JP3904749B2 - パチンコ遊技機の球排出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パチンコ遊技機の球排出装置に係り、縦向きで遊技に供されて、機裏側に貯留されたパチンコ球(貯留球ともいう。)を賞球分と貸し球分とに区分して払出し得るようにしたパチンコ遊技機における球排出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機やアレンジボール機に代表されるこの種の遊技機では、遊技操作に基づいて開始される1球毎の球送り発射制御作動により、上球皿から発射位置に送込まれた遊技球を遊技盤内に打出して所要のパチンコゲームを行ない得る。そして、このゲーム中の入賞条件(セーフ球の発生や入球による図柄組合わせの得点成立等)に対して、機裏側の貯留球供給部から供給される貯留球が球払出装置の払出し作動毎に所定数(例えば5個〜15個の範囲)の賞球として、所定の球供給路を経て上球皿及び下球皿へ払出されるようになっている。このようなパチンコ遊技機にあって一般に前記球払出装置では、入賞条件毎に対する電動具(ソレノイドやモータ)の駆動制御により前記球供給路に臨む球送り体を回転制御させながら賞球を払出してカウント検出する電動タイプのものが使用されている。
【0003】
一方、遊技機の取扱いにより前記貯留球供給部から球払出装置に至る球供給路内の相当量の貯留球を抜取る必要がある場合には、一般に前枠の正面側部に形成された操作孔から操作杆を挿入して機裏側の球抜き装置を作動させ、球払出装置の下流側に設けられた切換え弁を払出し位置側から球抜き位置側に変移保持したもとで、球払出装置のソレノイドを励磁作動させて前記球供給路内に球受け部が臨む球送り体を回転フリー状態とすることにより、前記球供給路内に残存している全貯留球を機外の裏側へ排出するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが前述したようなパチンコ遊技機にあっては、球払出し指令に対応して球払出装置のソレノイドを複数回あるいは1球分毎に励磁消磁制御する等の条件が設定されている。特に、近時においては前記貯留球を賞球として払出すことの他に貸し球として払出すことも要求されているため、前記球払出装置が貸し球の払出し用としても兼用され、賞球用・貸し球用の夫々の球払出し指令に対応して前記ソレノイドの励磁消磁制御が行われている。従って、前述したように貯留球を抜取る必要がある度毎に球払出装置のソレノイドに対する励磁作動制御を行うことは、ますますパチンコ遊技機の電気的制御構成を複雑化することになり設計の煩雑さとも相俟って製造コストを上昇させる一因となっていた。また球払出し装置において前記貯留球を賞球分と貸し球分とに区分して払出すべく球供給路を複数並設し、夫々の球供給路に対応して球送り体及びソレノイドを複数配設した形態にあっては、更により一層、前記電気的制御構成が複雑化するという問題があった。
【0005】
本発明は前述した課題を解決するためになされたものであって、賞球用と貸し球用との夫々の球払出し指令(信号)に基づく独自の球払出し作動を別々に行って、貯留球を賞球分と貸し球分とに区分して払出し得る一方、球抜きの必要時に前記賞球分と貸し球分とを合わせた貯留球を迅速に排出し得るようにしたパチンコ遊技機の球排出装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本願請求項1の発明に係るパチンコ遊技機の球排出装置は、縦向きの遊技盤内で展開されるパチンコゲームの入賞に対して所定個数(n個)の賞球を払出し得る一方、一定個数(N個)の貸し球を遊技用に払出し得るパチンコ遊技機の球排出装置において、機裏側の貯留球供給部から供給される貯留球を賞球分と貸し球分とに区分して夫々整列状に流下し得る賞球用の第1球供給路及び貸し球用の第2球供給路を並設する一方、これら第1・第2球供給路に対する夫々の隣接部位に、賞球用の第1払出し部及び貸し球用の第2払出し部を配設すると共に、この第1・第2払出し部を球抜き解放状態に操作し得る球抜き操作部を組付け、前記第1・第2払出し部では、前記第1球供給路内を流下する貯留球を1球ずつ球受け回転して球排出を進行し得る第1球送り体及び該第1球送り体とは別体構成で前記第2球供給路内を流下する貯留球を1球ずつ球受け回転して球排出を進行し得る第2球送り体と、前記第1球送り体の回転停止を図る拘束位置及びその回転を許容する解放位置との間で切換え変移可能とされ常には拘束位置側に付勢された第1規制部材及び該第1規制部材とは別体構成で前記第2球送り体の回転停止を図る拘束位置及びその回転を許容する解放位置との間で切換え変移可能とされ常には拘束位置側に付勢された第2規制部材とを夫々備え、前記球抜き操作部では、前記第1・第2払出し部を球抜き解放状態にする第1位置と非解放状態にする第2位置との間で切換え変移可能とされた操作部材を備えると共に、該操作部材には、前記第1払出し部の第1規制部材に対して係合可能な第1操作部と前記第2払出し部の第2規制部材に対して係合可能な第2操作部とを分岐形成し、この操作部材を第1位置に保持して前記第1・第2操作部を各々が対応する前記第1・第2規制部材に当接係合させることにより、それら第1・第2規制部材を各々が対応する第1・第2球送り体に対する解放位置に変移保持させて、各球送り体を球受け回転可能な状態にしたもとで、前記貯留球供給部側の貯留球を前記第1・第2球供給路の下方へ球抜き排出し得るようにしたことを特徴としている。
【0007】
従って、本願請求項1の発明においては、第1・第2規制部材がそれぞれ拘束位置にあって第1・第2球送り体の回転停止が図られた状態において、球抜き操作部の操作部材を第2位置から第1位置へ変移させると、操作部材に分岐形成された第1・第2操作部が対応する第1・第2規制部材に当接係合し、前記第1・第2規制部材がそれぞれ拘束位置から解放位置に変移させられる。すると、前記第1・第2球送り体の回転がそれぞれ許容されるため、第1球供給路及び第2球供給路内の貯留球は各球送り体の球受け回転に従い夫々第1・第2払出し部の下方へ排出される。
【0008】
また、本願請求項2の発明は、前記請求項1の発明において、前記球抜き操作部(34)では、前記操作部材が手動により回動操作される操作レバーにて構成されており、該操作レバーの前記第2位置から第1位置への切換え変移操作に基づき前記第1・第2操作部が前記第1・第2規制部材を対応する第1・第2球送り体に対する解放位置に変移保持可能としたことを特徴とする。従って、本願請求項2の発明においては、前記請求項1の発明の作用に加えて、操作部材を構成する操作レバーが第2位置から第1位置へ回動操作された際、第1・第2払出し部の各規制部材は夫々対応する第1・第2操作部により同時に且つ確実に拘束位置から解放位置へ変移させられる。
また、本願請求項3の発明は、前記請求項2の発明において、前記操作レバーは、弾性変形可能な合成樹脂製であり、常には前記球抜き操作部を通常状態に保持するためのストッパーに係止保持される一方、回動操作されたときにはレバー自体が適当な弾性変形により前記ストッパーを乗り越えて該ストッパーに係合した状態に保持され、前記第1操作部で前記第1規制部材を、前記第2操作部で前記第2規制部材を夫々押動するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るパチンコ遊技機の球排出装置について、好適な実施形態を挙げて添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお本実施形態では、遊技球を1個ずつ遊技盤内に打出して遊技球の入賞ゲーム(アウト球とセーフ球とに区分)を展開するタイプにあって、機裏側の貯留球を、入賞成立(セーフ球の発生)に対する賞球と、球貸しシステムを利用した遊技球用の貸し球とに区分排出して球皿側へ供給し得るパチンコ機の場合を主に例示する。
【0010】
本実施形態のパチンコ機は、その基本的構成の概要として、図1及び図2に略示するように、機体の外郭をなす外枠1の開口前面側に、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の前枠2が開閉及び着脱可能に組付けられており、この前枠2の前面側に遊技盤3を透視保護するための窓枠4と上球皿5とが共に横開き形態で開閉可能に組付け整合されると共に、前枠2の下部には下球皿6及び打球発射装置7等が装着されている。なお、外枠1の一側縁には球貸しシステムに利用されるカードユニット8が装備されている。
【0011】
一方、前記前枠2の裏側には各種の球経路及び処理部等を備えた機構セット盤9が着脱可能にセットされ、この機構セット盤9では、遊技盤点検用窓口10の周囲において、アウト球用の排出路11とセーフ球用の処理路12が区画形成されている。そして、貯留球供給部としての球タンク13から整流樋14を介して貯留球が流下供給される球供給路15の下流端に後述する球払出し装置16が着脱可能にビス等で取着セットされ、この球払出し装置16から賞球又は貸し球として払出された貯留球が従来と同様に排出経路(図示しない)を介して前記上球皿5へ供給されるようになっている。なお、前記整流樋14については、図示はしないが、1列の賞球路と1列の貸し球路とを区画並列したタイプ、2列の賞球路と1列又は2列の貸し球路とを区画並列したタイプとが提案され、後者の2列タイプでは、整流樋14から前記球供給路15に向けて賞球と貸し球とを夫々1列化する整列手段が付されることが望ましい。
【0012】
前述した機構セット盤9におけるその余の構成としては、整流樋14の貸し球路側の所定位置には貯留球検出用スイッチ(25個確認スイッチともいう。)19が設置されている。一方、前記処理路12の下流端にはセーフ球検出処理装置20が着脱可能にセットされ、セーフ球を1個ずつ停留検出して所定個数の賞球払出し後に当該セーフ球を解放通出するようになっている。なお、図2中、21は電源部(AC24V)に接続される外部接続端子板であり、22はゲーム内容を制御する主基板、23はセーフ球検出処理と貯留球排出処理(賞球払出しと貸し球払出し)を制御する電気的制御部としての球払出し制御基板、24は球払出し装置16と球払出し制御基板23とを電気的に中継接続する中継基板、25は前記カードユニット8と球払出し制御基板23とを電気的に接続するインターフェースボードである。
【0013】
このような本実施形態のパチンコ機は、図示はしないが、遊技ホール内の通称「島」と呼ばれる設置枠台の各区画枠内に前記カードユニット8と共に設置されて縦向きで遊技に供される。そして、図示しない補給設備における配球ユニットから必要時に供給される相当量のパチンコ球を前記球タンク13内に受入れて整流樋14に収容しており、パチンコゲーム中に発生したセーフ球が前記セーフ球検出処理装置20により1球ずつ停留検出される毎に所定個数(本実施形態では例として少数個5〜9個、多数個10〜15個)の賞球を払出し得る。一方球貸しシステムでは、前記カードユニット8のカード挿入口26にカードが挿入されて上球皿5の上部前面に設けられた球貸し操作部27が操作されると、図示しないカードリーダの球貸し判読制御条件に従い、貯留球検出用スイッチ19の球有り検出条件において前記カードの有効金額内における一定額単位に対して所定個数(本実施形態では100円分に対して25個)の貸し球を払出し得る。
【0014】
一方、本実施形態における前記球払出し装置16は、前記球払出し制御基板23からの出力信号により制御作動されるもとで、同基板23から賞球払出し指令信号又は貸し球払出し指令信号が出力されると、これらの各信号に応じて入賞成立に対する賞球と遊技用の貸し球とを区分排出し得る。そして、この球払出し装置16では、その基本的な構成として図3〜図8に示すように、四角箱状にユニット化された合成樹脂製のケース体28内に断面略H形をなす通路樋29により前記球供給路15の一部をなす第1球供給路15aと第2球供給路15bとを前後方向(図3において紙面と直交する方向)において区画形成すると共に、各球供給路15a,15bに臨む部位に賞球払出し用の第1払出し部32と貸し球払出し用の第2払出し部33及び後述する球抜き操作部34等を備えている。
【0015】
このような球払出し装置16において、前記ケース体28は、図8に示すように、前後一対をなす蓋状の第1ケース28aと有底箱状の第2ケース28bとをビス等で組合せると共に、これら両ケース28a,28b間に前記通路樋29が組付けられている。前記通路樋29における第1・第2球供給路15a,15bと対応する右側中央部位には夫々第1・第2切欠35,36が形成され、第1球供給路15a側の第1切欠35の近傍には後述する賞球用センサ(発光側)37を備えた第1センサ基板38が設置される一方、第2球供給路15b側の第2切欠36の近傍には検出手段としての後述する貸し球用センサ(発光側)39を備えた第2センサ基板40が設置されている。
【0016】
また前記通路樋29における各球供給路15a,15bと対応する左側部位には払出し駆動基板41が装備され、同基板41には前記発光側の各センサ37,39と対応する位置に受光側の各センサ37,39が装備されると共に、前記球払出し制御基板23等と図示しない配線を介して接続されるコネクタ42が装備されている。なお前記各センサ37,39は夫々発光側と受光側の各先端部が対応する球供給路15a,15b内に臨むように通路樋29の壁部に形成された検出孔43に挿通されている。また図8中、44は配線挿入用溝であり、45はコネクタ42への接続時に配線が挿通される開口、46はケース体28外の球供給路15と第1球供給路15aとを連絡する第1連絡口、47は前記球供給路15と第2球供給路15bとを連絡する第2連絡口、48は前記球抜き操作部34を通常状態に保持するためのストッパーである。
【0017】
前記球払出し装置16における第1払出し部32は、ケース体28における前側(図3において奥側、図4において上側)に組込まれ、賞球用貯留球の球供給路15からの貯留球を1個ずつ通入出検出するもので、賞球用の球払出し部として機能する。この第1払出し部32は、図3〜図7に例示するように、ケース体28のほぼ中央部において第1・第2ケース28a,28b間に架設された第1支軸49に対し回転可能に支持された爪車状の第1球送り体50と、第1球送り体50の回転・停止規制をなす第1規制部材51の切換作動源である電磁式の第1ソレノイド52と、第1球供給路15a内の貯留球の有無を検出する上センサ37a及び下センサ37bからなる賞球用センサ37とを備えている。
【0018】
前記第1球送り体50は、例えばポリアセタール等に代表される比較的硬質の合成樹脂からなり、この第1球送り体50では、外周に形成した複数(本実施形態では10箇所)の区画爪部53により区画された各球受け部54を前記通路樋29の第1切欠35から第1球供給路15a内に臨ませ、その球受け部54により第1球供給路15a内を流下する貯留球を1個ずつ球圧を受けながら回転して当該貯留球を賞球として排出し得るようになっている。また前記第1ソレノイド52は球払出し制御基板23からの賞球払出し指令信号に基づき作動制御されて、励磁信号に伴い磁力発生部55で磁力を発生し得る一方、その磁力を消磁信号に伴い消失する電磁フラッパー形式のソレノイドであり、そのフレーム枠56には前記第1規制部材51が傾動可能に支持されている。
【0019】
また前記第1規制部材51は金属製レバーからなり、電源投入時の作動状態において、常には付勢部材としての引張バネ57により前記第1球送り体50の区画爪部53と係止する方向へ付勢保持されて第1球送り体50の回転停止(拘束)を図るようになっている。一方、前記第1ソレノイド52の励磁作動に伴い磁力発生部55が通電されると、その磁力により前記引張バネ57の付勢力に抗して区画爪部53から離隔して第1球送り体50の回転を許容(解放)するようになっている。また前記賞球用センサ37を構成する上センサ37aと下センサ37bは上下方向において互いに1球分の検出間隔で配置されて第1球供給路15a内に臨み、左右一対の上センサ37aにより賞球として払出し可能な貯留球の有無を検出する一方、左右一対の下センサ37bにより賞球として払出された貯留球の有無を検出(カウント検出)するようになっている。そして、前記賞球用センサ37は排出された貯留球を下センサ37bにより1球ずつ検出する毎に当該検出信号を中継基板24等を介して球払出し制御基板23へ出力するようになっている。
【0020】
一方、前記球払出し装置16における第2払出し部33は、ケース体28における後側(図3において手前側、図4において下側)に組込まれ、貸し球用貯留球の球供給路15からの貯留球を1個ずつ通入出検出するもので、貸し球用の球払出し部として機能する。この第2払出し部33は、図3〜図7に例示するように、前記第1球送り体50と同様に前記第1支軸49を共通軸として回転可能に支持された爪車状の第2球送り体58と、第2球送り体58の回転・停止規制をなす第2規制部材59の切換作動源である電磁式の第2ソレノイド60と、前記第2球送り体58の下流側において第2球供給路15b内の貯留球の有無を検出する貸し球用センサ39とを備えている。
【0021】
さらに前記第2払出し部33では、図9及び図10に例示するように、前記第1支軸49に対して第2球送り体58と一体回転するように第1歯車61(歯数10)と回転規制手段としての第1カム62が支持されている。これら第2球送り体58と第1歯車61及び第1カム62の三者は一体回転可能に一体結合された構成でも又は三者が一体成形された構成であってもよい。また前記第1支軸49よりも上方位置において第1・第2ケース28a,28b間には第2支軸63が架設され、この第2支軸63に対して前記第1歯車61に噛合して連動回転する第2歯車64(歯数25)が回転可能に支持されている。即ち、本実施形態では、所定の歯数比(n:N)に基づき互いに回転差を有する前記第1歯車61と第2歯車64とにより差動(歯車)機構が構成されている。また前記第2支軸63に対しては前記第2規制部材59の傾動範囲内に位置するようにして第2歯車64と一体的に回転する規制干渉手段としての第2カム65が回転可能に支持されると共に、前記第2歯車64よりも後側(図3において手前側、図4において下側)には前記第2球送り体58の上方に位置するようにバランス用のウエイト66を有する回転制動部材67が回転可能に支持されている。
【0022】
このような第2払出し部33において、前記第2球送り体58は第1球送り体50とほぼ同じ構成をなし、複数(本実施形態では10箇所)の区画爪部68により区画された各球受け部69を前記通路樋29の第2切欠36から第2球供給路15b内に臨ませ、その球受け部69により第2球供給路15b内を流下する貯留球を1個ずつ球圧を受けながら回転して当該貯留球を貸し球として排出し得るようになっている。また前記第2ソレノイド60は球払出し制御基板23からの貸し球払出し指令信号に基づき作動制御されて、励磁信号に伴い磁力発生部70で磁力を発生し得る一方、その磁力を消磁信号に伴い消失する電磁フラッパー形式のソレノイドであり、そのフレーム枠71には前記第2規制部材59が傾動可能に支持されている。
【0023】
また第2規制部材59は、前記第1規制部材51と同様に金属製レバーからなり、電源投入時の作動状態において、常には付勢部材としての引張バネ72により前記第1・第2の両カム62,65と係合する方向へ付勢保持されている。前記第1カム62の外周カム面には前記第2規制部材59の先端を係止可能な2つの係止部73が互いに180度の角度をおいて形成され、いずれか一方の係止部73に係止する位置(拘束位置)へ第2規制部材59を前記引張バネ72の付勢力により復帰させることにより第2球送り体58の回転停止を図り、前記第2規制部材59の先端を各係止部73から離隔させることにより第2球送り体58の回転を許容するようになっている。一方、前記第2カム65の外周カム面には前記第2規制部材59と当接係合して同規制部材59を前記第1カム62から離隔した位置(解放位置)に干渉拘束するための一定半径をもつ拘束縁としての拘束円弧縁74が、一例として約270度の角度範囲に亘り形成されると共に、前記第2ソレノイド60の消磁後において前記拘束位置へ付勢復帰しようとする前記第2規制部材59に干渉せず同規制部材59と前記係止部73との係止を許容するための解放縁としての直線切欠75が、一例として約90度の角度範囲に亘り形成されている。
【0024】
また前記貸し球用センサ39は第2球送り体58の回転に伴って貸し球として払出された貯留球の有無を検出するものであり、本実施形態においては貯留球が一例として2球分排出されたことをカウント検出した時点でその検出信号(特定個数検出信号)を中継基板24等を介して球払出し制御基板23へ出力するようになっている。また前記回転制動部材67は前記第2支軸63に対して略U字形の支持凹部76を介して着脱及び回動可能に支持され、その先端部には前記第2球送り体58の区画爪部68に係脱し得る係合凸部77が形成されている。従って、前記回転制動部材67は、ウエイト66の重みにより常には図3において反時計方向へ適正に回動付勢された状態で、その係合凸部77が第2球送り体58の区画爪部68及び球受け部69に対して当接係合する構成になっている。
【0025】
また前記球抜き操作部34は、第1・第2球供給路15a,15b内から貯留球を排出操作するためのものであり、この球抜き操作部34では、適度の弾性変形可能な合成樹脂製の操作レバー78が操作部材として前記第1支軸49に対し第1球送り体50と第1カム62との間に位置するようにして回動可能に支持されている。この操作レバー78は常には前記ストッパー48に係止保持される構成とされ、操作時にはレバー78自体が適当な弾性変形により前記ストッパー48を乗り越え、図3において時計方向へ回動するようになっている。また前記操作レバー78にはそのボス部から第1操作部78aと第2操作部78bが分岐形成され、手動により操作レバー78を回動操作したときには前記各操作部78a,78bが夫々対応する前記規制部材51,59に当接係合するようになっている。従って、前記各ソレノイド52,60の消磁状態において操作レバー78が回動操作されると、第1操作部78aが第1規制部材51を第1球送り体50の区画爪部53から離隔させると共に、第2操作部78bが第2規制部材59を第1カム62の係止部73から離隔させるので、各球送り体50,58は回転可能(フリー状態)とされたもとで貯留球の球圧を受けて連続回転し、多数の貯留球を連続排出することになる。
【0026】
ここで、本実施形態のパチンコ機における電気的構成を説明すると、図23に示すように、主基板22には遊技盤側の各種スイッチ80と各種ソレノイド81及び各種球検出スイッチ82が接続されて、ゲーム及び賞球排出に係る制御処理がなされる。また球払出し制御基板23にはカードユニット8及び球貸し操作基板27aが接続されたインターフェースボード25と貯留球検出用スイッチとしての25個確認スイッチ19が接続されて、球貸しシステムの作動処理がなされる。また球払出し制御基板23の出力側には発射制御装置83が接続され、発射停止信号の出力に基づき同装置83内の各種電気部品84と発射・球送りソレノイド85及び発射停止ランプ86の作動制御がなされる。さらに球払出し制御基板23には中継基板24及び払出し駆動基板41が接続されて、賞球払出し及び貸し球払出しの各制御処理がなされる一方、各払出しに際して機表側で点滅又は点灯制御される賞球ランプ87と球貸しランプ88が接続されている。そして、賞球情報信号及び球貸し情報信号は外部接続端子板21を介して図示しない外部コンピュータ等へ出力されるようになっている。
【0027】
次に本実施形態のパチンコ遊技機における作用につき説明する。さて本実施形態のパチンコ機では、カードユニット8のカード挿入口26に対するカードの挿入及び機表側での球貸し操作部27のボタン操作により、機裏側の球払出し装置16の第2払出し部33から払出された所定個数(100円分に対して25個)の貸し球が上球皿5へ供給される。このもとで打球発射装置7の作動に基づいて遊技球を1球ずつ遊技盤3内へ打出すことにより所要のゲームを展開し得る。そしてゲーム中に発生したアウト球は機構セット盤9の排出路11から機外へ排出され、またセーフ球については処理路12からセーフ球検出処理装置20内に導入され、同装置20内で1球ずつ停留検出されて賞球払出しにタイミングを合せた時期に機外へ排出される。そして前記球払出し装置16においては、セーフ球に対して後述するように第1払出し部32から所定個数(少数個、多数個を含む。)の賞球が前記上球皿5又は下球皿6へ排出される。一方、球払出し操作に基づいて後述するように第2払出し部33から所定数の貸し球が払出される。そして球抜き操作部34を利用して貯留球を第1,第2払出し部32,33から機外へ排出し得る。
【0028】
このような本実施形態のパチンコ機に装備された球払出し装置16では、前記セーフ球検出処理装置20からのセーフ球信号に基づき主基板22からの制御指令を介して球払出し制御基板23から賞球払出し信号が出力されると、次のような賞球払出し処理をなし得る。即ち、賞球払出し用の第1払出し部32では、図12に示すように、まず上センサ37aが球有り検出しているもとで第1ソレノイド52が励磁されることに伴い磁力発生部55に磁力が発生するため、第1規制部材51が吸引されて同図に二点鎖線で示されるように、引張りバネ57の付勢力に抗して第1球送り体50の区画爪部53から離隔して解放位置へ変移する。すると、図13に示すように、第1球送り体50はその球受け部54で前記上センサ37aにより球有り検出された貯留球を含む上流側の球の圧力(重み)を受けながら回転(1球分で36度)し、当該貯留球を下流側へ排出する。すると、この排出された1個の貯留球が下センサ37bにより球有り検出され、この下センサ37bの球有り検出に基づく検出信号が前記球払出し制御基板23へ出力されることに伴い、前記第1ソレノイド52が消磁される。そのため、磁力発生部55から解放された第1規制部材51が第1球送り体50と係合する方向へ付勢復帰して前記区画爪部53に再び係止し、これにより第1球送り体50の回転が停止される。以後同様にして、上センサ37aの球有り検出に伴う第1ソレノイド52の励磁制御と、下センサ37bの球有り検出(カウント検出)に伴う第1ソレノイド52の消磁制御とが賞球払出し分に対する設定回数繰り返されることにより、所定数(少数個と多数個)の賞球が前記第1ソレノイド52の1球毎の励磁・消磁制御に従い排出される。
【0029】
一方、前記球貸し操作において、カードユニット8側からの貸し球払出し指令を介して球払出し制御基板23から貸し球払出し信号が出力されると、球払出し装置16では貸し球用の第2払出し部33が次のような貸し球払出し処理(例として25個払出し)をなし得る。即ち、第2払出し部33では、まず第2ソレノイド60が励磁されることに伴い磁力発生部70に磁力が発生するため、第2規制部材59が吸引されて引張りバネ72の付勢力に抗して第1カム62の係止部73から離隔して解放位置へ変移する(図14〜図16参照)。すると、第2球送り体58は球受け部69により貯留球の球圧を受けながら回転(1球分で36度)して各球受け部69に受けた貯留球を連続して下流側へ排出する。すると、この連続排出された貯留球が貸し球用センサ39により1球ずつカウント検出され、この貸し球用センサ39による2個目の球有り検出(カウント検出)に基づき当該検出信号(特定個数検出信号)が前記球払出し制御基板23へ出力される。すると、球払出し制御基板23では前記貸し球用センサ39からの2個目検出信号を受けて払出し駆動基板41へ消磁信号を出力し、これにより第2ソレノイド60が消磁されることに伴い第2規制部材59が第1カム62と係合する方向、つまり拘束位置へ付勢復帰しようとする。
【0030】
ところが、第2払出し部33では前記第2球送り体58の連続回転に伴い第1歯車61と第2歯車64の噛合作動により、図17に示すように、第2カム65が時計方向へ所定角度だけ回転している。そのため、付勢復帰しようとする第2規制部材59は第2カム65の拘束円弧縁74に当接係合し、この拘束円弧縁74との当接係合状態が続く間は前記第2球送り体58の回転を許容する解放位置において一時的に干渉拘束される。従って、第2払出し部33では前記第2ソレノイド60の消磁後においても第2球送り体58の回転状態が許容され、貸し球としての貯留球の連続排出が続けられる。ここで前記両カム62,65の相対的な回転関係についてみると、前記第1・第2歯車61,64は互いの歯数比が10対25に設定されている例において、第2カム65が第2歯車64と共に1回転(360度)すると、その間に第1カム62は第1歯車61及び第2球送り体58と共に2.5回転(900度)することになる。因みに、図16の状態を第1カム62と第2カム65の回転角度が共に0度であるとした場合、貸し球として2個の貯留球を排出した図17の状態では、第1カム62の回転角度は2球分の72度であり、一方、第2カム65の回転角度は72度/2.5の28.8度となる。
【0031】
このような状態において、更に第2球送り体58が回転して予め設定された25個の貸し球払出し予定に対し払出し終了間際個数である24個目の貯留球が排出された時点になると、図18に示すように、第2規制部材59は第2カム65の拘束円弧縁74から直線切欠75へ当接係合箇所を移行する。因みに、図18の状態では、第1カム62の回転角度は864度であり、一方、第2カム65の回転角度は345.6度である。この場合における第1カム62と第2カム65及び第2規制部材59との相対位置関係を拡大して示したのが図19であり、同図からも明らかなように、第2カム65における拘束円弧縁74と直線切欠75との境界部位はアール状になっているため、第2規制部材59は滑らかに前記境界部位と摺接する。そして図18,図19の状態から更に回転が進行すると、第2規制部材59の付勢復帰力(引張りバネ72の付勢力)が第2カム65の時計方向への回転運動に対して同方向へのモーメントとして働くことになり、これにより最後の(25個目)の貯留球が貸し球として排出され、貸し球払出しが終了する。この状態では、第1カム62の係止部73に第2規制部材59が係止して第2球送り体58の回転を停止させている。このような払出しによれば、貸し球用の貯留球が少なかった場合、例えば貯留球の数が25個や26個の場合であっても、球払出し終了間際における貯留球の球圧不足に拘わらず前記モーメント機能により安定した正確な払出しが遂行される。
【0032】
そして前述の球払出しにおいて、前記第2規制部材59が第1カム62の係止部73から離隔した時点(解放時点)から第2球送り体58は回転が許容されるわけであるが、その回転スピードに対して適度な制動を付与すべく前記回転制動部材67が好適に機能する。即ち、図20に示すように、回転制動部材67はウエイト66の重みに基づき係合凸部77が第2球送り体58の球受け部69に軽く圧接係合している。そして第2球送り体58が反時計方向へ回転し始めると、前記係合凸部77は球受け部69に対して適度な摩擦抵抗を付与しつつ区画爪部68を乗り越えて次の球受け部69へ係合箇所を移動し、以下同様にして第2球送り体58の回転中は常に同球送り体58の回転スピードに制動を付与することができる。これにより第2球送り体58は安定した払出し回転を維持して、回転のオーバーランや騒音を出すことなく好適な払出しを遂行し得る。
【0033】
以上のように構成された本実施形態のパチンコ遊技機によれば、第2規制部材59が第2球送り体58の回転停止を図る拘束位置に付勢復帰して回転規制手段としての第1カム62の係止部73と係止するタイミングにより貸し球払出し制御作動を終了するようにしたので、従来のように設定排出個数のカウント検出タイミングとソレノイドの消磁タイミングとを一致させる必要がなくなり、制御構成を簡単なものにすることができる。
【0034】
即ち、本実施形態では第2ソレノイド60の消磁に伴って拘束位置側へ付勢復帰しようとする第2規制部材59を規制干渉手段としての第2カム65によって第2ソレノイド60の消磁以後においても一時的に解放位置に干渉拘束し得る。従って、第2ソレノイド60の消磁タイミング設定に関しては、その制御プログラムにおける設計自由度が大きくなるという効果がある。例えば第2ソレノイド60の励磁タイミングから消磁タイミングまでの間隔設定の自由度を大きくもつことができ、また第2ソレノイド60の励磁時間を短縮することができる。
【0035】
しかも、本実施形態では前記第2ソレノイド60の消磁タイミングを検知手段としての貸し球用センサ39が2個目(特定個数n1,n1<n)の貯留球排出を検出した時点に対応させ、その時点では前記拘束円弧縁74が第2規制部材59と当接係合するように設定されている。従って、第2ソレノイド60の消磁作動に伴い前記拘束位置側へ付勢復帰しようする第2規制部材59を確実に解放位置に干渉拘束することができる。そして前記第2カム65が更に回転して前記拘束円弧縁74に連続形成された解放縁としての直線切欠75を第2規制部材59に対応させることにより、前記第2規制部材59に対する干渉拘束を解除して当該第2規制部材59を第1カム62の係止部73に係合させることができ、第2球送り体58を確実に2.5回転(N/n回転)させることができる。
【0036】
また第2ソレノイド60の励磁作動により第2規制部材59を第1カム62の係止部73から離隔させた後は、予め設定された回転(N/n回転)数だけ第2球送り体58等が回転して再び第2規制部材59が前記係止部73と係止することにより回転停止を図る構成であるので、従来のように設定排出個数分の貯留球をカウント検出するためのセンサを不要にでき、装置全体の構成を簡素化してコスト低減を図ることも可能である。即ち、1球排出する毎にソレノイドの励磁と消磁を繰り返し行う構成の場合に比して、設定払出し個数が多数個の場合でも煩雑なソレノイドのオンオフ制御をする必要がなく、簡単なソレノイド制御で済ませることができる。さらに頻繁な励磁消磁を伴わないため熱損傷などに起因する装置の老朽化を防止し得るという効果もある。
【0037】
また貸し球払出し個数が第2球送り体58の1回転当たり排出個数(10個)よりも多数個(25個)に設定された場合でも、回転規制手段としての第1カム62と第2規制部材59との離隔タイミングから係止タイミングまでの両者62,59間の相対関係を調整することにより、少ない球受け部69しかない小型の球送り体58を適宜に複数回(本実施形態では2.5回転)回転させれば多数個の貸し球払出し要求にも対応することができ、球受け部を多数備えた大型の球送り体を用いる必要がないので、装置全体の小型化に貢献することができる。また前記第1・第2歯車61,64の歯数比を適宜に変更して差動(歯車)機構がもたらす第1カム62と第2カム65との間の回転差を変更することにより、前記第2球送り体58の貸し球排出に関する設定回転(N/n回転)数を変更し得るので、将来的な払出し設定個数の変更要求、例えば100円分に対して24個とか22個等という変更要求にも柔軟に対処することができる。さらに、第2球送り体58として小型のものを使用できることから、同球送り体58を備えた貸し球払出し用の第2払出し部33を賞球払出し用の第1払出し部32と共に限られた小スペースしかない機構セット盤9に併設することが可能とされ、機構セット盤9における大幅な使用変更等も不要にでき、パチンコ機全体の製造コストが上昇するおそれもなくすことができる。
【0038】
そして本実施形態の球払出し装置16においては、図21,図22に示す球抜き操作部34を利用して貯留球を必要に応じて手早く簡単に抜出し得る。すなわち前枠2側を開放して機構セット盤9の裏側を機表側に向けた状態のもとで、係員が球抜き操作部34の操作レバー78を図21に示す位置から下方へ指先操作(手動操作)で押下げることにより、同操作レバー78が第1支軸49を基準として同図中時計方向へ回動して図22に示す状態(ストッパー48を乗り越えて係合した状態)に保持され、第1操作部78aで第1規制部材51を、また第2操作部78bで第2規制部材59を夫々押動する。この結果、図22に示すように第1・第2規制部材51,59が各々対応する球送り体50,58から離隔してそれらを解放するため、第1・第2球送り体50,58はフリー状態とされて各々の球供給路15a,15b内の貯留球の圧力を受けて回転しながら貯留球を排出(抜出し)する。これにより共に貯留球供給部として機能する球タンク13及び球供給路15内の貯留球を抜出すことが可能となり、本実施形態では、上球皿5及び下球皿6へ一旦排出した後、機外へ排出される。
【0039】
前述したような球抜き操作部34を利用した球抜きの例によれば、球供給路15の途中に別の球抜き機構(図示しない)が付設された形態において、球供給路15の下端部及び球払出し装置16の各球供給路15a,15b内に残存する貯留球を抜出す場合にも、勿論好適に利用できる。従って球払出し装置16自体の着脱交換時にあっては、前述した残存貯留球の楽な抜出しができるものである。
【0040】
なお前記実施形態におけるパチンコ遊技機の定数球払出し装置は次のように構成を変更してよい。例えば、前記実施形態では各規制部材51,59を夫々対応するソレノイド52,60のフレーム枠56,71に対し基端部側面を当接係合させることにより傾動可能に支持したが(図10参照)、これを図11に示すように(第2規制部材59を例にして図示)、第2規制部材59の基端部に軸89を設け、この軸89をフレーム枠71に形成された軸孔90に対して挿入支持するようにしてもよい。
【0041】
また前記実施形態では第1支軸49に第1カム62を第2球送り体58及び第1歯車61と一体回転するように設けたが、これを図24に示すように第2支軸63に対してカタツムリ形状の第1カム62を第2歯車64と共に一体回転するように設けてもよい。この場合には、ソレノイド60の励磁作動に伴い第2規制部材59の先端が係止部73から離隔(解放)した後、ソレノイド60の消磁作動に伴い付勢復帰しようとする第2規制部材59は、前記第1カム62の円弧部62a(前記実施形態における拘束円弧縁74に相当)に係合して摺接し、当該第1カム62が1回転し終わったところで再び係止部73に係合して第2球送り体58の回転を停止させる。従って、この変更例の場合には第2カム65を不要にできるので構成をより一層簡素化することができる。
【0042】
また前記実施形態では第1払出し部32と第2払出し部33とを前後方向に重ねて並設したが、これを図24,図25に示すように、左右組合せ状に配置してもよい。この場合には第1払出し部32の第1球送り体50は新たに設けた軸79により支持される。機構セット盤9における他の球経路等との関係でこのように第1払出し部32と第2払出し部33の配置を変更を余儀なくされる場合に対処できる。また図26に示すように、第1払出し部32と第2払出し部33を夫々別々のケース体28に独立収容して前後に組み合せるようにしてもよい。この場合にも第1払出し部32の第1球送り体50は新たに設けた軸79により支持される。
【0043】
また前記実施形態では球払出し装置16を、ケース単位にユニット化して機構セット盤9に対して着脱可能な構成としたが、機構セット盤9に一体形成してもよい。また前記実施形態では差動(歯車)機構として第1・第2歯車61,64の噛合連動により第1カム62と第2カム65との回転数に差を設けるようにしたが、径の異なるプーリや鎖車間にベルトやチェーンを巻掛けて差動機構を構成し、前記両カム62,65の回転数に差を設けるようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
本願請求項1の発明によれば、球抜きの必要時に球抜き操作部の操作部材を第2位置から第1位置へ変移させるという簡単な操作により、貯留球供給部側から球払出し装置へ区分払出し可能に供給されている賞球分と貸し球分を合せた貯留球を第1・第2払出し部における各球送り体を回転フリー状態にして手早く排出することができ、球払出し装置内に残存する僅かな貯留球についても確実に排出し得ると共に、球払出し装置自体を着脱交換する際にも同装置内の残存貯留球を迅速且つ確実に抜取って交換作業を効率良く行うことができる。
【0045】
また、本願請求項2の発明によれば、前記請求項1の発明の効果に加えて、操作部材を第2位置から第1位置へワンタッチ操作するだけで第1・第2払出し部における各球送り体を同時に回転フリー状態にでき、各球供給路内に残存する全貯留球を一斉に機外へ排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るカードユニットを併設したパチンコ機を略示する正面図。
【図2】 同じくカードユニットを併設したパチンコ機を略示する背面図。
【図3】 本実施形態における球払出し装置の一部破断正面図。
【図4】 図3のIV−IV線における平断面図。
【図5】 図3のV −V 線における平断面図。
【図6】 図3のVI−VI線における縦断面図。
【図7】 図3のVII −VII 線における縦断面図。
【図8】 球払出し装置のケース体等を分解状態で示す斜視図。
【図9】 第1払出し部と第2払出し部の一部破断した分解斜視説明図。
【図10】第1払出し部と第2払出し部の配置関係を示す斜視図。
【図11】第1・第2払出し部における第1・第2規制部材の別例を示す斜視図。
【図12】第1払出し部の球送り体の回転停止状態を示す説明図。
【図13】第1払出し部の球送り体の回転許容(球送り)状態を示す説明図。
【図14】第2払出し部の球送り体の回転停止状態を示す説明図。
【図15】第2払出し部の球送り体の回転許容(球送り)状態を示す説明図。
【図16】第2払出し部の払出し前(球送り体の停止)状態を示す説明図。
【図17】第2払出し部の払出し(球送り体の回転)途中状態を示す説明図。
【図18】第2払出し部の払出し(球送り体の回転)終了直前の状態を示す説明図。
【図19】図18における要部を拡大した説明図。
【図20】第2払出し部における回転制動部材の作用説明図。
【図21】球払出し装置における球抜き操作前状態の説明図。
【図22】同じく、球払出し装置における球抜き操作後状態の説明図。
【図23】パチンコ機の主として払出しに係る電気的構成を略示するブロック図。
【図24】第2払出し部における回転規制手段の別例を示す説明図。
【図25】球払出し装置の別例を示す縦断面図。
【図26】図25におけるXXVI−XXVI線における平断面図。
【図27】球払出し装置の他の別例を示す縦断面図。
【符号の説明】
3…遊技盤、 8…カードユニット、 13…球タンク、 15…球供給路、
15a…第1球供給路、 15b…第2球供給路、 16…球払出し装置、
20…セーフ球検出処理装置、 23…球払出し制御基板(電気的制御部)、
26…カード挿入口、 27…球貸し操作部、 28…ケース体、
29…通路樋、 32…賞球用第1払出し部、 33…貸し球用第2払出し部
34…球抜き操作部、 37…賞球用センサ、 39…貸し球用センサ、
58…第2球送り体、 59…第2規制部材、 60…第2電磁ソレノイド、
61…第1歯車、 62…第1カム(回転規制手段)、 64…第2歯車、
65…第2カム(規制干渉手段)、 67…回転制動部材、 68…区画爪部、
69…球受け部、 72…引張りバネ(付勢部材)、 73…係止部、
74…拘束円弧縁(拘束縁)、 75…直線切欠(解放縁)、
78…操作レバー(操作部材)、 78a…第1操作部、 78b…第2操作部。
Claims (3)
- 縦向きの遊技盤内で展開されるパチンコゲームの入賞に対して所定個数(n個)の賞球を払出し得る一方、一定個数(N個)の貸し球を遊技用に払出し得るパチンコ遊技機の球排出装置において、
機裏側の貯留球供給部(13,15)から供給される貯留球を賞球分と貸し球分とに区分して夫々整列状に流下し得る賞球用の第1球供給路(15a)及び貸し球用の第2球供給路(15b)を並設する一方、これら第1・第2球供給路(15a,15b)に対する夫々の隣接部位に、賞球用の第1払出し部(32)及び貸し球用の第2払出し部(33)を配設すると共に、この第1・第2払出し部(32,33)を球抜き解放状態に操作し得る球抜き操作部(34)を組付け、
前記第1・第2払出し部(32,33)では、前記第1球供給路(15a)内を流下する貯留球を1球ずつ球受け回転して球排出を進行し得る第1球送り体(50)及び該第1球送り体(50)とは別体構成で前記第2球供給路(15b)内を流下する貯留球を1球ずつ球受け回転して球排出を進行し得る第2球送り体(58)と、前記第1球送り体(50)の回転停止を図る拘束位置及びその回転を許容する解放位置との間で切換え変移可能とされ常には拘束位置側に付勢された第1規制部材(51)及び該第1規制部材(51)とは別体構成で前記第2球送り体(58)の回転停止を図る拘束位置及びその回転を許容する解放位置との間で切換え変移可能とされ常には拘束位置側に付勢された第2規制部材(59)とを夫々備え、
前記球抜き操作部(34)では、前記第1・第2払出し部(32,33)を球抜き解放状態にする第1位置と非解放状態にする第2位置との間で切換え変移可能とされた操作部材(78)を備えると共に、該操作部材(78)には、前記第1払出し部(32)の第1規制部材(51)に対して係合可能な第1操作部(78a)と前記第2払出し部(33)の第2規制部材(59)に対して係合可能な第2操作部(78b)とを分岐形成し、この操作部材(78)を第1位置に保持して前記第1・第2操作部(78a,78b)を各々が対応する前記第1・第2規制部材(51,59)に当接係合させることにより、それら第1・第2規制部材(51,59)を各々が対応する第1・第2球送り体(50,58)に対する解放位置に変移保持させて、各球送り体(50,58)を球受け回転可能な状態にしたもとで、前記貯留球供給部(13,15)側の貯留球を前記第1・第2球供給路(15a,15b)の下方へ球抜き排出し得るようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機の球排出装置。 - 前記球抜き操作部(34)では、前記操作部材が手動により回動操作される操作レバー(78)にて構成されており、該操作レバー(78)の前記第2位置から第1位置への切換え変移操作に基づき前記第1・第2操作部(78a,78b)が前記第1・第2規制部材(51,59)を対応する第1・第2球送り体(50,58)に対する解放位置に変移保持可能とした請求項1に記載のパチンコ遊技機の球排出装置。
- 前記操作レバー(78)は、弾性変形可能な合成樹脂製であり、常には前記球抜き操作部(34)を通常状態に保持するためのストッパー(48)に係止保持される一方、回動操作されたときにはレバー自体が適当な弾性変形により前記ストッパー(48)を乗り越えて該ストッパー(48)に係合した状態に保持され、前記第1操作部(78a)で前記第1規制部材(51)を、前記第2操作部(78b)で前記第2規制部材(59)を夫々押動するように構成されている請求項2に記載のパチンコ遊技機の球排出装置。
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