JP2000169904A - ニッケル粉末の焼結性改善方法 - Google Patents
ニッケル粉末の焼結性改善方法Info
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Abstract
いて、特にニッケル電極厚みを薄くしたときに生じる電
極途切れを防止できるニッケル粉末の焼結性改善方法を
提供する。 【解決手段】 弱還元性雰囲気下においてニッケル粉末
を焼結するに際して、ニッケル粉末の酸素含有量を低減
して高温領域での収縮特性を制御することを特徴とす
る。
Description
ンデンサーの内部電極に好適なニッケル粉末の焼結性改
善方法に関するものである。
の小型化が急速に普及しつつある。このような状況にお
いて、積層セラミックコンデンサーが小型・高容量のコ
ンデンサーとして大量に使用されている。
電極用材料には、パラジウム、白金などの貴金属が主と
して使用されていた。しかし、コンデンサーの高容量化
のために積層数が増加した結果、前述のような貴金属粉
末を使用したのでは原料費が著しく高価となるという問
題があり、近年コスト低減のために、内部電極用材料と
してニッケル粉末が多用されている。内部電極用材料と
して使用されるニッケル粉末は、バインダー中に分散さ
せてペーストとして用いられる。このペーストを基板上
に印刷塗布し、多層積み重ねて圧着し、還元雰囲気中で
約1300℃で焼成して内部電極を形成して、コンデン
サーとしての機能を発揮させる。
μmであるが、近年コンデンサーの高容量化・小型化に
伴って、より薄い電極を求める要求が市場において生じ
ている。
粉末の充填密度は、粉末冶金における充填密度に比較し
てはるかに低く、しかも基板となるセラミックスグリー
ンシートの焼結に伴う収縮量がニッケル電極塗膜に比較
して小さいために、焼結が進行するにしたがって、ニッ
ケル塗膜が島状に途切れるという問題が発生した。この
傾向は、電極の塗膜厚が薄くなればなるほど顕著とな
り、電極が途切れた場合は、コンデンサーとして機能し
なくなるため、コンデンサーの小型・高容量化のために
は、焼結による収縮が小さく、かつ電極の途切れが発生
し難いニッケル粉末の開発が望まれている。
る方法としてニッケル粉末粒子の活性を抑制したり、粒
子の密度を高めるために結晶子サイズを大きくしたり、
塗膜内での充填密度を高めるためにニッケル粉末を球
状、単分散化させるなどの方法が提案されている。しか
し、通常の印刷方法で成し得る充填密度には限界がある
上に、結晶子サイズを可能な限り大きくしても、130
0℃という高温で焼結を行うため、収縮を抑制すること
は困難であった。
に鑑みなされたものであって、その目的とするところは
積層セラミックコンデンサーの製造工程において、特に
ニッケル電極厚みを薄くしたときに生じる電極途切れを
防止できるニッケル粉末の焼結性改善方法を提供するこ
とにある。
本発明のニッケル粉末の焼結性改善方法は、弱還元性雰
囲気下においてニッケル粉末を焼結するに際して、ニッ
ケル粉末の酸素含有量を低減して高温領域での収縮特性
を制御することを特徴とするものである。また本発明で
は酸素含有量が1.5%以下となるよう乾燥して、低温
領域でのネックの形成、成長を促進し、高温領域での収
縮を抑制することを特徴とするものである。
の粒子表面に必ず存在する酸化ニッケルのような酸化物
や水酸化ニッケルのような水酸化物の被膜を薄くするこ
とが可能となり、弱還元性雰囲気下において焼結される
ときの低温領域でのネックの形成、成長を促進し、その
結果高温領域での急激な収縮を抑制することができるも
のである。
セスにおいて、ニッケル電極の焼成が水素/窒素混合気
流中などの弱還元性雰囲気で実施されること、およびニ
ッケル粉末の表面が、必ず酸素が酸化ニッケルまたは水
酸化ニッケルの形で存在する酸化被膜で覆われているこ
とに着目して鋭意検討した結果、ニッケル粉末の表面の
酸化被膜が薄いニッケル粉末は、昇温・焼成過程におい
て低温で金属表面が露出するためにネックの生成、成長
が進行し、ネットワーク構造を形成するために、それ以
上の高温状態においても緻密化、すなわち体積の収縮が
起こり難いこと、反面ニッケル粉末の表面の酸化被膜の
厚いものは、昇温、焼成過程において高温まで金属表面
が露出しないため、ネックの生成、成長が進行しないま
ま、体積拡散や粒界拡散の起こる領域まで到達するため
に、高温部で体積の収縮が急激に起こることを見出し、
したがって表面酸化被膜の厚みを低減することにより上
記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
するために該酸化被膜が形成される工程を調べたとこ
ろ、ニッケルの塩を含む水溶液をヒドラジンで還元し、
ニッケル粉末を得る方法において、湿式還元後の乾燥工
程で表面酸化被膜の多くの部分が形成されることをつき
とめた。
膜を薄くするために、湿式還元後の乾燥工程において例
えば大気乾燥機や媒体流動乾燥、スプレードライなどを
用いて送風しつつ50〜150℃で、およそ12時間に
亘る乾燥条件で十分な乾燥を行うか、真空乾燥によって
ニッケル粉末の酸素含有量を、好ましくは1.5%以下
となるよう低減すれば、昇温・焼成過程において低温で
金属表面が露出するためにネックの生成、成長が進行し
て、ネットワーク構造を形成するために、それ以上の高
温状態においても体積の収縮は起こり難いのである。な
お酸素含有量が1.5%を超えるとニッケル粉末が緻密
化することによる体積収縮が起こり易くなるため好まし
くない
トルの塩化ニッケル溶液4リットルに水酸化ナトリウム
100gと60%濃度の抱水ヒドラジン400ミリリッ
トルを加え、攪拌保持し70℃でニッケルを還元した。
この湿式法で得られたニッケル粉末を以下のような乾燥
法により乾燥したが、ニッケル粉末の酸素量は乾燥方法
に大きく依存する。
(85℃、72時間湿度90%)した。試料Bは、大気
乾燥機で乾燥(85℃、24時間)した。試料Cは、試
料Bを送風により(85℃、6時間)さらに乾燥させた
ものである。これら試料A、B、Cの乾燥後の状態は表
1の通りである。
ニッケル粉末を選別し、エチルセルロース、タ一ピネオ
ールからなるビヒクルと混合したのち、乾燥、粉砕、加
圧成形した。これらのニッケル粉末の水素/窒素混合気
流中における温度と収縮率との関係を図1に示す。図1
より酸化被膜の厚い試料Aは、加熱による収縮が早くか
ら進行し、高温部での収縮量も大きいが、酸素被膜の薄
い試料Cは、高温部まで収縮しないことが分かる。
料Cのニッケル粉末を粉末のまま水素2%/窒素気流中
で20分間熱処理して、その焼結進行の様子を走査型電
子顕微鏡にて観察した。
い試料Cのニッケル粉末は、図3のように300℃でメ
タル表面が露出し、ネックの形成が始まっているのに対
し、酸化被膜の厚い試料Aのニッケル粉末は、図4のよ
うに600℃の熱処理においても粒子の形骸がはっきり
残っている。低温でネックの形成が始まる試料Cの場合
は、図5のように600℃では粒子の形骸が残らないほ
どネックの成長が進んでおり、ニッケル粉末が緻密化す
ることによる体積収縮が起こりにくくなっていることが
わかる。
粉末の焼結性改善方法によれば、積層セラミックコンデ
ンサーの内部電極用に適した焼結性の改善が簡単かつ容
易に可能となるものである。
流中における温度と収縮率との関係を示すグラフ図であ
る。
るニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は10
00倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写
真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
るニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は10
00倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写
真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
るニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は10
00倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写
真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
るニッケル粉末の粒子構造を示す写真で、(a)は10
00倍の倍率の写真、(b)は5000倍の倍率の写
真、(c)は10000倍の倍率の写真である。
Claims (2)
- 【請求項1】 弱還元性雰囲気下においてニッケル粉末
を焼結するに際して、ニッケル粉末の酸素含有量を低減
して高温領域での収縮特性を制御することを特徴とする
ニッケル粉末の焼結性改善方法。 - 【請求項2】 酸素含有量が1.5%以下となるよう乾
燥を実施して、低温領域でのネックの形成、成長を促進
し、高温領域での収縮を抑制することを特徴とする請求
項1記載のニッケル粉末の焼結性改善方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34591598A JP4016232B2 (ja) | 1998-12-04 | 1998-12-04 | ニッケル粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34591598A JP4016232B2 (ja) | 1998-12-04 | 1998-12-04 | ニッケル粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000169904A true JP2000169904A (ja) | 2000-06-20 |
JP4016232B2 JP4016232B2 (ja) | 2007-12-05 |
Family
ID=18379870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34591598A Expired - Lifetime JP4016232B2 (ja) | 1998-12-04 | 1998-12-04 | ニッケル粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4016232B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011174121A (ja) * | 2010-02-23 | 2011-09-08 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | ニッケル粉末およびその製造方法 |
JP5327442B2 (ja) * | 2006-10-02 | 2013-10-30 | 昭栄化学工業株式会社 | ニッケル−レニウム合金粉末及びそれを含有する導体ペースト |
JP2015131982A (ja) * | 2014-01-09 | 2015-07-23 | 株式会社村田製作所 | 複合粉末とその製造方法およびそれを用いた導電性ペーストとそれを用いた積層セラミック電子部品 |
-
1998
- 1998-12-04 JP JP34591598A patent/JP4016232B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5327442B2 (ja) * | 2006-10-02 | 2013-10-30 | 昭栄化学工業株式会社 | ニッケル−レニウム合金粉末及びそれを含有する導体ペースト |
JP2011174121A (ja) * | 2010-02-23 | 2011-09-08 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | ニッケル粉末およびその製造方法 |
JP2015131982A (ja) * | 2014-01-09 | 2015-07-23 | 株式会社村田製作所 | 複合粉末とその製造方法およびそれを用いた導電性ペーストとそれを用いた積層セラミック電子部品 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4016232B2 (ja) | 2007-12-05 |
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