JP2005298853A - 電解Cu箔製造ドラム用チタン板およびその製造方法 - Google Patents

電解Cu箔製造ドラム用チタン板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 板面内に、表面模様がほとんどなく、表面凹凸の小さい高品質の電解Cu箔を製造するのに適した電解Cu箔製造ドラム用チタン板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、Cu:0.5〜2.1%、Ru:0.05〜1.00%、Fe:0.04%以下、酸素:0.10%以下、残部チタンと不可避不純物からなり、均質微細再結晶組織を有する、電解Cu箔製造ドラム用チタン板。また、この成分系からなるスラブを、α+β二相温度域に加熱し、熱間圧延を行い、500℃以上β変態点以下の温度域で焼鈍する。また、さらに冷間圧延を行い、500℃以上β変態点以下の温度域で焼鈍する。前記焼鈍を、500℃以上β変態点以下の温度域に替えてα単相温度域にて行ってもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品のプリント配線板などに使用される銅箔(以下、Cu箔と記す)を製造するためのドラム用チタン材であって、均質でかつ緻密な板面金属組織を有し、かつ耐食性に優れた材料およびその製造方法に関するものである。
電子部品に組込まれて使用されるプリント配線板は、絶縁基板上に導電性のCu箔を貼り合わせ、その表面に配線パターンをプリントし、不要部分をエッチングにより除去して作られる。
このプリント配線板に用いられるCu箔は、高品位のCu原料を硫酸溶液に溶解させた硫酸銅溶液中で、Pbなどの不溶性金属を陽極に、ドラムを陰極にし、ドラムを回転させつつ電気化学的にドラム上にCuを連続的に電析させ、これを連続的に剥離させ、ロール状に巻き取るという方法で製造されている。ドラムの材料としては、耐食性に優れること、Cu箔の剥離性に優れること、などの観点から、近年チタンが多用されるようになってきた。
ところで、電子部品の配線パターンは極めて微細で(幅0.1〜0.5mm)高い精度や再現性が要求されることから、プリント配線に使用されるCu箔の面粗さも極めて高い精度・均質性が要求される。この面粗さは、Cu箔が電着していたチタン製陰極ドラムの面状態を継承していることから、チタン製ドラムの表面は高度に研磨・整面した後使用される。
しかし、いかに高耐食性のチタン材といえども、使用中に電解液中で徐々に腐食を受けて、新たに出現した面の状態がCu箔に転写されるようになる。金属の腐食というのは、その金属材料の有する組織、結晶方位、欠陥、偏析、加工歪み、残留歪みなど様々な内質状態によってその程度が異なることが知られており、このような不均質な内質状態の材料からなるドラムが使用中に腐食を受けると、必ずしも均質な面状態が維持できなくなる。そして、不均質な面状態が出現すると、それが銅箔に転写されるため、高精度かつ均質な厚さのCu箔が製造できなくなるという問題が発生する。
このような問題に対し、特許文献1では、表面下1mmと1/3板厚部の平均結晶粒径がいずれも50μm以下で、かつ、表面下1mmと1/3板厚部の結晶粒径差が5μm以内であることを特徴とする均質な金属組織を有する純チタン材料に関する発明が開示されている。
また特許文献2では、結晶粒度が7.0以上であり、かつ初期水素含有量が35ppm以下であるような純チタン材料に関する発明が開示されており、該発明によれば電解銅箔製造用カソード電極として3000時間以上連続しても表面の形状が安定するとしている。
また特許文献3では、質量%でCuを0.5〜2.1%、Feを0.04%以下、酸素0.10%以下を含み、残部チタンと不可避不純物からなり、均質微細再結晶組織を有する高品質な銅箔を製造するに適したチタン材料に関する発明が開示されている。
特開2002−322526号公報 特開2002−194585号公報 特開2004−002953号公報
しかしながら、特許文献1記載の純チタン材では、銅イオンを含む高濃度の硫酸溶液中では、ドラム表面が比較的早く腐食し、結晶粒毎に凹凸が現れ、この凹凸は長時間の使用で数μmオーダーとなる。一般にhcpの結晶構造をとる純チタン材料では、(0001)面は原子間の隙間が最も小さいため腐食されにくく、長時間腐食されると、他の結晶面との腐食量の差が顕著となる。
ファインピッチ回路に使用される銅箔は板厚10μm以下の薄い材料が使用されるため、チタンドラム表面における結晶粒間の凹凸はできるだけ避けなければならない。しかし、硫酸中の腐食速度は純チタンである限りは大差が無いため、結晶粒が微細で均質であっても、いずれ時間の経過により腐食による凹凸が出現する。したがって、このチタン材料表面の凹凸の出現は特許文献2記載のチタン材料においても同様である。
一方、特許文献3記載のTi−Cu合金では、特許文献1,2と比べてより微細で粒径のばらつきが小さい結晶粒を持った表面組織が得られるが、耐腐食性に関しては純チタン材料とほぼ同等であるため、表面凹凸の問題は依然として残ったままである。
そこで本発明は、硫酸銅電解溶液中で長時間使用してもドラム表面の凹凸が小さくかつ肉眼で判別出来るような模様が少ない、均質微細な板面金属組織を有するドラム用チタン材、及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、純チタンよりも均質微細組織が得られやすいTi−Cu合金に第3元素として貴金属元素を固溶させることにより、硫酸溶液に対する耐食性を向上させ、電解銅箔製造用硫酸銅電解溶液中での長時間使用後も表面に凹凸の出現が少ないドラム材料を見出すに至った。
本発明はかかる知見に基づいて完成させたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、
Cu:0.5〜2.1%、 Ru:0.05〜1.00%、
Fe:0.04%以下、 酸素:0.10%以下
を含み、残部チタンと不可避不純物からなり、均質微細再結晶組織を有することを特徴とする、電解Cu箔製造ドラム用チタン板。
(2) 前記チタン板がα単相からなることを特徴とする、上記(1)に記載の電解Cu箔製造ドラム用チタン板。
(3) 質量%で、
Cu:0.5〜2.1%、 Ru:0.05〜1.00%、
Fe:0.04%以下、 酸素:0.10%以下
を含み、残部チタンと不可避不純物からなるスラブを、α+βの二相温度域に加熱し、熱間圧延し、さらに500℃以上β変態点以下の温度域で焼鈍することを特徴とする、電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
(4) 質量%で、
Cu:0.5〜2.1%、 Ru:0.05〜1.00%、
Fe:0.04%以下、 酸素:0.10%以下
を含み、残部チタンと不可避不純物からなるスラブを、α+βの二相温度域に加熱し、熱間圧延し、さらにα単相温度域で焼鈍することを特徴とする、電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
(5) 前記焼鈍に引き続いて、さらに冷間圧延を行い、その後、500℃以上β変態点以下の温度域で焼鈍を行うことを特徴とする、上記(3)または(4)に記載の電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
(6) 前記焼鈍に引き続いて、さらに冷間圧延を行い、その後、α単相温度域で焼鈍を行うことを特徴とする、上記(3)または(4)に記載の電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
本発明によれば、均質微細再結晶組織を有し、かつ電解銅箔製造用硫酸銅電解溶液中での長時間使用後も表面に凹凸の出現が少ないチタン合金を提供することが可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
請求項1に記載の本発明では、質量%で、Cu:0.5〜2.1%、Ru:0.05〜1.00%、Fe:0.04%以下、酸素:0.10%以下、残部チタンと不可避不純物からなることとした。以下の説明において、成分含有量は質量%である。
まず、硫酸溶液中におけるTi−Cu合金の耐食性を向上させるため、Ruを添加した理由を述べる。
一般に貴金属添加はチタン表面の水素過電圧を小さくし、水素発生を容易にするため耐食性が向上する。しかし、本発明が対象としている電解Cu箔製造ドラム用のチタン材料としては、どんな貴金属でも良いというわけには行かない。すなわち、その貴金属元素の添加によってTi−Cu合金の均質微細な組織の形成に影響があってはならない。
本発明者は様々な貴金属元素の添加を試みた結果、RuがTi−Cu合金の均質微細な組織を維持しつつ、硫酸溶液に対する耐食性をも併せ持つことを見出した。
Ti−Cu合金にPd,Pt等の貴金属を添加すると、貴金属元素の偏析により材料表面の腐食速度が部分的に異なって組織均質性が阻害され、長時間硫酸溶液中に浸した場合に、材料表面に目視で分かる程度の模様が出現してしまう。一方、Ruはα相中に固溶するため、硫酸溶液に対する耐食性を有しながら、組織均質性は維持されるため、硫酸溶液中で長時間使用しても表面の凹凸の出現が起こりにくい。Ru添加による硫酸溶液に対する耐食性向上の効果が得られる最低量は0.05%であり、1.00%を超える添加では効果は飽和するため、Ruの添加量を0.05〜1.00%に限定した。
次に、Feと酸素を上記範囲に限定した理由について説明する。
Feは、β相を安定化する元素であり、α相中への固溶量は極めて小さく最も多量に固溶する温度においても高々0.04%である。これを超えてFeを添加すると、Feが濃化したβ相が出現するようになるが、このβ相は腐食環境下で優先的に溶解し、ピット状の窪みとなりやすい。このような窪みが面上に存在すると、目視で判別出来る程度の模様となって見える。こうした模様は電析するCu箔に転写されるため、高品質のCu箔が製造できなくなる。したがって、Fe含有量は0.04%以下であることが必要である。Fe量の下限は特に規定しないが、不純物として通常0.005%以上含有している。
純チタンや主要なチタン合金は、hcp構造のα相を主相としており、酸素はこれを強化する合金元素である。電解Cu箔製造ドラムは、板を冷間で曲げて円筒状のドラムに成形するため、軟質の方が成形しやすく、また成形後の残留応力も小さく、均質となる。この残留応力も不均質組織発生の一因であり、これを低減するために、本発明では酸素の含有量を0.10%以下とした。酸素量の下限は特に規定しないが、不純物として通常0.005%以上含有している。
次にCuを0.5〜2.1%の範囲に限定した理由について説明する。
Cuは、図1の二元系平衡状態図に示すように、本発明のCu濃度範囲(0.5〜2.1%)では、チタン材の一般的な熱間圧延温度である850℃付近でα+βの二相となる。二相組織は単相組織に比べて著しく結晶粒成長が抑制されるため、より微細な組織となる。また加工再結晶組織は、加工前の組織が微細であるほど均質微細となることは良く知られた事実である。本発明ではCuを適量添加することにより、二相温度域で主たる熱間圧延を可能ならしめ、最終的な組織を均質微細な再結晶組織とする技術である。
これを実現するためには、Cuの添加量は0.5〜2.1%であることが必要である。それは、Cuが0.5%未満の場合、通常のチタンの熱間圧延加熱温度である850℃付近で二相とならないからであり、また2.1%を超えてCuを添加すると、凝固偏析が大きくなり、この偏析に起因した部分的な不均質組織が発生したり、Ti2 Cu相の増加にともない材料強度が増し、冷間成形による加工歪みが不均質となり、これに起因して目視で判別出来る程度の模様が発生するようになるためである。
請求項1に記載の本発明では、均質微細組織であることが必須条件であるが、再結晶させておかないと、加工歪み分布の不均一性や未再結晶延伸粗大粒や、結晶方位の近い結晶粒の集まり等を反映した目視で判別出来る程度の模様が発生する。目視で判別出来る程度の模様は、幅1mmから数mm、長さ数mm〜10mmの筋状の模様として観察される。
また、ここで再結晶組織とは、結晶粒内に黒い線状や網目状の未再結晶組織がなく粒界以外はほとんど見られない組織のことであり、微細組織とは、平均結晶粒径40μm未満の結晶粒を示す。均質とはドラム製品寸法の大きさに相当する、例えば1.5m×8mの板における任意の部位より試料を採取してミクロ組織を観察した際に、いずれの試料の光学顕微鏡組織も微細な再結晶組織であることを意味する。
均質であることの確認は、ドラム製品の長手方向に隣接するトップ側及びボトム側の幅方向の端部または中央部の3〜4箇所から1cm×1.5cm程度の試験片を採取し、板面のミクロ組織を光学顕微鏡で観察することによって行う。
以上のような理由で、本発明のRuおよびCuを添加したチタン材は、まさに電解Cu箔を製造するドラムにふさわしい材料である。
なお、不可避不純物とは、精錬、溶解、鍛造、熱延、冷延、熱処理、精整等の製造工程で、材料中への混入が避けられない不純物元素を指すものであり、例えば0.05%以下の窒素、炭素、水素、Ni、Cr、Mn、Mg、Sn、Al、V、Siなどを指す。
請求項2に記載の本発明では、請求項1に記載の本発明の電解Cu箔製造ドラム用チタン板がα単相からなることとした。請求項1に記載の本発明の説明で述べたように、Cuの濃化したβ相やTi2 Cu相が少量存在しても、高品質のCu箔の製造が可能なドラムを製造することができるが、これらを完全に消失させ、完全にα単相とすると、冷間成型時のごく僅かな応力・歪み分布も均質化し、電解液による腐食は著しく均質なため、表面の凹凸が小さく、高品質なCu箔が製造できるようになる。
以上述べたような、電解Cu箔製造ドラム用チタン板は、例えば請求項3ないし6のいずれか1項に記載の本発明の方法で製造することができる。
次にこの製造方法について説明する。
まず、請求項3に記載の本発明の方法では、当該チタン材のα+β二相温度域に当該チタンのスラブを加熱し、α+β二相温度域で熱間圧延することとした。請求項1または2に記載の本発明におけるCu添加の目的は、均質微細組織を得るために十分な二相温度域を出現させることである。したがって、圧延途中でこの温度域に入れば当初の目的は達成できるが、最初からスラブをこの温度域に加熱すると、確実にこの目的は達成される。
また熱間圧延後は、当該チタン材のβ変態点以下の温度域で焼鈍することとした。これは、二相状態での熱間圧延により高度に蓄積した歪みを核として再結晶を促進させ、均質微細再結晶組織を得るための工程である。したがって、焼鈍温度の下限は500℃(再結晶温度)とした。
β変態点とは、それ以上の温度ではβ単相となる温度であり、これを超えて著しく拡散の速いβ単相域に加熱すると、折角蓄積した歪みが一挙に開放されて粒成長してしまい、折角のα+β二相域圧延の効果が消失してしまい、均質微細組織が得られない。
しかし、β変態点以下のα+β二相域では、粒成長が抑制されるため均質微細再結晶組織が達成できる。この場合、焼鈍後の冷却中にα単相域を材料が通過する際に、β相の大部分はα相に変態するが、均質微細組織は保持される。
また、特に冷却速度が速い場合、β相が残留したり、冷却途中でTi2 Cu相が生成することがあるが、これらは生成しても少量であり、先にも説明したように、Cu箔製造用電解液で激しい優先溶出を起こすことはなく、ドラムを成形する際の加工性への影響も僅かである。したがって、Cu箔製品の品質を著しく低下させるようなことはない。
また焼鈍を、α単相域よりも低いα+Ti2 Cu二相温度域で行った場合も同様である。すなわち、熱間圧延後の冷却中にα単相域を通過する際に、大部分のβ相はすでにα相に変態しており、またα相からTi2 Cuが析出する反応は極めて遅く、100時間以上を要することから、実際の焼鈍中にはこの反応は起こらない。したがって、α+Ti2 Cu二相温度域で焼鈍した場合もα相が大部分を占め、極少量のβ相が混在する程度である。そして、Cu箔製造用電解液で激しい優先溶出を起こすこともなく、ドラムを成形する際の加工性への影響も僅かであり、Cu箔製品品質を著しく低下させるようなことはない。
上記、α+β二相域とα+Ti2 Cu二相域の中間のα単相域で焼鈍した場合は、熱延後に混在していたβ相やTi2 Cu相はすべてα相となり、完全なα単相組織が実現する。この状態は、α+β域やα+Ti2 Cu域での焼鈍に比べて単相状態であることから結晶粒成長しやすいが、先にα+β二相域で高度に歪みが蓄積されているため、不必要に焼鈍時間を長くしない限り均質微細再結晶組織が達成できる。
また、冷却中にα+Ti2 Cu二相域を通過するが、先にも述べたとおり、α相からのTi2 Cu相の析出は極めて遅いため、実質的にα単相状態が室温で達成できる。そのため、請求項2に記載の本発明の電解Cu箔製造ドラム用チタン板が製造でき、電解液による腐食は著しく均質なため、表面の凹凸が小さく、高品質なCu箔が製造可能となる。この方法は、請求項4に記載の本発明の製造方法である。
請求項5に記載の本発明では、請求項3または4に記載の本発明の方法で製造したチタン板に対し、さらに冷間圧延を行い、その後、β変態点以下の温度で焼鈍を行うこととした。これは、請求項3または4に記載の本発明の方法で製造したチタン板に対し、冷間加工歪みをさらに与え、再度再結晶させることにより、より均質で微細な組織を達成しようとする技術である。
焼鈍を500℃以上β変態点以下の温度で行うこととしたのは、請求項3または4に記載の本発明の場合と同じである。特に焼鈍をα単相温度域で行うと、請求項4に記載の本発明の場合と同様、α単相状態が室温で達成できる。そのため、請求項2に記載の本発明の電解Cu箔製造ドラム用チタン板が製造でき、電解液による腐食は著しく均質なため表面の凹凸が小さく、高品質なCu箔が製造可能となる。この方法は、請求項6に記載の本発明の製造方法である。
本発明を、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
表1に示した成分からなるインゴットを、真空アーク2回溶解により準備し、これを分塊圧延して厚さ150mmのスラブとした。このスラブを850℃に加熱し、850〜700℃の範囲で熱間圧延を行い、熱間圧延し厚さ10mmの板とし、630℃で焼鈍した。この焼鈍は、真空クリープ矯正機(VCF)を用いて、形状矯正を兼ねて行った。
上記の厚板から切り出した検査用試験片を、板面に平行に10cm×8cmの試験片を切り出し、黒皮部を含めて2mm研削し、更に#600の研磨を行って硝沸酸系のマクロ腐食液でエッチング後、表面に目視で判別出来る程度の模様が現れるかどうかを観察した。
なお、目視で判別出来る程度の模様とは、(1)未再結晶粒に起因するもの、(2)面方位が近い結晶粒の集まりに起因するもの、(3)ピット状くぼみの出現によるもの、 (4)成分偏析に起因するもの等がある。いずれも前述したマクロ腐食液でのエッチングによる観察可能となる。(1),(2)は、幅1mmから数mm、長さ数mm〜10mmの筋状の模様となって現れる。(3)は黒い点状の模様となって容易に判別出来る。(4)は、結晶粒径が大きく異なる結晶粒がため光沢が異なり判別出来る。
表面模様による結晶粒均質性の評価は以下のように行った。
すなわち、筋状の模様が現れる場合は、0〜1個の場合:◎、2〜5個の場合:○、6〜10個の場合:△、11個以上の場合:×の4段階評価とし、黒い点状の模様が現れる場合、および光沢が異なる箇所が1箇所でもある場合は×とした。
また、同じ材料表面の任意の箇所から、250μm×200μmの領域3箇所の表面をレーザー顕微鏡で観察し、任意箇所で各5本のライン分析を行い、隣合う結晶粒間の凹凸の最大値を測定した。さらにpH=0.5〜2.0の沸騰塩酸溶液と硫酸溶液に24時間浸漬し、その質量変化から腐食速度を求めた。
表1において、比較例である試験番号1は、通常の純チタンの場合であり、通常の厚板製造工程により製造しているため、模様は×判定であった。試験番号2〜4はRuを含まないTi−Cu合金である。これらの合金は目視で判別出来る程度の表面模様はほとんどないが、塩酸及び硫酸溶液中での腐食速度が速く、隣合う結晶粒間の凹凸の最大値が1μmを超えてしまい、高機能電解銅箔用ドラムとしては不適当である。また、試験番号5はRuの代わりにPdを入れたTi−Cu合金である。Pdの添加により、塩酸及び硫酸溶液中の腐食速度は抑制されるが、Ruの偏析による組織の不均質性が材料表面に現れ、目視で表面模様が観察され、高機能電解銅箔用ドラムとしては不適当である。
一方、本発明の実施例である試験番号6〜10及び14〜19は、表面模様評価は◎、隣合う結晶粒間の凹凸の最大値も0.2μm以下であり、凹凸の小さい均質微細組織が得られ、本発明の効果が十分に達成された。
比較例の試験番号11は△の判定であった。これは、Cuの添加量が本発明の下限よりも低く、熱間圧延時に十分な二相状態が達成されなかったことによる。また、Cuの添加量が本発明の上限を超えた試験番号12は、凝固偏析が激しくなり、部分的に粗大粒が混入し、またCu偏析による腐食むらにより表面模様評価は×であった。
試験番号13は、△のマクロ模様判定しか得られなかった。これは熱延後の焼鈍温度をβ域としたため、結晶粒径が粗大化するとともに粒径のばらつきが大きくなって表面模様が見られたためであり、また隣合う結晶粒間の凹凸の最大値も1μmを超えた。
試験番号20は、Feの添加量が本発明で規定された0.04%を超えたため、腐食時にピット状の窪みが発生し、表面模様評価は×であった。
Figure 2005298853
上記実施例1において製造した熱延焼鈍板の中から、Ti−1.9%Cu−0.03%Fe−0.05%酸素−0.5%Ruの成分を有する試験番号8、Ti−1.0%Cu−0.02%Fe−0.03%酸素−0.15%Ruの成分を有する試験番号15、Ti−0.5%Cu−0.02%Fe−0.03%酸素−0.15%Ruの成分を有する試験番号19を選定し、これらを脱スケール後、さらに冷間圧延を行い、6mm厚の板とした。 その後、表2の、冷延後の焼鈍温度の欄に記載された温度で焼鈍を行い、上記実施例1と同じ方法で、結晶粒径、表面模様評価、及び隣合う結晶粒間の凹凸の最大値を測定し、塩酸及び硫酸溶液中での腐食速度の測定も行った。その結果を表2に示す。
表2において、本発明実施例の試験番号21,22,24〜27の板は、いずれも熱延焼鈍板の場合よりも結晶粒径が小さくなっており、板の表面模様の評価はいずれも◎判定であり、隣合う結晶粒間の凹凸の最大値は0.2μm以下で、極めて凹凸の小さい均質微細組織が得られた。これらの材料は、熱延焼鈍板においても良好な表面組織が得られているが、より微細なチタン板が得られることから、本材料にて製造したドラムを用いると、さらに緻密で高品質の電解Cu箔が製造できる。
試験番号25は、冷延前には若干の第2相が存在していたが、冷延後の最終焼鈍をα単相域で行ったため、請求項2に記載の本発明の、高品質の電解Cu箔の製造に適したドラム用チタン板が得られる。また試験番号26は、冷延前の熱延焼鈍板がα単相からなるが、冷延後の焼鈍をα+Ti2 Cu二相域で行っても、α相からTi2 Cu相の析出は著しく遅いため、請求項2に記載の本発明のα単相の状態が保持される。
一方、冷延後の焼鈍温度をβ温度域とした試験番号23(比較例)の材料は、結晶粒径が粗大化するとともに粒径のばらつきが大きくなって表面模様が見られた。
Figure 2005298853
本発明のチタン合金は、表面模様がほとんどなく均質微細かつ表面の凹凸が極めて小さい板面金属組織を有していることから、高品質の電解Cu箔を製造するに適した、電解Cu箔製造ドラム用チタン板として利用することが可能である。
TiとCuの二元系平衡状態図の一部を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    Cu:0.5〜2.1%、 Ru:0.05〜1.00%、
    Fe:0.04%以下、 酸素:0.10%以下
    を含み、残部チタンと不可避不純物からなり、均質微細再結晶組織を有することを特徴とする、電解Cu箔製造ドラム用チタン板。
  2. 前記チタン板がα単相からなることを特徴とする、請求項1に記載の電解Cu箔製造ドラム用チタン板。
  3. 質量%で、
    Cu:0.5〜2.1%、 Ru:0.05〜1.00%、
    Fe:0.04%以下、 酸素:0.10%以下
    を含み、残部チタンと不可避不純物からなるスラブを、α+βの二相温度域に加熱し、熱間圧延し、さらに500℃以上β変態点以下の温度域で焼鈍することを特徴とする、電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
  4. 質量%で、
    Cu:0.5〜2.1%、 Ru:0.05〜1.00%、
    Fe:0.04%以下、 酸素:0.10%以下
    を含み、残部チタンと不可避不純物からなるスラブを、α+βの二相温度域に加熱し、熱間圧延し、さらにα単相温度域で焼鈍することを特徴とする、電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
  5. 前記焼鈍に引き続いて、さらに冷間圧延を行い、その後、500℃以上β変態点以下の温度域で焼鈍を行うことを特徴とする、請求項3または4に記載の電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
  6. 前記焼鈍に引き続いて、さらに冷間圧延を行い、その後、α単相温度域で焼鈍を行うことを特徴とする、請求項3または4に記載の電解Cu箔製造ドラム用チタン板の製造方法。
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