JP4023702B2 - プロジェクション溶接用下部電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウェルドボルトやウェルドナットを各種基板に溶接するプロジェクション溶接用下部電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウェルドボルトやウェルドナットを溶接するプロジェクション溶接用下部電極は、図5に示されるように、電極本体30の下端から突出される連結用のテーパ軸部31を、電極ホルダ32に形成された連結用のテーパ孔部33に嵌着することにより電極本体30と電極ホルダ32とを連結一体化するとともに、電気的に接続している。そして、ウェルドボルトを溶接する場合とウェルドナットを溶接する場合に応じてウェルドボルト用とウェルドナット用の各電極本体30を電極ホルダ32に差し替えていた。しかし、連結用のテーパ軸部31と連結用のテーパ孔部33との嵌合であるため、両者のテーパ形状の切削精度により連結時における電極チップ34の水平度がばらついて溶接精度が低下するうえ、テーパ軸部31とテーパ孔部33の密着度もばらついて電流量が安定しないという問題があった。また、繰り返し行われる電極本体30と電極ホルダ32との連結操作によりテーパ軸部31とテーパ孔部33とに偏摩耗が生じ、テーパ軸部21とテーパ孔部23との連結時の傾きが次第に拡大されて溶接精度がさらに悪化し、不良品を生じさせるという問題があるうえに、偏摩耗により両者の密着度も低下して極端な場合、接触不良による溶接不良を生じさせるという問題もあった。しかも、テーパ軸部31とテーパ孔部33との密着度の低さから生じる発熱による電流量の低下を防止するため、電極ホルダ32には冷却用流路35を必ず形成すしておく必要があり、その冷却機構が複雑になってコストアップを生じさせるという問題もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題を解決し、溶接精度の低下や溶接不良を生じさせることのないプロジェクション溶接用下部電極を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するため本発明は、上部に電極チップを着脱自在とした電極本体をその下面に設けられた連結用孔をもって電極ホルダの上端に装着するようにしたプロジェクション溶接用下部電極において、前記電極本体を、下部に前記連結用孔を縦に2分する位置において切り落とされた切欠段部を備えた主ブロック体と、底面がこの主ブロック体の底面とともに電極本体の取付基準面となるよう前記切欠段部に嵌められてその縦壁面にねじ止めされるクランプとよりなるものとする一方、前記電極ホルダは、上端を取付基準面とする棒状主体の前記取付基準面に棒状主体より細径の連結軸部を連設したものとして、この電極ホルダの連結軸部に電極本体を前記両取付基準面が当接して平行度が確保されるように連結用孔をもって挿込んで前記クランプにより締付一体化したことを特徴とするプロジェクション溶接用下部電極を請求項1の発明とし、このような発明において、電極本体の主ブロック体に冷却水路が形成されているものを請求項2の発明とし、また、前記した請求項1または2の発明において、電極本体の主ブロック体にエア供給孔が形成されているものを請求項3の発明とし、さらにまた、この請求項3の発明において、電極チップに電極本体のエア供給孔から供給されるエアにより浮上されるウェルドナット位置決め用のガイドピンが組み込まれたものを請求項4の発明とし、電極本体のエア供給孔にウェルドボルトの軸部を嵌挿保持するセラミックスよりなる絶縁筒が嵌着されているものを請求項5の発明とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
図1、図2に示したウェルドボルト用のプロジェクション溶接用下部電極において、1は上端に後記する電極本体4を装着保持する電極ホルダである。この電極ホルダ1は、棒状主体の上端面を水平な取付基準面1aとしてその中心部に該棒状主体より細径の連結軸部2を連設したものとしている。4は角形の電極本体であり、この電極本体4にはその下面の略中心位置に連結用孔5が設けられているとともに上部にガイド孔8aを中心に備えた電極チップ8を着脱可能な雄ねじ筒部が設けられてこの雄ねじ筒部の筒孔と連結用孔5はエア供給路6をもって連通されており、さらに、エア供給路6の側方に該エア供給路6と平行する冷却水路7を設けてあるが、特に本発明では、この電極本体4を主ブロック体3とクランプ9の2部材に分割してあり、この点に本発明の第1の特徴がある。
【0006】
すなわち、本発明における電極本体4は、前記連結用孔5の下半部を縦に2分する位置において切り落とした切欠段部3aが下部に形成されている主ブロック体3と、底面がこの主ブロック体3の底面とともに電極本体4の取付基準面4aとなるように前記切欠段部3aに嵌められる角棒状のクランプ9とよりなるものとして、両者はクランプ9に配設されているボルト挿通孔9bを通じて切欠段部3aの縦壁面に形成してあるねじ孔3bに向けねじ込まれる取付ボルト10、10により締付一体化され、これにより下部が主ブロック体側の凹溝5aとクランプ側の凹溝5bとに2分された連結用孔5に電極ホルダ1の連結軸部2の基部2bを抱持するようにしてある。11はエア供給路6の上部段付孔に嵌着される窒化珪素セラミックスよりなる絶縁筒であって、この絶縁筒11はエア供給路6内に挿通されるウェルドボルトの軸部を絶縁保護するためのものである。
【0007】
なお、図において12は冷却水路7の給排孔に接続される冷却水供給用ホース接続用の継手、13は冷却水路7の開口を塞ぐ栓、14はエア漏れ防止のOリング、15は電極本体4のエア供給路6と連通される接続孔であり、この接続孔15にはエア供給用ホ−ス接続用の継手16が取り付けられている。17は連結軸部2の先端に形成されるエア導入孔であり、このエア導入孔17は前記接続孔15とエア供給路6とを連通させるためのものである。18は切欠段部3aにクランプ9を嵌合係止させて連結軸部2の基部2aを抱持する際、クランプ9と切欠段部3a間に形成される締付け量を確保するための隙間である。
【0008】
このように構成されたものは、先ず、電極ホルダ1の上端の連結軸部2に主ブロック体3の切欠段部3aに形成されている凹溝5aをあてがって該主ブロック体3を押し込んだうえ下部の切欠段部3aにクランプ9を嵌め込んでこの主ブロック体3とクランプ9よりなる電極本体4の底面に相当する取付基準面4aを電極ホルダ1の棒状主体の上端にある取付基準面1aに当接させ、この状態でクランプ9のボルト挿通孔9bを通じて取付ボルト10を切欠段部3aの縦壁面に形成してあるねじ孔3bに向けねじ込めば、クランプ9の締め付けにより電極本体4が電極ホルダ1の上端に強固に連結されるとともに、両者の電気的接続が行われる。そして、冷却水供給用ホース接続用の継手12に図示しない冷却水供給用ホースを接続して冷却水路7に冷却水を流入させるとともに、図示しないエア供給用ホースをエア供給用ホ−ス接続用の継手16に接続してエアを供給すれば、エアは接続孔15、連結軸部2のエア導入孔17を通じてエア供給路6に流入し、この状態において、電極チップ8上に被溶接用基板を位置決め載置したうえ、ウェルドボルトの軸部をガイド孔8aを通じて絶縁筒11内に挿入させ、ボルト頭部下面に形成した溶接用突子を被溶接用基板上に当接させる。
【0009】
そして、図示しない上部電極を下降させてウェルドボルト頭部を押圧すれば、被溶接用基板にウェルドボルトは溶接されることとなる。そして、ウェルドボルトが溶接された被溶接基板を電極チップ8より取り除けば、電極チップ8のガイド孔8aは開放されるので、周縁に付着した溶接スパッタ等はエア供給路6より吹き出されるエアにより吹き飛ばされて電極チップ8や絶縁筒11内は清掃されることとなる。このように溶接に続いて清掃が行われうえに、溶接による電極本体4の発熱は、冷却水路7内を流れる冷却水により確実に冷却されるので、温度上昇による電流量の低下はなく安定した溶接を長時間連続して行うことができる。
【0010】
また、ウェルドナットの溶接を行いたいときには、クランプ9をねじ止めしている取付ボルト10を緩めてクランプ9による締め付けを外したうえ連結用軸部2に連結用孔5を挿込んであるウェルドボルト用の電極本体4を抜き取り、電極ホルダ1の連結用軸部2に図3、図4に示されるような主ブロック体3とクランプ9の2部材に分割されたウェルドナット用の電極本体4を前記同様にして装着し、クランプ9をねじ止めして両者を連結一体化すればよい。
【0011】
なお、図3、図4に示されるウェルドナット用の電極本体4を、前記したウェルドボルト用の電極本体との相違点を中心として説明すれば、電極本体4のエア供給路6の上端に形成された雌ねじ部4bに螺着されている電極チップ8には透孔21が形成されていてこの透孔21に前記エア供給路6からのエアにより付勢されて先端が電極チップ8より浮動突出される絶縁材よりなるガイドピン22を遊挿し、このガイドピン22には基部に末広がり斜面22aを有するフランジ部22bが形成されていてこの末広がり斜面22aが電極チップ8の下端に段部を介して形成された透孔口縁21aに当接することによりエアの漏れを防ぐものとしている。なお、23は電極チップ8のねじ込み面からエアが漏れるのを防止するOリングである。
【0012】
このように構成されたものも、前記したウェルドボルト用の電極本体4を電極ホルダ1に連結させる場合と同様、電極ホルダ1の上端の連結軸部2に主ブロック体3の切欠段部3aに形成されている凹溝5aをあてがって該主ブロック体3を押し込んだうえ下部の切欠段部3aにクランプ9を嵌め込んでこの主ブロック体3とクランプ9よりなる電極本体4の底面に相当する取付基準面4aを電極ホルダ1の棒状主体の上端にある取付基準面1aに当接させ、この状態でクランプ9のボルト挿通孔9bを通じて取付ボルト10を切欠段部3aの縦壁面に形成してあるねじ孔3bに向けねじ込めばよい。そして、冷却水供給用ホース接続用の継手12に図示しない冷却水供給用ホースを接続して冷却水路7に冷却水を流入させるとともに、図示しないエア供給用ホースをエア供給用ホ−ス接続用の継手16に接続してエアを供給すれば、エアは接続孔15、連結軸部2のエア導入孔17を通じてエア供給路6に流入し、ガイドピン22はエア圧により電極チップ8の透孔21内に浮動し先端を電極チップ8より突出させる。この状態において、電極チップ8上に孔付きの被溶接用基板を位置決め載置したうえ、ウェルドナットのねじ孔にガイドピン22の先端を挿入させて、ウェルドナットの位置決めを行い、ウェルドナット下面に形成した溶接用突子を被溶接用基板上に当接された状態とする。
【0013】
次に、図示しない上部電極を下降させてウェルドナットの上面を押圧すれば、被溶接用基板にウェルドナットは溶接されることとなる。このとき、ガイドピン22は上部電極により押圧され、エア圧の付勢力に抗して下降するので、透孔口縁20aに当接していたガイドピン22の末広がり斜面22aは下降して透孔口縁20aとのシール状態を解くので、エア供給路6のエアは電極チップ8の透孔21とガイドピン22との細隙を通じて外部に噴出し、透孔21やガイドピン22に付着している溶接スパッタ等を吹き飛ばして透孔21やガイドピン22を清掃することとなる。次に、ウェルドナットが溶接された被溶接基板を電極チップ8より取り除けば1サイクルは完了する。このように溶接に続いて清掃が行われうえに、溶接による電極4の発熱は、冷却水路7内を流れる冷却水により確実に冷却されるので、温度上昇による電流量の低下はなく安定した溶接を長時間連続して行うことができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は前記説明によって明らかなように、連結軸部と連結用孔とを非テーパ形状とすることができるので、電極本体と電極ホルダとの接触面が増え、また、電極本体の底面と電極ホルダの棒状主体の上端面とを互いに当接する取付基準面としたので、電極本体と電極ホルダとの水平基準が得られることとなって溶接精度を安定させることができる。さらに、電極本体を連結軸部に対してクランプにより締付固定するようにしたので、電極本体の交換脱着が簡単になるうえに、連結部分の摩耗が少なく電極本体の寿命を伸ばすことができ、また、両者の密着度が高められて電気的な接続が確実なものとなるので、電流量の低下を防止するとともに、接触不良による発熱を防止でき、このため、電極ホルダに冷却水路を形成しておかなくても長期使用に耐えるものとなる。また、電極本体の主ブロック体に冷却水路を形成したものは、冷却機構が簡単な構造となって装置を安価なものとすることができるうえに溶接熱をより確実に冷却し、電極の寿命を延ばすことができる。さらに、電極本体にエア供給孔を設けたものは、ガイドピンをエアにより浮動させることができるとともに、溶接により発生した溶接スパッタを電極チップやガイドピンから吹き飛ばすことができるので、溶接スパッタがねじ部や被溶接用基板等に付着することがないので溶着不良を起こすことがないので歩留まりを向上させることができるし、セラミックスよりなる絶縁筒をエア供給孔に嵌着したものは、電極の耐久性を向上させることができる等種々の利点を有するものである。
従って、本発明は従来の問題点を解消したプロジェクション溶接用下部電極として業界の発展に寄与するところ大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態としてのウェルドボルト用の下部電極を示す一部切欠正面図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態としてのウェルドボルト用の下部電極を示す一部切欠側面図である。
【図3】本発明の他の好ましい実施の形態としてのウェルドナット用の下部電極を示す一部切欠正面図である。
【図4】本発明の他の好ましい実施の形態としてのウェルドナット用の下部電極を示す一部切欠側面図である。
【図5】従来のプロジェクション溶接用下部電極を示す一部切欠正面図である。
【符号の説明】
1 電極ホルダ
1a 取付基準面
2 連結用軸部
3 主ブロック体
4 電極本体
4a 取付基準面
5 連結用孔
6 エア供給路
7 冷却水路
8 電極チップ
9 クランプ
11 絶縁筒
21 透孔
22 ガイドピン
Claims (5)
- 上部に電極チップ(8) を着脱自在とした電極本体(4) をその下面に設けられた連結用孔(5) をもって電極ホルダ(1) の上端に装着するようにしたプロジェクション溶接用下部電極において、前記電極本体(4) を、下部に前記連結用孔(5) を縦に2分する位置において切り落とされた切欠段部(3a)を備えた主ブロック体(3) と、底面がこの主ブロック体(3) の底面とともに電極本体(4) の取付基準面(4a)となるよう前記切欠段部(3a)に嵌められてその縦壁面にねじ止めされるクランプ(9) とよりなるものとする一方、前記電極ホルダ(1) は、上端を取付基準面(1a)とする棒状主体の前記取付基準面(1a)に棒状主体より細径の連結軸部(2) を連設したものとして、この電極ホルダ(1) の連結軸部(2) に電極本体(4) を前記両取付基準面(1a)、(4a)が当接して平行度が確保されるように連結用孔(5) をもって挿込んで前記クランプ(9) により締付一体化したことを特徴とするプロジェクション溶接用下部電極。
- 電極本体(4) の主ブロック体(3) に冷却水路(7) が形成されている請求項1に記載のプロジェクション溶接用下部電極。
- 電極本体(4) の主ブロック体(3) にエア供給孔(6) が形成されている請求項1または2に記載のプロジェクション溶接用下部電極。
- 電極チップ(8) に電極本体(4) のエア供給孔(6) から供給されるエアにより浮上されるウェルドナット位置決め用のガイドピン(22)が組み込まれる請求項3に記載のプロジェクション溶接用下部電極。
- 電極本体(4) のエア供給孔(6) にウェルドボルトの軸部を嵌挿保持するセラミックスよりなる絶縁筒(11)が嵌着されている請求項3に記載のプロジェクション溶接用下部電極。
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