JP4023858B2 - 充電式電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、充電式電子機器の蓄電体の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ソーラーセル等により発電したエネルギーを、電子機器内に配置した二次電池やキャパシタ等の蓄電体に充電して駆動させる充電式電子機器が数多く製品化されている。その蓄電体からの電極の接続は、蓄電体にリード板を熔接し、そのリード板を介して電源を供給する構造が一般的に採用されている。これは充電不能な一次電池の誤組立により、一次電池が充電されて破裂してしまう危険性を防止する為である。
【0003】
図6は従来の充電式電子機器の一例である、充電式電子時計の部分断面図である。図6において1はボタン型の繰り返し充放電可能な二次電池であり、その負極缶にはマイナスリード板2が熔接部2bで抵抗熔接され、二次電池ブロック9を構成している。二次電池ブロック9はプラスチック製の地板3に収納されている。4はマイナスリード板2と複合回路6の導通をとる接続バネであり、地板3のボス3aに位置決めされている。
【0004】
接続バネ4、複合回路6、回路支持板5は積層され、ネジ7の締結により固定されている。二次電池1とマイナスリード板2は熔接により一体化されているため、修理やオーバーホールの時に二次電池ブロック9をムーブメントから取り外し、誤って充電不能な一次電池を組み込んでも、マイナスリード板2がないので複合回路6との接点が取れず時計は作動しない。よって、一次電池が誤って充電されて破裂する事はない。
【0005】
マイナスリード板2の接点部2aは二次電池1の正極とのショートを防止するためや、バネ性接点の安定性を考慮して二次電池1の外形から比較的大きく突出しているのが一般的であり、また接点部2aの平面形状も、ムーブメントのその他の各構成部品の配置関係により、個別のムーブメントに対応した特殊な形状をしている事が多い。又、二次電池1にマイナスリード板2を熔接する時の位置決めのため、接点部2a以外にもう1箇所二次電池1の外形より外側に突出した位置決め部2cを設けているものも多い。
【0006】
さらに図6においてはマイナスリード板2の接点部2aが、二次電池1からほぼストレートに引き出されているため、接続バネ4の接点部4aはマイナスリード板2との接点の掛け外れを防止するために、縦曲げがされている。そしてその接点部4aがムーブメントの下面より出っ張らない様に、二次電池ブロック9の下側にはある程度断面的にスペースを確保する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構造では、マイナスリード板2がムーブメント固有の特殊な形状のため、本従来例以外の充電式電子時計を開発する場合には、ムーブメントの部品配置の関係により、また独自な形状のマイナスリード板を新設する必要がある。そのため、二次電池にマイナスリード板を熔接する熔接治具も各種の形状へ対応しなければならず、何種類も用意する必要が有る。その結果熔接治具の切り替え等に時間がかかりコスト高になってしまうし、多種の切り替え作業では品質的にも安定しにくい。
【0008】
また、ムーブメントの組み立て作業においても自動組立を行なう場合、異なる形状のマイナスリード板が熔接された二次電池ブロックを供給するには、当然異なる供給機がそれぞれ必要になってしまう。また、部品の種類が増えれば部品管理の煩雑さも増大してしまう。さらに図6に示した従来例においては、マイナスリード板2と接点をとる接続バネ4の接点部4aが下曲げされ、ムーブメントの下方向に出っ張るので、ムーブメントの厚さが増大してしまうためムーブメントの薄型化が計り難い。
【0009】
本発明の目的は上記問題を解決し、単純形状のマイナスリード板を熔接した蓄電ブロックを用意することにより、各種の充電式電子時計に同一の蓄電ブロックの組み込みを可能にし、その結果、安価でかつ信頼性をもって各種の充電式電子時計を実現する事にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をしている。即ち、ソーラーセル等により発電したエネルギーを、ボタン型あるいはコイン型の、二次電池やキャパシタ等の蓄電体に充電して駆動源とする充電式電子機器において、接点部が前記蓄電体の径方向外側突出すると共に前記蓄電体の厚さ方向に垂直に屈曲したリード板を前記蓄電体分解不能に具備した蓄電体ブロックと、前記蓄電体と導通させて前記充電式電子機器を駆動する複合回路と、前記接点部と前記複合回路を電気的に接続する接続部材とを有し、前記リード板は、前記接点部の縦曲げ量が前記蓄電体の厚さの範囲内であって、前記蓄電体の正極又は負極の一方に分解不能に具備されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、リード板に形成した接点部の縦曲げ量Bが蓄電体の厚さ内であるため、汎用性から考えて問題の無い構成とすることができる。
【0012】
また、前記リード板は前記蓄電体の負極に分解不能に具備され、前記接点部は正極方向に立ち上がっていることを特徴とするもので、特に前記リード板の接点部と前記蓄電体の正極缶の側面との径方向の隙Aは0.2mm以上1.0mm以下であり、前記リード板の接点部の縦曲げ量Bは0.4mm以上1.0mm以下であることが好ましい
更に、前記接続部材は、接続部材接点部が前記リード板の接点部と電気的接続を行なうために、垂直に曲げ加工することで、接点部同士が面接触するので、導通の信頼性を確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の第一の実施の形態を示す電子時計の蓄電ブロック部の要部断面図であり、図2は蓄電ブロックの斜視図である。
まず図1に基づいて本実施の形態の断面配置構造を説明する。図1において1は繰り返し充放電可能な蓄電体である二次電池であり、ここでは図示しないがソーラーセルにより発電したエネルギーを蓄電し、時計を駆動させるエネルギー源となっている。二次電池1は、通常の電子時計に使用される酸化銀電池と同形状のボタン形状をなしている。二次電池1の負極缶にはマイナスリード板8が抵抗熔接され、蓄電体ブロックである二次電池ブロック9を成している。
【0014】
二次電池ブロック9の形状を、図1および図2により詳述する。マイナスリード板8は二次電池1の負極缶に熔接点8bで抵抗熔接されて分解不能に具備されている。マイナスリード板8は、図2に示すように接点部8aが二次電池1の径方向の外側まで僅かに引きだされ、その先端は、正極方向(すなわち二次電池1の厚さ方向)へほぼ垂直に曲げられている。
【0015】
接点部8aの二次電池1からの突出量は、他のムーブメントへの汎用性を高めるためなるべく小さくする事が望ましく、接点部8aと二次電池1の正極缶の側面との隙Aは1.0mm以下に設定するのが適当である。しかし、隙Aをあまり小さく設定し過ぎると、マイナスリード板8と二次電池1の正極缶がショートしてしまう危険性があるので、部品の寸法公差及び、熔接の位置精度などを考慮して、0.2mm以上は確保する必要がある。又、接点部8aの縦曲げ量Bは二次電池1の厚みの範囲内であれば汎用性から考えてほぼ問題ないが、0.4mmから1.0mm程度に設定するのが適当である。
【0016】
二次電池ブロック9はプラスチック製の地板3の上に配置され、二次電池1の上面側は、その肩部が金属性の回路支持板5により支持されている。10はマイナスリード板8と複合回路6の導通をとる接続バネであり、地板3のボス3aにより位置決めされている。接続バネ10のマイナスリード板8との電気的接続を行なう接点部10aは、ムーブメントの下方向へ垂直に曲げられ、マイナスリード板8の接点部8aと面で接触する構造として導通の信頼性を確保している。回路支持板5は接続バネ10、複合回路6を上面側から押さえ、ムーブメントに固定している。
【0017】
以上のような構造により、修理やオーバーホールの時に誤って二次電池1と同形状の一次電池が組み込まれても、マイナスリード板8が無い為に電気的に導通が取れず、充電不能な一次電池が充電される事による破裂等の事故を防止することができる。
【0018】
そして本実施の形態によれば、二次電池ブロック9はマイナスリード板8の接点部8aが二次電池1から1ヵ所だけ僅かに突出しているだけなので、本実施の形態の電子時計への使用に限らず、他の構造を有する充電式電子時計へも比較的簡単に配置が可能である。つまり二次電池ブロック9を各種のムーブメントに使用可能な汎用部品化する事ができる。
【0019】
また、マイナスリード板8の接点部8aを上方向に屈曲させているので、接続バネ10の接点部10aの下曲げ量は、その先端が二次電池ブロック9の下面より断面的に突出させる位置まで延ばさなくても充分にマイナスリード板8との導通を信頼性を持って確保できる。つまり、二次電池ブロック9の下面側のムーブメントの厚さを削減することができる。
【0020】
次に、本発明の実施の形態に対応する参考例について説明する。図3および図4を用いて第一の参考例を説明する。図3は電子時計の蓄電ブロック部の要部断面図であり、図4は蓄電ブロックの斜視図である。図3において、二次電池1にはマイナスリード板13が熔接部13bで抵抗熔接され二次電池ブロック15を構成している。二次電池ブロック15はプラスチック製の地板3に保持されている。
【0021】
14はマイナスリード板13と複合回路6の導通をとる接続バネであり、地板3のボス3aにより位置決めされている。複合回路6及び接続バネ14は回路支持板5により上面から押さえられている。二次電池ブロック15は図4に示す様に二次電池1の負極缶に二次電池1の外形とほぼ同形状の円盤状のマイナスリード板13が熔接部13bで熔接されている。つまり、本第一の参考例では二次電池1の外形からマイナスリード板13が突出する部分は全くない。そして接続バネ14の接点部14aはマイナスリード板13の下面側から圧接して電気的導通をとっている。
【0022】
接点部14aはマイナスリード板13の外形に近い位置、つまり二次電池1の負極缶から外れた位置で導通を取っている。その為、二次電池1と同形状の充電不能な一次電池が誤って組み込まれても、接続バネ14の接点部14aは一次電池の正極缶に当接してしまい負極の導通が取れない。よって、一次電池が充電されてしまう心配はない。
【0023】
以上説明した様に、第一の参考例によれば、二次電池ブロック15はマイナスリード板13が熔接されていても、二次電池1の外形に突出した部分がないので、二次電池1の外形と殆ど変わらない。よって、多種類のムーブメントに容易に搭載することが可能である。また、二次電池1にマイナスリード板13を熔接する作業も、二次電池1とマイナスリード板13の外形がほぼ同じなので、位置決めも同時に可能であり、回転方向規定する必要がないので、作業性は非常に良好である。
【0024】
第一の参考例は、第一の実施の形態に比較して二次電池ブロックの汎用性の面では有利であると考えられる。しかし、第一の参考例では、接続バネ14はマイナスリード板13の下側から導通接点をとっているため、第一の実施の形態に比較してムーブメントの厚みが増してしまうという欠点は有している。
【0025】
充電式電子時計に充電不能な一次電池が組み込まれなくできる構造として、マイナスリード板を用いないで次のような方法も考えられる。図5により、第二の参考例について説明する。図5は第二の参考例を示す要部断面図である。図5において、1は二次電池であり、下側はプラスチック製の地板3で保持され、上面側は前記二次電池1を保持する支持部材である回路支持板5で押さえられている。16はマイナス受けバネであり、地板3のボス3aで位置決めされている。マイナス受けバネ16は二次電池1の負極と複合回路6の電気的導通を取っている。
【0026】
以上のような構造に組み立てられた後、回路支持板5の熔接部5aで熔接を行ない、回路支持板5と二次電池1を分解不可能に一体化する。つまり、回路支持板5を分解して二次電池1の替わりに充電不能な一次電池を組み込んでも、回路支持板5を組み込む時に二次電池1が熔接されて一体化しているので先に組まれた一次電池と干渉して組み込む事ができない。この方法であれば、前もって二次電池1にマイナスリード板等を熔接する必要が無い。
【0027】
【発明の効果】
以上の様に本発明によれば、一種類の蓄電ブロックを各種の充電式ムーブメントに使用する事できる。その結果、蓄電ブロックにマイナスリード板を熔接する作業においても、位置決め治具を一種類だけ用意すれば良く、その上切り替えの工数もいらないので熔接コストを大幅に低減する事ができる。また一種類の部品を多量に生産する事になるので品質的にも安定すると考えられる。また熔接作業だけでなく、ムーブメントへ組み込む供給機も一種類ですむため、組み立てコストも削減できる。そして部品の共通化が計られれば、アフターサービス用を含め部品管理上の効果は大きい。
【0028】
またマイナスリード板の接点部の先端に垂直まげをおこなう構造とすれば、ムーブメントの厚さを増さずに接点の信頼性を確保する事ができる。つまり薄型のムーブメントを設計する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態を示すムーブメントの要部断面図である。
【図2】 本発明の第一の実施の形態を示す二次電池ブロックの斜視図である。
【図3】 第一の参考例を示すムーブメントの要部断面図である。
【図4】 第一の参考例を示す二次電池ブロックの斜視図である。
【図5】 第二の参考例を示すムーブメントの要部断面図である。
【図6】 従来の構造を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 二次電池
2 マイナスリード板
3 地板
4 接続バネ
5 回路支持板
6 複合回路
7 ネジ
8 マイナスリード板
9 二次電池ブロック
10 接続バネ
13 マイナスリード板
14 接続バネ
15 二次電池ブロック
16 マイナス受けバネ

Claims (4)

  1. ソーラーセル等により発電したエネルギーを、ボタン型あるいはコイン型の、二次電池やキャパシタ等の蓄電体に充電して駆動源とする充電式電子機器において、接点部が前記蓄電体の径方向外側突出すると共に前記蓄電体の厚さ方向に垂直に屈曲したリード板を前記蓄電体分解不能に具備した蓄電体ブロックと、前記蓄電体と導通させて前記充電式電子機器を駆動する複合回路と、前記接点部と前記複合回路を電気的に接続する接続部材とを有し、
    前記リード板は、前記接点部の縦曲げ量が前記蓄電体の厚さの範囲内であって、前記蓄電体の正極又は負極の一方に分解不能に具備されていることを特徴とする充電式電子機器。
  2. 前記リード板は前記蓄電体の負極に分解不能に具備され、前記接点部は正極方向に立ち上がっていることを特徴とする請求項1記載の充電式電子機器。
  3. 前記リード板の接点部と前記蓄電体の正極缶の側面との径方向の隙Aは0.2mm以上1.0mm以下であり、前記リード板の接点部の縦曲げ量Bは0.4mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項2記載の充電式電子機器。
  4. 前記接続部材は、接続部材接点部が前記リード板の接点部と電気的接続を行なうために、垂直に曲げ加工されていることを特徴とする請求項1記載の充電式電子機器。
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