JP4025596B2 - 火災発生時の電源遮断ガイダンスシステム - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多くの電気設備を備えた工場の集中監視室などに設置される火災発生時の電源遮断ガイダンスシステムに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
製鉄工場のような多くの電気設備を備えた工場においては、従来から多数の火災検知器が設置されており、火災発生時には集中監視室のモニタに、火災発生区域を表示できるようになっている。火災発生時に集中監視室のオペレータはその表示を見て遠隔操作により付近の電源を遮断するが、例えば排水ポンプの電源を遮断してしまうと装置が冠水して被害が拡大することがある。また必要以上に広範囲の電源を遮断することにより設備が停止し、二次的な損害が大きくなることがある。
【０００３】
このため、オペレータは火災発生時にどの遮断器をオフとすべきかを冷静に判断する必要があるが、緊急事態であるためにオペレータの知識、経験、資質によって判断がばらつくことが多く、迅速かつ的確な判断を求めることは不可能であった。特に大規模な工場では多くの電力供給系統が存在するため、上記の判断を更に困難にしていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、火災発生時に火災発生区域に応じて消火活動のためにどの遮断器をオフとすべきかをオペレータに示すことができる火災発生時の電源遮断ガイダンスシステムを提供するためになされたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の火災発生時の電源遮断ガイダンスシステムは、火災が発生したときモニタ画面上に、火災発生区域、その区域への電力供給系統、火災発生区域に関する注意事項、その電力供給系統の遮断器の階層構造を表示する手段を備え、この遮断器の階層構造の表示は、火災時に直ちに遮断すべき遮断器と、火災の程度に応じて遮断すべき遮断器と、それらの上位にある遮断器とを色分け表示により区別して表示するものであることを特徴とするものである。
【０００６】
なお、火災発生区域の隣接区域を表示することができるようにし、延焼にも対応できるようにしておくことが好ましい。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図１は火災発生時における工場全体の情報の流れを示す図であり、１は工場（またはその一部）、２は工場１の集中監視室である。３は現場に配置された多数の火災報知器であり、この実施形態では工場１を１００の区域に区画してそれぞれの区画に火災報知器３を配置してある。
【０００８】
何れかの区域において火災報知器３が火災を検出すると、集中監視室２の受信機４がその信号を受信し、火災位置グラフィック表示盤５に火災発生位置をグラフィック表示する。なお６は工場１の運転室、７は設備詰所であって、火災情報やそれに伴う設備の故障情報などは運転室６の受信盤８やパソコン９，９などにも伝達され、現場での対応を助ける。
【０００９】
上記した設備は既設のものであるが、本発明の電源遮断ガイダンスシステムを実行するために、ガイダンス専用のモニタ１０が集中監視室２に設置されている。このモニタ１０はタッチパネル式のものであって、平常時は適宜のメイン画面を表示しているが、何れかの区画において火災報知器３が火災を検出すると、以下に説明する画面を表示できる表示手段を備えている。
【００１０】
まず火災検出と同時に、図２に示す画面が自動的に表示される。この画面は、個別の火災発生区域１１に関する注意事項を表示する画面であり、各種の注意事項とともに電源遮断の手順が表示されている。注意事項には連絡先や、消火活動を行なううえでその区域に特有の注意点などが含まれる。また図２の画面の▲１▼の部分には、電源遮断に用いる分電盤の名称と遮断器の名称が表示されている。▲２▼は図４の画面に表示されたものと同様の、１番線から７番線までの電力供給系統１２の表示であり、火災発生区域１１に電力を供給している５番線と７番線が赤色表示されている。この図２の画面から、集中監視室２のオペレータは火災発生区域１１ごとの注意事項や、電源遮断の手順を知ることができる。
【００１１】
またオペレータが図２の画面の電力供給系統１２の表示にタッチすると、その電力供給系統１２の遮断器を階層的に表示する図３のような画面が表示される。この画面では、火元へ給電している遮断器のうち火災時に直ちに遮断すべき遮断器１３を赤色で表示し、火災の程度に応じて個別に遮断することが好ましい遮断器１４を黄色で表示している。さらに遮断器１３、遮断器１４の上位にある遮断器１５を緑色で表示している。ここでは赤、黄、緑による色分け表示を行なったが、火元の遮断器１３、１４とその上位の遮断器１５とが認識できるように表示することができれば、色分け表示方法は任意である。
【００１２】
このように図３の画面によって火災発生区域に電力を供給している系統の遮断器の階層構造を知ることができるので、オペレータは火元に近い遮断器から遠隔操作によって順次遮断操作を行ない、電源を遮断することができる。このように本発明の電源遮断ガイダンスシステムを用いれば、オペレータは火災の規模に応じて適切に電源遮断を行なうことができる。火災範囲が拡大したときには隣接区域の火災報知器３から新たに火災信号が入るので、次第に赤色表示が増加していくこととなる。
【００１３】
図４は強制動作を行なうための画面である。強制動作とは、オペレータが任意の区画を選択して強制的に電源遮断を行なうことを意味する。この画面の中央部には工場１内の１００の区域が表示されているが、火災発生区域１１だけが例えば赤色で表示される。この図４では、３２区域が赤色表示されている。３２区域は例えばＦ６制御室と呼ばれている圧延機の電気制御室である。またこの画面の下部には１番線から７番線までの電力供給系統１２の表示があるが、この火災発生区域１１に電力を供給している５番線と７番線が赤色表示されている。
【００１４】
なお、図４の画面の区域表示は工場１内の物理的な位置関係をそのまま表示しているものではなく、火災が検出された３２区域に隣接する区域が３１区画や３３区画ではない場合がある。このため、火災発生時にオペレータが画面にタッチすることによって、隣接区域を表示できるようにしておくことが好ましい。このように隣接区域を把握できるようにしておけば、隣接区域に延焼する前にその区域ごとの注意事項を認識したり、電源遮断の準備をすることができる。
【００１５】
上記した各画面間の移動は、タッチパネルによって容易に行なうことができる。また上記した各画面の表示は、適宜のインターフェースを介して火災報知器３に接続されたプログラムによって実行される。各画面の表示手段はプログラム本体のほか、個別の火災発生区域に関する注意事項を記憶させたメモリや、各電力系統の遮断器の階層構造を記憶させたメモリによって構成されている。
【００１６】
以上の説明では工場１の１００の区域に全て電力供給がなされているものとしたが、実際の工場内には電力供給のない場所や火災報知器３が設置されていない場所もある。それらの場所で火災が発生した際には作業者による通報が行なわれ、従来通りの消火活動が行なわれるが、集中監視室２のオペレータは本発明の電源遮断ガイダンスシステムによってその隣接区域を把握し、電源遮断の準備を行なうことができる。
【００１７】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の火災発生時の電源遮断ガイダンスシステムによれば、火災発生時に火災発生区域、その区域への電力供給系統、火災発生区域に関する注意事項、電力供給系統の遮断器の階層構造などをモニタに表示できるので、集中監視室などのオペレータは火災の規模に応じてどの遮断器をオフとすべきかを知ることができる。このため冷静的確に電力遮断を行なうことができ、オペレータの知識、経験、資質によって判断がばらつくことがなくなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】火災発生時における工場全体の情報の流れを示す図である。
【図２】火災発生区域に関する注意事項を表示する画面である。
【図３】電力供給系統の遮断器を階層的に表示する画面である。
【図４】火災発生区域とその区域への電力供給系統とを表示する画面である。
【符号の説明】
１ 工場
２ 集中監視室
３ 火災報知器
４ 集中監視室の受信機
５ 火災位置グラフィック表示盤
６ 運転室
７ 設備詰所
８ 受信盤
９ パソコン
１０ モニタ
１１ 火災発生区域
１２ 電力供給系統
１３ 直ちに遮断すべき遮断器
１４ 火災の程度に応じて個別に遮断することが好ましい遮断器
１５ 上位にある遮断器

Claims (2)

1. 火災が発生したときモニタ画面上に、火災発生区域、その区域への電力供給系統、火災発生区域に関する注意事項、その電力供給系統の遮断器の階層構造を表示する手段を備え、この遮断器の階層構造の表示は、火災時に直ちに遮断すべき遮断器と、火災の程度に応じて遮断すべき遮断器と、それらの上位にある遮断器とを色分け表示により区別して表示するものであることを特徴とする火災発生時の電源遮断ガイダンスシステム。
2. モニタ画面上に、火災発生区域の隣接区域を表示する請求項１記載の火災発生時の電源遮断ガイダンスシステム。

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