JP4021254B2 - 静電吸着機能を有する加熱装置及びその製造方法 - Google Patents

静電吸着機能を有する加熱装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電吸着機能を有する加熱装置に関し、具体的には、昇温工程を含む半導体デバイスの製造工程における半導体ウエーハの加熱プロセスに好適に使用される静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエーハの加熱には、金属線を巻いたヒータが使用されていた。しかし、このヒータを使用した場合には、半導体ウエーハヘの金属汚染の問題があったため、近年、セラミックス薄膜を発熱層として使用したセラミックス一体型ウエーハ加熱装置の使用が提案されている(例えば、特開平4−124076号公報参照)。
【0003】
また、半導体ウエーハの加熱にあたっては、ヒータ上に半導体ウエーハを固定するために減圧雰囲気では静電吸着装置が使用されており、プロセスの高温化に伴ってその材質は樹脂からセラミックスに移行している(特開昭52−67353号、特開昭59−124140号公報参照)。
【0004】
また最近では、これらのセラミックス一体型ウエーハ加熱装置と静電吸着装置を合体した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置が提案されている。例えば、エッチング工程などの低温域では静電吸着装置の絶縁体層にアルミナを用いたもの(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994参照)、CVD工程などの高温域においては静電吸着装置の絶縁体層に熱分解窒化ホウ素を用いたもの(特開平4−358074号、特開平5−109876号、特開平5−129210号公報、特開平7−10665号参照)が使用されている。
【0005】
一方、上記文献(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994)に記載されているように、静電吸着力は絶縁体層の体積抵抗率(電気抵抗率)が低くなれば強くなるが、低過ぎるとリーク電流によるデバイスの破損が生じるため、静電吸着装置の絶縁体層の体積抵抗率は1010〜1013Ωcmであることが望ましいとされている。
【0006】
しかしながら、上記静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の絶縁体層にアルミナを用いた場合には、500℃から800℃までの中高温域において、抵抗値が低くなり過ぎてリーク電流によるデバイスの破損が発生してしまうという問題がある。また、熱分解窒化ホウ素を用いた場合には、上記中高温域で抵抗値が高くなり過ぎるため、十分な静電吸着力が得られないという問題があった。
このような問題を解決すべく、静電吸着装置の絶縁体層に1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化ホウ素を用い(特開平9−278527号公報参照)、500〜800℃の中高温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有するものが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように絶縁体層に1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化ホウ素を用いた静電吸着機能を有する加熱装置では、絶縁体層の熱膨張率は、炭素含有量に応じて大きく変化するため、昇降温を繰り返すと、静電吸着用電極や発熱層等の下地の熱膨張率との差により絶縁体層が剥離する場合があるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、500〜800℃の中高温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有し、リーク電流によるデバイスの破損の発生もない上、急速な昇降温を行っても絶縁体層が剥離せずに長期にわたって安定して使用できる静電吸着機能を有する加熱装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため、静電吸着機能を有する加熱装置の中高温域における静電吸着力の低下と熱衝撃による接合境界部分の剥離を防止し、中高温域における静電吸着力が高く、耐熱衝撃性に優れた加熱装置について種々検討を行った。その結果、絶縁体層として、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001重量%以上、5重量%以下の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有するものとすることにより、下地と同等の熱膨張率に制御することが可能となることを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、少なくとも、支持基材と、該支持基材上に形成された静電吸着用電極及び発熱層と、該静電吸着用電極及び発熱層上に形成された絶縁体層とを含む静電吸着機能を有する加熱装置であって、前記絶縁体層が、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有するものからなることを特徴とする静電吸着機能を有する加熱装置が提供される(請求項1)。
【0011】
このように、静電吸着機能を有する加熱装置において、絶縁体層を、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有するものとすれば、中高温域での静電吸着力の低下が起こらず十分な静電吸着力が得られ、リーク電流によるデバイスの破損の発生がない上、繰り返しの昇降温で絶縁体層が剥離してしまうこともないので、長期にわたり安定して使用することができる。
【0012】
この場合、静電吸着用電極及び発熱層が、前記支持基材上に形成された保護層を介して形成されていることが好ましい(請求項2)。
このように支持基材上の保護層を介して静電吸着用電極及び発熱層が形成されていれば、支持基材に含まれる不純物、ガス等による汚染等を防止することができる。
【0013】
絶縁体層の熱分解窒化ホウ素に含有されている元素は、ケイ素、炭素、ホウ素、ゲルマニウム、及びアルミニウムのいずれか2種類以上の組み合わせであることが好ましい(請求項)。
これらの元素の2種類以上を熱分解窒化ホウ素にそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有させた絶縁体層とすれば、絶縁体層の剥離をより確実に防ぐことができる。
【0014】
支持基材は、窒化ケイ素焼結体、窒化ホウ素焼結体、窒化ホウ素と窒化アルミニウムの混合焼結体、アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、及びグラファイトのいずれかからなることが好ましい(請求項)。
このような材質からなる支持基材であれば、500〜800℃の中高温域においても物性が安定しているため望ましい。
【0015】
保護層は、熱分解窒化ホウ素からなることが好ましい(請求項)。
熱分解窒化ホウ素からなる保護層が支持基材上に形成されていれば、高温でも安定しているし、剥離することもない。
【0016】
静電吸着用電極及び発熱層は、金、白金族、銀、金若しくは白金族と銀の混合体、チタン、タングステン、タンタル、モリブデン、熱分解グラファイト、並びにホウ素及び/又は炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかからなることが好ましい(請求項6)。
これらの材質からなる電極及び発熱層とすれば、中高温域における静電吸着と発熱を好適に行うことができる。
【0017】
静電吸着用電極及び/又は発熱層は、スクリーン印刷または化学気相蒸着法により形成されたものであることが好ましい(請求項7)。
静電吸着用電極や発熱層が、スクリーン印刷または化学気相蒸着法により形成されたものであれば、支持基材や保護層の上に所望の厚さに均一に形成されたものとなる上、このような静電吸着用電極や発熱層上に形成された絶縁体層との接合力もより強いものとなる。
【0018】
さらに本発明では、前記したような静電吸着機能を有する加熱装置の製造方法も提供される。すなわち、支持基材上に、少なくとも静電吸着用電極及び発熱層を形成し、該静電吸着用電極及び発熱層上に絶縁体層を形成させて静電吸着機能を有する加熱装置を製造する方法において、前記絶縁体層として、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有させた、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有するものを形成させることを特徴とする静電吸着機能を有する加熱装置の製造方法が提供される(請求項8)。
【0019】
このような方法によれば、500〜800℃の中高温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有する上、リーク電流によるデバイスの破損の発生がなく、急速な昇降温を行っても絶縁体層が剥離することの無い静電吸着機能を有する加熱装置を製造することができる。
【0020】
この場合、絶縁体層を、前記熱分解窒化ホウ素を形成させるガスに、前記熱分解窒化ホウ素に含有させる元素を含むガスを混合して化学気相蒸着法により形成させることが好ましい(請求項9)。
このように熱分解窒化ホウ素を形成させるガスに、熱分解窒化ホウ素に含有させる元素を含むガスを混合して化学気相蒸着を行えば、熱分解窒化ホウ素に上記元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲内の所望量に正確に含有させた、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有する密着性の高い絶縁体層を容易に形成させることができる。
【0021】
前記静電吸着用電極及び発熱層を、スクリーン印刷または化学気相蒸着法により形成させることが好ましい(請求項10)。
スクリーン印刷または化学気相蒸着法によれば、支持基材や保護層に強く接合した静電吸着用電極や発熱層を容易に形成させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の静電吸着機能を有する加熱装置の一例を示している。静電吸着機能を有する加熱装置1は、円板状の支持基材2上に形成された保護層3を介して静電吸着用電極4及び発熱層5が形成され、さらに、該静電吸着用電極4及び発熱層5上に絶縁体層6が形成されている。なお、図示されていないが、外部電源と接続するための静電吸着用給電端子と発熱層給電端子が、それぞれ静電吸着用電極4と発熱層5に設けられ、これらを通じてそれぞれ電気が供給される。
【0023】
そして、半導体ウエーハを加熱する場合は、ウエーハは、支持基材2の表面側の絶縁体層6の上に静電吸着用電極4によって吸着固定され、支持基材2の裏面側の導電性発熱層5によって加熱されるようになっている。
以下、加熱装置1の各構成について具体的に説明する。
【0024】
支持基材2は特に限定されるものではないが、窒化ケイ素焼結体、窒化ホウ素焼結体、窒化ホウ素と窒化アルミニウムの混合焼結体、アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、及びグラファイトのいずれかからなるものであれば、500〜800℃の中高温域においても物性が安定しているため望ましい。
また、支持基材2の形状は特に限定されず、例えば円盤状、円筒状、凸部や凹部のある円盤又は円筒状などでもよい。
【0025】
支持基材2上に形成される保護層3は、基材2に含まれる不純物、ガス等がその後の作製プロセスに影響を及ぼすのを防止する。このような保護層3は、支持基材2が例えばグラファイトからなる場合は絶縁性を確保するため必須であるし、酸化を防止するためにも必要である。一方、支持基材2が絶縁体であるなら、保護層3は必ずしも形成されていなくても良いが、保護層3を形成しておけば上記のような不純物等による汚染あるいはパーティクルの発生などを防ぐことができるので好ましい。
【0026】
保護層3の材質としては、高温まで安定しているものが好ましく、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、窒化アルミニウムなどが挙げられるが、特に、グラファイトの基材を熱分解窒化ホウ素からなる保護層でコートしたものとすれば、1500℃以上の高温まで安定しており望ましい。
また、保護層3の厚さに関しては、厚過ぎると支持基材との熱膨張の差により剥離し易くなり、薄過ぎると不純物、ガス等がピンホールより透過してその後の作製プロセスに悪影響を及ぼすおそれがあるので、10〜300μm、特に30〜150μmとすることが望ましい。
【0027】
静電吸着用電極4及び発熱層5も特に限定されるものではないが、金、白金族、銀、金若しくは白金族と銀の混合体、チタン、タングステン、タンタル、モリブデン、熱分解グラファイト、並びにホウ素及び/又は炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかからなるものとすれば、中高温域における静電吸着力が高く、また、半導体ウエーハを好適に加熱処理することができる。
【0028】
静電吸着用電極4及び発熱層5の厚さは特に限定されないが、10〜300μm、特に30〜150μmとすることが望ましく、この程度の厚さの静電吸着用電極と発熱層とすれば、半導体ウエーハ等の被加熱物をより好適に静電吸着して加熱することができる。
【0029】
静電吸着用電極4及び発熱層5の上に形成される絶縁体層6は、本発明では、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有するものとする。
ここで熱分解窒化ホウ素に含有される元素とは、熱分解窒化ホウ素を構成するホウ素と窒素以外の元素のほか、化学量論的に過剰に含有されるホウ素等も含まれ、具体的には、ケイ素、炭素、ホウ素、ゲルマニウム、及びアルミニウムのいずれか2種類以上の組み合わせが好ましい。
【0030】
このような2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有する熱分解窒化ホウ素からなる絶縁体層6を静電吸着用電極4及び発熱層5の上に形成させることで、500〜800℃の中高温域において抵抗値が適度となり、リーク電流によるデバイスの破損が発生せず、十分な静電接着力を発揮することができる上、絶縁体層6の熱膨張率が電極4や発熱層5等の下地の熱膨張率と同等に制御されるので、昇降温の繰り返しによる絶縁体層の剥離が防止される。
特に、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.001〜3重量%の範囲で含有し、電気抵抗率が10〜1015Ωcm、より好ましくは10〜1013Ωcmのものとすれば、静電吸着力がより強く、リーク電流によるデバイスの破損や絶縁体層の剥離をより確実に防ぐことができるので有利である。
【0031】
通常、熱分解窒化ホウ素の熱膨張率は3×10−6/℃であるが、例えば、熱分解窒化ホウ素中の炭素濃度を2重量%とすると、熱膨張率が2×10−6/℃となってしまう。基材の膨張率が3×10−6/℃のものを用いると、熱膨張率差が生じ、剥離しやすくなってしまう。この際の電気低効率は1×1010Ωcmであり、十分な吸着力を発揮できるが、剥離しやすいという問題が残る。
そこで、例えば、熱分解窒化ホウ素中の炭素濃度を1重量%、ケイ素を1重量%とすると、熱膨張率は3×10−6/℃となり、熱膨張率差が生じないものが得られる。電気抵抗率は5×1010Ωcmとなり、十分な吸着力を発揮でき、剥離の問題もなく、良好な静電吸着機能を有する加熱装置が得られる。
【0032】
なお、熱分解窒化ホウ素に含有される元素の各含有量が0.0001重量%未満であると、500〜800℃の中高温域において十分な静電吸着力が得られず、一方、5重量%を超えるとリーク電流によるデバイスの損傷が起こり易くなる。
【0033】
また、絶縁体層6の厚さは特に限定されないが、50〜500μm、特に100〜200μmとすることが望ましい。
絶縁体層6の厚さが50μm未満では絶縁破壊を起こすおそれがあり、一方、500μmを超えると十分な静電吸着力が得られないおそれがあるので、上記範囲の厚さとするのが好ましい。
【0034】
次に、上記のような静電吸着機能を有する加熱装置の製造方法について具体的に説明する。
まず、支持基材上に必要に応じて保護層を形成する。例えば、グラファイト製の支持基材を用いる場合は、アンモニアと三塩化ホウ素の混合ガスを所定の温度と圧力下で反応させることにより、グラファイト基材上に熱分解窒化ホウ素の保護層を形成させることができる。
【0035】
さらに、静電吸着用電極4及び発熱層5は、スクリーン印刷または化学気相蒸着法により容易に形成させることができる。例えば化学気相蒸着法により熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極及び発熱層を形成させる場合は、メタンガスを1000〜2500℃、1〜10Torrの条件下で反応させて保護層上に熱分解グラファイト層を形成し、次いでこの熱分解グラファイト層を基材の表面側は静電吸着用電極4のパターンに、裏面側は発熱層5のパターンにそれぞれ加工すれば良い。
【0036】
このように化学気相蒸着法によれば、静電吸着用電極及び発熱層を、支持基材や保護層の上に所望の厚さに均一に、かつ高い密着性をもって形成させることができる上、その上に形成される絶縁体層との接合力もより強いものとなる。
また、スクリーン印刷により静電吸着用電極及び発熱層を形成させる場合も同様の効果が得られる。
なお、前記したように支持基材によっては保護層は必須ではないため、この場合は図2に示した静電吸着機能を有する加熱装置11のように、支持基材2上に直接、静電吸着用電極4及び発熱層5を形成させても良い。
【0037】
次に、静電吸着用電極4及び発熱層5上に、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有させた、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有する絶縁体層6を形成させる。
このような絶縁体層6は、熱分解窒化ホウ素を形成させるガスに、熱分解窒化ホウ素に含有させる元素を含むガスを混合して化学気相蒸着法により好適に形成させることができる。例えば、熱分解窒化ホウ素に炭素とケイ素を含有させた絶縁体層を形成するには、熱分解窒化ホウ素を形成させるためのアンモニアとハロゲン化ホウ素に、メタンと四塩化ケイ素を所定の割合で混合したガス、例えばアンモニア、ハロゲン化ホウ素、メタン、及び四塩化ケイ素が400:90:1:1〜400:90:9:1となる混合ガスを1600℃〜2000℃、5〜10Torrの条件下で化学気相蒸着させれば良い。
【0038】
上述したような方法により、絶縁体層が、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有するものからなる、静電吸着機能を有する加熱装置を製造することができる。このように製造された静電吸着機能を有する加熱装置は、500〜800℃の中高温域での静電吸着力の低下が起こらず、半導体ウエーハ等を確実に静電吸着することができ、リーク電流によりデバイスを破損することもない。その上、繰り返しの昇降温によって絶縁体層が剥離することもないので長期にわたり安定して使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
直径200mm、厚さ15mmのグラファイト基材を用意し、アンモニアと三塩化ホウ素とを含むガスを1800℃、100Torrの条件下で反応させて基材上に熱分解窒化ホウ素からなる保護層を形成した。次いで、この上にメタンガスを2200℃、5Torrの条件下で熱分解し、厚さ100μmの熱分解グラファイト層を形成した。この熱分解グラファイト層の表面側を電極パターンに加工して静電吸着用電極とし、裏面側をヒーターパターンに加工して発熱層とした。
【0040】
さらに、この両面上に、アンモニアと三塩化ホウ素とメタンと四塩化ケイ素の混合ガスを2000℃、5Torrの条件下で反応させて、炭素1重量%とケイ素1重量%を含有し、1010Ωcmの電気抵抗率を有する厚さ200μmの熱分解窒化ホウ素からなる絶縁体層を形成し、静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を作製した。
【0041】
このものを100℃から1000℃まで1分、1000℃から100℃まで5分の昇降温速度で昇降温を10000回繰り返して試験(昇降温試験)を行ったが、電極及び発熱層と絶縁体層の接合部で剥離は観察されず、500℃におけるウエーハ上の温度分布は±4℃で変化しなかった。絶縁体層の熱膨張率は3×10−6/℃、基材は3.1×10−6/℃で、その差は0.1×10−6/℃であった。
【0042】
(比較例1)
比較のために、絶縁体層としてアンモニアと三塩化ホウ素とメタンの混合ガスを2000℃、5Torrの条件下で反応させて、厚さ200μmの炭素2%を含有した熱分解窒化ホウ素からなる絶縁体層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を作製した。
得られた加熱装置について同様の昇降温試験を行ったところ、試験前500℃におけるウエーハ上の温度分布は±4℃であったが、昇降温試験では、ほぼ300回で剥離が生じ、表面が盛り上がってしまってウエーハの吸着が不可能になってしまった。
【0043】
絶縁体層の剥離が生じたのは、炭素元素のみを含有させた熱分解窒化ホウ素からなる絶縁体層の熱膨張率と、熱分解グラファイト層からなる静電吸着用電極との熱膨張率との差が大きかったためと考えられる。
絶縁体層の熱膨張率は2×10−6/℃、基材は3.1×10−6/℃で、その差は1.1×10−6/℃であり、実施例1の10倍以上の差となっていた。
【0044】
(実施例2)
直径200mm、厚さ15mmのグラファイト基材を用い、アンモニアと三塩化ホウ素とを1800℃、100Torrの条件下で反応させて、基材上に熱分解窒化ホウ素からなる保護層を形成した。次いで、この上でメタンガスを2200℃、5Torrの条件下で熱分解し、厚さ100μmの熱分解グラファイト層を形成した。この熱分解グラファイト層の表面側を電極パターンに加工して静電吸着用電極とし、裏面側をヒーターパターンに加工して発熱層とした。
【0045】
さらに、この両面上でアンモニアと三塩化ホウ素との混合ガスと、メタンと三塩化ホウ素との混合ガスを2000℃、5Torrの条件下で反応させて、ホウ素3%を過剰に含有し、さらに炭素1%を含有した熱分解窒化ホウ素からなる、厚さ200μmの絶縁体層を形成し、静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を作製した。なお、この絶縁体層の電気抵抗率は、10Ωcmであった。
【0046】
このものを100℃から1000℃まで1分、1000℃から100℃まで5分の昇降温速度で昇降温10000回繰り返して昇降温試験を行ったが、電極部及び発熱層と絶縁体層との接合部で剥離は観察されず、500℃におけるウエハ上の温度分布は±4℃で変化しなかった。このときの絶縁体層の熱膨張率は、3.2×10−6/℃、基材は3.1×10−6/℃で、その差は0.1×10−6/℃であった。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、支持基材のほか、静電吸着用電極や発熱層の形状は図1及び図2のものに限定されない。
【0048】
【発明の効果】
本発明の静電吸着機能を有する加熱装置は、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率を有する絶縁体層としたことにより、絶縁体層の熱膨張率を電極や発熱層等の下地と同じ熱膨張率に制御することが可能となる。従って、500〜800℃の中高温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有し、リーク電流によるデバイスの破損の発生がない上、繰り返し昇降温を行っても絶縁体層が剥離してしまうこともない。そのため、デバイスの製造工程などにおいて、この加熱装置を用いてウエーハの加熱を行えば、デバイス歩留りが大幅に向上する上、長期にわたり安定して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電吸着機能を有する加熱装置の一例を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の静電吸着機能を有する加熱装置の他の例を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1,11…静電吸着機能を有する加熱装置、 2…支持基材、 3…保護層、4…静電吸着用電極、 5…発熱層、 6…絶縁体層。

Claims (10)

  1. 少なくとも、支持基材と、該支持基材上に形成された静電吸着用電極及び発熱層と、該静電吸着用電極及び発熱層上に形成された絶縁体層とを含む静電吸着機能を有する加熱装置であって、前記静電吸着用電極及び発熱層の両面上に形成された絶縁体層が、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有し、10〜1015Ωcmの電気抵抗率で、前記絶縁体層の熱膨張率と前記静電吸着用電極及び発熱層の熱膨張率との差が小さくなるように制御されたものからなることを特徴とする静電吸着機能を有する加熱装置。
  2. 前記静電吸着用電極及び発熱層が、前記支持基材上に形成された保護層を介して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電吸着機能を有する加熱装置。
  3. 前記保護層が、熱分解窒化ホウ素からなることを特徴とする請求項2に記載の静電吸着機能を有する加熱装置。
  4. 前記絶縁体層の熱分解窒化ホウ素に含有されている元素が、ケイ素、炭素、ホウ素、ゲルマニウム、及びアルミニウムのいずれか2種類以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の静電吸着機能を有する加熱装置。
  5. 前記支持基材が、窒化ケイ素焼結体、窒化ホウ素焼結体、窒化ホウ素と窒化アルミニウムの混合焼結体、アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、及びグラファイトのいずれかからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の静電吸着機能を有する加熱装置。
  6. 前記静電吸着用電極及び発熱層が、金、白金族、銀、金若しくは白金族と銀の混合体、チタン、タングステン、タンタル、モリブデン、熱分解グラファイト、並びにホウ素及び/又は炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の静電吸着機能を有する加熱装置。
  7. 前記静電吸着用電極及び/又は発熱層が、スクリーン印刷または化学気相蒸着法により形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の静電吸着機能を有する加熱装置。
  8. 支持基材上に、少なくとも静電吸着用電極及び発熱層を形成し、該静電吸着用電極及び発熱層上に絶縁体層を形成させて静電吸着機能を有する加熱装置を製造する方法において、前記静電吸着用電極及び発熱層の両面上に形成された絶縁体層として、熱分解窒化ホウ素に2種類以上の元素をそれぞれ0.0001〜5重量%の範囲で含有させた、10〜1015Ωcmの電気抵抗率で、前記絶縁体層の熱膨張率と前記静電吸着用電極及び発熱層の熱膨張率との差が小さくなるように制御されたものを形成させることを特徴とする静電吸着機能を有する加熱装置の製造方法。
  9. 前記絶縁体層を、前記熱分解窒化ホウ素を形成させるガスに、前記熱分解窒化ホウ素に含有させる元素を含むガスを混合して化学気相蒸着法により形成させることを特徴とする請求項8に記載の静電吸着機能を有する加熱装置の製造方法。
  10. 前記静電吸着用電極及び発熱層を、スクリーン印刷または化学気相蒸着法により形成させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の静電吸着機能を有する加熱装置の製造方法。
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