JP4020063B2 - 水着用編地および水着 - Google Patents

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Description

本発明は、着用時における冷感軽減性に優れた水着用編地、およびそれからなる水中から上がった後の身体冷感軽減性に優れた水着に関するものである。
水着は、泳ぐ時の動き易さが要求されるために、伸びの良い編地を用いて身体にフィットするように縫製される。このため、プールから上がった後に身体と水着との間に水が滞留すると同時に、水着自身が大量の水分を吸収するために身体の冷えに伴う不快感を感じる。特に真夏以外の季節などではこの傾向が顕著である。
身体の冷えに伴う不快感を軽減する試みとして、特許文献1(特開昭55−26243号公報)には、ポリウレタン弾性糸を含んだ編物または織物の全面に撥水加工を施した生地が提案されている。これは、プールに含まれる塩素によってポリウレタン弾性糸が劣化することがなく、かつ、水着自身が水をあまり吸収しないために着用時に冷えに伴う不快感を軽減する効果を有するものである。
しかし、この生地を用いた水着を着用して泳いだ場合、生地全面に撥水加工がしてあるために、身体と水着の間に進入した水が生地を通過して外側に抜けにくく、水が身体と水着の間に滞留することとなる。その結果、泳ぎにくく疲労感を増大させるという基本的な欠点を有するものである。
一方、特許文献2(特開平3−51312号公報)、特許文献3(実開平3−14178号公報)では太陽光吸収剤などを含有する繊維、あるいは、それからなる布帛が提案されている。しかし、これらは太陽光の可視光線と近赤外線を吸収して熱に変換して保温性を得るものであり、曇りの日や屋内プールのように太陽光が届かないところでは効果がないという欠点がある。
また、特許文献4(実開平6−79786号公報)では、編地の片面に40〜90%の面積比で部分的に撥水プリントを施した編地が提案されている。しかし、この編地を用いた水着は、水抜け性を妨げることなく身体の冷えに伴う不快感を軽減する効果を有するが、撥水プリント加工に要する費用が高く、コストアップにつながるという問題があった。
さらに、特許文献5(特開平10−298854号公報)では、合成繊維マルチフィラメントを主体とする編地の裏面編部を凹凸形状とし、かつ、この凹凸部の凹部および凸部の高さ、幅、面積値を規定して身体の冷感軽減性を得るための水着用編地と、その編地からなる水着が提案されている。しかし、この編地は編地裏面、即ち肌面を凹凸形状に規定しているため、編地裏面(肌面)がフラット形状に近いものには適用できない。
別の手法として、発泡ウレタンゴムシートの両面に編地を貼り合わせた生地を縫製した保温性水着も販売されているが、この水着は保温性は有るものの生地が厚く、ストレッチ性も劣り、目付も大きいため運動性を妨げるものであり、コストも高くなるという問題がある。
特開昭55−26243号公報 特開平3−51312号公報 実開平3−14178号公報 実開平6−79786号公報 特開平10−298854号公報
これらの種々の問題点のため、水着として要求されるストレッチ性、目付、水抜け性を持ちながら、着用者が快適と感じる冷感軽減性に優れた編地よりなる水着が得られていないのが実状である。
本発明は、かかる従来の技術からなる編地よりなる水着の欠点を解決すべき、プールなどから上がった後の身体の冷感を軽減して、着用者の不快感を低減するとともに、水着に必要とされる生地のストレッチ性、さらには審美性をも満足する水着用編地とそれによる水着を低コストで提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明の水着用編地は、裏面層が合成繊維マルチフィラメント糸条を主体とする編地であり、裏面層が起毛加工され、濡れ時における裏面層の保水率が30%以下、かつ、伸長率がタテ、ヨコ方向とも70〜140%であることを特徴とするするものである。また、本発明の水着は、かかる水着用編地からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、水着として着用したとき、水中から上がった後のベトツキ感に伴う冷感性が軽減されるという優れた着用快適性を有するとともに、動き易さなどの運動性にも優れた水着用編地を提供することができ、かかる編地から各種の水着に幅広く好適に使用することができる。
本発明は、身体の冷感および不快感を軽減するとともに、水着に必要とされる生地のストレッチ性や審美性を満足する水着用編地について、鋭意検討したところ、編地裏面層(肌面)を起毛加工することにより、肌面側の保水率を下げることができ、かつ、該編地の伸長率を規定することにより、身体の冷感軽減性と動き易さに優れた水着用編地とそれからなる水着を究明したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水着用編地は、少なくとも表面層と裏面層とを有する編地である。表面層、裏面層の他、中層等を含むものであってもかまわない。
そして、裏面層を合成繊維マルチフィラメント糸条を主体とする編地とすることが好ましい。
本発明の水着用編地の裏面層(肌面)は起毛加工されていることが必要である。この起毛加工方法は、従来から行われている起毛機と起毛加工方法を用いればよく、特に限定されるものではない。例えば針布を鉄製のローラにらせん状に巻き付けた針金ロール(針布ロール)を持つ針金起毛機による「針布起毛法」、上記金属針布の代わりにあざみを取り付けたあざみ起毛機による「あざみ起毛法」、あるいは、金属針布の代わりにサウンドペーパーを鉄製のローラに巻き付けたエメリー起毛機による「エメリー起毛法」、または、粗硬なポリエステル系合成繊維フィラメントを緻密に植え込んだ布帛を鉄製ロールに巻き付けブラッシング状ロールにしたブラッシング起毛機による「ブラッシング起毛法」などが有る。
本発明の水着用編地には、起毛面品位の得られ易さと生産管理のし易さから、裏面層には「針布起毛法」と「ブラッシング起毛法」を適用するのが望ましい。
これらの起毛方法や起毛回数は、起毛面の素材種、狙いとする起毛程度、品位などにより適宜使い分ければよい。また、起毛加工後、起毛面の毛羽高さを均一に揃えるために、シャリング機を通してもよい。
起毛加工の編地への適用は、古くから保温性を得るためにフリースを中心とするアウターウエアや肌着等に多く使用されてきたが、水着分野には使用されてこなかった。この理由として、起毛することにより水着が水を多く含み重たくなること、また、シャープ感が求められる水着としての審美性が得られないことに起因する。
本発明者らは、水着用編地の裏面層(肌面)を起毛して水着表面層の審美性を損なわないようにすること、かつ、起毛加工条件を種々検討し、繊維の起毛長さ程度を短くすることで、水着を重くすることなく保温性が効率良く得られることを見い出したものである。
この起毛加工は、編地の生機段階で起毛加工してから染色加工工程を通す先起毛加工法、あるいは、編地の染色加工後に起毛加工を行う後起毛加工法など、いづれでもよく、特に限定されるものではない。
また、起毛の程度としては、深起毛よりも軽起毛あるいは微起毛程度にするのが好ましい。これは、編地裏面層(肌面)がフラット形状に対し、該層を軽起毛あるいは微起毛することで微細な凹凸形状が形成され、身体(肌)との接触面積が少なくなることから水分感知が少ないため冷感が軽減されるものである。
ここで軽起毛あるいは微起毛とは、単繊維フィラメントの起毛長さを平均3mm以下とすることをいう。起毛長さを平均3mm以下の軽起毛あるいは微起毛にすると、起毛部が水を多く含むこともなく、濡れ時における編地裏面層(肌面)の保水率を目標とする30%以下にするのが容易となり、また、水を含みすぎて重くなることもない。
本発明の水着用編地は、濡れ時における編地裏面層(肌面)の保水率を30%以下とするものである。これは水着による着用評価から、冷感軽減性を感じるためには30%以下が必要であることを見出したものであり、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましいものである。この保水率が30%を越えると、ベトツキ感が増すことにより、冷感を強く感じ、着用快適性に劣ることになり好ましくない。なお、本発明における保水率とは後述する測定方法で測定した値をいう。
本発明の水着用編地の伸長率は、タテ、ヨコ方向とも70〜140%とするものである。伸長率とは、編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、水着にして着用した時、編地が身体の動きに追従し易く、動き易く、疲れ難い。なお、本発明における伸張率とは後述する測定方法によって測定した値をいう。
この伸長率は、80%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。70%未満であると水着にして着用した場合、身体の動きに水着が追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。また、この伸長率は高ければ良いものでもなく、140%以上になると着用し泳いだ時、水の重さで水着が伸びた状態となり、逆に泳ぎ難くなり好ましくない。
本発明の水着用編地の裏面層は合成繊維マルチフィラメント糸条を主体とする編地であり、合成繊維マルチフィラメント糸条を主体としてはポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維の糸条等を用いることができるが、水着用編地として70〜140%の伸長率を得るためには、裏面層の編地、あるいは表面層の編地、または中層の編地をポリウレタン系弾性繊維に代表される各種のストレッチ性弾性糸とか、ポリエステル系繊維の一種であるポリブチレンテレフタレート系繊維加工糸、あるいは、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維加工糸またはポリエチレンテレフタレートポリマーとポリトリメチレンテレフタレートポリマーとのサイドバイサイド型複合糸、更には、このポリトリメチレンテレフタレートポリマーとポリトリメチレンテレフタレートポリマー同士のサイドバイサイド型複合糸を交編させることが好ましい。
一方、本発明の編地表面層を構成する糸条の素材は、特に限定されるものではない。例えば、編地裏面層(肌面)を構成する糸条と同一の合成繊維マルチフィラメント糸条、裏面層と異なる合成繊維マルチフィラメント糸条、これら異なった合成繊維マルチフィラメント糸条同士の混繊糸、合撚糸、合成繊維紡績糸、合成繊維と天然繊維との混紡糸など一般的に使用されているものを用いればよい。 本発明の編地は、編組織などに特に限定されるものではない。例えば、丸編地であれば、シングルジャージ、ダブルジャージ、経編地であれば、シングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセルを使用することができる。
また、編地裏面層(肌面)は平坦面形状、あるいは、多数の凸部が分散した凹凸面形状にするなど、いずれでもよく特に限定するものではない。
製編における編成条件は、通常糸使いの編成条件に準じればよく、特に特殊条件を取るものではない。
また、本発明の水着用編地は、上記の好ましい態様において編地の表面層と裏面層(肌面)とが接結糸条で接結されており、かつ表面層が単繊維繊度0.5〜3.0デシテックスの範囲である合成繊維マルチフィラメントの糸条で構成されるとともに、裏面層(肌面)は前記表面層を構成する糸状の単繊維繊度の1.5倍以上で5.5倍未満の単繊維繊度の糸状で構成されることがさらに好ましい。
編地表面層と裏面層(肌面)との接結は、裏面層(肌面)の糸条を編地表面層の糸条にタックループ、またはニットループで接結させる片面接結編成方法、あるいは、裏面層(肌面)と同一糸条を表面層と裏面層(肌面)の中層に配置し、表裏面層を両面タックループで接結させる両面接結編成方法が採用でき、特に限定されるものではない。
編地の表裏層構成繊維の単繊維繊度が異なる糸条を用いて、単繊維繊度の大である糸条を肌と接する編地裏面層(肌面)に配置させ、単繊維繊度の小である糸条を編地表面層に配置し構成させることが好ましい。肌と接する編地裏面層(肌面)は、単繊維繊度が、編地表面層を構成している0.5〜3.0デシテックスの範囲の糸条のの1.5倍以上で、かつ、5.5倍未満(すなわち0.75デシテックス以上、16.5デシテックス未満)の太い糸条で構成させることにより、繊維間の間隙が編地の裏面層側(肌面)では大きく、一方、他面、すなわち外気と接する編地表面層は単繊維繊度が上記の通り0.5〜3.0デシテックスであるので繊維間間隙が小さい。
このように肌面から外気面へ向かうにつれ繊維間隙が大から小へ変化していることにより、そこに水分の吸収勾配が生じ、毛細管現象の原理に基づき肌面から外気面へ水分を吸収移動させることができる。
編地表面層を構成する単繊維繊度が、0.5デシテックス未満の場合は、抗ピリング性、抗スナッグ性に劣り好ましくない。また、3.0デシテックスを越える場合は、風合いが粗硬化傾向となり好ましくまい。好ましくは、1.0デシテックス以上で2.5デシテックス、より好ましくは、1.0デシテックス以上で2.0デシテックスである。
裏面層(肌面)を構成する糸条の単繊維繊度が前記表面層を構成する糸条の単繊維繊度の1.5倍未満の場合は、上記した毛細管現象が十分に発揮することができず好ましくない。また、5.5倍以上の場合は、肌面の風合いが粗硬となり肌触り感に劣ることとなり好ましくない。好ましくは、2.0倍以上で4.0倍未満、より好ましくは、2.0倍以上で3.0倍未満である。
また、本発明の水着用編地に用いられるフィラメント糸条の総繊度は、特に限定されないが、薄地類から厚地類まで含めると、22〜220デシテックス程度までの範囲を好ましく使用することができる。また、紡績糸の糸番手としては、綿番手換算で30番手から120番手程度までの範囲を好ましく使用することができる。
さらには、本発明の水着用編地の表面層は、編地裏面層(肌面)から表面層への毛細管現象作用で優れた水処理性を達成するために、繊維表面の繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つ単繊維フィラメントの本数混率が少なくとも30%以上含む合成繊維マルチフィラメント糸条から構成されることが好ましい。 繊維表面の繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つ単繊維フィラメントとは、その単繊維フィラメントの断面形状として文字もしくは記号などでモデル的に示すと、E、F、H、I、K、M、N、T、W、X、Y、Z、+など、あるいは、五角多葉型、六角多葉型、八角多葉型などが好ましく用いられる。中でもH型、I型、X型、Y型、五角多葉型、六角多葉型など図1(1)〜(6)に示す形状のものが好ましい。これらの断面形状のものは繊維表面の繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つため、単繊維フィラメント自身で毛細管現象作用を有する断面形状である。
逆に、図2(1)〜(4)に示すような丸型、三角型、五角型、八角型などの断面形状のものは、繊維表面の長手方向に沿って延びる凹溝を持たないため、単繊維フィラメント自身では毛細管現象作用を有していない断面形状である。
また、表面層に用いられる合成繊維マルチフィラメント糸条を構成する総単繊維フィラメント本数に対し、繊維表面の長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つ単繊維フィラメントの本数混率が少なくとも30%以上含むことが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。本数混率が30%未満であると水処理性に劣り、ベトツキ感を感じるようになり、好ましくない。
この繊維表面の長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つ単繊維フィラメントの本数混率を30%以上とする方法としては、製糸段階において凹溝を持たない単繊維フィラメントとの一発紡糸混繊、または、凹溝を持つ繊維と凹溝を持たない繊維を製造後、空気混繊などで図3に示すように30%以上とすれば良い。また、図4は繊維表面の長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つ単繊維フィラメントの本数混率100%の糸条の例を示す。また、これらの合成繊維マルチフィラメント糸条は捲縮を持たない生糸形態使い、あるいは、捲縮が付与された仮撚り加工糸形態使いなど特に限定されるものではない。
本発明の水着用編地を構成する合成繊維維マルチフィラメント糸条としては、ポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維の糸条であり、これら各々100%使い、あるいはそれらのマルチフィラメント糸条を組み合わせた交編編地、混繊糸にした編地、更にはそれら100%繊維による紡績糸、それら繊維による混紡糸、それら繊維と綿などの天然繊維との混紡糸との交編編地でもよく、特に限定されるものではない。
本発明の水着用編地の製編された生機編地の熱処理、精練や染色等の加工は、通常の水着用編地の加工法に準じて行えばよく、特に特別な設備等は必要ではない。この染色段階での付帯加工として、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、難燃加工、吸水加工、吸湿加工、防カビ加工、紫外線吸収加工、減量加工等が挙げられる。更に、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、プリント加工、オパール加工等、狙い要求特性に応じて適宜付与することが望ましい。
本発明の水着用編地は、次のように幅広く各種の水着に展開可能である。例えば、スクール用水着、フィットネス用水着、遊泳用水着、競泳用水着、リハビリ用水着に好ましく使用することができる。
以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例における各評価は次のとおり行った。
[編地裏面層保水率]
10cm×10cmの評価サンプルの重量(E)を計量し、蒸留水に浸漬した後、サンプルを取り出し、ガラス板上にサンプルの裏面層(肌面)を下にして置く、サンプル上側に10cm×10cmの吸い取り紙1枚を置き、5g/cm2の荷重下で10秒間放置した後、編地重量(E1)を計量する。この後、湿潤サンプルの両面を10cm×10cmの吸い取り紙で挟み、5g/cm2の荷重下で60秒間放置した後、両面に置いた各々の吸い取り紙の増加重量から、編地の表裏各々の面から検出された水分を計量する。編地裏面層(肌面)から検出された水分量をFとすると、次式により編地裏面層(肌面)保水率G(%)を求め、3枚の平均値で表す。
編地裏面層保水率G(%)=[F/(E1−E)]×100
これは、プールなどから上がり、水着のしずくが取れた状態を想定した評価方法であり、この編地裏面層保水率G(%)が小さいほど、水着として着用した場合、身体の冷感が少なく快適であることを意味する。
[伸長率]
伸長率の試験法はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に準じて行った。即ち、10cm×約15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔Dを7.6cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。
これを引張速度10cm/分で17.7N荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔D1を測り、伸長率L(%)を求め、タテ、ヨコ各々3枚の平均値で表した。
伸長率L(%)=[(D1−D)/D]×100
ここに、D:つかみ間隔(mm)、D1:17.7N荷重まで伸ばした時のつかみ間隔(mm)を表す。
[平均起毛長さ]
10cm×10cmの評価サンプル裏面層(起毛面)が表面となるように折り曲げ、コース方向(ヨコ方向)、およびウエール方向(タテ方向)の任意の場所を、拡大投影プリンター(リコー(株)製のデジタルリーダープリンター)を用い10倍の倍率で撮影した。
この撮影されたコース方向(ヨコ方向)、およびウエール方向(タテ方向)各々の起毛部の起毛長さを各100個測定、平均し、1/10後、平均起毛長さとして表した。
[着用評価と総合評価]
評価すべき編地で水着を作製し、着用における肌側起毛面の「肌触り感」、「水中から上がった後のべとつき感」、「冷感性」、「動き易さ」、「総合評価」の基準は次の通りである。
(1)肌側起毛面の「肌触り感」
○:肌触りが良い
△:肌触りがあまり良くない
×:肌触りが悪い
(2)「水中から上がった後のベトツキ感」
○:ベトツキ感がない
△:ベトツキ感が少しある
×:ベトツキ感が非常にある
(3)「冷感性」
○:冷感を感じない
△:冷感を少し感じる
×:冷感を非常に感じる
(4)「動き易さ」
○:動き易い
△:少し動き難い
×:動き難い
(4)「総合評価」
○:冷感軽減性水着として優れている
×:冷感軽減性水着として不適当である
実施例1
28ゲージのシングルトリコット機を用い、図5に示すフロント筬(F)とバック筬(B)の2枚筬からなるハーフ編組織において、フロント筬(F)の糸条イ1にポリエステル56デシテックス36フィラメント丸型断面の原糸を、またバック筬(B)の糸条ロ1にポリウレタン系弾性糸である“ライクラ”(登録商標)56デシテックスを配して編成した。各糸条の混率はポリエステルを約80%、“ライクラ”(登録商標)を約20%とした。
その後、通常のポリエステルとポリウレタン系弾性糸交編編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、仕上げセットを行い、さらにその後、ブラッシング起毛機により編地裏面(肌面)に微起毛加工(起毛工程2回通し)を行った後、最終仕上げセットを行い図7のモデル図に示す目付220g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは1.8mm、保水率は26%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向135%、ヨコ方向92%であった。
この編地を用いて水着を作製し、女性5名による着用評価を行ったところ、表1に示す評価結果の通り、肌面の肌触り感良好で、ベトツキ感と冷感性もなく、かつ動き易く、優れた着用快適性を有していた。
実施例2
実施例1と同一のシングルトリコット機を用い、図5に示すフロント筬(F)とバック筬(B)の2筬枚からなるハーフ編組織において、フロント筬(F)の糸条イ1に図3に示す六角多葉型タイプ断面の単繊維フィラメント本数混率が50%、通常の丸型タイプ断面の単繊維フィラメント本数混率が50%の混繊糸からなるポリエステル56デシテックス48フィラメントミックス原糸を、またバック筬(B)の糸条ロ1には実施例1と同一の“ライクラ”(登録商標)56デシテックスを配して編成した。各糸条の混率はポリエステルを約80%、“ライクラ”(登録商標)を約20%とした。
その後、実施例1と同一の染色加工と微起毛加工(起毛工程1回通し)を行った後、最終仕上げセットを行い図7のモデル図に示す目付225g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは1.3mm、保水率は21%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向128%、ヨコ方向89%であった。
実施例1と同様に、この編地を用いて水着を作製し、着用評価を行ったところ、表1に併せて示す評価結果の通り、肌面の肌触り感良好で、ベトツキ感と冷感性もなく、かつ動き易く、優れた着用快適性を有していた。
実施例3
24ゲージの両面丸編機を用い、図6に示す一完全組織F1〜F8の8口給糸からなる裏面ハニカム調リバーシブル編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8の全4給糸の糸条ロ2〜ロ5にポリエステル56デシテックス48フィラメント丸型断面の原糸を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7の全4給糸の糸条イ2〜イ5の4給糸口の糸条にポリエチレンテレフタレートポリマーとポリトリメチレンテレフタレートポリマーとのサイドバイサイド型複合糸であるポリエステル56デシテックス24フィラメント原糸を配して編成した。各糸条の混率は前記サイドバイサイド型複合糸を約60%、他の原糸を約40%とした。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、仕上げセットを行い、さらにその後、針布起毛機により編地裏面(肌面)に微起毛加工(起毛工程2回通し)を行った後、最終仕上げセットを行い図8のモデル図に示す目付227g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは2.2mm、保水率は10%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向73%、ヨコ方向136%であった。
実施例1と同様に、この編地を用いて水着を作製し、着用評価を行ったところ、表1に併せて示す評価結果の通り、肌面の肌触り感良好で、ベトツキ感と冷感性もなく、かつ動き易く、優れた着用快適性を有していた。
比較例1
実施例1と同一トリコット機と同一原糸、同一ハーフ編組織にて生機編地を作製し、さらに同一染色加工法を行った。但し、起毛加工を省略して図9のモデル図に示す目付117g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは0mmである。また、起毛加工を省略しているため、編地裏面(肌面)がフラット形状で凹凸形状がなく水分感知が多くなるため保水率は43%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向121%、ヨコ方向95%であった。
実施例1と同様に、この編地を用いて水着を作製し、着用評価を行ったところ、表1に併せて示す評価結果の通り、動き易さは良いものの、肌面の肌触りが劣り、ベトツキ感と冷感性も劣ることから着用感も不快なものであった。
比較例2
実施例1と同一のジシングルトリコット機を用い、図5と同一のハーフ編組織において、フロント筬(F)の糸条イ1に実施例1と同一のポリエステル56デシテックス36フィラメント丸型断面の原糸を、またバック筬(B)の糸条ロ1にも同一のポリエステル56デシテックス36フィラメント丸型断面の原糸を配して編成した。この糸条の混率は、通常のポリエステル100%である。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、仕上げセットを行い、さらにその後、実施例1と同様にブラッシング起毛機により編地裏面(肌面)に微起毛加工(起毛工程2回通し)を行った後、最終仕上げセットを行い図7のモデル図に示す目付231g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは1.6mm、保水率は24%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向43%、ヨコ方向52%であった。
実施例1と同様に、この編地を用いて水着を作製し、着用評価を行ったところ、表1に併せて示す評価結果の通り、肌面の肌触り感良好で、ベトツキ感と冷感性も良いものの、伸長率不足から動き難くいため、着用感に劣るもので有った。
比較例3
実施例1と同一のジシングルトリコット機を用い、図5と同一のハーフ編組織において、フロント筬(F)の糸条イ1にポリエステル44デシテックス24フィラメント丸型断面の原糸を、またバック筬(B)の糸条ロ1にライクラ”(登録商標)44デシテックスを配して編成した。各糸条の混率はポリエステルを約75%、“ライクラ”(登録商標)を約25%とした。
その後、実施例1と同一の染色加工と微起毛加工(起毛工程2回通し)を行った後、最終仕上げセットを行い図7のモデル図に示す目付184g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは1.5mm、保水率は27%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向144%、ヨコ方向111%であった。
実施例1と同様に、この編地を用いて水着を作製し、着用評価を行ったところ、表1に併せて示す評価結果の通り、肌面の肌触り感良好で、ベトツキ感と冷感性も良いものの、水着が水を含むと水着が伸び易く動き難くいため、着用感に劣るもので有った。
比較例4
実施例1と同一のシングルトリコット機を用い、図5に示すフロント筬(F)とバック筬(B)の2筬枚からなるハーフ編組織において、フロント筬(F)の糸条イ1に図3に示す六角多葉型タイプ断面の単繊維フィラメント本数混率が50%、通常の丸型タイプ断面の単繊維フィラメント本数混率が50%の混繊糸からなるポリエステル56デシテックス48フィラメントミックス原糸を、またバック筬(B)の糸条ロ1には実施例1と同一の“ライクラ”(登録商標)56デシテックスを配して編成した。各糸条の混率はポリエステルを約80%、“ライクラ”(登録商標)を約20%とした。
その後、実施例1と同一の染色加工、起毛加工は針布起毛機(起毛工程5回通し)による深起毛を行った後、最終仕上げセットを行い図7のモデル図に示す目付230g/m2の編地を得た。この編地裏面(肌面)における平均起毛長さは3.7mm、保水率は38%であり、かつ編地の伸長率はタテ方向115%、ヨコ方向84%であった。
実施例1と同様に、この編地を用いて水着を作製し、着用評価を行ったところ、表1に併せて示す評価結果の通り、肌面の肌触り感は良いものの、水着が重く動き難く、かつ、ベトツキ感と冷感性が劣り、着用感に劣るもので有った。
Figure 0004020063
本発明に好ましく用いられるフィラメント糸条単繊維の断面形状の一例をモデル的に示す概略図。 単繊維フィラメント自身では毛細管現象作用を有していない断面形状の一例をモデル的に示す概略図。 本発明に好ましく用いられるフィラメント糸条の断面形状の一例をモデル的に示す概略図。 本発明に好ましく用いられるフィラメント糸条の断面形状の一例をモデル的に示す概略図。 実施例1と2、および比較例1と2と3の編地の編方図。 実施例3の編地の編方図。 実施例1と2、および比較例2と3の編地の断面構造モデル図。 実施例3の編地の断面構造モデル図。 比較例1の編地の断面構造モデル図。
符号の説明
A1〜An:トリコット機編針の列
(F):フロント筬
(B):バック筬
F1〜F8:編機の給糸口NO
D1〜D5:ダイヤル側編針
C1〜C6:シリンダー側編針
イ1〜イ5:編地構成糸条
ロ1〜ロ5:編地構成糸条
E:編地構成表面
G:編地構成裏面
H:起毛繊維

Claims (5)

  1. 裏面層が合成繊維マルチフィラメント糸条を主体とする編地であり、裏面層が起毛加工され、濡れ時における裏面層の保水率が30%以下、かつ、伸長率がタテ、ヨコ方向とも70〜140%であることを特徴とする水着用編地。
  2. 表面層と裏面層とが接結糸条で接結されており、かつ表面層が単繊維繊度0.5〜3.0デシテックスの範囲である合成繊維マルチフィラメントの糸条で構成されるとともに、裏面層は前記表面層を構成する糸条の単繊維繊度の1.5倍以上で5.5倍未満の単繊維繊度の糸条で構成されることを特徴とする請求項1に記載の水着用編地。
  3. 表面層が、繊維表面の繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つ単繊維フィラメントを本数混率で少なくとも30%以上含む合成繊維マルチフィラメント糸条から構成されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の水着用編地。
  4. 該合成繊維マルチフィラメント糸条が、ポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維およびポリプロピレン系合成繊維のうちの少なくとも一つを構成要素として含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水着用編地。
  5. 請求項1〜4のいずかに記載の水着用編地からなることを特徴とする水着。
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