JP3835491B2 - 静電吸着機能を有するウエハ加熱装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇温工程を含む半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハの加熱プロセスに好適に使用される静電吸着機能を有するウエハ加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハの加熱には、金属線を巻いたヒーターが使用されていた。しかし、このヒーターを使用した場合には半導体ウエハへの金属汚染の問題があったため、近年、セラミック薄膜を発熱体として使用したセラミックス一体型ウエハ加熱装置の使用が提案されている(特開平4−124076号公報参照)。
【0003】
また、この半導体ウエハの加熱にあたっては、ヒーター上に半導体ウエハを固定するために減圧雰囲気では静電吸着装置が使用されており、プロセスの高温化に伴ってその材質は樹脂からセラミックスに移行されている(特開昭52−67353号、同59−124140号公報参照)。また最近では、これらのセラミックス一体型ウエハ加熱装置と静電吸着装置を合体した静電吸着機能を有するウエハ加熱装置が提案されており、例えばエッチング工程などの低温域では静電吸着装置の絶縁層にアルミナを用いたもの(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994参照)、CVD工程などの高温域においては静電吸着装置の絶縁層に熱分解窒化硼素を用いたもの(特開平4−358074号、同5−109876号、同5−129210号公報、特願平5−152015号参照)が使用されている。
【0004】
一方、上記文献(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994)に記載されているように、静電吸着力はこの絶縁層の体積抵抗率が低くなれば強くなるが、低すぎるとリーク電流によるデバイスの破損が生じるため、静電吸着装置の絶縁層の体積抵抗値は1010〜1013Ωcmであることが望ましい。
【0005】
しかしながら、上記静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の絶縁層にアルミナを用いた場合には、500℃から650℃までの中温域において、抵抗率が低くなりすぎてリーク電流によるデバイスの破損が発生してしまうという問題があり、また、熱分解窒化硼素を用いた場合には、上記中温域で抵抗値が高くなり過ぎるため十分な静電吸着力が得られないという問題点があった。
【0006】
従って、これら問題のない静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の開発が望まれる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、上記中温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有する上、リーク電流によるデバイスの破損の発生がなく、デバイス歩留りも高く、半導体デバイスの製造工程で好適に使用することができる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層を形成し、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層を接合し、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極を形成し、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層を接合すると共に、該第2絶縁層を1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成することにより、500〜650℃の中温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有する上、リーク電流によるデバイスの破損の発生がなく、デバイス歩留りも高く、それ故、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハの加熱に好適に使用することができる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置が得られることを見出した。
【0009】
即ち、従来公知の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置は、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が形成され、その上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層が接合されたものであり、この公知の構成では500〜650℃の中温域における第1及び第2絶縁層の熱分解窒化硼素の体積抵抗率が小さいため十分な静電吸着力が得られず、しかもウエハとウエハ加熱装置との密着性が悪く、温度が不均一になり、これによって製造されるデバイスの特性にばらつきを生じさせるという重大な欠点があった。
【0010】
これに対して、本発明者は、上記した従来の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の不利、欠点を解決したものとして、特願平7−30483号に窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層を接合し、その上に熱分解窒化硼素からなる絶縁層を接合し、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極を接合し、その上に1〜10重量%の珪素を含有する熱分解窒化硼素珪素からなる絶縁層を接合してなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を提案した。本発明者は、この発明を更に発展させ、従来公知の絶縁層に熱分解窒化硼素を用いた静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の中温域における静電吸着力の低下を防止し得るウエハ加熱装置について種々検討した結果、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が接合され、更にその上に熱分解窒化硼素珪素からなる第2絶縁層が接合されてなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置において、この第2絶縁層を1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素珪素で形成した場合、500〜650℃の中温域における絶縁層の体積抵抗率を1010〜1013Ωcmとすることができるため、この静電吸着機能を有するウエハ加熱装置とウエハとの密着面積が増え、中温域での静電吸着力の低下が起こらなくなり、十分な静電吸着力が得られ、ウエハの温度分布がより均一になるという有利性が与えられること、また、リーク電流によるデバイスの損傷も発生せず、デバイス歩留りが大幅に向上するという有利性が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0011】
従って、本発明は、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が接合され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層が接合されてなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置であって、該第2絶縁層が1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成されてなることを特徴とする静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置は、上記したように窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材、熱分解グラファイトからなる発熱層及びその上に設けられた熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層、熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極及びその上に設けられた1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層から構成されるものである。
【0013】
ここで、支持基材の窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体は、公知の方法で焼結させて得たものを使用することができ、具体的には窒化硼素粉末と窒化アルミニウム粉末とを重量比で95:5〜50:50の割合で混合した後、1800〜2000℃、100〜300kgf/mm2の条件で焼結することにより得られるものを用いることができる。
【0014】
上記支持基材の形状は特に制限はなく、例えば円盤状、円筒状、凸部や凹部のある円盤又は円筒状などがある。
【0015】
次に、発熱層及び静電吸着用電極として使用する熱分解グラファイトとしては、例えばメタンガスを1900〜2200℃、1〜10Torrという条件下で熱分解することによって得られる熱分解グラファイトが好適に使用される。
【0016】
発熱層の膜厚は特に限定されないが、10〜300μm、特に30〜100μmとすることが望ましい。
【0017】
また、静電吸着用電極は、10〜300μm、特に30〜100μmとすることが望ましい。
【0018】
更に、上記熱分解グラファイトからなる発熱層の上に設けられる第1絶縁層を形成する熱分解窒化硼素としては、例えばアンモニアと三塩化硼素とをモル比で1:1〜10:1で混合した気体を1800〜2000℃、1〜10Torrという条件下で熱分解することによって得られるものが好適であり、具体的にはアンモニアと三塩化硼素の4:1の混合気体を1800〜2000℃、10Torrという条件下で熱分解することで得られる熱分解窒化硼素を使用することができる。
【0019】
第1絶縁層の膜厚は特に限定されないが、50〜500μm、特に70〜150μmとすることが望ましい。
【0020】
して、本発明は、上記したような窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトの発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素の第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトの静電吸着用電極が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素の第2絶縁層が接合されてなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置において、第2絶縁層が特定量の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成されてなるものである。本発明では、このように炭素含有熱分解窒化硼素で第2絶縁層を形成することにより、絶縁層の500〜650℃の中温域における体積抵抗率を容易に1010〜1013Ωcmとすることができるもので、炭素を含まない熱分解窒化硼素で第2絶縁層を形成したのでは、温度の均一性が得られず、デバイス歩留りも低下してしまう。
【0021】
ここで、第2絶縁層を形成する炭素含有熱分解窒化硼素は、1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の炭素を含有することが必要であり、炭素の含有率が1重量%未満では、500〜650℃の中温域における温度範囲において十分な静電吸着力が得られず、炭素の含有率が20重量%より大きいと、500〜650℃という中温域においてリーク電流によるデバイスの損傷が起こってしまう。
【0022】
上記炭素含有熱分解窒化硼素は、例えばアンモニアと三塩化硼素とメタンとの40:9:1〜28:5:2の混合気体を1600〜2000℃、5〜10Torrという条件下で化学気相蒸着することによって得ることができる。
【0023】
また、第2絶縁層の膜厚は、50〜500μm、特に100〜200μmとすることが望ましく、50μm未満では絶縁破壊を起こす場合があり、500μmを超えると十分な静電吸着が得られない場合がある。
【0024】
なお、本発明では、上記した第1絶縁層と第2絶縁層との両絶縁層を1〜10重量%の炭素を含有した熱分解窒化硼素で形成してもよく、このように両絶縁層を同一の炭素含有熱分解窒化硼素で形成すると、製造工程が単純化されるのでコスト的に有利となる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置は、1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で第2絶縁層を形成したことにより、絶縁層の500〜650℃の中温域における体積抵抗率が1010〜1013Ωcmの範囲となることから、500〜650℃の中温域において十分な静電吸着力が得られ、従って、ウエハ温度の均一性が向上する上、リーク電流によるデバイスの損傷もおこらないため、デバイス歩留りが大幅に向上するという有利性が与えられる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0027】
〔実施例〕
窒化珪素粉末と窒化アルミニウム粉末を3対1の割合で混合した後、1900℃、200kgf/mm2の条件下で焼結し、直径200mm、厚さ10mmの窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる円板を作った。
【0028】
次いで、この上でメタンガスを2200℃、5Torrの条件下で熱分解し、厚さ100μmの熱分解グラファイト層を形成し、表面に電極パターン、裏面にヒーターパターンを加工してそれぞれ静電吸着用電極、発熱層とした。更に、この両面の上でアンモニアと三塩化硼素とメタンを1600℃、5Torrの条件下で反応させて、厚さ200μmの熱分解窒化硼素絶縁層を設け、静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を作った。
【0029】
得られたウエハ加熱装置の絶縁層の炭素含有率を測定したところ、9重量%であった。また、この静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を使用し、ウエハを600℃に加熱したところ、ウエハ上の温度分布は+4℃であった。
【0030】
〔比較例〕
比較のために炭素を含まない熱分解窒化硼素で絶縁層を形成する以外は実施例と同様にして静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を作った。得られたウエハ加熱装置について同様の測定を行ったところ、ウエハ上の温度分布は+13℃と悪かった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇温工程を含む半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハの加熱プロセスに好適に使用される静電吸着機能を有するウエハ加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハの加熱には、金属線を巻いたヒーターが使用されていた。しかし、このヒーターを使用した場合には半導体ウエハへの金属汚染の問題があったため、近年、セラミック薄膜を発熱体として使用したセラミックス一体型ウエハ加熱装置の使用が提案されている(特開平4−124076号公報参照)。
【0003】
また、この半導体ウエハの加熱にあたっては、ヒーター上に半導体ウエハを固定するために減圧雰囲気では静電吸着装置が使用されており、プロセスの高温化に伴ってその材質は樹脂からセラミックスに移行されている(特開昭52−67353号、同59−124140号公報参照)。また最近では、これらのセラミックス一体型ウエハ加熱装置と静電吸着装置を合体した静電吸着機能を有するウエハ加熱装置が提案されており、例えばエッチング工程などの低温域では静電吸着装置の絶縁層にアルミナを用いたもの(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994参照)、CVD工程などの高温域においては静電吸着装置の絶縁層に熱分解窒化硼素を用いたもの(特開平4−358074号、同5−109876号、同5−129210号公報、特願平5−152015号参照)が使用されている。
【0004】
一方、上記文献(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994)に記載されているように、静電吸着力はこの絶縁層の体積抵抗率が低くなれば強くなるが、低すぎるとリーク電流によるデバイスの破損が生じるため、静電吸着装置の絶縁層の体積抵抗値は1010〜1013Ωcmであることが望ましい。
【0005】
しかしながら、上記静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の絶縁層にアルミナを用いた場合には、500℃から650℃までの中温域において、抵抗率が低くなりすぎてリーク電流によるデバイスの破損が発生してしまうという問題があり、また、熱分解窒化硼素を用いた場合には、上記中温域で抵抗値が高くなり過ぎるため十分な静電吸着力が得られないという問題点があった。
【0006】
従って、これら問題のない静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の開発が望まれる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、上記中温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有する上、リーク電流によるデバイスの破損の発生がなく、デバイス歩留りも高く、半導体デバイスの製造工程で好適に使用することができる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層を形成し、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層を接合し、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極を形成し、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層を接合すると共に、該第2絶縁層を1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成することにより、500〜650℃の中温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有する上、リーク電流によるデバイスの破損の発生がなく、デバイス歩留りも高く、それ故、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハの加熱に好適に使用することができる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置が得られることを見出した。
【0009】
即ち、従来公知の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置は、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が形成され、その上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層が接合されたものであり、この公知の構成では500〜650℃の中温域における第1及び第2絶縁層の熱分解窒化硼素の体積抵抗率が小さいため十分な静電吸着力が得られず、しかもウエハとウエハ加熱装置との密着性が悪く、温度が不均一になり、これによって製造されるデバイスの特性にばらつきを生じさせるという重大な欠点があった。
【0010】
これに対して、本発明者は、上記した従来の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の不利、欠点を解決したものとして、特願平7−30483号に窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層を接合し、その上に熱分解窒化硼素からなる絶縁層を接合し、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極を接合し、その上に1〜10重量%の珪素を含有する熱分解窒化硼素珪素からなる絶縁層を接合してなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を提案した。本発明者は、この発明を更に発展させ、従来公知の絶縁層に熱分解窒化硼素を用いた静電吸着機能を有するウエハ加熱装置の中温域における静電吸着力の低下を防止し得るウエハ加熱装置について種々検討した結果、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が接合され、更にその上に熱分解窒化硼素珪素からなる第2絶縁層が接合されてなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置において、この第2絶縁層を1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素珪素で形成した場合、500〜650℃の中温域における絶縁層の体積抵抗率を1010〜1013Ωcmとすることができるため、この静電吸着機能を有するウエハ加熱装置とウエハとの密着面積が増え、中温域での静電吸着力の低下が起こらなくなり、十分な静電吸着力が得られ、ウエハの温度分布がより均一になるという有利性が与えられること、また、リーク電流によるデバイスの損傷も発生せず、デバイス歩留りが大幅に向上するという有利性が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0011】
従って、本発明は、窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が接合され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層が接合されてなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置であって、該第2絶縁層が1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成されてなることを特徴とする静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置は、上記したように窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材、熱分解グラファイトからなる発熱層及びその上に設けられた熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層、熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極及びその上に設けられた1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層から構成されるものである。
【0013】
ここで、支持基材の窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体は、公知の方法で焼結させて得たものを使用することができ、具体的には窒化硼素粉末と窒化アルミニウム粉末とを重量比で95:5〜50:50の割合で混合した後、1800〜2000℃、100〜300kgf/mm2の条件で焼結することにより得られるものを用いることができる。
【0014】
上記支持基材の形状は特に制限はなく、例えば円盤状、円筒状、凸部や凹部のある円盤又は円筒状などがある。
【0015】
次に、発熱層及び静電吸着用電極として使用する熱分解グラファイトとしては、例えばメタンガスを1900〜2200℃、1〜10Torrという条件下で熱分解することによって得られる熱分解グラファイトが好適に使用される。
【0016】
発熱層の膜厚は特に限定されないが、10〜300μm、特に30〜100μmとすることが望ましい。
【0017】
また、静電吸着用電極は、10〜300μm、特に30〜100μmとすることが望ましい。
【0018】
更に、上記熱分解グラファイトからなる発熱層の上に設けられる第1絶縁層を形成する熱分解窒化硼素としては、例えばアンモニアと三塩化硼素とをモル比で1:1〜10:1で混合した気体を1800〜2000℃、1〜10Torrという条件下で熱分解することによって得られるものが好適であり、具体的にはアンモニアと三塩化硼素の4:1の混合気体を1800〜2000℃、10Torrという条件下で熱分解することで得られる熱分解窒化硼素を使用することができる。
【0019】
第1絶縁層の膜厚は特に限定されないが、50〜500μm、特に70〜150μmとすることが望ましい。
【0020】
して、本発明は、上記したような窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトの発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素の第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトの静電吸着用電極が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素の第2絶縁層が接合されてなる静電吸着機能を有するウエハ加熱装置において、第2絶縁層が特定量の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成されてなるものである。本発明では、このように炭素含有熱分解窒化硼素で第2絶縁層を形成することにより、絶縁層の500〜650℃の中温域における体積抵抗率を容易に1010〜1013Ωcmとすることができるもので、炭素を含まない熱分解窒化硼素で第2絶縁層を形成したのでは、温度の均一性が得られず、デバイス歩留りも低下してしまう。
【0021】
ここで、第2絶縁層を形成する炭素含有熱分解窒化硼素は、1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の炭素を含有することが必要であり、炭素の含有率が1重量%未満では、500〜650℃の中温域における温度範囲において十分な静電吸着力が得られず、炭素の含有率が20重量%より大きいと、500〜650℃という中温域においてリーク電流によるデバイスの損傷が起こってしまう。
【0022】
上記炭素含有熱分解窒化硼素は、例えばアンモニアと三塩化硼素とメタンとの40:9:1〜28:5:2の混合気体を1600〜2000℃、5〜10Torrという条件下で化学気相蒸着することによって得ることができる。
【0023】
また、第2絶縁層の膜厚は、50〜500μm、特に100〜200μmとすることが望ましく、50μm未満では絶縁破壊を起こす場合があり、500μmを超えると十分な静電吸着が得られない場合がある。
【0024】
なお、本発明では、上記した第1絶縁層と第2絶縁層との両絶縁層を1〜10重量%の炭素を含有した熱分解窒化硼素で形成してもよく、このように両絶縁層を同一の炭素含有熱分解窒化硼素で形成すると、製造工程が単純化されるのでコスト的に有利となる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の静電吸着機能を有するウエハ加熱装置は、1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で第2絶縁層を形成したことにより、絶縁層の500〜650℃の中温域における体積抵抗率が1010〜1013Ωcmの範囲となることから、500〜650℃の中温域において十分な静電吸着力が得られ、従って、ウエハ温度の均一性が向上する上、リーク電流によるデバイスの損傷もおこらないため、デバイス歩留りが大幅に向上するという有利性が与えられる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0027】
〔実施例〕
窒化珪素粉末と窒化アルミニウム粉末を3対1の割合で混合した後、1900℃、200kgf/mm2の条件下で焼結し、直径200mm、厚さ10mmの窒化硼素と窒化アルミニウムの混合焼結体からなる円板を作った。
【0028】
次いで、この上でメタンガスを2200℃、5Torrの条件下で熱分解し、厚さ100μmの熱分解グラファイト層を形成し、表面に電極パターン、裏面にヒーターパターンを加工してそれぞれ静電吸着用電極、発熱層とした。更に、この両面の上でアンモニアと三塩化硼素とメタンを1600℃、5Torrの条件下で反応させて、厚さ200μmの熱分解窒化硼素絶縁層を設け、静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を作った。
【0029】
得られたウエハ加熱装置の絶縁層の炭素含有率を測定したところ、9重量%であった。また、この静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を使用し、ウエハを600℃に加熱したところ、ウエハ上の温度分布は+4℃であった。
【0030】
〔比較例〕
比較のために炭素を含まない熱分解窒化硼素で絶縁層を形成する以外は実施例と同様にして静電吸着機能を有するウエハ加熱装置を作った。得られたウエハ加熱装置について同様の測定を行ったところ、ウエハ上の温度分布は+13℃と悪かった。
Claims (1)
- 窒化硼素と窒化アルミニウムとの混合焼結体からなる支持基材の一方の面に熱分解グラファイトからなる発熱層が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第1絶縁層が接合され、他方の面に熱分解グラファイトからなる静電吸着用電極が形成され、更にその上に熱分解窒化硼素からなる第2絶縁層が接合された静電吸着機能を有するウエハ加熱装置であって、該第2絶縁層が1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化硼素で形成されてなることを特徴とする静電吸着機能を有するウエハ加熱装置。
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JP10837396A JP3835491B2 (ja) | 1996-04-04 | 1996-04-04 | 静電吸着機能を有するウエハ加熱装置 |
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