JP4021921B1 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解コンデンサ電極用アルミニウム箔として、質量%で、Si:0.01〜0.30%、Fe:0.01〜0.30%、Ni:0.0051〜0.05%未満、Cu:0.010%超〜0.10%未満を含有し、さらに、所望により、Zn、Mn、Ga、Vのうち1種または2種以上合計0.0051〜0.10%未満含有し、残部がAlと不可避不純物からなるものを用いる。該アルミニウム箔の製造に際し、望ましくは、550℃以上で1時間以上加熱する均質化処理を施す。信頼性を損なうことなくエッチング性を向上させることができ、高静電容量及び高信頼性を兼ね備えた電解コンデンサ電極が得られる。
【選択図】なし
Description
したがって、信頼性重視の観点からは純Al系が選定され、コスト重視の観点では合金系が選定されている。
これに対し、本願発明者らは、純Al系ベースにNiなどを添加することにより無電解エッチングを可能にしたアルミニウム箔を提案している。しかし、当該アルミニウム箔は、表面溶解の均一性が充分でなく、部分的に未エッチング領域が残存してしまうという問題を有している。
Siはエッチングの起点となる析出物を形成させる。ただし、0.01%未満では、Siの絶対量が少なく、その作用が十分発揮されない。一方、0.30%を越えると、析出が進行し、過溶解となり、エッテング形態が不均一になり、静電容量が低下する。このため、Si含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Si含有量の下限を0.02%、上限を0.15%とするのが望ましい。
Feはエッチングの起点となる析出物を形成させる作用がある。ただし、0.01%未満ではFe絶対量が少なく、その作用が十分発揮されない。また、高純度化のためにコストアップとなる。一方、0.30%を越えると析出が進行し、過溶解となり、エッチング形態が不均一になり、静電容量が低下する。このため、Fe含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Fe含有量の下限を0.02%、上限を0.15%とするのが望ましい。
NiはAl−(Ni、Fe)系の析出物を形成する。これらは、電位的に貴であり、バルクとの間で局部電池反応を起こし、エッチング性を向上させる。ただし、0.0051%未満では十分な数のAl−(Ni、Fe)系の析出物が得られなく、分散が不十分の為、不均一なエッチング形態となる。一方、0.05%以上では、大きな析出物が形成され易くなり、エッチングにより粗大なピットが発生し、好ましくない。このため、Ni含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、Ni含有量の下限を0.0075%、上限を0.03%とするのが望ましい。
CuはAl中に固溶した状態で存在し、バルクのエッチング均一性を向上させる作用がある。ただし、0.010%以下では上記効果が不十分であり、一方、0.10%以上では、純度低下による過溶解や不均一分布が発生する為、好ましくない。このため、Cu含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.020%、上限を0.050%未満とするのが望ましい。
これら元素は、Cuと同様にAl中に固溶した状態で存在し、バルクのエッチング均一性を向上させる作用がある。ただし、0.0051%未満では上記効果が不十分であり、一方、0.10%以上になると、純度低下による過溶解や不均一分布が発生する為、好ましくない。このため、Zn、Mn、Ga、V含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、含有量は下限を0.007%、上限を0.080%とするのが望ましい。
本発明では、アルミニウム箔の製造に際し、該箔の原料となるアルミニウム合金に対し均質化処理を行う。該均質化処理により、Al−(Ni、Fe)系の析出物を均一に分散させることができ、エッチング性の向上を確実なものとする。該均質化処理において、加熱温度が550℃未満または加熱時間が1時間未満であると、Al−(Ni、Fe)系析出物の析出が不十分となるため、均質化条件を上記の通り定める。なお、同様の理由で 570℃以上、4時間以上の条件とするのが望ましい。
本発明の合金組成に調整したアルミニウム合金は、半連続鋳造などによる常法により溶製することができ、本発明としては特にその方法が特定されるものではない。得られた合金鋳塊は、本発明の製造方法にしたがって、550℃以上、1時間以上の均質化処理を行うのが望ましい。該均質化処理は、適宜の加熱炉などを用いて行うことができ、加熱方法、加熱手段が特に限定されるものではない。均質化処理後のアルミニウム合金に対しては、常法により熱間圧延、冷間圧延を行うことができる。熱間圧延前には、アルミニウム合金に対し均熱することもできる。また、冷間圧延に際し、中間焼鈍を行うことも可能である。該中間焼鈍の条件が限定されるものではないが、例えば300〜500℃で1〜24時間の条件で行うことができる。
上記冷間圧延によって、例えば数十μmから100μm程度のアルミニウム箔を得ることができるが、本発明としてはアルミニウム箔の厚さが特に限定されるものではない。
エッチング処理においては、ピットが高密度で形成され、高い粗面化率が得られる。この箔を化成処理し、必要な耐電圧を得た後、常法により電解コンデンサに電極として組み込むことにより静電容量の高いコンデンサが得られる。本発明としては化成処理の方法が特に限定されるものではない。
表1に示す組成(残部Alおよびその他の不純物)において、常法によりアルミニウム合金鋳塊を溶製し、該アルミニウム合金鋳塊に対し、表1に示す条件で均質化処理を行った。該鋳塊を熱間圧延で板厚7mmに仕上げた後、冷間圧延を行い、400℃×4時間の条件で中間焼鈍を行った。その後、最終板厚50μmに冷間圧延をして供試材を得た。
第1段階:6M−HCl+0.5M−H3PO4、50℃×60sec
第2段階:2M−HCl+1.5M−H3PO4、40℃×180sec
の条件でエッチング処理した後、85℃のアジピン酸アンモニウム溶液中で3V化成後、静電容量を測定した。静電容量は、供試材No.1の静電容量を100とした相対評価により行った。これらの結果を表1に示した。
表1から明らかなように、本発明の供試材では、高い静電容量が得られており、均質化処理を550℃以上で行うことによって静電容量のさらなる向上が確認された。
Claims (3)
- 質量%で、Si:0.01〜0.30%、Fe:0.01〜0.30%、Ni:0.0051〜0.05%未満、Cu:0.010%超〜0.10%未満を含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
- 質量%で、Si:0.01〜0.30%、Fe:0.01〜0.30%、Ni:0.0051〜0.05%未満、Cu:0.010%超〜0.10%未満を含有し、さらに、Zn、Mn、Ga、Vのうち1種または2種以上合計0.0051〜0.10%未満含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
- 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を製造するに際し、請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム箔用の合金に550℃以上で1時間以上加熱する均質化処理を施すことを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
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