[参考例1]
以下、本発明に関連する参考例1の回転制動装置Aを、図1乃至図5を参照して説明する。
図1は、参考例1の回転制動装置Aが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示している。このスピニングリールは、竿管(図示せず)への取付脚1aを有するリール本体1と、そのリール本体1に回転自在に装着されたハンドル軸2と、リール本体1の前端部に保持筒12を介して取り付けられたベアリング3aと、リール本体1の前端部に嵌合されたベアリング3bと、これらベアリング3a、3bの内周に回転自在に装着された軸筒4とを有している。
ハンドル軸2は、リール本体1の側方に配置されたハンドル(図示せず)の操作によって軸線周りに回転駆動される。ハンドル軸2にはマスター歯車5が一体回転可能に装着され、そのマスター歯車5は軸筒4の後端部に設けられたピニオン6と噛み合っている。軸筒4の前端部にはロータ7がナット8によって一体回転可能に取り付けられている。従って、ハンドル軸2が回転すると、その回転がマスター歯車5、ピニオン6及び軸筒4を介してロータ7に伝達されてロータ7が軸筒4と共に回転する。
軸筒4の中心にはスプール軸9がその軸線方向に移動自在に装着される。スプール軸9の先端(図1の左端)には、スプール10が取り付けられている。スプール軸9の後端はオシレート機構11と連結される。オシレート機構11は、マスター歯車5の回転をスプール軸9の軸線方向の運動に変換して、スプール10をリールの前後方向に往復運動させる。
ロータ7の外周には一対のサポートアーム7a、7aが設けられ、それらのサポートアーム7a、7aの先端には、ベールアームホルダ13及びベールアームレバー14がピン(図示せず)を中心として回転自在に取り付けられている。ベールアームレバー14には釣り糸(図示せず)を案内するためのラインローラ15が取り付けられ、そのラインローラ15とベールアームホルダ13との間にベールアーム16が装着されている。ベールアーム16を釣り糸の巻き取り位置に倒してラインローラ15に釣り糸を巻き掛けた状態でハンドルを正転させると、ロータ7が正転しつつスプール10が前後に往復して釣り糸が巻き取られる。
図1に示すように、リール本体1の保持筒12の外周には、ベアリング3cを介してドラム型の制動体24が回転自在に装着されている。制動体24は、その外周に折り返し部を有しており、この折り返し部の内周に外側制動面24aが形成されている。又、制動体24は、その中央部にボス部を有しており、このボス部の外周に、上記外側制動面24aと対向する内側制動面24bが形成されている。
リール本体1には、操作部材17がピン26を中心として回動操作可能に取り付けられている。操作部材17の先端上面には、上述した制動体24の外側制動面24aに当接可能な主制動片18が設けられ、その先端下面には、上述した制動体24の内側制動面24bに当接可能な副制動片19が設けられている。
参考例1の回転制動装置Aにおいては、構造を簡略化するために、主制動片18と副制動片19とを一体的に形成している。即ち、本発明の第1の実施形態にかかる回転制動装置Aにおいては、主制動片18及び副制動片19を一体的に有する略U字状の制動ブロックが、操作部材18の先端に取り付けられている。
図1及び図3に示すように、操作部材17をリール本体1に揺動可能に支持している軸26の上方において、操作部材17とリール本体1との間にバネ28が配置されている。即ち、このバネ28の一端は、リール本体1に形成されたネジ孔に螺合された雄ネジ27に内装されており、その他端は、操作部材17に当接している。従って、操作部材17の非操作状態において、バネ28の弾発力によって、副制動片19が制動体24の内側制動面24bに当接する。上述したバネ28の弾発力の調整は、バネ28を内装したネジ27の螺合量に応じて行なわれる。このように、バネ28及びこれを内装したネジ27は、制動力を調整するための調整手段を構成している。
図1〜図3に示すように、制動体24とロータ7との間には一方向クラッチ20が設けられている。この一方向クラッチ20は、制動体24に固定されるか又は制動体24と一体に設けられる内輪22と、内輪22の外周面上に転動可能に設けられる複数(図では6個)の円柱状のころがり部材23と、ころがり部材23に外周側から接するように設けられた外輪21と、各ころがり部材23に隣接して配置される保持器23aと、ころがり部材23と保持器23aとの間に配置されてころがり部材23をロータ7の逆転方向(図2の矢印Y方向)に付勢する圧縮コイルばね23bとを有している。
内輪22の外周には略六角形状のカム部22aが形成されている。ころがり部材23、保持器23a及び圧縮コイルバネ23bは、カム部22aの各面にそれぞれ一つずつ配置されている。外輪21は、ロータ7の内周面に固定されるか又はロータ7と一体に設けられ、その外輪21の内周には円筒面21aが形成されている。保持器23aは、制動体24に固定されるか、又は、制動体24と一体に設けられる。
この一方向クラッチ20によれば、ロータ7及び外輪21に正転運動(図2の矢印X方向)が伝達された場合には、ころがり部材23が圧縮コイルバネ23bを縮めつつ外輪21と内輪22との隙間が拡大する方向に変位して、外輪21と内輪22との間で自由に回転可能となる。従って、内輪22に対する外輪21の正転が許容される。即ち、ハンドルによりロータ7を正転させた場合には、外輪21と内輪22とは、ころがり部材23による楔作用が発揮されることなく、自由な正転が可能になる。
一方、ロータ7及び外輪21に逆転運動(図2の矢印Y方向)が伝達された場合には、ころがり部材23がカム部22aの角部に乗り上げて、外輪21と内輪22との間に挟み込まれる。これにより、ころがり部材23と外輪21及び内輪22との間に楔作用が生じて、外輪21と内輪22との相対回転が規制され、外輪21と内輪22とが一体に逆転するようになる。即ち、ハンドルによりロータ7を逆転させた場合には、外輪21と内輪22とは、ころがり部材23による楔作用により、相互の回転が規制される。
このようにハンドルの回転に連動回転するロータ7の逆転時に、該ロータ7と一体的に回転するように、ロータ7は一方向クラッチ20を介して制動体24に連結されている。
参考例1の回転制動装置Aの作動について説明する。
操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28の調節可能な当接力で当接され、これによって制動体24に制動力が付与されて、サブブレーキONの状態に置かれる(図1参照)。その結果、制動体24のリール本体1に対する回転は、バネ28の弾発力に起因する所定の制動力の下に拘束されながら、ロータ7の制動体24に対する正転のみが一方向クラッチ20の楔作用によって許容される。
操作部材17をバネ28の弾発力に抗して小さく操作すると、副制動片19は制動体24から離隔する。この際、操作部材18の操作ストロークが小さいために、操作部材18の先端上面に設けられた主制動部18は制動体24に当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態に置かれる。その結果、制動体24のリール本体1に対する正転及び逆転の何れも可能になる。従って、一方向クラッチ20の楔作用に拘わらず、ロータ7の正転及び逆転の何れも可能になる。
操作部材17を大きく操作すると、副制動片19は制動体24の内側制動面24bから離隔するが、操作部材17の先端上面に設けられた主制動部18が制動体24の外側制動面24aに当接して、メインブレーキONの状態に置かれる。その結果、制動体24のリール本体1に対する回転は、釣り人による操作部材17の任意に調節可能な操作力に起因する任意の制動力の下に拘束されながら、ロータ7の制動体24に対する正転はフリーの状態で、ロータ7のリール本体1に対する逆転は一方向クラッチ20の楔作用によって拘束される。
このように、操作部材17の操作・非操作によって、ロータ7、即ち、回転部に逆転止め制動力を付与することができるので、仕掛けへの餌の取付けや仕掛けの投擲後のアタリ待ち時等に、操作部材17の操作を行わないことにより、釣り糸の繰り出しを阻止する状態に、無音状態で遊びを生ずることなく速やかに移ることができる。
従って、仕掛けの投擲後のアタリ待ち時に、大きなアタリ等の負荷が釣り糸にかかっても、ロータ7にはバネ28による逆転止め制動力がかかっているだけで、逆転は許容されるので、釣り糸の切断およびこれに起因するトラブルの発生の防止を図ることができる。
又、仕掛けへの餌の取付け時にも、ロータ7にはバネ28による逆転止め制動力がかかっているので、釣り糸の繰り出しによる糸絡みの防止を図ることができる。
更に、魚のアタリ感知時に魚が根等に走る場合には、操作部材17を小さく操作することによって、制動体24への逆転制動力の解除ができるので、ロータ7の無負荷での逆転によるフリー状態で、釣り糸の繰り出しができる。
更に、獲物の取り込み中等における竿の煽り時には、操作部材17を大きく操作することによって、制動体24への逆転制動力の付与が可能なため、この制動力を付与したままでの竿の煽りと釣り糸の巻取り操作を行うことができる。
以上のように、操作部材17の非操作状態と、操作部材17の操作の程度に応じたロータ7への逆転止め制動力を付与する状態とを、他の部材を操作することなく迅速に切り換えることができる。
勿論、上述したように、操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28の調節可能な当接力で当接され、これによって制動体24に制動力が付与されるが、この操作部材17を竿管から離れる方向に押し付けることによって、制動体22の内側制動面24bに対する副制動片19の当接力を調節し、もって、制動体24への制動力を制御することも可能である。
参考例1の回転制動装置Aの一方向クラッチ20においては、内輪22の外周に略六角形状のカム部22aが形成され、一方、外輪21の内周に円筒面21aが形成されているものとして説明したが、内輪22の外周に円筒面を形成する一方、外輪21の内周に略六角形状のカム部を形成してもよい。勿論、このカム部は多角形状を有していればよく、略六角形状に限られるものではない。
又、一方向クラッチ20の内輪22は、ロータ7の軸筒4の外周に固定され、又は、一体に設けられたものとして説明したが、これを、ロータ7の前壁後面、或いは、ロータ7の筒部内周面等のハンドル操作によって回転されるロータ7の回転伝達系の何れかの位置に設けてもよい。
又、一方向クラッチ20の外輪21を、ハンドル操作によって回転されるロータ7の回転伝達系に設ける一方、内輪22を制動体24に設けたものとして説明したが、外輪21を制動体24に設ける一方、内輪22をロータ7の回転伝達系に設けてもよい。
又、制動力を調整するための調整手段は、バネ28及びこれを内装したネジ27によって構成されるものとして説明したが、同調整手段はこれらに限定されるものではなく、例えば、操作手段17の揺動中心を形成する軸26の周りに、一端を操作手段17に取り付けたトーションバネを配置し、その他端とリール本体1との取付位置を変化させるものでもよい。
参考例1の回転制動装置Aに、リール本体1に変位可能に支持された切換部材25を付加し、これによって、操作部材17の非操作時に、副制動片19を、制動体24の内側制動面24bに当接可能な位置と当接不能な位置に切換保持するように構成することも可能である。
この切換部材25を図4(a)及び(b)を参照して以下に説明する。
図4(a)及び(b)から明らかなように、切換部材25は、リール本体1の下部に揺動可能に設けられたレバー29を有している。レバー29は、ストッパ34aを有するレバーカム34を一体的に有しており、そのレバーカム34の揺動中心から一方向に偏移した位置には、ピン34bが設けられている。レバー29はレバーカム34と一体的に揺動するが、その揺動範囲は、リール本体1に設けられ、上記ストッパ34aに選択的に接触する下方突起41及び上方突起42によって制限されている。レバーカム34には、その回転方向に弾発力を付与するためのデッドポイントバネ37が取り付けられている。即ち、バネ37の一端をレバーカム34に、その他端をリール本体1にそれぞれ取り付けることによって、レバーカム34にその回転方向に対する弾発力を付与し、もって、切換状態を確実に保持するように構成されている。
上述した切換部材25は、副制動片19の制動体24への当接可能位置と当接不能位置とを、連結部材30aを介して切換保持する。即ち、連結部材30aは、略C字状の形状を有しており、ネジ35によって、リール本体1に揺動可能に支持されている。連結部材30aの一端31は、操作部材17の先端部分の下面に当接可能である。一方、連結部材30aの他端32には、略U字状の溝33が形成されており、この溝33内に上述したレバーカム34のピン34bが挿入されている。
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を時計方向に回転させて、そのストッパ34aを下方突起41に接触させると、連結部材30aが反時計方向に揺動して、操作部材17を僅かに上方に持ち上げる(図4(a)参照)。このような状態においては、操作部材17の先端は、制動体24の外側制動面24aと内側制動面24bとの中間の位置に置かれ、換言すれば、主制動片18及び副制動片19は、制動体24の外側制動面24a及び内側制動面24bにそれぞれ当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキONの状態に置かれる。(図3参照)。
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を反時計方向に回転させて、そのストッパ34aを上方突起42に接触させると、連結部材30aが時計方向に揺動して、その一端31が操作部材17の先端部分の下面から離れる。これにより、操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28の調節可能な当接力で当接されて、サブブレーキONの状態に置かれ、これによって制動体24に制動力が付与される(図1参照)。
このようにして、操作部材17の非操作時において、切換部材25によって、副制動片19は制動体24への当接可能な位置(図1)及び当接不能な位置(図3)に切換保持される。
上述した連結部材30aは、ネジ35を中心として揺動可能に支持されるものとして説明したが、これを揺動可能ではなく、上下動可能に構成することも可能である。図5は、上述した連結部材30aの変形例、即ち、上下動可能に構成された連結部材30bと、切換部材25との組合せの態様を示している。
図5に示した連結部材30bも、上述した連結部材30aと同様に、略C字状の形状を有しており、その一端31は、操作部材17の先端部分の下面に当接可能であるが、その他端32には、横方向に伸びる長孔36cが形成されている。又、連結部材30bの、一端31と他端32とを接続する垂直部分の上部及び下部には、縦方向に伸びる長孔36a及び36bがそれぞれ形成されている。
この連結部材30bの他端32に形成された長孔36cには、レバーカム35のピン34bが挿入されている。一方、連結部材30bの長孔36a及び36bには、リール本体1に設けられたガイドピン39及び40がそれぞれ挿入されている。
このような連結部材30bと切換部材25との組合せにおいては、切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を時計方向に回転させて、そのストッパ34aを下方突起41に接触させると、連結部材30bが上方に移動して、操作部材17を僅かに上方に持ち上げる(図5(a)参照)。このような状態においては、操作部材17の先端は、制動体24の外側制動面24aと内側制動面24bとの中間の位置に置かれ、換言すれば、主制動片18及び副制動片19は、制動体24の外側制動面24a及び内側制動面24bにそれぞれ当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態に置かれる(図3参照)。
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を反時計方向に回転させて、そのストッパ34aを上方突起42に接触させると、連結部材30bが下方に移動して、その一端31が操作部材17の先端部分の下面から離れる。これにより、操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28の調節可能な当接力で当接されて、サブブレーキONの状態に置かれ、これによって制動体24に制動力が付与される(図1参照)。
[参考例2]
次に、本発明に関連する参考例2の回転制動装置Bを図6〜図8を参照して説明する。
参考例2の回転制動装置Bは、下記の点を除き、参考例1の、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと同一である。
ア)レバーカム34が、ピン34bの代わりに、カム部34cを有している。
イ)連結部材30cの一端31にU字状の溝43が形成されている。
ウ)連結部材30cの他端32にカム面44が形成されている。
エ)連結部材30cを揺動可能に支持するネジ35の周りにバネ45を設けて、連結部材30cを反時計方向に揺動させるための弾発力を、同連結部材30cに付与している。
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、参考例1の回転制動装置Aと参考例2の回転制動装置Bとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7(a)及び(b)に示すように、レバーカム34の揺動中心から一方向に偏移した位置には、カム部34cが設けられている。
連結部材30cは、上述した連結部材30aと同様に、略C字状の形状を有しているが、その一端31は上方部分31a及び下方部分31bに分岐して、その間に横方向に開放された略U字状の溝43を形成している。上方部分31aと下方部分31bとの間隔、即ち、略U字状の溝43の幅は、操作部材17の先端部分の厚さよりも若干大きく、その略U字状の溝43内に操作部材17の先端部分が収められている。
連結部材30cの他端32には、レバーカム34のカム部34cが当接可能なカム面44が形成されている。
連結部材30cを揺動可能に支持するネジ35の周りにバネ45が設けられている。このバネ45の一端は、上述した略U字状の溝43内に係合され、その他端は、リール本体1に取り付けられている。その結果、連結部材30cを反時計方向に揺動させるための弾発力が連結部材30cに付与されている。
参考例2の回転制動装置Bにおいて、切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を時計方向に回転させて、そのストッパ34aを下方突起41に接触させると、連結部材30cがバネ45の弾発力によって反時計方向に揺動して、操作部材17を僅かに上方に持ち上げる(図7(a)参照)。このような状態においては、操作部材17の先端は、制動体24の外側制動面24aと内側制動面24bとの中間の位置に置かれ、換言すれば、主制動片18及び副制動片19は、制動体24の外側制動面24a及び内側制動面24bにそれぞれ当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態に置かれる。
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を反時計方向に回転させて、そのストッパ34aを上方突起42に接触させると、レバーカム34のカム部34cが連結部材30cのカム面44に接触しながら、連結部材30cがバネ45の弾発力に抗して時計方向に揺動して、操作部材17の先端部分の下方への移動を許容する。これにより、操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28の調節可能な当接力で当接して、サブブレーキONの状態に置かれ、これによって制動体24に制動力が付与される(図6及び図7(b)参照)。
このようにして、操作部材17の非操作時において、切換部材25によって、副制動片19は制動体24への当接可能な位置及び当接不能な位置に切換保持される。
図7(b)に示したサブブレーキONの状態で、操作部材17を引き上げれば、連結部材30cが反時計方向に揺動し、これに伴ってレバーカム34がレバー29と共に時計方向に揺動し、その結果、図7(a)に示す状態に切換保持される。従って、サブブレーキONからサブブレーキOFFへの切換を、切換部材25のレバー29を操作することなく、操作部材17の引上げ操作のみで行なうことができる。勿論、サブブレーキ解除後は、操作部材17の操作によって、メインブレーキを所望の制動力でかけることは可能である。
参考例2の回転制動装置Bにおいて、連結部材30cとは異なる、図8に示した連結部材30dを使用すれば、サブブレーキONからサブブレーキOFFへの切換のみならず、サブブレーキOFFからサブブレーキONへの切換を、切換部材25のレバー29を操作することなく、操作部材17の引上げ操作のみで行なうことができる。
この連結部材30dを図8を参照しながら説明する。
連結部材30dは、カム面44の上端に段部44aが形成されていることを除き、上述した連結部材30cと同一である。即ち、この段部44aは、図8(a)に示すサブブレーキOFFの状態で、レバーカム34のカム部34cに接触し、連結部材30cが図8において時計方向に揺動するときに、レバーカム34を反時計方向に揺動させるように構成されている。
このように構成すれば、連結部材30dおよびレバーカム34の何れか一方の揺動によって何れか他方が連動して揺動するので、レバーカム34側にバネ37を設ければ、連結部材30dそのものに弾発力を付与するためのバネをネジ35の周りに設ける必要はない。
切換部材25のレバー29の操作によるサブブレーキON・OFFの切換動作は、上述した連結部材30cを用いた場合と同一であるので、その説明を省略する。
図8(b)に示すサブブレーキONの状態で、操作部材17を引き上げれば、、連結部材30dが反時計方向に揺動し、これに伴ってレバーカム34がレバー29と共に時計方向に揺動し、その結果、図8(a)に示す状態に切換保持される。
又、図8(a)に示すサブブレーキOFFの状態で、操作部材17を押し下げれば、連結部材30dが時計方向に揺動し、これに伴ってレバーカム34がレバー29と共に反時計方向に揺動し、その結果、図8(b)に示す状態に切換保持される。
[参考例3]
次に、本発明に関連する参考例3の回転制動装置Cを図9〜図11を参照して説明する。
参考例3の回転制動装置Cは、下記の点を除き、参考例1の回転制動装置Aと同一である。
ア)操作部材17の先端が、第1部材17a及び第2部材17bの2つの部材に分岐しており、この第1部材17aの先端に、主制動片18及び副制動片19を一体的に有する略U字状の制動ブロックが取り付けられている。
イ)切換部材25が、操作部材17の第1部材17a及び第2部材17bとそれぞれ選択的に接触可能な部材46及び47を有している。
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、参考例1の回転制動装置Aと参考例3の回転制動装置Cとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
操作部材17の先端は、図9及び図10に示すように、第1部材17a及び第2部材17bの2つの部材に分岐しており、第1部材17aの先端に、主制動片18及び副制動片19を一体的に有する略U字状の制動ブロックが取り付けられている。勿論、このような制動ブロックを使用することなく、主制動片18及び副制動片19をそれぞれ別体に形成し、主制動片18を第1部材17aの先端上面に、副制動片19を第1部材17aの先端下面にそれぞれ取り付けてもよい。
切換部材25は、リール本体1に変位可能に支持されており、副制動片19が制動体24の内側制動面24bに当接可能な位置(図9参照)(サブブレーキON)と、当接不能な位置(図10参照)(サブブレーキOFF)とに切換保持できるように構成されている。
即ち、切換部材25は、後端にレバー29を備え、リール本体1に回転可能に支持された連結部材30eを有している。連結部材30eの先端には、操作部材17の第1部材17aの下面と接触して、同第1部材17aを僅かに上方に持ち上げ、もって、上述した副制動片19と制動体24の内側制動面24bとの接触を解除して、副制動片19を制動体24に当接不能な位置に保持するための、即ち、サブブレーキOFFの状態を保持するためのカム46が設けられている。
更に、連結部材30eの上述したカム46よりも僅かに内側の部分には、レバー29を回転させて、カム46と操作部材17の第1部材17aの下面との接触が解除された状態において、上記操作部材17の第2部材17bの先端に係合するピン47が設けられている。即ち、図9に示されるように、カム46の回転により、これと操作部材17の第1部材17aの下面との接触が解除されたサブブレーキONの状態で、操作部材17を引き上げると、その第2部材17bは、ピン47を上方に持ち上げるようにして、カム46を回転させ、このカム46の回転によって、操作部材17の第1部材17aを僅かに上方に持ち上げ、もって、上述した副制動片19と制動体24の内側制動面24bとの接触が解除されて、副制動片19が制動体24に当接不能な位置、即ち、サブブレーキOFFの状態に保持される。
上述したカム46とリール本体1との間には、バネ37が設けられ、副制動片19が制動体22に当接可能な位置(図11(b)参照)と、当接不能な位置(図11(a)参照)との切換保持が確実になされる。
[実施形態]
次に、本発明の実施形態にかかる回転制動装置Dを図12〜図15を参照して説明する。
本発明の実施形態にかかる回転制動装置Dは、下記の点を除き、参考例1の、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと同一である。
ア)ロータ7の内周面に係合歯7aが形成されており、一方、リール本体1には、この係合歯7aに係脱可能な係合爪48が揺動可能に支持され、もって、ロータ7の正転のみを許容するように構成されている。
イ)連結部材30fの一端31とその揺動中心部との間に、操作部材17の先端部分を受け入れるためのガイド溝43が形成されている。
ウ)副制動片19が、3段階に切換可能な切換部材25によって、制動体24への当接可能位置と当接不能位置とに切換保持される。
エ)係合爪48が、上記切換部材25によって、係合歯7aへの係合可能位置と係合不能位置とに切換保持される。
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、参考例1の、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと参考例3の回転制動装置Cとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12〜図15に示すように、ロータ7の後部の内周面には、係合歯7aが形成されており、一方、リール本体1には、この係合歯7aに係脱可能な係合爪48が、ピン49によって揺動可能に支持されている。
上記係合爪48は、その下端に係合部48bを有しており、上記ピン49の周りには、係合部48bを係合歯7aに弾発的に係合させるためのバネ50が設けられている。更に、係合爪48の下端側部分には、位置決め用孔48cが形成されており、この位置決め用孔48cに、リール本体1側に保持された位置決めワイヤ51の先端が引っ掛けられている。
連結部材30fは略C字状の形状を有しており、そのほぼ中央の位置において、ネジ35によってリール本体1に揺動可能に支持されている。この連結部材30fの一端31は、上述した係合爪48側に伸びて、係合爪48の上端48aと係合している。連結部材30fの他端、即ち、下端にはU字状の溝33が形成されている。連結部材30fの一端31とその揺動中心部との間には、操作部材17の先端部分を受け入れるためのガイド溝43が形成されている。
切換部材25は、リール本体1の下部に揺動可能に設けられたレバー29を有している。レバー29は、ストッパ34aを有するレバーカム34を一体的に有しており、そのレバーカム34の上方部分には、上述した連結部材30fのU字状の溝33内に挿入されるピン34bが設けられている(図14参照)。レバー29はレバーカム34と一体的に揺動するが、その揺動範囲は、リール本体1に設けられ、上記ストッパ34aに選択的に接触する下方突起41及び上方突起42によって制限されている。
更に、上記レバーカム34の揺動位置は、3段階に切換可能な位置決め機構52によって確保される。即ち、レバーカム34の周囲に、3つの凹部34c、34d、34eが形成されると共に、レバーカム34付近のリール本体1には、これらの凹部34c、34d、34eの何れか1つに弾発的に係合される先端部を有する板バネ52aが設けられている。
上述した構造を採用することによって、切換部材25によって、副制動片19を制動体24への当接可能位置(サブブレーキON)と当接不能位置(サブブレーキOFF)とに切換保持するのみならず、係合爪48を係合歯7aへの係合可能位置(アンチブレーキON)と係合不能位置(アンチブレーキOFF)とに切換保持することができる。
即ち、切換部材25のレバー29を図13(a)におけるように、右側に位置させると、連結部材30fは時計方向に揺動して、副制動片19が制動体24に当接し、この状態において、係合爪48は係合歯7aに係合し、その結果、アンチブレーキON及びサブブレーキONの状態に置かれる。従って、一方向クラッチ20による楔作用及び係合爪48の係脱作用によって、ロータ7の正転のみが許容される。
切換部材25のレバー29を図13(b)におけるように、中央に位置させると、連結部材30fは反時計方向に僅かに揺動し、これに伴って係合爪48は時計方向に僅かに揺動して、副制動片19の制動体24への当接状態を維持しながら、係合爪48と係合歯7aとの係合が解除され、その結果、アンチブレーキOFF及びサブブレーキONの状態に置かれる。従って、一方向クラッチ20による楔作用によって、ロータ7の逆転に制動がかかる。
切換部材25のレバー29を図13(c)におけるように、左側に位置させると、連結部材30fは反時計方向に更に揺動し、これに伴って副制動片19が制動体24から離隔し、同時に、係合爪48は時計方向に更に揺動し、その結果、アンチブレーキOFF及びサブブレーキOFFの状態に置かれる。従って、ロータ7の正転及び逆転の何れもが可能になる。
又、図13(a)に示したアンチブレーキON及びサブブレーキONの状態で、操作部材17の引上げ操作を行なうと、連結部材30fが反時計方向に揺動すると同時に、係合爪48が時計方向に揺動して、図1313(c)に示したアンチブレーキOFF及びサブブレーキOFFの状態に置かれる。従って、切換部材25を操作することなく、操作部材17の引上げ操作のみで、ロータ7の正転及び逆転の何れもが可能に切換保持することができる。
更に、図13(c)に示したアンチブレーキOFF及びサブブレーキOFFの状態で、操作部材17の押下げ操作を行なうと、連結部材30fが時計方向に揺動すると同時に、係合爪48が反時計方向に揺動して、図13(a)に示したアンチブレーキON及びサブブレーキONの状態に置かれる。従って、切換部材25を操作することなく、操作部材17の押下げ操作のみで、ロータ7の正転のみが許容される状態に切換保持することができる。
この実施形態にかかる回転制動装置Dにおいては、ロータ7の後部の内周面に係合歯7aが形成されたものとして説明したが、この係合歯をロータ7の軸筒に設けることも可能であり、又、ロータ7ではなく、制動体24の後部に設けることも可能である。
又、係合歯7a及び係合爪48は、ロータ7の正転のみを許容するように構成されているものとして説明したが、ロータ7の正転及び逆転の双方を規制するように構成することも可能である。
[参考例4]
次に、本発明に関連する参考例4の回転制動装置Eを図16乃至図18を参照して説明する。
参考例4の回転制動装置Eは、下記の点を除き、参考例1の回転制動装置Aと同一である。
ア)制動体24が、中央にボスを有するディスク型に形成されており、ディスクの裏面に外側制動面24aが形成されており、ボスの外周に内側制動面24bが形成されている。
イ)操作部材17の先端に、上記制動体24の外側制動面24aに当接可能な断面略C字状の主制動片18が取り付けられており、この主制動片18の下面に、上記制動体24の内側制動面24bに当接可能な副制動片19が一体的に形成されている。
ウ)操作部材17の非操作時において、連結部材30gを有する切換部材25によって、副制動片19は制動体24への当接可能な位置及び当接不能な位置に切換保持される。
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、参考例1の回転制動装置Aと参考例4の回転制動装置Eとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
参考例1の回転制動装置Aにおいては、制動体24はドラム型に形成されているが、参考例4の回転制動装置Eにおいては、図16及び図17に示すように、制動体24は中央にボスを有するディスク型に形成されている。この制動体24のディスクの裏面、即ち、一方向クラッチ20の内輪22が取り付けられる側と反対側の面には、外側制動面24aが形成されており、一方、そのボスの外周には内側制動面24b形成されている。
操作部材17の先端には、主制動片18及び副制動片19からなる制動ブロックが取り付けられている。即ち、この制動ブロックは、制動体24の外側制動面24aに当接可能な断面略C字状の主制動片18と、この主制動片18の下面に一体的に形成され、制動体24の内側制動面24bに当接可能な副制動片19とからなっている。この制動ブロックは、断面略C字状の主制動片18を操作部材17の先端に嵌め込むことによって、同操作部材17に取り付けられている。勿論、このような制動ブロックを使用することなく、主制動片18及び副制動片を別体に形成し、前者を操作部材17の先端部の端面に、後者を同先端部の下面にそれぞれ取り付けてもよい。
切換部材25は、後端にレバー29を備え、リール本体1に回転可能に支持された連結部材30gを有している。連結部材30gの先端には、操作部材17の先端部の下面と接触して、これを僅かに上方に持ち上げ、もって、上述した副制動片19と制動体24の内側制動面24bとの接触を解除して、副制動片19を制動体24に当接不能な位置に保持するための、即ち、サブブレーキOFFの状態を保持するためのカム53が設けられている(図17参照)勿論、この切換部材25においては、本発明の上述した第3の実施形態にかかる回転制動装置Cにおける切換部材25におけると同様に、カム53を、バネ(図示せず)を介してリール本体1に連結して、切換状態を確保するように構成することが望ましい。
切換部材25のレバー29の操作により、カム53が図18(b)に示す状態に置かれているときには、カム53は操作部材17の先端部の下面から離隔し、これにより、副制動片19はバネ28の弾発力によって制動体24の内側制動面24bに当接して、サブブレーキONの状態に置かれる(図16参照)。このような状態で、操作部材17を引き上げると、主制動片18は制動体24の外側制動面24aに当接して、釣り人による調整可能な任意の制動力によるメインブレーキONの状態に置かれる。
切換部材25のレバー29の操作により、カム53が図18(a)に示す状態に置かれているときには、カム53は操作部材17の先端部の下面に当接して、これを上方に若干持ち上げ、これにより、副制動片19はバネ28の弾発力に抗して制動体24の内側制動面24bから離隔して、サブブレーキOFFの状態に置かれる(図17参照)。勿論、このような状態で、操作部材17を引き上げれば、主制動片18は制動体24の外側制動面24aに当接して、釣り人による調整可能な任意の制動力によるメインブレーキONの状態に置かれる。
[参考例5]
次に、本発明に関連する参考例5の回転制動装置Fを図19〜図21を参照して説明する。
参考例5の回転制動装置Fは、下記の点を除き、参考例1の回転制動装置Aと同一である。
ア)一方向クラッチ20が制動体24とロータ7の軸筒4との間に配置されている。
イ)制動体24がディスク型に形成されており、その後面に主制動面24aが、その前面に副制動面24bがそれぞれ形成されている。
ウ)制動体24の主制動面24aに当接可能な主制動片18と、制動体24の副制動面24bに当接可能な副制動片19とからなる摺動ブロックSが、操作部材17の操作によってロータ7の軸線方向と平行な方向に移動可能である。
エ)切換部材25によって、上記摺動ブロックSの移動が制御可能であり、その結果、副制動片19は制動体24への当接可能な位置及び当接不能な位置に切換保持される。
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、参考例1の回転制動装置Aと参考例5の回転制動装置Fとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
一方向クラッチ20の基本構造は、参考例1の回転制動装置Aにおいて使用された一方向クラッチ20と同一であるが、図19及び図20に示すように、その内輪22はロータ7の軸筒4側に取り付けられる。一方、内輪21は、制動体24の前面に固定、又は、一体的に形成される。このようにして、一方向クラッチ20は、制動体24とロータ7の軸筒4との間に配置されている。
制動体24は、ディスク型に形成されており、保持筒12の先端に、同保持筒12に対して変位可能に嵌め込まれている。制動体24の後面には、主制動面24aが、その前面には、副制動面24bがそれぞれ形成されている。
制動体24に制動力を付与するための摺動ブロックSは、ロータ7の軸線方向と平行な方向に移動できるようにリール本体1に取り付けられ、その後端部が、操作部材17の先端にピン56によって連結されている。この摺動ブロックSは、円柱状の主制動片18と、この主制動片18の先端部を延長することによって形成された円柱状の副制動片19とからなっている。主制動片18は、制動体24の主制動面24aに当接可能であり、一方、副制動片19は、制動体24の副制動面24bに当接可能である。
即ち、図19及び図20から明らかなように、制動体24の上方の位置において、リール本体1には、円柱状の主制動片18及び副制動片19からなる摺動ブロックSが、スプール軸9の軸線方向と平行な方向に摺動可能に配置されている。この状態において、摺動ブロックSの先端は、リール本体1に形成された案内孔1c内に挿入されている。操作部材17の先端には、長孔17bが形成されており、この長孔17bに挿入されたピン56を介して、摺動ブロックSの後端が操作部材17の先端に回転可能に連結されている。
円柱状の主制動片18は、その略中央下部に第1の溝54が形成されている。円柱状の副制動片19は、上記主制動片18の先端を延長することによって形成されており、これらの連結部分の下部には、第2の溝55が形成されている。第1の溝54の幅は、第2の溝55の幅よりも若干大きい。
摺動ブロックSの第2の溝55内には、制動体24の縁が収められている。このような状態において、操作部材17にはバネ28の弾発力が作用して、摺動ブロックSを、図19及び図20において右側に引き寄せている。従って、操作部材17の非操作時には、摺動ブロックSの第2の溝55の一方の面55aが、制動体24の前面と接触して、制動体24を保持筒12に押し付け、このようにして、制動体24には、上述したバネ28の弾発力の作用による制動力が付与される(図20(a)参照)。
操作部材17を、バネ38の弾発力に抗して引き上げると、摺動ブロックSは、図19及び図20において左側に引き寄せられる。従って、摺動ブロックSの第2の溝55の他方の面55bが、制動体24の後面と接触して、制動体24を、リール本体1の案内孔1cの周りの挟持部材1bに押し付け、このようにして、制動体24には、バネ38の弾発力に抗した操作部材18の引き上げ力による制動力が付与される(図20(c)参照)。
上述した摺動ブロックSの副制動片19は、リール本体1に変位可能に支持した切換部材25によって、制動体24に当接可能な位置と当接不能な位置とに切換保持可能に構成されている。
換言すれば、上述した操作部材17と切換部材25とは、連結部材30h、即ち、連動レバーによって連結され、操作部材17による制動体24への当接操作時に、切換部材25を作動して、副制動片19を制動体24への当接不能な位置に切換保持するように構成されている。
即ち、図21に示すように、切換部材25は、リール本体1の下部に揺動可能に設けられたレバー29を有している。レバー29は、一端にカム部34cを他端にストッパ34aを有するレバーカム34を一体的に備えている。レバー29はレバーカム34と一体的に揺動するが、その揺動範囲は、リール本体1に設けられ、上記ストッパ34aに選択的に接触する下方突起41及び上方突起42によって制限されている。
連結部材30hは、ネジ35によってリール本体1に揺動可能に支持されている。連結部材30hの上端31は、上述した摺動ブロックSの第1の溝54内に収められ、または、そこから離脱するように構成されている。上述したネジ35の周りには、第1のバネ45が配置され、これによって、連結部材30hは図21において反時計方向に回転して、その上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められるように構成されている。
連結部材30hの下端は、上述したレバーカム34のカム部34cに第2のバネ37を介して連結されている。従って、図21(a)に示すように、レバー29を同図における反時計方向に回転させると、レバーカム34のカム部34cによって、第1のバネ45に抗して、連結部材30hの下端が外側に押し出され、一方、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内から離脱する。このとき、第2のバネ37の作用によって、レバーカム34のストッパ34aが上方突起42に接触した状態でロックされ、このようにして、連結部材30hの上端31が上述した摺動ブロックSの第1の溝54から離脱した状態(図21(b)参照)に保持され、換言すれば、副制動片19が制動体24への当接可能な位置に保持される(図19及び図20(a)参照)。
一方、図21(a)に示すように、レバー29を同図における時計方向に回転させると、レバーカム34のカム部34c及び第2のバネ37によって、連結部材30hの下端は内側に引き寄せられる。この動作は、第1のバネ45の作用によって助長される。このように連結部材30hの下端が内側に引き寄せられると、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められる。
このとき、第1のバネ45及び第2のバネ37の作用によって、レバーカム34のストッパ34aが下方突起41に接触した状態でロックされ、このようにして、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められた状態に保持され(図20(b)参照)、換言すれば、副制動片19が制動体24への当接不能な位置に保持される(図20(b)及び(c)参照)。
ここにおいて、参考例5の装置Fの特徴は、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められた状態において、連結部材30hの上端31が、摺動ブロックSの第1の溝54の前方の面54aに接触しているときは、制動体24は、摺動ブロックSの第2の溝55内において、その後方の面55b及び前方の面55aの何れにも接触しないことにある(図20(b)参照)。このような状態においては、制動体24には制動力が付与されていないので、ハンドルの操作によってロータ7を正・逆何れの方向にも自由に回転させることができる。
上述したように、摺動ブロックSにおける第1の溝54の幅は、第2の溝55の幅よりも若干大きい。従って、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められた状態においても、摺動ブロックSは、図20(b)において左側に摺動可能である。従って、操作部材17の操作によって摺動ブロックSが、図20(c)に示すように、左側に摺動して、摺動ブロックSの第2の溝55における後方の面55bが制動体24に接触すると、制動体24に制動力が付与され、その結果、制動体24に対してロータ7は正方向に回転可能であるものの、その逆方向への回転は、一方向クラッチ20の楔作用によって規制される。