JP2001026487A - 無機組成物とそれを用いた肥料、土壌改質剤 - Google Patents

無機組成物とそれを用いた肥料、土壌改質剤

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JP2001026487A
JP2001026487A JP2000146281A JP2000146281A JP2001026487A JP 2001026487 A JP2001026487 A JP 2001026487A JP 2000146281 A JP2000146281 A JP 2000146281A JP 2000146281 A JP2000146281 A JP 2000146281A JP 2001026487 A JP2001026487 A JP 2001026487A
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Masahiro Ibukiyama
正浩 伊吹山
Shinichi Yanagi
慎一 柳
Yoichiro Furukawa
洋一郎 古川
Makoto Tomita
誠 冨田
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HINODE KAGAKU KOGYO
HINODE KAGAKU KOGYO KK
Denka Co Ltd
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HINODE KAGAKU KOGYO
HINODE KAGAKU KOGYO KK
Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】稲作用に好適な酸可溶性ケイ酸の豊富な土壌改
質剤、肥料を提供する。 【解決手段】全SiO2中の4重量%クエン酸緩衝液
(pHの初期値が5.5)への溶出率が50%以上であ
る無機組成物、好ましくは非晶質であって、NMR-29
Si測定時のケミカルシフト値が−80ppm以上−7
1ppm以下である前記の無機組成物を含有する肥料、
並びに土壌改質剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、稲等の土壌中から
のケイ酸分を必要とする作物に有用な土づくり資材並び
に肥料として用いることのできる無機組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】稲作に有用なケイ酸質肥料として、従来
からケイカル、並びにケイ酸カリ肥料が用いられてい
る。ケイカルはスラグを原料として製造され、Si
2、CaO、Al23を主成分とする、主としてアル
カリ分とケイ酸を補給するための土壌改質剤である。し
かしケイカルは塩酸可溶性ケイ酸分が30重量%を越え
るものの、実際の土壌のpHに近い5〜7程度の領域で
は溶出量が極端に減少し、ケイ酸分の供給源としては非
常に効率の悪い資材である。
【0003】従って、実際に使用する場合も、田10a
当たり200kgと大量に施肥しなくてはならず、それ
に要する労力が農家の大きな負担になっている。ケイカ
ルは肥料の三要素のいずれをも含まない資材であるた
め、他の肥料と混合して使用するのが一般的であり、例
えばようりん40kgをケイカル200kgと混合して
散布するのが広く用いられている処方である。ようりん
は、それに含まれるケイ酸分の中性に近いpH域での溶
出性が高い事が知られており、燐酸質肥料であると同時
にケイ酸質の供給源となっていることが認められてい
る。
【0004】また、ケイ酸カリ肥料のケイ酸溶出性は、
ケイカルに比べると高いと言われているが、ようりんに
比べるとpH=5〜7では劣っており十分とは言えな
い。ケイ酸カリ肥料も、ケイカルの場合と同様に、よう
りんと混合して施肥されることが多く、ここでもようり
んがケイ酸質の供給源としての役割を果たしている。
【0005】ケイカルの欠点であるケイ酸質溶出性を改
善するために各種の試みがなされ、中でもケイ酸カリ肥
料のケイ酸溶出性が比較的高いことに着目してカリ成分
を加える方法に基づいた、例えばケイ燐酸カリを主成分
とする新規肥料組成物(特公平1−24759号公報)
や緩効性熔成ケイ酸カリ苦土肥料の製造法(特公平2−
23514号公報)が開示されている。
【0006】カリウム成分は、一般に組成物をガラス化
しやすくし、ケイ酸質の溶出性を改善するが、その反
面、カリ原料が高価であるため得られた製品も高価にな
る、十分に高いケイ酸溶出性を確保するにはカリ含有量
を高くしなければらなず不経済である、カリウムが強ア
ルカリであるため製造設備の炉材を浸食する、カリを加
えると溶融物の粘度が上昇するため操業しにくく、それ
を下げようとして温度を上げるとカリが揮散する等の欠
点を有している。
【0007】一方、ようりんに含まれるケイ酸分は溶出
性が高く、植物吸収性が高い事が知られている。市販さ
れているようりんに含まれるSiO2は20〜25重量
%程度であるが、ケイ酸含有量を増やすとその溶出率が
低下する事が知られている。すなわち、溶成燐肥の一般
的な原料配合にケイ石を加えて加熱溶融・急冷して、2
%クエン酸水溶液へのケイ酸の溶出性を測定した試験例
(工業化学雑誌第60巻1109頁1957年)によれ
ば、2%クエン酸溶液(pHの初期値が2)へのケイ酸
溶出量は30重量%程度で頭打ちになると記載されてい
る。
【0008】又、特公平2−23514号公報には、p
Hが4の酢酸ソーダ緩衝液を用いた可溶性ケイ酸の評価
法が、植物吸収性との相関性が高いと記載されている
が、実際の土壌のpHはもっと中性に近く、たまたま試
験に使用した組成物のこの方法による溶出性が植物吸収
性と一致したと解釈するべきと思われる。ケイ酸質の溶
出性試験に関しては未だ公定法がなく、様々な方法が提
案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少量の施肥
で有効な、特に実際の土壌のpH=5〜7付近で溶出性
の高い無機組成物を提供することにより、ケイ酸を主体
として、アルカリ分を含む資材を供給することを目的と
する。更に、本発明は、通常のようりん製造設備を用い
て容易に製造することができ、カリを含んでいないので
安価に製造できる、稲等の土壌中にケイ酸分が必要とさ
れる作物に用いられるケイ酸質肥料並びに土壌改良剤を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、全Si
2中の4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.
5)への溶出率が50%以上であることを特徴とする無
機組成物であり、好ましくは、前記無機組成物が非晶質
であり、NMR−29Si測定時のケミカルシフト値が−
80ppm以上−71ppm以下であり、その半値幅が
12ppm以上23ppm以下であることを特徴として
いる。
【0011】また、本発明の好ましい実施態様として、
主成分がMgO、SiO2、CaOからなり、モル換算
したときの(CaO+MgO)/SiO2の比が、0.
8〜2.5であることを特徴とする前記の無機組成物で
ある。
【0012】また、本発明は前記の無機組成物を含有す
ることを特徴とする肥料、並びに土壌改質剤である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の無機組成物は、4重量%
クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)へのケイ酸の
溶出率は50%以上、好ましい組成範囲の無機組成物で
は70%以上であるという特徴を有する。また、NMR
による29Siの結合状態の測定結果によれば、−80p
pm以上−71ppm以下にケミカルシフト値が見ら
れ、また好ましいものは、その半値幅が12ppm以上
23ppm以下を示す。ここで、本発明の溶出率とは、
前記クエン酸緩衝液中に溶出したケイ酸に相当するSi
2量を、無機組成物中の全SiO2量に対して百分率で
表したものである。
【0014】無機組成物、特に肥料、土壌改質剤等のケ
イ酸分の溶出性を調べる方法としては、前記したとおり
に、2%クエン酸水溶液(pHが約2)を用いる方法、
pHの初期値が4の酢酸ソーダ緩衝液を用いる方法が知
られているが、いずれも溶出時のpHが低く、土壌のp
Hに近いpH=5〜7付近でのケイ酸の溶出性の評価方
法としては不適切である。本発明者らは、いろいろ検討
した結果、4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が
5.5)を用いる方法が好適であることを見出したもの
である。この方法により、肥料、土壌改質剤の土壌への
ケイ酸分の溶出性について、その評価が可能となる。
【0015】本発明における可溶性ケイ酸の評価方法
は、4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)
を用いることを特徴とし、次に例示するように行えば良
い。即ち、多量の肥料或いは土壌改質剤の場合につい
て、前記の肥料或いは土壌改質剤より約100gのサン
プルを従来公知の方法で採取し、前記サンプルを振動ミ
ルで粉砕し、目開き150ミクロンの篩下とし、可溶性
ケイ酸の評価試料とする。前記評価試料を1gはかりと
り、クエン酸水溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液を加
えてpHを5.5に調整した4重量%クエン酸ソーダ緩
衝液150mlを加えて、30℃水浴中で1時間揺動す
る。前記溶液をろ紙でろ過して得られるろ液を純水で希
釈した後、ろ液中に含まれるSiO2量をICP(誘導
結合プラズマ発光分光法)で測定する。
【0016】また、NMR−29Siの測定は、無機組成
物を振動ミルで粉砕して、目開き150ミクロンの篩下
とし、例えば、日本電子製GX270を用いて、マジッ
クアングルスピニング下にハイパワーデカップリングを
組み合わせたモードで10秒間隔に約8000回の積算
を行い、ケミカルシフトの調整としてポリジメチルシラ
ンを−33.8ppmとして、測定すればよい。尚、ア
ダマンタンを用いて13Cの高磁場側共鳴ピークの半値幅
が0.147〜0.072ppmとなる様に調整し、こ
の条件下で調整したときに、単結晶シリコンの半値幅は
0.7ppmであった。本発明の無機組成物は、前記条
件で測定したときに、得られるNMR− 29Siが−80
ppm以上−71ppm以下にケミカルシフト値を示
し、その半値幅が12〜23ppmの間で様々な値を示
す。
【0017】本発明の無機組成物のNMR−Siについ
て、そのチャート上のピーク形状は略組成によって決ま
るが、製造方法によっても影響される。特に、後述する
本発明の製造方法によれば、同じ組成物であってもより
ピークの半値幅の大きいものが得られる。
【0018】本発明者らは、無機組成物のケイ酸の溶出
率とNMR−Siのケミカルシフト値が相関する事を見
いだしたものであり、具体的には、−80ppm以上−
71ppm以下にケミカルシフト値を有し、その半値幅
が12ppm以上23ppm以下である無機組成物は、
ケイ酸分のpHの初期値が5.5のクエン酸緩衝液溶出
率が70%以上である。
【0019】前記の相関性を用い、試料の固体MNR測
定を行うことのみで、前記溶出率を容易に推定すること
ができ、手間のかかる可溶性ケイ酸の評価を省略するこ
ともできる。クエン酸溶液を用いるケイ酸の溶出性の測
定においては、溶液中の共存イオンの影響や、溶出後の
溶液のpHの変化、溶出したケイ酸の再重合等分析上の
いろいろな問題が生じるが、NMR−Siの測定におい
ては前記煩わしさがない。
【0020】NMR−Siに基づく可溶性ケイ酸の評価
の方法に関しては、従来公知の方法に比較して、正確性
においても優れているという効果を有している。即ち、
NMR−Siのケミカルシフト値はSiO4の4面体構
造のつながりの状態を反映し、半値幅は原子配置のラン
ダムさを表していると考えられる。原子配置のランダム
さ、すなわち非晶質状態を判別する方法としては、一般
にX線回折装置を用いて回折パターンを見る方法があ
る。しかし、同じ組成の試料でX線回折で同じ様なブロ
ードなパターンが得られた試料であっても、ケイ酸の溶
出性が異なっている場合があった。また、他のガラス化
状態の判別法として、光学顕微鏡を用いブロモホルムを
滴下し透過光下で試料粒子一個一個の状態を調べて、そ
の個数からガラス化状態を定量的に把握する方法が知ら
れている(工業化学雑誌63巻477頁1960年)
が、この方法は非常に手間のかかる方法であった。
【0021】本発明は、本発明者らが、pH=5以上の
高いpH域で高い溶出性を持つSiO2を含む組成を探
求した結果、組成並びにその結晶性によって、溶出性が
大きく変化すること、そして、特定組成を有する非晶質
の組成物が前記高pH域で極めて著しいケイ酸溶出性を
示すことを見い出し、なされたものである
【0022】以下、本発明の実施態様を示せば、本発明
の無機組成物は主成分がMgO、SiO2、CaOから
なり、MgOを1〜20重量%、SiO2を30〜50
重量%含有し、しかも非晶質であることを特徴としてい
る。本発明において、無機組成物の主成分は、MgO、
SiO2、CaOから構成され、その合計量は87重量
%以上、好ましくは90重量%以上あれば良い。従来公
知のケイ酸溶出性を有するものの多くは、例えばケイ酸
カリ肥料の如くに、カリウムを主成分として含有するの
に対し、本願発明の無機組成物はこれを主成分として有
しない特徴がある。これにより、製品価格が高くなる、
製造設備の炉材を浸食する、操業しにくい等の欠点を解
消することが出来る。
【0023】本発明の無機組成物はケイ酸の溶出性を高
めるために非晶質である。非晶質の程度については、本
発明者らの実験的検討結果によれば、NMR−29Siの
ケミカルシフト値(以下、単にNMR−Siという)に
ついて、半値幅が10ppm以上の拡がりを有するもの
であれば充分である。
【0024】本発明の無機組成物は、SiO2含有量が
30重量%以上である。これより少ないと、十分なケイ
酸溶出量が確保できず、ケイ酸質資材或いは肥料として
の価値が減少する。50重量%を越えると大幅にSiO
2溶出性が下がり、中性に近い領域での溶出性が悪くな
る。32〜45重量%が好ましい範囲である。
【0025】MgOは、無機組成物の溶融温度を下げる
効果やケイ酸溶出率を増大させる効果があり、また肥料
成分としても有効なので、適当量含有させる必要があ
る。1重量%以下ではこれらの効果が十分ではなく、2
0重量%をこえると施用した植物の肥効成分の吸収性に
拮抗作用を生じ、不都合である。上記バランスから、7
〜18重量%が好ましい範囲である。
【0026】また、本発明の無機組成物について、モル
換算した(CaO+MgO)/SiO2比が0.8〜
2.5であることが好ましい。前記比が0.8より小さ
くなるとSiO2溶出量が減少する一方、2.5を超え
るとSiO2含有量の低下や融点の上昇とSiO2溶出性
の低下が起こることがある。1.1〜2.0が好ましい
範囲である。
【0027】本発明の無機組成物において、主成分を構
成する前記成分の他に、微量成分として有効な硼素やマ
ンガンを含有させることもできる。硼素やマンガンの存
在は、後述する製造方法において、溶融温度の低下や溶
融物の流動性の増加の効果があるし、得られる無機組成
物の非晶質化を促し、ケイ酸の溶出性を助長するという
効果もある。また、不可避的に混入する鉄酸化物やアル
ミニウムの酸化物などが含まれてもよい。しかし、アル
ミニウムについては、肥料効果が無く、有効成分の含有
量を低下させ、また、量が多くなるとケイ酸分の溶出性
に悪影響を及ぼすので、Al23の量は2重量%以下に
抑制することが好ましい。
【0028】本発明の無機組成物を得る方法に関して
は、原料として、蛇紋岩、ケイ石、石灰石、フェロニッ
ケル鉱滓、フェロマンガン鉱滓、各種高炉滓、各種製鋼
滓、製リンスラグ、フライアッシュ等のCaO、Mg
O、或いはSiO2を含有する通常の原料類を利用する
ことができる。上記原料の中にはアルミナ分(Al
23)を含むものもあるが、Al23の存在はケイ酸溶
出率を悪化させ、またAl23含有量が増加すると他の
成分の含有量が実質的に減るので、Al23含有量の増
大は好ましくない。Al23が含まれていない原料を使
用するか、またはAl23が含まれている原料は少量に
限定して使用し、得られる無機組成物中のAl23含有
量が2重量%以下とすることが好ましい。
【0029】前記原料を、揮発分の量等を考慮し、生成
物が所望組成となるように、即ち、MgOを1〜20重
量%、SiO2を30〜50重量%含有するように、好
ましくは、モル比(CaO+MgO)/SiO2が0.
8〜2.5となるように、配合し、高温で溶融する。
【0030】前記溶融に用いる炉(溶融炉)は、外熱式
電気炉、アーク炉、高周波加熱炉等の電気炉、或いは平
炉を初めとするいろいろな燃焼ガス炉等が使用できる。
溶融温度は、組成にもよるが1350℃以上が望まし
い。目標とする組成を有する原料が完全に溶融する温度
より、およそ150℃以上高い温度で溶融すると、溶融
温度から結晶化の進まない温度までの間で十分な冷却速
度がとれるため好ましい。前記溶融炉のうち、後述する
とおりに、溶融液を急冷することができ、非晶質化した
無機組成物を容易に得ることができることから電気炉、
並びに平炉が選択される。
【0031】溶融液の急冷は、得られる無機組成物の非
晶質化を達成し、ケイ酸の溶出性を高めるために必須で
ある。急冷は、一般には、炉から抜き出した溶融液に溶
融液の20〜40倍の重量の水を吹き付ける方法や、多
量の水中に浸漬する方法等を適用することによって行わ
れる。本発明の無機組成物を得る際の冷却方法として
は、溶融温度から100℃までの所要時間は20秒以下
好ましくは10秒以下とすることがよく、特に、原料が
完全に溶融する温度の上下200℃の間を5秒以内とす
る事が望ましいので、このため、ジェット水流を当てて
冷却する方法が好ましい。更に、ジェット水流を用いる
冷却方法は、溶融液より砂状物を直接に得られ、後工程
としての粉砕を省略することもできるという効果も得ら
れる。
【0032】得られた砂状物はそのままでも肥料、土壌
改質剤として利用できるが、更に、必要に応じて粉砕や
造粒をすることにより、施肥の際に取り扱い易くした形
態にして供給することもできる。また、必要に応じて、
窒素、カリなどの他の肥料を混合して、所望の組成の複
合肥料とすることもできる。
【0033】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を更に詳細に説明する。
【0034】〔実施例1〕蛇紋岩、フェロニッケル鉱
滓、ケイ石、炭酸カルシウム(和光純薬製)を、それぞ
れ2.16g、0.34g、3.25g、8.06g混
合し、白金坩堝に入れて、シリコニット電気炉内に置き
1550℃で加熱溶融した。電気炉から取り出した溶融
物をすばやく水中に投入して組成物を得た。
【0035】この組成物は、SiO2、MgO、CaO
をそれぞれ42.2重量%、9.8重量%、45.6重
量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)/
SiO2は1.50である。
【0036】前記組成物を粉砕・分級して150ミクロ
ン下の粉として、以下の評価に用いた。4%クエン酸ソ
ーダ緩衝液(pHの初期値が5.5)への溶出ケイ酸量
(以下、C−SiO2量と呼ぶ)は31.2%、溶出率
(以下、ク溶率と呼ぶ)は74%だった。NMR−Si
の測定を行ったところ、ピーク位置は−75.3pp
m、半値幅は16.0ppmだった。
【0037】〔実施例2〕蛇紋岩、フェロニッケル鉱
滓、ケイ石、炭酸カルシウム(和光純薬製)を、それぞ
れ3.32g、0.34g、2.81g、6.96g混
合し、実施例1と同じ操作により組成物を得た。
【0038】この組成物は、SiO2、MgO、CaO
をそれぞれ42.2重量%、14.3重量%、39.4
重量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)
/SiO2は1.51である。
【0039】この組成物を粉砕・分級して150ミクロ
ン下の粉を以下の評価に用いた。C−SiO2量は3
8.1%、ク溶率は90%だった。NMR−Siのピー
ク位置は−73.5ppm、半値幅は16.7ppmだ
った。
【0040】〔実施例3〕蛇紋岩、フェロニッケル鉱
滓、ケイ石、石灰岩、コレマナイト、マンガンスラグ
を、それぞれ31.1kg、3.4kg、25.1k
g、67.5kg、1.6kg、4.7kg混合し、1
00kVAの直流アーク式電気炉に投入し通電して加熱
溶融した。電気炉のタップ口から流れ出た溶融物にジェ
ット水流を吹き付け、急冷し、水砕した。
【0041】この水砕物は、SiO2、MgO、CaO
をそれぞれ41.0重量%、13.7重量%、38.3
重量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)
/SiO2は1.50である。
【0042】この水砕物を粉砕・分級して150ミクロ
ン下の粉を以下の分析に用いた。C−SiO2量は3
3.8%、ク溶率は85%だった。NMR−Siのピー
ク位置は−75.0ppm、半値幅は20.0ppmだ
った。
【0043】〔比較例〕蛇紋岩、フェロニッケル鉱滓、
ケイ石、炭酸カルシウム(和光純薬製)を、それぞれ
0.97g、0.34g、5.74g、5.61g混合
し、実施例1と同じ操作により組成物を得た。
【0044】この組成物は、SiO2、MgO、CaO
をそれぞれ61.5重量%、5.0重量%、31.9重
量%含んでいた。従って、モル比(CaO+MgO)/
SiO2は0.68である。
【0045】この組成物を粉砕・分級して150ミクロ
ン下の粉を以下の評価に用いた。C−SiO2量は0.
7%、ク溶率は1%だった。
【0046】
【発明の効果】本発明の無機組成物は、全SiO2中の
4重量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)への
溶出率が50%以上であり、土壌中への可溶性ケイ酸を
多く含むという特徴を有し、しかもその組成中にはカリ
ウム等のアルカリ金属元素を含有しないので製造しやす
いという特徴を有するので、土壌中のケイ酸分が有用な
働きをする作物、特に稲作用の土づくり資材あるいは肥
料として有用である。
【0047】本発明の肥料、土壌改質剤はいずれも、土
壌中への可溶性ケイ酸を多く含むので、少ない施肥量で
充分であり農家の省力化が可能となる特徴がある。ま
た、燐酸分を含まない、若しくは少量であることから、
各種単肥との混合散布により個々の土地に適した施肥が
可能であること、ケイ酸質の土壌への吸収性が良く作物
の病虫害の発生が抑制されること、各種の肥料成分の吸
収を助長し、作物の収量を増加させることができるこ
と、緩効性であり肥あたりを起こさないこと、水には難
溶性であるので雨水に流亡せず肥料散布の回数を減らす
ことができる等の数々の利点を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 17/02 C09K 17/02 H 17/06 17/06 H // C09K 101:00 (72)発明者 古川 洋一郎 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 冨田 誠 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全SiO2中の4重量%クエン酸緩衝液
    (pHの初期値が5.5)への溶出率が50%以上であ
    ることを特徴とする無機組成物。
  2. 【請求項2】非晶質であることを特徴とする請求項1記
    載の無機組成物。
  3. 【請求項3】NMR−29Si測定時のケミカルシフト値
    が−80ppm以上−71ppm以下であることを特徴
    とする請求項2記載の無機組成物。
  4. 【請求項4】NMR−29Si測定時の半値幅が12pp
    m以上23ppm以下であることを特徴とする請求項2
    又は請求項3記載の無機組成物。
  5. 【請求項5】主成分がMgO、SiO2、CaOからな
    ることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は
    請求項4記載の無機組成物。
  6. 【請求項6】モル換算したときの(CaO+MgO)/
    SiO2の比が、0.8〜2.5であることを特徴とす
    る請求項5記載の無機組成物。
  7. 【請求項7】請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5又は請求項6の無機組成物を含有すること
    を特徴とする肥料。
  8. 【請求項8】請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5又は請求項6の無機組成物を含有すること
    を特徴とする土壌改質剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000034185A (ja) * 1998-07-21 2000-02-02 Denki Kagaku Kogyo Kk 無機組成物とその製造方法、それを用いた肥料と土壌改質剤
JP2009242125A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Nozawa Corp 肥料用無機物
CN103483098A (zh) * 2013-10-15 2014-01-01 广西玉林宏江能源科技有限公司 一种水稻无土水培专用复合肥料

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