JP2016023372A - 水着用織編物および水着 - Google Patents
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Abstract
【課題】織編物表面に撥水性の微毛(毛羽)を形成させることにより、浮上効果を有し水抵抗性を低減可能な、競泳に好適な水着用織編物とそれからなる水着を提供する。
【解決手段】水着用織編物Aは、合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とから構成される織編物であって、その織編物の一面側に起毛加工による毛羽Kが形成されており、かつ、その毛羽が形成されている一面側および他面側の両面に撥水加工が施されてなる水着用織編物である。また、この水着用織編物を少なくとも一部に使用してなる水着であって、その水着用織編物の起毛加工が施され毛羽が形成されている一面側が水着の表側を構成している水着である。
【選択図】図1
【解決手段】水着用織編物Aは、合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とから構成される織編物であって、その織編物の一面側に起毛加工による毛羽Kが形成されており、かつ、その毛羽が形成されている一面側および他面側の両面に撥水加工が施されてなる水着用織編物である。また、この水着用織編物を少なくとも一部に使用してなる水着であって、その水着用織編物の起毛加工が施され毛羽が形成されている一面側が水着の表側を構成している水着である。
【選択図】図1
Description
本発明は、合成繊維糸条と弾性繊維糸条からなる伸縮性を有する水着用織編物に関し、更に詳しくは、本発明は、合成繊維糸条と弾性繊維糸条からなる伸縮性と浮上効果を有する水着用織編物およびそれからなる水着に関するものである。
オリンピックなどのように1/100秒を競う競泳の世界においては、水着自体が有する水との間に生じる抵抗(以下、水抵抗ということがある。)が大きな問題となる。例えば、100mを50秒から47秒台で泳ぐ自由形の男性トップスイマーにとっては、身体が受ける水圧は10kg以上にも達する。このような状態において、水着自体が有するより水抵抗の小さい素材を開発することができれば、このような素材を提供することにより、競技者の記録向上につながる。
一方、競泳用水着素材と水着に係わる長い開発の歴史において、泳ぐスピードを競う競泳用水着は、これまで、泳ぐときの動き易さが最重視されることから、伸びのよい編物を用いて身体にフィットされるように縫製されてきた。更に、水着の水抵抗を減少させるために水着用編物素材に用いられる合成繊維マルチフィラメント糸条の総繊度を小さくしたり、あるいはフィラメント数をより多くし、かつその単繊維繊度が小さいものを編成することにより緻密化させ、編物表面の凹凸感を少なくした編物からなる水着が作られてきた。
しかしながら、これらの編物による水着を着用した場合、動き易く、かつ比較的水抵抗の小さいものは得られるものの、編物が細い糸またはフィラメント数がより多く、かつ単繊維繊度が小さいもので作られていることから、水着表面のモモケ、毛羽立ち、あるいは破れなどの損傷が起こり易く、使用期間が短くなる傾向にある。また、フィラメント数がより多く、かつその単繊維繊度が小さいために、発色性が低下するなど高級感に劣るという課題もある。
また、繊維表面に高分子量の直鎖状有機ポリマーの水溶液を塗布してなる水着であって、トムズ効果の応用によって水抵抗を低減させることができる、特に競泳用として好適な水着が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、水抵抗は少ないものの、直鎖状有機ポリマー水溶液が水着表面に塗布してなるものであるため、そのポリマーが水中で溶け出し、プールを汚すと同時に性能の耐久性に劣るという基本的な課題を有している。
また、水抵抗を低減させるために、編地の片面に熱と圧力によるカレンダー加工を施し、編地の片面を平滑化させた水着も提案されているが、その性能はまだ満足できるものではない。
更に、泳ぐときの動き易さを損なわずに水抵抗を低減させるために、編物表面に平滑化加工が施され、かつ撥水部分と非撥水部分を設けると共に、伸長率を規定した編物(特許文献2参照。)や競泳水着(特許文献3参照。)が提案されているが、これもまだ十分に満足できるものではない。
一方、身体の冷えに伴う不快感を軽減する試みとして、ポリウレタン系弾性繊維を含んだ編物または織物の全面に撥水加工を施した編物が提案されている(特許文献4参照。)。これは、プールに含まれる塩素によってポリウレタン系弾性繊維が劣化することがなく、かつ、水着自体が水をあまり吸収しないために着用時に冷えに伴う不快感を軽減する効果を有するものであり、水と水着との水抵抗をより低減化させるという提案は含まれていない。
近年においては、編物の表面に撥水加工を施すと共に、体長方向に平行な微細な溝を複数形成した溝部を有することにより、泳ぐときに発生する乱流を制御する整流効果を目的とする競泳水着が提案されている(特許文献5参照。)。
さらに、織物素材からなる水着の場合、その胴部、胸部および大腿部等にポリウレタンシート材料からなるパネルを貼合わせることにより水と水着との水抵抗を低減させると共に、身体を締め付けることにより身体の凹凸形状を抑えて形状抵抗を低減させる効果を目的とする競泳用水着が提案されている(特許文献6参照。)。
しかしながら、これらの水着も、着脱し難いことや、生産に時間がかかること等の課題があり、まだ十分に満足できるものではない。
しかしながら、これらの水着も、着脱し難いことや、生産に時間がかかること等の課題があり、まだ十分に満足できるものではない。
また、編物素材では達成することのできない低目付でかつ高伸度のストレッチ織物を水着に使用する提案もなされているが(特許文献7参照。)、この提案には、水と水着との水抵抗をより低減化させる提案は含まれていない。
一方、古くから水着とは異なる分野の高速鉄道車両、航空機、家電製品および粘着テープ等の工業製品分野においては、自然界に生息する動植物や昆虫等の機能や仕組みを参考とする生態模倣化研究とそれの具体的な製品化技術開発が進められている。
例えば、前述の特許文献4では、鮫の肌をヒントに競泳水着へ応用し、泳ぐときに発生する乱流を制御する整流効果により、水と水着との水抵抗を低減させることが提言されている。
例えば、前述の特許文献4では、鮫の肌をヒントに競泳水着へ応用し、泳ぐときに発生する乱流を制御する整流効果により、水と水着との水抵抗を低減させることが提言されている。
これに対し、本発明者らは、アメンボの生態に注目してきた。アメンボの生態研究については、過去古くから、また、多くの研究がなされている。
アメンボが、なぜ水面上に浮くことができるのかとの疑問に対する見解は、次のとおりである。アメンボの水面に接する肢先は、撥水性の微毛で覆われている。このことから水面に接する肢が水の表面張力を利用するために細く、かつ撥水性の微毛によって水面との間に多くの微細空気層が形成されるために水面上に浮くことができるのである。
アメンボが、なぜ水面上に浮くことができるのかとの疑問に対する見解は、次のとおりである。アメンボの水面に接する肢先は、撥水性の微毛で覆われている。このことから水面に接する肢が水の表面張力を利用するために細く、かつ撥水性の微毛によって水面との間に多くの微細空気層が形成されるために水面上に浮くことができるのである。
しかしながら、このような撥水性の微毛による浮上効果から、水との摩擦抵抗の低減化技術についての技術的思想を水着に応用した事例は未だ無い。
そこで本発明の目的は、前述のような従来の発明からなる水着用編物または織物からなる水着による欠点を解消し、水着用素材(織物または編物)に必要とされる伸長率、目付、厚さ、動き易さ、使用耐久性、機械強度、および審美性等を満足させると同時に、競泳水着として泳いだとき、織編物表面の構造設計からくる撥水性の微毛(毛羽)による浮上効果から、従来以上に水抵抗性を低減可能な、特に競泳に好適な水着用織編物とそれからなる水着を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明の水着用織編物は、合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とから構成される織編物であって、前記織編物の一面側に起毛加工による毛羽が形成されており、かつ、前記毛羽が形成されている一面側および他面側の両面に撥水加工が施されてなる水着用織編物である。
本発明の水着用織編物の好ましい態様によれば、前記の起毛加工で形成された毛羽の平均長さは0.20〜1.50mmである。
本発明の水着用織編物の好ましい態様によれば、前記の合成繊維マルチフィラメント糸条は、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維およびポリプロピレン系繊維の内の少なくとも一種から選択された繊維からなる糸条である。
本発明の水着用織編物の好ましい態様によれば、本発明の水着用織物は、前記の弾性繊維糸条を芯糸とし、前記の合成繊維マルチフィラメント糸条を鞘糸とする複合糸を、タテ糸およびヨコ糸に用いてなる水着用織物である。
本発明の水着用織編物の好ましい態様によれば、本発明の水着用編物は、前記の弾性繊維糸条と前記の合成繊維マルチフィラメント糸条とが交編されてなる水着用編物である。
また、本発明においては、前記の水着用織編物から水着を縫製し作製することができる。本発明の水着の好ましい態様によれば、本発明の水着は、前記のいずれかに記載の水着用織編物を少なくとも一部に使用してなる水着であって、その水着用織編物の起毛加工による毛羽が形成されている一面側が水着の表側を構成している水着である。
本発明によれば、水着用織編物に必要とされる伸長率、目付、厚さ、動き易さ、使用耐久性、機械強度、および審美性等を保持したまま、競泳水着として泳いだとき、織編物表面の構造設計を基に、撥水性の微毛(毛羽)を形成させることにより浮上効果を有する競泳水着用織編物とそれからなる水着が得られる。
本発明の水着用織編物は、合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とから構成される織編物であって、前記織編物の一面側に起毛加工による毛羽が形成されており、かつ、その毛羽が形成されている一面側および他面側の両面に撥水加工が施されてなる水着用織編物である。
次に、本発明の水着用織編物について具体的に説明する。
図1は、本発明の水着用織編物の織物の一面側へ起毛加工による毛羽が形成されている形状の断面の一態様を示す図面代用写真である。図1において、本発明の水着用織編物Aは、その一面側に起毛加工による多くの毛羽Kが形成されていると共に、その水着用織編物Aの毛羽Kが形成されている一面側およびその反対側の他面側とも撥水加工が施されてなるものである。
水着用織編物Aが水着に縫製され、競技者に着用される場合は、水着用織編物Aの毛羽Kが形成された一面側が水着の表側となり、かつ、水と接する面となる。
競技者がこの水着を着用し水中に入った場合、水着表面の多くの毛羽Kを含めた水着用織編物全体に撥水性が有るため、毛羽と毛羽の間隙に微細な多くの空気層が形成されることから、競技者は浮上効果が得られる。この浮上効果は、競技者の身体が水中における水との接触面積を少なくする効果につながり、水との摩擦抵抗の低減化となるものである。
本発明において、水着用素材は織物または編物からなるものである。また、この織物と編物は、合成繊維マルチフィラメント糸条と水着としてのストレッチ性を得るための弾性繊維糸条とから構成されるものである。
合成繊維マルチフィラメント糸条としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、およびポリプロピレン系繊維の内の少なくとも一種から選択された繊維からなる糸条を使用することが好ましい。即ち、合成繊維マルチフィラメント糸条を構成する合成繊維としては、JISL0204−3(2013)に該当する弾性繊維(ゴム状弾性をもっている繊維)を除く、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどからなる芳香族ポリエステル系繊維、芳香族ポリエステルに第三成分を共重合した芳香族ポリエステル系繊維、L乳酸を主成分とするもので代表される脂肪族ポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66、ナイロン56などのポリアミド系繊維、およびポリプロピレン系繊維などの合成繊維などが挙げられる。
本発明では、これらの合成繊維を単独または2種以上の混合物として使用することができるが、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維を主成分にした繊維が好ましく用いられる。
ポリエステル系繊維を採用する場合、通常のポリエステル系繊維は一般に分散染料を用いて染められるが、分散染料はポリウレタン系繊維を汚染してしまうため、最終製品において色移りなど堅牢度不良を発生させることがある。そのため、ポリエステル系繊維を採用する場合、カチオン染料で染色することができるカチオン可染型ポリエステル系繊維を用いることがより好ましい態様である。
また、本発明で用いられる合成繊維マルチフィラメント糸条としては、通常のフラットヤーン以外に、仮撚り加工糸、タスラン加工糸、および混繊糸等のフィラメントヤーンを用いることができる。
本発明では、合成繊維の糸形態としてはモノフィラメントではなく、マルチフィラメント糸条を用いることが重要である。モノフィラメントの場合は肌触りが悪く、着用感に劣るものとなるからである。
合成繊維マルチフィラメント糸条の総繊度は、22〜110デシテックスが好ましく、より好ましくは22〜55デシテックスである。この総繊度が22デシテックス未満では破裂強力や引き裂き強力に劣ることになり易い。また、総繊度が110デシテックスを超えると、競泳用水着としては重くなりすぎるという課題がある。
合成繊維マルチフィラメント糸条のフィラメント数は、5〜100フィラメントが好ましく、より好ましくは24〜72フィラメントである。このフィラメント数が、5フィラメント未満では風合いが粗硬気味となり、フィラメント数が100フィラメントを超えるとスナッグやピリング等の物性が劣ることになる。
合成繊維マルチフィラメント糸条を構成する単繊維の繊度は、0.5〜5.5デシテックスが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0デシテックスである。単繊維繊度が0.5デシテックス未満ではスナッグやピリング等の物性が劣ることになり、単繊維繊度が5.5デシテックスを超えると風合いが粗硬気味となる。
単繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、Y型断面、H型断面、T型断面、W型断面、X型断面、+型断面、ダルマ型断面、および八葉型断面等、特に限定されることなく用いることができる。
一方、弾性繊維糸条としては、ゴム状弾性を持っている繊維からなるものであればいかなるものでもよく、具体的にJISL0204−3(2013)に該当する繊維からなるものが用いられる。このような繊維には、例えば、外力に対し、原長の5〜7倍に伸び、また、外力を取り除くことにより、原長に近い長さに復元する特性を持つ繊維が含まれる。具体的には、はポリウレタン系弾性繊維や、上記のような弾性を発現するポリエステル系弾性繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、およびポリスチレン系弾性繊維等が採用できる。特に、ストレッチ性と復元性の良さから東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標)や旭化成(株)製“ロイカ”(登録商標)に代表されるポリウレタン系弾性繊維を用いることが好ましい態様である。
弾性繊維の太さとしては、例えば22デシテックスから88デシテックスまでのものが好ましく用いられ、特に、33デシテックスから55デシテックスまでのものがより好ましく用いられる。
本発明における水着用織編物が織物の場合は、前記した合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とは、これらを組み合わせて複合糸としてタテ糸およびヨコ糸に使用することが好ましい態様である。
複合糸としては、弾性繊維糸条を芯糸に、合成繊維マルチフィラメント糸条を鞘糸にして、芯糸に鞘糸を一方向にカバリングするシングルカバリング糸や、芯糸に鞘糸を右方向と左方向の2重にカバーするダブルカバリング糸が挙げられる。また、他の複合糸としては、弾性繊維糸条を芯側に、合成繊維マルチフィラメント糸条を鞘側により多く配置した空気混繊複合糸が挙げられる。更に他の複合糸の形態として、合撚糸形態の芯鞘複合糸とすることができる。これは、芯糸になる弾性繊維糸条にドラフトをかけ、これと鞘糸になる合成繊維マルチフィラメント糸条とを引き揃えて合撚して芯鞘複合糸とする。
このような複合糸を得るにあたっては、一般的なカバリング機、イタリ撚糸機、ダウンツイスタ、アップツイスタ、およびダブルツイスタ等が使用される。また、前記のカバリング糸、空気混繊複合糸および合撚糸とも、用いられる合成繊維マルチフィラメント糸条としては、フラットヤーンあるいは捲縮を有する仮撚加工糸のいずれも用いることができる。
複合糸としては、前述のように芯鞘複合糸形態の複合糸が好ましく用いられる。しかしながら、弾性繊維糸条は、合成繊維マルチフィラメント糸条のように所望する色合いに染色したり、着色することが難しく、また、弾性繊維糸条と合成繊維糸条とを同色に合わせることが困難である。そのため、織物の品位低下を避けるために、弾性繊維糸条がより芯糸側に、合成繊維マルチフィラメント糸条がより鞘側に最適配置されたカバリング糸が複合糸として好ましく採用される。更に、織物の目付の増加を避けるため、カバリング糸の繊度を細くできるシングルカバリング糸を採用することがより好ましい態様である。
シングルカバリング糸などのような上記の複合糸を、織物のタテ糸およびヨコ糸に用いることにより、タテ方向とヨコ方向のストレッチ性に特に優れた水着用織物を得ることができる。
また、競泳など激しい運動を伴う水泳の際に着用される水着の場合、スナッグやピリングが問題となりやすい。そのため、シングルカバリング糸を採用する場合には、カバリング時の撚係数を高く設定することが好ましい。その撚係数は、6500から12000の範囲が好ましく、スナッグレベルを最良とするためには7500から11000の範囲に設定することがより好ましい態様である。
上記の撚係数は、次式で算出される。
・撚係数K=(SS/D+SC)1/2×R
・SS:スパンデックス繊維の繊度(デシテックス)
・SC:鞘糸の繊度(デシテックス)
・D :スパンデックス繊維のドラフト率(倍)
・R :カバリング数(T/M)。
・撚係数K=(SS/D+SC)1/2×R
・SS:スパンデックス繊維の繊度(デシテックス)
・SC:鞘糸の繊度(デシテックス)
・D :スパンデックス繊維のドラフト率(倍)
・R :カバリング数(T/M)。
また、カバリングの際、弾性繊維糸条には通常適度なドラフトが掛けられるが、高ストレッチ織物とするためにそのドラフト率は3倍以上4倍以下が好ましく、3.5倍以上3.8倍以下にすることがより好ましい態様である。ドラフト率が3倍未満では高ストレッチ織物にすることが難しく、逆にドラフト率が4倍を超えると弾性繊維糸条の糸切れ等により工程通過性が悪化する傾向となる。
また、鞘側となる合成繊維マルチフィラメント糸条と芯側となる弾性繊維糸条の混率は、織物生機または最終の仕上がり織物で合成繊維マルチフィラメント糸条が70〜85質量%、弾性繊維が15〜30質量%が好ましい態様である。弾性繊維糸条が15質量%未満の場合は競泳水着用素材としてストレッチ不足となり、30質量%を超えるとストレッチパワーが強すぎることから着脱し難く、またコストアップの要因となる。
水着用織物の製織は、通常の一重組織または二重組織からなる。一重組織としては、平織、綾織、朱子織およびそれらの変化組織が挙げられる。また、二重組織としては、タテ二重組織、ヨコ二重組織およびタテ・ヨコ二重組織等があり、これらの織物もウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機およびパイル織機などの専用織機を用いて製織することができる。
また、織物表面の形状としては、平織組織に代表されるフラット形状や綾織組織に代表される凹凸形状等が挙げられる。また、織物裏面の形状も同様に、フラット形状や凹凸形状等のものが挙げられる。
本発明における水着用織編物が編物の場合は、前記した合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とが交編されて形成されることが好ましい態様である。
この編物形態としては、丸編地であるシングル丸編地、ダブル丸編地、経編地であるトリコット地およびラッセル地のいずれも用いることができるが、競泳水着用編地として動き易さに影響するストレッチ性と生地の薄さ等の観点から、トリコット地がより好ましく用いられる。とりわけ、トリコット地の2枚筬使いのハーフ組織、逆ハーフ組織、アトラス組織、およびサテン組織や3枚筬使いの挿入組織などの多層構造組織を用いることが好ましい。
また、交編する合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条の混率は、編物生機または最終の仕上がり編物で合成繊維マルチフィラメント糸条が70〜85質量%、弾性繊維糸条が15〜30質量%が好ましい態様である。弾性繊維糸条が15質量%未満の場合は競泳水着用素材としてストレッチ不足となり、30質量%を超えるとストレッチパワーが強すぎることから着脱し難く、またコストアップの要因となる。
本発明の水着用織編物は、その織編物の一面側に起毛加工が施されていることが必要である。起毛加工が施され、かつ、後述するように織編物の両面に撥水加工が施されることにより、毛羽Kを含めた織編物の全面への撥水面積が増えることから、毛羽と毛羽の間隙に微細な多くの空気層が形成され、競技者は浮上効果が得られるのである。
この起毛加工方法は、従来から行われている起毛機と起毛加工方法を用いることができる。例えば、針布を鉄製のローラにらせん状に巻き付けた針金ロール(針布ロール)を持つ針金起毛機による針布起毛法、上記の金属針布の代わりにあざみを取り付けたあざみ起毛機によるあざみ起毛法、あるいは、金属針布の代わりにサウンドペーパーを鉄製のローラに巻き付けたエメリー起毛機によるエメリー起毛法(別名、バフ起毛法)、または、粗硬なポリエステル系合成繊維フィラメント糸条やセラミックス製フィラメント糸条を緻密に植え込んだ布帛を鉄製ロールに巻き付けブラッシング状ロールにしたブラッシングロール起毛機によるブラッシングロール起毛法などが用いられる。
本発明では、起毛面の品位の得られ易さと生産管理のし易さから、エメリー起毛法とブラッシングロール起毛法を適用することが望ましい。更には、通常の織編物を乾燥させて起毛加工をする乾式起毛加工以外に、織編物を濡らした状態で起毛加工をする湿式起毛加工を採用することもできる。
起毛の加工面としては、例えば、織編物の片面が綾織組織のように凹凸形状の場合は、この凹凸形状面に起毛加工を施すことにより起毛加工性が良好となる。
これらの起毛方法や起毛回数は、起毛面の素材種、狙いとする起毛程度、および品位などにより適宜使い分けすることができる。
これらの起毛方法や起毛回数は、起毛面の素材種、狙いとする起毛程度、および品位などにより適宜使い分けすることができる。
起毛形状としては、カット起毛形状、ループ起毛形状、カット起毛形状とループ起毛形状が混在した形状のものが挙げられる。
また、起毛加工後、起毛面の毛羽高さを均一に揃えるために、シャリング加工機を通すことも好ましい態様である。
この起毛加工は、織編物の生機段階で起毛加工してから染色加工工程を通す先起毛加工法、織編物のリラックスと精練後に起毛加工を行った後、染色加工工程を通す中間起毛加工法、および、染色加工後に起毛加工を行う後起毛加工法など、いずれの加工方法も採用することができる。
また、起毛の程度としては、深起毛よりも軽起毛あるいは微起毛程度にすることが好ましい。これは、軽起毛あるいは微起毛にすることにより、ピリング(毛玉)になり難く、織編物表面の品位が保たれること、および、競技者が泳ぐとき、長い毛羽による水との抵抗の増加を抑えることができるからである。
起毛加工の織編物への適用は、古くから保温性を得るためにフリースを中心とするアウターウエアや肌着等に多く使用されてきたが、水着分野にはこれまで使用されてこなかった。この理由として、織編物に起毛加工を施すことにより水着が水を多く含み重たくなること、また、シャープ感が求められる水着としての審美性が得られないことに起因する。
本発明者らは、前述のように水着用織編物の表面側に起毛加工をしても水着表面側の審美性を損なわないようにすること、かつ、起毛加工条件を種々検討し、繊維の起毛長さを短くすることと撥水加工の組み合わせで、水着を重くすることなく新規な競泳水着用織編物が得られることを見い出したものである。
本発明の水着用織編物は、その水着用織編物の起毛加工が施された一面側および起毛加工が施されていない他面側の両面に撥水加工が施されていることが必要である。
一面側に撥水加工を施すということは、起毛された合成繊維マルチフィラメント糸条の細い単繊維を含めた織編物の一面側全面が撥水性を有することになる。
また、織編物の一面側のみならず他面側にも撥水加工が施されることにより、水着として着用して泳いだとき、他面側も疎水状態となり、水を含みすぎて重くなることもない。
撥水加工に使用される撥水剤としては、フッ素系撥水剤やシリコン系撥水剤など通常の撥水剤を用いることができるが、耐久性の面からフッ素系撥水剤が好ましく使用できる。
近年、炭素数8以上のフッ素系撥水剤が人体や環境に与える影響や、その安全性が問題視されるようになってきた。このため、より安全な炭素数6以下のフッ素系撥水剤の使用が求められている。炭素数6以下の市販品のフッ素系撥水剤として、具体的にはクラリアント社製の“NUVA.N2114”(商品名)、旭硝子(株)製“アサヒガードE−081” (商品名)、“アサヒガードE−082” (商品名)等が挙げられる。
また、耐久性向上の面から、撥水剤に、アミノプラスト樹脂、多官能ブロックイソシアネート基含有ウレタン樹脂、エチレンカーボネート等を併用添加してもよい。
撥水加工の設備や加工条件も、通常に行われているポリエステルツーウエイストレッチ織編物やナイロンツーウエイストレッチ織編物の加工条件に準じて行うことができる。
例えば、撥水加工を、染色仕上げ加工工程の中の1工程として組み込ことができる。具体的なプロセス例としては、リラックスと精練、中間セット、染色、撥水加工、および仕上げセット加工である。更に、撥水加工のみについて詳細に述べるならば、染色後の織編物を撥水剤溶液中に浸漬させるパッディング加工後、ドライとキュア加工を行うことができる。
撥水剤の処方例としては、例えば、撥水剤を40〜70g/L、架橋剤を2〜8g/Lに調整した撥水加工処理液に織編物を浸漬させて撥水加工処理液を含浸させた後、マングルでピックアップ率40〜70%で絞り、その後、熱処理工程を通す処方が挙げられる。
撥水加工以外に、染色段階での付帯加工として、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、防カビ加工、および紫外線吸収加工、更に、プリント加工などを、要求特性に応じて適宜選択し併用加工をすることも可能である。
本発明の水着用織編物においては、起毛加工されて形成された毛羽の平均長さ(起毛長)が0.20〜1.50mmであることが好ましい。
この毛羽の平均長さは、フリースを中心とする一般的なアウターウエアや肌着等に比べ非常に短いものであり、起毛の程度としては、軽起毛あるいは微起毛程度に相当する。毛羽の平均長さは、より好ましくは0.20〜1.00mmであり、さらに好ましくは0.30〜0.70mmである。
毛羽の平均長さが0.20mm未満の場合には、水着として着用し泳いだとき、十分な浮上効果を得ることができない。また、毛羽の平均長さが1.50mmを超える場合は、浮上効果は得られるものの、ピリング(毛玉)が発生し易く、織編物表面の品位劣化の原因となり易く、また、毛羽の平均長さ(起毛長)が長いことから、浮上効果より逆に水との抵抗が増加する場合がある。
このように、水着用織編物に軽起毛あるいは微起毛を形成することにより、ピリング(毛玉)に成り難く、生地表面の品位が保たれること、および、競技者が泳ぐとき、浮上効果により水との抵抗の増加を抑えることができる。
次に、この毛羽の平均長さCの測定法を、図1〜5および図9に基づいて述べる。図1は、本発明の水着用織編物の織物の一面側へ起毛加工による毛羽が形成されている形状の断面の一態様を示す図面代用写真であり、ここには、本発明の水着用織編物Aの織物の一面側に起毛された毛羽Kの形状が示されている。
この図1の拡大写真は、図9に示されるように、水着用織編物Aの起毛された一面側を表面側として折り曲げ、その先端の折り曲げ部分の毛羽Kを圧縮することなく、できる限り自然な状態のもとマイクロスコープで拡大撮影した写真である。
この拡大写真で見られるように、起毛された毛羽Kの形状と長さは不定形で、かつ、不定長なものである。したがって、この毛羽Kの長さの測定方法を下記のようにした。
図2は、本発明の水着用織編物の毛羽形状の一態様を示す模式断面図であり、具体的に、図1の毛羽Kの形状を示す拡大写真を基にした表面形状を示す模式図であるが、この図2で示されるように、毛羽形状と長さは不定形で不定長な毛羽Kが混在されたものとなっている。
毛羽Kの長さを測定するベースは、図9のように折り曲げた先端の折り曲げ部の拡大写真(図1)から、織編物表面の組織凹凸部の凸部上端から毛羽Kの長さである毛羽の平均長さCを測定する。したがって、凹凸部の凹部から起毛された毛羽Kは、その凹部の深さ部分の長さは、毛羽の平均長さCを測定するベースの中には含まれない。
また、毛羽Kの長さの上部先端位置は、図1の毛羽Kの形状を示す拡大写真から視覚的に観察し、毛羽Kの長さの上部先端位置が、ほぼ揃った位置とした。このことから、図1〜5に示した破線間隔が毛羽の平均長さCとなる。
図3〜5も、本発明の水着用織編物の他の毛羽形状の一態様を示す模式断面図である。図3における毛羽の特に長いもの(毛羽の形状種K1)や図4における毛羽が長くて折れ曲がったもの(毛羽の形状種K2)は、毛羽の平均長さCとして測定しないものとした。また、図5におけるパイル状のもの(毛羽の形状種K3)は、毛羽として、かつ、毛羽の平均長さCの測定に含むものとした。
毛羽の平均長さCの測定箇所は、織物あるいは編物のタテ方向の測定位置を変えた任意の位置5箇所とヨコ方向の測定位置を変えた任意の位置5箇所の計10ヶ所を測定して平均値を取り、更に、マイクロスコープの拡大倍率で割ったものを毛羽の平均長さCとして、単位はミリメートルで表した。
本発明の水着用織編物は、タテ方向とヨコ方向の平均伸長率がいずれも55%以上であり、平均伸長回復率がいずれも75%以上であることが好ましい。伸長率とは、水着用織編物の伸びの程度を表すものである。この数値が大きい程、水着にして着用したとき、身体の動きに追従し易く水泳のような激しい動きにも水着が追従し、動き易く疲れ難い。また、伸長回復率とは、身体の動きで伸長した水着が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものである。この数値が大きい程、水着にして着用したとき、よりフィット性に富み動き易いことを示す。
伸長率と伸長回復率は、水着用織編物のタテ方向とヨコ方向の各々の数値を平均して考えることが好ましい。これは、水着にして実際着用して泳ぐ場合、水着用織編物はタテ方向あるいはヨコ方向の一方向のみ伸長されるわけではなく、人間の身体の丸みに応じて三次元的に水着用織編物が伸長されるためである。この三次元的な伸長特性が、水着用織編物のタテ方向とヨコ方向の平均した伸長率である平均伸長率および平均伸長回復率と相関し、よく一致するものである。
本発明の水着用織編物は、上記したように、タテ方向とヨコ方向の平均伸長率がいずれも55%以上であることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。平均伸長率が55%未満では、水着を着用して激しい水泳を行った場合、水着と皮膚との間のゆとり量を考慮しても、身体の動きに水着が追従し難く、また、疲れ易いものとなる。一方、平均伸長率が130%を超えると、泳ぐことにより水着に緩みが生じ泳ぎづらくなることになる。
泳法による動きの激しさに追従でき、かつ、水着が身体に常にフィットした状態を維持するための平均伸長率の上限値は110%程度である。
また、本発明の水着用織編物において、タテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率は、いずれも75%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。平均伸長回復率が75%未満では、水泳により伸長された水着が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから身体の動きに追従しにくくなる。また、水着としての見映えにも劣ることになる。
泳法による動きの激しさに追従でき、かつ、水着が身体に常にフィットした状態を維持するための平均伸長回復率の上限値は、織編物の歪みの発生を考慮すると95%程度である。
本発明の水着用織編物の目付は、230g/m2以下であることが好ましい。目付が230g/m2を超えると競泳水着用の織編物としては重くなりすぎ、泳いでいるとき、重く感じたり、動きが妨げられることから身体の疲れを増し、かえって不快感を生じるなど着用性に劣るものとなり易い。目付は特に、90〜210g/m2 にすることが好ましい。目付が90g/m2未満の場合は、動き易いものの生地が薄すぎて裏地などの少ない競泳水着用の織編物としては透けなどの課題を生じやすく、審美性の観点からも課題が残る。また、破裂強力や引き裂き強力が低いなどの生地物性面で水着用として不適な織編物となり易い。
本発明の水着用織編物の厚さは、0.90mm以下であることが好ましい。厚さが0.90mmを超えると競泳水着用の織編物としては厚くなりすぎ、泳いでいるとき、かさばることを感じたり、動きが妨げられることから身体の疲れを増し、かえって不快感を生じるなど着用性に劣るものとなり易い。厚さは特に、0.25〜0.80mmが好ましく、更に、動き易さの観点から0.35〜0.60mmであることがより好ましい態様である。厚さが0.25mm未満の場合は、先に述べた目付と同様に、動き易いものの生地が薄すぎて裏地などの少ない競泳水着用の織編物としては透けなどの問題を生じやすく、審美性の観点からも課題が残る。また、破裂強力や引き裂き強力が低いなどの生地物性面で水着用として不適な織編物となり易い。
本発明の水着用織編物は、破裂強力が350kPa以上、さらには400kPa以上を有することが好ましい態様である。破裂強力が350kPa未満の場合は、競泳用水着として泳いだとき、その激しい動きから生地の破れが発生する場合がある。
本発明の水着用織編物は、前述の起毛加工により毛羽が形成されている一面側が水着の表側になるようにして、水着に縫製される。このようすることにより、撥水加工が施された生地表面の毛羽と毛羽の間隙に微細な多くの空気層が形成され、競技者は浮上効果が得られるものである。
本発明の水着用織編物は、水着の全部分に使用したり、あるいはある特定部分の一部分に使用するなどいずれも採用することができる。
例えば、女性用競泳水着あるいは男性用競泳水着の前身頃のみに使用することも可能である。また、使用面積としては、水着全面積の50%以上使用することにより泳いだとき、浮上効果を実感することができる。
すなわち、着用者に応じて最適に使用することで、浮上効果により、泳ぎ易い水着で特に競泳用に適した水着が得られる。更に、適宜選択することにより、遊泳用水着、学童用水着、フィットネス用水着、スイミングスクール用水着およびリハビリ用水着などに幅広く使用できる。
次に、本発明の水着用織編物について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明において用いた評価は、それぞれ次の方法により行ったものである。
・ 水着用織編物の目付:
目付は、最終加工上がりの織編物からタテ100cm×ヨコ100cmの評価サンプルを3枚ずつ採取した後、質量を計量し、3枚の平均値(g/m2)で表した。
目付は、最終加工上がりの織編物からタテ100cm×ヨコ100cmの評価サンプルを3枚ずつ採取した後、質量を計量し、3枚の平均値(g/m2)で表した。
・ 水着用織編物の厚さ:
厚さは、JISL1096:2013の第8.4項に記載のA法に準じて行った。即ち、試料の異なる5か所について厚さ測定器を用いて、一定時間及び一定圧力の下で厚さ(mm)を測り、その平均値を算出し、四捨五入して小数点以下2桁で表した。このときの測定時の一定圧力は、0.7kPaとした。
厚さは、JISL1096:2013の第8.4項に記載のA法に準じて行った。即ち、試料の異なる5か所について厚さ測定器を用いて、一定時間及び一定圧力の下で厚さ(mm)を測り、その平均値を算出し、四捨五入して小数点以下2桁で表した。このときの測定時の一定圧力は、0.7kPaとした。
・ 水着用織編物の伸長率:
伸長率は、JISL1096:2013の第8.16.1項に記載の伸び率A法(定速伸長法)に準じて行った。織物はストリップ法の17.6N(1.8kg)荷重時を採用し、編物はグラブ法の17.6N(1.8kg)荷重時を採用した。試料のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
伸長率は、JISL1096:2013の第8.16.1項に記載の伸び率A法(定速伸長法)に準じて行った。織物はストリップ法の17.6N(1.8kg)荷重時を採用し、編物はグラブ法の17.6N(1.8kg)荷重時を採用した。試料のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
・ 水着用織編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率:
平均伸長率は、前記の織物および編物の伸長率のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値から、[タテ方向の試験結果の平均値(%)+ヨコ方向の試験結果の平均値(%)]/2を算出し、織物および編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率(%)を四捨五入し小数点以下1桁で表した。
平均伸長率は、前記の織物および編物の伸長率のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値から、[タテ方向の試験結果の平均値(%)+ヨコ方向の試験結果の平均値(%)]/2を算出し、織物および編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長率(%)を四捨五入し小数点以下1桁で表した。
・ 水着用織編物の伸長回復率:
伸長回復率は、JISL1096:2013の「伸長弾性率(伸長回復率)及び残留ひずみ率」第8.16.2項に記載のA法(繰返し定速定伸長法)に準じて行った。織物はストリップ法の17.6N(1.8kg)荷重時・繰返し5回後を採用し、編物はグラブ法の17.6N(1.8kg)荷重時・繰返し5回後を採用した。試料のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
伸長回復率は、JISL1096:2013の「伸長弾性率(伸長回復率)及び残留ひずみ率」第8.16.2項に記載のA法(繰返し定速定伸長法)に準じて行った。織物はストリップ法の17.6N(1.8kg)荷重時・繰返し5回後を採用し、編物はグラブ法の17.6N(1.8kg)荷重時・繰返し5回後を採用した。試料のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
・ 水着用織編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率:
平均伸長回復率は、前記の織物および編物の伸長回復率のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値から、[タテ方向の試験結果の平均値(%)+ヨコ方向の試験結果の平均値(%)]/2を算出し、織物および編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率(%)を四捨五入し、小数点以下1桁で表した。
平均伸長回復率は、前記の織物および編物の伸長回復率のタテ方向およびヨコ方向の各々3回の試験結果(%)の平均値から、[タテ方向の試験結果の平均値(%)+ヨコ方向の試験結果の平均値(%)]/2を算出し、織物および編物のタテ方向とヨコ方向の平均伸長回復率(%)を四捨五入し、小数点以下1桁で表した。
・ 毛羽の平均長さC:
図9に示されるように、水着用織編物Aの毛羽を有する側の面を表面側として折り曲げ、その折り曲げた先端部分の毛羽Kを圧縮することなく、できる限り自然な状態のもとマイクロスコープ((株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−2000)で30倍に拡大撮影した。毛羽Kの長さの先端位置は、図1の毛羽Kの形状を示す拡大写真から視覚的に観察し、毛羽Kの長さの先端位置が、ほぼ揃った位置とした。
図9に示されるように、水着用織編物Aの毛羽を有する側の面を表面側として折り曲げ、その折り曲げた先端部分の毛羽Kを圧縮することなく、できる限り自然な状態のもとマイクロスコープ((株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−2000)で30倍に拡大撮影した。毛羽Kの長さの先端位置は、図1の毛羽Kの形状を示す拡大写真から視覚的に観察し、毛羽Kの長さの先端位置が、ほぼ揃った位置とした。
測定箇所は、織物あるいは編物のタテ方向の測定位置を変えた任意の位置5箇所とヨコ方向の測定位置を変えた任意の位置5箇所の計10ヶ所を測定して平均値(mm)を取り、更に、マイクロスコープの拡大倍率で割った数値を四捨五入して小数点以下2桁で表したものを毛羽の平均長さCとした。
・ 浮上効果:
図10に示されるような円柱状の水槽Eとフロート具Gを用いて水着用織編物Aの浮上効果を測定した。
図10に示されるような円柱状の水槽Eとフロート具Gを用いて水着用織編物Aの浮上効果を測定した。
すなわち、直径が9.5cmで高さが60cmの円柱状の水槽Eに、高さ50cmの位置まで水を入れた。また、直径が7cmで深さが3.5cmの半球形ステンレス製容器を、フロート具Gとして準備した。次に、評価用サンプルとして、織物または編物から直径16cmの円形のサンプルを3枚作製した。この評価用サンプルの表側面(起毛面)を水と接触する側になるようにフロート具Gの半球面の外側全面を覆うように取り付けた。
この評価用サンプルを取り付けたフロート具Gを図10のように円柱状の水槽Eに入れ、更に、水に浮かべたフロート具Gの浮き姿勢を安定させるために、フロート具Gの中に水を50cc注入した。この状態で3分間放置後のフロート具G底部の位置高さを測り、フロート具の浮上位置Hとした。
この浮上効果は、表面に起毛加工がされていない織編物(通常品)に対し、起毛加工が施された評価用サンプルのフロート具の浮上位置Hが高くなるものほど、浮上効果を有するものである。表面に起毛加工がされていない織編物(通常品)に対し、起毛加工が施された評価用サンプルのフロート具の浮上位置Hの差を浮上効果とした。
織物または編物の異なった位置から評価サンプルを3枚ずつ採取し、各々3回のフロート具の浮上位置Eの結果(mm)の平均値を算出し、四捨五入して小数点以下1桁で表した。
・ 水着用素材(織編物)としての総合評価:
総合評価の基準は、次のとおりである。判定表示で○と△ならば競泳水着として泳いだとき、通常の競泳水着に比べ、身体が軽く感じて泳ぎ易いことから合格とした。
・○:動き易く、かつ、身体が軽く感じる等、非常に泳ぎ易く、競泳水着用素材として適している。
・△:動きが妨げられることもなく、かつ、身体が軽く感じて泳ぐことができ、競泳水着用素材として適している。
・×:動き難い、または、動きが妨げられないものの、身体は軽く感じることがなく、競泳水着用素材として適していない。
総合評価の基準は、次のとおりである。判定表示で○と△ならば競泳水着として泳いだとき、通常の競泳水着に比べ、身体が軽く感じて泳ぎ易いことから合格とした。
・○:動き易く、かつ、身体が軽く感じる等、非常に泳ぎ易く、競泳水着用素材として適している。
・△:動きが妨げられることもなく、かつ、身体が軽く感じて泳ぐことができ、競泳水着用素材として適している。
・×:動き難い、または、動きが妨げられないものの、身体は軽く感じることがなく、競泳水着用素材として適していない。
[実施例1]
鞘糸として、カチオン染料可染型ポリエステルからなるフラットヤーンで総繊度33デシテックス、フィラメント数48フィラメント(東レ(株)製“テトロン”(登録商標))を用い、芯糸として、ポリウレタン系弾性繊維の44デシテックス(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を用い、シングルカバリング糸(芯糸のドラフト率3.5倍、撚係数8100)を作製した。
鞘糸として、カチオン染料可染型ポリエステルからなるフラットヤーンで総繊度33デシテックス、フィラメント数48フィラメント(東レ(株)製“テトロン”(登録商標))を用い、芯糸として、ポリウレタン系弾性繊維の44デシテックス(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を用い、シングルカバリング糸(芯糸のドラフト率3.5倍、撚係数8100)を作製した。
このシングルカバリング糸を用い、エアージェット織機で、図6に示す2/1の綾織組織のタテ糸(織物構成糸Y1)とヨコ糸(織物構成糸Y2)に使用してカチオン染料可染型ポリエステル75質量%でポリウレタン系弾性繊維25質量%の混率からなる織物生機を製織した。
次に、この織物生機の綾織組織による凹凸形状面側をエメリー起毛機により起毛加工を行った。その後、この起毛加工された織物生機を通常のポリエステルツーウエイストレッチ織物の染色加工に準じて95℃の温度の浴中でのリラックスと精練投入、125℃の温度の浴中でカチオン染料で染色を行い、更に撥水剤溶液中に浸漬させるパッディングとドライおよびキュア加工法による撥水加工を行い、水着用織物として仕上げた。
織物への撥水加工処方は、フッ素系撥水剤として“アサヒガードE−802”(旭硝子(株)製)60g/Lと架橋剤として“スミテックスレジンM−3”(住友化学工業(株)製)5g/L、“スミテックスアクセラレーターACX”(住友化学工業(株)製)2g/Lに調整した撥水加工処理液に織物を含浸させた後、ピックアップ率60%で絞り、ピンテンターにおいて120℃で60秒間乾燥し、更に170℃で45秒間の熱処理を行った。
この水着用織物の毛羽の平均長さは0.30mmであり、目付が166g/m2、厚さが0.40mm、平均伸長率が69.5%、平均伸長回復率が82.1%であった。また、この水着用織物の浮上効果を測定した結果、比較例1の起毛加工無しの織物に比べ、2.3mmと非常に優れたものであつた。
更に、この水着用織物の毛羽を有する一面側を表側にした100%使いの競泳用水着を試作し、19〜22歳の大学生である男性5名と女性5名で平泳ぎによる試着評価を行った結果、動き易く、かつ、身体が軽く感じる等、非常に泳ぎ易く競泳水着用素材として適しているものであることが確認された。これらの評価結果を、表1に示す。
[実施例2]
ナイロンからなるフラットヤーンで総繊度44デシテックス、フィラメント数24フィラメント(東レ(株)製)とポリウレタン系弾性繊維の44デシテックス(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を使用し、36ゲージのシングルトリコット機で、図8に示す2枚筬によって、フロント筬Fの糸(編物構成糸Y3)にナイロン糸を用い、バック筬Bの糸(編物構成糸Y4)にポリウレタン系弾性繊維を配して、ハーフ組織で編成し編物生機を得た。
[実施例2]
ナイロンからなるフラットヤーンで総繊度44デシテックス、フィラメント数24フィラメント(東レ(株)製)とポリウレタン系弾性繊維の44デシテックス(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を使用し、36ゲージのシングルトリコット機で、図8に示す2枚筬によって、フロント筬Fの糸(編物構成糸Y3)にナイロン糸を用い、バック筬Bの糸(編物構成糸Y4)にポリウレタン系弾性繊維を配して、ハーフ組織で編成し編物生機を得た。
このハーフ組織のループ形成は、図8における編針の列N1〜Nnにおいて、フロント筬Fでの編針の列の針間を0、1、2、3とし、バック筬Bでの編針の列の針間を0、1、2とすると、フロント筬Fの糸(編物構成糸Y3)のループ形成は1−0/2−3となり、バック筬Bの糸(編物構成糸Y4)のループ形成は1−2/1−0となる。
編物生機の各糸種の混率は、ナイロン糸80質量%、ポリウレタン系弾性繊維20質量%にした。
次に、このようにして得られた編物生機のシンカーループ面側をブラッシングロール起毛機により起毛加工を行った。
その後、この起毛加工された生機編物を、通常のナイロンツーウエイストレッチ編物の染色加工に準じて85℃の温度の浴中でのリラックスと精練投入、100℃の温度の浴中での酸性染料で染色を行い、更に撥水剤溶液中に浸漬させるパッディングとドライおよびキュア加工による撥水加工を行い、水着用編物として仕上げた。編物への撥水加工処方は、実施例1と同じ方法で処理をした。
この水着用編物の毛羽の平均長さは0.70mmであり、目付が200g/m2、厚さが0.53mm、平均伸長率が79.4%、平均伸長回復率が86.1%であった。また、この水着用編物の浮上効果を測定した結果、比較例4の起毛加工無しの編物に比べ、2.5mmと非常に優れたものであつた。
更に、この水着用編物の毛羽を有する一面側を表側にした100%使いの競泳用水着を試作し、実施例1と同一被験者である19〜22歳の大学生である男性5名と女性5名で平泳ぎによる試着評価を行った結果、動き易く、かつ、身体が軽く感じる等、非常に泳ぎ易く競泳水着用素材として適しているものであることが確認された。これらの評価結果を、表1に併せて示す。
[実施例3]
鞘糸として、ナイロンからなるフラットヤーンで総繊度56デシテックス、フィラメント数40フィラメント(東レ(株)製)を用い、芯糸として、ポリウレタン系弾性繊維の55デシテックス(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を用い、シングルカバリング糸(芯糸のドラフト率3.6倍、撚係数8000)を作製した。
[実施例3]
鞘糸として、ナイロンからなるフラットヤーンで総繊度56デシテックス、フィラメント数40フィラメント(東レ(株)製)を用い、芯糸として、ポリウレタン系弾性繊維の55デシテックス(東レ・オペロンテックス(株)製“ライクラ”(登録商標))を用い、シングルカバリング糸(芯糸のドラフト率3.6倍、撚係数8000)を作製した。
このシングルカバリング糸を用い、エアージェット織機で、図7に示す平織組織のタテ糸(織物構成糸Y1)とヨコ糸(織物構成糸Y2)に使用してナイロン78%でポリウレタン系弾性繊維22%の混率からなる織物生機を製織した。
次に、この織物生機の平織組織の一面側をエメリー起毛機により起毛加工を行った。その後、この起毛加工された織物生機を通常のナイロンツーウエイストレッチ織物の染色加工に準じて85℃の温度の浴中でのリラックスと精練投入、100℃の温度の浴中で酸性染料で染色を行い、更に撥水剤溶液中に浸漬させるパッディングとドライおよびキュア加工法による撥水加工を行い、水着用織物として仕上げた。なお、織物への撥水加工処方は、実施例1と同様の方法で処理をした。
この水着用織物の毛羽の平均長さは1.46mmであり、目付が156g/m2、厚さが0.44mm、平均伸長率が73.1%、平均伸長回復率が85.5%であった。 また、この水着用織物の浮上効果を測定した結果、比較例1の起毛加工無しの織物 に比べ、2.8mmと非常に優れたものであつた。
更に、この水着用織物の毛羽を有する一面側を水着の前身頃部分に配置し、後身頃部分には同じ平織組織で撥水加工は施してあるが、起毛加工を施さず毛羽の無い織物を配置して競泳用水着を試作した。この水着における起毛加工織物の水着への使用面積は50%であつた。
この水着を実施例1および実施例2と同様に、19〜22歳の大学生である男性5名と女性5名で平泳ぎによる試着評価を行った結果、動き易く、かつ、身体が軽く感じることができ、競泳水着用素材として適しているものであることが確認された。これらの評価結果を、表1に併せて示す。
[比較例1]
実施例1と同一の綾織組織からなる織物生機を製織した。その後、この織物生機については起毛加工を行わなかった。次に、実施例1と同一の染色加工と撥水加工処方を行い水着用織物として仕上げた。この織物は起毛加工を行っていないため、毛羽の平均長さは0mmであり、目付が161g/m2、厚さが0.31mm、平均伸長率が72.3%、平均伸長回復率が83.6%であった。
[比較例1]
実施例1と同一の綾織組織からなる織物生機を製織した。その後、この織物生機については起毛加工を行わなかった。次に、実施例1と同一の染色加工と撥水加工処方を行い水着用織物として仕上げた。この織物は起毛加工を行っていないため、毛羽の平均長さは0mmであり、目付が161g/m2、厚さが0.31mm、平均伸長率が72.3%、平均伸長回復率が83.6%であった。
更に、この水着用織物の綾織組織による凹凸形状面側を表側にした100%使いの競泳用水着を試作し、実施例1と同一被験者である男性5名と女性5名で平泳ぎによる試着評価を行った結果、動きは妨げられないものの、身体は軽く感じることがなく、先の実施例1に比べ、競泳水着用素材として適していないと感じられるものであった。これらの評価結果を、表1に併せて示す。
[比較例2]
実施例2と同一のトリコット機のハーフ組織からなる編物生機を製編した。その後、この編物生機については起毛加工を行わなかった。次に、実施例2と同一の染色加工と撥水加工処方を行い水着用編物として仕上げた。この水着用編物は起毛加工を行っていないため、毛羽の平均長さは0mmであり、目付が198g/m2、厚さが0.50mm、平均伸長率が81.2%、平均伸長回復率が88.7%であった。
[比較例2]
実施例2と同一のトリコット機のハーフ組織からなる編物生機を製編した。その後、この編物生機については起毛加工を行わなかった。次に、実施例2と同一の染色加工と撥水加工処方を行い水着用編物として仕上げた。この水着用編物は起毛加工を行っていないため、毛羽の平均長さは0mmであり、目付が198g/m2、厚さが0.50mm、平均伸長率が81.2%、平均伸長回復率が88.7%であった。
更に、この水着用編物のシンカーループ面側を表側にした100%使いの競泳用水着を試作し、実施例2と同一被験者である男性5名と女性5名で平泳ぎによる試着評価を行った結果、動きは妨げられないものの、身体は軽く感じることがなく、先の実施例2に比べ競泳水着用素材として優れていないと感じられるものであった。これらの評価結果を、表1に併せて示す。
[比較例3]
実施例1と同一の綾織組織からなる織物生機を製織した。次に、この織物生機を実施例1と同様に綾織組織による凹凸形状面側をエメリー起毛機により起毛加工を行った。次に、実施例1と同一の染色加工工程の中で、撥水加工処方のみを外して加工を行い水着用織物として仕上げた。
[比較例3]
実施例1と同一の綾織組織からなる織物生機を製織した。次に、この織物生機を実施例1と同様に綾織組織による凹凸形状面側をエメリー起毛機により起毛加工を行った。次に、実施例1と同一の染色加工工程の中で、撥水加工処方のみを外して加工を行い水着用織物として仕上げた。
この水着用織物の毛羽の平均長さは0.30mmであり、目付が164g/m2、厚さが0.40mm、平均伸長率が70.7%、平均伸長回復率が84.2%であった。また、この水着用織物の浮上効果を測定した結果、撥水加工がされていないため、浮上効果が無いものであつた。
更に、この水着用織物の毛羽を有する一面側を表側にした100%使いの競泳用水着を試作し、実施例1と同一被験者である男性5名と女性5名で平泳ぎによる試着評価を行った結果、動きは妨げられないものの、身体は軽く感じることがなく、実施例1に比べ、競泳水着用素材として適していないと感じられるものであった。これらの評価結果を、表1に併せて示す。
A:水着用織編物
K:毛羽
K1〜K3:毛羽の形状種
C:毛羽の平均長さ
Y1,Y2:織物構成糸
Y3,Y4:編物構成糸
F:フロント筬
B:バック筬
N1〜Nn:編針の列
0,1,2,3:編針列の針間
E:水槽
W:水
G:フロート具
H:フロート具の浮上位置
K:毛羽
K1〜K3:毛羽の形状種
C:毛羽の平均長さ
Y1,Y2:織物構成糸
Y3,Y4:編物構成糸
F:フロント筬
B:バック筬
N1〜Nn:編針の列
0,1,2,3:編針列の針間
E:水槽
W:水
G:フロート具
H:フロート具の浮上位置
Claims (6)
- 合成繊維マルチフィラメント糸条と弾性繊維糸条とから構成される織編物であって、前記織編物の一面側に起毛加工による毛羽が形成されており、かつ、前記毛羽が形成されている一面側および他面側の両面に撥水加工が施されてなる水着用織編物。
- 起毛加工で形成された毛羽の平均長さが0.20〜1.50mmである請求項1記載の水着用織編物。
- 合成繊維マルチフィラメント糸条が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維およびポリプロピレン系繊維の内の少なくとも一種から選択された繊維からなる糸条である請求項1または2記載の水着用織編物。
- 弾性繊維糸条を芯糸とし、合成繊維マルチフィラメント糸条を鞘糸とする複合糸を、タテ糸およびヨコ糸に用いてなる請求項1〜3のいずれかに記載の水着用織物。
- 弾性繊維糸条と合成繊維マルチフィラメント糸条とが交編されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の水着用編物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水着用織編物を少なくとも一部に使用してなる水着であって、前記水着用織編物の起毛加工による毛羽が形成されている一面側が水着の表側を構成している水着。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014145639A JP2016023372A (ja) | 2014-07-16 | 2014-07-16 | 水着用織編物および水着 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014145639A JP2016023372A (ja) | 2014-07-16 | 2014-07-16 | 水着用織編物および水着 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016023372A true JP2016023372A (ja) | 2016-02-08 |
Family
ID=55270414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014145639A Pending JP2016023372A (ja) | 2014-07-16 | 2014-07-16 | 水着用織編物および水着 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016023372A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2020017194A1 (ja) * | 2018-07-18 | 2021-08-02 | 株式会社アン・ドゥー | 衣服 |
EP4063546A4 (en) * | 2019-11-21 | 2023-11-22 | Toray Industries, Inc. | WOVEN FABRIC FOR SWIMWEAR AND SWIMSUIT USING SAME |
-
2014
- 2014-07-16 JP JP2014145639A patent/JP2016023372A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2020017194A1 (ja) * | 2018-07-18 | 2021-08-02 | 株式会社アン・ドゥー | 衣服 |
JP7466906B2 (ja) | 2018-07-18 | 2024-04-15 | 株式会社アン・ドゥー | 衣服 |
EP4063546A4 (en) * | 2019-11-21 | 2023-11-22 | Toray Industries, Inc. | WOVEN FABRIC FOR SWIMWEAR AND SWIMSUIT USING SAME |
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