JP4023112B2 - 静電潜像現像用トナーとその製造方法及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ或いはファクシミリ等の画像形成に用いられる静電潜像現像用トナーとその製造方法及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、複写機、プリンタ或いはファクシミリ等の画像形成部分には静電潜像現像法が広く用いられている。その理由は、高速で高画質画像が形成でき、アナログ画像は勿論、カラー画像やデジタル画像形成にも対応できること、完成度が高く性能の安定性と耐久性が高いこと等が挙げられる。
【0003】
しかし、それだけに、特にこの方法に対する高画質化への要求は強く、さらなる向上を求められている。対応策として、使用するトナーを小粒径で粒径分布を極力小さくすることは、最も有効な方策として現在まで盛んに検討されてきている。
【0004】
静電潜像現像用トナーの製造方法として、いわゆる重合法は粒子が揃った小粒径トナーを造る上で優れた利点を有する。又、粉砕法の様にトナーの製造時に樹脂の溶融温度以上まで加熱し混練する工程を有していない。このため、製造された樹脂の分子切断などの問題発生がなく、その面でも安定したトナーの製造方法であるといえる。
【0005】
しかし、ナフトールAS色素は安価で良好な色味を有するマゼンタ色素であるが、使用に際し重合法を用いてトナー化すると、熱定着時に色味の変化があり、色再現性に問題があることがわかり実用化することができていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、ナフトールAS色素を重合法トナーの着色剤として用いても、熱定着時に色味の変化のない静電潜像現像用トナーとその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題解決につき鋭意検討した結果、混練法では色味の変化が無いのは、下記の如き理由があることを見いだし本発明に至った。
【0008】
混練法では製造時に加わる熱により、ナフトールAS色素中の水和物の水が除去されているので、定着時の熱で水和物の水が除去されることが無い。一方、重合法トナーでは水系媒体で調製されるため、最大でも水の沸点以下までの加熱しかない。この条件では水和物の水が除去されることが無いので、この製造方法では水和物の形で色素がトナー中に存在する。熱定着の工程でその熱の影響で水和物の水が除去され、色味の変化が発生する。
【0009】
しかし、本発明者等は、更なる検討の結果、特定の構造を有する化合物をマゼンタ色素として用いても、上記のような現象は起こらず色味の変動はないことを見いだした。
【0010】
即ち、本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成される。
〔1〕 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーにおいて、該着色剤粒子に含有されている着色剤がC.I.Pigment Red146またはC.I.Pigment Red184であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【0011】
〔2〕 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーの製造方法において、該着色剤粒子に含有されている着色剤がC.I.Pigment Red146またはC.I.Pigment Red184であることを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
【0012】
〔3〕 少なくとも樹脂と着色剤とを含有する静電潜像現像用トナーを用い記録材上に形成された画像を熱定着する画像形成方法において、該トナーが少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなるトナーであり、且つ、該着色剤粒子に含有されている着色剤がC.I.Pigment Red146またはC.I.Pigment Red184であることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
本発明のトナーに使用する着色剤としては、前記一般式(1)で示される化合物から選ばれるのであり、具体的化合物例を下記に示す。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
このものの数平均一次粒子径は10〜200nm程度が好ましい。
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合してトナー粒子(着色粒子)とする方法等を使用することができる。
【0020】
これら本発明の着色剤はトナー質量の1〜20質量%含有させるのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の樹脂粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子(および着色剤粒子が併存する場合は其れを含めて)複数個融着することを示す。
【0022】
尚、本発明における水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0023】
本発明におけるトナー製造の一方法としては、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構が後述の撹拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。
【0024】
又、本発明のトナーを製造する別の方法として、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の各々の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止する。さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0025】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0026】
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0027】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0028】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0029】
又、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0030】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0031】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0032】
特に好ましくは150,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000〜20,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を含有する樹脂であり、特に好ましくは50,000〜130,000の領域にピーク又は肩を有する樹脂を併用することである。
【0033】
又、画像の光沢度を要する場合においては、分子量として好ましくは1,000〜20,000未満の領域にピーク若しくは肩を有する低分子量成分と、40,000〜120,000未満の中分子量を2種以上含有する樹脂である。
【0034】
本発明のGPCによる樹脂の分子量測定方法は、THFを溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定である。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組合せなどをあげることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0035】
使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0036】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学 17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0037】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加するのがよい。
【0038】
無限溶解する溶媒とは、すなわち水に対して無限溶解する溶媒を示し、この溶媒は、本発明においては形成された樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0039】
この無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0040】
尚、形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいものと考えられる。
【0041】
このトナーはフルカラー用として組み合わせて使用することもできる。その際に組み合わせて使用できるトナーとしては限定されるものではなく、下記一般的なフルカラー用着色剤を用いたトナーと組み合わせることができる。
【0042】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0043】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0044】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0045】
本発明外で、使用することが出来るカラー着色剤としては、有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0046】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178等が挙げられる。
【0047】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0048】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0049】
又、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、C.I.ソルベントレッド149、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド58、C.I.ソルベントレッド63、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド122、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー44、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー81、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー103、C.I.ソルベントイエロー104、C.I.ソルベントイエロー112、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー60、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0050】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0051】
離型剤としては特に限定されず公知のものを用いることが出来る。ポリプロピレン、ポリエチレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等が使用できる。好適には、下記一般式で示されるエステルワックスがよい。
【0052】
R1−(OCO−R2)n
式中、R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素基を示す。nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
【0053】
R1は炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5であり、R2は炭素数1〜40、好ましくは16〜30,さらに好ましくは18〜26である。
【0054】
具体的には、下記の如き化合物が挙げられる。
【0055】
【化4】
【0056】
【化5】
【0057】
添加量としては、トナー全体に1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%がよい。
【0058】
本発明のトナーは、モノマー中に離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中にエステル系化合物を内包させた粒子を形成させ、着色剤粒子とともに塩析/融着することでトナーとすることが好ましい。
【0059】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0060】
いわゆる重合性単量体中に着色剤などのトナー構成成分を分散あるいは溶解したものを水系媒体中に懸濁し、ついで重合せしめてトナーを得る懸濁重合法トナーでは、重合反応を行う反応容器中での媒体の流れを制御することによりトナー粒子の形状を制御することができる。すなわち、形状係数が1.2以上の形状を有するトナー粒子を多く形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを乱流とし、重合が進行して懸濁状態で水系媒体中に存在している油滴が次第に高分子化することで油滴が柔らかい粒子となった時点で、粒子の衝突を行うことで粒子の合一を促進させ、形状が不定形となった粒子が得られる。また、形状係数が1.2より小さい球形のトナー粒子を形成させる場合には、反応容器中での媒体の流れを層流として、粒子の衝突を避けることにより球形の粒子が得られる。この方法により、トナー形状の分布を本発明の範囲内に制御できるものである。
【0061】
懸濁重合法においては、特定の撹拌翼を使用することで、乱流を形成することができ、形状を容易に制御することができる。この理由としては明確では無いが一般的に使用されている図1に示される様な撹拌翼の構成が一段の場合には、撹拌槽内に形成される媒体の流れが撹拌槽の下部より上部への壁面を伝って動く流れのみになる。そのため、従来では一般的に撹拌槽の壁面などの邪魔板を配置することで乱流を形成し、撹拌の効率を増加することがなされている。しかし、この様な装置構成では、乱流が一部に形成されるものの、むしろ乱流の存在によって流体の流れが停滞する方向に作用し、結果として粒子に対するズリが少なくなるために、形状を制御することができない。
【0062】
好ましく使用することのできる撹拌翼を備えた撹拌槽について図を用いて説明する。図2は2段の撹拌翼を備えた撹拌槽の一例である(但し、詳しくは後記するとおり、撹拌翼の形状は変えた方がよく、乱流形成部材(邪魔板)もあった方がよい)。撹拌槽の外周部に熱交換用のジャケット1を装着した縦型円筒状の撹拌槽2内の中心部に回転軸3を垂設し、該回転軸3に撹拌槽2の底面に近接させて配設された下段の撹拌翼4と、より上段に配設された撹拌翼5がある。上段の撹拌翼5は、下段に位置する撹拌翼4に対して回転方向に先行した交差角αをもって配設されている。本発明においては交差角αは90度(°)未満である。この交差角の下限は特に限定されるものでは無いが、5°程度以上、好ましくは10°以上あればよい。これを上面断面図で示したのが図3である。もし3段以上の場合は、それぞれ隣接している撹拌翼間で交差角αが90度未満であればよい。
【0063】
この構成とすることで、上段に配設されている撹拌翼によりまず媒体が撹拌され、下側への流れが形成される。ついで、下段に配設された撹拌翼により、上段の撹拌翼で形成された流れがさらに下方へ加速されるとともにこの撹拌翼自体でも下方への流れが別途形成され、全体として流れが加速されて進行するものと推定される。この結果、乱流として形成された大きなズリ応力を有する流域が形成されるために、トナーの形状を制御できるものと推定される。
【0064】
尚、図1,2及び図3中、矢印は回転方向を、7は上部材料投入口を8は下部材料投入口を表す。又、9は撹拌を有効にするための乱流形成部材である。
【0065】
ここにおいて撹拌翼の形状については、特に限定はないが、方形板状のもの、翼の一部に切り欠きのあるもの、中央部に一つ以上の中孔部分、いわゆるスリットがあるものなどを使用することができる。これらの例を図4に記載する。
【0066】
図4中(a)は撹拌翼に中孔部のないもの、(b)は中央に大きな中孔部6があるもの、(c)は横長の中孔部6があるもの、(d)は縦長の中孔部6があるものである。又、これらは上段と下段で中孔部6が異なるものを用いても、同一のものを用いても良い。
【0067】
又、この撹拌翼の構成として使用することができる好ましい構成の例を図5〜9に示す。図5は撹拌翼の端部に突起及び又は端部に折り曲げ部を有する構成、図6は下段の撹拌翼にスリットを有すると共に端部に折り曲げと突起を有する構成、図7は下段の撹拌翼の端部に突起と折り曲げを有する構成、図8は上段の撹拌翼にスリットがあり下段の撹拌翼の端部に折り曲げと突起を有する構成、図9は撹拌翼の構成が3段である構成をそれぞれ示したものである。なお、撹拌翼の端部に於ける折り曲げ部の角度は5〜45°程度が好ましい。
【0068】
これら折り曲げ部(4″または5″)や上部あるいは下部への突起(4′または5′)を有する構成を持つ撹拌翼は、乱流を効果的に発生するものである。
【0069】
尚、上記の構成を有する上段と下段の撹拌翼の間隙は特に限定されるものでは無いが、少なくとも撹拌翼の間に間隙を有していることが好ましい。この理由としては明確では無いが、その間隙を通じて媒体の流れが形成されるため、撹拌効率が向上するものと考えられる。但し、間隙としては、静置状態での液面高さに対して0.5〜50%の幅、好ましくは1〜30%の幅である。
【0070】
さらに、撹拌翼の大きさは特に限定されるものでは無いが、全撹拌翼の高さの総和が静置状態での液面高さの50〜100%、好ましくは60〜95%である。
【0071】
又、懸濁重合法において層流を形成させる場合に使用される撹拌翼および撹拌槽の一例を図7に示す。撹拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが特徴である。撹拌翼の構成については、前述の乱流を形成させる場合に使用される撹拌翼と同様に、上段の撹拌翼が、下段の撹拌翼に対して回転方向に先行した交差角αを持って配設された、多段の構成とすることが好ましい。
【0072】
この撹拌翼の形状については、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図4(a)の方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0073】
一方、樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、撹拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0074】
即ち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる撹拌翼および撹拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、本発明の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては撹拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、撹拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。尚、樹脂粒子を着色剤を含む形で会合融着させたものを着色粒子と呼び、トナー粒子とは、着色粒子に更にシリカ微粒子等の外添剤を加えたものを指す場合もある。しかし、粒子形状や粒子径の測定値は何れを測っても実質的差違はない。
【0075】
樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーに使用される撹拌翼および撹拌槽としては、前述の懸濁重合法において層流を形成させる場合と同様のものが使用でき、例えば図7に示すものが使用できる。撹拌槽内には乱流を形成させるような邪魔板等の障害物を設けないことが特徴である。撹拌翼の構成については、前述の懸濁重合法に使用される撹拌翼と同様に、上段の撹拌翼が、下段の撹拌翼に対して回転方向に先行した交差角αを持って配設された、多段の構成とすることが好ましい。
【0076】
この撹拌翼の形状についても、前述の懸濁重合法において層流を形成させる場合と同様のものが使用でき、乱流を形成させないものであれば特に限定されないが、図4(a)の方形板状のもの等、連続した面により形成されるものが好ましく、曲面を有していてもよい。
【0077】
又、本発明の重合法トナーの形状は、下記式で示される形状係数の平均値(平均円形度)が0.930〜0.980、好ましくは0.940〜0.975であるのがよい。
【0078】
形状係数=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
又、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下がよく、下記式で算出されるCV値は20%未満が好ましく、さらに10%未満が好ましい。
【0079】
CV値={(円形度の標準偏差)/(平均円形度)}×100
この平均円形度を0.930〜0.980とすることで、トナーが有する形状をある程度不定形化することができ、熱の伝達を効率化することができ、定着性をより向上することができる。すなわち、平均円形度を0.980以下とすることで定着性を向上することができる。また、0.930以上の平均円形度とすることで、粒子の不定形度合いを抑制し、長期に亘る使用時のストレスによる粒子の破砕性を抑制することができる。
【0080】
さらに、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下とすることで形状が揃ったトナーとすることができ、トナー間での定着性能差を少なくすることができるため、定着率の向上及びオフセット性の低減による定着装置の汚染防止効果がより発揮される。また、CV値も20%未満とすることで、同様にシャープな形状分布とすることができ、定着性向上効果をより顕著に発揮することができる。
【0081】
尚、上記形状係数の測定方法は限定されるものではないが、例えばトナー粒子を電子顕微鏡で500倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置を使用し、500個のトナーについて円形度を測定し、その算術平均値を求めることで、平均円形度を算出することができる。また、簡便な測定方法としては、FPIA−1000(東亜医用電子社製)により測定することができる。
【0082】
この形状に制御するためには会合などの工程で形状を制御されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0083】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0084】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0085】
本発明のトナーの体積平均粒径はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0086】
測定条件
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて撹拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0087】
本発明のトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜8μmのものである。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0088】
体積平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0089】
又、本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0090】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0091】
疎水化度={a/(a+50)}×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0092】
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、いずれも好適に使用することができるが、本発明ではキャリアと混合して使用する二成分現像剤として使用することが好ましい。
【0093】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、磁性粒子としては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0094】
キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0095】
次に、本発明に係わる画像形成装置の一例のカラー画像形成装置の断面構成図を示す。図10において、21は潜像担持体である感光体ドラムで、OPC感光体(有機感光体)をドラム基体上に塗布形成したものであり、接地されて図示の時計方向に駆動回転される。22は帯電手段たるスコロトロン帯電器で、感光体ドラム21周面に対し高電位VHの一様な帯電をグリッド電位VGに電位保持されたグリッドとコロナ放電ワイヤによるコロナ放電によって与える。このスコロトロン帯電器による帯電に先だって、前プリントまでの感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いたPCL(帯電前除電器)による露光を行って感光体周面の除電をしておくとよい。
【0096】
感光体ドラム21への一様帯電の後、露光手段23により画像信号に基づいた像露光が行われる。露光手段23は図示しないレーザーダイオードを発光光源とし回転するポリゴンミラー131、fθレンズ132、シリンドリカルレンズ133を経て反射ミラー134により光路を曲げられ主走査がなされるものである。
【0097】
感光体ドラム21の回転(副走査)と同期して像露光がなされ潜像が形成される。本例では文字部に対して露光を行い、文字部の方が低電位VLとなるような反転潜像を形成する。
【0098】
感光体ドラム21の周縁には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)等のトナーとキャリアとから成る二成分現像剤をそれぞれ内蔵した現像手段24Y、24M、24C、24Kが設けられている。
【0099】
画像形成プロセスを説明すると、先ず1色目として例えばイエローの現像が行われる。通常現像剤はフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、ポリエステルを主材料として色に応じた顔料と荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を加えたトナーとからなる。現像剤は層形成手段によって現像スリーブ上に100〜600μmの現像剤層厚に規制されて現像域へと搬送される。
【0100】
現像域における現像スリーブと感光体ドラム21との間隙は現像剤層厚よりも大きい0.2〜1.0mmとして、この間にVACのACバイアスとVDCのDCバイアスが重畳して印加される。VDCとVH、トナーの帯電は同極性であるため、VACによってキャリアから離脱するきっかけを与えられたトナーはVDCより電位の高いVHの部分には付着せず、VDCより電位の低いVL部分に付着し顕像化(反転現像)が行われる。
【0101】
1色目の顕像化が終った後2色目のマゼンタの画像形成行程にはいり、再びスコロトロン帯電器よる一様帯電が行われ、2色目の画像データによる潜像が露光手段23によって形成される。
【0102】
再び感光体ドラム21周面の全面に亘ってVHの電位となった感光体のうち、1色目の画像のない部分に対しては1色目と同様の潜像がつくられ現像が行われるが、1色目の画像がある部分に対し再び現像を行う部分では、1色目の付着したトナーにより遮光とトナー自身のもつ電荷によってVM′の潜像が形成され、VDCとVM′の電位差に応じた現像が行われる。この1色目と2色目の画像の重なりの部分では1色目の現像をVLの潜像をつくって行うと、1色目と2色目とのバランスが崩れるため、1色目の露光量を減らしてVH>VM>VLとなる中間電位VMとすることもある。
【0103】
3色目のシアン、4色目の黒色についても2色目のマゼンタと同様の画像形成行程が行われ、感光体ドラム21周面上には4色の顕像が形成される。
【0104】
一方、給紙カセットより半月ローラーを介して搬出された一枚の記録材(記録紙等)Pは、送り出しローラー対を経てレジストローラー対(給紙ローラー)近傍で一旦停止し、転写のタイミングの整った時点でレジストローラーの回転作動により転写域へと給紙される。
【0105】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム21の周面に転写手段が圧接され、給紙された記録材Pを挟着して多色像が一括して転写される。
【0106】
次いで、記録材Pは分離手段によって除電され、感光体ドラム21の周面より分離して定着装置(定着手段)40に搬送され、加熱ローラー(上ローラー)41と加圧ローラー(下ローラー)42の加熱,加圧によってトナーを溶着したのち、排紙ローラーを経て装置外部の排紙トレイ上に排出される。なお、前記の転写手段は記録材Pの通過後感光体ドラム21の周面より退避離間して、次なるトナー像の形成に備える。
【0107】
一方、記録材Pを分離した感光体ドラム21は、除電器により除電を受けたのち、クリーニング手段25のブレードの圧接により残留トナーを除去、清掃され、再び前記PCLによる除電とスコロトロン帯電器による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。なお、前記のブレードは感光体面のクリーニング後、直ちに移動して感光体ドラム21の周面より退避する。ブレードによってクリーニング手段25内に掻き落された廃棄トナーは、スクリューにより排出されたのち、図示しない廃トナー回収容器内へ貯留される。
【0108】
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式をあげることができる。特に、接触加熱方式として、熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式をあげることができる。
【0109】
熱ローラー定着方式では、多くの場合表面にテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成された下ローラーとから形成されている。熱源としては、線状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部に於いては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40mm/sec〜600mm/secが好ましい。ニップが狭い場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が広い場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが過多となる問題を発生する。
【0110】
定着クリーニングの機構を付与して使用してもよい。この方式としてはシリコーンオイルを定着の上ローラーあるいはフィルムに供給する方式やシリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方法が使用できる。
【0111】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウエッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0112】
尚、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。さらに、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0113】
【実施例】
次に本発明の代表的な実施態様を具体的に示すが、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0114】
(ラテックス製造例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。一方で例示化合物19)72.0gをスチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。
【0115】
ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.90gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)8.00gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、t−ドデシルメルカプタン13.7gの混合液を120分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。
【0116】
このラテックス粒子をラテックス1とする。
(ラテックス製造例2)
ラテックス製造例1において、例示化合物19)の代わりに例示化合物21)を使用した他は同様にしてラテックスを得た。これをラテックス2とする。
【0117】
(ラテックス製造例3)
ラテックス製造例1において、t−ドデシルメルカプタンの代わりにn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを使用した他は同様にしてラテックスを得た。これをラテックス3とする。
【0118】
(ラテックス製造例4)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、下記式(101)で表されるアニオン系界面活性剤7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0119】
式(101) C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5.0gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル15.6gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックスを調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。
【0120】
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、離型剤として、例示化合物19)98.0gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0121】
一方、アニオン系界面活性剤(上記式(101))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)により、前記例示化合物19)の単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
【0122】
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
【0123】
前記ラテックス(1HM)を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
【0124】
上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液を得た。これをラテックス4とする。
【0125】
このラテックス4を構成する複合樹脂粒子は、15,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は122nmであった。
【0126】
(ラテックス製造例5)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400mlに溶解させた開始剤溶液を仕込み、80℃の温度条件下に、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル20.8gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、27℃まで冷却しラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を得た。これをラテックス5とする。
【0127】
このラテックス5を構成する樹脂粒子は11,000にピーク分子量を有するものであり、また、この樹脂粒子の重量平均粒径は128nmであった。
【0128】
(ラテックス製造例6)
ラテックス製造例4において、「ラテックス(1H)」における重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5.0gを7.0gに、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを使用しない他は同様にして、ラテックスを得た。これをラテックス6とする。
【0129】
ラテックス6を構成する複合樹脂粒子は、180,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は120nmであった。
【0130】
(トナー調製例)
着色粒子1の製造
n−ドデシル硫酸ナトリウム10gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、C.I.Pigment Red146=20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均粒径で121nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0131】
前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を撹拌下、30℃にて5分間で添加した。その後、1分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで6分で昇温する(昇温速度=10℃/分)。
【0132】
その状態で粒径をコールターカウンターTA−IIにて測定し、体積平均粒径が6.5μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度90℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し撹拌を停止した。生成した着色粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。以上のようにして得られた着色粒子を「着色粒子1」とする。
【0133】
尚、その他に「ラテックス1」から「ラテックス3」を使用し、以下に示す着色剤に変更した他は同様にして「着色粒子2」〜「着色粒子8」を得た。
【0134】
(着色粒子9の製造):懸濁重合法の例
高速撹拌装置(TKホモミキサー)を備えた4つ口フラスコにイオン交換水710質量部と0.1モル/リットルの燐酸三ナトリウム水溶液450質量部を加え、65℃に加温し、回転数12000rpmの撹拌条件下に1.0モル/リットルの塩化カルシウム水溶液68質量部を徐々に加え、コロイド状燐酸三カルシウムを含む分散液を含む水系分散媒体を調製した。
【0135】
ついで、スチレンモノマー165質量部、n−ブチルアクリレート35質量部にC.I.Pigment Red146=14質量部を加えサンドグラインダーで分散した分散液にエステルワックス(19)を30質量部加え、80℃にて溶解させた。ついでn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを2質量部及び重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)11質量部を加えたものを前記水系分散媒体中に回転数12000rpmの撹拌条件下で徐々に加え、水中にモノマーを含む溶液を分散させた。ついで、撹拌翼の構成を図2の反応装置を使用し、窒素気流下、65℃、200rpm撹拌条件下で10時間重合反応を行った。重合反応終了時に塩酸を加え、分散安定剤である燐酸三カルシウムを除去し、濾過、洗浄乾燥し、着色粒子を調製した。このものを「着色粒子9」とする。なお、前記重合時にモニタリングを行い、液温度、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整した。
【0136】
(着色粒子10の製造):懸濁重合法の例
着色粒子9の製造において、C.I.Pigment Red146の代わりにC.I.Pigment Red150を3質量部使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを着色粒子10とする。
【0137】
(着色粒子11の製造):懸濁重合法の例
着色粒子9の製造において、C.I.Pigment Red146の代わりにC.I.Pigment Red95を3質量部使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを着色粒子11とする。
【0138】
(着色粒子12の製造):懸濁重合法の例
着色粒子9の製造において、C.I.Pigment Red146の代わりにC.I.Pigment Red57:1を3質量部使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを着色粒子12とする。
【0139】
(着色粒子13の製造)
着色粒子1の製造において、着色剤をC.I.Pigment Red146からC.I.Pigment Red184に、ラテックス1をラテックス4に変更した他は同様にして、着色粒子13を得た。
【0140】
(着色粒子14の製造)
着色粒子13の製造における冷却前に、さらに、ラテックス5(樹脂粒子の分散液)96gを添加し、3時間にわたり加熱撹拌を継続し、ラテックス4の凝集粒子表面にラテックス5を融着させた。ここで、塩化ナトリウム40.2gを加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した塩析、凝集、融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、着色粒子14を得た。
【0141】
(着色粒子15の製造)
着色粒子13の製造において、ラテックス4をラテックス6にし、塩析/融着時間を変更した他は同様にして、着色粒子15を得た。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
*上記円形度はFPIA−1000を使用し、試料分析量=0.3μリットル、検出粒子数=1500〜5000個の条件で測定したものである。
*なお、着色粒子8及び着色粒子12は比較用着色粒子である。
【0145】
【表3】
【0146】
ついで上記「着色粒子1」〜「着色粒子15」にそれぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。これらを「トナー1」〜「トナー15」とする。
【0147】
なお、形状及び粒径等の物性に関しては着色粒子及びトナーのいずれも差異は無い。
【0148】
上記トナーの各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。これらをトナーに対応して、「現像剤1」〜「現像剤15」とする。
【0149】
ここで調製した現像剤を使用し、図10の画像形成装置とほぼ同じ構成をもつデジタルカラープリンタKonica3015を用い定着器の構成を下記に示す構成に変更して実写評価を実施した。
【0150】
定着器としては図11に示すごとき圧接方式の加熱定着装置を用いた。
具体的構成は下記の如くである。
【0151】
表面をPFA(テトラフロオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の被覆層(厚み:120μm)12を有し内径40mmで全幅が310mmの、ヒーター13を中央部に内蔵した円柱状の厚み1.0mmのアルミ合金パイプ11を加熱ローラー(上ローラー)41として有し、表面が同様にスポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度=48:厚み2mm)17で構成された内径40mmの肉厚2.0mmの鉄パイプ16を有する加圧ローラー(下ローラー)42を有している。ニップ幅は5.8mmとした。この定着装置を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。
【0152】
なお、定着装置のクリーニング機構としてポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。
【0153】
定着の温度は上ロールの表面温度で制御し、175℃の設定温度とした。なお、シリコーンオイルの塗布量は、0.6mg/A4とした。
【0154】
特性評価
定着性の評価は、トナー自体が保有する定着前の色味から定着した後の色味の変化を測定するものである。
【0155】
(評価方法)
マクベス社製カラーアイ7000を使用し、光源=ASTM−D65、観察視野=2°、SCEモードにて実施した。
【0156】
色味の変化はb*の定着前後での変動幅で評価した。この変動幅が大きいと所望の色が得られず、カラーマッチングにズレを生じてしまう。実用的には変動幅が2.0未満、好ましくは1.0未満である必要がある。
【0157】
【表4】
【0158】
本発明内のものは、全て優れた特性を有することがわかる。
【0159】
【発明の効果】
本発明により、ナフトールAS色素を重合トナーの着色剤として用いても、熱定着時に色味の変化のない静電潜像現像用トナーとその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図2】撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図3】図2の上面断面図。
【図4】撹拌翼の形状の概要図。
【図5】撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図6】撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図7】撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図8】撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図9】撹拌翼を備えた撹拌槽の一例の斜視図。
【図10】本発明におけるカラー画像形成装置の断面構成図。
【図11】本発明に係わる加熱定着装置の概略図。
【符号の説明】
2 撹拌槽
3 回転軸
4 下段の撹拌翼
5 上段の撹拌翼
6 中孔部
20Y,20M,20C,20K 画像形成ユニット
21,21Y,21M,21C,21K 感光体ドラム(潜像担持体)
22,22Y,22M,22C,22K 帯電手段
23,23Y,23M,23C,23K 露光手段
24,24Y,24M,24C,24K 現像手段
25,25Y,25M,25C,25K クリーニング手段
P 記録材(記録紙)
Claims (3)
- 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーにおいて、該着色剤粒子に含有されている着色剤がC.I.Pigment Red146またはC.I.Pigment Red184であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
- 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーの製造方法において、該着色剤粒子に含有されている着色剤がC.I.Pigment Red146またはC.I.Pigment Red184であることを静電潜像現像用トナーの製造方法。
- 少なくとも樹脂と着色剤とを含有する静電潜像現像用トナーを用い記録材上に形成された画像を熱定着する画像形成方法において、該トナーが少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなるトナーであり、且つ、該着色剤粒子に含有されている着色剤がC.I.Pigment Red146またはC.I.Pigment Red184であることを特徴とする画像形成方法。
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