JP4023745B2 - α‐ヒドロキシアルキル基をもつアクリル酸のエステルの共重合体 - Google Patents

α‐ヒドロキシアルキル基をもつアクリル酸のエステルの共重合体 Download PDF

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Description

本発明は、化学増幅型ネガ型レジスト組成物の樹脂成分として好適に用いられる新規な重合体に関するものである。
これまで、酸発生剤とノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンなどのアルカリ可溶性樹脂とメラミン樹脂や尿素樹脂などのアミノ樹脂との組合せを露光部がアルカリ不溶性となるための基本成分として含む化学増幅型のネガ型レジストは知られている(特許文献1参)。
このようなネガ型レジストは、放射線の照射により生じた酸の作用により、アルカリ可溶性樹脂とアミノ樹脂が架橋反応を起こし、露光部分をアルカリ不溶性に変化させ、未露光部分をアルカリで溶解して、ネガ型のパターンを形成させるものである。
このような酸発生剤とアルカリ可溶性樹脂とアミノ樹脂との組合せからなる化学増幅型のネガ型レジストは、i線やKrFエキシマレーザー光(248nm)を光源とするプロセスには十分使用しうるが、近年半導体素子の高集積化に対応すべく開発されたArF用のレジストとしては、必ずしも満足しうるものとはいえない。
ところで、ArF用ネガ型レジストについては、これまで、例えば(1)5‐メチレン‐ビシクロ[2.2.1]‐2‐ヘプタンとマレイン酸との共重合体であって、マレイン酸部分の片方のカルボキシル基をエステル化したものを基材樹脂成分とし、これに脂肪族環状多価アルコールからなる架橋剤と酸発生剤を配合したArF用ネガ型レジスト(非特許文献1参照)、(2)エポキシ基含有環状炭化水素基をエステル部分に有するアクリル酸エステルとカルボキシル基含有環状炭化水素基をエステル部分に有するアクリル酸エステルとの共重合体を基材樹脂成分とし、これに上記と同様な架橋剤と酸発生剤を配合したArF用ネガ型レジスト(非特許文献2参照)、(3)ヒドロキシル基含有環状炭化水素基をエステル部分に有するアクリル酸エステルとカルボキシル基含有環状炭化水素基をエステル部分に有するアクリル酸エステルとの共重合体を基材樹脂成分とし、これに上記と同様な架橋剤と酸発生剤を配合したArF用ネガ型レジスト(非特許文献3参照)などが提案されている。
これらのArF用ネガ型レジストは、基材樹脂成分のArFエキシマレーザー光に対する透過性を高めるとともに、アルカリ可溶性とするためにカルボキシル基含有橋かけ型多環式炭化水素基を樹脂中に導入した点、及び架橋を行わせるためにエポキシ基やアルコール性水酸基を樹脂中に導入した点に主な特徴がある。
しかしながら、このような組成のネガ型レジストにおいては、ArFエキシマレーザー光により酸の存在下に架橋剤と基材樹脂成分とのエステル又はエーテル結合が生成する結果、ネガ型のパターンを形成しうるものの、露光部分で未架橋のカルボキシル基やアルコール性水酸基が残存するため、これらがアルカリ現像時に膨潤し、丸みを帯びたレジストパターン形状となるという欠点がある。
特公平8−3635号公報(特許請求の範囲その他) 「ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(J.Photopolym.Sci.Tech.)」,1997年,第10巻,第4号,p.579−584 「ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(J.Photopolym.Sci.Tech.)」,1998年,第11巻,第3号,p.507−512 「SPIE Advances in Resist Technology and Processing XIV」,1998年,第3333巻,p.417−424
本発明は、このような事情のもとで、ArFエキシマレーザー光に対して透明性が高く、高解像性を有するとともに、膨潤がなく、かつ断面形状が垂直なレジストパターンを与えるネガ型レジスト組成物の樹脂成分として好適共重合体を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、化学増幅型ネガ型レジスト組成物の樹脂成分として適した共重合体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、分子内に、たがいに反応してエステルを形成しうる2種の官能基を有し、すなわちヒドロキシル基とカルボキシル基及び橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基をもつ共重合体は、酸の存在により分子内でエステルを形成し、アルカリ不溶性になること、したがってこれを化学増幅型ネガ型レジスト組成物の樹脂成分として光により酸を発生する酸発生剤と組み合わせて用いれば、樹脂中に未反応のアルカリ性水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基が残存しにくくなるので、膨潤の少ないレジストパターンが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)α‐(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、(b)エステルを形成する基が橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基であるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体を提供するものである。
上記の(a)成分は、α‐(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルであり、この中のヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基などの低級ヒドロキシアルキル基が挙げられる。これらの中でもエステルの形成しやすさからヒドロキシエチル基やヒドロキシメチル基が好ましい。
他方、(b)成分は、エステルを形成する基が橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基であるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルであるが、ここにいう橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基とは、炭素原子−炭素原子の直接結合又は橋かけ結合を介して形成された2個以上の飽和炭素環からなり、かつ少なくとも1個の橋かけ結合を有している脂環式炭化水素基を意味する。このような橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12. 5.17. 10]ドデシル基、トリシクロ[5.2.1.02. 6]デシル基などが挙げられる。このように、エステル部分のアルキル基が橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基のエステルは、耐ドライエッチング性を高めるのに有効である。
しかし、このようなエステルは、ヒドロキシアルキル基との間のエステル化が起りにくいので、橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基にカルボキシル基を導入させたものを用いるのが好ましい。
本発明の共重合体においては、(a)成分のモノマーから誘導される単位と(b)成分のモノマーから誘導される単位との割合は、重量比で20:80ないし90:10の範囲、特に50:50ないし85:15の範囲が好ましい。両単位の割合が上記範囲にあれば、分子内又は分子間でエステルを形成しやすく、良好なレジストパターンが得られる。
次に、この本発明共重合体が酸の作用により、分子内で脱水縮合してエステルを形成する反応、及び分子間でエステルを形成する反応について、ヒドロキシアルキル基がヒドロキシメチル基である場合を例として説明する。
(イ)分子内エステル形成
化学反応式
Figure 0004023745
(式中のR1は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、アミル基などのアルキル基、R2はビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12. 5.17. 10]ドデシル基、トリシクロ[5.2.1.02. 6]デシル基などの橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基から水素原子を1個除いた基である)
で示されるように、酸により分子内でエステル化反応を起こし、環状エステルを形成する。
(ロ)分子間エステルの形成
化学反応式
Figure 0004023745
(式中のR1は前記と同じ意味をもつ)
で示されるように、酸により分子間でエステル化反応を起こし、エステルを形成する。
発明共重合体の分子量は、重量平均分子量2,000〜20,000、好ましくは4,000〜15,000の範囲である。
次に、本発明共重合体を樹脂成分として用いたネガ型レジスト組成物を調製するには、これに対し、放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、単に酸発生剤という)を配合する。この酸発生剤は、従来化学増幅型のネガ型ホトレジストにおいて使用されている公知の酸発生剤の中から適宜選択して用いることができるが、特にアルキル又はハロゲン置換アルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含むオニウム塩が好適である。
このオニウム塩のカチオンとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、t‐ブチル基などの低級アルキル基や、メトキシ基、エトキシ基などの低級アルコキシ基などで置換されていてもよいフェニルヨードニウムやスルホニウムなどやジメチル(4‐ヒドロキシナフチル)スルホニウムが好ましく挙げられる。
一方、アニオンは、炭素数1〜10程度のアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたフルオロアルキルスルホン酸イオンが好ましく、そして、炭素鎖が長くなるほど、またフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)が小さくなるほど、スルホン酸としての強度が落ちることから、炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換されたフルオロアルキルスルホン酸イオンが好ましい。
このようなオニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4‐メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4‐ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
本発明においては、この酸発生剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このネガ型レジスト組成物は、本発明の共重合体と酸発生剤のみを含めば、ネガ型のレジストパターンを形成できるが、本発明の共重合体における分子内又は分子間エステル基形成に加えて、さらにエーテル基形成により、いっそう架橋密度を向上させ、レジストパターンの形状や解像性や耐ドライエッチング性を向上させる目的で、所望により、架橋剤を含有させることができる。
この架橋剤としては特に制限はなく、従来化学増幅型のネガ型レジストにおいて使用されている公知の架橋剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。この架橋剤の例としては、(1)2,3‐ジヒドロキシ‐5‐ヒドロキシメチルノルボルナン、2‐ヒドロキシ‐5,6‐ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)‐トリヒドロキシトリシクロデカン、2‐メチル‐2‐アダマンタノール、1,4‐ジオキサン‐2,3‐ジオール、1,3,5‐トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体、及び(2)メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物、具体的にはヘキサメトキシメチルメラミン、ビスメトキシメチル尿素、ビスメトキシメチルビスメトキシエチレン尿素、テトラキスメトキシメチルグリコールウリル、テトラキスブトキシメチルグリコールウリルなどを挙げることができるが、特に好ましいのはテトラキスブトキシメチルグリコールウリルである。
本発明においては、この架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このネガ型レジスト組成物においては、酸発生剤は、本発明の共重合体100重量部に対し、0.5〜30重量部の割合で配合するのが好ましい。この量が0.5重量部未満では像形成がなされない。30重量部を超えると均一な溶液になりにくく、保存安定性が低下する。像形成性及び保存安定性などを考慮すると、酸発生剤は1〜10重量部の割合で配合するのが特に好ましい。
また、所望により用いられる架橋剤は、本発明の共重合体100重量部に対し、1〜50重量部の割合で配合するのが好ましい。この量が1重量部未満では架橋密度の向上効果が十分に発揮されないし、50重量部を超えると均一な溶液となりにくく、保存安定性が低下する。架橋密度の向上効果及び保存安定性などを考慮すると、この架橋剤は5〜20重量部の割合で配合するのが特に好ましい。
このネガ型レジスト組成物は、その使用に当たっては上記各成分を溶剤に溶解した溶液の形で用いるのが好ましい。このような溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテート、あるいはそれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;及び乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどのアミド系溶剤などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
このネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加含有させることができる。
このネガ型レジスト組成物は、従来通常使用されているホトレジスト技術のレジストパターン形成と同様にしてレジストパターンを形成することができるが、好適に行うには、まずシリコンウエーハのような支持体上に、該レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに縮小投影露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光などを所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実な画像を得ることができる。
この際のレジストパターンを形成するための基板としては特に制限はなく、従来ネガ型レジストが適用されている各種基板、例えばシリコンウエーハ、有機系又は無機系の反射防止膜が設けられたシリコンウエーハ、ガラス基板などのいずれでもよい。
本発明の共重合体を樹脂成分とするネガ型レジスト組成物は、化学増幅型であって、ArFエキシマレーザー光に対して透明性が高く、高解像性を有するとともに、膨潤がなく、かつ断面形状が垂直なレジストパターンを形成することができる。
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
α‐(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルとメタクリル酸カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12. 5.17. 10]ドデシルエステルとの共重合体(重合体)の製造
α‐(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル26.0g(0.2モル、全モノマーに対するモル%は80モル%)及び
Figure 0004023745
で表わされるメタクリル酸カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12. 5.17. 10]ドデシルエステル14.5g(0.05モル)をテトラヒドロフラン200gに溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.62gを加え、70℃で3時間重合反応させた。反応終了後、反応物をn‐ヘプタン1リットル中に注加して重合体を析出させる操作を2回繰り返した。得られた共重合体を室温下で減圧乾燥した。
このようにして、α‐(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルと上記化合物との共重合体を得た。
この共重合体の収量は20.2gであり、重量平均分子量は14000で、分散度は1.8であった。
参考例
実施例1で得た重合体(重合体1)100重量部、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート3重量部及び架橋剤としてテトラキスメトキシメチルグリコールウリルを10重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル670重量部に溶解してネガ型レジスト溶液を得た。
次いで、このレジスト溶液をスピンナーを用いてシリコンウエーハ上に塗布し、ホットプレート上で100℃で90秒間プレベークすることにより、膜厚0.5μmのレジスト層を形成した。
次に、ArF露光装置(ニコン社製)を用いて、ArFエキシマレーザー光(193nm)を選択的に照射したのち、120℃、90秒間加熱(PEB)処理したのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間パドル現像し、30秒間水洗して乾燥した。
このような操作で0.20μmのレジストパターンが形成され、その際の露光量を感度としてmJ/cm2(エネルギー量)単位で測定したところ、35mJ/cm2であった。また、そのレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察したところ、膨潤のないレジストパターンであることが認められた
比較例1
α‐(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル単独重合体(重合体)の製造
α‐(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル32.5g(10.25ml)をテトラヒドロフラン200gに溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.62gを加え、70℃で3時間重合反応させた。反応終了後、反応物をn‐ヘプタン1リットル中に注加して重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして得られた重合体を室温下で減圧乾燥した。
このようにして、α‐(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル単独重合体を得た。この重合体の収量は20.5gであり、重量平均分子量は12500で、分散度は2.1であった。
比較参考例
比較例1で得た重合体(重合体2)100重量部、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート3重量部及び架橋剤としてテトラキスメトキシメチルグリコールウリルを10重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル670重量部に溶解してネガ型レジスト溶液を得た。
次いで、このレジスト溶液をスピンナーを用いてシリコンウエーハ上に塗布し、ホットプレート上で100℃で90秒間プレベークすることにより、膜厚0.5μmのレジスト層を形成した。次いで、ArF露光装置(ニコン社製)により、ArFエキシマレーザー光(193nm)を選択的に照射したのち、120℃、90秒間加熱(PEB)処理し、次いで2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間パドル現像し、30秒間水洗して乾燥した。
このような操作で0.30μmのレジストパターンが形成され、その際の露光量を感度としてmJ/cm2(エネルギー量)単位で測定したところ、90mJ/cm2であった。また、そのレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察したところ、膨潤のない台形状のレジストパターンであった。
比較例2
メタクリル酸ヒドロキシエチルとメタクリル酸カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12. 5.17. 10]ドデシルエステルとの共重合体(重合体)の製造
メタクリル酸ヒドロキシエチル26.0g(0.2モル、全モノマーに対するモル%は80モル%)及びメタクリル酸カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12. 5.17. 10]ドデシルエステル14.5g(0.05モル、全モノマーに対するモル%は20モル%)をテトラヒドロフラン200gに溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.62gを加え、70℃で3時間重合反応させた。反応終了後、反応物をn‐ヘプタン1リットル中に注加して重合体を析出させ、得られた共重合体を室温下で減圧乾燥することにより、上記共重合体3を得た。
この共重合体の収量は14.0gであり、重量平均分子量は16000で、分散度は2.0であった。
比較参考例
比較参考例1において、重合体比較例2で得た同量の重合体に代えた以外は、比較参考例1と同様にしてネガ型レジスト溶液を調製し、次いで比較参考例と同様な条件でレジストパターンを形成した。
このような操作で0.25μmのレジストパターンが形成され、その際の露光量を感度としてmJ/cm2(エネルギー量)単位で測定したところ、70mJ/cm2であった。また、そのレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察したところ、膨潤したレジストパターンであった。
本発明の重合体は、化学増幅型ネガ型レジスト組成物の樹脂成分として有用である。

Claims (4)

  1. (a)α‐(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、(b)エステルを形成する基が橋かけ結合を有する多環状飽和脂環式炭化水素基であるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体。
  2. (a)成分のモノマーから誘導される単位と(b)成分のモノマーから誘導される単位との割合が、重量比で20:80ないし90:10の範囲ある請求項記載の共重合体
  3. (b)成分のモノマーが、式
    Figure 0004023745
    で表わされるメタクリル酸エステルである請求項1又は2記載の共重合体。
  4. 重量平均分子量2,000〜20,000の範囲である請求項1ないしのいずれかに記載の重合体又は共重合体。
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