JP3914377B2 - 静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇温工程を含む半導体デバイスの製造工程における半導体ウエーハの加熱プロセスに好適に使用される静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエーハの加熱には、金属線を巻いたヒータが使用されていた。しかし、このヒータを使用した場合には、半導体ウエーハヘの金属汚染の問題があったため、近年、セラミックス薄膜を発熱体として使用したセラミックス一体型ウエーハ加熱装置の使用が提案されている( 例えば、特開平4−124076号公報参照) 。
【0003】
中でも分子線エピタキシーやCVD、スパッタリング等におけるウエーハの加熱方法としては、基体内からのアウトガスが無く、高純度、耐熱衝撃性に優れた熱分解窒化硼素(PBN)と熱分解黒鉛(PG)の複合セラミックヒーターを用いることが有効とされており(特開昭63−241921号公報参照)、このようなヒーターであると従来のタンタルワイヤーヒーターに比べて装着が容易で、熱変形、断線、ショート等のトラブルを起さないので使い易く、しかも面上ヒーターであるため比較的均熱が得られ易いという利点もある。
【0004】
しかし、上記複合セラミックスヒーターは抵抗加熱方式であり、導電性発熱体のヒーターパターンの切れ目である非発熱の部分では温度が下がってしまう。そのために発熱部と非発熱部の温度差が明確に現れてしまうため、面内で均一な発熱が難しいという欠点がある。
【0005】
また、この半導体ウエーハの加熱にあたっては、ヒータ上に半導体ウエーハを固定するために減圧雰囲気では静電吸着装置が使用されており、プロセスの高温化に伴ってその材質は樹脂からセラミックスに移行している( 特開昭52−67353号、同59−124140号公報参照)。また最近では、これらのセラミックス一体型ウエーハ加熱装置と静電吸着装置を合体した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置が提案されており、例えば、エッチング工程などの低温域では静電吸着装置の絶縁層にアルミナを用いたもの(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994参照)、CVD工程などの高温域においては静電吸着装置の絶縁層に熱分解窒化ほう素を用いたもの(特開平4−358074号、特開平5−109876号、特開平5−129210号公報、特願平5−152015号参照)が使用されている。
【0006】
一方、上記文献(ニューセラミックス(7)、p49〜53、1994参照)に記載されているように、静電吸着力はこの絶縁層の体積抵抗率が低くなれば強くなるが、低過ぎるとリーク電流によるデバイスの破損が生じるため、静電吸着装置の絶縁層の体積抵抗値は1010〜1018Ωcmであることが望ましい。
【0007】
しかしながら、上記静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の絶縁層にアルミナを用いた場合には、500℃から650℃までの中温域において、抵抗率が低くなり過ぎてリーク電流によるデバイスの破損が発生してしまうという問題がある。また、熱分解窒化ほう素を用いた場合には、上記中温域で抵抗値が高くなり過ぎるため、十分な静電吸着力が得られないという問題点があった。これを解決すべく静電吸着装置の絶縁層に1〜20重量%の炭素を含有する熱分解窒化ほう素を用いて(特開平9−278527号公報参照)、500〜650℃の中温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有するものが提案されている。
【0008】
しかし、このものの支持基板は窒化ほう素と窒化アルミニウムとが混合された焼結体であり、この支持基板に発熱層として直接熱分解黒鉛を接合しているために接合が弱く、繰り返しの昇降温で接合境界層の部分で剥がれ易いという問題が懸念される。
【0009】
ウエーハの処理枚数を上げるためには、急速な昇降温速度が必須となっており、熱衝撃に強いものが要求されている。別のものでは、支持基板として絶縁層を被覆した黒鉛を用いるものがあるが(特開平9−213779号公報参照)、やはり上記と同様に絶縁層と黒鉛との接合境界層の部分で剥がれが生じてしまうという問題が懸念される。窒化ほう素焼結体および黒鉛は表面層が容易に脱粒するので、脱粒部分をきっかけに剥離し易いのである。さらに、黒鉛基板を被覆する絶縁層の上に導体電極を配置しているため黒鉛基板と導体電極の間で絶縁層破壊が起き易いという危険性がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、発熱部と非発熱部の温度差を出来るかぎり小さくして発熱層全面で均熱性に優れるとともに、中温域においても抵抗値が適度で十分な静電吸着力を有する上、リーク電流によるデバイスの破損の発生がなく、また、接合境界層で剥離を起こすことなく、急速な昇降温でも安定して使用できる信頼性の高い静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を提供することを主たる目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置は、支持基板の一方の面に導電性発熱層が接合形成され、他方の面に導電性の静電吸着用電極が接合形成され、さらに発熱層および静電吸着用電極を覆う絶縁層が接合された静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置において、前記絶縁層の材質が第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素であり、支持基板の材質が熱分解窒化ほう素であることを特徴としている。
【0012】
このように、絶縁層の材質を第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素とし、支持基板の材質を熱分解窒化ほう素で形成すれば、500〜650℃の中温域における体積抵抗率を1010〜1018Ωcmとすることができ、中温域で十分な静電吸着力が得られ、リーク電流によるデバイス破損の発生もないとともに、脱粒が無いのでより強固に密着し、接合境界層で剥離が起こらず、半導体製造装置内で長期間安定して使用することができる信頼性の高い静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置は、支持基板の一方の面に導電性発熱層が接合形成され、他方の面に導電性の静電吸着用電極が接合形成され、さらに発熱層および静電吸着用電極を覆う絶縁層が接合された静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置において、前記支持基板の材質が第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素であることを特徴としている。
【0014】
このように、支持基板の材質を第3の元素をドープしてなる熱分解窒化ほう素で形成すれば、支持基板の一方の面に接合形成された導電性発熱層が発熱したときに放射する赤外線を支持基板が吸収し、支持基板内で熱となって均熱化され、他方の面に接合された導電性静電吸着用電極部表面の温度分布も均熱になり、従って吸着されたウエーハはより一層均熱化するという有利性が得られ、静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の支持基板として好適である。
【0015】
この場合、第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素の赤外線透過率が30%以下であることが好ましい。
このように、第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素の赤外線透過率を30%以下とすれば、支持基板の一方の面に接合形成された導電性発熱層が発熱したときに放射する赤外線を第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素が十分に吸収し、支持基板あるいは絶縁層内で熱となって均熱化され、他方の面に接合された導電性の静電吸着用電極部表面の温度分布も平坦化され、従って静電吸着されたウエーハをより一層均熱化することができる。
【0016】
そしてこの場合、絶縁層を第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素から成るものとすることが好ましい。
このように、支持基板も発熱層および静電吸着用電極を覆う絶縁層も両方共に第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素で形成することにより、絶縁層の500〜650℃の中温域における体積抵抗率を1010〜1018Ωcmとすることができ、従って中温域での静電吸着力の低下が起こらなくなり、十分な静電吸着力が得られるとともに、リ一ク電流によるデバイスの破損の発生がないものとすることができる。また、第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素による均熱作用が一層大きくなり、ウエーハの温度分布がより均一になることに加え、脱粒の無い第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素を使用することにより強固に密着し、接合境界層で剥離せずに、半導体製造装置内で長期にわたり安定して使用することができる。
【0017】
そしてこの場合、第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素は、炭素またはけい素をドープしたものが好ましく、その含有量が1〜20重量%であることが望ましい。
【0018】
このように、支持基板および/または絶縁層を構成する熱分解窒化ほう素に炭素またはけい素をドープすると、赤外線透過率を30%以下に低くすることができ、支持基板または絶縁層に輻射光が吸収され易くなり、熱となって支持基板または絶縁層を加熱し、支持基板または絶縁層表面から新たに輻射光が放出される。この過程で、第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素に熱伝導率の異方性があるために発熱層表面はより一層均熱化されるようになる。また、炭素またはけい素であれば、被加熱物である半導体ウエーハに対しても不純物となりにくいし、赤外線透過率の調整を容易かつ高精度で行うことが可能である。しかも支持基板と絶縁層は同材質であるから密着性に優れ中温域から高温域にかけて剥離を起こすことはない。
【0019】
この場合、支持基板の厚さを0.5mm以上10mm以下とすることが好ましい。
このように、支持基板の厚さは0.5mm以上10mm以下とするのが好ましく、さらに好ましくは1〜5mmとするのがよい。この範囲内では静電吸着用電極と加熱用電極との間の絶縁が十分あるものとなり、厚さ方向の伝熱もよく、温度制御を容易に精度よく行うことができる。また、熱分解窒化ほう素は弾力性に富み、柔らかい材質であるので、たとえ反りが発生したとしても、半導体製造装置に装着する際にネジやボルトを用いて固定することにより容易に矯正することができるが、支持基板の厚さが10mmを越えると容易に矯正しにくくなるので10mm以下とするのが好ましい。
【0020】
そしてこの場合、導電性発熱層を熱分解黒鉛、ほう素含有熱分解黒鉛、けい素含有熱分解黒鉛、白金、銀、白金と銀の合金、チタン、タングステン、タンタル、モリブデンの内から選択される1種とすることが好ましい。
これらの材料は、導電性発熱体として支持基板および絶縁層とよく密着し、ヒーターとして使用中に剥離することなく、耐酸化性に優れているので、長期間安定使用が可能となる。
【0021】
さらに本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置に係る支持基板、導電性発熱層、導電性静電吸着用電極および絶縁層は、化学気相蒸着法で形成されたものとすることができる。
このように、支持基板、導電性発熱層、導電性静電吸着用電極および絶縁層をCVD法で形成すれば、高純度、高密度で、寸法精度に優れたものを作ることができ、耐熱性、化学的安定性、相互の密着性に優れ、絶縁不良や剥離の極めて少ない長寿命の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、図1は本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の一例を示したもので縦断面図である。
【0023】
図1において、本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置1は、円板状の熱分解窒化ほう素から成る支持基板2の表面に、導電性の静電吸着用電極3が接合形成され、該電極3を覆う熱分解窒化ほう素から成る絶縁層5が接合されている。そして支持基板2の裏面にはヒーターパターンを持つ導電性の発熱層4が接合形成され、該発熱層4を覆う熱分解窒化ほう素から成る絶縁層5が接合されている。この発熱層4の両端には発熱層給電端子7が設けられ、静電吸着用電極3の両端には静電吸着用電極給電端子6が設けられ、外部電源とは導線で接続されるようになっている。ウエーハ8は、支持基板2の表面側の絶縁層5の上に、静電吸着用電極3によって吸着固定され、支持基板2の裏面側の導電性発熱層4によって加熱されるようになっている。本発明は、このような構造の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の支持基板2および/または絶縁層5が第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素からなるものとされている。
【0024】
すなわち、本発明者等は、本発明の目的を達成するため鋭意調査、検討を行った結果、支持基板の一方の面に導電性発熱層が接合形成され、他方の面に導電性の静電吸着用電極が接合形成され、さらに発熱層および静電吸着用電極を覆う絶縁層が接合された静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置において、絶縁層の材質を第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素とすることにより、リーク電流によるデバイスの破損の発生がないものとすることができる。また、前記支持基板の赤外線透過率に着目し、この支持基板の材質を第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素とすることによって、赤外線透過率を低めに抑えれば、発熱層の発熱部と非発熱部の表面上での輻射率の差を小さくすることにより均熱性が飛躍的に向上することを知見した。さらに、この支持基板の材質も絶縁層の材質も熱分解窒化ほう素を採用したことにより、高温においても脱粒がなく、接合境界層で剥離せずに、半導体製造装置内で長期にわたり安定して使用できることを知見し、諸条件を精査して本発明を完成させた。
【0025】
本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を構成する絶縁層または支持基板に使用される第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素は、熱伝導率に異方性をもっており、通常、熱が放出される方向に対しては熱伝導率が小さく、熱が放出される方向に対して垂直な方向には大きくなり、この比は数十倍にも及ぶ。従って、発熱層からの伝熱は放出される方向に対して平面状に広がりながら進み、均熱化が進行する。
【0026】
そこで本発明者等は、鋭意調査、検討を行った結果、絶縁層または支持基板の赤外線透過率が高い場合、高温では導電性発熱層の発熱部は赤色発光し、絶縁層または支持基板をこの赤外線輻射光が透過してしまうため、導電性発熱層のパターンの切れ目である非発熱の部分と発熱部の温度差が明確なものになってしまっていたことが判明した。そこで、この絶縁層または支持基板の赤外線透過率を30%以下にすることにより発熱部の赤色発光は絶縁層または支持基板内に吸収され、発熱部と非発熱の部分の温度差がなくなり、面内の均熱性を飛躍的に向上させることができるようになった。
【0027】
そして、導電性発熱層および導電性静電吸着用電極を覆う絶縁層および支持基板の両方ともに材質を第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素とすることもできる。
こうすることによって、前記支持基板に第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素を採用したことによる効果と相まって、支持基板の一方の面に接合された導電性発熱層が発熱したときに放射する赤外線を発熱層下の絶縁層が吸収し、絶縁層内で均熱化され、上方へ輻射伝熱する。また、他方の面に接合された絶縁層下の導電性静電吸着用電極部表面の温度分布も均熱になり、従って吸着されたウエーハはより一層均熱化されるという効果が得られるとともに、脱粒がないので強固に密着し、急速な昇降温の場合も接合境界層で剥離せずに長期間安定して使用できるものとなる。
【0028】
さらに、絶縁層に第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素を採用することにより、500〜650℃の中温域における絶縁層の体積抵抗率を1010〜1018Ωcmとすることができ、中温域での静電吸着力の低下が起こらなくなり、十分な静電吸着力が得られる。従って、リ一ク電流によるデバイスの破損の発生がなく、デバイス歩留りも高く、耐熱衝撃性に優れ、信頼性の高い、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエーハの加熱に好適に使用することができる静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置が得られる。
【0029】
この場合、第3の元素として、炭素またはけい素をドープした熱分解窒化ほう素は赤外線透過率が低くなり、輻射光はこれらの層に吸収されることに着目し、支持基板および/または絶縁層に炭素またはけい素を含有する熱分解窒化ほう素を用いることとした。また、第3の元素をドープすることにより、熱分解窒化ほう素の体積抵抗値を容易に1010〜1013Ωcmとすることができ、500〜650℃の中温域においても十分な静電吸着力が得られるようになる。また、炭素またはけい素であれば、被加熱物である半導体ウエーハに対しても不純物となりにくいし、赤外線透過率の調整を容易かつ高精度で行うことが可能となる。
【0030】
この場合、炭素またはけい素の含有量は1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。第3元素の含有量をこの範囲内にすると、熱分解窒化ほう素の体積抵抗値を容易に1010〜1013Ωcmとすることができ、500〜650℃の中温域においても十分な静電吸着力が得られるようになる。第3の元素の含有率が1重量%未満では、500〜650℃の中温域における温度範囲において十分な静電吸着力が得られず、20重量%を越えると500〜650℃という中温域においてリーク電流によるデバイスの損傷が起こり易くなる。ドープ量をこの範囲内に収めると熱分解窒化ほう素の赤外線透過率を30%以下に抑えることができるとともに、本来の熱分解窒化ほう素の特性を著しく劣化させることもない。
【0031】
上記支持基板の形状については特に制限はなく、例えば円盤状、円筒状、平板状、凸部や凹部のある円盤又は円筒状などがある。
また、上記支持基板の厚さは0.5mm以上10mm以下、好ましくは1〜5mmとするのがよい。この範囲内とすれば導電性静電吸着用電極と加熱用導電性発熱層との間の絶縁が十分保持されるものとなる。上記支持基板の厚さが0.5mm未満では静電吸着用電極と加熱用発熱層との間の絶縁が不十分となることがあり、10mmを越えると厚さ方向に熱が伝わりにくく、温度制御しにくい傾向がある。また、支持基板に第3元素をドープした熱分解窒化ほう素を用いた場合、反りが発生することがあるが、熱分解窒化ほう素は弾力性に富み、柔らかい材質であるので、半導体製造装置に装着する際にネジやボルトを用いて固定することにより容易に矯正することができる。支持基板の厚さが10mmを越えるようになると容易に矯正できないので10mm以下、特には5mm未満とするのが好ましい。
【0032】
そして本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の導電性発熱層は、熱分解黒鉛、ほう素含有熱分解黒鉛、けい素含有熱分解黒鉛、白金、銀、白金と銀の合金、チタン、タングステン、タンタル、モリブデンの内から選択することができる。これらの材料を使用すれば、導電性発熱層として支持基板および絶縁層とよく密着し、ヒーターとして使用中に剥離することなく、耐酸化性に優れ、長期間安定した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置とすることができる。
【0033】
さらに本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の支持基板、導電性発熱層、導電性静電吸着用電極および絶縁層は、化学気相蒸着法で形成するのが良い。 このように、支持基板、導電性発熱層、導電性静電吸着用電極および絶縁層をCVD法で形成すれば、高純度、高密度で、寸法精度に優れたものを作ることができ、耐熱性、化学的安定性、相互の密着性に優れ、絶縁不良や剥離の極めて少ない長寿命の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置とすることができる。
【0034】
上記第3の元素含有熱分解窒化ほう素からなる支持基板または絶縁層のCVD法による製造方法としては、例えばアンモニアと三塩化ほう素とをモル比で1:1〜10:1で混合した気体にさらにメタンガスを加え、1800〜2000℃、1〜100Torrという条件下で熱分解することによって得られるものが好適である。具体的にはアンモニアと三塩化ほう素とメタンガスの4:1:0.2の混合気体を1800〜2000℃、10Torrという条件下で熱分解することで得られる熱分解窒化ほう素を使用することができる。
次に、発熱層および静電吸着用電極としては例えばメタンガスを1900〜2200℃、1〜10Torrという条件下で熱分解することによって得られる熱分解黒鉛が好適に使用される。
【0035】
ここで発熱層の膜厚は特に限定されないが、10〜300μm、特に30〜150μmとすることが望ましい。
また、静電吸着用電極は、10〜300μm、特に30〜150μmとすることが望ましい。
絶縁層の膜厚も特に限定されないが、50〜500μm、特に70〜150μmとすることが望ましい。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
アンモニアと三塩化ほう素とメタンガスを混合し、1800℃、100Torrの条件下で反応させて直径200mm、厚さ3mmの炭素含有熱分解窒化ほう素製支持基板を作製し、次いで、この上でメタンガスを2200℃、5Torrの条件下で熱分解し、厚さ100μmの熱分解黒鉛層を形成し、表面に電極パターン、裏面にヒータパターンを加工してそれぞれ静電吸着用電極、発熱層とした。さらに、この両面の上でアンモニアと三塩化ほう素とメタンを1600℃、5Torrの条件下で反応させて、厚さ200μmの炭素含有熱分解窒化ほう素絶縁層を設け、静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を作製した。
【0037】
得られた静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の支持基板および絶縁層の炭素含有率を測定したところ、それぞれ11%、9%であった。また、この静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を使用し、ウエーハを600℃に加熱したところ、ウエーハ上の温度分布は+2℃で、極めて均熱性に優れていた。
このものを100℃から700℃まで1分、700℃から100℃まで2分の昇降温速度で昇降温を10000回繰り返し行ったが基板と電極部との接合部で剥離は観察されず、ウエーハ上の温度分布は+2℃で変化はなかった。
【0038】
(実施例2)
アンモニアと三塩化ほう素を混合し、1800℃、100Torrの条件下で反応させて直径200mm、厚さ3mmの熱分解窒化ほう素製支持基板を作製し、次いで、この上でメタンガスを2200℃、5Torrの条件下で熱分解し、厚さ100μmの熱分解黒鉛層を形成し、表面に電極パターン、裏面にヒータパターンを加工してそれぞれ静電吸着用電極、発熱層とした。さらに、この両面の上でアンモニアと三塩化ほう素とメタンを1600℃、5Torrの条件下で反応させて、厚さ200μmの炭素含有熱分解窒化ほう素絶縁層を設け、静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を作製した。
【0039】
得られた静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の絶縁層の炭素含有率を測定したところ、9%であった。また、この静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を使用し、ウエーハを600℃に加熱したところ、ウエーハ上の温度分布は+4℃で、均熱性に優れていた。
このものを100℃から700℃まで1分、700℃から100℃まで2分の昇降温速度で昇降温を10000回繰り返し行ったが基板と電極部との接合部で剥離は観察されず、ウエーハ上の温度分布は+4℃で変化はなかった。
【0040】
(比較例)
比較のために窒化ほう素と窒化アルミニウムの混合焼結体で支持基板を形成する以外は実施例1と同様にして静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置を作った。
窒化ほう素と窒化アルミニウムの混合焼結体は、窒化ほう素粉末と窒化アルミニウム粉末を3対1の割合で混合した後、1900℃、20kgf/mm2 の条件で焼結して作製した。得られたウエーハ加熱装置について実施例1と同様の測定を行ったところ、ウエーハ上の温度分布は+5℃でやや均熱性に劣るものであり、繰り返し昇降温300回で剥離を生じ、吸着面が盛り上がってしまいウエーハの吸着が不可能となってしまった。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0042】
【発明の効果】
本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置は、1〜20重量%の第3の元素を含有する熱分解窒化ほう素で支持基板および/または絶縁層を形成したことにより、熱分解窒化ほう素の赤外線透過率が30%以下となり、支持基板の一方の面に接合形成された導電性発熱層が発熱したときに放射する赤外線を支持基板が吸収し、支持基板内で熱となって均熱化され、他方の面に接合された導電性の静電吸着用電極部表面の温度分布が均熱になり、従って吸着されたウエーハはより均熱化するという効果が得られる。また、第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素から成る絶縁層の500〜650℃の中温域における体積抵抗率が1010〜1013Ωcmの範囲となることから、500〜650℃の中温域において十分な静電吸着力が得られ、リーク電流によるデバイスの損傷も起こらない。さらに、脱粒の無い第3元素をドープした熱分解窒化ほう素を使用することにより、急速な昇降温の際にも接合境界層で剥離せずに、半導体製造装置内で長期間安定して使用できる信頼性の高い装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置、 2…支持基板、
3…静電吸着用電極、 4…導電性発熱層、 5…絶縁層、
6…静電吸着用給電端子、 7…発熱層給電端子、 8…ウエーハ。
Claims (8)
- 支持基板の一方の面に導電性発熱層が接合形成され、他方の面に導電性の静電吸着用電極が接合形成され、さらに発熱層および静電吸着用電極を覆う絶縁層が接合された静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置において、前記支持基板の材質が第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素であることを特徴とする静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素の赤外線透過率が30%以下であることを特徴とする請求項1に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記絶縁層が第3の元素をドープした熱分解窒化ほう素からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記第3の元素が炭素またはけい素であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記熱分解窒化ほう素中の炭素またはけい素の含有量が1〜20重量%であることを特徴とする請求項4に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記支持基板の厚さが0.5mm以上10mm以下であること特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記導電性発熱層が熱分解黒鉛、ほう素含有熱分解黒鉛、けい素含有熱分解黒鉛、白金、銀、白金と銀の合金、チタン、タングステン、タンタル、モリブデンの内から選択される1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
- 前記支持基板、導電性発熱層、導電性静電吸着用電極および絶縁層が化学気相蒸着法で形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載した静電吸着機能を有するウエーハ加熱装置。
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