JP4024509B2 - 鉄道車両の塗油方法と装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は鉄道車両の塗油方法と装置に関し、詳しくは、車両が走行している軌条の特定の部分、主として軌条の頭部における車輪のフランジが圧接する内側隅肩部に塗油する塗油方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような軌条への塗油に用いる塗油具はオイルを必要に応じて噴霧できるようにしたいわゆる噴射弁が一般的になっているが、種々なタイプが用いられてきたし、用いることができる。いずれにしても、軌条の頭部の上面にオイルが及ぶのでは車両の走行にスリップが生じ、前記内側隅肩部を外したのでは車輪と最も強く摩擦する部分の潤滑が不足したり望めなかったりし、またオイルが無駄になる。そこで、人手によって塗油するのではコスト高になるし、頻繁に対応できない。
【0003】
このため、軌条の特定部分への塗油は正確に自動的に行われる必要がある。従来これを満足したものとして、図12、図13に示すような塗油装置が提案され実用されている。このものは、輪軸bを軸受する軸箱aに基部をボルトdにより固定した取付け腕cを設け、この取付け腕cの下端に噴射弁fに一体化された取付け金f1をボルトgと長孔hとによって高さ調節できるように取り付け、噴射弁fを所定の位置に固定的に支持するようにしている。
【0004】
ボルトgと長孔hによる噴射弁fの高さ調節は、輪軸bに設けられた車輪jの摩耗に対応するためのものである。車輪jは例えば外径860mmの車輪jで780mmの外径になるまで、つまり踏面で40mmの減少があるまで使用され、これに伴い噴射弁fの高さが40mmの範囲で徐々に低くなる。そこで、車輪jが規定量減る都度、前記の高さ調節を行って噴射弁fの支持高さを適正に設定し直す。これによって、噴射弁fは車輪jの摩耗の影響なしに軌条kの特定の部分、例えば頭部における内側の隅肩部k1に潤滑用のオイルを正確に塗油し続けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のような塗油装置は図12、図13に示すように、軸箱aをその車両で見た前後の両側で各種ばねmやリンクなどによって台車枠nとの間で支持する支持形式の台車にしか適用できない。それは、この支持形式では軸箱aは前後のばねm等による支持によってレール面に対し輪軸bまわりにほとんど回動せず、車輪摩耗以外高さもほとんど変化しないので、塗油の位置精度上からは上下左右を含め車輪jと軸箱aとがほぼ一体と見なせることによる。従って、噴射弁fの支持位置は車輪jの摩耗による高さの変動だけが問題であり、前記高さ調節によって対応すれば足りることになる。
【0006】
これに対し、軸箱aが前後の一方でしか台車枠nとの間で支持されない支持方式の台車では、軸箱aの輪軸bまわりの回動量が大きい上、噴射弁fの支持位置が輪軸bから大きく離れる分だけ軸箱aの輪軸bまわりの回動が拡大して噴射弁fに伝達されるため、軸箱aに固定的に支持した噴射弁fでは車両走行中の高さ変動が大きく、上記した従来の塗油装置では軌条kの特定の部分に自動的に正確に塗油し続けることはできない。
【0007】
このような問題に対応するのに本発明者等は、噴射弁fの位置変動を自動的に検出し、検出した噴射弁fの位置情報を基に、噴射弁fの支持位置を電気的な制御によって補正することを考えたが、応答性など性能上実用するのに困難な点が多いし高価につく。
【0008】
また、噴射弁fは軸箱aに片持ち支持されて塗油位置附近まで大きく延びた取付け腕cにより固定的に支持している結果、軌条の継ぎ目や波状摩耗などによって、取付け金f1や噴射弁fに大きな衝撃荷重、例えば20G程度以上の衝撃が頻繁に働くので、金属疲労破壊を起こしやすいのでこれに対応するため大型化しばね下荷重が勢い増大する問題もある。
【0009】
本発明の主たる目的は、軸箱が輪軸まわりに大きく回動するような支持形式の台車にても、軌条の特定部分に正確に塗油し続けられる簡単で安価な鉄道車両の塗油装置を提供することにあり、さらには、軽量化も図れるようにするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の鉄道車両の塗油方法は、台車の軸箱の一部に支持した塗油具にて、車両が走行している軌条の特定部分に塗油する鉄道車両の塗油方法において、軸箱の輪軸中心よりも車両で見た前後の一方側に揺動中心を持ってこの揺動中心よりも少なくとも下方に塗油具を支持した揺動部材と、前記揺動中心から塗油位置までの間の支持部材ないしは塗油具に一端が連結され、かつ、台車枠ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心に対し前記揺動中心とは前後反対側の位置に他端が連結され、両端の連結位置を結ぶ線が前記揺動中心よりも下に位置した連結部材との、連結関係によって、軸箱の輪軸まわりの回動による塗油具の変位を、そのときの台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位の、前記塗油具への塗油具の前記変位と向きが反転した機械的な伝達により相殺して、軸箱上の塗油具を軌条の特定部分に塗油できる位置に補正することを特徴とするものである。
【0011】
このような構成では、軸箱が輪軸まわりに回動してそれに支持されている塗油具が前記回動に応じて上下に変位するのに併せ、そのときの台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位が、前記塗油具の変位と向きが反転して前記塗油具に機械的にほぼ時間差なく伝達されることにより、塗油具の前記上下の変位が応答性よく確実に相殺されるので、塗油具を軌条の特定の部分に塗油できる位置に常に精度よく補正することができる。同時に、特別なアクチュエータや制御が不要であって安価に実現する。
【0012】
このような方法を達成する鉄道車両の塗油装置としては、軸箱の輪軸中心よりも車両で見た前後の一方側に揺動中心を持ってこの揺動中心よりも少なくとも下方に塗油具を支持した揺動部材と、前記揺動中心から塗油位置までの間の支持部材ないしは塗油具に一端が連結され、かつ、台車枠ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心に対し前記揺動中心とは前後反対側の位置に他端が連結され、両端の連結位置を結ぶ線が前記揺動中心よりも下に位置した連結部材との、連結によって、台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位が軸箱上の塗油具の軸箱の輪軸まわりの回動に伴う変位と向きが反転して機械的に伝達する伝達手段にて連結したことを特徴とするもので足り、これによって塗油具およびその揺動支持部材の重量を支持する働きをしてそれらの軌条の継ぎ目や波状摩耗による衝撃荷重を分力として受け止められるので、塗油具およびその揺動支持部材の必要強度を軽減して伝達手段を含めた総重量が低減しばね下荷重が大幅に軽減する。
【0013】
伝達手段がリンクであると機構が単純でより安価なものとなるし、連結位置や連結の向きの選択によって種々な設計ができる。
【0014】
例えば、塗油具が軸箱上の輪軸中心よりも車両で見た前後の一方の側に揺動中心を持ち、この揺動中心から少なくとも下方に塗油位置を持つように支持され、リンクが前記揺動中心から塗油位置までの間の支持部材ないしは塗油具に一端が連結され、かつ、台車枠ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心に対し前記揺動中心とは前後反対側の位置に他端が連結され、両端の連結位置を結ぶ線が前記揺動中心よりも下に位置している設計とすることができる。
【0015】
以上のようなリンクの長さ調節によって塗油具の原点位置を自由に調節することができる。また、塗油具の揺動中心から塗油位置までのどの位置にリンクを連結するかによって、塗油具の変位に対する台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位による相殺比率を簡単に設定することができる。
【0016】
少なくとも塗油具の揺動中心部がゴムブシュにて回り対偶を介し支持されていると、軌条の継ぎ目や波状摩耗などにより塗油具およびその揺動支持部材に働く衝撃荷重を吸収してそれらの金属疲労を軽減し、かつ塗油具およびその揺動支持部材と台車ないしはそれに代わる部分との間の輪軸の軸線方向などあらゆる方向の微小な相対移動を吸収することができ、それらに起因した金属疲労を抑制するとともに損傷、破損を防止することができる。
【0017】
リンクが少なくとも一方の連結部に自在対偶を持っていると、リンクによる連結部間に生じる輪軸の軸線方向を含むあらゆる方向の相対移動を吸収することができ、この相対移動による塗油具およびその揺動支持部材と台車ないしはそれに代わる部分、相互の連結部などが損傷したり破損するようなことを防止して連結部およびそのまわりの金属疲労を軽減し長寿命化を図ることができる。自在対偶に代えてゴムブシュを介した連結によるのと同様の作用が得られる上、ゴム弾性による緩衝、吸振の作用も得られ耐久性が高まる。
【0018】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限りにおいて種々な組合せで複合して用いることができる。
【0019】
【実施例】
本発明の実施例は、図1〜図7に示す例、および図8〜図11に示す例のいずれも、鉄道車両において従来塗油装置が装備できなかった片側だけでの軸箱支持形式を採った台車に適用した場合の一例である。しかし、本発明はこれに限られず各種の軸箱支持形式の台車に適用して有効である。
【0020】
本実施例の塗油方法と装置を適用した鉄道車両の台車は、図1、図8に示すように輪軸1を軸受する軸箱2を台車枠3に対し輪軸中心1a対応部間で軸ばね51を働かせるのに併せ、輪軸中心1aの車両で見た前後方向の一方で例えば図5に示すような円筒状の積層ゴムばね4単独で支持している。積層ゴムばね4に代えて他の単独支持構造、複合支持構造など種々な支持構造を採用したものでもよいのは勿論である。本実施例の塗油方法は、図1〜図7の例、図8〜図11の例で示すように、台車10の軸箱2の一部に支持した塗油具5にて、車両が走行している軌条6の図2、図9に示すような特定部分6aに塗油するのに、軸箱2の輪軸1まわりの回動による塗油具5の図7(a)に実線、一点鎖線、二点鎖線で例示するような変位を、前記塗油具5への前記変位と向きが反転した機械的な伝達により相殺して、図7(b)に示すように軸箱2上の塗油具5を軌条6の特定部分6aに塗油できる位置に補正する。軌条6の特定部分6aは一般的には頭部6bにおける車輪7のフランジ7aが強く接触する内側隅肩部である。
【0021】
このような塗油方法によると、軸箱2が輪軸1まわりに回動してそれに支持されている塗油具5が前記回動に応じて図7(a)に示すように上下に変位使用とするのに併せ、そのときの台車枠3ないしはこれに代わる部分の軸箱2に対する図8に最大沈み込み時と最大伸び上がり時とで示すような前記相対変位が、塗油具5の図7(a)に示すような上下の変位と向きが反転して前記塗油具5に機械的にほぼ時間差なく伝達される。これにより、塗油具5の前記上下の変位が応答性よく確実に相殺され、塗油具5を図7(b)に示すように軌条6の特定部分6aに塗油できる位置に常に精度よく補正することができ、片側だけでの軸箱支持形式を採った台車10における軸箱2の大きな回動にも十分に対応できる。同時に、特別なアクチュエータや制御が不要であって安価に実現する。このように塗油具5の位置を補正するために塗油具5を軸箱2に可動に支持するときの動きの種類や支持構造は種々に選択することができる。例えば、一点を中心とした揺動やスライド、あるいは複数の動きが複合する動作方式などが考えられる。
【0022】
このような方法を達成する塗油装置としては、図1〜図7の例、図8〜図11の例で示すように、台車10の軸箱2の一部に少なくとも輪軸1とほぼ平行な揺動中心11まわりに揺動できるように塗油具5を支持し、塗油具5の前記揺動中心11を外れた部分と台車枠3ないしはこれに代わる部分とを、この台車枠3ないしはこれに代わる部分の軸箱2に対する図8に最大沈み込み時と最大伸び上がり時で示すような相対変位が軸箱2上の塗油具5の軸箱2の輪軸1まわりの回動に伴う図7(a)に示すような上下の変位の方向と反転した向きで機械的に伝達する伝達手段12にて連結したもので足りる。これによって塗油具5およびその揺動支持部材13の重量を支持する働きをしてそれらの車両の急な加減速や各部の変位および振動による衝撃荷重を受け止められるので、塗油具5およびその揺動支持部材13の必要強度を軽減して伝達手段12を含めた総重量が低減しばね下荷重が大幅に軽減する。
【0023】
伝達手段12はリンクや各種レバー、それらが複合した機構などを自由に用いることができ、図1〜図7の例、図8〜図11の例で示すようにリンク14によるものであると機構が単純でより軽量かつ安価なものとなるし、連結位置や連結の向きの選択によって種々な設計ができる。
【0024】
図1〜図7の例、図8〜図11の例では、塗油具5が軸箱2上の輪軸中心1aよりも車両で見た前後の一方の側、図1、図8では左側に揺動中心11を持ち、この揺動中心11から少なくとも下方に塗油部15を持つように支持され、リンク14が前記揺動中心11から塗油部15までの間の揺動支持部材13ないしは塗油具5に一端が連結され、かつ、台車枠3ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心1aに対し前記揺動中心11とは前後反対側、つまり図1、図8では右側の位置に他端が連結され、両端の連結位置21、22を結ぶ線が前記揺動中心11よりも下に位置している設計としてある。これによると、リンク14の長さ調節によって塗油具5の原点位置を自由に調節することができる。また、塗油具5の揺動中心11から塗油部15までのどの位置にリンク14を連結するかによって、塗油具5の変位に対する台車枠3ないしはこれに代わる部分の軸箱2に対する相対変位による相殺比率を簡単に設定することができる。塗油具5は供給されているオイルを弁の適時な開閉に従い吐出口から噴射して軌条6の特定部分6aに所定の範囲で吹き付ける噴射弁の場合の一例を示し、吐出口が塗油部15に相当し非接触塗油を行う。もっとも、他の方式の非接触塗油具を用いてもよいし、場合によっては接触塗布方式のものでもよい。
【0025】
図1〜図7の例では揺動支持部材13上の塗油具5を支持している直ぐ近くにリンク14との連結位置21を持ち、図8〜図11に示す例では揺動支持部材13の揺動中心11と塗油具5とのほぼ中間部分にリンク14との連結位置21を持っている。従って、台車枠3ないしはこれに代わる部分の軸箱2に対する相対変位は図1〜図7に示す例の場合よりも、図8〜図11に示す例の場合の方が塗油具5側に大きく拡大して伝達される。このような拡縮率を自在に設定するのに、リンク14の揺動支持部材13への連結位置を調節できるようにするのが便利である。リンク14の長さ調節はリンク14とロッドエンド14aとの二重ナット40を持った連結部にて行うこともできるが、途中にターンバックルを設けると広い範囲での長さ調節ができる。
【0026】
さらに具体的には、図1〜図8に示す例では、揺動支持部材13は、軸箱2の側面に取付け座31aを当てがってボルト32によりばねワッシャを介し固定し、取付け座31aの中央部から取付け座31aに幅方向が直角な向きとなって斜め下方に延びる板状の支え部材31と、この支え部材31の下端にボルト・ナットタイプの軸33によるばねワッシャを介した取付けにて基部が連結されて揺動中心11を構成し、車輪7と平行に車輪7の外周に対応する位置まで延びた板状の揺動部材34とからなり、揺動部材34の先端に車輪7から少し外れて被さる形の折り曲げ部34aに塗油具5をボルト・ナット235と長孔236とによってばねワッシャを介し高さ調節できるように固定してある。この高さ調節によって車輪7の摩耗に対応することができ、リンク14の長さ調節を特に必要としない。しかし、双方を併用してもよいのは勿論である。
【0027】
揺動中心11まわりで揺動部材34は、図1、図6に示すようにゴムブシュ35にて回り対偶および摺動対偶を介し支え部材31に支持している。ゴムブシュ35は図6に示すように金属製の内外筒35a、35b間に挟まれた一体物で、支え部材31の厚みを増大させた部分の支持孔36に圧入され、内筒35aの両端は支持孔36から少し突出している。一方、揺動部材34の基部は二股部34bとされて前記ゴムブシュ35を挟み入れて軸33が内筒35aを遊びなく通るようにしてあり、内筒35aが支持孔36から突出している分だけゴムブシュ35と揺動中心11の方向に遊びSを持っている。
【0028】
これにより、ゴムブシュ35は左右揺動などにより主として揺動中心11と直角な方向で塗油具5およびその揺動支持部材13に働く衝撃荷重や振動を吸収してそれらの金属疲労を軽減し、かつ塗油具5およびその揺動支持部材13と台車枠3ないしはそれに代わる部分との間の輪軸1の軸線方向を含むあらゆる方向の微小な相対移動を吸収することができ、それらに起因した金属疲労や損傷、破損を抑制ないしは防止し、長寿命化を図ることができる。
【0029】
また、リンク14は図1〜図4に示すようにその両端に自在対偶をなす球継手を持ったロッドエンド14aを採用して、揺動部材34および台車枠3側にばねワッシャを介し軸38、39に連結してある。これにより、リンク14による連結位置21、22間に生じる輪軸1の軸線方向を含むあらゆる方向の相対移動を吸収することができ、この相対移動による塗油具5およびその揺動支持部材13と台車枠3ないしはそれに代わる部分、相互の連結部などが損傷したり破損するようなことを防止することができる。
【0030】
リンク14の軸39による台車枠3側との連結は、台車枠3の内筒40が、軸梁2aに圧入された積層ゴムばね4に貫通して、積層ゴムばね4が内筒40との間で上下、左右、前後に働くようにして、押え金41により固定してあり、押え金41の下端にボルト42によってばねワッシャを介し板状の連結部材43を固定し、この連結部材43における横向きの取付け座43aの一辺から真下に折れ曲がった連結片43bにボルト・ナットタイプの軸39をばねワッシャを介し取付けてリンク14と連結してある。
【0031】
図8〜図11に示す例では、軸箱2の車輪7と対向する内側面に取付け座31aをボルト32により固定しそこからストレートに延びた板状の支え部材31に揺動部材34が先の例と同様にゴムブシュ35にて回り対偶を介し支持するように取付けてある。ゴムブシュ35は軸線方向に2分割しているが、これに限られることはなく先の例のように一体のものとすることもできる。揺動部材34は折り曲げ部34aおよび二股部34bを持った基部341と塗油具5を固定した先端部342との2部材で構成し、折り曲げ部34aでの互いの重ね合わせ部をボルト・ナット343によりばねワッシャを介し固定して接続している。この接続方式により、塗油具5の上下、左右方向の位置を別々に調整できるので好都合である。また、リンク14と揺動部材34との軸38による連結をゴムブシュ35にて回り対偶を介して行い、なおかつ、リンク14の連結端がゴムブシュ35とともに軸38上で軸方向の遊びSを持って摺動対偶を持つ構成にしてあり、自在対偶の場合同様な働きをする上、ゴム弾性による吸振作用を発揮することができる。他の詳細な構成および奏する作用は先の例と同様であるので、同じ部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0032】
【発明の効果】
本発明の鉄道車両の塗油方法、装置によれば、軸箱が輪軸まわりに回動してそれに支持されている塗油具が前記回動に応じて上下に変位するのに併せ、そのときの台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位が、前記塗油具の変位と向きが反転して前記塗油具に機械的にほぼ時間差なく伝達されて、塗油具の前記上下の変位が応答性よく確実に相殺されるので、塗油具を軌条の特定の部分に塗油できる位置に常に精度よく補正することができる。同時に、特別なアクチュエータや制御が不要であって安価に実現する。
【0033】
特に、前記相対移動の伝達のために、軸箱上に揺動支持部材により支持した塗油具側と台車枠ないしはこれに代わる部分とを連結する機械的な伝達手段が、動きを伝達するだけでなく、それによって塗油具およびその揺動支持部材の重量を支持する働きをしてそれらの軌条の継ぎ目や波状摩耗などによって生じる振動による衝撃荷重を受け止めるので、塗油具およびその揺動支持部材の必要強度を軽減して伝達手段を含めた総重量が低減しばね下荷重が大幅に軽減する。
【0034】
伝達手段がリンクであると機構が単純でより安価なものとなるし、連結位置や連結の向きの選択によって種々な設計ができる。また、リンクの長さ調節によって塗油具の原点位置を自由に調節することができる。また、塗油具の揺動中心から塗油位置までのどの位置にリンクを連結するかによって、塗油具の変位に対する台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位による相殺比率を簡単に設定することができる。
【0035】
少なくとも塗油具の揺動中心部がゴムブシュにて回り対偶を介し支持されていると、軌条の継ぎ目や波状摩耗などにより塗油具およびその揺動支持部材に働く衝撃荷重を吸収してそれらの金属疲労を軽減し、かつ塗油具およびその揺動支持部材と台車ないしはそれに代わる部分との間の輪軸の軸線方向などあらゆる方向の微小な相対移動を吸収することができ、それらに起因した金属疲労を抑制するとともに損傷、破損を防止することができる。
【0036】
リンクが連結部に自在対偶を持っていると、リンクによる連結部間に生じる輪軸の軸線方向を含むあらゆる方向の相対移動を吸収することができ、この相対移動による塗油具およびその揺動支持部材と台車ないしはそれに代わる部分、相互の連結部などが損傷したり破損するようなことを防止して連結部およびそのまわりの金属疲労を軽減し長寿命化を図ることができる。自在対偶に代えてゴムブシュを介した連結としても同様の作用が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る鉄道車両の塗油方法および装置の1つの例を示す台車の軸箱まわりの側面図である。
【図2】図1の軸箱まわりを塗油具側から見た正面図である。
【図3】図1の軸箱まわりの平面図である。
【図4】図3の要部を拡大して見た平面図である。
【図5】図1の台車における台車枠と塗油装置との連結部を示す断面図である。
【図6】図1の塗油装置の支え部材と揺動部材との連結構造を示す断面図である。
【図7】図2と同じ側から見た塗油具の上下変位の範囲を示し、その(a)は補正無しの状態、その(b)は補正有りの状態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例に係る鉄道車両の塗油方法および装置の別の例を示す台車の軸箱まわりの側面図である。
【図9】図8の軸箱まわりを塗油具側から見た正面図である。
【図10】図8の軸箱まわりの平面図である。
【図11】図10の要部を拡大して見た平面図である。
【図12】従来の鉄道車両の塗油方法および装置の別の例を示す台車の軸箱まわりの側面図である。
【図13】図12の軸箱まわりを塗油具側から見た正面図である。
【符号の説明】
1 輪軸
1a 輪軸中心
2 軸箱
3 台車枠
4 積層ゴムばね
5 塗油具
6 軌条
6a 特定部分
7 車輪
7a フランジ
10 台車
11 揺動中心
12 伝達手段
13 揺動支持部材
14 リンク
14a ロッドエンド
21、22 連結位置
31 支え部材
34 揺動部材
35 ゴムブシュ
Claims (6)
- 台車の軸箱の一部に支持した塗油具にて、車両が走行している軌条の特定部分に塗油する鉄道車両の塗油方法において、
軸箱の輪軸中心よりも車両で見た前後の一方側に揺動中心を持ってこの揺動中心よりも少なくとも下方に塗油具を支持した揺動部材と、前記揺動中心から塗油位置までの間の支持部材ないしは塗油具に一端が連結され、かつ、台車枠ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心に対し前記揺動中心とは前後反対側の位置に他端が連結され、両端の連結位置を結ぶ線が前記揺動中心よりも下に位置した連結部材との、連結関係によって、軸箱の輪軸まわりの回動による塗油具の変位を、そのときの台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位の、前記塗油具への塗油具の前記変位と向きが反転した機械的な伝達により相殺して、軸箱上の塗油具を軌条の特定部分に塗油できる位置に補正することを特徴とする鉄道車両の塗油方法。 - 軸箱の輪軸中心よりも車両で見た前後の一方側に揺動中心を持ってこの揺動中心よりも少なくとも下方に塗油具を支持した揺動部材と、前記揺動中心から塗油位置までの間の支持部材ないしは塗油具に一端が連結され、かつ、台車枠ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心に対し前記揺動中心とは前後反対側の位置に他端が連結され、両端の連結位置を結ぶ線が前記揺動中心よりも下に位置した連結部材との、連結によって、台車枠ないしはこれに代わる部分の軸箱に対する相対変位が軸箱上の塗油具の軸箱の輪軸まわりの回動に伴う変位と向きが反転して機械的に伝達する伝達手段にて連結したことを特徴とする鉄道車両の塗油装置。
- 伝達手段はリンクである請求項2に記載の鉄道車両の塗油装置。
- 塗油具は軸箱上の輪軸中心よりも車両で見た前後の一方の側に揺動中心を持ち、この揺動中心から少なくとも下方に塗油位置を持つように支持され、リンクは前記揺動中心から塗油位置までの間の支持部材ないしは塗油具に一端が連結され、かつ、台車枠ないしはこれに代わる部分の前記輪軸中心に対し前記揺動中心とは前後反対側の位置に他端が連結され、両端の連結位置を結ぶ線が前記揺動中心よりも下に位置している請求項3に記載の鉄道車両の塗油装置。
- 少なくとも塗油具の揺動中心部はゴムブシュにて回り対偶を介し支持されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の鉄道車両の塗油装置。
- リンクは少なくとも一方の連結部に自在対偶またはゴムブシュを介し連結されている請求項3〜5のいずれか1項に記載の鉄道車両の塗油装置。
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