電話回線に接続された親機とこの親機を介して間接的に電話回線に接続される子機によって構成される親子電話機は、複数の場所のそれぞれで気軽に通話ができることから、多くの家庭や企業で使用されている。また、構内に設置されている各種情報機器同士、あるいは遠隔地にある機器との通信を行うための構内交換網や、インターネットに接続するルータを配置したLAN(Local Area Network)も、複数の通信端末で限られた通信回線を共用することができ設備コストを抑えられることから、広く普及している。
ところが、通信回線に直接に接続するこのような装置(以下、回線接続装置という)では、通信回線の数や容量が制限されている場合にこれを原因とする問題が発生することがある。
図9は、親子電話機を例として回線接続装置で発生するこのような問題を説明するためのものである。この親子電話機101では、公衆回線102に接続された親機103と第1〜第nの子機1041〜104nが配置されている。ここでは第1の子機1041が公衆回線102に接続中となっているものとする。親機103は、接続中である第1の子機1041のみと無線回線105を使用して無線通信を行い更に公衆回線102との間で音声データその他の信号の転送を行うようになっている。すなわち、第1の矢印1061に示す第1の子機1041の公衆回線102を使用した通信は実現されているが、第2〜第nの矢印1062〜106nに示す第2〜第nの子機1042〜104nの公衆回線102を使用した通信は実現されていない。これにより、第1の子機1041の通信に対して他の子機104を関与させないようにしているが、この状態でたとえば第2の子機1042のユーザが公衆回線102の使用を希望する場合、第1の子機1041の通信が終了するまで待たなくてはならない。
同様に、インターネットにルータを介して接続されたLANの場合も、いずれかの通信端末がインターネットに接続されているとき、他の通信端末のインターネット上の通信に悪影響を及ぼす恐れがある。このように、通信端末を接続させることができる通信回線の数や容量が制限されている回線接続装置では、他の通信端末のユーザがいつまで経っても通信回線を思うように使用することができず、通信システムの円滑な運用が妨げられてしまうという弊害が生じるおそれがある。
そこで、通信回線を使用中の通信端末の連続使用時間を測定し、その長さがあらかじめ定めたしきい値を超えた場合には該当する通信端末に通信回線を使用の終了を促す警告を行う回線接続装置が従来より提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第1の提案では、回線接続装置はいずれかの通信端末が通信回線に接続されて通信回線の使用を開始すると、その連続使用時間を測定し、警告を行うか否かを判別するためのしきい値に達するかどうかを監視する。そして、所定のしきい値に達すると該当する通信端末に警告を行い、ユーザに接続の終了を促す。更に接続を強制的に切断させるか否かを判別するためのしきい値に達するかどうかを監視し、この後者のしきい値に達すると、警告を行った後に強制的に通信端末の通信を切断して通信回線を開放するようになっている。これにより、通信回線が長時間に亘って一部の通信端末に継続して使用されたり独占されるのを防ぎ、より円滑かつ効率的な通信回線の利用を図ることができる。
しかしながら、この第1の提案では、他に通信を行おうとする通信端末が存在せず、通信回線を継続して使用していてもかまわないような場合でも、警告や切断が一律に行われてしまう。この結果として不必要に通信端末の通信を終了させてしまい、通信回線の効率的な使用がかえって妨げられてしまう可能性がある。
そこで、通信回線を使用しようとする通信端末が存在しない場合には通信の終了を促す警告が行われないようにする一方、通信回線を使用しようとする通信端末が存在する場合には、その通信端末から通信回線を使用中の通信端末に対してその使用の終了を促す警告を行えるようにすることが従来より提案されている(たとえば特許文献2参照)。
図10は、このような第2の提案による回線接続装置としての親機を使用した親子電話機の構成を表わしたものである。この親子電話機151では、公衆回線152に接続された親機153と、それぞれ第1の無線回線154および第2の無線回線155を使用して親機153との間で無線通信を行う第1および第2の子機1561、1562が配置されている。親機153には、第1の無線回線154と第2の無線回線155との間でデータの転送を行うデータ転送部157が備えられている。そして、第1および第2の子機1561、1562には、他方の子機156に対する公衆回線152への接続の終了を促す音声メッセージを記憶しこれを他方の子機156へ送るための第1のメッセージ送信部1581と第2のメッセージ送信部1582がそれぞれ備えられている。
親機153は第1の子機1561のみを公衆回線152に接続させている。すなわち、第1の矢印161に示す第1の子機1561の公衆回線152を使用した通信は実現されているが、第2の矢印162に示す第2の子機1561の公衆回線152を使用した通信は実現されていない。この状態で第2の子機1562のユーザが公衆回線152の使用を希望する場合、ユーザは第2の子機1562に備えられた図示しないキースイッチを操作し、第2のメッセージ送信部1582はこの操作を受けて音声メッセージを親機153へと送信する。この音声メッセージは、親機153のデータ転送部157でそのまま第1の子機1561へと転送され、第1の子機1561の図示しないスピーカで出力される。すなわち、第3の矢印163に示す経路で音声メッセージが送信されるようになっている。
このようにして、公衆回線152を使用中の第1の子機156
1のユーザはその音声メッセージを聞き、第2の子機156
2のユーザが公衆回線152の使用を要求していることを知ることになる。第1の子機156
1のユーザが第2の子機156
2のユーザに対して公衆回線152の使用の終了を促す場合も同様である。すなわち、必要なときにのみ通信回線への接続の終了を促す警告を行うことができるようになっている。
特開2004−48501号公報(第0029段落、図1)
特開平5−300201号公報(第0051〜第0053段落、図3)
図1は、本発明の一実施例による回線接続装置としての親機を使用した電話機の構成を表わしたものである。この電話機201は、公衆回線202に接続された親機203と、第1の無線回線204および第2の無線回線205のいずれかを使用して親機203と無線通信を行う第1〜第nの子機2061〜206nにより構成されている。第1〜第nの子機2061〜206nは、親機203に許可されたもののみが第1の無線回線204あるいは第2の無線回線205を使用して公衆回線202に接続することができるようになっている。すなわち、この電話機201は一般家庭に設置されたいわゆる「親子電話」と呼ばれるものである。本実施例で親機203は公衆回線202の図示しないモジュラジャックが設置されている居間に配置されており、第1〜第nの子機2061〜206nはそれぞれ個室や台所に置かれている。親機203ならびに第1〜第nの子機2061〜206nのそれぞれについては、以降、適宜電話装置と総称するものとする
親機203は、公衆回線202に接続された外線通信制御部211を備えている。外線通信制御部211は、公衆回線202との通信を制御する部分で、親機主制御部212と接続されている。親機主制御部212は、外線通信制御部211の他に、第1の無線回線204による無線通信を制御する第1の無線制御部213と、第2の無線回線205による無線通信を制御する第2の無線制御部214を備えており、これらはいずれもアナログ無線方式となっている。親機主制御部212は更に、音声を出力するための親機スピーカ部215と、各種情報を入力するための親機キー操作部216および液晶ディスプレイを備えた親機表示部217を接続している。
親機主制御部212は、これらの各装置部を制御するとともに、第1〜第nの子機2061〜206nとの通信やこれらの公衆回線202への接続を管理するための各種処理を行うようになっている。この親機主制御部212は、親機203自身や第1〜第nの子機2061〜206nのいずれを公衆回線202に接続するかを選択するとともに選択された電話装置のみを公衆回線202に接続する回線接続選択処理部221を備えている。また、この回線接続選択処理部221による各電話装置の連続接続時間を計測するタイムカウンタ222と、その計測時間の長さに対応付けて、通話の終了を促すための警告の許可されるレベルを記述した警告許可テーブル223を備えている。更に、親機203自身や各子機206から接続中の電話装置に対する通話の終了の要求としての通話終了要求が送られてくるとこれを検知し、タイムカウンタ222と警告許可テーブル223を使用して接続中の電話装置への警告等の処理を行う通話終了警告処理部224を備えている。
このような機能構成の親機主制御部212は、図示しないCPU(中央処理装置)と制御プログラムを格納したハードディスク等の記憶媒体、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等の作業用メモリによって構成されている。すなわち、制御プログラムをCPUが実行することで親機主制御部212の各機能部が実現するようになっている。親機主制御部212の一部を周知のハードウェアで実現することも可能である。
第1の子機2061は、第1の無線回線204あるいは第2の無線回線205を使用して親機203の第1の無線制御部213あるいは第2の無線制御部214と通信を行うための第1の子機無線制御部2311を備えている。この第1の子機無線制御部2311は、第1の子機2061の各装置部を制御するための第1の子機主制御部2321に接続されている。第1の子機主制御部2321は、更に音声を出力するための第1の子機スピーカ部2331と、各種情報を入力するための第1の子機キー操作部2341および液晶ディスプレイを備えた第1の子機表示部2351を備えている。第1の子機主制御部2321も、親機主制御部212と同様に、図示しないCPUと制御プログラムを格納した記憶媒体およびRAM等の作業用メモリを備えており、制御プログラムを実行することで所定の制御を行うようになっている。第2〜第nの子機2062〜206nも同様の構成であり、これらについての説明を省略する。
第1〜第nの子機2061〜206nが親機203に送信する信号には、それぞれどの子機206からの送信であるかを示す識別情報が付加されており、親機主制御部212はこの識別情報を基にどの子機206からの信号であるかを判別するようになっている。また、逆に親機203からいずれかの子機206へ信号を送信する際には、この識別情報を送信先を指定する情報として付加するようになっている。また、親機203自身にも識別情報が割り当てられており、たとえば親機キー操作部216で入力された情報が回線接続選択処理部221に送られる際には、親機主制御部212で親機203の識別情報が付加されるようになっている。
ここで、まずどの電話装置も公衆回線202を使用していないときに第1の子機2061が公衆回線202への接続を開始し、その接続中に第2の子機2062が公衆回線202への接続を試み更に通話終了要求を親機203へ送った場合を想定する。この想定の下に、各装置部の処理について順に説明する。
第1〜第nの子機2061〜206nのそれぞれに設けられた各子機キー操作部234は、それぞれ図示しないが「通話」と刻印されたキースイッチを備えている。各子機主制御部232は、この「通話」キーが押下されると、子機無線制御部231を使用して第1の無線回線204と第2の無線回線205の両方に自装置を公衆回線202に接続する旨の要求としての回線接続要求を送出するようになっている。親機203側の回線接続選択処理部221は、第1の無線回線204と第2の無線回線205のうち、現時点で通話に使用されていないものを介してこのような第1〜第nの子機2061〜206nからの回線接続要求が送られてくるか否かを逐次監視するようになっている。更に、親機203は、その内部から同様の回線接続要求があるかどうかを逐次監視するようになっている。親機203自身の回線接続要求は、たとえば親機スピーカ部215と図示しないマイクロフォンを供えた同じく図示しないハンドセットがユーザによって持ち上げられて押下状態にあった図示しないフックスイッチが開放されること等により検知される。
図2は、親機側の回線接続選択処理部による回線接続処理の流れを表わしたものである。回線接続選択処理部221は、親機203ならびに第1〜第nの子機2061〜206nのいずれも公衆回線202を介して通信を行っていない状態で、これらのうちのいずれかの電話装置から公衆回線202への回線接続要求を受け取ると(ステップS301:Y)、該当する電話装置を公衆回線202に接続させる(ステップS302)。どの電話装置から送られてきた回線接続要求であるかは、前記した各電話装置に割り当てられた識別情報によって判別できるようになっている。この状態で該当する電話装置のキースイッチで電話番号が押下されれば、その相手先への発呼が行われることになる。そして、公衆回線202の使用の開始とどの電話装置が接続されたかを、通話終了警告処理部224に通知するとともに、タイムカウンタ222に対して計測時間の初期化と計測の開始を指示する(ステップS303)。具体的には、接続された電話装置を示す識別情報を通話終了警告処理部224へ渡すことによって行われる。
一方、公衆回線202を介して図示しない他の電話機から電話機201に対する発呼があったときには、親機主制御部212は親機203と第1〜第nの子機2061〜206nのそれぞれに設けられた図示しない外部スピーカのすべてに、呼出音を鳴動させる。この状態で親機203の図示しないハンドセットが持ち上げられたり、いずれかの子機206の図示しない「通話」キーが押下されると、その電話装置を公衆回線202と接続し、発信元との通話が開始されるようになっている。このようにして公衆回線202側からの着信によっていずれかの電話装置の通話が開始された場合も(ステップS304:Y)、ステップS303へ進み、通話終了警告処理部224に公衆回線202の使用の開始と接続された電話装置を通知するとともに、タイムカウンタ222に対して計測時間の初期化と計測の開始を指示する。
親機203が公衆回線202を使用している場合には、親機203のハンドセットが定位置に置かれてフックスイッチが押下されることにより、親機203は公衆回線202と切断される。また、いずれかの子機206が公衆回線202を使用している場合には、その子機206に備えられた図示しない「切」と刻印されたキースイッチが押下されることにより、その子機206は公衆回線202と切断されるようになっている。このようにして公衆回線202を使用していた電話装置が公衆回線202と切断されると(ステップS305:Y)、通話終了警告処理部224に公衆回線202の使用の終了を通知するとともに、タイムカウンタ222に対して計測の終了を指示し(ステップS306)、再び新たな公衆回線202の使用が開始されるのを待機する(リターン)。以上の回線接続処理により、タイムカウンタ222では公衆回線202が新たに使用開始されるたびに、新たな使用開始からの公衆回線202の連続使用時間の計測が行われることになる。
なお、親機主制御部212は、タイムカウンタ222が計時を行っている間、その計時される連続使用時間を親機表示部217と公衆回線202に接続中の子機206の子機表示部235の双方に表示させるようになっている。これは、公衆回線202を使用中のユーザに連続使用時間を把握させることで長電話を防止を促したり、たとえば母親が子供が長電話をしていないかどうかを監視するというように親機203側で子機206の連続使用時間を監視できるようにするためである。
ここでは、前記したように第1の子機2061が公衆回線202を使用しており、第2の子機2062のユーザが公衆回線202を使用して電話を掛けようとしているものとする。第2の子機2062のユーザは第2の子機2062の「通話」キーを押下して公衆回線202への接続を試みるが、第1の子機2061が接続中であるため、第2の子機2062の第2のスピーカ部2322からは公衆回線202側からの発信音等は聞こえてこない。第2の子機2062のユーザは公衆回線202が他のユーザによって使用されていることを知り、そのユーザにできるだけ早く公衆回線202を開放して欲しい旨を伝達したいが、本実施例で各電話装置はそれぞれ別の部屋に分散して設置されているためわざわざ出向くのは手間である。また、どの電話装置が公衆回線202に接続されているかを特定できない場合には、それぞれの電話装置の設置場所を順に巡って行かなくてはならない。
そこで、本実施例の親機の通話終了警告処理部224は、公衆回線202に接続していない各電話装置からの通話終了要求を検知し、次に説明するように公衆回線202に接続している電話装置のユーザに対して通話終了を促す警告を発するようになっている。
図3は、通話終了警告処理部による通話終了警告処理の流れを表わしたものである。親機203の通話終了警告処理部224は、図2のステップS303に対応して回線接続選択処理部221から公衆回線202の使用の開始と接続された電話装置が通知されると(ステップS351:Y)、公衆回線202に接続していないいずれかの電話装置からキー操作部の操作によって入力された情報としての入力情報が送られてくるか否かの監視を開始する(ステップS352)。ここでは、送られてきた入力情報に付加された識別情報がステップS351で回線接続選択処理部221から渡された識別情報と一致するか否かを比較し、一致しない場合に、公衆回線202に接続していない電話装置から入力情報が送られてきたと判別する。この監視は、図2のステップS306に対応して回線接続選択処理部221から公衆回線202の使用の終了が通知されるまで継続される(ステップS353:N)。
通話終了要求は、各電話装置のキー操作部の操作によって予め定められた情報が入力されることによって実現される。また、通話終了要求には、公衆回線202の利用者に対してどの程度の強さで警告することを要求しているかによって複数のレベルが設定されており、要求する側はこの警告のレベルを選択することができるようになっている。
しかしながら、ただ通話終了要求を受け付けて該当するレベルの警告を行うようにすると、まだ公衆回線202の使用を開始してわずかしか時間が経過していないにもかかわらず高レベルの警告が行われてしまうというように、不適切に警告が行われてしまう可能性がある。そこで、本実施例の親機203は、タイムカウンタ222が計時する連続使用時間の長さを複数に区分すると共に、各区分と許可する警告のレベルを対応付けた警告許可テーブル223を用意している。
図4は、警告許可テーブルの内容を表わしたものである。警告許可テーブル223には、警告レベルごとに、各キー操作部による入力情報を通話終了要求として受け付ける際の番号と、警告として実行する内容が記述されている。そして、連続使用時間の各レベルごとに、それぞれの警告レベルが許可されるか否かが記述されている。本実施例で警告レベルはレベル「1」〜レベル「4」の4段階、連続使用時間のレベルとしての時間レベルは、「3分未満」と、「3分以上10分未満」と、「10分以上30分未満」と、「30分以上60分未満」および「60分以上」の5つに区分けされている。各警告レベルのが警告の度合いは、レベル「1」が最も小さく、レベル「4」に近づくほど順に大きくなっていき、レベル「4」では警告後に公衆回線202への接続を強制的に切断するようになっている。また、記号「○」はその時間レベルで該当する警告レベルが許可されてることを表わし、記号「×」は許可されていないことを表わしている。
図3に戻って説明を続ける。ステップS352で他の装置から入力情報が送られてくると(Y)、その入力情報が通話終了要求であるか否かを判別する(ステップS354)。具体的には各装置から送られてくる入力情報が図4に示した警告許可テーブル223に記述された番号のいずれかと一致するか否かを判別することによって行われる。ここでは、第1の子機2061が公衆回線202に接続してから20分が経過したときに、第2の子機2062で番号「#33」が押下され、これを示す入力情報が親機203に送られてきたとする。
すると、その送られてきた番号と一致する番号が警告許可テーブル223に存在するため(Y)、次に該当する警告レベルが許可すべきものか否かを判別する(ステップS355)。具体的には、警告許可テーブル223を参照して、タイムカウンタ222が計時する連続使用時間に該当する時間レベルにおいて要求された警告レベルが許可されているか否かを判別する。
ここでは、該当する「10分以上30分未満」の時間レベルで許可されている警告レベルは、図4から明らかなようにレベル「1」とレベル「2」のみであり、番号「#33」に該当するレベル「3」は許可されていないため(ステップS355:N)、通話終了要求の送信元である第2の子機2062のユーザに対して要求された警告レベルが許可されない旨を通知する(ステップS356)。具体的には、第2の子機表示部2352に対してよりレベル「1」に近い他の警告レベルに変更して再度通話終了要求の送信を促すために、たとえば「警告レベル不許可。警告レベルを下げてください。」と表示させる信号を第2の子機2062へと送信する。そして、ステップS352へ戻り再び通話終了要求が送られてくるのを待機する。なお、ステップS355で警告レベルが許可されない場合には1つ下の警告レベルに下げてステップS355に戻るようにし、許可される警告レベルが存在した場合にはこれを実行するとともに、その旨を通話終了要求の送信元に通知するようにしてもよい。
第2の子機2062のユーザは、ステップS356によって要求した警告レベルが許可されないことを知り、警告レベルを下げて番号「#22」を押下したとする。すると同様にステップS352、ステップS354と進み、ステップS355で再度該当する警告レベルが許可すべきものか否かの判別が行われる。ここでは、該当する「10分以上30分未満」の時間レベルでは前記したように番号「#22」に該当するレベル「2」は許可されているため(Y)、その装置に対してレベル「2」の警告を実行する(ステップS357)。
ここでは、図4に示したようにレベル「2」の警告は、「10秒のトーン信号を2回送信(ピー、ピー、)」となっているため、通話終了警告処理部224はこれに従ってトーン信号を第1の子機2061へと送信し、通話の終了を促す警告とする。そして、通話終了要求の送信元である第2の子機2062のユーザに対して要求された警告を行った旨を通知し(ステップS358)、再びステップS352へ戻り再び通話終了要求が送られてくるのを待機する。ステップS352で通話終了要求が送られてくるのを待機している間に、図2のステップS306に対応して回線接続選択処理部221から公衆回線202の使用の終了が伝達されると(ステップS353:Y)、再び回線接続選択処理部221から公衆回線202の使用の開始と接続された装置が伝達されるのを待機する(リターン)。なお、ステップS357では、たとえばレベル「4」の警告が行われる場合には、回線接続選択処理部221に対して接続を強制的に切断させるようになっている。
図5は、以上説明した各処理の結果、各電話装置間でやりとりされる信号の様子を表わしたものである。まず第2の無線回線205を使用して、第2の子機2062から第1の矢印401に示す警告レベルを指定した通話終了要求が親機203へと送信される。すると、親機203は、第1の無線回線204を使用して第2の矢印402に示す公衆回線202を使用した通信を行っている第1の子機2061に対して、その警告を実行すべきか否かを、公衆回線202の連続使用時間に基づいて判別する。そして、実行すべきであると判別すると、第1の無線回線204を使用した第3の矢印403に示す信号により、警告を第1の子機2061に対して実行する。
このようにして公衆回線202に接続中の子機206を使用しているユーザは、親機203から通話の終了を促す警告が第1の子機2061に送られてくると、その警告音等によって警告が送られてきたということと、その警告レベルとを知ることになる。すると、たとえばそれほど重要ではない通話を行っているような場合には、公衆回線202の使用を要求している他のユーザに配慮して早めに通話を切り上げるといったことが可能となる。したがって、電話機201のより円滑な運用が可能となり、限られた回線を効率良く使用することが可能となる。また、長時間に亘って公衆回線202を使用している状態で他のユーザから公衆回線202の開放が要求された場合には強制的に接続を切断するので、他のユーザに迷惑がかかる長電話を防止することができる。このような電話機は、たとえば複数の棟に分散して子機を配置しなければならないというように、ユーザ自身で直接に他の公衆回線を使用中のユーザに対して通話の終了を要求することが困難な環境に特に好適である。
なお、第1の無線制御部213と第2の無線制御部214は、たとえば各子機206との通信にデジタル無線方式を適用してもよい。この場合、4つの異なる周波数帯域を使用したり時分割で各子機とデータの送受信を行うなど複数の無線通信チャネルを設定するようにし、1つの無線通信モジュールとして構成することもできる。また、親機203が接続する公衆回線が複数の場合には、それぞれに接続される子機206ごとに連続使用時間を計測してそれぞれについて警告を行ったり、より連続使用時間が長いものに対してのみ警告を行うなど警告の実行について優先度を設定するようにしてもよい。更に、子機をレベル分けしてそれぞれのレベルごとに警告許可テーブルを設け、通話終了要求の送信元に応じてあるいは通話終了要求の警告先に応じて使い分けるようにしてもよい。
また、子機206に対する警告の実行は、それぞれの子機206に子機スピーカ部233から出力すべき音声メッセージや子機表示部235で表示すべき文字メッセージを警告レベルごとに予め記憶しておき、親機203はいずれの警告レベルのメッセージを出力すべきかを子機206に指示するようにしてもよい。更に、各子機206でユーザが独自に作成したメッセージを警告レベルごとに記憶しておき、これを親機203に送信し、親機203がその警告レベルが許可されるべきものと判別した場合にその受信したメッセージを公衆回線202を使用中の子機206へと転送するようにしてもよい。
<発明の変形例>
限られた公衆回線を複数の通信装置で共用する他の例として、構内交換機を設置してこれに複数の電話機を接続するような構内電話網が挙げられる。本発明の変形例として、このような構内電話網の構内交換機に適用した場合について説明する。
図6は、本発明の変形例による通信中継装置としての構内交換機を使用した構内交換網の構成を表わしたものである。構内交換網401は、公衆回線402に接続されたPBX(Private Branch eXchange:構内交換機)403と、PBX403に接続された第1〜第mの構内電話機4061〜406mにより構成されている。この構内交換網401は企業内に構築されたものであり、各社員の机にそれぞれ固有の内線番号が割り当てられた構内電話機406が設置され、外部からはPBXに割り当てられた電話番号と内線番号を使用して、各構内電話機406に個別に電話を掛けることができるようになっている。また、各構内電話機406は、内線番号を使用して他の構内電話機406に電話を掛けたり、公衆回線402が空いているときにはこれを使用して外部に電話を掛けたりすることができるようになっている。
PBX403は、公衆回線402に接続するとともにその通信を制御する外線通信制御部411を備えており、PBX403の各装置部を制御するとともに第1〜第mの構内電話機4061〜406mの回線交換機としての機能を有するPBX主制御部412に接続されている。このPBX主制御部412には、更に第1〜第mの構内電話機4061〜406mにそれぞれ接続され構内電話機406との通信を制御する第1〜第mのPBX通信制御部4131〜413mが接続されている。
PBX主制御部412は、第1〜第mの構内電話機4061〜406mおよび公衆回線402の接続を制御する構内交換機としての機能を有する回線交換処理部421を備えている。また、実施例の親機203と同様に、公衆回線402への1回当たりの連続使用時間を計測するタイムカウンタ422と、その計測時間の長さと許可される通話終了の警告レベルとを対応付けた警告許可テーブル423と、接続中の装置への警告等の処理を行う通話終了警告処理部424を備えている。PBX主制御部412は、実施例の親機主制御部212と同様に、図示しないCPUと制御プログラムを格納したROM等により構成されている。
第1の構内電話機4061は、PBX403と通信を行うための第1の電話機通信制御部4311を備えており、第1の構内電話機4061の各装置部を制御する第1の電話機主制御部4321に接続されている。また、音声を出力するための第1の電話機スピーカ部4331と、各種情報を入力するための第1の電話機キー操作部4341および液晶ディスプレイを備えた第1の電話機表示部4351を備えている。更に、第1の電話機スピーカ部4331は、図示しないハンドセットに設けられている。第2〜第nの電話機4062〜206nも同様の構成であり、これらについての説明を省略する。
PBX403のタイムカウンタ422と警告許可テーブル423は、それぞれ実施例のタイムカウンタ222および警告許可テーブル223と同様であり、これらについての説明を省略する。回線交換処理部421は、実施例の回線接続選択処理部221とは異なり、内線通話や外線通話の回線を接続するための回線交換処理を行うようになっている。
第1〜第mの構内電話機4061〜406mで電話を掛ける場合、まずハンドセットを持ち上げて押下状態にあった図示しないフックスイッチを開放する。そして、構内電話網401内の他の構内電話機406へ電話を掛ける場合には、そのまま電話機キー操作部434を操作して相手の内線番号をダイヤルするようになっている。また、公衆回線402を介して外部の相手先に電話を掛ける場合には、電話機キー操作部434に設けられた外線指定用のキースイッチを押下してから同様に電話機キー操作部434を操作して相手の電話番号をダイヤルするようになっている。
PBX403の回線交換処理部421は、外線指定用のキースイッチが押下されて外部の相手先の電話番号を発呼先として指定した外線発呼信号や、外線指定用のキースイッチが押下されずに内線番号を発呼先として指定した内線発呼信号が、送られてくるか否かを逐次監視するようになっている。更に、公衆回線402側からも第1〜第mの構内電話機4061〜406mに対する呼出信号が送られてくるか否かを逐次監視するようになっている。ここでは、内線における通話終了警告は行わないものとし、以下、内線発呼信号の監視とこれに続く呼出音の送出や回線の接続および切断の処理等についての説明を省略する。
図7は、PBXの回線交換処理部による回線交換処理の流れを表わしたものである。PBX403の回線交換処理部421は、いずれの構内電話機406も公衆回線402に接続していない状態でいずれかの構内電話機406から外線発呼信号を受け取ると(ステップS501:Y)、該当する構内電話機406を公衆回線402に接続させる(ステップS502)。ここでは、いずれかの構内電話機406の外線指定用のキースイッチが押下されたことを示す入力情報が送られてきた時点でその構内電話機406を公衆回線402に接続し、続いて送られてくる電話番号はそのまま公衆回線402に送出されるようになっている。そして、公衆回線202の使用の開始とどの構内電話機406が接続されたかを、通話終了警告処理部424に通知するとともに、タイムカウンタ422に対して計測時間の初期化と計測の開始を指示する(ステップS503)。
一方、公衆回線402側からいずれかの構内電話機406に対する呼出信号が送られきて(ステップS504:Y)、その構内電話機406が通信や通話を行っていない場合には(ステップS505:Y)、その構内電話機406に対して呼出信号を送信する(ステップS506)。呼出先の構内電話機406では、この呼出信号によって図示しない外部スピーカが鳴動し、近くのユーザに電話が掛かってきたことを知らせることになる。ユーザがハンドセットを持ち上げてフックスイッチを開放状態にすると、通話が開始され(ステップS507:Y)、ステップS503へ進み通話終了警告処理部424に公衆回線402の使用の開始と接続された構内電話機406を通知するとともに、タイムカウンタ422に対して計測時間の初期化と計測の開始を指示する。
一方、公衆回線402側から送られてきた呼出信号が指定する構内電話機406が使用中の場合には(ステップSS505:N)、公衆回線402に呼出先が通信中あるいは通話中であることを示す話中信号を送出する(ステップSS508)。そして、再びステップS501へ戻って再び新たな外線発呼信号や公衆回線402側からの呼出信号の有無を監視する。ステップS507で呼び出しを行ったものの通話が開始されなかった場合も(N)、同様にステップS501へ戻る。
いずれかの構内電話機406が公衆回線402を使用している場合には、その構内電話機406のハンドセットが定位置に置かれてフックスイッチが押下されたことを示す入力情報が送られてくることにより、その構内電話機406は公衆回線402と切断される。このようにして公衆回線402を使用していた構内電話機406が公衆回線402と切断されると(ステップS509:Y)、通話終了警告処理部424に公衆回線402の使用の終了を伝達するとともに、タイムカウンタ422に対して計測の終了を指示し(ステップS510)、再び新たな公衆回線402の使用が開始されるのを待機する(リターン)。なお、PBX主制御部は、タイムカウンタ422が連続使用時間の計測を行っている間、その連続使用時間を公衆回線402に接続中の構内電話機406の電話機表示部435に表示させるようになっている。
図8は、通話終了警告処理部による通話終了警告処理の流れを表わしたものである。公衆回線402に接続したか否かの判別の対象が構内電話機406となっている点と、その接続の開始と終了の通知元が回線交換処理部421となっている点以外については、実施例の図3で説明した通話終了警告処理とほぼ同じ内容となっている。公衆回線402の使用の開始とどの構内電話機406が使用を開始したかが回線交換処理部421から通知されると(ステップS551:Y)、他の構内電話機406から入力情報が送られてくるか否かの監視を開始する(ステップS552)。この監視は公衆回線の使用終了の通知が送られて来ない間、繰り返される(ステップS553:N)。
他の構内電話機406から通話終了要求が送られ(ステップS552:Y、ステップS554:Y)、更に警告許可テーブル423を参照してその警告レベルが許可されない場合には(ステップS555:N)、その旨を要求の送信元に通知し(ステップS556)、ステップS552へ戻る。警告レベルが許可される場合には(ステップS555:Y)、そのレベルの警告を実行し(ステップS557)、その旨を要求の送信元に通知し(ステップS558)、ステップS552へ戻る。公衆回線の使用終了の通知が送られてくると(ステップS553:Y)、ふたたび公衆回線の使用の開始の通知を待機する(リターン)。
このようにして、PBX403を設置して構内電話網401を構築している場合にも、公衆回線網402を使用中のユーザに対して他の構内電話機406から通話の終了を促すことができる。
なお、以上説明した実施例および変形例以外にも、LANに配置されたインターネットのアクセスポイントに接続するルータ等、自己に属する複数の通信端末を選択的に通信回線に接続させるような各種装置に本発明を適用できることはもちろんである。
また、回線接続装置が接続する通信回線は前記したように複数であってもよく、この場合には以上説明した各種処理を通信回線ごとに実行するようにしたり、空きの通信回線が存在しないときにのみ実行するようにすることも可能である。また、通信回線に接続中の通信端末が複数存在するときに通信の終了の要求が送られてきた場合には、通信端末ごとに予め設定した優先度に基づいていずれか1つあるいは一部の複数の通信端末に対してのみ警告を行うようにしてもよい。また、それぞれの通信端末ごとに計測した連続使用時間の比較を行い、最も連続使用時間が長い通信端末のみに対して、あるいはより連続使用時間が長い通信端末に対して積極的に警告を行うようにしてもよい。更に、通信回線に複数の通信端末を接続可能な場合には、通信回線を使用中の通信端末が自己以外の通信端末の通信回線の使用の終了を要求できるようにしても良く、これはたとえばインターネットへの経路として複数の通信端末に使用されるルータ等に好適である。