JP4019206B2 - パチンコ遊技機における球払出し装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パチンコ遊技機における球払出し装置に係り、更に詳細には、縦向きの遊技盤内でパチンコゲームを展開し得るパチンコ遊技機において、裏側の貯留球を遊技用の貸し球とゲーム入賞用の賞球分とに区分して払出し得るようにした球払出し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機やアレンジボール機に代表される近年のこの種の遊技機においては、機裏側の球貯留供給部に相当量貯留されたパチンコ球(貯留球ともいう)の払出しとして、賞球と貸し球との区分、つまり遊技盤内で展開されるパチンコゲームで成立した入賞(例えばセーフ球の発生、図柄組合せの成立)に対して所定数(1〜15個)の賞球を払出し得る一方、ゲームに使用すべき貸し球を球貸し金額に対して設定数毎(例えば100円分毎に対して25個)に払出し得るタイプのものが多く実施されている。そして、このようなタイプの遊技機に実施(装備)されている球払出しの技術・手段については、目下のところ何れのメーカの実施機においても、電気・電子的制御形態の1基の球払出し装置が採用され、この装置の作動制御区分(球払出し信号区分による賞球払出しと貸し球払出し)により、賞球と貸し球とを区分して払出しを行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したようなタイプの遊技機に実施(装備)されている払出し装置では、何分にも1基兼用型で賞球と貸し球との併用払出し形態であるために、双方の球を別々同時に払出すことができない欠点があった。すなわち、遊技者自身の必要時による球貸し操作に基く貸し球の払出しと、ゲーム展開で成立する入賞に対する賞球の払出しとが、個々の払出し指令(信号)の入力を前提にして同時に行なうことができなかった。このため現状では払出しに優先順位が定められ、常には貸し球の払出しを優先し、この払出し終了後に賞球の払出しを行なわなければならなかった。このような払出し規制条件のために、実情として、貸し球の払出し中は賞球の払出しができず、逆に賞球の払出し中に貸し球の払出しを要求すれば、当該回の賞球払出し終了後に貸し球の払出しが行われ、それ以後に賞球の払出しが再開されるようになっている。従ってこのような払出し形態では、賞球と貸し球との区分払出しが明確に把持できなくなり、遊技者から不満の声がでる問題が指摘されていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決すべく新規に提案されたものであって、取扱いが容易で手早く簡単に着脱し得ると共に、貸し球用と賞球用との各球払出し信号(指令)に基く独自の払出し作動を別々に行なって、貯留球を遊技用の貸し球分とゲーム入賞用の賞球分とに明確に払出し得るようにした、小型で安価のパチンコ遊技機における球払出し装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、本発明に係るパチンコ遊技機における球払出し装置は、
遊技盤内で展開されるパチンコゲームの入賞に対して払出し個数の異なる複数種類の賞球を払出し得る一方、球貸し金額に定められた設定数N個の遊技用の貸し球を払出し得るよう構成されて、縦向きに設置される遊技機において、
機裏側の貯留球供給部からの貯留球を賞球分と貸し球分とに区分して夫々整列状に流下し得る第1供給経路および第2供給経路を並設する一方、この第1・第2供給経路に対する連絡部位に着脱可能に設置される1つのケース体内に、賞球用、貸し球用の各球払出し信号に基いて単独で払出し作動を行ない得る賞球用の第1球払出し部と、貸し球用の第2球払出し部とを並列状に配設し、
前記ケース体では、前記第1供給経路と第2供給経路とに夫々独立して連通可能な第1球通路と第2球通路とを区分形成し、
前記第1球払出し部は、前記ケース体内に固定された1本の第1支軸に対し単独回転可能に支持され、外周に形成した複数の球受け部を前記ケース体の第1球通路内に臨ませて1球ずつ球送り回転して排出し得る第1球送り体と、賞球用の球払出し信号に基いて作動制御される第1電磁ソレノイドと、第1球送り体の球送り回転毎により排出された賞球を1個ずつカウント検出し得る第1検出手段と、前記第1電磁ソレノイドの励磁に伴い第1球送り体を回転停止する拘束位置から回転を許容する解放位置に切換え作動される一方、該第1球送り体の球送り回転により排出された1個の賞球を第1検出手段が検出したことを条件に、第1電磁ソレノイドの消磁に伴い第1球送り体の回転を許容する解放位置から回転停止する拘束位置へ切換え作動される第1規制部材とを備えて構成し、
前記第2球払出し部は、前記ケース体内に固定された前記第1支軸に対し単独回転可能に支持され、外周に形成した複数の球受け部を前記ケース体の第2球通路に臨ませて1球ずつの球送り回転により前記設定数N個より少ないn個を1回転当たりに排出し得る条件でN/n回転することで設定数N個を排出し得る第2球送り体と、貸し球用の球払出し信号に基いて作動制御される第2電磁ソレノイドと、前記第2球送り体の球送り回転により排出された貸球を検出し得る第2検出手段と、前記第2電磁ソレノイドの励磁に伴い第2球送り体を回転停止する拘束位置から回転を許容する解放位置に切換え作動される一方、該第2球送り体の球送り回転により連続して排出された貸し球を第2検出手段が検出したことを条件に、第2電磁ソレノイドの消磁に伴い第1球送り体の回転を許容する解放位置から回転停止する拘束位置へ向けて切換え作動される第2規制部材と、前記第2球送り体と一体的に回転可能に設けられて前記第2規制部材に係脱可能に係合し、該第2規制部材との係合により第2球送り体を回転停止する一方で、該第2規制部材から離隔することにより第2球送り体の回転を許容する回転規制手段と、前記第2球送り体の回転に連動回転し得るよう前記ケース内に固定された第2支軸に対し回転可能に支持され、前記第2球送り体がN/n回転することで1回転する回転規制部材とを備えて構成し、
前記回転規制部材には、前記第2規制部材に当接係合して前記第2球送り体が回転可能な解放位置に前記第2規制部材を干渉拘束する拘束円弧縁と、前記第2球送り体がN/n回転した時点で前記第2規制部材を拘束円弧縁による干渉拘束から解放して前記回転規制手段と係合可能な拘束位置への変移を許容する直線切欠とを外周面に形成して、
前記第2電磁ソレノイドの励磁作動により前記第2規制部材が拘束位置から解放位置へ変移して前記回転規制手段から離隔した時点で前記第2球送り体が回転して貸し球を連続して排出する一方、排出された貸し球を前記第2検出手段が検出したことを条件として前記第2電磁ソレノイドを消磁した以後では、前記回転規制部材が第2規制部材を解放位置に干渉拘束したまま前記第2球送り体がN/n回転した時点で、第2規制部材が拘束位置に復帰して前記回転規制手段に係止することにより設定数N個の貸し球を排出し終えるよう構成したことを特徴とする。
【0006】
【作用】
賞球払出し用の第1球払出し部では、第1検出手段が球有り検出をしているもとで、第1電磁ソレノイドが励磁制御されることに伴って第1規制部材による第1球送り体への規制が解除される。これにより第1球送り体は、前記第1検出手段で球有り検出された貯留球を含む上流側の球の圧力(重み)を球受け部で受けながら回転し、当該貯留球を第1供給経路の下流側へ排出する。そして、当該貯留球の排出を前記第1検出手段が検出すると、第1電磁ソレノイドが消磁されることに伴って第1規制部材による第1球送り体への規制がなされ、該第1球送り体の回転が停止する。以降同様にして、前記第1検出手段のカウント検出に伴う第1電磁ソレノイドの励磁制御と消磁制御とが賞球払出し分に対する所定回数繰返されることにより、払出し個数の異なる複数種類賞球が払出される。
【0007】
また、貸し球払出し用の第2球払出し部では、まず第2電磁ソレノイドが励磁されることに伴い、第2規制部材による第2球送り体への規制が解除される。これにより第2球送り体は、第2供給経路内の貯留球の球圧を球受け部で受けながら回転し、各球受け部に受けた貯留球を第2供給経路の下流側へ連続して排出する。そして、第2球送り体が設定数N個の貯留球を排出するまで、第2規制部材による該第2球送り体の規制が回転規制部材の干渉により阻止される。そして、第2球送り体がN個の貯留球を排出する適宜タイミングで回転規制部材による干渉が解除され、第2規制部材による第2球送り体への規制がなされて該第2球送り体の回転が停止する。
【0008】
なお、第1球払出し部は賞球用の球払出し信号に基いて払出し作動され、第2球払出し部は貸し球用の球払出し信号に基いて払出し作動されるから、賞球払出し作動と貸し球払出し作動が単独で行なわれる。従って貯留球が、遊技用の貸し球分とゲーム入賞用の賞球分とに明確に区分排出される。そして、これら第1球払出し部と第2球払出し部とはケース体内に配設されて、小型化されたケース体単位で遊技機裏側の第1および第2供給経路に対する連絡部位に着脱可能に設置され、その取扱いが簡単かつ容易であると共に安価に製作される。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るパチンコ遊技機における球払出し装置について、好適な実施形態を挙げて添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお本実施形態では、遊技球を1個ずつ遊技盤内に打出してパチンコゲーム(アウト球とセーフ球とに区分)を展開するタイプにあって、機裏側の貯留球を、入賞成立(セーフ球の発生)に対する賞球と、球貸しシステムを利用した遊技球用の貸し球とに区分排出して球皿側へ供給し得るパチンコ機の場合を主に例示し、このパチンコ機に球払出し装置を取着した場合につき説明する。
【0010】
本実施形態のパチンコ機は、その基本的構成の概要として、図1および図2に略示するように、機体の外郭をなす外枠1の開口前面側に、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の前枠2が開閉および着脱可能に組付けられており、この前枠2の前面側に遊技盤3を透視保護するための窓枠4と上球皿5とが共に横開き形態で開閉可能に組付けられ、また前枠2の下部に下球皿6および打球発射装置7等が装備されている。なお、外枠1の一側縁には球貸しシステムに利用されるカードユニット8が装備されている。
【0011】
一方、前記前枠2の裏側には各種の球経路および処理部等を備えた機構セット盤9が装着され、この機構セット盤9では、遊技盤点検用の窓口10の周囲において、アウト球用の排出路11とセーフ球用の処理路12が区画形成されている。そして、貯留球供給部としての球タンク13から整流樋14を介して貯留球が流下供給される球供給路15の下流端に後述する球払出し装置16がケース単位の取扱いで着脱可能にビス等で取着セットされ、この球払出し装置16からの賞球または貸し球として払出された貯留球が、従来と同様に排出経路(図示しない)を介して供給口17から前記上球皿5へ供給されるようになっている。なお、前記整流樋14については、図示しないが、1列の賞球路と1列の貸し球路とを区画並列したタイプ、2列の賞球路と1列または2列の貸し球路とを区画並列したタイプとが提案され、後者の2列タイプでは、整流樋14から前記球供給路15に向けて賞球と貸し球とを夫々1列化する球送り整列部18が付設されることが望ましい。
【0012】
前述した機構セット盤9におけるその余の構成としては、整流樋14の所定位置には貯留球を貸し球として払出す場合に設定数を予じめ検出する検出スイッチ19(25個検出スイッチともいう)が設置されている。一方、前記処理路12の下流端にはセーフ球検出処理装置20が着脱可能にセットされ、セーフ球を1個ずつ停留検出して所定個数の賞球払出し後に当該セーフ球を解放通出するようになっている。なお、図2中の符号において、21は電源部(AC24V)に接続される外部接続端子板であり、22はゲーム内容を制御する主基板、23はセーフ球処理装置と貯留球排出処理(賞球払出しと貸し球払出し)を制御する電気的制御部としての球払出し制御基板、24は球払出し装置16と球払出し制御基板23とを電気的に接続する中継基板、25は前記カードユニット8と球払出し制御基板23とを電気的に接続するインターフェースボードである。
【0013】
このような本実施形態のパチンコ機は、遊技ホール内の通称「島」と呼ばれる設置枠台(図示しない)の各区画枠内に前記カードユニット8と共に設置されて縦向きで遊技に共され、このもとで、補給設備(図示しない)における配給ユニットから必要時に供給される相当量のパチンコ球を前記貯留球供給部の球タンク13内に受入れて整流樋14に収容している。そして後述の払出し装置16を利用して、パチンコゲーム中に発生したセーフ球が前記セーフ球検出処理装置20により1球ずつ停留検出される毎に所定個数(本実施形態では例として少数個5〜9個、多数個10〜15個)の賞球を払出し得る。また球貸しシステムでは、前記カードユニット8のカード挿入口26にカードが挿入されて上球皿5の上部前面に設けられた球貸し操作部27が操作されると、図示しないカードリーダの球貸し判読制御条件に従い、貯留球検出用スイッチ19の球有り検出条件において前記カードの有効金額内における一定額単位に対して所定個数(本実施形態では100円分に対して25個)の貸し球を払出し得る。
【0014】
そこで本実施形態における前記球払出し装置16は、前記球払出し制御基板23からの出力信号により制御作動されるもとで、同基板23から賞球払出し指令信号または貸し球払出し指令信号が出力されると、これらの各信号に応じて入賞成立に対する賞球と遊技用の貸し球とを区分排出し得る。そして、この球払出し装置16では、その基本的な構成として図3〜図8に示すように、四角箱状にユニット化された合成樹脂製のケース体28内において、前記球供給路15の一部をなす第1球供給路(第1球通路)15aと第2球供給路(第2球通路)15bとを前後方向(図3において紙面と直交する方向)において区画形成すると共に、各球供給路15a,15bに臨む部位に賞球払出し用の第1球払出し部32と貸し球払出し用の第2球払出し部33および後述する球抜き操作部34等を備えている。
【0015】
このような球払出し装置16において、前記ケース体28は、図3,図4,図5および図8に示すように、前後一対をなす蓋状の第1ケース28aと有底箱状の第2ケース28bとをビス等で組合せると共に、これら両ケース28a,28b間に断面略H形をなす合成樹脂製の通路樋29が組付けられている。そしてこの通路樋29に形成された前記第1・第2球供給路15a,15bと対応する右側中央部位には夫々第1・第2切欠35,36が形成され、第1球供給路15a側の第1切欠35の近傍には後述する賞球用センサ(検出手段)37(発光側)を備えた第1センサ基板38が設置される一方、第2球供給路15b側の第2切欠36の近傍には検出手段としての後述する貸し球用センサ39(発光側)を備えた第2センサ基板40が設置されている。
【0016】
また、前記通路樋29おける各球供給路15a,15bと対応する左側部位には払出し駆動基板41が装備され、同基板41には発光側の各センサ37,39と対応する位置に受光側の各センサ37,39が装備されると共に、前記球払出し制御基板23等と図示しない配線を介して接続されるコネクタ42が装備されている。そして前記各センサは、夫々発光側と受光側の各先端部が対応する球供給路15a,15b内に臨むように通路樋29の壁部に形成された検出孔43に挿通されている。なお、図8中の符号として44は配線挿入用溝であり、45はコネクタ42への接続時に配線が挿通される開口、46はケース体28外の球供給路15と第1球供給路15aとを連絡する第2連絡口、47は前記球供給路15と第2球供給路15bとを連絡する第2連絡口、48は後述する球抜き操作部34を通常状態に保持するためのストッパーである。
【0017】
前記球払出し装置16における第1球払出し部32は、ケース体28における前側(図3において奥側、図4において上側)に組込まれ、前記球送り整列部18から前後2列に形成された一対の球供給路15のうち前側の球供給路15Aからの貯留球を1個ずつ通入検出するもので、賞球用の球払出し部として機能する。この第1球払出し部32は、図3〜図7に例示するように、ケース体28の略中央部において第1・第2ケース28a,28b間に架設された第1支軸49に対し回転可能に支持された爪車状の第1球送り体50と、第1球送り体50の回転・停止規制をなす第1規制部材51の切換作動源である第1電磁ソレノイド52と、第1球供給路15a内の貯留球の有無を検出する上センサ37aと下センサ37bとからなる賞球用センサ37とを備えている。
【0018】
前記第1球送り体50は、ポリアセタール等の比較的硬質の合成樹脂からなり、この第1球送り体50では、外周に形成した複数(本実施例では10箇所)の区画爪部53により区画された各球受け部54を前記通路樋29の第1切欠35から第1球供給路15a内に臨ませ、その球受け部54により第1球供給路15a内を流下する貯留球を1個ずつ球圧を受けながら回転して当該貯留球を賞球として排出し得るようになっている。また前記電磁ソレノイド52は、例としてフラッパータイプのもので、球払出し制御基板23からの賞球払出し信号に基き作動制御されて、励磁信号に伴い磁力発生部55で磁力を発生し得る一方、そのフレーム枠56には前記第1規制部材51が傾動可能に支持されている。
【0019】
また前記第1規制部材51は金属製レバー状のものが例とされ、電源投入時の作動状態において、常には付勢手段としての引張バネ57により前記第1球送り体50の区画爪部53と係止する方向へ付勢保持されて、第1球送り体50の回転停止(拘束位置)を図るようになっている。一方、前記電磁ソレノイド52の励磁作動に伴い磁力発生部55が通電されると、その磁力により前記引張バネ57の付勢力に抗して区画爪部53から隔離(解放位置)して第1球送り体50の回転を許容(解放)するようになっている。また前記賞球用センサ37は、上下一対のセンサ37a,37bを有し、上下各センサ37a,37bは互いに1球分に適した検出間隔で配置されて第1球供給路15a内に臨み、左右一対の上センサ37aにより賞球として払出し可能な貯留球の有無を検出する一方、左右一対の下センサ37bにより賞球として払出された貯留球の有無を検出(カウント検出)するようになっている。そして前記賞球用センサ37は、排出された貯留球を下センサ37bにより1球ずつ検出する毎に、当該検出信号を中継基板24を介して球払出し制御基板23へ出力するようになっている。
【0020】
一方、前記球払出し装置16における第2球払出し部33は、ケース体28における後側(図3において手前側、図4において下側)に組込まれ、前記球送り整列部18から前後2列に形成された一対の球供給路15のうち後側の球供給路15Bからの貯留球を1個ずつ検出するもので、貸し球用の球払出し部として機能する。この第2球払出し部33は、図3〜図7に例示するように、前記第1球送り体50と同様に前記第1支軸49を共通軸として回転可能に支持された爪車状の第2球送り体58と、第2球送り体58の回転・停止規制をなす第2規制部材59の切換作動源である第2電磁ソレノイド60と、前記第2球送り体58の下流側において第2球供給路15b内の貯留球の有無を検出する貸し球用センサ39とを備えている。
【0021】
更に前記第2球払出し部33では、図9および図10に例示するように、前記第1支軸49に対して第2球送り体58と一体回転するように第1歯車61(歯数10)と、回転規制手段としての第1カム(回転規制手段)62が支持されている。これら第2球送り体58と第1歯車61および第1カム62の三者は、一体回転可能に一体結合された構成でも、または三者が一体成形された構成であってもよい。また前記第1支軸49よりも上方位置において第1・第2ケース28a,28b間には第2支軸63が架設され、この第2支軸63に対して前記第1歯車61に噛合して連動回転する連動部材としての第2歯車64(歯数25)が回転可能に支持されている。また前記第2支軸63に対しては、前記第2規制部材59の傾動範囲内に位置するようにして第2歯車64と一体に回転する回転規制部材としての第2カム65が回転可能に支持されると共に、前記第2歯車64よりも後側(図3において手前側、図4において下側)には前記第2球送り体58の上方に位置するようにバランス用のウエイト66を有する回転制動部材67が回転可能に支持されている。
【0022】
このような第2球払出し部33において、前記第2球送り体58は第1球送り体50と略同じ構成をなし、複数(本実施例では10箇所)の区画爪部68により区画された各球受け部69を前記通路樋29の第2切欠36から第2球供給路15b内に臨ませ、その球受け部69により第2球供給路15b内を流下する貯留球を1個ずつ球圧を受けながら回転して当該貯留球を貸し球として排出し得るようになっている。また前記電磁ソレノイド60は、例としてフラッパータイプのもので、球払出し制御基板23からの貸し球払出し指令信号に基き作動制御されて、励磁信号に伴い磁力発生部70で磁力を発生し得る一方、その磁力を消磁信号に伴い消失するものであり、そのフレーム枠71には前記第2規制部材59が傾動可能に支持されている。
【0023】
また第2規制部材59は、前記第1規制部材51と同様にして金属製レバー状のものが例とされ、電源投入時の作動状態において、常には付勢部材としての引張バネ72により前記第1・第2の両カム62,65と係合する係合する方向(拘束位置)へ付勢保持されている。前記第1カム62の外周カム面には前記第2規制部材59の先端を係止可能な2つの係止部73が互いに180度の角度をおいて形成され、いずれか一方の係止部73に係止する位置(拘束位置)へ第2規制部材59を前記引張バネ72の付勢力により復帰させることにより第2球送り体58の回転停止(拘束位置)を図り、前記第2規制部材59の先端を各係止部73から離隔(解放位置)させることにより、第2球送り体58の回転を許容するようになっている。一方、前記第2カム65の外周カム面には前記第2規制部材59と当接係合して同規制部材59を前記第1カム62から離隔した位置(解放位置)に干渉拘束するための一定半径をもつ拘束円弧縁74が一例として約270度の角度範囲に亘り形成されると共に、前記ソレノイド60の消磁後において前記拘束位置へ付勢復帰しようとする前記第2規制部材59に干渉せず同規制部材59と前記係止部73との係止を許容するための直線切欠75が一例として約90度の角度範囲に亘り形成されている。
【0024】
また前記貸し球用センサ39は、第2球送り体58の回転に伴って貸し球として払出された貯留球の有無を検出するものであり、本実施形態においては、貯留球が一例として2球分排出されたことをカウント検出した時点で、その検出信号を中継基盤24等を介して球払出し制御基板23へ出力するようになっている。また前記回転制動部材67は、前記第2支軸63に対して略U字形の支持凹部76を介して着脱および回転可能に支持され、その先端部には前記第2球送り体58の区画爪部68に係脱し得る係合凸部77が形成されている。従って、この回転制動部材67は、ウエイト66の重みにより常には図3において反時計方向へ適正に回転付勢された状態で、その係合凸部77が第2球送り体58の区画爪部68および球受け部69に対して当接係合し得る構成になっている。
【0025】
また前記球抜き操作部34は、第1・第2球供給路15a,15b内から貯留球を排出操作するためのものであり、この球抜き操作部34では、適度の弾性変形可能な合成樹脂製の操作レバー78が、前記第1支軸49に対し第1球送り体50と第1カム62との間に位置するようにして回動可能に支持されている。この操作レバー78は、常には前記ストッパー48に係止保持される構成とされ、操作時にはレバー78自体の適当な弾性変形により前記ストッパー48を乗り越え、図3において時計方向へ回動し得るようになっている。また前記操作レバー78にはそのボス部から第1操作部78aと第2操作部78bが分岐形成され、手動により操作レバー78を回動操作したときには前記各操作部78a,78bが夫々対応する前記規制部材51,59に当接係合し得るようになっている。従って、前記各ソレノイド52,60の消磁状態において操作レバー78が回動操作されると、第1操作部78aが第1規制部材51を押動して第1球送り体50の区画爪部53から離隔させると共に、第2操作部78bが第2規制部材59を第1カム62の係止部73から離隔させるので、各球送り体50,58は回転可能(フリー状態)とされたもとで貯留球の球圧を受けて連続回転し、多数の貯留球を連続排出することになる。
【0026】
ここで、本実施形態のパチンコ機における電気的構成を説明すると、図23に示すように、主基板22には、遊技盤3側の各種スイッチ80と各種ソレノイド81および各種球検出スイッチ82が接続されて、ゲームおよび賞球排出に係る制御処理がなされる。また球払出し制御基板23には、カードユニット8および球貸し操作基板27aが接続されたインターフェースボード25と貯留球検出用スイッチ19(25個確認スイッチ)が接続されて、球貸しシステムの作動処理がなされる。また、球払出し制御基板23の出力側には発射制御装置83が接続され、発射停止信号の出力に基き同装置83内の各種電気部品84と発射・球送りソレノイド85および発射停止ランプ86の作動制御がなされる。更に、球払出し制御基板23には中継基板24および払出し駆動基板41が接続されて、賞球払出しおよび貸し球払出しの各制御処理がなされる一方、各払出しに際して機裏側で点滅または点灯制御される賞球ランプ87と球貸しランプ88が接続されている。そして賞球情報信号および球貸し情報信号は、外部接続端子板21(ターミナル基板とも云う)を介して図示しない外部コンピュータ等へ出力されるようになっている。
【0027】
【実施例の作用】
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機における球払出し装置の作用について説明する。さて本実施形態のパチンコ機では、カードユニット8のカード挿入口26に対するカードの挿入および機裏側での球貸し操作部27のボタン操作により、機表側の球払出し装置16の第2球払出し部33から払出された所定個数(100円分に対して25個)の貸し球が上球皿5へ供給される。このもとで打球発射装置7の作動に基いて遊技球を1球ずつ遊技盤3内へ打出すことにより所要のゲームを展開し得る。そしてゲーム中に発生したアウト球は、機構セット盤9の排出路11から機外へ排出され、またセーフ球については処理路12からセーフ球検出処理装置20内に導入され、同装置20内で1球ずつ停留検出されて賞球払出しにタイミングを合わせた時期に機外へ排出される。そして、前記球払出し装置16においては、セーフ球に対して後述するように第1球払出し部32から所定個数(少数個、多数個を含む)の賞球が上記上球皿5または下球皿6へ排出される。一方、球貸し操作に基いて後述するように第2球払出し部33から所定数の貸し球が払出される。そして必要時には、球抜き操作部34を利用して、各球供給路15a,15b内の貯留球を第1・第2球払出し部32,33の解放条件のもとで速やかに排出し得る。
【0028】
このような本実施形態のパチンコ機に装備された球払出し装置16では、前記セーフ球検出処理装置20からのセーフ球信号に基づき主基板22からの制御指令を介して球払出し制御基板23から賞球払出し信号が出力されると、次のような賞球払出し処理をなし得る。即ち、賞球払出し用の第1球払出し部32では、図12に示すように、まず上センサ37aが球有り検出をしているもとで、第1電磁ソレノイド52が励磁されることに伴い励磁力発生部55に磁力が発生するため、第1規制部材51が吸引されて同図に二点鎖線で示されるように、引張バネ57の付勢力に抗して第1球送り体50の区画爪部53から離隔して解放位置へ変移する。すると第1球送り体50は、図13に示すように、球受け部54により前記上センサ37aで球有り検出された貯留球を含む上流側の球の圧力(重み)を受けながら回転(1球分で36度)し、当該貯留球を下流側へ排出する。すると、この排出された1個の貯留球が下センサ37bにより球有り検出され、この下センサ37bの球有り検出に基づく検出信号が前記球払出し制御基板23へ出力されることに伴い、前記電磁ソレノイド52が消磁される。そのため、励磁力発生部55から解放された第1規制部材51が第1球送り体50と係合する方向へ付勢復帰して前記区画爪部53に再び係止し、これにより第1球送り体50の回転が停止される。以降同様にして上センサ37aの球有り検出に伴うソレノイド52の励磁制御と、下センサ37bの球有り検出(カウント検出)に伴うソレノイド52の消磁制御とが賞球払出し分に対する設定回数繰返されることにより、所定数(少数個と多数個)の賞球が前記ソレノイド52の1球毎の励・消磁制御に従い排出される。
【0029】
一方、前記球貸し操作において、カードユニット8側からの貸し球払出し指令を介して球払出し制御基板23から球払出し信号が出力されると、球払出し装置16では貸し球用の第2球払出し部33が次のような貸し球払出し処理(例として25個払出し)をなし得る。即ち、第2球払出し部33では、まず第2電磁ソレノイド60が励磁されることに伴い励磁力発生部70に磁力が発生するため、第2規制部材59が吸引されて引張バネ72の付勢力に抗して第1カム62の係止部73から離隔して解放位置へ変移する(図14〜図16参照)。すると、第2球送り体58は球受け部69により貯留球の球圧を受けながら回転(1球分で36度)して各球受け部69に受けた貯留球を連続して下流側へ排出する。すると、この連続排出された貯留球が貸し球用センサ39により1球ずつカウント検出され、この貸し球用センサ39による2個目の球有り検出(カウント検出)に基き当該検出信号が前記球払出し制御基板23へ出力される。すると、球払出し制御基板23では、前記貸し球用センサ39からの2個目の検出信号を受けて払出し駆動基板41へ消磁信号(消電)を出力し、これによりソレノイド60が消磁されることに伴い第2規制部材59が第1カム62と係合する方向、つまり拘束位置へ付勢復帰しようとする。
【0030】
ところが第2球払出し部では、前記第2球送り体58の連続回転に伴い第1歯車61と第2歯車64の噛合作動により、図17に示すように、第2カム65が時計方向へ所定角度だけ回転している。そのため、付勢復帰しようとする第2規制部材59は第2カム65の拘束円弧縁74に当接係合して一時的に干渉拘束される。従って第2球払出し部33では、前記ソレノイド60の消磁後においても第2球送り体58の回転状態が許容され、貸し球としての貯留球の連続排出が続けられる。ここで前記両カム62,65の相対的な回転関係についてみると、前記第1・第2歯車61,64は互いの歯数比が10対25に設定されている例において、第2カム65が第2歯車64と共に1回転(360度)すると、その間に第1カム62は第1歯車61および第2球送り体58と共に、2.5回転(900度)することになる。因みに、図16の状態を第1カム62と第2カム65の回転角度が共に0度であるとした場合、貸し球として2個の貯留球を排出した図17の状態では、第1カム62の回転角度は2球分の72度であり、一方、第2カム65の回転角度は72度/2.5の28.8度となる。
【0031】
このような状態において、更に第2球送り体58が回転して予め設定された25個の貸し球払出し予定に対し24個目の貯留球が排出された時点になると、図18に示すように、第2規制部材59は第2カム65の拘束円弧縁74から直線切欠75へ当接係合箇所を移行する。因みに、図18の状態では、第1カム62の回転角度は864度であり、一方、第2カム65の回転角度は345.6度である。この場合における第1カム62と第2カム65および第2規制部材59との相対位置関係を拡大して示したのが図19であり、同図からも明らかなように、第2カム65における拘束円弧縁74と直線切欠75との境界部位はアール状になっているため、第2規制部材59は滑らかに前記境界部位と摺接する。そして図18および図19の状態から更に回転が進行すると、第2規制部材59の付勢復帰力(引張バネ57の付勢力)が第2カム65の時計方向への回転運動に対して同方向へのモーメント(押圧力)として働くことになり、これにより最後(25個)の貯留球が貸し球として排出され、貸し球払出しが終了する。この時点では、第1カム62の係合部73に第2規制部材59の先端が係合して第2球送り体58を回転停止している。これにより第2球供給路15b内の貯留球が少なかった場合、例えば25個,26個であっても払出し終了間際における球圧不足に拘らず、前述のモーメント作用により安定した正確な払出しが遂行される。
【0032】
そして前述の球払出しにおいて、前記第2規制部材59が第1カム62の係止部73から離隔した時点(解放時点)から第2球送り体58は回転が許容されるわけであるが、その回転スピードに対して適度な制動を付与すべく前記回転制動部材67が好適に機能する。即ち回転制動部材67は、図20に示すように、ウエイト66の重みに基き係合凸部77が第2球送り体58の球受け部69に軽く圧接係合している。そして第2球送り体58が反時計方向へ回転し始めると、前記係合凸部77は球受け部69に対して適度な摩擦抵抗を付与しつつ区画爪部68を乗り越えて次の球受け部69へ係合箇所を移動し、以下同様にして第2球送り体58の回転中には常に同球送り体58の回転スピードに制動を付与することができる。これにより、第2球供給経路15,15b側における貸し球分の球圧が大きい場合(球量が多い場合)にあっても、第2球送り体58は安定した払出し回転を維持して、回転のオーバーランや騒音を出すことなく好適な払出しを遂行し得る。
【0033】
以上のように構成された本実施形態の球払出し装置16によれば、第2規制部材59が第2球送り体58の回転停止を図る拘束位置に付勢復帰して回転規制手段としての第1カム62の係止部73と係止するタイミングにより、貸し球払出し制動作動を終了するようにしたので、従来のように設定排出個数のカウント検出タイミングとソレノイド60の消磁タイミングとを一致させる必要がなくなり、制御構成を簡単なものにすることができる。
【0034】
また、電磁ソレノイド60の励磁作動により第2規制部材59を第1カム62の係止部73から離隔させた後は、予め設定された回転数だけ第2球送り体58等が回転して再び第2規制部材59が前記係止部73と係止することにより回転停止を図る構成としたので、従来のように設定排出個数分の貯留球を1球ずつカウント検出するためセンサを不要にできると共に、そのカウント検出制御も省略し得、装置全体の構成を簡素化してコスト低減を図ることも可能である。すなわち設定払出し個数が多い場合でも、ソレノイド60の1球毎の励磁・消磁制御を不要にして簡単なソレノイド制御とし得、装置の老朽化を防止し得る。
【0035】
また、貸し球払出し個数が第2球送り体58の1回転当り排出個数(10個)よりも多数個(25個)に設定された場合であっても、回転規制手段としての第1カム62と第2規制部材59との離隔タイミングから係止タイミングまでの両者間の相対関係を調整することにより、少ない球受け部69しかない小型の球送り体58を適宜に複数回(本実施形態では2.5回転)回転させれば多数個の貸し球払出し要求にも対応することができ、球受け部を多数備えた大型の球送り体を用いる必要がないので、装置全体の小型化に貢献することができる。また、将来的な払出し設定個数の変更要求(例えば100円分に対して24個,22個,20個)にも柔軟に対応することができる。
【0036】
更に、貸し球払出し用の第2球送り体58として小型のものを使用できることから、同球送り体58を備えた貸し球払出し用の第2球払出し部33を賞球払出し用の第1球払出し部32と共に限られた小スペースしかない機構セット盤9に併設することが可能とされ、機構セット盤9における大幅な使用変更等も不要にでき、パチンコ機全体の製造コストが上昇するおそれもなくすことができる。しかも、第1球払出し部32による賞球払出し作動と、第2球払出し部33による貸し球払出し作動が別々に行なわれるので、貯留球を遊技用の貸し球分とゲーム入賞用の賞球分とに明確に区分排出され、双方の球払出しに係る無用な混同,誤認を未然に回避し得ると共に円滑な球払出しを遂行し得る。
【0037】
そして本実施形態の球払出し装置16においては、図21および図22に示す球抜き操作部34を利用して貯留球を必要に応じて手早く簡単に抜出し得る。すなわち、前枠2側を開放して機構セット盤9の裏側を表側に向けた状態のもとで、係員が球抜き操作部34の操作レバー78を図21に示す位置から下方へ指先操作(手動操作)で押下げることにより、同操作レバー78が第1支軸49を基準として図中時計方向へ回動して図22に示す状態(ストッパー48を乗越えて係合した位置)に保持され、操作部78aで第1規制部材51を、また操作部78bで第2規制部材59を夫々押動する。この結果図22に示すように、第1,第2規制部材51,59が、当該の球送り体50,58から離隔して解放するため、第1,第2球送り体50,58がフリー状態とされて各々の球供給路15a,15b内の貯留球の圧力を受けて回転しながら貯留球を排出(抜出す)する。これにより、貯留球供給部内の貯留球を抜出すことが可能となり、本実施形態では、上球皿5および下球皿6へ一旦排出した後、機外へ排出される。このような球抜き操作部34を利用した球抜きの例によれば、球供給路15の途中に別の球抜き機構(図示しない)が付設された形態において、球供給路15の下端部および球払出し装置16の球供給路15a,15b内に残存する僅かな貯留球を抜出す場合にも勿論好適に利用できる。従って、球払出し装置16自体の着脱交換時等にあっては、前述した残存貯留球の楽な抜出しができるものである。
【0038】
【変更例】
なお前記実施形態における球払出し装置16は、次のように構成を変更してもよい。例えば前記実施形態では、第1・第1球払出し部32,33における夫々の規制部材51,59を当該の電磁ソレノイド52,60のフレーム枠56,71に対し基端部側面を当接係合させることにより傾動可能に支持したが(図10参照)、これを図11に示すように夫々規制部材51,59の基端部に軸89を設け、この軸89を当該のフレーム枠56,71に形成された軸孔90に対して挿入支持するようにしてもよい。
【0039】
また前記実施形態では、第1支軸49に第1カム62を第2球送り体58および第1歯車61と一体回転するように設けたが、これを図24に示すように、第2支軸63に対してカタツムリ形状の第1カム62を第2歯車64と共に一体回転するように設けてもよい。この場合には、ソレノイド60の励磁作動に伴い第2規制部材59の先端が係止部73から離隔解放した後、ソレノイド60の消磁作動に伴い付勢復帰しようとする第2規制部材59は、前記第1カム62の円弧部62aに係合して摺接し、当該第1カム62が1回転し終わったところで再び係止部73に係合して第2球送り体58の回転を停止させる。従って、この変更例の場合には、第2カム65を不要にできるので構成を簡素化することができる。
【0040】
また前記実施形態では、第1球払出し部32と第2球払出し部33とを前後方向に重ねて並設したが、これを図25および図26に示すように、左右組合せ状に配置してもよい。この場合には、第1球払出し部32の第1球送り体50は、新たに設けた軸79により支持される。これによれば、機構セット盤9における他の球経路等との関係で、このように第1球払出し部32と第2球払出し部33の配置の変更を余儀なくされる場合に対処できる。また図27に示すように、第1球払出し部32と第2球払出し部33を、夫々別々のケース体28に独立収容して前後に組合せるようにしてもよい。この場合にも第1球払出し部32の第1球送り体50は、新たに設けた軸79により支持される。
【0041】
更に前記実施形態では、球払出し装置16を、ケース単位にユニット化して機構セット盤9に対して着脱可能な構成としたが、機構セット盤9に一体形成したケース体28内に第1・第2球払出し部32,33を組込むようにしてもよい。また前記実施形態では、第1・第2歯車61,64の噛合連動により第1カム62と第2カム65との回転数に差を設けるようにしたが、径の異なるプーリ間にチェーン(ベルト)を巻き掛けて回転数に差を設けると共に、係合部を設けるようにしてもよい。
【0042】
なお、特許第2510735号,特許第2510743号,特公平5−5515号,特公平7−100081号,特公平7−102247号,特公平7−102248号,特公平7−112507号,特公平7−112509号および特開平5−96051号に開示される技術を、本実施例に係る払出し装置16に好適に採用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るパチンコ遊技機における球払出し装置によれば、貯留球供給部からの貯留球を賞球分と貸し球分とに夫々整列状に流下し得る第1供給経路と第2供給経路とを併設して、該第1供給経路に球送り体を臨ませた第1球払出し部を配設すると共に、前記第2供給経路に球送り体を臨ませた第2球払出し部を配設し、第1球払出し部を賞球用の球払出し信号に基いて単独で作動させ、第2球払出し部を貸し球用の球払出し信号に基いて単独で作動させるよう構成した球払出し装置を配設した。従って、貯留球を遊技用の貸し球分とゲーム入賞用の賞球分とに明確に区分排出されるので、双方の球払出しに係る無用な混同,誤認を未然に回避すると共に、円滑な球払出しを遂行し得る利点がある。そして、第1球払出し部と第2球払出し部とは1つのケース体内に配設されて、小型化されたケース体単位で遊技機裏側の第1および第2供給経路に対する連絡部位に着脱可能に設置されるので、その取扱いが簡単かつ容易であると共に安価に製作し得る。
【0044】
そして本発明のパチンコ遊技機における球払出し装置では、球払出し装置における第2球払出し部の第2球送り体が、第2電磁ソレノイドの励磁作動によって第2規制部材の規制を解除させた後、予め設定された回転数だけ回転するまでは回転規制部材により第2規制部材を規制解除の位置に拘束し、予め設定された回転数だけ回転した時点で再び該第2規制部材で規制して回転停止を図る構成としたので、従来のように設定排出個数分の貯留球を1球ずつカウント検出するためセンサを不要にできると共に、そのカウント検出制御も省略し得、装置全体の構成を簡素化してコスト低減を図ることも可能である。すなわち設定払出し個数が多い場合でも、第2電磁ソレノイドの1球毎の励磁・消磁制御を不要にして簡単なソレノイド制御とし得、装置の老朽化を防止し得る。更に、第2球払出し部第2の球送り体として小型のものを使用できることから、同球送り体を備えた貸し球払出し用の第2球払出し部を賞球払出し用の第1球払出し部と共に限られた小スペースしかない機構セット盤に併設することが可能とされ、機構セット盤における大幅な使用変更等も不要にでき、パチンコ機全体の製造コストが上昇するおそれもなくすことができる等の有益な効果を奏する。
また、回転制動部材により第2球送り体の回転中には常に同球送り体58の回転スピードに制動を付与することができるから、第2球送り体は安定した払出し回転を維持して、回転のオーバーランや騒音を出すことなく好適な払出しを遂行し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るカードユニットを併設したパチンコ機を略示する正面図である。
【図2】同じくカードユニットを併設したパチンコ機を略示する背面図である。
【図3】本実施形態における球払出し装置の一部破断正面図である。
【図4】図3のIV−IV線における平断面図である。
【図5】図3のV−V線における平断面図である。
【図6】図3のVI−VI線における縦断面図である。
【図7】図3のVII−VII線における縦断面図である。
【図8】球払出し装置のケース体等を分解状態で示す斜視図である。
【図9】第1球払出し部と第2球払出し部を一部破断した分解斜視説明図である。
【図10】第1球払出し部と第2球払出し部の配置関係を示す斜視図である。
【図11】第1・第2球払出し部における第1・第2規制部材の別例を示す斜視図である。
【図12】第1球払出し部の球送り体の回転停止状態を示す説明図である。
【図13】第1球払出し部の球送り体の回転許容(球送り)状態を示す説明図である。
【図14】第2球払出し部の球送り体の回転停止状態を示す説明図である。
【図15】第2球払出し部の球送り体の回転開始直後(球送り)状態を示す説明図である。
【図16】第2球払出し部の払出し前(球送り体の停止)状態を示す説明図である。
【図17】第2球払出し部の払出し途中(球送り体の回転)状態を示す説明図である。
【図18】第2球払出し部の払出し終了直前(球送り体の回転)状態を示す説明図である。
【図19】図18における要部を拡大した説明図である。
【図20】第2球払出し部における回転制動部材の作用説明図である。
【図21】球払出し装置における球抜き操作前状態の説明図である。
【図22】同じく、球払出し装置における球抜き操作後状態の説明図である。
【図23】パチンコ機の主として払出しに係る電気的構成を略示するブロック図である。
【図24】第2球払出し部における回転規制手段の別例を示す説明図である。
【図25】球払出し装置の別例を示す縦断面図である。
【図26】図25におけるX−X線における平断面図である。
【図27】球払出し装置の他の別例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
13 球タンク(貯留球供給部)
15A 第1供給経路
15B 第2供給経路
15a 第1球供給路(第1球通路)
15b 第2球供給路(第2球通路)
28 ケース体
32 第1球払出し部
33 第2球払出し部
37b 下センサ ( 第1検出手段 )
39 貸し球用センサ ( 第2検出手段 )
49 支軸
50 第1球送り体
51 第1規制部材
52 第1電磁ソレノイド
54 球受け部
58 第2球送り体
59 第2規制部材
60 第2電磁ソレノイド
62 第1カム(回転規制手段)
65 回転規制部材
69 球受け部
74 拘束円弧縁
75 直線切欠
Claims (2)
- 遊技盤内で展開されるパチンコゲームの入賞に対して払出し個数の異なる複数種類の賞球を払出し得る一方、球貸し金額に定められた設定数N個の遊技用の貸し球を払出し得るよう構成されて、縦向きに設置される遊技機において、
機裏側の貯留球供給部(13)からの貯留球を賞球分と貸し球分とに区分して夫々整列状に流下し得る第1供給経路(15A)および第2供給経路(15B)を並設する一方、この第1・第2供給経路(15A,15B)に対する連絡部位に着脱可能に設置される1つのケース体(28)内に、賞球用、貸し球用の各球払出し信号に基いて単独で払出し作動を行ない得る賞球用の第1球払出し部(32)と、貸し球用の第2球払出し部(33)とを並列状に配設し、
前記ケース体(28)では、前記第1供給経路(15A)と第2供給経路(15B)とに夫々独立して連通可能な第1球通路(15a)と第2球通路(15b)とを区分形成し、
前記第1球払出し部(32) は、前記ケース体 (28) 内に固定された1本の第1支軸 (49) に対し単独回転可能に支持され、外周に形成した複数の球受け部(54)を前記ケース体(28)の第1球通路(15a)内に臨ませて1球ずつ球送り回転して排出し得る第1球送り体(50)と、賞球用の球払出し信号に基いて作動制御される第1電磁ソレノイド(52)と、第1球送り体(50)の球送り回転毎により排出された賞球を1個ずつカウント検出し得る第1検出手段(37b)と、前記第1電磁ソレノイド (52) の励磁に伴い第1球送り体 (50) を回転停止する拘束位置から回転を許容する解放位置に切換え作動される一方、該第1球送り体 (50) の球送り回転により排出された1個の賞球を第1検出手段 (37b) が検出したことを条件に、第1電磁ソレノイド (52) の消磁に伴い第1球送り体 (50) の回転を許容する解放位置から回転停止する拘束位置へ切換え作動される第1規制部材 (51)とを備えて構成し、
前記第2球払出し部(33) は、前記ケース体 (28) 内に固定された前記第1支軸 (49) に対し単独回転可能に支持され、外周に形成した複数の球受け部(69)を前記ケース体(28)の第2球通路(15b)に臨ませて1球ずつの球送り回転により前記設定数N個より少ないn個を1回転当たりに排出し得る条件でN/n回転することで設定数N個を排出し得る第2球送り体(58)と、貸し球用の球払出し信号に基いて作動制御される第2電磁ソレノイド(60)と、前記第2球送り体 (58) の球送り回転により排出された貸球を検出し得る第2検出手段 (39) と、前記第2電磁ソレノイド (60) の励磁に伴い第2球送り体 (58) を回転停止する拘束位置から回転を許容する解放位置に切換え作動される一方、該第2球送り体 (50) の球送り回転により連続して排出された貸し球を第2検出手段 (39) が検出したことを条件に、第2電磁ソレノイド (60) の消磁に伴い第2球送り体 (58) の回転を許容する解放位置から回転停止する拘束位置へ向けて切換え作動される第2規制部材 (59) と、前記第2球送り体(58)と一体的に回転可能に設けられて前記第2規制部材 (59) に係脱可能に係合し、該第2規制部材 (59) との係合により第2球送り体 (58) を回転停止する一方で、該第2規制部材(59)から離隔することにより第2球送り体(58)の回転を許容する回転規制手段(62)と、前記第2球送り体 (58) の回転に連動回転し得るよう前記ケース (28) 内に固定された第2支軸 (63) に対し回転可能に支持され、前記第2球送り体 (58) がN/n回転することで1回転する回転規制部材 (65)とを備えて構成し、
前記回転規制部材 (65) には、前記第2規制部材 (59) に当接係合して前記第2球送り体 (58) が回転可能な解放位置に前記第2規制部材 (59) を干渉拘束する拘束円弧縁 (74) と、前記第2球送り体 (58) がN/n回転した時点で前記第2規制部材 (59) を拘束円弧縁 (74) による干渉拘束から解放して前記回転規制手段 (62) と係合可能な拘束位置への変移を許容する直線切欠 (75) とを外周面に形成して、
前記第2電磁ソレノイド (60) の励磁作動により前記第2規制部材 (59) が拘束位置から解放位置へ変移して前記回転規制手段 (62) から離隔した時点で前記第2球送り体 (58) が回転して貸し球を連続して排出する一方、排出された貸し球を前記第2検出手段 (39) が検出したことを条件として前記第2電磁ソレノイド (60) を消磁した以後では、前記回転規制部材 (65) が第2規制部材 (59) を解放位置に干渉拘束したまま前記第2球送り体 (58) がN/n回転した時点で、第2規制部材 (59) が拘束位置に復帰して前記回転規制手段 (62) に係止することにより設定数N個の貸し球を排出し終えるよう構成した
ことを特徴とするパチンコ遊技機における球払出し装置。 - 前記第2球送り体 (58) は、前記球受け部 (69) が複数の区画爪部 (68) により区画されると共に、第2球送り体 (58) の上方位置には、バランス用のウエイト (66) を有すると共に前記区画爪部 (68) に係脱し得る係合凸部 (77) を先端部に形成した回転制動部材 (67) が回転可能に支持され、該回転制動部材 (67) は、前記ウエイト (66) の重みにより常には前記係合凸部 (77) が前記第2球送り体 (58) の区画爪部 (68) および球受け部 (69) に対して当接係合するように回動付勢されている請求項1に記載のパチンコ遊技機における球払出し装置。
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