JP4016232B2 - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミックコンデンサーの内部電極に好適なニッケル粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化に伴い電子部品の小型化が急速に普及しつつある。このような状況において、積層セラミックコンデンサーが小型・高容量のコンデンサーとして大量に使用されている。
【0003】
従来、積層セラミックコンデンサーの内部電極用材料には、パラジウム、白金などの貴金属が主として使用されていた。しかし、コンデンサーの高容量化のために積層数が増加した結果、前述のような貴金属粉末を使用したのでは原料費が著しく高価となるという問題があり、近年コスト低減のために、内部電極用材料としてニッケル粉末が多用されている。内部電極用材料として使用されるニッケル粉末は、バインダー中に分散させてペーストとして用いられる。このペーストを基板上に印刷塗布し、多層積み重ねて圧着し、還元雰囲気中で約1300℃で焼成して内部電極を形成して、コンデンサーとしての機能を発揮させる。
【0004】
この電極の厚みは、通常焼成後では2〜3μmであるが、近年コンデンサーの高容量化・小型化に伴って、より薄い電極を求める要求が市場において生じている。
【0005】
しかしながら、ニッケル塗膜中のニッケル粉末の充填密度は、粉末冶金における充填密度に比較してはるかに低く、しかも基板となるセラミックスグリーンシートの焼結に伴う収縮量がニッケル電極塗膜に比較して小さいために、焼結が進行するにしたがって、ニッケル塗膜が島状に途切れるという問題が発生した。この傾向は、電極の塗膜厚が薄くなればなるほど顕著となり、電極が途切れた場合は、コンデンサーとして機能しなくなるため、コンデンサーの小型・高容量化のためには、焼結による収縮が小さく、かつ電極の途切れが発生し難いニッケル粉末の開発が望まれている。
【0006】
このような要求に応じて、収縮を小さくする方法としてニッケル粉末粒子の活性を抑制したり、粒子の密度を高めるために結晶子サイズを大きくしたり、塗膜内での充填密度を高めるためにニッケル粉末を球状、単分散化させるなどの方法が提案されている。しかし、通常の印刷方法で成し得る充填密度には限界がある上に、結晶子サイズを可能な限り大きくしても、1300℃という高温で焼結を行うため、収縮を抑制することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは積層セラミックコンデンサーの製造工程において、特にニッケル電極厚みを薄くしたときに生じる電極途切れを防止できるニッケル粉末の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のニッケル粉末の製造方法は、弱還元性雰囲気下においてニッケル粉末を焼結する際、低温領域でのネックの形成、成長を促進し、高温領域での収縮特性を制御することが可能なニッケル粉の製造方法であって、湿式ヒドラジン還元法による合成後、酸素含有量が1.5%以下となるよう送風状態または真空下で乾燥を実施することを特徴とするものである。また本発明では前記送風状態での乾燥を大気乾燥機、媒体流動乾燥機を用いて50〜150℃で6〜12時間乾燥するか、あるいはスプレードライを用いて乾燥することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るニッケル粉の製造方法によれば、ニッケル粉末の粒子表面に必ず存在する酸化ニッケルのような酸化物や水酸化ニッケルのような水酸化物の被膜を薄くすることが可能となり、弱還元性雰囲気下において焼結されるときの低温領域でのネックの形成、成長を促進し、その結果高温領域での急激な収縮を抑制することができるものである。
【0010】
【発明の実態の形態】
本発明者らは、MLCC製造プロセスにおいて、ニッケル電極の焼成が水素/窒素混合気流中などの弱還元性雰囲気で実施されること、およびニッケル粉末の表面が、必ず酸素が酸化ニッケルまたは水酸化ニッケルの形で存在する酸化被膜で覆われていることに着目して鋭意検討した結果、ニッケル粉末の表面の酸化被膜が薄いニッケル粉末は、昇温・焼成過程において低温で金属表面が露出するためにネックの生成、成長が進行し、ネットワーク構造を形成するために、それ以上の高温状態においても緻密化、すなわち体積の収縮が起こり難いこと、反面ニッケル粉末の表面の酸化被膜の厚いものは、昇温、焼成過程において高温まで金属表面が露出しないため、ネックの生成、成長が進行しないまま、体積拡散や粒界拡散の起こる領域まで到達するために、高温部で体積の収縮が急激に起こることを見出し、したがって表面酸化被膜の厚みを低減することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
ニッケル粉末の表面酸化被膜の厚みを制御するために該酸化被膜が形成される工程を調べたところ、ニッケルの塩を含む水溶液をヒドラジンで還元し、ニッケル粉末を得る方法において、湿式還元後の乾燥工程で表面酸化被膜の多くの部分が形成されることをつきとめた。
【0012】
したがって、ニッケル粉末の表面の酸化被膜を薄くするために、湿式還元後の乾燥工程において例えば大気乾燥機や媒体流動乾燥、スプレードライなどを用いて送風しつつ50〜150℃で、およそ12時間に亘る乾燥条件で十分な乾燥を行うか、真空乾燥によってニッケル粉末の酸素含有量を、好ましくは1.5%以下となるよう低減すれば、昇温・焼成過程において低温で金属表面が露出するためにネックの生成、成長が進行して、ネットワーク構造を形成するために、それ以上の高温状態においても体積の収縮は起こり難いのである。
なお酸素含有量が1.5%を超えるとニッケル粉末が緻密化することによる体積収縮が起こり易くなるため好ましくない
【0013】
[実施例]
ニッケル換算濃度25g/リットルの塩化ニッケル溶液4リットルに水酸化ナトリウム100gと60%濃度の抱水ヒドラジン400ミリリットルを加え、攪拌保持し70℃でニッケルを還元した。
この湿式法で得られたニッケル粉末を以下のような乾燥法により乾燥したが、ニッケル粉末の酸素量は乾燥方法に大きく依存する。
【0014】
すなわち、
試料Aは、恒温恒湿槽で乾燥(85℃、72時間湿度90%)した。
試料Bは、大気乾燥機で乾燥(85℃、24時間)した。
試料Cは、試料Bを送風により(85℃、6時間)さらに乾燥させたものである。
これら試料A、B、Cの乾燥後の状態は表1の通りである。
【0015】
【表1】
【0016】
つぎに表1に示す酸化被膜の厚みを有するニッケル粉末を選別し、エチルセルロース、タ一ピネオールからなるビヒクルと混合したのち、乾燥、粉砕、加圧成形した。これらのニッケル粉末の水素/窒素混合気流中における温度と収縮率との関係を図1に示す。図1より酸化被膜の厚い試料Aは、加熱による収縮が早くから進行し、高温部での収縮量も大きいが、酸素被膜の薄い試料Cは、高温部まで収縮しないことが分かる。
【0017】
試料A、試料Cのニッケル粉末を粉末のまま水素2%/窒素気流中で20分間熱処理して、その焼結進行の様子を走査型電子顕微鏡にて観察した。
【0018】
その結果を図2〜5に示す。酸化被膜が薄い試料Cのニッケル粉末は、図3のように300℃でメタル表面が露出し、ネックの形成が始まっているのに対し、酸化被膜の厚い試料Aのニッケル粉末は、図4のように600℃の熱処理においても粒子の形骸がはっきり残っている。低温でネックの形成が始まる試料Cの場合は、図5のように600℃では粒子の形骸が残らないほどネックの成長が進んでおり、ニッケル粉末が緻密化することによる体積収縮が起こりにくくなっていることがわかる。
【0019】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明によるニッケル粉末の製造方法によれば、積層セラミックコンデンサーの内部電極用に適した焼結性の改善が簡単かつ容易に可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試料AとCのニッケル粉末の水素/窒素混合気流中における温度と収縮率との関係を示すグラフ図である。
【図2】 試料Aの300℃熱処理後の走査型顕微鏡によるニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は1000倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
【図3】 試料Cの300℃熱処理後の走査型顕微鏡によるニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は1000倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
【図4】 試料Aの600℃熱処理後の走査型顕微鏡によるニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は1000倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
【図5】 試料Cの600℃熱処理後の走査型顕微鏡によるニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は1000倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
Claims (2)
- 弱還元性雰囲気下においてニッケル粉末を焼結する際、低温領域でのネックの形成、成長を促進し、高温領域での収縮特性を制御することが可能なニッケル粉の製造方法であって、湿式ヒドラジン還元法による合成後、酸素含有量が1.5%以下となるよう送風状態または真空下で乾燥を実施することを特徴とするニッケル粉末の製造方法。
- 前記送風状態での乾燥を大気乾燥機、媒体流動乾燥機を用いて50〜150℃で6〜12時間乾燥するか、あるいはスプレードライを用いて乾燥することを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉末の製造方法。
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