JP4025028B2 - 自動販売機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶飲料等の収納商品を所定温度に加温して販売する自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の自動販売機は、缶飲料等の商品を収納するためのサーペンタインラックと、商品加温用のヒータと、庫内空気循環用のファンモータとを備え、ヒータで加温された空気をファンモータによって循環させることにより、サーペンタインラックに収納されている商品を加温して所定の加温設定温度に維持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の自動販売機では、商品加温時にヒータで加温された空気をサーペンタインラックが配置された庫室内で循環させていることから、収納商品の他にサーペンタインラックや庫室壁等も加温対象となってしまう。そのため、収納商品を加温設定温度に維持するためにはかなりの熱量を必要とし、ヒータの消費電力、つまり、ランニングコストを低減することが難しい。
【0004】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、商品加温時におけるヒータの消費電力を削減できる自動販売機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するため、本発明は、複数の商品収納ラックそれぞれに収納された缶飲料等の商品を所定温度に加温して販売する自動販売機において、各商品収納ラックの出口付近に設けられ、販売直前の商品を含む複数の商品を個別に加熱可能な複数の加熱部を有するヒータと、前記複数の商品のうち少なくとも販売直前の商品が所定の加温設定温度に維持されるように各ヒータの複数の加熱部への選択的な給電を制御する温度制御手段とを備えることをその特徴とする。
【0006】
この自動販売機によれば、各商品収納ラックの出口付近に設けられたヒータによって少なくとも販売直前の商品を加温して所定の加温設定温度に維持できるので、収納商品の他に商品収納ラック等も加温対象となってしまう従来装置に比べて、商品加温時におけるヒータの消費電力を削減できる。
【0007】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明の一実施形態を係るもので、図1は自動販売機の側面側の縦断面図、図2は図1に示した自動販売機の部分拡大図、図3は図1に示した自動販売機が備える加温制御回路のブロック図、図4は図1に示した自動販売機における加温制御プログラムの流れ図である。
【0009】
まず、図1及び図2を参照して自動販売機の構成について説明する。
【0010】
自動販売機は、前面開口の箱形の本体1と、本体1の前面開口を開閉自在に覆う外扉2を備えており、本体1内には前面開口の断熱性内箱3が設けられ、この内箱3の前面開口には断熱性内扉4が開閉自在に設けられている。外扉2には商品取出口2aの他、図示省略のサンプル展示室、商品選択ボタン、金銭投入口、金銭返却レバー及び金銭返却口等が設けられている。また、内扉4の下部には商品取出口2aに通じる孔4aが設けられ、この孔4aにはフラップドア4bが設けられている。
【0011】
図示を省略してあるが、前記内箱3内は着脱自在な仕切板(図示省略)によって左右方向に並ぶ複数の庫室(符号なし)に仕切られており、各庫室それぞれに前後3連のサーペンタインラック5が配置されている。各サーペンタインラック5内には缶飲料や瓶飲料等の商品Gが横向き状態で上下に連なって収納されている。また、各サーペンタインラック5は商品投入用の入口を上部に有し、且つ、商品排出用の出口を下部に有しており、各々の出口には、収納商品Gを1個ずつ落下させるための商品搬出機6が設けられ、また、商品搬出機6と所定間隔をおいて向き合うように第1ヒータ7が設けられている。
【0012】
前記第1ヒータ7は遠赤外線セラミックパネルヒータ等から成り、図2に示すように、販売直前の商品G1を含む下から3つの商品G1〜G3を個別に加温可能な横長の第1加熱部7a,第2加熱部7b及び第3加熱部7cを上下方向に独立して有している。また、販売直前の商品G1の側方位置には、同商品G1の温度を接触または非接触で検知し得る第1温度センサ8が商品落下を妨げないようにして設けられている。
【0013】
また、前記内箱3内の後部にはダクト板9が配置され、前記内箱3内の下部にはダクト板9の下端と連続するようにシュート板10が配置されており、ダクト板9の後側空間とシュート板10の下側空間によってエアダクト11が形成されている。シュート板10は通気用の多数の孔10aを有し、各サーペンタインラック5から搬出された商品Gがフラップドア4bに案内されるように前下がりに傾斜している。
【0014】
前記シュート板10の下側空間には、蒸発器12,シーズヒータ等から成る第2ヒータ13,庫内空気循環用のファンモータ14及び庫内温度検出用の第2温度センサ15が配置されている。また、前記内箱3の下側に形成された機械室16には、凝縮器17,凝縮器用のファンモータ18及び圧縮機19が配置されている。ちなみに、前記の蒸発器12,凝縮器17及び圧縮機19は図示省略の膨張手段等と共に冷却機を構成している。
【0015】
次に、図3を参照して前記自動販売機が備える加温制御回路の構成について説明する。
【0016】
加温制御回路は、マイクロコンピュータ構成の制御部21と、制御部21からの信号に基づいて各第1ヒータ7への給電制御を行う第1電源部22と、制御部21からの信号に基づいて第2ヒータ13への給電制御を行う第2電源部23を備えている。制御部21には、商品温度検出用の第1温度センサ8と庫内温度検出用の第2温度センサ15が接続され、前記第1電源部22及び第2電源部23が接続されている。
【0017】
前記第1電源部22の給電端子には、各第1ヒータ7の第1加熱部7a,第2加熱部7b及び第3加熱部7cが個別に接続されており、各第1ヒータ7の第1加熱部7a,第2加熱部7b及び第3加熱部7cへの給電は第1電源部22によって任意に選択できるようになっている。
【0018】
次に、前記自動販売機の動作を説明する。
【0019】
前記自動販売機は内箱3内に形成された各室単位で商品冷却モードと商品加温モードの運転を選択的に行うことができる。運転モードとして商品冷却が選択されている場合には、圧縮機19,凝縮器用ファンモータ18及び庫内空気循環用ファンモータ14が作動し、蒸発器12で冷却された空気が図1に矢印で示す方向に循環して、サーペンタインラック5に収納されている商品Gが冷却される。具体的には、第2温度センサ15によって検出される庫内循環空気の温度が冷却設定温度以下のときに圧縮機の作動を停止し、且つ、庫内循環空気の温度が冷却設定温度よりも高いときに圧縮機の作動を再開するような運転制御が行われ、庫内循環空気の温度(収納商品Gの温度)が所定の冷却設定温度、例えば5℃に維持される。
【0020】
一方、運転モードとして商品加温が選択されている場合には、第2ヒータ13及び庫内空気循環用ファンモータ14が作動し、第2ヒータ13で加温された空気が図1に矢印で示す方向に循環して、サーペンタインラック5に収納されている商品Gが加温される。具体的には、第2温度センサ15によって検出される庫内循環空気の温度が加温設定温度PT2以上のときに第2ヒータ13への給電を停止し、且つ、庫内循環空気の温度が加温設定温度PT2よりも低いときに第2ヒータ13への給電を再開するような運転制御が行われ、庫内循環空気の温度(収納商品Gの温度)が所定の加温設定温度PT2に維持される。ちなみに、この加温設定温度PT2は、消費電力削減のため従来の加温設定温度(60℃)よりも低い温度、例えば30℃に定められている。
【0021】
第2ヒータ13で加温された空気を循環させて収納商品Gを加温するときには、これと同時に、第1ヒータ7の少なくとも第1加熱部7aに電力が供給され図2に示した3つの商品G1〜G3のうち少なくも販売直前の商品G1が加温される。具体的には、図4(A)に示すように、第1温度センサ8によって検出される商品温度t1が加温設定温度PT1以上のときに第1ヒータ7への給電を停止し、且つ、商品温度t1が加温設定温度PT1よりも低いときに第1ヒータ7への給電を再開するような運転制御が行われ、少なくも販売直前の商品G1の温度が所定の加温設定温度PT1、例えば60℃に維持される。また、商品Gが売り切れ状態になったときには第1ヒータ7への給電を強制的に停止するような制御を行う。
【0022】
つまり、第1ヒータ7による商品加温は、第2ヒータ13で加温された空気を循環させることによって加温設定温度PT2(30℃)に加温された商品Gのうち、少なくとも販売直前の商品G1を前記加温設定温度PT2よりも高い加温設定温度PT1(60℃)に昇温させる役割を果たしている。
【0023】
また、第1ヒータ7によって商品Gを加温するときには、各サーペンタインラック5に収納されている商品G毎の販売状況に応じて、各第1ヒータ7の第1加熱部7a,第2加熱部7b及び第3加熱部7cの何れを給電対象とするかが単位時間毎に選択される。具体的には、金銭の投入,商品選択ボタンの押圧及び商品搬出機6の作動の手順で商品Gが販売される度に、その商品種別と販売時刻のデータを前記制御部21に記憶しておき、図4(B)に示すように、単位時間毎、例えば1時間毎に前記データから所定時間当たり、例えば1時間当たりの商品G別の販売数量を前記制御部21で演算し、販売数量が小の時刻帯では販売直前の商品G1に対応する第1加熱部7aのみを給電対象とし、販売数量が中の時刻帯では販売直前の商品G1と下から2番目の商品G2に対応する第1加熱部7a及び第2加熱部7bを給電対象とし、販売数量が大の時刻帯では販売直前の商品G1と下から2番目の商品G2と下から3番目の商品G3に対応する第1加熱部7a,第2加熱部7b及び第3加熱部7cがそれぞれ給電対象となるような選択を行う。
【0024】
つまり、販売数量が小の時刻帯では消費電力削減のために販売直前の商品G1のみを加温設定温度PT1に維持するような運転が行われ、販売数量が大の時刻帯では連続した商品販売に追従できるように販売直前の商品G1と下から2番目の商品G2と下から3番目の商品G3を加温設定温度PT1に維持するような運転が行われ、販売数量が中の時刻帯では販売数量が小の場合と販売数量が大の場合の中間的な運転が行われる。
【0025】
このように前述の自動販売機によれば、商品加温時には、第2ヒータ13で加温された空気を循環させて収納商品Gを加温するときの加温設定温度PT2を最終的な加温設定温度PT1(60℃)よりも低い温度に定めておき、第1ヒータ7によって少なくとも販売直前の商品G1を前記加温設定温度PT2よりも高い加温設定温度PT1(60℃)に昇温させているので、第2ヒータ13で加温された空気を循環させて収納商品Gを前記加温設定温度PT1(60℃)に維持する従来装置に比べて、第2ヒータ13及び第1ヒータ7の消費電力、即ち、商品加温時におけるヒータのトータル的な消費電力を削減してランニングコストの低減に貢献できる。
【0026】
また、商品G毎の販売状況に応じて各第1ヒータ7の第1加熱部7a,第2加熱部7b及び第3加熱部7cの何れを給電対象とするかを選択し、販売数量が小の時刻帯では販売直前の商品G1のみを加温設定温度PT1に維持するような運転が行ない、販売数量が大の時刻帯では販売直前の商品G1と下から2番目の商品G2と下から3番目の商品G3を加温設定温度PT1に維持するような運転を行っているので、第1ヒータ7の消費電力を極力削減して前記ランニングコストの低減により一層貢献できる。
【0027】
さらに、サーペンタインラック5に収納されている商品Gが売り切れ状態になったときにはこのサーペンタインラック5の第1ヒータ7への給電を強制的に停止しているので、無駄な電力消費を抑制して前記ランニングコストの低減により一層貢献できる。
【0028】
尚、前述の説明では、第2ヒータ13で加温された空気を循環させて収納商品Gを加温するときの予備的な加温設定温度PT2として30℃を例示し、また、第1ヒータ7によって少なくとも販売直前の商品G1を加温するときの最終的な加温設定温度PT1として60℃を例示したが、PT2<PT1の関係となれば前記同様の効果を得ることができるので、前記加温設定温度PT2は30℃以外の値に定めてもよく、前記加温設定温度PT1は60℃以外の値に定めてもよい。
【0029】
また、前述の説明では、第2ヒータ13で加温された空気を循環させて収納商品Gを加温するときの予備的な加温設定温度PT2を最終的な加温設定温度PT1よりも低い温度に定めておき、第1ヒータ7によって少なくとも販売直前の商品G1を前記加温設定温度PT2よりも高い加温設定温度PT1(60℃)に昇温させるものを示したが、第2ヒータ13を排除して第1ヒータ7のみによって少なくとも販売直前の商品G1を加温設定温度PT1に昇温させるようにしても、熱負荷が小さいことを理由に前記同様の効果を得ることができる。
【0030】
更に、前述の説明では、第1ヒータ7として3つの加熱部7a〜7cを有するものを示したが、4以上の加熱部を有するものを第1ヒータとして用い、販売直前の商品G1を含む下から4以上の商品Gを選択的に加熱できるように構成してもよい。とりわけ、先に述べたように第2ヒータ13を排除して第1ヒータ7のみによって少なくとも販売直前の商品G1を加温設定温度PT1に昇温する場合には、4以上の商品Gを選択的に加熱できるように構成しておくと、販売数量が大の時刻帯でも連続した商品販売に十分に追従できる商品加温を行うことができる。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、商品加温時におけるヒータの消費電力を削減してランニングコストの低減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を係る自動販売機の側面側の縦断面図
【図2】図1に示した自動販売機の部分拡大図
【図3】図1に示した自動販売機が備える加温制御回路のブロック図
【図4】図1に示した自動販売機における加温制御プログラムの流れ図
【符号の説明】
5…サーペンタインラック、G,G1,G2,G3…商品、6…商品搬出機、7…第1ヒータ、7a…第1加熱部、7b…第2加熱部、7c…第3加熱部、8…商品温度検出用の第1温度センサ、13…第2ヒータ、14…庫内空気循環用ファンモータ、15…庫内温度検出用の第2温度センサ。

Claims (4)

  1. 複数の商品収納ラックそれぞれに収納された缶飲料等の商品を所定温度に加温して販売する自動販売機において、
    各商品収納ラックの出口付近に設けられ、販売直前の商品を含む複数の商品を個別に加熱可能な複数の加熱部を有するヒータと、
    前記複数の商品のうち少なくとも販売直前の商品が所定の加温設定温度に維持されるように各ヒータの複数の加熱部への選択的な給電を制御する温度制御手段とを備える、
    ことを特徴とする自動販売機。
  2. 各商品収納ラックに収納されている商品の販売状況に基づき、販売数量が大の時刻帯では複数の加熱部全てを給電対象とし、且つ、販売数量が小の時刻帯では少なくとも販売直前の商品に対応する加熱部を給電対象とする給電対象選択手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
  3. 商品収納ラックに収納されている商品が売り切れ状態となったときにこの商品収納ラックのヒータへの給電を強制的に停止する加熱強制停止手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
  4. 商品収納ラックが配置された庫室内に設けられた第2のヒータと、第2のヒータで加温された空気を庫室内で循環させる送風手段と、庫内循環空気が前記加温設定温度よりも低い所定の加温設定温度に維持されるように第2のヒータへの給電を制御する第2の温度制御手段とを備える、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動販売機。
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