JP4016703B2 - 電極用基板および電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル箔を用いた電極用基板、より詳しくは二次電池、特にニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の電極用基板として好適な基板とこの基板を用いた二次電池に用いて好適な電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型の二次電池は、携帯電話、コードレスフォーン、デジタルカメラ、ノートパソコン、PDA等の携帯用電子機器、電動工具および電気自動車(HEV,MEV)等に使用されている。
【0003】
従来、前記ニッケル水素電池の正極用基板には、発泡樹脂に導電処理およびニッケルめっきを施した後、樹脂のみを加熱除去して多孔質化させた発泡ニッケル(以後、発泡ニッケル基板という)、負極用基板には、普通鋼箔にポンチを用いて多数の孔を穿った後にニッケルめっきを施したパンチングメタル(以後、パンチングメタル基板という)が多用されている。
【0004】
また、ニッケルカドミウム電池の正極用基板には、前記の発泡ニッケル、またはパンチングメタル基板面にニッケル粉の多孔質な焼結処理層を形成させた基板(以後、パンチングメタル焼結基板という)、負極用基板には前記のパンチングメタルまたはパンチングメタル焼結基板が多用されている。
【0005】
なお、ニッケル水素電池の正極用の発泡ニッケル基板には、酸化コバルトまたは金属コバルト等を添加した活物質の水酸化ニッケルを充填、乾燥処理して担持させ、負極用のパンチングメタル基板には、活物質の水素吸蔵合金を塗布、乾燥処理して担持させている。
【0006】
一方、ニッケルカドミウム電池の正極用の発泡ニッケル基板には、酸化コバルトまたは金属コバルト等を添加した活物質の水酸化ニッケルを充填、乾燥処理して担持させ、パンチングメタル焼結基板には、硝酸コバルトを添加した硝酸ニッケルの水溶液を含浸させた後、アルカリ処理を施し、硝酸ニッケルを活物質の水酸化ニッケルに変化させて担持させている。また、負極用のパンチングメタル基板には、ペースト状の酸化カドミウムを塗布後、還元処理を施し、酸化カドミウムを活物質の金属カドミウムに変化させて担持させ、パンチングメタル焼結基板には、硝酸カドミウムを含浸させた後、アルカリ処理と還元処理を施して硝酸カドミウムを活物質の金属カドミウムに変化させて担持させている。
【0007】
上記のような二次電池には、より一層の小型、軽量化、高性能(高容量、高出力、高寿命)化、低価格化の要求が高まっている。また、昨今はリサイクル性も重要視されるようになっている。
【0008】
これらの要求を満たすためには、使用する電極用基板のさらなる薄肉化、高電導率化、活物質の充填、含浸、塗布性と密着性、所定の電極形状に成形する際の加工性、電極成形後における活物質の密着性の向上に加えて、基板が溶解液に溶出せず、しかも組立て後の電池使用時に短絡が生じることのない電極を得ることができる安価な基板であることが必要である。
【0009】
特に、電動工具に使用されている従来のニッケルカドミウム電池およびニッケル水素電池は満足のいくものでなく、さらなる高容量化、高出力化および高寿命化の要求が強い。
【0010】
また、電気自動車(HEV,MEV)には、ニッケル水素電池が使われているが、小型化、高性能化および低価格化の要求が特に強い。
【0011】
しかし、従来のニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池に使用されている電極用基板には以下の問題がある。すなわち、発泡ニッケル基板は、その製造工程が複雑なため、コストが高い。活物質を充填、乾燥、加圧圧縮加工して担持させると硬くなって脆くなり、所定形状の電極への成形加工が困難で小型化対応が難しい。また、この基板は比較的高容量であるが、発泡形状であるため、ニッケル箔に比べて電気抵抗が大きく、高出力化に限界がある。さらに、繊維状であるため、所定の形状に成形後の電極表面に発泡ニッケルの一部が露出して電池組立後の使用時に短絡が発生しやすい。
【0012】
パンチングメタルは、孔が「バリなし孔」であるために活物質の密着力が十分でなく、所定形状の電極への成形時に活物質の一部が剥離脱落し、高い電池性能が確保できない。これにはニッケルめっきが施されているが、導電性が小さいため、高出力化に限界がある。また、電解質の水酸化カリウム水溶液中に鉄イオンが溶出し、電池寿命が低下するという危険性が高い。近年、電池性能の向上、軽量化要求に対応するために薄肉化が進められているが、圧延法による鋼箔の製造では、圧延途中での軟化処理が必須なため、薄肉化するほどコストが高くなる。
【0013】
パンチングメタル焼結基板は、表面がニッケル粉の多孔質な焼結処理層(Fe−Ni合金層)であるため、パンチングメタルよりも活物質の密着性は高いものの、導電性が悪い。
【0014】
活物質の密着性を向上させるようにした実用に供しうる電極用基板としては、厚さ25〜160μmのニッケル等の金属板または金属箔からなり、孔のない集電部と周囲にバリを有する多数の孔を穿った多孔部とからなる電極用基板が提案されている(例えば、特開平7−130370号公報、同7−335208号公報、同7−335209号公報および同9−120819号公報、参照)。
【0015】
しかし、上記の各公報に示される電極用基板は、いずれも、多孔部の全ての孔の間隔が均一である。このため、穿孔加工の際に孔部と集電部の境界近傍に座屈や亀裂が生じやすく、特に孔部の幅が30mm以上の場合には加工歩留が低く、実用上問題のあることがわかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、穿孔加工時に孔部と集電部の境界部分に座屈や亀裂が生じにくく、加工歩留を向上させることが可能で、安価かつ高性能な電極用基板と電極を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)の電極用基板、および下記(2)の電極にある。(1)電解析出法で製造された厚さ8〜30μmのニッケル箔であって、孔のない集電部、多孔部およびこれら両部の間の中間部を有し、中間部の開孔率が多孔部の開孔率Xから開孔率ゼロの集電部にかけて漸減しており、前記多孔部および中間部の孔は穿孔時のバリを残した電極用基板。
(2)上記(1)の電極用基板の両面に、活物質を担持させた電極。
【0018】
上記(1)に記載した本発明の電極用基板は、孔の穿孔加工前または穿孔加工後の表面にニッケル粉の多孔質な焼結処理層を形成させたものであるこのが好ましい。
【0019】
また、上記(2)に記載した本発明の電極は、片面側に担持させた活物質の厚さT(mm)とバリの高さh(mm)との関係が下記(a)式を満たすか、または/および活物質を担持させる直前の電極用基板の引張強さが500MPa以下であることが好ましい。
h<T≦2.5×h ・・・・・(a)。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電極用基板と二次電池用電極について詳細に説明する。
最初に、本発明の電極用基板について説明する。
【0021】
本発明において、素材として電解析出法で製造された厚さ8〜30μmのニッル箔を用いることとしたのは次の理由による。
【0022】
素材の材質は、導電性がよいこと、すなわち電気抵抗が小さいことが必要である。ニッケルは、表1に示すように、純鉄、ステンレス鋼等の鋼やFe−Ni合金よりも電気抵抗が小さく、金や銀よりも安価であり、銅のように電解液の水酸化カリウム水溶液に溶出する恐れがなく、またその箔の電気抵抗は発泡ニッケルよりも小さい。
【0023】
【表1】
【0024】
代表的な箔の製造方法には、圧延法と電解析出法がある。圧延法で薄くするためには、軟化焼鈍を介在させた圧延を繰り返すことが必要で、箔厚が薄いものほどその繰り返し回数の増大が必須となり、製造コストが嵩む。このため、小型、軽量化を安価に達成する素材として不適切である。
【0025】
これに対して、電解析出法は、半円弧状に成形された陽極に対向して配置された陰極を兼ねる回転ドラムとの間隙部分に電解液を供給し、回転ドラムの表面に順次析出付着するニッケル箔を連続して剥ぎ取る方法であり、箔厚が薄いものほど安価に製造できる。このため、小型、軽量化を安価に達成する素材として最適である。
【0026】
ただし、箔厚が8μm未満では、剛性が不足し、箔の製造ラインおよび後述する穿孔加工を施す基板製造ラインでの取り扱いが困難である。また、箔厚が30μmを超えると、穿孔加工に用いる針の寿命が短くなるだけでなく、圧延法とのコスト差が小さくなって経済的な優位性を失う。
【0027】
以上の理由から、本発明では素材として電解析出法で製造された厚さ8〜30μmのニッケル箔を用いることとした。好ましい箔厚は10〜25μmである。
【0028】
次に、本発明の電極用基板の形状について説明する。
【0029】
図1は、本発明の電極用基板の左半分(左右対称)を示す平面図で、図に示すように、幅Lのニッケル箔1のうち、端部L1 の領域は孔のない集電部2、中央部のL3 の領域は孔5の穿孔ピッチが幅方向に一定で開孔率(%)がXの多孔部4、集電部2と多孔部4の間のL2 の領域は孔5の穿孔ピッチが集電部2に向かって増大する全体の開孔率(%)がYの中間部3に成形されている。
【0030】
すなわち、本発明の電極用基板の最大の特徴は、集電部2と多孔部4の間に、孔5の穿孔ピッチが集電部2に向かって順次増大する、言い換えれば、その幅方向の開孔率が多孔部4の開孔率Xから開孔率ゼロの集電部にかけて漸減する中間部3があることである。この中間部3では、全体の開孔率Yが前記多孔部4の開孔率Xよりも小さい。
【0031】
このように、集電部2と多孔部4の間に中間部3を設けた場合には、孔がなくて強度の高い集電部2と、孔5が多くて強度の低い多孔部4の間に、両者の強度の中間強度帯域が形成される。その結果、孔のない集電部2とその近傍の孔空き部分の剛性が増し、集電部2と孔空き部分との境界部分に座屈が生じるのが効果的に抑制され、破断しなくなる。
【0032】
図2は、中間部3における開孔率Yの漸減パターンの代表的な例を示す図である。開孔率の変化は、同図(a)のP1、同(b)のP2、同(c)のP3および同(d)のP4のいずれのパターンであってもよい。しかし、穿孔工具の作製容易性の面からすると、P4のパターンとするのが好ましい。
【0033】
上記P1、P2、P3およびP4のパターンは、多孔部4の開孔率Xが小さい場合はいずれのパターンを適用しても何ら問題ないが、開孔率Xが大きなものにP4のパターンを適用する場合には、その分割段数を多くすることが肝要で、例えば、開孔率Xが30%を超えるようなものの場合、隣り合う段の間の開孔率差をおよそ10%以下にすることが望ましい。
【0034】
多孔部4の開孔率Xは10〜50%、中間部3の平均開孔率Yは開孔率Xの0.3〜0.7倍とするのが望ましい。多孔部4の開孔率Xが10%未満の場合には、活物質の密着性が低く、正極に用いた場合には集電性が低下し、負極に用いた場合には、イオンの移動抵抗が増大してその通過性が悪化する。逆に、50%を超える場合には孔同士が互いにくっついて正常な配列パターンにならないことがあり、基板としての強度が低下する。また、正極用としては断面積が小さくなりすぎ、高出力時に基板が部分的に溶損するという危険性が大きくなる。なお、より望ましい開孔率Xは20〜40%である。
【0035】
中間部3の平均開孔率Yが多孔部4の開孔率Xの0.3倍未満の場合には、中間部に対する活物質の密着性が劣るとともに、塗布した場合における集電部の活物質の密着性も低下しやすい。逆に、0.7倍を超えると、集電部と孔部(中間部)の境界で座屈や亀裂が発生しやすく、その結果電池性能の不良を招く。
【0036】
中間部3の幅L2 は特に制限しないが、最低でも多孔部4の幅L3の0.1倍以上とし、最大10mm以下とするのが望ましい。これは、幅L2 が幅L3の0.1倍に満たない場合には前記の効果がほとんど得られず、中間部3を設ける意味がなく、10mmを超えるほど広くしても前記の効果は変わらず、かえって電池性能の低下を招く恐れがあるからである。
【0037】
多孔部4および中間部3の孔5の配列パターンは、図1の(a)のように並列配列、同じく図1の(b)のように千鳥状配列のいずれであってもよいが、高い開孔率とする場合は後者の千鳥状配列とするのが好ましい。
【0038】
図3は、孔5の断面を示す図である。図示のように、孔5は周囲にバリ6を有している。この周囲にバリ6を有する孔5は、先端形状が例えば円錐状の所定長さの針等を用いて明けることができる。すなわち、上記L2 およびL3 の領域に相当する部分に所定の穿孔ピッチをもってニッケル箔1の長手方向(図1の上下方向)に複数列配置して保持させた治具を用いて穿孔加工するのである。
【0039】
バリ6を有する孔5は、図3の(a)のようにニッケル箔1の片面側のみから穿孔したもの、同じく図3の(b)のように両面側から穿孔したもののいずれであってもよい。しかし、電極成形に先立ってその両面に担持させる活物質の密着性を高める観点からは両面側から穿孔した孔である方が好ましい。
【0040】
孔5をニッケル箔1の両面側から穿孔する場合には、前記針の配設ピッチをニッケル箔1の幅方向または長手方向に、例えば上記穿孔ピッチの2倍のピッチで配置した治具を2つ準備し、治具相互の針が干渉しないようにニッケル箔1を挟んで対向配置して穿孔すればよい。
【0041】
孔5の穿孔加工は、ニッケル箔1に対す針の押し込み量の制御等によりバリ6の先端部が周方向に少なくとも4つ以上に割れるように加工するのが望ましい。これは、バリ6の先端部が割れている場合、活物質に対する集電部位面積が増大するとともに、その密着性も向上するからである。
【0042】
孔5の径dは0.2〜1.0mm、厚さがtのニッケル箔1の薄厚中央からバリ6の先端までの高さh(以下、単に「バリの高さh」という…図3参照)は0.1〜0.5mmとするのが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0043】
孔5の径dが0.2mm未満であると、穿孔加工が難しいだけでなく、望ましいバリ6の高さhおよび多孔部4の開孔率Xの確保が困難になる。逆に、1.0mmを超える場合は、バリ6の高さhが望ましい高さ以上に高くなりやすい。孔5のより望ましい径dは0.3〜0.7mmである。
【0044】
また、バリ6の高さhが0.1mm未満であると、活物質の密着性が低く、正極に使用した場合、活物質の電子電導性が低下する。逆に、0.5mmを超えると、後述する活物質7を担持させた状態での基板の厚さが厚くなりすぎ、電池の成形時に基板を所定の長さ分だけ巻き込むことができなくなることがある。より望ましいバリ6の高さhは0.15〜0.35mmである。
【0045】
図4は、先端部がニッケル箔1の面に対面する先端曲折バリ6aを模式的に示した断面図である。この先端曲折バリ6aは、孔5の穿孔加工後にロール圧延等すること等で容易に得られる。このように、バリを先端曲折バリ6aにした場合には、バリの高さhが均一になり、基板表面に活物質を担持させた際、一部のバリが活物質の表面に露出する恐れがほとんどなく、短絡の問題を容易に解決できる。また、バリ先端部の内径が大きくなってその断面形状が円弧状となるので、先端の曲折部分との相乗作用により、活物質の密着性が一段と向上する。このため、バリは先端が曲折したバリにする方が好ましい。
【0046】
なお、孔5の平面形状は図示例の円形に限らず、例えば、楕円形、正方形、長方形、三角形、その他の多角形のいずれであってもよい。しかし、穿孔用の針の製作性等を考慮した場合、円形とするのが好ましい。なお、円形以外の孔とする場合、その孔の断面積が径dの円形の孔の断面積と実質的に同じ大きさの孔とすることが肝要である。また、楕円形や長方形の孔の場合、長径(辺)/短径(辺)比が大きすぎるものは好ましくないので、その比が2.0以下の孔とすることが望ましい。
【0047】
以上に説明した本発明の電極用基板は、常法に従って、その表面にニッケル粉の多孔質な焼結処理層を形成させたものとする方が好ましい。これは、前記の焼結処理層を形成させた場合には、その表面に担持させる活物質の含浸性および充填性がよくなって密着性が格段に向上するからである。その結果、活物質を担持させた基板を所定形状の電極に加工する際の活物質の剥離脱落量が大幅に減少する。また、従来のパンチングメタル焼結基板のように、その表層部分にFe−Ni合金層が生成することがない。このため、その表面にニッケル粉の焼結処理層を形成させた基板とする場合には、格段に高性能な電池の提供が可能となる。
【0048】
なお、ニッケル粉の焼結処理層は、孔の穿孔加工前のニッケル箔1に予め形成させてもよいし、穿孔加工を行った後の基板に形成させてもよい。しかし、活物質の密着性および電池性能を高める観点から、基板の全ての表面にニッケル粉の焼結処理層を形成させたものの方が好ましいので、穿孔加工後の基板に形成させるのがよい。
【0049】
本発明の電極は、図5に示すように、以上に説明した電極用基板の表面に、厚さがT(mm)の所望の活物質7を担持させたものである。担持させる活物質7の厚さTとバリ6の高さh(mm)とは、式「h<T≦2.5×h」を満たすものであることが望ましい。また、活物質7を担持させる直前の基板(ニッケル箔1)の引張強さは500MPa以下であることが望ましい。その理由は次のとおりである。ここで、上記の厚さTとは、基板の表面に後に例示するような工程によって処理して担持させた後の厚さのことである。
【0050】
活物質の厚さTがバリの高さhの2.5倍以下、言いかえれば、バリの高さhが活物質の厚さTの0.4倍以上でない場合には、活物質の基板に対する密着性が十分でない。また、Tがhより薄いと活物質の表面にバリが露出して短絡を招くだけでなく、活物質がバリの先端部まで十分に入らず、所望の電池性能を確保することが困難になる。
【0051】
なお、Tは特に制限しないが、1.25mm以下とするのが望ましい。これは、Tを1.25mmよりも厚くすると、前述したように、活物質を担持させた状態での基板の厚さが厚くなりすぎて電池の成形時に基板を所定の長さ分だけ巻き込むことができなくなる場合があるからである。Tの好ましい上限は1.00mmである。
【0052】
また、バリ6を片面側のみに形成させた場合における他方面に担持させる活物質の厚さT1 (図5の(a)参照)は、特に制限しないが、Tの0.2〜1倍とするのがよい。
【0053】
さらに、活物質を担持させる直前の基板(ニッケル箔1)の引張強さとして500MPa以下が望ましいのは、500MPaを超えると、活物質の密着性が低下して層間抵抗が増大し、所望の電池性能を確保することが困難になるためである。好ましいのは400MPa以下である。なお、下限は特に制限しないが、あまり弱いと、穿孔加工時に幅方向の両端部分を板押さ等でクランプした際、箔の形状が不良になったり、場合によっては破断する恐れがあるので、50MPa以上であることがよい。
【0054】
以下、本発明の代表的な電極とその製造工程を例示する。
(A)ニッケル水素電池用電極;
(1)正極(活物質は水酸化ニッケル):
本発明の基板(ニッケル粉の焼結処理層形成基板を含む)に、水酸化ニッケルを金属コバルトまたは酸化コバルトとの混合物として含浸、充填、あるいは塗布後、乾燥、加圧圧縮加工して担持させる。
(2)負極(活物質は水素吸蔵合金):
正極と同様の基板に、水素吸蔵合金を含浸、充填、あるいは塗布後、乾燥、加圧圧縮加工して担持させる。
(B) ニッケルカドミウム電池用電極;
(1)正極(活物質は水酸化ニッケル):
本発明の基板のうち、ニッケル粉の焼結処理層形成基板に、硝酸コバルトと硝酸ニッケルとの水溶液を含浸後アルカリ処理を施し、活物質化(水酸化ニッケルにする)させて担持させる。
(2)負極(活物質は金属カドミウム)その1:
正極と同様のニッケル粉の焼結処理層形成基板に、硝酸カドミウムを含浸後、アルカリ処理と還元処理を施し、活物質化(金属カドミウムにする)させて担持させる。
(3)負極(活物質は金属カドミウム)その2:
本発明の基板のうち、ニッケル粉の焼結処理層を有しない基板に、酸化カドミウムのペーストを塗布後還元処理を施し、活物質化(金属カドミウムにする)させて担持させる。
【0055】
【実施例】
全幅Lが39mmで、厚さtが種々異なる電解Ni箔を準備した。そして、集電部の幅L1 がいずれも2mm(両側で4mm)で、他の条件(孔の径d、中間部の幅L2 と開孔率Y、多孔部の幅L3 と開孔率X、バリの高さh、バリ先端部の分割数と屈曲の有無、活物質を担持させる直前の引張強さ)が、表2〜5に示すように、種々異なる21種類の基板(試験番号1〜5、7〜11、13、15、16、18および20〜26)と、比較のための中間部を有しない基板(試験番号6、12、14、17、19および27)および孔部がない基板(試験番号28)を製作した。
【0056】
なお、中間部の孔のパターンは、図2に示すパターンP4とし、幅L2 を3等分するとともに、各部間の開孔率の差をいずれも△Yにし、集電部に近い部分の開孔率を(Y−△Y)、中央部分の開孔率をY、多孔部に近い部分の開孔率を(Y+△Y)とすることにより、平均の開孔率がYになるように穿孔加工した。
【0057】
穿孔加工後の基板は、長さ400mmの短冊状の基板に切断した後、これを目視観察して座屈の有無、孔と孔との間の亀裂や割れの有無を調べ、その穿孔性を次の基準により評価するとともに、製作コスト比較も行った。
〔穿孔性の評価基準〕
○:亀裂や割れおよび座屈が全く認められなかったもの、
△:亀裂や割れおよび座屈の発生箇所が1〜5箇所のもの、
×:亀裂や割れおよび座屈の発生箇所が5箇所を超えるもの。
〔製作コスト比較〕
1:発泡Niと同等、
2:発泡Niの0.7〜1倍、
3:発泡Niの0.7倍未満。
【0058】
前記した以外にも、比較のための基板として、全幅Lと集電部の幅L1 が前記の寸法と同じで、他の条件が異なる基板、即ち、箔の製造時に多孔部が形成された電解Ni孔箔からなる基板(試験番号29)と、従来のパンチングメタルからなる基板(試験番号30〜32)も準備した。また更に、発泡ニッケルからなる基板(試験番号33)も準備した。
【0059】
製作および比較のために準備した基板は、試験番号11と33の基板を除き、その表面に、厚さがいずれも2μmのニッケル粉の多孔質な焼結処理層を形成させた。この焼結処理層は、主成分が30質量%のカーボニルNi粉末と、1質量%の増粘剤(カルボキシメチルセルロース)である水系ペーストを所定の厚みに塗布した後、水素ガス雰囲気中で焼鈍することにより形成させた。その際、焼結温度は950℃とした。
【0060】
ニッケル粉の焼結処理層を形成させた基板は、その表面に水酸化ニッケル(Ni(OH)2)からなる種々の厚さTの活物質を担持させてニッケル正極用の板とした後、以下に述べる種々の試験に供してその諸性能を調べる一方、これらを負極がいずれも下記の負極である電解液が飽和水酸化カリウム溶液の単2型円筒電池の正極に組み込み、その電池性能を調べた。なお、ニッケル正極用の板としての製作コスト比較も行った。
《負極》
基 板;材質:Ni電解箔、厚さ:20μm、全幅:39mm、集電部の幅:2mm(両
側で4mm)、多孔部の開孔率:30%、孔径:1.5mm。
活物質;水素吸蔵合金{MmNi5−X(Mm:Ce-La-Nd-Pr、x:Co,Mn,Al)}、
担持厚さ:両面とも0.4mm。
【0061】
水酸化ニッケル(Ni(OH)2)からなる種々の厚さTの活物質は、次のようにして担持させた。水酸化ニッケル粉末100gに対して、黒煙粉末10g、ニッケル粉末5g、コバルト粉末10g、カルボキシメチルセルロースの3質量%水溶液55g、およびスチレン−ブタジエンラバーの48質量%水分散液5gを練り合わせてペースト状にして容器に収容する。次いで、基板をこの容器内を通過させてその両面にペーストを塗布した後、鋼製のスリットに通してペーストの厚さを均一にしてから乾燥処理し、その後ローラプレスすることで所定の厚さTにした。
〔活物質の密着性試験とその評価基準〕
密着性試験は、活物質を担持させた後の基板を曲げ角度180゜で曲げ−曲げ戻す試験を5回繰り返し、試験後、活物質の脱落面積を求め、下記の基準で評価した。
1:脱落面積が10%を超えるもの、
2:脱落面積が2〜10%のもの、
3:脱落面積が2%未満のもの。
〔導電性▲1▼の試験とその評価基準〕
導電性▲1▼の試験は、製作した単2電池について、0.1Cで12時間充電し、1時間の休止後、0.2Cで電圧が1Vになるまで放電する操作を1サイクルとする試験を3サイクル行い、3サイクル後の正極の活物質利用率を調べ、下記の基準で評価した。なお、正極の活物質利用率(%)は式「(実測放電容量/正極の活物質量から求められる理論放電容量)×100」により求めた。
【0062】
1:活物質の利用率が80%未満のもの、
2:活物質の利用率が80〜90%のもの、
3:活物質の利用率が90%を超えるもの。
〔導電性▲2▼の試験とその評価基準〕
導電性▲2▼の試験は、上記の導電性▲1▼の試験に引き続いて、0.3Cで4時間充電し、1時間休止後、0.5Cで電圧が1Vになるまで放電する操作を1サイクルとする試験を100サイクル行い、100サイクル後の正極の活物質利用率を導電性▲1▼の試験の場合と同様の方法により調べ、下記の基準で評価した。
【0063】
1:活物質の利用率が60%未満のもの、
2:活物質の利用率が60〜80%のもの、
3:活物質の利用率が80%を超えるもの。
【0064】
以上の試験結果を、基板の諸元等と併せて、表2〜表5に示した。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
表2〜表5に示すように、本発明の基板およびこれを用いた電極(試験番号2〜4、7〜11、13、15、16、18および20〜26)は、いずれも良好な結果が得られている。中でも、箔の厚さが本発明で規定する範囲内であり、孔の径d、中間部の幅L2 と開孔率Y、多孔部の幅L3 と開孔率X、バリの高さh、バリ先端部の分割数と屈曲の有無、活物質を担持させる直前の引張強さ、活物質の厚さTとバリの高さhとの関係のいずれもが本発明で望ましいとする範囲内にあるもの(試験番号2〜4、7、11、13、15、20および22〜25)は特に良好である。これに対し、比較例の試験番号1、5、6、12、14、17、19および27は、孔の穿孔加工性、活物質の密着性等が劣る。
【0070】
【発明の効果】
本発明の電極用基板は、集電部と多孔部の間に中間部を設けたので、集電部近傍の剛性が大きく、集電部と孔空き部の境界での座屈や破断が生じない。その結果、電極への成形加工を円滑に行うことができ、その電極を組込んだ電池は電極破損を生じる恐れがない。また、基板として厚さを従来以上に薄くした安価な電解析出ニッケル箔を採用したので、活物質を多く担持させることができ、高性能で、しかも小型、軽量で安価な電池の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極用基板例の左半分を示す平面図である。
【図2】中間部の開孔率の漸減パターン例を示す図である。
【図3】バリの断面形状の一例を示す断面図である。
【図4】バリの他の断面形状の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の電極例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:ニッケル箔、
2:集電部、
3:中間部、
4:多孔部、
5:孔、
6:バリ、
6a:先端曲折バリ、
7:活物質。
Claims (4)
- ニッケル水素電池およびニッケルカドミウム電池の正極に用いられる、電解析出法で製造された厚さが8〜30μmのニッケル箔であって、孔のない集電部、多孔部およびこれら両部の間の中間部を有し、中間部の開孔率が多孔部の開孔率Xから開孔率ゼロの集電部にかけて漸減しており、上記多孔部および中間部の孔は穿孔時のバリを残したものであることを特徴とする電極用基板。
- ニッケル粉の焼結処理層を孔の穿孔後に両面に施したことを特徴とする請求項1に記載の電極用基板。
- 請求項1から2までのいずれかに記載の電極用基板の両面に、活物質を担持させたことを特徴とする電極。
- 活物質を担持させる直前の電極用基板の引張強さが500MPa以下であることを特徴とする請求項3に記載の電極。
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