JP4020810B2 - 半導体キャリアの寿命測定装置,その方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体の材料評価の指標として用いる半導体キャリアの寿命測定装置及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化に伴い,デバイスに使用される半導体の材料特性の管理が重要となっている。半導体の材料評価の指標として,半導体のキャリア寿命(いわゆるライフタイム)があり,その測定方法として,マイクロ波光伝導減衰法が普及している。これは,半導体にパルス光を照射することによって半導体内に光励起キャリア(以下,励起キャリアという)を生成させ,その後に励起キャリアが再結合することによって減少する減少速度をもって半導体材料の欠陥や汚染の評価を行う方法である。励起キャリアの減少速度の測定は,具体的には,パルス光を照射した部分に測定光としてマイクロ波を照射し,その反射波或いは透過波の強度変化を測定することにより,前記反射波或いは透過波の強度変化の時定数から半導体キャリアの寿命(励起キャリアが再結合により消失するまでの時間)を測定する。このマイクロ波光伝導減衰法に基づく一般的な半導体キャリアの寿命測定装置の構成は,特許文献1の図7に示されている。
一般に,半導体の表面には結晶性不整が存在し,これにより励起キャリアが半導体表面で再結合するいわゆる表面再結合が生じる。該表面再結合は,前記マイクロ波光伝導減衰法による測定値に悪影響を及ぼすため,これを防止する必要がある。通常は,被測定物である半導体の事前の熱処理によって試料表面に酸化膜を形成させ,前記表面再結合の発生を抑制した後に半導体キャリアの寿命測定を行う。しかしながら,測定前に熱処理工程を実行することは多大な手間と時間とを要する上,あまり高温に加熱すると半導体自体の性能劣化も懸念される。
この問題を解決するため,特許文献1には,半導体表面全体にコロナ放電によって電荷層を生成することにより,前記表面再結合を抑制できる状態とした後に前記マイクロ波光伝導減衰法によって半導体キャリアの寿命測定を行う方法が示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−240450号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,半導体表面に形成される自然酸化膜のような絶縁層の下では,コロナ放電により生成される電荷層は放電しやすく,その帯電効果が長時間持続しない。このため,特許文献1に示される方法では,半導体キャリアの寿命測定中に前記表面再結合が生じてしまい,精度のよい半導体キャリアの寿命測定が行えないという問題点があった。さらに,コロナ放電工程(半導体表面の帯電工程)と半導体キャリアの寿命測定工程との間に時間間隔をおけない等,測定工程上の制約も大きい。
また,コロナ放電による帯電効果を持続させるためには,測定前に予め半導体表面に絶縁層を形成する工程が必要となり,測定前にこのような工程を行うことは手間と時間とを要するという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,加熱等による半導体自体の性能劣化を極力防止するとともに,余分な前処理工程を行う手間や時間を要することなく励起キャリアの表面再結合を抑制する半導体キャリアの寿命測定装置及びその方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,半導体にパルス光を照射したときに,前記半導体に照射した所定の測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定装置において,前記測定波を前記半導体の表面へ導く導波管と,前記導波管の前記半導体に近接する開口部を横断するように設けられ,少なくとも前記測定波の反射波或いは透過波の変化の測定中に所定の電圧が印加されてコロナ放電する第1の電極と,を具備してなることを特徴とする半導体キャリアの寿命測定装置である。
このように,測定対象となる半導体に近接する位置でコロナ放電を行いながらマイクロ波等の測定波の反射波又は透過波を測定することにより,測定中は半導体の測定波照射部分の帯電状態が維持され,事前の加熱処理工程を設ける等の余分な手間や時間を要することなく励起キャリアの表面再結合を抑制することができる。
さらに,本発明に係る半導体キャリアの寿命測定装置が,前記半導体の表面に所定の光を照射する光照射手段と,前記光照射手段の光照射により前記半導体に発生する光電圧を測定する光電圧測定手段と,前記光電圧測定手段により測定された前記光電圧の極性に基づいて前記第1の電極に印加する電圧の極性を設定する極性設定手段と,と具備することが考えられる。
【0006】
また,前記半導体における前記測定波が照射される部分の裏面に近接して設けられ,少なくとも前記測定波の反射波或いは透過波の変化の測定中に所定の電圧が印加されてコロナ放電する第2の電極を具備し,前記極性設定手段が,前記光電圧測定手段により測定された前記光電圧の極性に基づいて前記第2の電極に印加する電圧の極性も設定するものも考えられる。
これにより,半導体の裏面側の表面再結合も抑制できるのでより効果的である。
【0007】
また,前記光電圧測定手段及び前記極性設定手段により,半導体表面に照射した光により発生する光電圧に基づいて,半導体がN型であるかP型であるかを判別し,これによってコロナ放電用電極に印加する電圧の極性を半導体の型(NorP)に適した極性に設定すれば,より効果的に励起キャリアの表面再結合を抑制することができる。
【0008】
また,本発明は,前記半導体キャリアの寿命測定装置による測定を,半導体キャリアの寿命測定方法として捉えてもよい。
即ち,半導体にパルス光を照射したときに,前記半導体に照射した所定の測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体キャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定方法において,前記測定波を前記半導体の表面へ導く導波管の,前記半導体に近接する開口部を横断するように設けられた第1の電極に,所定の電圧を印加してコロナ放電を行いながら前記測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することを特徴とする半導体キャリアの寿命測定方法である。
また,前記半導体の表面に所定の光を照射することにより前記半導体に発生する光電圧を測定し,測定した前記光電圧の極性に基づいて前記第1の電極に印加する電圧の極性を設定すればなお好適である。
【0009】
また,前記半導体における前記測定波が照射される部分の裏面に近接して設けられた第2の電極に,所定の電圧を印加してコロナ放電を行いながら前記測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することも考えられる。
【0010】
なお,前記第2の電極に印加する電圧の極性も,前記光電圧の極性に基づいて設定する。
【0011】
また,前記パルス光の照射前に,予め前記半導体の表面を酸化する所定の酸化工程を有してもよい。この酸化工程としては,前記半導体のオゾンとの接触工程,加熱した過酸化水素水中への前記半導体の浸漬工程,酸化プラズマの前記半導体への照射工程,塩酸或いは硫酸中への前記半導体の浸漬工程,加熱水蒸気による前記半導体の加熱工程,陽極酸化工程等が考えられる。
前記半導体のオゾンとの接触工程としては,オゾン水を前記半導体に吹き付ける工程やオゾン水に前記半導体を浸漬させる工程,或いはオゾンを前記半導体に直接吹き付ける工程等が考えられる。ここで,オゾンとの接触工程に用いるオゾン水の濃度,接触時の温度,接触時間等の条件は一律に決定できないが,前記半導体の表面状態やライフタイム測定に要求される精度等に応じて適当な条件とすればよい。
これにより,半導体表面の自然酸化膜が薬品洗浄等によって除去されることにより,コロナ放電による帯電効果が弱くなり,そのままでは表面再結合の抑制効果が下がる場合でも,非常に短時間のうちに半導体表面に酸化膜が生成され,本発明を適用することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xの構成図,図2は本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xによりパルス光照射のときに照射したマイクロ波の反射波の強度変化の測定結果を表すグラフ,図3は本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xによる半導体キャリアの寿命測定値の経時変化を洗浄後半導体ウェハに対する酸化処理の有無で比較した表,図4は本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xにより洗浄直後のウェハと洗浄後にオゾンによる酸化工程を経た後のウェハとについてマイクロ波の反射波の強度変化の測定した結果を表すグラフである。
【0013】
まず,図1を用いて本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置X(以下,測定装置Xと略称する)の構成について説明する。本測定装置Xは,シリコンウェハを被検体とする半導体キャリアの寿命測定装置である。
図1(a)に示すように,本測定装置Xは,マイクロ波発振器(1),サーキュレータ(2),導波管(3),E−Hチューナ(4),透明電極(7),増幅器(8),マイクロ波検出器(10),高圧電源(11),パルスレーザ(12),計算機(13)等を具備している。
前記パルスレーザ(12)が発光するパルス光(波長523nm,パルス幅10ns)は,ミラー(21)により前記導波管(5)の一端の直管部分である導波管アンテナ(5)内に導かれ,その開口部(5a)から被測定試料であるシリコンウェハ(6)の表面に照射される。
また,前記マイクロ波発振器(1)により発生したマイクロ波は,前記サーキュレータ(2)を経由して前記導波管(3)内を通り,前記導波管(3)の途中に設けられた前記E−Hチューナ(4)を経由して前記導波管アンテナ(5)の先端の開口部(5a)から前記シリコンウェハ(6)に照射される。これにより,前記シリコンウェハ(6)表面の前記パルス光が照射された位置に,前記マイクロ波も照射される。そして,前記シリコンウェハ(6)からの反射マイクロ波は,前記導波管アンテナ(5)の開口部(5a)から前記導波管(5)内を通り,前記E−Hチューナ(4)を経由して前記サーキュレータ(2)に戻る。該サーキュレータ(2)に戻った前記反射マイクロ波の強度が,前記マイクロ波検出器(10)によって検出され,検出値が前記計算機(13)に取り込まれる。これにより,前記パルス光照射のときに前記マイクロ波を照射していれば,該マイクロ波の反射波の強度変化を前記計算機(13)によって測定できる。通常は,前記マイクロ波を照射しながら前記パルス光を照射し,該パルス光照射直後の前記マイクロ波の反射波の強度変化を測定する。
【0014】
本測定装置Xの特徴は,前記導波管アンテナ(5)の開口部(5a)付近に,高電圧を印加することによってコロナ放電する電極であるコロナワイヤ(9a)(前記第1の電極の一例)が設けられている点である。更に,前記シリコンウェハ(6)の前記マイクロ波が照射される部分の裏面に近接する位置にも,同様に高電圧の印加でコロナ放電する別のコロナワイヤ(9b)(前記第2の電極の一例)が設けられていることも特徴の1つである。前記コロナワイヤ9a,9bとしては,例えば,線径0.1mmのタングステンワイヤ等を用いればよい。
図1(b)は,前記導波管アンテナ(5)の先端の開口部(5a)を拡大して示した図である。前記導波管アンテナ(5)は,角型管であり,その開口部(5a)の対向する2つの面それぞれの一部が切り欠かれ,該切り欠かれた部分それぞれに所定の絶縁体(5b)が設けられている。そして,前記コロナワイヤ(9a)は,対向する2つの前記絶縁体(5b)に渡らせて前記開口部(5a)の中央を横断するように取り付けられている(図1(b)には,前記絶縁体(5b)の一方のみが図示されている)。また,前記コロナワイヤ(9a)は,接続線(5c)により,前記高圧電源(11)に接続される。これにより,前記コロナワイヤ(9a)と前記導波管アンテナ(5)とが絶縁される。裏面側の前記コロナワイヤ(9b)も,同様に,所定の取り付け部材(23)と絶縁して取り付けられている。
また,前記パルスレーザ(12)によるパルス光は,ビームスプリッタ(22)により分岐され,前記透明電極(7)を介して前記シリコンウェハ(6)表面の前記マイクロ波が照射される位置とは別の位置にも照射され,該照射によって前記シリコンウェハ(6)に発生する光電圧を前記透明電極(7)によって検出し,該光電圧の検出値が前記増幅器を介して前記計算機(13)に取り込まれる。これにより,前記シリコンウェハ(6)に発生する前記光電圧が前記計算機(13)によって測定される。ここで,前記パルスレーザ(12)及び前記ビームスプリッタ(22)が前記光照射手段の一例,前記透明電極(7),前記増幅器(8),及び前記計算機(13)が前記光電圧測定手段の一例である。
【0015】
次に,本測定装置Xの動作について説明する。
まず,前記パルスレーザ(12)により前記シリコンウェハ(6)表面に前記パルス光を照射する。これにより,前記シリコンウェハ(6)における前記パルス光を照射した部分が励起される。このとき,前記ビームスプリッタ(22)による前記パルス光の分岐光も前記シリコンウェハ(6)表面に照射され,前記分岐光により前記シリコンウェハ(6)表面に発生した前記光電圧を前記透明電極(7)を介して前記計算機(13)により測定する。
次に,前記計算機(13)により,前記光電圧の極性に基づいて前記高圧電源(11)による前記コロナワイヤ(9a,9b)への印加電圧の極性が設定される(前記極性設定手段の一例)。
さらに,前記マイクロ波発振器(1)により前記シリコンウェハ(6)表面に前記マイクロ波を照射するとともに,前記コロナワイヤ(9a,9b)に前記高電圧電源(11)によって高電圧を印加しながら,前記反射マイクロ波の強度変化を前記計算機(13)によって測定する。
【0016】
図2(a1),(b1)は,前記計算機(13)により測定された前記反射マイクロ波の強度変化を表すグラフであり,縦軸が前記マイクロ波の強度,横軸が時間軸を表す。ここで,太い実線で示すグラフga1,gb1は,前記コロナワイヤ(9a,9b)に+4kVを印加した場合を表し,細い実線で表すグラフga2,gb2は,同−4kVを印加した場合,破線で表すグラフga3,gb3は,電圧を印加しない(印加電圧=0V)場合をそれぞれ表す。
また,図2(a2),(b2)は,同じく前記ウェハ(6)表面の前記光電圧のグラフであり,縦軸が前記光電圧,横軸が時間軸を表す。
また,図2(a1),(a2)は,測定した前記シリコンウェハ(6)が,N型半導体である場合であり,図2(b1)(b2)は,同P型半導体である場合である。
図2(a1)に示すN型半導体のグラフga3に示すように,前記コロナワイヤ(9a,9b)に電圧を印加しない場合には,前記パルス光照射直後に生じる前記反射マイクロ波の強度のピークが低く,ごく短時間で元のレベルへ戻ってしまう。これは,マイクロ波照射により生じた励起キャリアが,通常の半導体内部の再結合により消失するのにくわえ,前記表面結合により急速に消失するためである。このように,前記表面結合が急速に進行する状態では正確に半導体キャリアの寿命を測定できない。これは,図2(b1)に示すP型半導体のグラフgb3(印加電圧=0V)においても同様である。
これに対し,グラフga1に示すように,N型半導体において前記コロナワイヤ(9a,9b)に+4kVを印加した場合には,前記パルス光照射直後に生じる前記反射マイクロ波の強度にピークが高く,その後,徐々に強度が低下していく。これは,これは,前記コロナワイヤ(9a,9b)に電圧を印加した場合,これがコロナ放電して発生したイオンが前記シリコンウェハ(6)表面に付着し帯電するため,励起キャリアの前記表面再結合が抑制されるためである。半導体キャリアの寿命は,前記反射マイクロ波のピーク時の値が,その1/eの値になるまでの時間(いわゆる時定数)に基づいて求められる。
このように,前記シリコンウェハ(6)に近接する位置でコロナ放電を行いながら前記反射マイクロ波を測定することにより,事前の加熱処理工程を設ける等の余分な手間や時間を要することなく前記表面再結合を抑制することができる。さらに,前記コロナワイヤ(9a)が前記導波管アンテナ(5)(前記導波管(3)の一部)の先端部分(前記シリコンウェハ(6)に近接する部分)に設けられるので,発生したイオンが前記マイクロ波の照射部以外に逃げないように集中させることができ,前記マイクロ波の照射部を効率的に帯電させることができる。しかも,前記導波管アンテナ(5)は,前記マイクロ波照射に必要なものであり,これを前記コロナワイヤ(9a)の取り付け部材として兼用させることで構造がシンプルとなる。ここで,前記コロナワイヤ(9a)は,前記導波管アンテナ(5)の先端の近傍(即ち,前記シリコンウェハ(6)に近接する部分又はその近傍)であれば,他の位置に,或いは他の構造で取り付けてもかまわない。もちろん,前記導波管アンテナ(5)以外により支持する構造としてもかまわない。また,前記シリコンウェハ(6)の一方の面のみでコロナ放電を行っても前記表面結合を抑制する効果はあるが,本実施の形態のように表裏両面で行ったほうがより効果的である。
【0017】
一方,図2(a1)のグラフga2に示すように,N型半導体において前記コロナワイヤ(9a,9b)に−4kVを印加した場合には,前記パルス光照射直後に生じる前記反射マイクロ波の強度のピークは,電圧印加を行わない場合よりは高いが,+4kVを印加した場合よりも低い。
これに対し,図2(b1)のグラフgb1,gb2に示すように,P型半導体においては,前記コロナワイヤ(9a,9b)に+4kVを印加した場合(gb1)よりも,−4kVを印加した場合の方が,前記パルス光照射直後に生じる前記反射マイクロ波の強度のピークは高い,即ち,前記表面再結合の抑制効果が高い。これは,前記コロナワイヤ(9a,9b)への印加電圧の極性は,測定対象となる半導体の少数キャリアを表面から遠ざける働きを有する極性とする方が,前記表面再結合の抑制効果が高いことを示している。そこで,図2(a2),(b2)に示すように,前記シリコンウェハ(6)表面で発生する前記光電圧が,N型とP型とで逆極性であることを利用し,前記光電圧に基づいて前記コロナワイヤ(9a,9b)への印加電圧の極性を設定する。これにより,より効果的に前記表面再結合を抑制できる。
【0018】
ところで,図2に示したグラフは,前記コロナワイヤ(9a,9b)のコロナ放電による前記表面再結合の抑制は,前記シリコンウェハ(6)の表面に自然酸化膜を有する場合のものであるが,薬品洗浄等によって前記シリコンウェハ(6)表面の自然酸化膜が除去された直後には,コロナ放電による帯電効果が弱く,前記表面再結合の抑制効果も下がる。
図3は,洗浄した後に大気中に放置した前記シリコンウェハ(6)を,本測定装置Xを用いて,所定の経過時間ごと(洗浄直後,2時間後,1日後,2日後,3日後,4日後,7日後)にそのシリコンウェハ(6)について半導体キャリアの寿命を測定したデータの表である。ここで,表の上段は,洗浄後の前記シリコンウェハ(6)をそのまま大気中に放置した場合のデータであり,下段は,洗浄後の前記シリコンウェハ(6)を温度70℃に加熱した過酸化水素水(濃度50%)に2時間浸漬させる酸化工程を経た後に,大気中に放置した場合のデータである。ここで,測定対象とした前記シリコンウェハ(6)の半導体キャリアの寿命は,590〜610μs程度であるものとする。
【0019】
図3からわかるように,洗浄後の前記シリコンウェハ(6)をそのまま放置した場合,適正な測定結果が得られるまでに洗浄後4日以上の経過が必要であることがわかる。
一方,前記過酸化水素水に浸漬させた場合には,洗浄から2時間後には,適正な測定結果が得られており,7日経過時点でもその効果は持続している。
このように,前記過酸化水素水への浸漬により,測定対象となる半導体表面の酸化膜が薬品洗浄等により除去された場合であっても,非常に短時間のうちに本発明に係る半導体キャリアの寿命予測装置及び方法を適用することが可能となる。また,70℃程度の過酸化水素水への浸漬では,半導体自体の性能劣化の問題もない。
【0020】
一方,図4(a),(b)は,HF洗浄した直後のP型の前記シリコンウェハ(6)と,HF洗浄後にオゾンに接触させる酸化工程を経た後のP型の前記シリコンウェハ(6)とのそれぞれについて,本測定装置Xを用いて,前記計算機(13)により測定された前記反射マイクロ波の強度変化を表すグラフであり,縦軸が前記マイクロ波の強度,横軸が時間軸を表す。
ここで用いた,オゾンに接触させる酸化工程は,オゾン水(濃度15mg/l)に30分間浸漬させる工程である。
図4(a),(b)の比較からわかるように,HF洗浄後は,ウェハ表面に絶縁層(酸化膜)が形成されていないため,コロナ放電で生成されたイオンはウェハ表面で帯電維持されず,ライフタイム測定値は,表面再結合の影響で実際よりも短くなる。これに対し,オゾン水への浸漬工程を経たウェハの表面には,酸化膜(絶縁膜)が形成されるため,表面再結合が抑止され,イオンがウェハ表面で維持される。その結果,ライフタイム測定値が長くなり,これは,ウェハのバルクライフタイムを反映することになる。
このように,ウェハ表面に酸化膜(絶縁膜)を形成するための酸化工程としては,前述した前記過酸化水素水に浸漬させる工程の他に,オゾンに接触させる工程も有効である。
表面結合を抑制するためのオゾン水への浸漬条件は,オゾン水の濃度,時間,温度の他,ウェハの特性(不純物濃度,ライフタイム等),表面状態(表面粗さ等)及びライフタイム測定に要求される精度にも依存するため,一律に定めることはできないが,このような酸化工程に要する時間や手間を考慮すると,濃度約10mg/l以下の常温のオゾン水に,20分以上浸漬させることが好ましいと考えられる。もちろん,オゾン水への浸漬に限らず,例えば,オゾン水をウェハに対して噴霧する等の処理であってもよい。
【0021】
【実施例】
前記半導体キャリアの寿命測定装置Xは,半導体に照射したマイクロ波の反射波を測定するものであったが,半導体に照射したマイクロ波の透過波を測定するものであってもよい。この場合,前記シリコンウェハ(6)の裏面側に,前記マイクロ波の透過波を導く導波管を設け,該導波管内で前記マイクロ波の透過波を測定するよう構成することが考えられる。
また,測定対象となる半導体表面の自然酸化膜が薬品洗浄等により除去されている場合の半導体の酸化工程としては,前述したオゾンへの接触や過酸化水素水への浸漬が好適であると考えられるが,この他にも,酸化プラズマの半導体への照射や,塩酸或いは硫酸中への半導体の浸漬,加熱水蒸気による半導体の加熱等の酸化工程,陽極酸化工程等も考えられる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,測定対象となる半導体に近接する位置でコロナ放電を行いながら,パルス光照射部分に照射した測定波の反射波又は透過波を測定することにより,測定中は半導体の測定波照射部分の帯電状態が維持され,事前の加熱処理工程を設ける等の余分な手間や時間を要することなく励起キャリアの表面再結合を抑制することができる。
更に,コロナ放電を行う電極が測定波を半導体表面に導く導波管の先端部分(半導体に近接する部分)又はその近傍に設けられるので,コロナ放電により発生したイオンを測定波の照射部以外に逃げないように集中させることができ,測定波の照射部を効率的に帯電させることができる。しかも,導波管は,測定波照射に必要なものであるため,これをコロナ放電用電極の取り付け部材として兼用すれば構造がシンプルとなる上,導波管がアースとなることでコロナ放電の安定化が図れる。。
また,半導体の測定波照射部分の表裏両面でコロナ放電を行えば,より効果的に励起キャリアの表面再結合を防止できる。
また,半導体表面に照射した光により発生する光電圧に基づいて,半導体がN型であるかP型であるかを判別し,これによりコロナ放電用電極に印加する電圧の極性を半導体の型(NorP)に適した極性に設定すれば,より効果的に励起キャリアの表面再結合を抑制することができる。このように,励起キャリアの表面再結合が抑制されるので,精度よく半導体キャリアの寿命を測定できる。
そして,測定前に,予め前記半導体の表面を酸化する酸化工程,例えば,加熱した過酸化水素水中への前記半導体の浸漬工程等を行うことにより,半導体表面の自然酸化膜が薬品洗浄等によって除去されている場合でも,非常に短時間のうちに半導体表面に酸化膜を生成できので,短時間のうちに本発明を適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xの構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xによりパルス光照射のときに照射したマイクロ波の反射波の強度変化の測定結果を表すグラフ。
【図3】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xによる半導体キャリアの寿命測定値の経時変化を洗浄後半導体ウェハに対する酸化処理の有無で比較した表。
【図4】本発明の実施の形態に係る半導体キャリアの寿命測定装置Xにより洗浄直後のウェハと洗浄後にオゾンによる酸化工程を経た後のウェハとについてマイクロ波の反射波の強度変化の測定した結果を表すグラフ。
【符号の説明】
1…マイクロ波発振器
2…サーキュレータ
3…導波管
4…E−Hチューナ
5…導波管アンテナ(導波管の一部)
5a…導波管アンテナの先端の開口部
5b…絶縁体
5c…高圧電源への接続線
6…シリコンウェハ
7…透明電極
8…増幅器
9a,9b…コロナワイヤ
10…マイクロ波検出器
11…高圧電源
12…パルスレーザ
13…計算機
21…ミラー
22…ビームスプリッタ
23…コロナワイヤの取り付け部材
Claims (8)
- 半導体にパルス光を照射したときに,前記半導体に照射した所定の測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定装置において,
前記測定波を前記半導体の表面へ導く導波管と,
前記導波管の前記半導体に近接する開口部を横断するように設けられ,少なくとも前記測定波の反射波或いは透過波の変化の測定中に所定の電圧が印加されてコロナ放電する第1の電極と,
を具備してなることを特徴とする半導体キャリアの寿命測定装置。 - 前記半導体の表面に所定の光を照射する光照射手段と,
前記光照射手段の光照射により前記半導体に発生する光電圧を測定する光電圧測定手段と,
前記光電圧測定手段により測定された前記光電圧の極性に基づいて前記第1の電極に印加する電圧の極性を設定する極性設定手段と,
を具備してなる請求項1に記載の半導体キャリアの寿命測定装置。 - 前記半導体における前記測定波が照射される部分の裏面に近接して設けられ,少なくとも前記測定波の反射波或いは透過波の変化の測定中に所定の電圧が印加されてコロナ放電する第2の電極を具備し,
前記極性設定手段が,前記光電圧測定手段により測定された前記光電圧の極性に基づいて前記第2の電極に印加する電圧の極性も設定してなる請求項2に記載の半導体キャリアの寿命測定装置。 - 半導体にパルス光を照射したときに,前記半導体に照射した所定の測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することにより前記半導体のキャリアの寿命を測定する半導体キャリアの寿命測定方法において,
前記測定波を前記半導体の表面へ導く導波管の,前記半導体に近接する開口部を横断するように設けられた第1の電極に,所定の電圧を印加してコロナ放電を行いながら前記測定波の反射波或いは透過波の変化を測定することを特徴とする半導体キャリアの寿命測定方法。 - 前記半導体の表面に所定の光を照射することにより前記半導体に発生する光電圧を測定し,
測定した前記光電圧の極性に基づいて前記第1の電極に印加する電圧の極性を設定する請求項4に記載の半導体キャリアの寿命測定方法。 - 前記半導体における前記測定波が照射される部分の裏面に近接して設けられた第2の電極に,前記光電圧の極性に基づいて極性を設定した所定の電圧を印加してコロナ放電を行いながら前記測定波の反射波或いは透過波の変化を測定する請求項5に記載の半導体キャリアの寿命測定方法。
- 前記パルス光の照射前に,予め前記半導体の表面を酸化する所定の酸化工程を有してなる請求項5又は6のいずれかに記載の半導体キャリアの寿命測定方法。
- 前記所定の酸化工程が,前記半導体のオゾンとの接触工程,加熱した過酸化水素水中への前記半導体の浸漬工程,酸化プラズマの前記半導体への照射工程,塩酸或いは硫酸中への前記半導体の浸漬工程,加熱水蒸気による前記半導体の加熱工程,陽極酸化工程のいずれかである請求項7に記載の半導体キャリアの寿命測定方法。
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