JP3855620B2 - 静電潜像現像用トナーとその製造方法及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ或いはファクシミリ等の画像形成に用いられる静電潜像現像用トナーとその製造方法及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、複写機、プリンタ或いはファクシミリ等の画像形成部分には静電潜像現像法が広く用いられている。その理由は、高速で高画質画像が形成でき、アナログ画像は勿論、カラー画像やデジタル画像形成にも対応できること、完成度が高く性能の安定性と耐久性が高いこと等が挙げられる。
【0003】
しかし、それだけに、特にこの方法に対する高画質化への要求は強く、さらなる向上を求められている。対応策として、使用するトナーを小粒径で粒径分布を極力小さくすることは、最も有効な方策として現在まで盛んに検討されてきている。
【0004】
静電潜像現像用トナーの製造方法として、いわゆる重合法は粒子が揃った小粒径トナーを造る上で優れた利点を有する。又、粉砕法の様にトナーの製造時に樹脂の溶融温度以上まで加熱し混練する工程を有していない。このため、製造された樹脂の分子切断などの問題発生がなく、その面でも安定したトナーの製造方法であるといえる。
【0005】
特に樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で会合する方法は粒子の形状を不定形化することができ、クリーニング性改良の観点で有効な製造方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の製造方法で造ったトナーを使用した場合、特に使用環境が変化するに従って帯電性が不安定になる欠点があることがわかった。このため、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で会合する方法を用いながら、環境変動にも安定で、常に適正な帯電付与が可能なトナーの製造方法の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、この様な要求に応えるために成されたものである。
即ち、本発明の目的は、使用時に環境変動があっても、トナーの帯電性に変動が無い、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で会合する方法にて造られた静電潜像現像用トナーとその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、これら環境変動の影響は、抵抗の低い着色剤を使用することで改善されることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
〔1〕 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーにおいて、該着色剤粒子が一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である酸化チタンを含有することを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【0010】
〔2〕 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーの製造方法において、該着色剤粒子に一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である酸化チタンを含有させることを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
【0011】
〔3〕 少なくとも樹脂と着色剤とを含有する静電潜像現像用トナーにより画像形成支持体上に形成された画像を熱定着する画像形成方法において、該トナーが、少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなるトナーであり、且つ、該着色剤粒子が一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である酸化チタンを含有することを特徴とする画像形成方法。
【0012】
本発明は、上記構成に示される如く、酸化チタンの格子欠陥を利用して環境変動があっても帯電性に変動が無いトナーを調製することが出来たというものである。
【0013】
いわゆる重合法トナーは、特にその中でも樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で会合して調製する製造方法で造られたものは、水系媒体中で会合させるため、界面活性剤の残留が多いためか、使用時の環境変動による帯電性能の変動が発生しやすい。
【0014】
その理由は、トナー粒子は抵抗の低い部分が表面に局在化しており、内部は絶縁性の成分が主体で構成されている。この結果、帯電量の表面からのリークが発生し環境が変動した場合に追随することができず、高温高湿環境では帯電量が低下し、いわゆるカブリなどの問題が発生する。
【0015】
又、カーボンブラックを使用した場合等では、完全に分散することができず、凝集体の偏在が発生する。この結果、局部的に導電性の部分が存在することになり、より帯電のリークが発生しやすいことが判明した。
【0016】
カーボンブラックはその構造上、層状の構造となっており粒子として凝集体を形成しやすく、凝集体構造となることで抵抗が低下する部分が発生する。
【0017】
本発明の一般式TiOx(x=1.0〜1.9)で示される酸化チタンは、カーボンブラック等とは異なり層状の構造を有しておらず、一次粒子に分散することが容易で偏在することがない。このため、上記問題を解決することができたものと推定される。
【0018】
xの範囲はより好ましくは、x=1.2〜1.8の範囲であり、さらに好ましくは1.3〜1.8である。
【0019】
これに対し本発明の範囲外のxが1.0未満であると、構造的に不安定となり、結晶自体の凝集が発生するため抵抗を安定に保つことができない。
【0020】
一方、xが1.9を超えると、黒色度が低下するため色味を安定にすることができないといった問題が出て、本発明の効果を達成することが出来ない。
【0021】
一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である本発明内の酸化チタンとしては、市販品として商品名チタンブラック20M、13M、10S、13R(何れも三菱金属社製)があり、xの値は各々1.68、1.41、1.54、1.83である。
【0022】
本発明の酸化チタンの粒径は数平均一次粒子径で0.01〜0.2μmが好ましい。0.01μm未満であると凝集粒子の形成が発生し、抵抗の低下問題があり、数平均一次粒子径が大きくなると分散が不安定となり、黒色度を高くすることができない。
【0023】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合してトナー粒子(着色粒子)とする方法等を使用することができる。
【0024】
これら本発明の着色剤はトナー中に1〜20質量%含有させるのが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の樹脂粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子(および着色剤粒子が併存する場合は其れを含めて)複数個融着することを示す。
【0026】
尚、本発明における水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0027】
本発明のトナーを製造する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の各々の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止する。さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0028】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0029】
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0030】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0031】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0032】
又、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0033】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0034】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1000〜100000、重量平均分子量(Mw)で2000〜1000000のものが好ましい。さらに、分子量分布として、Mw/Mnが1.5〜100、特に1.8〜70のものが好ましい。
【0035】
特に好ましくは150,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000〜20,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を含有する樹脂であり、特に好ましくは50,000〜130,000の領域にピーク又は肩を有する樹脂を併用することである。
【0036】
本発明のGPCによる樹脂の分子量測定方法は、THFを溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定である。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組合せなどをあげることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0037】
使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0038】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学 17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0039】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加するのがよい。
【0040】
無限溶解する溶媒とは、すなわち水に対して無限溶解する溶媒を示し、この溶媒は、本発明においては形成された樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0041】
この無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0042】
尚、形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいものと考えられる。
【0043】
このトナーはフルカラー用として組み合わせて使用することもできる。その際に組み合わせて使用できるトナーとしては限定されるものではなく、下記一般的なフルカラー用着色剤を用いたトナーと組み合わせることができる。
【0044】
フルカラートナーとして組み合わせる場合に使用することが出来るカラー着色剤としては、有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。
【0045】
具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178等が挙げられる。
【0046】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0047】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0048】
又、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、C.I.ソルベントレッド149、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド58、C.I.ソルベントレッド63、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド122、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー44、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー81、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー103、C.I.ソルベントイエロー104、C.I.ソルベントイエロー112、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー60、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0049】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0050】
離型剤としては特に限定されず公知のものを用いることが出来る。ポリプロピレン、ポリエチレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等が使用できる。好適には、下記一般式で示されるエステルワックスがよい。
【0051】
R1−(OCO−R2)n
式中、R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素基を示す。nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
【0052】
R1は炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5であり、R2は炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26である。
【0053】
具体的には、下記の如き化合物が挙げられる。
【0054】
【化1】
【0055】
【化2】
【0056】
添加量としては、トナー全体に1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%がよい。
【0057】
本発明のトナーとして好適なものは、モノマー中に離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中にエステル系化合物を内包させた粒子を形成させ、本発明のチタンブラックを含有する着色剤粒子とともに塩析/融着することでトナーとするものである。
【0058】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0059】
本発明では、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、撹拌回転数、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0060】
即ち、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる撹拌翼および撹拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては撹拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、撹拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。尚、樹脂粒子を着色剤を含む形で会合融着させたものを着色粒子と呼び、トナー粒子とは、着色粒子に更にシリカ微粒子等の外添剤を加えたものを指す場合もある。しかし、粒子形状や粒子径の測定値は何れを測っても実質的差違はない。
【0061】
又、本発明の重合法トナーの形状は、下記式で示される形状係数の平均値(平均円形度)が0.930〜0.980、好ましくは0.940〜0.975であることが好ましい。
【0062】
形状係数=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
又、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下がよく、下記式で算出されるCV値は20%未満が好ましく、さらに10%未満が好ましい。
【0063】
CV値={(円形度の標準偏差)/(平均円形度)}×100
この平均円形度を0.930〜0.980とすることでトナーが有する形状をある程度不定形化することができるため、熱の伝達効率が向上することから、トナーの定着面が均質化し、画像の黒化度を高くすることができる。すなわち、平均円形度を0.980以下とすることで定着性を向上することができ、黒化度も向上する。また、0.930以上の平均円形度とすることで、粒子の不定形度合いを抑制し、長期に亘る使用時のストレスによる粒子の破砕性を抑制することができる。
【0064】
さらに、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下とすることで形状が揃ったトナーとすることができ、トナー間での色味の差を少なくすることができる。また、CV値も20%未満とすることで、同様にシャープな形状分布とすることができ、同様の効果をより顕著に発揮することができる。
【0065】
尚、上記形状係数の測定方法は限定されるものではないが、例えばトナー粒子を電子顕微鏡で500倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置を使用し、500個のトナーについて円形度を測定し、その算術平均値を求めることで、平均円形度を算出することができる。また、簡便な測定方法としては、FPIA−2000(東亜医用電子社製)により測定することができる。
【0066】
この形状に制御するためには会合などの工程で形状を制御されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0067】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0068】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0069】
本発明のトナーの体積平均粒径はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0070】
測定条件
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて撹拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0071】
本発明のトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0072】
体積平均粒径が3〜8μmであることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上するとともに、黒化度を高くすることができる。
【0073】
又、本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0074】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビューレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0075】
疎水化度={a/(a+50)}×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0076】
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、いずれも好適に使用することができるが、本発明ではキャリアと混合して使用する二成分現像剤として使用することが特に好ましい。
【0077】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、磁性粒子としては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0078】
キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0079】
次に本発明の画像形成方法に用いることが出来る画像形成装置を添付図面に基づいて説明する。
【0080】
図1は、画像形成装置本体A、自動原稿送り装置ADFから成る画像形成装置の全体構成断面図である。
【0081】
画像形成装置本体Aは、画像読み取り装置1、画像処理手段2、画像書き込み手段3、画像形成手段4、給紙手段5、搬送手段6、定着手段7、排紙手段8、自動両面コピーのための再搬送手段(ADU)9を備えている。
【0082】
画像形成装置本体Aの上部には、自動原稿送り装置ADFが開閉可能に支持されている。
【0083】
自動原稿送り装置ADFにおいて、20は原稿給紙台、21は給紙ローラ、22は分離ローラ、23はレジストローラ、24は搬送ドラム、25は原稿案内部材、26A,26Bはピンチローラ、27A,27Bは搬送路切り替え板、28は排紙ローラ、29は排紙皿である。自動原稿送り装置ADFは、片面原稿読み取り機能と両面原稿読み取り機能とを有する。
【0084】
画像読み取り装置1の光学系は、光源と第1ミラーを備える露光ユニット14、第2ミラーと第3ミラーから成るVミラーユニット15、レンズ16、CCDイメージセンサ17により構成されている。
【0085】
自動原稿送り装置ADFによる原稿読み取りは、露光ユニット14がスリット露光用ガラス13の下方の初期位置(ホームポジション)に停止した位置において行われる。
【0086】
原稿台ガラス11上の原稿の読み取りは、露光ユニット14及びVミラーユニット15を移動させながら行われる。
【0087】
画像読み取り装置1において読み取られた原稿画像の画像情報は画像処理手段2により画像処理が行われ、画像データとして信号化され、一旦メモリに格納される。
【0088】
画像書き込み手段3においては、半導体レーザからの出力光が画像形成手段4の感光体ドラムに照射され、潜像を形成する。画像形成手段4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われ、給紙手段5から搬送された画像支持体(記録材、記録紙、或いは単に用紙ともいう)Pに画像が転写される。画像を担持した用紙Pは、搬送手段6により搬送され、定着手段7により定着され、排紙手段8により装置外の排紙トレイ81に排出される。
【0089】
又は、搬送路切り替え板82により再搬送手段9に送り込まれた第1面に画像形成された用紙Pは、再び画像形成手段4において第2面に画像形成後、排紙手段8により装置外の排紙トレイ81に排出される。
【0090】
或いは、搬送路切り替え板82により通常の排紙通路から分岐した用紙Pは、反転排紙部83においてスイッチバックして表裏反転された後、排紙手段8により装置外の排紙トレイ81に排出される。
【0091】
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式をあげることができる。特に、接触加熱方式として、熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式をあげることができる。
【0092】
熱ローラー定着方式では、多くの場合表面にテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成された下ローラーとから形成されている。熱源としては、線状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部に於いては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40mm/sec〜600mm/secが好ましい。ニップが狭い場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が広い場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが過多となる問題を発生する。
【0093】
定着クリーニングの機構を付与して使用してもよい。この方式としてはシリコーンオイルを定着の上ローラーあるいはフィルムに供給する方式やシリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方法が使用できる。
【0094】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウエッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0095】
尚、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。さらに、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0096】
【実施例】
次に、本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明は無論この態様に限られるわけではない。
【0097】
(ラテックス調製例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。
【0098】
一方で例示化合物19を72.0g、スチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.90gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)8.00gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、t−ドデシルメルカプタン13.7gの混合液を120分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。
【0099】
このラテックス粒子をラテックス1とする。
(ラテックス製造例2)
ラテックス製造例1において、例示化合物19の代わりに例示化合物21を使用した他は同様にしてラテックスを得た。これをラテックス2とする。
【0100】
(ラテックス製造例3)
ラテックス製造例1において、t−ドデシルメルカプタンの代わりにn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを使用した他は同様にしてラテックスを得た。これをラテックス3とする。
【0101】
(トナー調製例)
着色粒子1の製造
n−ドデシル硫酸ナトリウム10gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、TiO1.68チタンブラック(20M:数平均一次粒子径=25nm、三菱金属社製)20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径で32nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0102】
前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。
【0103】
ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を撹拌下、30℃にて5分間で添加した。その後、1分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで6分で昇温する(昇温速度=10℃/分)。その状態で粒径をコールターカウンターTA−IIにて測定し、体積平均粒径が6.5μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度90℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。
【0104】
その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した着色粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し着色粒子を得た。以上のようにして得られた着色粒子を「着色粒子1」とする。
【0105】
なお、その他の「ラテックス2」〜「ラテックス3」も使用し、以下に示す着色剤に変更した他は同様にして「着色粒子1」〜「着色粒子8」を得た。
【0106】
【表1】
【0107】
上記着色粒子の形状係数などを下記に示す。
【0108】
【表2】
【0109】
*上記円形度はFPIA−2000を使用し、試料分析量=0.3μl、検出粒子数=1500〜5000個の条件で測定したものである。
*なお、着色粒子8は本発明外の比較用着色粒子である。
【0110】
【表3】
【0111】
ついで上記「着色粒子1」〜「着色粒子8」にそれぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。これらを「トナー1」〜「トナー8」とする。
【0112】
なお、形状及び粒径等の物性に関しては着色粒子及びトナーのいずれも差異は無い。
【0113】
上記トナーの各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。これらをトナーに対応して、「現像剤1」〜「現像剤8」とする。
【0114】
ここで調製した現像剤を使用し、コニカ社製のデジタル複写機Konica7075(基本的に図1と同じ構成)を用い定着器の構成を下記に示す構成に変更して実写評価を実施した。
【0115】
定着方式としては図2に示すごとき圧接方式の加熱定着装置を用いた。
具体的構成は下記の如くである。
【0116】
表面をPFA(テトラフロオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)のチューブ72で被覆した(厚み:120μm)内径40mmで全幅が310mmの、ヒーター73を中央部に内蔵した円柱状の厚み1.0mmのアルミ合金76を加熱ローラー(上ローラー)71として有し、表面が同様にスポンジ状シリコーンゴム74(アスカーC硬度=48:厚み2mm)で構成された内径40mmの肉厚2.0mmの鉄芯金77を有する加圧ローラー(下ローラー)75を有している。ニップ幅は5.8mmとした。この定着装置を使用して、印字の線速を350mm/secに設定した。
【0117】
尚、定着装置のクリーニング機構としてポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。
【0118】
定着の温度は上ロールの表面温度で制御し、190℃の設定温度とした。なお、シリコーンオイルの塗布量は、0.2mg/A4とした。
【0119】
〔特性評価〕
評価は上記評価装置をにてA4で画素率が5%の画像を使用し連続モードにて、常温常湿環境(20℃/50%RH)にて5万枚印字し、ついで1晩放置した後高温高湿(33℃/85%RH)環境にて10万枚印字し、さらに24時間この環境にて放置し、低温低湿環境(10℃/10%RH)環境にて10万枚印字し、画像濃度の推移を評価した。
【0120】
画像濃度は初期と最後にてベタ黒のパッチを有する画像を印字し、その画像の反射濃度をマクベス反射濃度計RD−918を使用して絶対濃度を測定した。また、白地の部分のカブリ濃度を前記反射濃度計を使用し、紙の反射濃度を「0」とする相対濃度で測定した。
【0121】
【表4】
【0122】
【発明の効果】
本発明により、使用時に環境変動があっても、トナーの帯電性に変動が無い、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で会合する方法にて造られた静電潜像現像用トナーとその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の全体構成断面図。
【図2】本発明に係わる加熱定着装置の概略図。
【符号の説明】
1 画像読み取り装置
11 原稿台ガラス
13 スリット露光用ガラス
14 露光ユニット
15 Vミラーユニット
16 レンズ
17 CCDイメージセンサ
71 加熱ローラー(上ローラー)
75 加圧ローラー(下ローラー)
A 画像形成装置本体
ADF 自動原稿送り装置
D 原稿
P 画像支持体(記録材、記録紙、用紙)
Claims (3)
- 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーにおいて、該着色剤粒子が一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である酸化チタンを含有することを特徴とする静電潜像現像用トナー。
- 少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなる静電潜像現像用トナーの製造方法において、該着色剤粒子に一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である酸化チタンを含有させることを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法。
- 少なくとも樹脂と着色剤とを含有する静電潜像現像用トナーにより画像形成支持体上に形成された画像を熱定着する画像形成方法において、該トナーが、少なくとも水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させてなるトナーであり、且つ、該着色剤粒子が一般式TiOx(x=1.0〜1.9)である酸化チタンを含有することを特徴とする画像形成方法。
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