JP4019310B2 - フッ素系界面活性剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、接着剤、表面機能性保護膜形成材料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料、自動車、船舶、車両、航空機、建材、家電、OA機器、電気・電子機器、通信機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、各種封止材料等の組成物に適用し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性を高めるためのフッ素系界面活性剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素系界面活性剤は、その表面張力低下能力の高さに基づき、炭化水素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤に比較し、添加されたコーティング用、成形用等の組成物に対して優れた浸透・濡れ性、レベリング性等を実現する材料であり、これまでにも各種フッ素系界面活性剤が提案されてきた。フッ素系界面活性剤による界面活性効果を実現する源であるフッ素化アルキル基を有する化合物の製造方法には、電解フッ素化法、テロメリゼーション法、オリゴメリゼーション法等が挙げられ、何れの方法を用いてもフッ素化アルキル基鎖長(フッ素化された炭素原子部分の長さをいう。以下同様。)の異なる界面活性剤を製造することが可能である。
【0003】
この中で最近、電解フッ素化法により製造されたフッ素系界面活性剤の内、フッ素化アルキル基鎖長が8のものについて、毒性は低いものの生体蓄積性が高く各種工業材料としても敬遠される様になってきた。また、フッ素化アルキル基鎖長が7以下のもののみで構成された界面活性剤は、界面活性効果の低さは否めずその用途が限定されてきた。
【0004】
一方、テロメリゼーション法により製造されたフッ素化アルキル基含有化合物は、四フッ化エチレンの付加反応により製造されるため、通常フッ素化アルキル基鎖長に分布を生じる。即ち、界面活性剤として有用な鎖長のフッ素化アルキル基を得ようとすると必然的に、それよりも短鎖および長鎖のものが生成する。目的とする鎖長あるいは鎖長分布よりも、短鎖のものが多く生じると界面活性効果が低下し、長鎖のものが生じると界面活性剤が添加されるもの、例えば、溶剤、塗料、感光性組成物、成形用樹脂組成物等に対する溶解性が低下し、その結果加工作業性を低下させることも少なくなかった。
【0005】
また、これらの問題点を改良するために、単一鎖長からなるフッ素化アルキル基をもつフッ素系化合物からなる界面活性剤も市販されており、一部用途には適用されているが、用途、目的によっては、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と添加される組成物に対する溶解性を満足する十分なものは得られていなかった。
【0006】
さらに、フッ素系界面活性剤としては、ビニル基とフッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物と、必要により他のビニル系化合物とを重合させて得られるフッ素系重合体からなる界面活性剤もあるが、フッ素化アルキル基鎖長に分布を有するフッ素系化合物を用いているため、得られるフッ素系重合体はフッ素化アルキル基鎖長に分布を有するものとなり、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と添加される組成物に対する溶解性を満足する十分なものは、やはり得られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体をフッ素系界面活性剤として2種以上を含有するフッ素系界面活性剤組成物であって、界面活性効果が高く、溶解性が良好なフッ素系界面活性剤組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基を有し、該部分フッ素化アルキル基の鎖長の分布幅が狭いフッ素系重合体、つまり、最多の部分フッ素化アルキル基(フッ素系重合体が有する鎖長の異なる部分フッ素化アルキル基の中で最も数の多い鎖長の部分フッ素化アルキル基)の含有率が85重量%以上であるフッ素系重合体を、フッ素系界面活性剤として2種類以上混合することにより界面活性効果が高く、溶解性が良好であるフッ素系界面活性剤組成物が得られること等を見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体をフッ素系界面活性剤として2種以上を含有するフッ素系界面活性剤組成物であって、かつ、前記2種以上のフッ素系重合体が、ビニル基とF(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物のnに対する純度が85重量%以上である化合物とポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート化合物とを重合して得られる重合体であり、さらに、前記フッ素系化合物のnの値が、前記2種以上のフッ素系重合体においてそれぞれ互いに異なることを特徴とする、フッ素系界面活性剤組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
通常テロメリゼーション法では、パーフルオロブチルアイオダイドに対して四フッ化エチレンを付加し、フッ素化アルキル基鎖長を伸長する。その後、エチレンを付加したパーフルオロエチルアイオダイドとし、これを出発原料とすることにより各種界面活性剤の合成が可能である。従って、テロメリゼーション法にて製造されたフッ素系界面活性剤の多くは、F(CF2)2nCH2CH2―で表わされる部分フッ素化アルキル基を有することになる。本明細書では、フッ素化アルキル基鎖長について、F(CF2)2nCH2CH2−で表される部分フッ素化アルキル基中のnによりその功罪を述べる。
【0011】
本発明者等の知見によれば、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と、溶剤、塗料、感光性組成物、成形用樹脂組成物等等の界面活性剤が添加されるべきものへの溶解性を兼備させるためには、nは目的とする組成物、これらの性能のレベル、加工工程等により異なる。
【0012】
そこで、目的とする組成物、性能、加工工程等に応じて、フッ素系重合体の中の最多の部分フッ素化アルキル基(フッ素系重合体が有する鎖長の異なる部分フッ素化アルキル基の中で最も数の多い鎖長の部分フッ素化アルキル基)の含有率が85重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上のフッ素系重合体をフッ素系界面活性剤として、2種以上混合することが極めて有効であることを見出した。
【0013】
尚、本発明における部分フッ素化アルキル基の含有率とは、フッ素系重合体が有する全てのF(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基中における、nの違い(鎖長の違い)のみによる含有率を指し、界面活性剤の種類、製造方法によって必然的に副生するその他の化合物は、この純度の算出に含めない。
【0014】
本発明では、フッ素系重合体中のnの異なる各部分フッ素化アルキル基の含有率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法とゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により通常測定する。ただし、フッ素系重合体が、nの異なる各部分フッ素化アルキル基の含有率の測定が困難なものであるである場合には、合成原料として用いたフッ素系化合物中のnの異なる各部分フッ素化アルキル基の含有率を測定し、得られた測定値から算出しても良い。合成原料として用いたフッ素系化合物中のnの異なる各部分フッ素化アルキル基の含有率は、通常重合反応中に変化することはなく、フッ素系重合体中のnの異なる各部分フッ素化アルキル基の含有率は、合成原料として用いたフッ素系化合物中のnの異なる各部分フッ素化アルキル基の含有率を反映するためである。また、必要であれば、部分フッ素化アルキル基以外の部分を化学修飾した後、測定しても良いし、キャピラリー電気泳動法等のその他の各種クロマトグラフィー法、質量分析法、核磁気共鳴法等を併用しても良い。
【0015】
本発明で用いる最多の部分フッ素化アルキル基を全部分フッ素化アルキル基に対して85重量%以上含有するフッ素系重合体を得る方法には、特に制限はない。即ち、素原料であるパーフルオロアイオダイドまたはパーフルオロエチルアイオダイドの段階で精製しても構わないし、これらの化合物より目的とするフッ素系重合体を製造する如何なる工程において精製しても構わない。また、精製する方法にも制限はなく、例えば種々の設備を用いた蒸留、各種溶媒を用いた抽出、シリカ、アルミナ、活性炭、イオン交換樹脂等の各種吸着材を用いたカラムあるいはバッチ処理、洗浄処理等の公知公用の操作を利用することができる。
【0016】
本発明者等の知見によれば、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と、樹脂、溶剤および各種添加剤等の添加されるべき組成物への溶解性を兼備させるためには、目的、用途、加工工程に応じて、最多の部分フッ素化アルキル基として最適なnを有し、全部分フッ素化アルキル基に対しする含有率が85重量%以上で、かつ、部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体であって、最多の部分フッ素化アルキル基としてそれぞれnが異なる2種類以上を混合することが必要である。ここで、2種類以上のフッ素系重合体は如何なる方法で混合されても良い。
【0017】
本発明者等の知見によれば、上記最多の部分フッ素化アルキル基としてnを異にする2種類以上のフッ素系重合体が混合されたフッ素系界面活性剤組成物において、添加されるべき組成物への溶解性が求められる場合、最多の部分フッ素化アルキル基としてn≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の合計の全フッ素系重合体に対する含有率が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下が特に好ましく、1重量%以下が最も好ましい。このように、最多の部分フッ素化アルキル基としてn≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体を、本発明のフッ素系界面活性剤組成物中から積極的に除去することにより、目的とする組成物への溶解性が高まり、添加量の許容範囲を広げることができる。
【0018】
さらに、より低添加量で効率良く界面活性効果を得るためには、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の全フッ素系重合体中に対する含有率が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下が特に好ましく、1重量%以下が最も好ましい。目的とする組成物によっては、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体を5重量%以上含有すると、目的とする界面活性効果が得られないばかりか、高添加量にする必要性に迫られ、結果として添加されるべき組成物本来の性能を損ねることもある。
【0019】
このような観点から本発明者等はさらに、部分フッ素化アルキル基の鎖長とその割合を、目的とする組成物に対してより厳密に選択することにより、従来公知の化合物よりも効率的に界面活性効果が得られ、その結果として目的、用途により多岐に亘る加工条件の許容範囲を広げ得ることを見出した。
【0020】
具体的には、微細な基材、領域への浸透・濡れ性、10〜3000nmの薄膜塗工において高度なレベリング性等を得るために高添加量が必要な場合等には、添加されるべき組成物に対する溶解性が高いものが好ましい。即ち、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の含有率が、全フッ素系重合体に対して25重量%以上であることが好ましく、なかでも、40重量%以上であることが特に好ましい。
【0021】
一方、添加されるべき組成物本来の性能を損ないたくない場合、さらには経済的な観点からは、フッ素系界面活性剤組成物の添加量は最小限に留めることが望まれる。このような場合、少量添加であっても効果的に界面活性能を得るために、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の含有率が、全フッ素系重合体に対して25重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。
【0022】
また、フッ素系界面活性剤組成物を用いた2次的な効果として、コーティング、成形等の目的とする加工工程を行った後、該組成物によって形成される皮膜、ペースト、成形体等の表面を機能化することも可能である。このような、加工後に期待できる表面機能性には、例えば撥水撥油性、滑り性、非粘着性、耐水性、防汚性等が挙げられるが、これらを効果的に実現するためには、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の含有率が、全フッ素系重合体に対して50重量%以上であることが好ましく、なかでも、70重量%以上であることが特に好ましい。
【0023】
本発明者等の知見によれば、界面活性効果と添加されるべき化合物への溶解性について、よりバランスのとれた界面活性剤組成物とするためには、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2、n=3およびn=4の部分フッ素化アルキル基を含有するフッ素系重合体からなる群から選ばれる2種類以上のフッ素系重合体の混合物であることが好ましく、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2、n=3およびn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体を全て併用することがさらに好ましい。この場合、最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2、n=3およびn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の混合割合は、これらの重量比〔(n=2)/(n=3)/(n=4)〕が〔5〜50/5〜85/10〜90〕であることが好ましく、〔10〜40/10〜70/20〜80〕が特に好ましい。
【0024】
本発明において、2種類以上のフッ素系重合体を含有するフッ素系界面活性剤組成物におけるフッ素系重合体中のフッ素原子含有量は、2種類以上のフッ素系重合体の合計の重量を基準として、1〜40重量%であることが好ましく、3〜30重量%がより好ましく、8〜25重量%が特に好ましい。
【0025】
また、フッ素系重合体中のフッ素原子含有量は、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜35重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。
【0026】
本発明で用いるフッ素系重合体は、例えば、ビニル基とF(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物と、これ以外のビニル系化合物とを重合させる製造方法で得られる。本発明者等の知見によれば、フッ素系重合体は、樹脂、溶媒等の各種組成物に対する溶解性の制御、コーティング方法等により併発する発泡性の抑制等の観点から有用である。
【0027】
前記フッ素系重合体の製造方法で得られる、ビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物の重量割合は、1〜70重量%であることが好ましく、5〜50重量%がより好ましく、15〜40重量%が特に好ましい。
【0028】
また、フッ素系重合体中のフッ素原子含有量は、共重合する他のビニル系化合物の選択により異なるが、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜35重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。
【0029】
前記フッ素系重合体を構成するビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物に特に制限はないが、原料の入手性、他のビニル系化合物との反応性、界面活性剤として設計の容易性より、下記一般式(4−A)で表わされるビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物が有用である。また、ビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物としては、純度が85重量%以上のものを用いると好ましく、95重量%以上のものがより好ましく、98重量%以上のものが最も好ましい。これら純度が85重量%以上のビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物としては、テロメリゼーション法により製造した後、精製してなるフッ素系化合物が挙げられる。なお、前記ビニル基としては、(メタ)アクリロイル基が時に好ましい。
【0030】
【化1】
(式中、nは1〜10の整数であり、X1は直接結合または2価の連結基であり、R6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
【0031】
2価の連結基としては、添加される組成物に応じて設計されるものであり特に制限はないが、例えば、例示されるものとしては以下の如き化合物が挙げられる。
−SO2NR−(Rは、水素、フェニル基または炭素原子数1〜18のアルキル基)、−O−、−O(CH2)k−(kは1〜8の整数)、−(CH2)k−(kは1〜8の整数)、−CH(OH)(CH2)k(kは1〜8の整数)、−CONR−(Rは、水素、フェニル基または炭素原子数1〜18のアルキル基)、−(OCpH2p+1)q(CH2)k−(pは2〜6の整数、qは1〜100の整数、kは1〜8の整数)、−(OSi(CH3)2)(CH2)k−(kは1〜8の整数)、−(OSi(C6H4)2)(CH2)k−(kは1〜8の整数)、−NR(CH2)k−(Rは、水素、フェニル基または炭素原子数1〜18のアルキル基、kは1〜8の整数)、−SO2NR(CH2)k−(Rは、水素、フェニル基または炭素原子数1〜18のアルキル基、kは1〜8の整数)、−SO2N(CH2CH2OH)(CH2)k−(kは1〜8の整数)、−SO2NR1(CH2)k1CONR2(CH2)k2−(R1、R2は共に水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、k1、k2は共に1〜8の整数)、−S(CH2)k−(kは1〜8の整数)、−S(CH2)k1CONR2(CH2)k2−(k1、k2は共に1〜8の整数)、−OCO(CH2)k−(kは1〜8の整数)
等が化合物が挙げられる。
【0032】
前記一般式(4−A)で表わされるフッ素化(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、4-A-1:CH2=CHCOOCH2CH2C8F17、4-A-2:CH2=C(CH3)COOCH2CH2C8F17、4-A-3:CH2=CHCOOCH2CH2C12F25、4-A-4:CH2=C(CH3)COOCH2CH2C12F25、4-A-5:CH2=CHCOOCH2CH2C10F21、4-A-6:CH2=C(CH3)COOCH2CH2C10F21、4-A-7:CH2=CHCOOCH2CH2C6F13、4-A-8:CH2=C(CH3)COOCH2CH2C6F13、4-A-9:CH2=CHCOOCH2CH2C4F9、4-A-10:CH2=CFCOOCH2CH2C6F13、4-A-11:CH2=C(CH3)COOCH2CH2C20F41、4-A-12:CH2=C(CH3)COOCH2CH2C4F9、4-A-13:CH2=C(CH3)COO (CH2)6 C10F21、4-A-14:CH2=CHCOOCH2CH2C2F5、4-A-15:CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)(CH2)4C6F13 、等が挙げられる。
【0033】
次に、前記ビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物と反応する、これ以外のビニル系化合物についても特に制限なく、各種の化合物が使用できる。例えば、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸;酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、即ちアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸;アルキル基の炭素原子数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、即ち(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステル等;(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキルエステル、即ち2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステル等;モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、モノ(メタクリロキシエチル)アシッドホスフェ−ト等;
【0034】
(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のアミノアルキルエステル、即ちジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステル等;(メタ)アクリル酸の炭素原子数が3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル、例えばメトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステル等;橋状結合含有モノマー、例えばジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等;アルキル炭素原子数が1〜18のアルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等;(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル、即ちグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等;サートマー社製スチレンマクロモノマー4500、東亜合成(株)社製AA−6、AN−6等の各種マクロモノマーなどが挙げられる。また、市販品として、共栄社化学(株)社製HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、HOA−HH;東亞合成(株)社製アロニックス M−5300、M−5400、M−5500、M−5600、M−5700等も挙げられる。
【0035】
前記ビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物と反応する、これ以外のビニル系化合物としては、また、重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル;末端が炭素原子数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。また、市販品として、新中村化学工業(株)社製NKエステルM−20G、M−40G、M−90G、M−230G、AM−90G、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G;日本油脂(株)社製ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、PME−4000、PP−1000、PP−500、PP−800、70PEP−350B、55PET−800、50POEP−800B、NKH−5050、AP−400、AE−350等が挙げられる。
【0036】
更に、1分子中に2個以上の不飽和結合を有する(メタ)アクリレートを共重合することも可能であり、具体例としては、重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのジ(メタ)アクリル酸エステル;末端が炭素原子数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのジ(メタ)アクリル酸エステル;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキシド(EO)変性物、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのEO変性物、ビスフェノールAジアクリレート及びそのEO変性物、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレートが挙げられる。また、市販品として、新中村化学工業(株)社製NKエステル1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、BG、HD、NPG、A−200、A−400、A−600、A−HD、A−NPG、APG−200、APG−400、APG−700、A−BPE−4、701A;日本油脂(株)製ブレンマーPDE−50、PDE−100、PDE−150、PDE−200、PDE−400、PDE−600、ADE−200、ADE−400等が挙げられる。
【0037】
更にまた、系によっては主に消泡性の観点から、ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートモノマーを導入することも有効である。ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートモノマーとは、ポリシロキサン鎖の片末端あるいは両末端に2価の連結基を介して、アクリロイル基、あるいはメタクリロイル基のいずれかが連結されたものであり、その具体例としては、一般式(4−B)や(4−C)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化2】
〔式中、R7およびR8は炭素原子数1〜20のアルキル基またはフェニル基で、それらは同一でも異なっていてもよく、またシロキシ単位毎に同一でも異なっていてもよく、pは3〜520の整数であり、qは0または1であり、X3は2価の連結基で、−CH2CH(OH)CH2OCO−、
−(CH2)n1NHCH2CH(OH)CH2OCO−、
−(CH2)n1OCO−、−(CH2)n1−O−(CH2)m1OCO−、または−OCH2CH(OH)CH2OCO−[但し、n1、m1は2〜6の整数である。]であり、R6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Z1はメチル基、フェニル基、またはCH2=C(R6)−(X3)q−である。〕
【0039】
【化3】
(式中、R7'、R7''、R7'''、R8'、R8''、R8'''、R9'、R9''、R9'''、は炭素原子数1〜20のアルキル基またはフェニル基で、これらは同一でも異なっていても良く、X3は2価の連結基であり、qは0または1であり、R6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基または炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
【0040】
前記ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートモノマーのより具体的なものとして以下の如きものが例示される。但し、Me、Phはそれぞれメチル基、フェニル基を表わす。
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートモノマーは、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を同時に用いても構わない。
【0051】
本発明者等の知見によれば、ビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物と共重合するその他のビニル系化合物としては、重合性の点からは(メタ)アクリル系モノマーが材料選択性が広く、界面活性剤としての設計範囲が広がり有用である。さらに、樹脂、溶剤等の添加される化合物に対する溶解性およびその結果として発現する濡れ・浸透性、レベリング性向上の観点から、ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、中でも重合度が3〜100のポリエチレンオキシド基および/またはポリプロピレンオキシド基含有(メタ)アクリルモノマーが好ましく、特に重合度が3〜20のポリエチレンオキシド基および/またはポリプロピレンオキシド基含有(メタ)アクリルモノマーが好ましい。
【0052】
本発明に用いるフッ素系重合体の製造方法には何ら制限はなく、種々の方法即ちラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、更に乳化重合法等によって製造できる。
【0053】
また、重合体の構造についても特に制限はなく、上記重合機構に基づいたランダム、交互、ブロック共重合体、各種リビング重合法或いは高分子反応を応用し分子量分布を制御したブロック、グラフト、スター型重合体等を自由に選択可能である。更に、このような重合体を得た後に、各種高分子反応、放射線、電子線紫外線等のエネルギー線を応用した方法等により重合体を変性することも可能である。
【0054】
これらの方法の中で、工業的にはラジカル重合法が簡便であり好ましい。この場合重合開始剤としては、種々のものを使用することができ、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、Mn(acac)3 等の金属キレート化合物等が挙げられる。また、必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤や、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のカップリング基含有チオ−ル化合物等の連鎖移動剤を併用することが可能である。
【0055】
また、光増感剤や光開始剤の存在下での光重合、あるいは放射線や熱をエネルギー源とする重合によっても重合型フッ素系化合物を得ることができる。
【0056】
重合は、溶剤の存在下又は非存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点からは溶剤存在下であることが好ましい。溶剤としては、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等のモノカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソルブアセテート等のエーテル類、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト等のプロピレングリコ−ル類及びそのエステル類、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパ−フロロオクタン、パ−フロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナ−トリキッド類のいずれも使用できる。
【0057】
フッ素系重合体の分子量としては、樹脂、溶剤等の添加される組成物への溶解性、発泡性、消泡性、コーティング方法、目的とする膜厚、分散性等の濡れ・浸透性、レベリング性以外に付加される性能等を考慮し、最適なものが選択されるが、通常ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が2,000〜300,000であり、4,000〜80,000が好ましく、更に5,000〜40,000が特に好ましい。
【0058】
本発明のフッ素系界面活性剤組成物の目的とする組成物への添加量には特に制限はないが、用途、目的とする性能、経済性、加工工程等を考慮して適宜選択され、通常目的とする組成物100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部である。また、必要に応じてシリコーン系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤を併用することも可能である。このような異種の界面活性剤の混合により、単独では得られなかった浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果が得られる場合がある。
【0059】
本発明のフッ素系界面活性剤組成物が添加される組成物にも特に制限はなく、種々の組成物に添加することが可能である。組成物に用いられる化合物の例としては、以下の如きものが挙げられる。
【0060】
先ずは、水および以下の如き有機溶媒である。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等のモノカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソルブアセテート等のエーテル類、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト等のプロピレングリコ−ル類及びそのエステル類、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパ−フロロオクタン、パ−フロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナ−トリキッド類等が挙げれる。これらの溶媒は、単独系であっても2種類以上の混合溶媒系であっても構わない。尚、ここでいう溶媒とは、系中で分散媒として働いているものも溶媒と称する。
【0061】
次に、樹脂である。樹脂の例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリパラフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス、ABS樹脂等の熱可塑性および熱硬化性樹脂、SBR、NBR、EPM、EPDM、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ノルボルネンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム類等が挙げられる。これらの樹脂は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても構わない。また、2種類以上の樹脂と本発明に関わる界面活性剤を併用する場合、界面活性効果の一つとして、組成あるいは分子量が異なるの樹脂同士の相溶化剤として作用することも期待できる。
【0062】
最後に、界面活性剤以外の添加剤である。添加剤の例としては、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系等のカップリング剤、更にフッ素原子含有アルコキシシラン化合物、フッ素原子含有チタンアシレ−ト化合物、フッ素原子含有アルコキシジルコニウム化合物等のフッ素系カップリング剤、有機・無機顔料、染料、カ−ボン等の着色剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ガラスフィラー等の無機粉末・充填材、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフロロエチレン)、ポリエチレン、アクリルビーズ等の有機微粉末、更には感光剤、増感剤、耐光性向上剤、耐候性向上剤、耐熱性向上剤、導電剤、酸化防止剤、防錆剤、レオロジーコントロール剤、増粘剤、沈降防止剤、消泡剤、防臭剤等の各種充填剤が挙げられる。添加剤は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても構わない。
【0063】
本発明のフッ素系界面活性剤組成物が添加された組成物は、種々の加工方法を適用することにより、優れた浸透・濡れ性およびレベリング性が得られる。加工方法としては例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、デイッピング塗布、スプレー塗布、静電塗装、スクリーン印刷等のコーティング方法・装置、インクジェット法、射出、押し出し、中空、圧縮、反応、真空、FRP、熱、ロールシート、カレンダー、2軸延伸フィルム、積層、回転等の各種成形方法、各種金型、スタンパを用いた射出成形等が用いられる。
【0064】
また、本発明のフッ素系界面活性剤組成物が添加された組成物も、用途に制限なく用いることができる。優れた塗れ・浸透性とレベリング性を利用し、例えば、PS版等の印刷材料、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用各種フォトレジスト等の感光性材料、LSI製造用反射防止膜剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用洗浄剤、エッチング剤、剥離剤、現像液、乳剤等の写真材料、自動車、航空機、船舶、建材、家電用等の塗料、染料、工業用および家庭用等の接着剤、耐擦傷性、滑り性、非粘着性、撥水撥油性、親水性、親油性、ガスバリア性、耐熱性、耐光性、耐候性、生理活性、耐水性、防湿性、防汚性等の表面機能性保護膜形成材料、洗浄剤、フロアポリッシュ、泡消火薬剤、メッキ浴ミスト防止剤、レンズシート、光ファイバ等の光学材料、衣料、家具、靴、雑貨等の繊維、人工皮革、合成皮革不織布等の処理剤、紙、フィルム、カード等の各種コーティング剤、自動車、建材、家電、医用材料、OA機器、電気・電子機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、ワックス、各種封止材料、離型剤、防錆剤、防曇剤、防霧剤、ブロッキング防止剤、ポリマー製造用または有機化学反応用分散媒等の組成物に適用し、浸透・濡れ性、レベリング性または各種表面機能性を高めるための添加剤として有用である。
【0065】
【実施例】
次に本発明をより詳細に説明するために参考例、実施例及び比較例を掲げる。文中の「部」は、断わりのない限り重量基準である。
【0066】
合成例1
撹拌装置、コンデンサ−および温度計を備えたガラスフラスコに、ガスクロマトグラフィー(GC)法にて測定した組成が第1表に示す組成で、F(CF2)2nCH2CH2−(ただし、nは4を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基を有するフッ素化(メタ)アクリレ−トとしての純度が98.9%のフッ素化(メタ)アクリレ−ト(4−A−1)50部、平均分子量400のエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を側鎖にもつモノアクリレ−ト50部、および、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す。)233部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略す。)1.5部を添加した後、85℃にて6時間還流し、AIBN 0.5部加えてさらに5時間ホールドし重合を完成させた。重合後、80℃のエバポレーターにて脱溶剤を行い、次いで熱風乾燥機にて乾燥させることにより、固形分濃度98%で、F(CF2)2nCH2CH2−で表される部分フッ素化アルキル基を有し、最も数の多いn=4の部分フッ素化アルキル基の含有率が98.9%であるフッ素系重合体を得た。
【0067】
この重合体のゲルパ−ミエ−ショングラフ(以下、GPCと略す。)によるポリスチレン換算重量平均分子量はMw=8,500であった。この重合体をフッ素系重合体(1)とする。尚、本重合反応において、フッ素化(メタ)アクリレ−ト中の部分フッ素化アルキル基は直接反応に関与しないので、フッ素系重合体(1)中の最多の部分フッ素化アルキル基の含有率は、モノマーとして用いたn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素化(メタ)アクリレ−トの純度98.9%と同一である。
【0068】
合成例2〜7
フッ素化(メタ)アクリレ−ト(4−A−1)50部の代わりに、ガスクロマトグラフィー(GC)法にて測定した組成が、第1表に示す組成であるフッ素化(メタ)アクリレ−ト(4−A−7)、(4−A−9)、(4−A−5)、(4−A−X1)〜(4−A−X3)のそれぞれ50部を用いた以外は合成例1と同様にして、フッ素系重合体(2)〜(7)を得た。
【0069】
得られたフッ素系重合体(2)は、最多の部分フッ素化アルキル基としてのn=3の部分フッ素化アルキル基の含有率が99.2%のフッ素系重合体であり、フッ素系重合体(3)は最多の部分フッ素化アルキル基としてのn=2の部分フッ素化アルキル基の含有率が98.6%のフッ素系重合体、フッ素系重合体(4)は最多の部分フッ素化アルキル基としてのn=5の部分フッ素化アルキル基の含有率が99.5%のフッ素系重合体、フッ素系重合体(5)は最多の部分フッ素化アルキル基としてのn=4の部分フッ素化アルキル基の含有率が58.4%のフッ素系重合体、フッ素系重合体(6)は最多の部分フッ素化アルキル基としてのn=3の部分フッ素化アルキル基の含有率が69.4%のフッ素系重合体、フッ素系重合体(7)は最多の部分フッ素化アルキル基としてのn=5の部分フッ素化アルキル基の含有率が76.7%のフッ素系重合体である。
【0070】
【表1】
【0071】
尚、4−A−X1、4−A−X2、4−A−X3は全て、下記一般式(4−A−X)にて表され、第1表に示した分布を有するフッ素化アクリレートを使用した。
【化13】
【0072】
第2表には、フッ素系重合体(1)〜(7)の合成に用いたフッ素化(メタ)アクリレートと得られた共重合体の分子量を併せて示した。
【0073】
【表2】
【0074】
実施例1〜7および比較例1〜5
フッ素系重合体(1)〜(7)を、第3表に示す割合で配合し、フッ素系界面活性剤組成物1〜7、および、比較対照用フッ素系界面活性剤組成物1′〜5′を得た。溶媒には、イオン交換水を使用し濃度は何れも0.1重量%とした。界面活性剤溶液の評価として、界面活性効果の基準となる表面張力の値と共に、室温での溶解性を第3表および第4表に併せて示した。
【0075】
表面張力は、自動表面張力計CBPV−Z(協和界面化学株式会社製)を用いて、ウィルヘルミー白金プレート法にて20℃で測定した。
【0076】
室温での水への溶解性は目視にて判定し、表中には以下の基準で記入した。
5:クリアな溶液
4:沈殿は生じていないがやや濁りがある溶液
3:沈殿は生じていないが濁りがある溶液
2:僅かな沈殿が発生
1:多量の沈殿が発生
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
※沈殿が生じたものについては、本濃度での界面活性剤としての機能を果たさないので、表面張力の測定は行わなかった。表では−として示す。
【0079】
第3表、第4表より明らかなように、本発明に関わる界面活性剤は溶媒に対する溶解性が良好で、表面張力低下能力に優れる。
【0080】
【発明の効果】
本発明に関わるフッ素系界面活性剤を用いれば、添加される組成物に対する溶解性の許容範囲が広いため、最適な添加量を選択できるばかりでなく、効果的に浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性能を向上させることが可能である。
Claims (10)
- F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体をフッ素系界面活性剤として2種以上を含有するフッ素系界面活性剤組成物であって、かつ、前記2種以上のフッ素系重合体が、ビニル基とF(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)で表される部分フッ素化アルキル基とを有するフッ素系化合物のnに対する純度が85重量%以上である化合物とポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート化合物とを重合して得られる重合体であり、さらに、前記フッ素系化合物のnの値が、前記2種以上のフッ素系重合体においてそれぞれ互いに異なることを特徴とする、フッ素系界面活性剤組成物。
- 2種以上のフッ素系重合体が、いずれも、最多の部分フッ素化アルキル基としてnのそれぞれ異なる部分フッ素化アルキル基を、それぞれの全部分フッ素化アルキル基に対して95重量%以上含有するフッ素系重合体である、請求項1記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- ビニル基と部分フッ素化アルキル基とを有する純度85重量%以上のフッ素系化合物が、テロメリゼーション法により製造した後、精製してなるフッ素系化合物である、請求項2記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- ビニル系化合物が、ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリル系モノマーである、請求項3記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- 最多の部分フッ素化アルキル基としてn≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の合計の全フッ素系重合体に対する含有率が、5重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- 最多の部分フッ素化アルキル基としてn=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の全フッ素系重合体に対する含有率が、5重量%以下である、請求項5記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- 最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の全フッ素系重合体に対する含有率が、25重量%以上である、請求項6記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- 最多の部分フッ素化アルキル基としてn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系重合体の全フッ素系重合体に対する含有率が、25重量%以上である、請求項6記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- 最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2、n=3およびn=4の部分フッ素化アルキル基を含有するフッ素系重合体からなる群から選ばれる2種以上のフッ素系重合体の混合物である、請求項6記載のフッ素系界面活性剤組成物。
- 最多の部分フッ素化アルキル基としてn=2、n=3およびn=4の部分フッ素化アルキル基を含有するフッ素系重合体の混合物であって、かつ、これらの重量比〔(n=1)/(n=2)/(n=3)〕が、5〜50/5〜85/10〜90である、請求項9記載のフッ素系界面活性剤組成物。
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