JP4023984B2 - 非晶質無機組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、稲等の土壌中からのケイ酸分を必要とする作物に有用な土づくり資材並びに肥料として用いることのできる、非晶質無機組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
稲作に有用なケイ酸質肥料として、従来からケイカル、並びにケイ酸カリ肥料が用いられている。ケイカルはスラグを原料として製造され、SiO2、CaO、Al2O3を主成分とする、主としてアルカリ分とケイ酸を補給するための土壌改質剤である。しかしケイカルは塩酸可溶性ケイ酸分が30重量%を越えるものの、実際の土壌のpHに近い5〜7程度の領域では溶出量が極端に減少し、ケイ酸分の供給源としては非常に効率の悪い資材である。
【0003】
従って、実際に使用する場合も、田10a当たり200kgと大量に施肥しなくてはならず、それに要する労力が農家の大きな負担になっている。ケイカルは肥料の三要素のいずれをも含まない資材であるため、他の肥料と混合して使用するのが一般的であり、例えばようりん40kgをケイカル200kgと混合して散布するのが広く用いられている処方である。ようりんは、それに含まれるケイ酸分の中性に近いpH域での溶出性が高い事が知られており、燐酸質肥料であると同時にケイ酸質の供給源となっていることが認められている。
【0004】
また、ケイ酸カリ肥料のケイ酸溶出性は、ケイカルに比べると高いと言われているが、ようりんに比べるとpH5〜7では劣っており十分とは言えない。ケイ酸カリ肥料も、ケイカルの場合と同様に、ようりんと混合して施肥されることが多く、ここでもようりんがケイ酸質の供給源としての役割を果たしている。
【0005】
ケイカルの欠点であるケイ酸質溶出性が低いことを改善するために各種の試みがなされ、中でもケイ酸カリ肥料の溶出性が比較的高いことに着目してカリ成分を加える方法に基づいた、例えばケイ燐酸カリを主成分とする新規肥料組成物(特公平1−24759号公報)や緩効性熔成ケイ酸カリ苦土肥料の製造法(特公平2−23514号公報)が開示されている。
【0006】
カリウム成分は、一般に組成物をガラス化しやすくし、ケイ酸質の溶出性を改善するが、その反面、カリ原料が高価であるため得られた製品も高価になる、十分に高いケイ酸溶出性を確保するにはカリ含有量を高くしなければらなず不経済である、カリウムが強アルカリであるため製造設備の炉材を浸食する、カリを加えると溶融物の粘度が上昇するため操業しにくく、それを下げようとして温度を上げるとカリが揮散する等の欠点を有している。
【0007】
一方、ようりんに含まれるケイ酸分は溶出性が高く、植物吸収性が高い事が知られている。市販されているようりんに含まれるSiO2は20〜25重量%程度であるが、ケイ酸含有量を増やすとその溶出率が低下する事が知られている。すなわち、溶成燐肥の一般的な原料配合にケイ石を加えて加熱溶融・急冷して、2%クエン酸水溶液へのケイ酸の溶出性を測定した試験例(工業化学雑誌第60巻1109頁1957年)によれば、2%クエン酸水溶液(初期pHが約2)へのケイ酸溶出量は30重量%程度で頭打ちになると記載されている。
【0008】
又、特公平2−23514号公報には、pHが4の酢酸ソーダ緩衝液を用いた可溶性ケイ酸の評価法が、植物吸収性との相関性が高いと記載されているが、実際の土壌のpHはもっと中性に近く、たまたま試験に使用した組成物のこの方法による溶出性が植物吸収性と一致したと解釈するべきと思われる。ケイ酸質の溶出性試験に関しては未だ公定法がなく、様々な方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量の施肥で有効な、特に実際の土壌のpH=5〜7付近で溶出性の高い無機組成物や、燐を含有させることにより施用前に燐肥と混合しなくてもよい、ケイ酸を主体として、燐、アルカリ分を含む資材や、 更には通常のようりん製造設備を用いて容易に製造することができ、カリを含んでいないので安価に製造できる、稲等の土壌中にケイ酸分が必要とされる作物に用いられるケイ酸質肥料並びに土壌改良材とするための、非晶質無機組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、MgO、SiO 2 、CaO及びP 2 O 5 の化学成分を所望組成に調整してなる無機質原料を、1350℃以上で加熱溶融した後、水中に投入するか又は水流を吹き付けて急冷することを特徴とする以下の特性を有する非晶質無機組成物の製造方法である。
【0011】
[非晶質無機組成物の特性]
(1)全SiO2中の4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)への溶出率が85〜93%。
(2)NMR−29Si測定時のケミカルシフト値が−76.5ppm以上−73.1ppm以下であり、NMR−29Si測定時の半値幅が13.8ppm以上18.6ppm以下。
(3)(CaO+MgO)/(SiO 2 +P 2 O 5 )のモル比が1.40〜1.80で、化学成分の含有率が、MgOが9.6〜16.0重量%、SiO 2 が32.9〜38.7重量%、CaOが34.9〜45.3及びP 2 O 5 が4.0〜7.7重量%。
【0012】
本発明においては、非晶質無機組成物のAl 2 O 3 の含有率が2重量%以下であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、本発明者らが、pH=5以上の高いpH域で高い溶出性を持つSiO2を含む組成を探求した結果、組成とその結晶性によって、溶出性が大きく変化すること、そして、特定組成を有する非晶質の組成物が前記高pH域で極めて顕著なケイ酸溶出性を示すことを見い出し、なされたものである。
【0014】
本発明で製造される非晶質無機組成物は、MgO、SiO2、CaO、P2O5 の化学成分を含み、それらの含有率が、MgOが9.6〜16.0重量%、SiO 2 が32.9〜38.7重量%、CaOが34.9〜45.3及びP 2 O 5 が4.0〜7.7重量%である。従来公知のケイ酸溶出性を有するものの多くは、例えばケイ酸カリ肥料の如くに、カリウムを主成分として含有するのに対し、本発明で製造される非晶質無機組成物はこれを主成分として有していないという特徴がある。これにより、製品価格が高くなる、製造設備の炉材を浸食する、操業しにくい等の欠点を解消することが出来る。
【0015】
非晶質無機組成物のSiO2含有量が30重量%より少ないと、十分なケイ酸溶出量が確保できず、ケイ酸質資材或いは肥料としての価値が減少する。50重量%を越えると大幅にケイ酸溶出性が下がり、中性に近い領域での溶出性が悪くなる。
【0016】
MgOは、無機組成物の溶融温度を下げる効果やケイ酸溶出率を増大させる効果があり、また肥料成分としても有効なものである。1重量%以下ではこれらの効果が十分ではなく、20重量%をこえると施用した植物の肥効成分の吸収性に拮抗作用を生じ不都合である。
【0017】
P 2O5が1重量%以下では溶融物の融点が上昇しケイ酸の溶出率が低くなりやすくなると共に、ケイ酸分とのバランス上リン分が不足するためリン肥料を混合散布する必要が生じることがある。一方、12重量%を越えると、ケイ酸の必要量を散布するとP2O5の適切な施用量を超える場合が生じることがあり好ましくない。
【0018】
また、非晶質無機組成物の(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)のモル比が1.40〜1.80である。モル比が1.2より小さくなるとケイ酸溶出量が減少し、2.5を超えるとSiO2含有量の低下や融点の上昇とケイ酸溶出性の低下が起こることがある。
【0019】
本発明で製造される非晶質無機組成物には、微量成分として有効な硼素やマンガンを含有させることもできる。硼素やマンガンの存在は、後述する製造方法において溶融温度の低下や溶融物の流動性の増加の効果があるし、得られる非晶質無機組成物の非晶質化を促し、ケイ酸の溶出性を助長する効果もある。また、不可避的に混入する鉄酸化物やアルミニウムの酸化物などが含まれてもよい。しかし、アルミニウムについては、肥料効果が無く、有効成分の含有量を低下させ、また、量が多くなるとケイ酸分の溶出性に悪影響を及ぼすので、Al 2 O3の量は2重量%以下に抑制することが好ましい。
【0020】
非晶質無機組成物の非晶質の程度については、本発明者らの実験的検討結果によれば、NMR−29Siのケミカルシフト値(以下、単にNMR−Siという)が−76.5ppm以上−73.1ppm以下であり、NMR−29Si測定時の半値幅が13.8ppm以上18.6ppm以下の拡がりを有するものである。
【0021】
NMR−Siの測定は、非晶質無機組成物を振動ミルで粉砕して、目開き150ミクロンの篩下とし、例えば、日本電子製GX270を用いて、マジックアングルスピニング下にハイパワーデカップリングを組み合わせたモードで10秒間隔に約8000回の積算を行い、ケミカルシフトの調整としてポリジメチルシランを−33.8ppmとして、測定すればよい。尚、アダマンタンを用いて13Cの高磁場側共鳴ピークの半値幅を0.147〜0.072ppmに調整したときに、単結晶シリコンの半値幅は0.7ppmとなる。本発明で製造される非晶質無機組成物は、この条件で測定したときに前記値となる。NMR−Siのチャート上のピーク形状は略組成によって決まるが、本発明の製造方法によれば、同じ組成物であってもよりピークの半値幅が大きくなる。
【0022】
非晶質無機組成物のケイ酸の溶出率とNMR−Siのケミカルシフト値は相関しており、−80ppm以上−72ppm以下にケミカルシフト値を有し、その半値幅が13ppm以上23ppm以下である非晶質無機組成物にあっては、全SiO 2 中の4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)への溶出率が70%以上となる。ここで、「溶出率」とは、前記クエン酸緩衝液中に溶出したケイ酸の量を、非晶質無機組成物中のSiO2量に対して百分率で表したものである。
【0023】
前記相関性を用い、試料の固体MNR測定を行うことのみで、前記溶出率を容易に推定することができ、手間のかかる可溶性ケイ酸の評価を省略することもできる。すなわち、クエン酸溶液を用いるケイ酸の溶出性の測定においては、溶液中の共存イオンの影響や、溶出後の溶液のpHの変化、溶出したケイ酸の再重合等分析上のいろいろな問題が生じるが、NMR−Siの測定においてはこの煩わしさがない。
【0024】
NMR−Siに基づく可溶性ケイ酸の評価の方法は、従来公知の方法に比較して、正確性においても優れているという効果を有している。即ち、NMR−Siのケミカルシフト値はSiO4の4面体構造のつながりの状態を反映し、半値幅は原子配置のランダムさを表していると考えられる。原子配置のランダムさ、すなわち非晶質状態を判別する方法としては、一般にX線回折装置を用いて回折パターンを見る方法がある。しかし、同じ組成の試料でX線回折で同じ様なブロードなパターンが得られた試料であっても、ケイ酸の溶出性が異なっている場合があった。また、他のガラス化状態の判別法として、光学顕微鏡を用いブロモホルムを滴下し透過光下で試料粒子一個一個の状態を調べて、その個数からガラス化状態を定量的に把握する方法が知られている(工業化学雑誌63巻477頁1960年)が、この方法は非常に手間のかかる方法であった。
【0025】
可溶性ケイ酸は以下に例示する方法で測定する。即ち、約100gのサンプルを従来公知の方法で採取して振動ミルで粉砕し、目開き150ミクロンの篩下とし、可溶性ケイ酸の評価試料とする。前記評価試料を1gはかりとり、クエン酸水溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを5.5に調整した4重量%クエン酸ソーダ緩衝液150mlを加え、30℃水浴中で1時間揺動する。前記溶液をろ紙でろ過して得られるろ液を純水で希釈した後、ろ液中に含まれるSiO2量をICP(誘導結合プラズマ発光分光法)で測定する。
【0026】
つぎに、本発明の非晶質無機組成物の製造方法について説明する。
【0027】
原料として、燐鉱石、蛇紋岩、ケイ石、石灰石、フェロニッケル鉱滓、フェロマンガン鉱滓、各種高炉滓、各種製鋼滓、製リンスラグ、フライアッシュ等のように、P2O5、CaO、MgO、及びSiO2 から選ばれた1種又は2種以上の化学成分を含有する通常の原料類を利用することができる。上記原料の中にはアルミナ分(Al2O3)を含むものもあるが、Al2O3の存在はケイ酸溶出率を悪化させ、またAl2O3含有量が増加すると他の成分の含有量が実質的に減るので、Al2O3含有量の増大は好ましくない。Al2O3が含まれていない原料を使用するか、またはAl2O3が含まれている原料は少量に限定して使用し、得られる非晶質無機組成物中のAl2O3 率が2重量%以下とすることが好ましい。
【0028】
前記原料を用い、揮発分の量等を考慮し、生成物が所望組成となるように混合して無機質原料を調整し、それを高温で溶融する。
【0029】
前記溶融に用いる炉(溶融炉)は、外熱式電気炉、アーク炉、高周波加熱炉等の電気炉、或いは平炉を初めとするいろいろな燃焼ガス炉等が使用できる。溶融温度は、組成にもよるが1350℃以上が望ましい。目標とする組成を有する原料が完全に溶融する温度より、およそ150℃以上高い温度で溶融すると、溶融温度から結晶化の進まない温度までの間で十分な冷却速度がとれるので好ましい。前記溶融炉のうち、後述するとおりに、溶融液を急冷することができ、非晶質化した無機組成物を容易に得ることができることから電気炉、並びに平炉が選択される。
【0030】
溶融液の急冷は、得られる無機組成物の非晶質化を達成し、ケイ酸の溶出性を高めるために必須である。急冷は、一般には、炉から抜き出した溶融液に溶融液の20〜40倍の重量の水を吹き付ける方法や、多量の水中に浸漬(投入)する方法等を適用することによって行われる。前記非晶質無機組成物を得る際の冷却方法としては、溶融温度から100℃までの所要時間は20秒以下好ましくは10秒以下とすることがよく、特に、原料が完全に溶融する温度の上下200℃の間を5秒以内とする事が望ましいので、このため、ジェット水流を当てて冷却する方法が好ましい。更に、ジェット水流を用いる冷却方法は、溶融液より砂状物を直接に得られ、後工程としての粉砕を省略することもできるという効果も得られる。
【0031】
得られた砂状物はそのままでも肥料、土壌改質剤として利用できるが、更に、必要に応じて粉砕や造粒をすることにより、施肥の際に取り扱い易くした形態にして供給することもできる。また、必要に応じて、窒素、カリなどの他の肥料を混合して、所望の組成の複合肥料とすることもできる。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕りん鉱石(中国産)、蛇紋岩、フェロニッケル鉱滓、ケイ石、炭酸カルシウム(和光純薬製)を、それぞれ1.57g、3.65g、0.34g、1.95g、5.17g混合し、白金坩堝に入れて、電気炉内に置き1500℃で加熱溶融した。電気炉から取り出した溶融物をすばやく水中に投入して組成物を得た。
【0033】
この組成物は、P2O5、SiO2、MgO、CaOをそれぞれ5.6重量%、36.5重量%、16.0重量%、37.4重量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)は1.64である。
【0034】
前記組成物を粉砕・分級して150ミクロン下の粉として、以下の評価に用いた。4%クエン酸ソーダ緩衝液(pHの初期値が5.5)への溶出ケイ酸量(以下、C−SiO2量と呼ぶ)は30.9%、溶出率(以下、ク溶率と呼ぶ)は85%だった。NMR−Siの測定を行ったところ、ピーク位置は−73.3ppm、半値幅は16.0ppmだった。
【0035】
〔実施例2〕りん鉱石、蛇紋岩、フェロニッケル鉱滓、ケイ石、石灰石を、それぞれ25.0kg、31.9kg、3.4kg、21.5kg、39.3kg混合し、100kVAの直流アーク式電気炉に投入し通電して加熱溶融した。電気炉のタップ口から流れ出た溶融物に水流を吹き付け、急冷・水砕した。
【0036】
この水砕物は、P2O5、SiO2、MgO、CaOをそれぞれ7.7重量%、38.7重量%、14.3重量%、34.9重量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)は1.40である。
【0037】
この組成物を粉砕・分級して150ミクロン下の粉を評価に用いた。4%クエン酸ソーダ緩衝液(pHの初期値が5.5)へのC−SiO2量は35.9%、ク溶率は93%だった。NMR−Siの測定を行ったところ、ピーク位置は−76.5ppm、半値幅は18.6ppmだった。
【0038】
〔実施例3〕りん鉱石、蛇紋岩、フェロニッケル鉱滓、ケイ石、炭酸カルシウム(和光純薬製)を、それぞれ2.19g、3.28g、0.34g、1.70g、5.34g混合し、実施例1と同じ操作により組成物を得た。
【0039】
この組成物は、P2O5、SiO2、MgO、CaOをそれぞれ7.7重量%、32.9重量%、14.3重量%、40.9重量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)は1.80である。
【0040】
この組成物を粉砕・分級して150ミクロン下の粉を以下の分析に用いた。4%クエン酸ソーダ緩衝液(pH=5.5)へのC−SiO2量は30.1%、ク溶率は91%だった。NMR−Siの測定を行ったところ、ピーク位置は−73.1ppm、半値幅は13.8ppmだった。
【0041】
〔実施例4〕りん鉱石、蛇紋岩、フェロニッケル鉱滓、ケイ石、炭酸カルシウムを、それぞれ1.10g、2.14g、0.34g、2.76g、7.13g混合し、実施例1と同じ操作により組成物を得た。
【0042】
この組成物は、P2O5、SiO2、MgO、CaOをそれぞれ4.0重量%、37.5重量%、9.6重量%、45.3重量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)は1.60である。
【0043】
この組成物を粉砕・分級して150ミクロン下の粉を以下の分析に用いた。4%クエン酸ソーダ緩衝液(pH=5.5)へのC−SiO2量は32.0%、ク溶率は85%だった。NMR−Siの測定を行ったところ、ピーク位置は−74.6ppm、半値幅は14.0ppmだった。
【0044】
以上の結果を表1にまとめた。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、全SiO2中の4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)への溶出率が85%以上であり、土壌中への可溶性ケイ酸を多く含み、カリウム等のアルカリ金属元素を含有しない、特に稲作用の土づくり資材あるいは肥料として有用な非晶質無機組成物を製造することができる。
Claims (2)
- MgO、SiO 2 、CaO及びP 2 O 5 の化学成分を所望組成に調整してなる無機質原料を、1350℃以上で加熱溶融した後、水中に投入するか又は水流を吹き付けて急冷することを特徴とする以下の特性を有する非晶質無機組成物の製造方法。
[非晶質無機組成物の特性]
(1)全SiO2中の4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)への溶出率が85〜93%。
(2)NMR−29Si測定時のケミカルシフト値が−76.5ppm以上−73.1ppm以下であり、NMR−29Si測定時の半値幅が13.8ppm以上18.6ppm以下。
(3)(CaO+MgO)/(SiO 2 +P 2 O 5 )のモル比が1.40〜1.80で、化学成分の含有率が、MgOが9.6〜16.0重量%、SiO 2 が32.9〜38.7重量%、CaOが34.9〜45.3及びP 2 O 5 が4.0〜7.7重量%。 - 非晶質無機組成物のAl 2 O 3 の含有率が2重量%以下である請求項1記載の製造方法。
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