の回転数(rpm)の時間変位は、補正前の初期値(循環流量の継続時間:t1)を用いた場合の様子を示している。これに対し、図4(B)に示す水素ガス循環ポンプの回転数(rpm)の時間変位は、補正前の循環流量継続時間t1をt2(t2>t1)に補正した様子を示している。
図5(A)に示す水素ガス循環ポンプ28の回転数(rpm)の時間変位は、補正前の初期値(回転数:r1)を用いた場合の様子を示している。これに対し、図5(B)に示す水素ガス循環ポンプ28の回転数(rpm)の時間変位は、補正前の回転数r1をr2(r2>r1)に補正した様子を示している。
図6(A)に示す水素ガス循環供給系20内の圧力(kPa)の時間変位は、補正前の初期値(目標圧力値:p1)を用いた場合の様子を示している。これに対し、図6(B)に示す水素ガス循環供給系20内の圧力(kPa)の時間変位は、補正前の圧力p1をp2(p2>p1)とし、保持時間t3の間、圧力を保持するように補正した様子を示している。
初期値を補正した補正初期値は、例えば、変化率B−標準値Aの差分に比例する係数を補正係数として、初期値に乗算することで求めることができる。
また、このような処理に替えて、事前に、水素ガス循環供給系20内の滞留液水量と、液水排出運転時の水位センサ32の変化率との関係を実験的に求め、システムコントローラ60の図示しないメモリ内にテーブルとして保持しておくようにしてもよい。システムコントローラ60は、液水排出運転をした際に検出される水位センサ32の検出値から変化率を求め、保持しているテーブルの変化率と滞留液水量との関係から初期値を適宜補正するようにしてもよい。
上述した例では、滞留液水量の推定を、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収される滞留液水の水位変化のみで行っているが、これに替えて、システムコントローラ60は、燃料電池スタック10内の温度を用いて滞留液水量を推定することもできる。
まず、システムコントローラ60は、燃料電池システムが運転停止した際の燃料電池スタック10内の温度を測定し保持しておき、燃料電池システムの起動時に測定した燃料電池スタック10内の温度との比較結果から、温度と飽和水蒸気量との関係を用いて、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内に凝縮して現出する滞留液水量を推定する。そして、システムコントローラ60は、推定した滞留液水量が、初期値を用いた液水排出運転によって排出することができない量である場合に初期値の補正を行う。
また、システムコントローラ60は、タイマ61で計時される時間を参照して、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収した液水の排出間隔を算出することで滞留液水量を推定することもできる。
まず、システムコントローラ60は、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収した液水を排出するために排水弁34、73を開くよう制御したタイミングにおいてタイマ61で計時された時間を図示しないメモリに毎回記憶していく。そして、システムコントローラ60は、図示しないメモリに記憶した時間の間隔に応じて、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内に凝縮して現出する滞留液水量を推定する。例えば、基準となる液水の排出間隔と滞留液水量との関係を実験などによりあらかじめ取得しておき、システムコントローラ60は、図示しないメモリに記憶した時間の間隔を用いて、基準となる液水の排出間隔と滞留液水量との関係を参照し滞留液水量を推定する。
そして、システムコントローラ60は、推定した滞留液水量が、初期値を用いた液水排出運転によって排出することができない量である場合に初期値の補正を行う。
(初期値を用いた液水排出運転の実行中にフラッティングが検出される場合の処理)
燃料電池スタック10は、起動直後において、取り出し可能な電流に制限がある。
例えば、燃料電池システムの水素ガス循環供給系20において、水素ガス置換の初期段階にあり不純物が相当量存在する時間帯では、取り出すことができる電流には上限がある。また、燃料電池スタック10の温度が低い時間帯でも、取り出すことができる電流に上限がある。このように、取り出し可能な電流の上限に応じて、システムコントローラ60は、取り出し制限を行うことで、セル電圧の低下などを防止することができる。
まず、燃料電池システムの水素ガス供給循環系20において、水素ガス置換の初期段階にあり不純物が相当量存在する時間帯における処理について説明をする。
例えば、燃料電池システムを車両に搭載する場合など、水素ガスの供給が開始されてから、燃料電池スタック10で発電された出力を比較的短時間に取り出す場合がある。これは、図2を用いて説明した起動時の処理において、水素ガス循環供給系20内の水素ガス置換が終了する前の、窒素といった不純物が相当量存在する状態で出力を取り始める場合に相当する。
燃料電池スタック10から取り出し可能な電流は、水素ガス循環供給系20内の窒素に代表される不純物ガスの濃度に依存して制限される。そこで、計算や実験などにより、事前に水素ガスの供給を開始してからの経過時間に対して取り出し可能な電流値を求めておき、水素ガス循環供給系20内の不純物ガスが系外に排出されるまで、求めた取り出し可能な電流値を電流上限値として運転時の電流の取り出しを制限することで、燃料電池スタック10のセル電圧が水素ガス不足にて低下してしまうことを防止することができる。
ところで、このように取り出し可能な電流に制限がある燃料電池システムの起動直後の液水排出運転が終了していない時点で、電流の取り出しなどが行われると燃料電池スタック10のアノード11側でアノードフラッティングを生じてしまう場合がある。このような場合、上述した初期値を用いた液水排出運転では、対応することができない虞がある。
そこで、システムコントローラ60は、燃料電池システムの起動直後の液水排出運転の終了していない時点において、燃料電池スタック10内で発生するアノードフラッティングを検出し、初期値を補正することで確実な液水排水処理を実行するようにする。
システムコントローラ60は、アノードフラッティングを検出するために、まず、上述した電流上限値以下の電流値と、燃料電池スタック10がフラッティングを起こすことなく正常に発電した際の燃料電池スタック10を構成する複数のセルの理論的なセル電圧である平均セル電圧とを1対1で対応付けた第1の負荷制限マップを事前に図示しないメモリ内に設定しておく。
そして、システムコントローラ60は、燃料電池システムが起動されると、水素ガス置換処理時に初期値を用いた液水排出運転を実行する。
このとき、システムコントローラ60は、セル電圧モニタ14で検出される燃料電池スタック10を構成する各セルの実電流に対する実セル電圧と、第1の負荷制限マップから求められる平均セル電圧値の値とを比較し、アノードフラッティングが発生しているかどうかを判断する。
システムコントローラ60は、第1の負荷制限マップから求められる平均セル電圧値の例えば、80パーセント以下となる実セル電圧が存在した場合に、アノードフラッディングが発生していると判断する。
システムコントローラ60は、アノードフラッティングが検出されたが、既に液水排出運転が終了してしまっている場合には、再度、液水排出運転を実行することで発生したアノードフラッティングを抑制する。
また、システムコントローラ60は、液水排出運転が終了していない段階で電流の取り出しが行われ、アノードフラッティングを検出した場合、増加流量値(回転数:r1)、圧力上昇値(目標圧力値:p1)、循環流量を継続させる継続時間(継続時間:t1)といった初期値に対して、少なくとも一つを補正して液水排出運転を継続するよう制御することで、発生したアノードフラッディングを抑制する。
続いて、燃料電池スタック10の温度が低い時間帯での処理について説明をする。燃料電池システムの起動直後は、燃料電池スタック10内の温度が低いため、取り出し可能な電流が、この燃料電池スタック10内の温度によって制限されることになる。そこで、計算や実験などにより、事前に燃料電池スタック10内の温度に対して取り出し可能な電流値の上限値である電流上限値を求めておき、求めた取り出し可能な電流上限値で運転時の電流の取り出しを制限することで、燃料電池スタック10のセル電圧が通常運転時よりも低下してしまうことを防止することができる。
ところで、このように燃料電池スタック10の温度が低い燃料電池システムの起動直後の液水排出運転が終了していない時点で、電流の取り出しなどが行われると燃料電池スタック10のアノード11側でアノードフラッティングを生じてしまう場合がある。このような場合、上述した初期値を用いた液水排出運転では、対応することができない虞がある。
そこで、システムコントローラ60は、燃料電池システムの起動直後の液水排出運転の終了していない時点において、燃料電池スタック10内で発生するアノードフラッティングを検出し、初期値を補正することで確実な液水排水処理を実行するようにする。
システムコントローラ60は、アノードフラッティングを検出するために、まず、上述した電流上限値以下の電流値と、燃料電池スタック10がフラッティングを起こすことなく正常に発電した際の燃料電池スタック10を構成する複数のセルの理論的なセル電圧である平均セル電圧とを1対1で対応付けた第2の負荷制限マップを事前に図示しないメモリ内に設定しておく。
そして、システムコントローラ60は、燃料電池システムが起動されると、水素ガス置換処理時に初期値を用いた液水排出運転を実行する。
このとき、システムコントローラ60は、セル電圧モニタ14で検出される燃料電池スタック10を構成する各セルの実電流に対する実セル電圧と、第2の負荷制限マップから求められる平均セル電圧値の値とを比較し、アノードフラッティングが発生しているかどうかを判断する。
システムコントローラ60は、第2の負荷制限マップから求められる平均セル電圧値の例えば、80パーセント以下となる実セル電圧が存在した場合に、アノードフラッディングが発生していると判断する。
システムコントローラ60は、アノードフラッティングが検出されたが、既に液水排出運転が終了してしまっている場合には、再度、液水排出運転を実行することで発生したアノードフラッティングを抑制する。
また、システムコントローラ60は、液水排出運転が終了していない段階で電流の取り出しが行われ、アノードフラッティングを検出した場合、増加流量値(回転数:r1)、圧力上昇値(目標圧力値:p1)、循環流量を継続させる継続時間(継続時間:t1)といった初期値に対して、少なくとも一つを補正して液水排出運転を継続するよう制御することで、発生したアノードフラッディングを抑制する。
また、システムコントローラ60は、水素ガス循環供給系20内の不純物量に依存した第1の負荷制限マップと燃料電池温度に依存した第2の負荷制限マップの2つを図示しないメモリ内にあらかじめ設定し、2つのマップから得られる平均セル電圧の低い方を基準平均セル電圧値として、アノードフラッティングの検出に用いることで、より確実な検出処理を実現することができる。
具体的には、システムコントローラ60は、セル電圧モニタ14で検出される燃料電池スタック10を構成する各セルの実電流に対する実セル電圧と、基準平均セル電圧値とを比較し、アノードフラッティングが発生しているかどうかを判断する。システムコントローラ60は、基準平均セル電圧値の例えば、80パーセント以下となる実セル電圧が存在した場合に、アノードフラッディングが発生していると判断する。
[管理下限水位までの排水処理]
ところで、燃料電池システムの運転停止時の条件によっては、気液分離装置25、ドレインタンク70の水位が、管理上限水位に近い状態で燃料電池システムが停止する場合がある。
また、燃料電池システムの運転停止中において、外的条件などによって、アノード11を含む水素ガス循環供給系20内で凝縮され現出する滞留液水が多くなってしまう場合がある。このように、滞留液水が多くなると、気液分離装置25、ドレインタンク70の水位によっては、十分回収することができない虞がある。
そこで、システムコントローラ60は、燃料電池システムを起動し、液水排出運転を開始する前に、気液分離装置25、ドレインタンク70内に回収され残存している滞留液水を管理下限水位となるまで排水するよう制御する。
これにより、気液分離装置25、ドレインタンク70は、液水排出運転が開始される前に、十分な気液分離能力を確保できるため、アノード11を含む水素ガス循環供給系20に過剰な滞留液水が現出したとしても、確実に回収することができるため滞留液水を再循環させてしまうことを防止できる。
また、気液分離装置25、ドレインタンク70内に過剰な滞留液水が流入した場合でも、水位センサ32、74による水位変動を良好に検出することができるため、上述した初期値の補正を誤差なく確実に実行することができる。
このような、気液分離装置25、ドレインタンク70の管理下限水位までの排水処理は、図7(a)乃至図7(d)に示すように、燃料電池システムを起動した際の水素ガス循環供給系20内の圧力を昇圧させる過程で行うようにする。これにより、気液分離装置25、セパレータ15及びドレインタンク70内の圧力と、排水配管35、74内の圧力のオリフィス33、72を介した差圧を、それぞれ水素ガス循環供給系20内へと滞留液水を逆流させることなく良好な排水がなされるように確保することができる。また、滞留液水の排出速度を速くすることができるため、気液分離装置25、ドレインタンク70内に残存する滞留液水の水位を、起動時間を延長することなく短時間で管理下限水位まで下げることができる。
[発明の実施の形態の効果]
このように、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、燃料電池システムの起動時に、水素ガス循環供給系20内の不純物ガスを排出しながら、アノード11へ水素ガスを供給する際、システムコントローラ60の制御により、水素ガス循環供給系20内で循環させる水素ガスの循環流量を、所定の継続時間だけ、燃料電池システムの起動に必要とされる循環流量よりも増加させた所定の循環流量とし、水素ガス循環供給系20内の圧力を、燃料電池システムの起動に必要とされる圧力よりも上昇させた所定の圧力とすることで、水素ガス循環供給系20内で凝縮された液水を気液分離させて回収し、水素ガス循環供給系20外へと排出させる液水排出運転を行うよう制御する。
これにより、燃料電池システムの起動時から発電初期にかけてのアノード11側で発生するアノードフラッティングを防止することができる。また、燃料電池システムの起動時の不純物ガス排出過程にて液水排出運転を実行するため、滞留液水の回収効率を高めることができ、液水排出運転を実行することによる出力の取り出し時間の遅延も回避することができる。さらに、燃料電池システムの停止前に液水排出運転を実行する必要がなくなる。
また、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、システムコントローラ60により、気液分離装置25、セパレータ15及びドレインタンク70の内外の圧力差に応じて、水素ガス循環供給系20外へと回収した液水を排出するかどうかを判断するため、滞留液水を排出するのに十分な差圧を確保できない場合に滞留液水を排出する処理を停止でき、水素ガス循環供給系20内への滞留液水の逆流を防止することができる。
また、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、システムコントローラ60により、水素ガス循環供給系20内で凝縮される滞留液水量を推定し、所定の循環流量、所定の圧力、所定の継続時間のうち少なくとも1つを補正し、補正した補正初期値で液水排出運転を実行する。
これにより、様々な環境下、条件下におかれ運転がなされる燃料電池システムの水素ガス循環供給系20内に滞留する液水量が急に増加した場合などであっても、臨機応変に対応した液水排出運転を実行することで、アノードフラッティングを確実に防止することができる。
また、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、液水排出運転が終了していない段階で、システムコントローラ60により、アノード11側で発生したフラッティングが検出されたことに応じて、所定の循環流量、所定の圧力、所定の継続時間のうち少なくとも1つを補正し、補正した補正初期値で液水排出運転を実行する。
これにより、様々な環境下、条件下におかれ運転がなされる燃料電池システムの水素ガス循環供給系20内に滞留する液水量が、初期値による排水運転だけでは間に合わない場合などであっても、確実に液水排出運転を実行し、アノードフラッティングを確実に防止することができる。
さらに、本発明の実施の形態として示す燃料電池システムは、起動時における液水排出運転を行う前に、システムコントローラ60により、気液分離装置25、ドレインタンク70で回収された滞留液水の水位が管理下限水位となるまで、水素ガス循環供給系20外へと排水させるよう制御する。
これにより、気液分離装置25、ドレインタンク70の液水回収能力を十分確保することができるため、液水排出運転により滞留液水の回収を確実に実行することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態として示す燃料電池システムの構成について説明するための図である。 前記燃料電池システムによる初期値を用いた液水排出運転の一例を示した図である。 前記燃料電池システムにおいて、液水排出時に十分な差圧を確保できない場合での液水排出動作について説明するためのフローチャートである。 前記液水排出運転において用いる初期値を補正する処理について説明するための図である。 前記液水排出運転において用いる初期値を補正する別な例を示した図である。 前記液水排出運転において用いる初期値を補正するさらに別な例を示した図である。 前記液水排出運転前に実行する排水処理について説明するための図である。
符号の説明
10 燃料電池スタック
11 アノード
14 セル電圧モニタ
15 セパレータ
20 水素ガス循環供給系
21 水素ガス供給源
22 水素ガス供給バルブ
23 水素ガス圧力制御弁
24 水素ガス供給配管
25 気液分離装置
26 パージ弁
27 水素ガス排出配管
28 水素ガス循環ポンプ
29 水素ガス循環配管
31 水素ガス入口圧力センサ
32 水位センサ
33 オリフィス
34 排水弁
35 排水配管
40 空気ガス供給系
60 システムコントローラ
61 タイマ
70 ドレインタンク
71 水位センサ
72 オリフィス
73 排水弁
74 排水配管

Claims (12)

  1. 燃料電池の燃料極に燃料ガスを循環させて供給する燃料ガス循環供給系を有する燃料電池システムにおいて、
    前記燃料ガス循環供給系内の不純物ガスを排出する不純物ガス排出手段と、
    前記燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水を気液分離し回収する気液分離手段と、
    当該燃料電池システムの起動時に、前記不純物ガス排出手段によって燃料ガス循環供給系内の不純物ガスを排出しながら、前記燃料極へ燃料ガスを供給する際、
    前記燃料ガス循環供給系に備えられた循環ポンプの回転数を、所定の継続時間だけ、前記所定の継続時間経過直後の回転数よりも大きくすることにより、前記燃料ガス循環供給系内で循環させる燃料ガスの循環流量を、前記所定の継続時間だけ、当該燃料電池システムの起動に必要とされる循環流量よりも増加させた所定の循環流量とし、
    前記燃料ガス循環供給系内の圧力を、当該燃料電池システムの起動に必要とされる圧力よりも上昇させた所定の圧力とすることで、
    前記燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水を前記気液分離手段によって気液分離させて回収し、燃料ガス循環供給系外へと排出させる液水排出運転を行うよう制御する制御手段とを備えること
    を特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記気液分離手段は気液分離した液水を大気中に排出するものであり、
    前記気液分離手段の内外の圧力を取得する圧力取得手段を備え、
    前記制御手段は、前記圧力取得手段によって取得された前記気液分離手段の内外の圧力に応じて、前記気液分離手段で気液分離された液水を前記燃料ガス循環供給系外へと排出させるかどうかを判断すること
    を特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料ガス循環供給系内で凝縮される液水量を推定する液水量推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記液水量推定手段によって推定された液水量に基づき、
    前記所定の循環流量、前記所定の圧力、前記所定の継続時間のうち少なくとも1つを補正すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記気液分離手段で気液分離され回収された液水の水位を検出する第1の水位検出手段を備え、
    前記液水量推定手段は、前記第1の水位検出手段で検出された液水の水位から求めた水位変化率に基づき、前記燃料ガス循環供給系内で凝縮される液水量を推定すること
    を特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池内の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記液水量推定手段は、前記温度検出手段で検出された当該燃料電池システムの運転停止時の燃料電池内の温度と、前記温度検出手段で検出された当該燃料電池システムの起動時の燃料電池内温度とに基づき、前記燃料電池の温度と飽和水蒸気量との関係を用いて前記燃料ガス循環供給系内で凝縮される液水量を推定すること
    を特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  6. 前記気液分離手段によって気液分離されて回収され、燃料ガス循環供給系外へと排出させる前記燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水の排出間隔を測定する排出間隔測定手段を備え、
    前記液水量推定手段は、前記排出間隔測定手段によって測定された燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水の排出間隔に基づき、前記燃料ガス循環供給系内で凝縮される液水量を推定すること
    を特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池の燃料極側で発生するフラッティングを検出するフラッティング検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記液水排出運転が終了していない段階で、前記フラッティング検出手段によって燃料極側で発生したフラッティングが検出されたことに応じて、
    前記所定の循環流量、前記所定の圧力、前記所定の継続時間のうち少なくとも1つを補正すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池を構成する複数のセルの実セル電圧を検出するセル電圧検出手段を備え、
    前記フラッティング検出手段は、当該燃料電池システムの起動直後において前記燃料電池から取り出し可能な電流値に対する前記燃料電池を構成する複数のセルの理論的な平均セル電圧と、前記セル電圧検出手段によって検出された実セル電圧とを比較し、比較結果に応じて、前記燃料電池の燃料極側で発生するフラッティングを検出すること
    を特徴とする請求項7記載の燃料電池システム。
  9. 当該燃料電池システムの起動直後において前記燃料電池から取り出し可能な電流値は、前記燃料ガスの供給を開始してからの経過時間に応じて変化する前記燃料ガス循環供給系内の不純物ガスの濃度に応じて決定されること
    を特徴とする請求項8記載の燃料電池システム。
  10. 当該燃料電池システムの起動直後において前記燃料電池から取り出し可能な電流値は、前記燃料電池内の温度に応じて決定されること
    を特徴とする請求項8記載の燃料電池システム。
  11. 前記フラッティング検出手段は、前記理論的な平均電圧を、
    前記燃料ガスの供給を開始してからの経過時間に応じて変化する前記燃料ガス循環供給系内の不純物ガスの濃度に応じて決定される当該燃料電池システムの起動直後において前記燃料電池から取り出し可能な電流値に対する、前記燃料電池を構成する複数のセルの理論的な第1の平均セル電圧、
    又は前記燃料電池内の温度に応じて決定される当該燃料電池システムの起動直後において前記燃料電池から取り出し可能な電流値に対する、前記燃料電池を構成する複数のセルの理論的な第2の平均セル電圧のうちのいずれか低い方とすること
    を特徴とする請求項8記載の燃料電池システム。
  12. 前記気液分離手段で気液分離され回収された液水の水位を検出する第2の水位検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記液水排出運転を行う前に、
    前記気液分離手段によって気液分離され回収された前記燃料ガス循環供給系内で凝縮された液水を、前記第2の水位検出手段で検出された液水の水位が管理下限水位となるまで、燃料ガス循環供給系外へと排出させるよう制御すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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