JP3668398B2 - 魚釣り用リールの回転制動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータの繰出し方向への回転時に一体的に回転する制動体に、リール本体に設けた単一のレバー状の制動操作部材の操作量に応じた任意の制動がかけられる魚釣り用リールの回転制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,この種の回転制動装置としては、特開平7−163277号公報、実公平6―42465号公報等に開示されているように、ロータを含む回転部とリール本体に設けた単一のレバー状の制動操作部材の操作量に応じた任意の制動力を負荷する制動体との間に、ころがり型一方向クラッチを設けることによって、回転部の逆転止め時における係合歯と係合爪との衝突音の発生を防止し、回転部の逆転時における制動体との遊びを無くして、迅速な繰出し方向への回転止めとこれに起因する糸切れ等のトラブルの防止を図ったものが提案されている(以下、「先行技術A」という)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行資料Aに開示された回転制動装置においては、回転部又は制動体の何れかに形成した係合歯に係合する係合爪をリール本体に設け、該係合爪を前記制動操作部材とは別に形成された切換部材にて係脱させるようにしているので、回転部又は制動体とリール本体との間で、回転部の繰出し方向への回転時における迅速な繰出し方向への回転止めができず、係合歯と係合爪との衝突音が発生するという問題があった。
【0004】
また、回転部の繰出し方向への回転時に回転部、又は、これと一体的に回転可能に一方向クラッチを介して連結された制動体に形成された係合歯と、リール本体に形成された係合爪とを係合可能に切り換えて、回転部の繰出し方向への回転に起因する釣り糸の繰り出しを防止するものであるため、仕掛けの投擲後、魚のアタリを待っているときに、急に大きなアタリ等の負荷がかかると、回転部の繰出し方向への回転拘束を迅速に解除しなければ、釣り糸が切断してしまうという問題がある。
【0005】
また、前述の大きな負荷による糸切れの問題を解消すべく、係合歯と係合爪との係合を予め解除しておくと、仕掛けへの餌の取付け時に、ロータ等の回転部が繰出し方向に回転して糸絡みが生じ、釣りができなくなるとう問題があった。
【0006】
従って、釣り人は、前記問題の解消のために、魚や仕掛けを取り込んでの仕掛けへの餌付けの都度に、前記切換部材を操作して係合歯と係合爪とを係合させ、仕掛けを投入後、魚のアタリを待つ都度に、前記切換部材を再操作して係合歯と係合爪との係合を解除しなければならないという煩雑な作業を強いられ、この作業を忘れたり、または怠ると、前述の糸切れや糸絡みを招く問題があった。
【0007】
本発明は、先行技術Aが包蔵する問題を解決し、即ち、極めて簡単な操作で、回転部又は制動体とリール本体との間での、回転部の繰出し方向への回転時における迅速な釣糸の繰出し停止を無音状態で可能にし、仕掛けの投擲後、魚のアタリを待っているときに、急に大きな負荷がかかっても、釣り糸が切断することがなく、しかも、仕掛けへの餌の取付け時に、ロータ等の回転部が繰出し方向に回転することによって生じていた糸絡みの発生を防止することが可能な魚釣り用リールの回転制動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明を本発明の実施形態を示す図面に対応付けて説明すると、本発明の請求項1に係わる魚釣用リールの回転制動装置は、リール本体(1)に支持されたスプール(10)に釣糸を巻取案内するロータ(7)を備え、このロータ(7)の繰出し方向の回転時にロータ(7)と共に回転する制動体(24)に制動力を与えるべく構成された制動機構を有、前記制動機構は、前記制動体(24)に任意の制動力を負荷する制動力調節可能状態と、前記制動体(24)への制動力の負荷を解除するフリー状態と、前記制動体(24)又はロータ(7)の少なくとも繰出し方向の回転を規制する規制状態とに単一のレバー状の制動操作部材(17)の操作によって切換え可能とした魚釣用リールの回転制動装置において、フリー状態及び規制状態の2つの状態が切換保持されるものです。
【0009】
本発明の請求項2に係わる魚釣用リールの回転制動装置は、請求項1に記載の規制状態への切換を前記ロータ(7)または制動体(24)に形成された係合歯(7a)に係脱可能にリール本体(1)に設けられた係合片(48)を前記制動操作部材(17)の操作にて前記係合歯(7a)に係合可能な位置に切り換えて行うようにしたものです。但し、本発明は図示の形態に限定されません。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の規制状態に代わる制動状態からの制動操作部材による解除機構の一例を示す第1参考例にかかる回転制動装置Aを、図1乃至図5を参照して説明する。即ち、第1参考例においては、従来の技術にて説明すると共に本発明に係わる係合歯と係合爪とによる回転規制手段に代えて制動面と制動片とによる制動手段を設けています。
【0011】
図1は、第1参考例にかかる回転制動装置Aが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示している。このスピニングリールは、竿管(図示せず)への取付脚1aを有するリール本体1と、そのリール本体1に回転自在に装着されたハンドル軸2と、リール本体1の前端部に保持筒12を介して取り付けられたベアリング3aと、リール本体1の前端部に嵌合されたベアリング3bと、これらベアリング3a、3bの内周に回転自在に装着された軸筒4とを有している。
【0012】
ハンドル軸2は、リール本体1の側方に配置されたハンドル(図示せず)の操作によって軸線周りに回転駆動される。ハンドル軸2にはマスター歯車5が一体回転可能に装着され、そのマスター歯車5は軸筒4の後端部に設けられたピニオン6と噛み合っている。軸筒4の前端部にはロータ7がナット8によって一体回転可能に取り付けられている。従って、ハンドル軸2が回転すると、その回転がマスター歯車5、ピニオン6及び軸筒4を介してロータ7に伝達されてロータ7が軸筒4と共に回転する。
【0013】
軸筒4の中心にはスプール軸9がその軸線方向に移動自在に装着される。スプール軸9の先端(図1の左端)には、スプール10が取り付けられている。スプール軸9の後端はオシレート機構11と連結される。オシレート機構11は、マスター歯車5の回転運動をスプール軸9の軸線方向の往復運動に変換して、スプール10をリール本体1の前後方向に往復運動させる。
【0014】
ロータ7の外周には一対のサポートアーム7a、7aが設けられ、それらのサポートアーム7a、7aの先端には、ベールアームホルダ13及びベールアームレバー14がピン(図示せず)を中心として回転自在に取り付けられている。ベールアームレバー14には釣り糸(図示せず)を案内するためのラインローラ15が取り付けられ、そのラインローラ15とベールアームホルダ13との間にベールアーム16が掛け渡されている。ベールアーム16を釣り糸の巻き取り位置に倒してラインローラ15に釣り糸を巻き掛けた状態でハンドルを巻取り方向に回転させると、ロータ7が巻取り方向に回転しつつスプール10が前後に往復して釣り糸が巻き取られる。
【0015】
図1に示すように、リール本体1の保持筒12の外周には、ベアリング3cを介してドラム型の制動体24が回転自在に装着されている。制動体24は、その外周に折り返し部を有しており、この折り返し部の内周に外側制動面24aが形成されている。又、制動体24は、その中央部にボス部を有しており、このボス部の外周に、上記外側制動面24aと対向するように従来の係合歯に代わる内側制動面24bが形成されている。
【0016】
リール本体1には、制動操作部材17がピン26を中心として図示しない竿管と取付脚1aとを把持した手の指にて回動操作可能に取り付けられている。制動操作部材17の先端上面には、上述した制動体24の外側制動面24aに当接可能な主制動片18が設けられ、その先端下面には、上述した制動体24の内側制動面24bに当接可能なように従来の係合爪に代わる副制動片19が設けられている。
【0017】
第1参考例にかかる回転制動装置Aにおいては、構造を簡略化するために、主制動片18と副制動片19とを一体的に形成している。即ち、回転制動装置Aにおいては、主制動片18及び副制動片19を一体的に有する略U字状の制動ブロックが、制動操作部材17の先端に取り付けられている。
【0018】
図1及び図3に示すように、制動操作部材17をリール本体1に揺動可能に支持しているピン26の上方において、制動操作部材17とリール本体1との間にバネ28が配置されている。即ち、このバネ28の一端は、リール本体1に形成されたネジ孔に螺合された雄ネジ27に内装されており、その他端は、制動操作部材17に当接している。従って、制動操作部材17の非操作状態において、バネ28の弾発力によって、副制動片19が制動体24の内側制動面24bに当接する。上述したバネ28の弾発力の調整は、バネ28を内装したネジ27の螺合量に応じて行なわれる。このように、バネ28及びこれを内装したネジ27は、制動力を調整するための調整手段を構成している。
【0019】
図1乃至図3に示すように、制動体24とロータ7との間には一方向クラッチ20が設けられている。この一方向クラッチ20は、制動体24に固定されるか又は制動体24と一体に設けられる内輪22と、内輪22の外周面上に転動可能に設けられる複数(図では6個)の円柱状のころがり部材23…と、ころがり部材23に外周側から接するように設けられた外輪21と、各ころがり部材23に隣接して配置される保持器23aと、ころがり部材23と保持器23aとの間に配置されてころがり部材23をロータ7の繰出し回転方向(図2の矢印Y方向)に付勢する圧縮コイルばね23bとを有している。
【0020】
内輪22の外周には略六角形状のカム部22aが形成されている。ころがり部材23、保持器23a及び圧縮コイルバネ23bは、カム部22aの各面にそれぞれ一つずつ配置されている。外輪21は、ロータ7の内周面に固定されるか又はロータ7と一体に設けられ、その外輪21の内周には円筒面21aが形成されている。保持器23aは、制動体24に固定されるか、又は、制動体24と一体に設けられる。
【0021】
この一方向クラッチ20によれば、ロータ7及び外輪21に巻取り方向の回転運動(図2の矢印X方向)が伝達された場合には、ころがり部材23が圧縮コイルバネ23bを縮めつつ外輪21と内輪22との隙間が拡大する方向に変位して、外輪21と内輪22との間で自由に回転可能となる。従って、内輪22に対する外輪21の巻取り方向の回転が許容される。即ち、ハンドルによりロータ7を巻取り方向に回転させた場合には、外輪21と内輪22とは、ころがり部材23による楔作用が発揮されることなく、自由な巻取り方向の回転が可能になる。
【0022】
一方、ロータ7及び外輪21に繰出し方向の回転運動(図2の矢印Y方向)が伝達された場合には、ころがり部材23がカム部22aの角部に乗り上げて、外輪21と内輪22との間に挟み込まれる。これにより、ころがり部材23と外輪21及び内輪22との間に楔作用が生じて、外輪21と内輪22との相対回転が規制され、外輪21と内輪22とが一体に繰出し方向に回転するようになる。即ち、ハンドルによりロータ7を繰出し方向に回転させた場合には、外輪21と内輪22とは、ころがり部材23による楔作用により、相互の回転が規制される。
【0023】
このようにハンドルの回転に連動回転するロータ7の繰出し方向の回転時に、該ロータ7と一体的に回転するように、ロータ7は一方向クラッチ20を介して制動体24に連結されている。
【0024】
上述した第1参考例の回転制動装置Aの作動について説明する。
【0025】
制動操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28にて調節された当接力で当接され、これによって制動体24に制動力が付与されて、サブブレーキONの状態、即ち、前記制動体24の繰出し方向の回転に所定の制動力を付与し続けてロータ7の繰出し方向への回転を防止する一定負荷維持状態に置かれる(図1参照)。その結果、制動体24のリール本体1に対する回転は、バネ28の弾発力に起因する所定の制動力の下に拘束されながら、ロータ7の制動体24に対する巻取り方向の回転のみが一方向クラッチ20の楔作用によって許容される。
【0026】
制動操作部材17をバネ28の弾発力に抗して小さく操作すると、副制動片19は制動体24の内側制動面24bから離隔する。この際、制動操作部材17の操作ストロークが小さいために、制動操作部材17の先端上面に設けられた主制動片18は制動体24の外側制動面24aに当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態、即ち、前記制動体24への負荷を解除してロータ7の巻取り方向の回転のみならず繰出し方向の回転をも許容するフリー状態に置かれる。その結果、制動体24のリール本体1に対する巻取り方向の回転及び繰出し方向の回転の何れも可能になる。従って、一方向クラッチ20の楔作用に拘わらず、ロータ7の巻取り方向の回転及び繰出し方向の回転の何れも可能になる。
【0027】
制動操作部材17を大きく操作すると、副制動片19は制動体24の内側制動面24bから離隔するが、制動操作部材17の先端上面に設けられた主制動片18が制動体24の外側制動面24aに当接して、メインブレーキONの状態、即ち、前記制動体24の繰出し方向の回転に前記制動操作部材17の操作量に応じた任意の制動力を負荷する制動力調節可能状態に置かれる。その結果、制動体24のリール本体1に対する回転は、釣り人による制動操作部材17の任意に調節可能な操作力に起因する任意の制動力の下に拘束されながら、ロータ7の制動体24に対する巻取り方向の回転はフリーの状態で、ロータ7のリール本体1に対する繰出し方向の回転は一方向クラッチ20の楔作用によって拘束される。
【0028】
このように、制動操作部材17の操作・非操作によって、ロータ7、即ち、回転部に繰出し方向の回転を制限する制動力を付与することができるので、仕掛けへの餌の取付けや仕掛けの投擲後のアタリ待ち時等に、制動操作部材17の操作を行わないことにより、釣り糸の繰り出しを阻止する一定負荷維持状態に、無音状態で遊びを生ずることなく速やかに移ることができる。
【0029】
従って、仕掛けの投擲後のアタリ待ち時に、大きなアタリ等の負荷が釣り糸にかかっても、ロータ7にはバネ28による繰出し方向の回転を止める制動力がかかっているだけで、繰出し方向の回転は許容されるので、釣り糸の切断およびこれに起因するトラブルの発生の防止を図ることができる。
【0030】
又、仕掛けへの餌の取付け時にも、ロータ7にはバネ28による繰出し方向の回転を止める制動力がかかっているので、釣り糸の繰り出しによる糸絡みの防止を図ることができる。
【0031】
更に、魚のアタリ感知時に魚が根等に走る場合には、制動操作部材17を小さく操作することによって、制動体24への繰出し方向の回転制動力の解除ができるので、ロータ7の無負荷での繰出し方向の回転によるフリー状態で、釣り糸の繰り出しができる。
【0032】
更に、獲物の取り込み中等における竿の煽り時には、制動操作部材17を大きく操作することによって、制動体24への繰出し方向の回転制動力の付与が可能なため、この制動力を付与したままでの竿の煽りと釣り糸の巻取り操作を行うことができる。
【0033】
以上のように、本実施形態においては、制動操作部材17の非操作による繰出し方向の回転への一定負荷維持状態と、制動操作部材17の操作の程度によってのロータ7の巻取り及び繰出し方向の回転が自由なフリー状態と、操作量に応じたロータ7への逆転止め制動力を付与する制動力調節可能状態とを、他の部材を操作することなく迅速に切り換えることができる。
【0034】
【0035】
上述した第1参考例の回転制動装置Aの一方向クラッチ20においては、内輪22の外周に略六角形状のカム部22aが形成され、一方、外輪21の内周に円筒面21aが形成されているものとして説明したが、内輪22の外周に円筒面を形成する一方、外輪21の内周に略六角形状のカム部を形成してもよい。勿論、このカム部は多角形状を有していればよく、略六角形状に限られるものではない。
【0036】
又、一方向クラッチ20の内輪22は、ロータ7の軸筒4の外周に固定され、又は、一体に設けられたものとして説明したが、これを、ロータ7の前壁後面、或いは、ロータ7の筒部内周面等のハンドル操作によって回転されるロータ7の回転伝達系の何れかの位置に設けてもよい。
【0037】
又、一方向クラッチ20の外輪21を、ハンドル操作によって回転されるロータ7の回転伝達系に設ける一方、内輪22を制動体24に設けたものとして説明したが、外輪21を制動体24に設ける一方、内輪22をロータ7の回転伝達系に設けてもよい。
【0038】
又、制動力を調整するための調整手段は、バネ28及びこれを内装したネジ27によって構成されるものとして説明したが、同調整手段はこれらに限定されるものではなく、例えば、制動操作部材17の揺動中心を形成する軸26の周りに、一端を制動操作部材17に取り付けたトーションバネを配置し、その他端とリール本体1との取付位置を変化させるものでもよい。
【0039】
本発明の上述した第1参考例にかかる回転制動装置Aは、図示のようにリール本体1に変位可能に支持された切換部材25を付設するようにしても良い。このように切換部材25を付設すると、制動操作部材17の非操作時に、副制動片19を、制動体24の内側制動面24bに当接可能な位置と当接不能な位置に切換保持するように構成できる。
【0040】
この切換部材25の構成・作用を図1、図4(a)及び(b)を参照して以下に説明する。
【0041】
図4(a)及び(b)から明らかなように、切換部材25は、リール本体1の下部に揺動可能に設けられたレバー29を有している。レバー29は、ストッパ34aを有するレバーカム34を一体的に有しており、そのレバーカム34の揺動中心から一方向に偏移した位置には、ピン34bが設けられている。レバー29はレバーカム34と一体的に揺動するが、その揺動範囲は、リール本体1に設けられ、上記ストッパ34aに選択的に接触する下方突起41及び上方突起42によって制限されている。レバーカム34には、その回転方向に弾発力を振替付与するためのデッドポイントバネ37が取り付けられている。即ち、デッドポイントバネ37の一端をレバーカム34に、その他端をリール本体1にそれぞれ取り付けることによって、レバーカム34にその回転方向に対する弾発力を付与し、もって、切換状態を確実に保持するように構成されている。
【0042】
上述した切換部材25は、副制動片19の制動体24への当接可能位置と当接不能位置とを、連結部材30aを介して切換保持する。即ち、連結部材30aは、略C字状の形状を有しており、ネジ35によって、リール本体1に揺動可能に支持されている。連結部材30aの一端31は、制動操作部材17の先端部分の下面に当接可能である。一方、連結部材30aの他端32には、略U字状の溝33が形成されており、この溝33内に上述したレバーカム34のピン34bが挿入されている。
【0043】
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を図4(a)に示すように時計方向に回転させて、そのストッパ34aを下方突起41に接触させると、連結部材30aがネジ35を中心として反時計方向に揺動して、制動操作部材17を僅かに上方に持ち上げる(図4(a)参照)。このような状態においては、制動操作部材17の先端は、制動体24の外側制動面24aと内側制動面24bとの中間の位置に置かれ、換言すれば、主制動片18及び副制動片19は、制動体24の外側制動面24a及び内側制動面24bにそれぞれ当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態、即ち、フリー状態に置かれる(図3参照)。
【0044】
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を図4(b)に示すように反時計方向に回転させて、そのストッパ34aを上方突起42に接触させると、連結部材30aがネジ35を中心として時計方向に揺動して、その一端31が制動操作部材17の先端部分の下面から離れる。これにより、制動操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28にて調節された当接力で当接されて、サブブレーキONの状態、即ち、一定負荷維持状態に置かれ、これによって制動体24に制動力が付与される(図1参照)。
【0045】
このようにして、制動操作部材17の非操作時において、切換部材25によって、副制動片19は制動体24への当接可能な位置(図1)及び当接不能な位置(図3)に切換保持される。
【0046】
上述した連結部材30aは、ネジ35を中心として揺動可能に支持されるものとして説明したが、これを揺動可能ではなく、上下動可能に構成することも可能である。図5は、上述した連結部材30aの変形例、即ち、上下動可能に構成された制動操作部材17と、連結部材30bと、切換部材25との組合せの態様を示している。
【0047】
図5に示した連結部材30bも、上述した連結部材30aと同様に、略C字状の形状を有しており、その一端31は、制動操作部材17の先端部分の下面に当接可能であるが、その他端32には、横方向に伸びる長孔38が形成されている。又、連結部材30bの、一端31と他端32とを接続する垂直部分の上部及び下部には、縦方向に伸びる長孔36a及び36bがそれぞれ形成されている。
【0048】
この連結部材30bの他端32に形成された長孔36cには、レバーカム35のピン34bが挿入されている。一方、連結部材30bの長孔36a及び36bには、リール本体1に設けられたガイドピン39及び40がそれぞれ挿入されている。
【0049】
このような連結部材30bと切換部材25との組合せにおいては、切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を図5(a)に示すように時計方向に回転させて、そのストッパ34aを下方突起41に接触させると、連結部材30bが上方に移動して、制動操作部材17を僅かに上方に持ち上げる(図5(a)参照)。このような状態においては、制動操作部材17の先端は、制動体24の外側制動面24aと内側制動面24bとの中間の位置に置かれ、換言すれば、主制動片18及び副制動片19は、制動体24の外側制動面24a及び内側制動面24bにそれぞれ当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態、即ち、フリー状態に置かれる(図3参照)。
【0050】
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を図5(b)に示すように反時計方向に回転させて、そのストッパ34aを上方突起42に接触させると、連結部材30bが下方に移動して、その一端31が制動操作部材17の先端部分の下面から離れる。これにより、制動操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28にて調節された当接力で当接されて、サブブレーキONの状態、即ち、一定負荷維持状態に置かれ、これによって制動体24に制動力が付与される(図1参照)。
【0051】
次に、第1参考例と同様に本発明の規制状態に代わる制動状態からの制動操作部材による解除機構の他の例を示す第2参考例にかかる回転制動装置Bを、図6乃至図8を参照して説明する。即ち、第2参考例においても、第1参考例と同様に本発明に係わる係合歯と係合爪とによる回転規制手段に代えて制動面と制動片とによる制動手段を設けています。
【0052】
第2参考例にかかる回転制動装置Bは、下記の4点を除き、本発明の上述した第1参考例実施形態にかかる、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと同一である:
【0053】
■レバーカム34が、ピン34bの代わりに、カム部34cを有している。
■連結部材30cの一端31にU字状の溝43が形成されている。
■連結部材30cの他端32にカム面44が形成されている。
■連結部材30cを揺動可能に支持するネジ35の周りにバネ45を設けて、連結部材30cを反時計方向に揺動させるための弾発力を、同連結部材30cに付与している。
【0054】
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、第1参考例の回転制動装置Aと第2参考例の回転制動装置Bとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
参考例に係わる回転制動装置Bは、図7(a)及び(b)に示すように、レバーカム34の揺動中心から一方向に偏移した位置には、カム部34cが設けられている。
【0056】
連結部材30cは、上述した連結部材30aと同様に、略C字状の形状を有しているが、その一端31は上方部分31a及び下方部分31bに分岐して、その間に横方向に開放された略U字状の溝43を形成している。上方部分31aと下方部分31bとの間隔、即ち、略U字状の溝43の幅は、制動操作部材17の先端部分の厚さよりも若干大きく、その略U字状の溝43内に制動操作部材17の先端部分が収められている。
【0057】
連結部材30cの他端32には、レバーカム34のカム部34cが当接可能なカム面44が形成されている。
【0058】
連結部材30cを揺動可能に支持するネジ35の周りにバネ45が設けられている。このバネ45の一端は、上述した略U字状の溝43内に係合され、その他端は、リール本体1に取り付けられている。その結果、連結部材30cを反時計方向に揺動させるための弾発力が連結部材30cに付与されている。
【0059】
本発明の上述した第2参考例にかかる回転制動装置Bにおいて、図7(a)に示すように切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を時計方向に回転させて、そのストッパ34aを下方突起41に接触させると、連結部材30cがバネ45の弾発力によって反時計方向に揺動して、制動操作部材17を僅かに上方に持ち上げる(図7(a)参照)。このような状態においては、制動操作部材17の先端は、制動体24の外側制動面24aと内側制動面24bとの中間の位置に置かれ、換言すれば、主制動片18及び副制動片19は、制動体24の外側制動面24a及び内側制動面24bにそれぞれ当接せず、サブブレーキOFF・メインブレーキOFFの状態、即ち、フリー状態に置かれる。
【0060】
切換部材25のレバー29の操作によって、レバーカム34を図6及び図7(b)に示すように反時計方向に回転させて、そのストッパ34aを上方突起42に接触させると、レバーカム34のカム部34cが連結部材30cのカム面44に接触しながら、連結部材30cがバネ45の弾発力に抗して時計方向に揺動して、制動操作部材17の先端部分の下方への移動を許容する。これにより、制動操作部材17の非操作時には、副制動片19は制動体24の内側制動面24bにバネ28にて調節された当接力で当接して、サブブレーキONの状態、即ち、一定負荷維持状態に置かれ、これによって制動体24に制動力が付与される(図6及び図7(b)参照)。
【0061】
このようにして、制動操作部材17の非操作時において、切換部材25によって、副制動片19は制動体24への当接可能な一定負荷維持状態の位置及び当接不能なフリ―状態の位置に切換保持される。
【0062】
図7(b)に示したサブブレーキONの状態、即ち、一定負荷維持状態で、制動操作部材17を引き上げれば、連結部材30cが反時計方向に揺動し、これに伴ってレバーカム34がレバー29と共に時計方向に揺動し、その結果、図7(a)に示す状態に切換保持される。従って、サブブレーキONの一定負荷維持状態からサブブレーキOFFのフリ―状態への切換を、切換部材25のレバー29を操作することなく、制動操作部材17の引上げ操作のみで行なうことができる。勿論、サブブレーキを解除したフリー状態の後は、従来と同様に制動操作部材17の操作によって、メインブレーキを所望の制動力でかけ制動力調節可能状態とすることは可能である。
【0063】
上述した第2参考例にかかる回転制動装置Bにおいて、連結部材30cとは異なる、図8に示した連結部材30dを使用すれば、サブブレーキONの一定負荷維持状態からサブブレーキOFFのフリ―状態への切換のみならず、サブブレーキOFFのフリ―状態からサブブレーキONの一定負荷維持状態への切換を、切換部材25のレバー29を操作することなく、操作部材17の引上げ操作のみで行なうことができる。
【0064】
この連結部材30dを図8を参照しながら説明する。
【0065】
連結部材30dは、カム面44の上端に段部44aが形成されていることを除き、上述した連結部材30cと同一である。即ち、この段部44aは、図8(a)に示すサブブレーキOFFのフリ―状態状態で、レバーカム34のカム部34cに接触し、連結部材30cが図8において時計方向に揺動するときに、レバーカム34を反時計方向に揺動させるように構成されている。
【0066】
このように構成すれば、連結部材30dおよびレバーカム34の何れか一方の揺動によって何れか他方が連動して揺動するので、レバーカム34側にバネ37を設ければ、連結部材30dそのものに弾発力を付与するためのバネをネジ35の周りに設ける必要はない。
【0067】
切換部材25のレバー29の操作によるサブブレーキON・OFFの切換動作、即ち、一定負荷維持状態とフリー状態との切換動作は、上述した連結部材30cを用いた場合と同一であるので、その説明を省略する。
【0068】
図8(b)に示すサブブレーキONの一定負荷維持状態で、制動操作部材17を引き上げれば、連結部材30dが反時計方向に揺動し、これに伴ってレバーカム34がレバー29と共に時計方向に揺動し、その結果、図8(a)に示すフリ―状態に切換保持される。
【0069】
又、図8(a)に示すサブブレーキOFFのフリー状態で、制動操作部材17を押し下げれば、連結部材30dが時計方向に揺動し、これに伴ってレバーカム34がレバー29と共に反時計方向に揺動し、その結果、図8(b)に示す一定負荷維持状態に切換保持される。
【0070】
【0071】
更に、第1参考例と同様に本発明の規制状態に代わる制動状態からの制動操作部材による解除機構の他の例を示す第3参考例にかかる回転制動装置Cを、図9乃至図11を参照して説明する。即ち、第3参考例においても、第1参考例と同様に本発明に係わる係合歯と係合爪とによる回転規制手段に代えて制動面と制動片とによる制動手段を設けています。
【0072】
第3参考例にかかる回転制動装置Cは、下記の2点を除き、本発明の上述した第1参考例にかかる、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと同一である:
【0073】
■操作部材17の先端が、第1部材17a及び第2部材17bの2つの部材に分岐しており、この第1部材17aの先端に、主制動片18及び副制動片19を一体的に有する略U字状の制動ブロックが取り付けられている。
■切換部材25が、操作部材17の第1部材17a及び第2部材17bとそれぞれ選択的に接触可能な部材46及び47を有している。
【0074】
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、第1参考例にかかる回転制動装置Aと第3参考例にかかる回転制動装置Cとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
制動操作部材17の先端は、図9及び図10に示すように、第1部材17a及び第2部材17bの2つの部材に分岐しており、第1部材17aの先端に、主制動片18及び副制動片19を一体的に有する略U字状の制動ブロックが取り付けられている。勿論、このような制動ブロックを使用することなく、主制動片18及び副制動片19をそれぞれ別体に形成し、主制動片18を第1部材17aの先端上面に、副制動片19を第1部材17aの先端下面にそれぞれ取り付けてもよい。
【0076】
切換部材25は、リール本体1に変位可能に支持されており、副制動片19が制動体24の内側制動面24bに当接可能な位置(図9及び図11(b)参照)(サブブレーキONの一定負荷維持状態)と、当接不能な位置(図10及び図11(a)参照)(サブブレーキOFFのフリー状態)とに切換保持できるように構成されている。
【0077】
即ち、切換部材25は、後端にレバー29を備え、リール本体1に回転可能に支持された連結部材30eを有している。連結部材30eの先端には、制動操作部材17の第1部材17aの下面と接触して、同第1部材17aを僅かに上方に持ち上げ、もって、上述した副制動片19と制動体24の内側制動面24bとの接触を解除して、副制動片19を制動体24に当接不能な位置に保持するための、即ち、サブブレーキOFFのフリー状態を保持するためのカム46が設けられている。
【0078】
更に、連結部材30eの上述したカム46よりも僅かに内側の部分には、レバー29を回転させて、カム46と制動操作部材17の第1部材17aの下面との接触が解除された状態において、上記制動操作部材17の第2部材17bの先端に係合するピン47が設けられている。即ち、図9に示されるように、カム46の回転により、これと制動操作部材17の第1部材17aの下面との接触が解除されたサブブレーキONの一定負荷維持状態で、制動操作部材17を引き上げると、その第2部材17bは、ピン47を上方に持ち上げるようにして、カム46を回転させ、このカム46の回転によって、制動操作部材17の第1部材17aを僅かに上方に持ち上げ、もって、上述した副制動片19と制動体24の内側制動面24bとの接触が解除されて、副制動片19が制動体24に当接不能な位置、即ち、サブブレーキOFFのフリー状態に保持される。
【0079】
上述したカム46とリール本体1との間には、バネ37が設けられ、副制動片19が制動体22に当接可能な一定負荷維持状態の位置(図9及び図11(b)参照)と、当接不能なフリー状態の位置(図10及び図11(a)参照)との切換保持が確実になされる。
【0080】
【0081】
次に、本発明にかかる実施形態の回転制動装置Dを図12乃至図15を参照して説明する。即ち、実施形態においては、先行資料Aと同様に係合歯と係合爪とによる回転規制手段を設けています。
【0082】
本実施形態にかかる回転制動装置Dは、下記の4点を除き、本発明の上述した第1参考例にかかる、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと同一である:
【0083】
■ロータ7の内周面に係合歯7aが形成されており、一方、リール本体1には、この係合歯7aに係脱可能な係合爪48が揺動可能に支持され、もって、係合歯7aと係合爪48との係合によってロータ7の巻取り方向の回転のみを許容するように構成されている。
■連結部材30fの一端31とその揺動中心部との間に、制動操作部材17の先端部分を受け入れるためのガイド溝43が形成されている。
■第1実施形態と同様に制動操作部材17の先端に主制動片18と共に設けられた副制動片19が、上記切換部材25或は制動操作部材17の作動によって、制動体24への一定負荷維持状態の当接可能位置とフリー状態の当接不能位置とに切換保持される。
■係合爪48が、上記切換部材25或は制動操作部材17の作動によって、係合歯7aへの係合可能位置(規制状態)と係合不能位置(フリー状態)とに切換保持される。
【0084】
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、第1 考例における連結部材30aを備えた回転制動装置Aと本実施形態の回転制動装置Dとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
図12乃至図15に示すように、ロータ7の後部の内周面には、係合歯7aが形成されており、一方、リール本体1には、この係合歯7aに係脱可能な係合爪48が、ピン49によって揺動可能に支持されている。
【0086】
上記係合爪48は、その下端に係合部48bを有しており、上記ピン49の周りには、係合部48bを係合歯7aに弾発的に係合させるためのバネ50が設けられている。更に、係合爪48の下端側部分には、位置決め用孔48cが形成されており、この位置決め用孔48cに、リール本体1側に保持された位置決めワイヤ51の先端が引っ掛けられている。
【0087】
連結部材30fは略C字状の形状を有しており、そのほぼ中央の位置において、ネジ35によってリール本体1に揺動可能に支持されている。この連結部材30fの一端31は、上述した係合爪48側に伸びて、係合爪48の上端48aと係合している。連結部材30fの他端、即ち、下端にはU字状の溝33が形成されている。連結部材30fの一端31とその揺動中心部との間には、制動操作部材17の先端部分を受け入れるためのガイド溝43が形成されている。
【0088】
切換部材25は、リール本体1の下部に揺動可能に設けられたレバー29を有している。レバー29は、ストッパ34aを有するレバーカム34を一体的に有しており、そのレバーカム34の上方部分には、上述した連結部材30fのU字状の溝33内に挿入されるピン34bが設けられている(図14参照)。レバー29はレバーカム34と一体的に揺動するが、その揺動範囲は、リール本体1に設けられ、上記ストッパ34aに選択的に接触する下方突起41及び上方突起42によって制限されている。
【0089】
更に、上記レバーカム34の揺動位置は、3段階に切換可能な位置決め機構52によって確保される。即ち、レバーカム34の周囲に、3つの凹部34c、34d、34eが形成されると共に、レバーカム34付近のリール本体1には、これらの凹部34c、34d、34eの何れか1つに弾発的に係合される先端部を有する板バネ52aが設けられている。
【0090】
上述した構造を採用することによって、制動操作部材17或は切換部材25の作動によるレバーカム34の3つの凹部34c、34d、34eと板バネ52aとの係合切換によって、係合爪48を係合歯7aへの係合可能位置(規制状態)と係合不能位置(フリー状態)とに切換保持することができるのみならず、本実施形態においては、係合爪48を係合歯7aに係合不能な位置に保持したフリー状態にて副制動片19を制動体24への当接可能位置(サブブレーキONの一定負荷ジ維持状態)と当接不能位置(サブブレーキOFFのフリー状態)とに更に切換保持できるようになっています。
【0091】
即ち、切換部材25のレバー29を図13(a)におけるように、右側に位置させて、レバーカム34の凹部34eと板バネ52aとを係合させると、連結部材30fは時計方向に揺動して、副制動片19が制動体24に当接し、この状態において、係合爪48は係合歯7aに係合し、その結果、アンチブレーキON及びサブブレーキONの規制状態に置かれる。従って、一方向クラッチ20による楔作用及び係合爪48の係脱作用によって、ロータ7の巻取り方向の回転のみが許容されて、釣糸繰出し方向の回転は規制される。
【0092】
切換部材25のレバー29を図13(b)におけるように、中央に位置させて、レバーカム34の凹部34dと板バネ52aとを係合させると、連結部材30fは反時計方向に僅かに揺動し、これに伴って係合爪48は時計方向に僅かに揺動して係合歯7aとの係合が解除されてロータ7の繰出し方向への回転規制が解除されて繰出し方向の回転が許容されます。しかし、この状態では、副制動片19の制動体24への当接状態が維持される結果、ロータ7の繰出し方向への回転時には一定の制動力が負荷されるアンチブレーキOFF及びサブブレーキONの状態(規制が解除されて繰出し方向への回転は一定負荷維持状態にて可能な状態)に置かれる。従って、一方向クラッチ20による楔作用によって、ロータ7の繰出し方向への回転に制動がかかる。
【0093】
切換部材25のレバー29を図13(c)におけるように、左側に位置させて、レバーカム34の凹部34cと板バネ52aとを係合させると、連結部材30fは反時計方向に更に揺動し、これに伴って副制動片19が制動体24から離隔する結果、サブブレーキOFFのフリー状態に置かれる。従って、ロータ7の巻取り方向の回転及び繰出し方向への回転の何れもが何等の規制も制動も受けない自由回転可能になる。
【0094】
又、図13(a)に示したアンチブレーキON及びサブブレーキONの規制・一定負荷維持状態で、制動操作部材17の引上げ操作を行なうと、連結部材30fが反時計方向に揺動すると同時に、係合爪48が時計方向に揺動して、図13(c)に示したアンチブレーキOFF及びサブブレーキOFFの繰出し方向の回転可能・フリー状態に置かれる。従って、切換部材25を操作することなく、制動操作部材17の引上げ操作をするのみで、ロータ7の巻取り方向の回転及び繰出し方向の回転の何れもが可能に切換保持することができる。そして、図13(c)に示した繰出し方向への回転可能・フリー状態で制動操作部材17の引上げ操作を行なうと前述の各参考例と同様に制動操作部材17の先端上面に設けた主制動片18が制動体24の外側制動面24aに当接して、制動操作部材17の引上げ力に応じた制動力を負荷する制動力調節可能状態に置かれる。従って、操作部材17の引上げ操作に応じてロータ7の繰出し方向への回転時にロータ7と共に回転する制動体24に任意の制動力を負荷することができる。
【0095】
更に、図13(c)に示したアンチブレーキOFF及びサブブレーキOFFのフリ―状態で、制動操作部材17の押下げ操作を行なうと、連結部材30fが時計方向に揺動すると同時に、係合爪48が反時計方向に揺動して、図13(a)に示したアンチブレーキON及びサブブレーキONの規制状態に置かれる。従って、切換部材25を操作することなく、制動操作部材17の押下げ操作のみで、ロータ7の巻取り方向への回転のみが許容される状態に切換保持することができる。
【0096】
上述した本実施形態にかかる回転制動装置Dにおいては、ロータ7の後部の内周面に係合歯7aが形成されたものとして説明したが、本発明においては、操作部材17にて作動可能にリール本体1に設けられた係合爪48が係合する係合歯を先行資料Aのごとくロータ7の軸筒や制動体24の後部に設けることも可能である。
【0097】
又、係合歯7a及び係合爪48は、ロータ7の正転のみを許容するように構成されているものとして説明したが、先行技術Aと同様にロータ7の巻取り方向の回転及び繰出し方向の回転の双方を規制するように構成することも可能である。
【0098】
更に、第1参考例と同様に本発明の規制状態に代わる制動状態からの制動操作部材による解除機構の他の例を示す第4参考例にかかる回転制動装置Eを、図16乃至図18を参照して説明する。即ち、第4参考例においても、第1参考例と同様に本発明に係わる係合歯と係合爪とによる回転規制手段に代えて制動面と制動片とによる制動手段を設けています。
【0099】
4参考例にかかる回転制動装置Eは、下記の3点を除き、本発明の上述した第1参考例にかかる、連結部材30aを備えた回転制動装置Aと同一である:
【0100】
■制動体24が、中央にボスを有するディスク型に形成されており、ディスクの裏面に外側制動面24aが形成されており、ボスの外周に内側制動面24bが形成されている。
■制動操作部材17の先端に、上記制動体24の外側制動面24aに当接可能な断面略C字状の主制動片18が取り付けられており、この主制動片18の下面に、上記制動体24の内側制動面24bに当接可能な副制動片19が一体的に形成されている。
■制動操作部材17の非操作時において、連結部材30gを有する切換部材25によって、副制動片19は制動体24への当接可能な一定負荷維持状態の位置及び当接不能なフリー状態の位置に切換保持される。
【0101】
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、第1参考例の回転制動装置Aと第4参考例の回転制動装置Eとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
第1参考例の回転制動装置Aにおいては、制動体24はドラム型に形成されているが、第4参考例の回転制動装置Eにおいては、図16及び図17に示すように、制動体24は中央にボスを有するディスク型に形成されている。この制動体24のディスクの裏面、即ち、一方向クラッチ20の内輪22が取り付けられる側と反対側の面には、外側制動面24aが形成されており、一方、そのボスの外周には内側制動面24b形成されている。
【0103】
制動操作部材17の先端には、主制動片18及び副制動片19からなる制動ブロックが取り付けられている。即ち、この制動ブロックは、制動体24の外側制動面24aに当接可能な断面略C字状の主制動片18と、この主制動片18の下面に一体的に形成され、制動体24の内側制動面24bに当接可能な副制動片19とからなっている。この制動ブロックは、断面略C字状の主制動片18を制動操作部材17の先端に嵌め込むことによって、同制動操作部材17に取り付けられている。勿論、このような制動ブロックを使用することなく、主制動片18及び副制動片を別体に形成し、前者を制動操作部材17の先端部の端面に、後者を同制動操作部材17の先端部の下面にそれぞれ取り付けてもよい。
【0104】
切換部材25は、後端にレバー29を備え、リール本体1に回転可能に支持された連結部材30gを有している。連結部材30gの先端には、制動操作部材17の先端部の下面と接触して、これを僅かに上方に持ち上げ、もって、上述した副制動片19と制動体24の内側制動面24bとの接触を解除して、副制動片19を制動体24に当接不能な位置に保持するための、即ち、サブブレーキOFFのフリー状態を保持するためのカム53が設けられている(図17及び図18(a)参照)。勿論、この切換部材25においては、上述した第3参考例にかかる回転制動装置Cにおける切換部材25と同様に、カム53をバネ(図示せず)を介してリール本体1に連結して、切換状態を確保するように構成することが望ましい。
【0105】
切換部材25のレバー29の操作により、カム53が図16及び図18(b)に示す状態に置かれているときには、カム53は制動操作部材17の先端部の下面から離隔し、これにより、副制動片19はバネ28の弾発力によって制動体24の内側制動面24bに当接して、サブブレーキONの一定負荷維持状態に置かれる(図16参照)。このような状態で、制動操作部材17を引き上げると、主制動片18は制動体24の外側制動面24aに当接して、釣り人による調整可能な任意の制動力によるメインブレーキONの制動力調節可能状態に置かれる。
【0106】
切換部材25のレバー29の操作により、カム53が図17及び図18(a)に示す状態に置かれているときには、カム53は制動操作部材17の先端部の下面に当接して、これを上方に若干持ち上げ、これにより、副制動片19はバネ28の弾発力に抗して制動体24の内側制動面24bから離隔して、サブブレーキOFFのフリー状態に置かれる(図17参照)。勿論、このような状態で、制動操作部材17を引き上げれば、主制動片18は制動体24の外側制動面24aに当接して、釣り人による調整可能な任意の制動力によるメインブレーキONの制動力調節可能状態に置かれる。
【0107】
【0108】
更に、第1参考例と同様に本発明の規制状態に代わる制動状態からの制動操作部材による解除機構の他の例を示す第5参考例にかかる回転制動装置Fを、図19乃至図21を参照して説明する。即ち、第5参考例においても、第1参考例と同様に本発明に係わる係合歯と係合爪とによる回転規制手段に代えて制動面と制動片とによる制動手段を設けています。
【0109】
第5参考例にかかる回転制動装置Fは、下記の4点を除き、本発明の上述した第1参考例にかかる回転制動装置Aと同一である:
【0110】
■一方向クラッチ20が制動体24とロータ7の軸筒4との間に配置されている。
■制動体24がディスク型に形成されており、その後面に主制動面24aが、その前面に副制動面24bがそれぞれ形成されている。
■制動体24の主制動面24aに当接可能な主制動片18と、制動体24の副制動面24bに当接可能な副制動片19とからなる摺動ブロックSが、制動操作部材17の操作によってロータ7の軸線方向と平行な方向に移動可能である。
■切換部材25によって、上記摺動ブロックSの移動が制御可能であり、その結果、副制動片19は制動体24への当接可能な一定負荷維持状態の位置及び当接不能なフリー状態の位置に切換保持される。
【0111】
従って、これ等の構造上の相違を有する構成要素を除き、第1参考例の回転制動装置Aと第5参考例の回転制動装置Fとの同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0112】
一方向クラッチ20の基本構造は、第1参考例の回転制動装置Aにおいて使用された一方向クラッチ20と同一であるが、図19及び図20に示すように、その内輪22はロータ7の軸筒4側に取り付けられる。一方、内輪21は、制動体24の前面に固定、又は、一体的に形成される。このようにして、一方向クラッチ20は、制動体24とロータ7の軸筒4との間に配置されている。
【0113】
制動体24は、ディスク型に形成されており、保持筒12の先端に、同保持筒12に対して変位可能に嵌め込まれている。制動体24の後面には、主制動面24aが、その前面には、副制動面24bがそれぞれ形成されている。
【0114】
制動体24に制動力を付与するための摺動ブロックSは、ロータ7の軸線方向と平行な方向に移動できるようにリール本体1に取り付けられ、その後端部が、制動操作部材17の先端にピン56によって連結されている。この摺動ブロックSは、円柱状の主制動片18と、この主制動片18の先端部を延長することによって形成された円柱状の副制動片19とからなっている。主制動片18は、制動体24の主制動面24aに当接可能であり、一方、副制動片19は、制動体24の副制動面24bに当接可能である。
【0115】
即ち、図19及び図20から明らかなように、制動体24の上方の位置において、リール本体1には、円柱状の主制動片18及び副制動片19からなる摺動ブロックSが、スプール軸9の軸線方向と平行な方向に摺動可能に配置されている。この状態において、摺動ブロックSの先端は、リール本体1に形成された案内孔1c内に挿入されている。制動操作部材17の先端には、長孔17bが形成されており、この長孔17bに挿入されたピン56を介して、摺動ブロックSの後端が制動操作部材17の先端に回転可能に連結されている。
【0116】
円柱状の主制動片18は、その略中央下部に第1の溝54が形成されている。円柱状の副制動片19は、上記主制動片18の先端を延長することによって形成されており、これらの連結部分の下部には、第2の溝55が形成されている。第1の溝54の幅は、第2の溝55の幅よりも若干大きい。
【0117】
摺動ブロックSの第2の溝55内には、制動体24の縁が収められている。このような状態において、制動操作部材17にはバネ28の弾発力が作用して、摺動ブロックSを、図19及び図20において右側に引き寄せている。従って、制動操作部材17の非操作時には、摺動ブロックSの第2の溝55の一方の面55aが、制動体24の前面と接触して、制動体24を保持筒12に押し付け、このようにして、制動体24には、上述したバネ28の弾発力の作用による制動力が付与される(図20(a)参照)。
【0118】
制動操作部材17を、バネ38の弾発力に抗して引き上げると、摺動ブロックSは、図19及び図20において左側に引き寄せられる。従って、摺動ブロックSの第2の溝55の他方の面55bが、制動体24の後面と接触して、制動体24を、リール本体1の案内孔1cの周りの挟持部材1bに押し付け、このようにして、制動体24には、バネ38の弾発力に抗した制動操作部材17の引き上げ力による制動力が付与される(図20(c)参照)。
【0119】
上述した摺動ブロックSの副制動片19は、リール本体1に変位可能に支持した切換部材25によって、制動体24に当接可能な一定負荷維持状態の位置と当接不能なフリー状態の位置とに切換保持可能に構成されている。
【0120】
換言すれば、上述した制動操作部材17と切換部材25とは、連結部材30h、即ち、連動レバーによって連結され、制動操作部材17による制動体24への当接操作時に、切換部材25を作動して、副制動片19を制動体24への当接不能なフリー状態の位置に切換保持するように構成されている。
【0121】
即ち、図21に示すように、切換部材25は、リール本体1の下部に揺動可能に設けられたレバー29を有している。レバー29は、一端にカム部34cを他端にストッパ34aを有するレバーカム34を一体的に備えている。レバー29はレバーカム34と一体的に揺動するが、その揺動範囲は、リール本体1に設けられ、上記ストッパ34aに選択的に接触する下方突起41及び上方突起42によって制限されている。
【0122】
連結部材30hは、ネジ35によってリール本体1に揺動可能に支持されている。連結部材30hの上端31は、上述した摺動ブロックSの第1の溝54内に収められ、または、そこから離脱するように構成されている。上述したネジ35の周りには、第1のバネ45が配置され、これによって、連結部材30hは図21において反時計方向に回転して、その上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められるように構成されている。
【0123】
連結部材30hの下端は、上述したレバーカム34のカム部34cに第2のバネ37を介して連結されている。従って、図21(a)に示すように、レバー29を同図における反時計方向に回転させると、レバーカム34のカム部34cによって、第1のバネ45に抗して、連結部材30hの下端が外側に押し出され、一方、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内から離脱する。このとき、第2のバネ37の作用によって、レバーカム34のストッパ34aが上方突起42に接触した状態でロックされ、このようにして、連結部材30hの上端31が上述した摺動ブロックSの第1の溝54から離脱した状態(図21(b)参照 )に保持され、換言すれば、副制動片19が制動体24への当接可能な一定負荷維持状態の位置に保持される(図19及び図20(a)参照)。
【0124】
一方、図21(a)に示すように、レバー29を同図における時計方向に回転させると、レバーカム34のカム部34c及び第2のバネ37によって、連結部材30hの下端は内側に引き寄せられる。この動作は、第1のバネ45の作用によって助長される。このように連結部材30hの下端が内側に引き寄せられると、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められる。
【0125】
このとき、第1のバネ45及び第2のバネ37の作用によって、レバーカム34のストッパ34aが下方突起41に接触した状態でロックされ、このようにして、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められた状態に保持され(図20(b)参照 )、換言すれば、副制動片19が制動体24への当接不能なフリー状態の位置に保持される(図20(b)及び(c)参照)。
【0126】
ここにおいて、本発明の第5参考例の装置Fの特徴は、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められた状態において、連結部材30hの上端31が、摺動ブロックSの第1の溝54の前方の面54aに接触しているときは、制動体24は、摺動ブロックSの第2の溝55内において、その後方の面55b及び前方の面55aの何れにも接触しないことにある(図20(b)参照)。このような状態においては、制動体24には制動力が付与されていないので、ハンドルの操作によってロータ7を巻取り方向及び繰出し方向の何れの方向にも自由に回転させることができるフリー状態の位置に保持できます。
【0127】
上述したように、摺動ブロックSにおける第1の溝54の幅は、第2の溝55の幅よりも若干大きい。従って、連結部材30hの上端31が摺動ブロックSの第1の溝54内に収められた状態においても、摺動ブロックSは、図20(b)において左側に摺動可能である。従って、制動操作部材17の操作によって摺動ブロックSが、図20(c)に示すように、左側に摺動して、摺動ブロックSの第2の溝55における後方の面55bが制動体24に接触すると、制動体24に制動力が付与され、その結果、制動体24に対してロータ7は巻取り方向に回転可能であるものの、繰出し方向への回転は、一方向クラッチ20の楔作用によって規制される。
【0128】
【0129】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、下記効果がもたらされる。
【0130】
制動操作部材の操作によって、ロータを含む回転部に従来と同様に繰出し方向の回転に操作量に応じた制動力を付与すると共に、巻取り方向の回転が自由な制動力調整可能状態と、繰出し及び巻取りの何れの方向の回転も自由なフリー状態との切換ができ、しかも、仕掛けの投擲後等に、制動操作部材を操作するのみで、回転部の少なくとも繰出し方向への回転止めができ、釣り糸の繰り出しを拘束する状態に、無音状態で遊びを生ずることなく速やかかつ簡易に移ることができる。
【0131】
仕掛けの投擲後のアタリ待ち時に規制状態にしていても、急に大きなアタリ等の負荷が釣り糸にかかった場合には、制動操作部材を操作するのみでフリー状態、或は制動力調節可能状態に切換えての回転部の繰出し方向への回転許容状態にできるので、釣り糸の切断及びこれに起因するトラブルの発生の防止を図ることができる。
【0132】
釣り上げた魚や仕掛けの取り込み後の魚の取外しや餌付け時等においても、回転部は制動操作部材を操作するのみで規制状態に切換えることができるので、釣り糸の繰り出しによる糸絡み並びにこれに起因するトラブルの防止を図ることができる。
【0133】
更に、規制状態で魚のアタリ感知時に魚が根等に走る場合にも、規制状態にある制動操作部材を操作するのみで規制状態の解除ができるので、フリ―状態或は制動力調節可能状態での回転部の繰出し方向への回転による釣り糸の繰り出しができ、魚の習性を利用して魚とのやりとりを速やかに行うことができる。
【0134】
更に、獲物の取り込み中等における竿の煽り時には、制動操作部材を操作するのみで、制動体への任意の繰出し方向への回転制動力の付与が可能な制動力調節可能状態にできるため、この制動力を付与しながらの竿の煽りと釣り糸の巻取り操作を行うことができる。
【0135】
以上のように、請求項1に係わる発明においては、単一のレバー状の制動操作部材を操作するのみで、回転部の繰出し方向への回転を拘束した規制状態とフリー状態と制動力調節可能状態とを、他の部材を操作することなく迅速かつ容易に切り換えることができるのみならず、釣行時の竿への糸通しや仕掛けの装着、釣り場の移動時、又は、仕掛けに餌を付けた後の仕掛けの投擲、アタリ待ち時等に、規制状態またはフリー状態に切り換えていても、アタリ感知時の手返しにおける制動操作部材の一連の操作によってこれ等の状態を切換解除できるから、この切換忘れによるトラブルを阻止できる。
【0136】
特に、請求項1の発明においては、制動操作部材のみの操作にて回転部の逆転が可能な制動力調節可能状態、或はフリー状態から回転部の逆転を拘束した規制状態に切換保持できるため、釣り場の移動や仕掛けへの餌の取付時等において、釣竿を把持した手の指にて操作部材を把持することなく回転部の逆転による釣り糸の繰り出しを阻止することができ、これに起因するトラブルを阻止できる。
【0137】
また、請求項の発明においては、従来のリールに備えられているロータを含む回転部又は制動体に形成されている係合歯と、該係合歯に係脱可能なように従来のリール本体に設けられている係合爪とを従来のリール本体に備えられて前記制動体に当接させた制動力調節可能状態と、前記制動体から離接させたフリー状態に切換え可能な制動操作部材にて切換え可能に設けるのみで実現可能とし、極めて実施化を容易にしたものです。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一部を変更した第1参考例にかかる回転制動装置Aが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示す図。
【図2】 図1の装置の一方向クラッチを示す断面図。
【図3】 図1の装置における副制動片の制動体への当接不能状態を示す部分拡大断面図。
【図4】 図1の装置の切換部材による切換状態を示す断面図。
【図5】 図1の装置における連結部材の変形例を示す断面図。
【図6】 本発明の一部を変更した第2参考例にかかる回転制動装置Bが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示す図。
【図7】 図6の装置の切換部材による切換状態を示す断面図。
【図8】 図6の装置における連結部材の変形例を示す断面図。
【図9】 本発明の一部を変更した第3参考例にかかる回転制動装置Cが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示す図。
【図10】 図9の装置における副制動片の制動体への当接不能状態を示す部分拡大断面図。
【図11】 図9の装置の切換部材による切換状態を示す断面図。
【図12】本発明の実施形態にかかる回転制動装置Dが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示す図。
【図13】 図12の装置の切換部材による係合歯への係合爪の切換状態を示す断面図。
【図14】 図12の装置の切換部材の要部を示す部分拡大断面図。
【図15】 図12の装置における副制動片の制動体への当接不能状態を示す部分拡大断面図。
【図16】 本発明の一部を変更した第4参考例にかかる回転制動装置Eが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示す図。
【図17】 図16の装置における副制動片の制動体への当接不能状態を示す部分拡大断面図。
【図18】 図16の装置の切換部材による切換状態を示す断面図。
【図19】 本発明の一部を変更した第5参考例にかかる回転制動装置Fが組み込まれたスピニングリールの全体構成を示す図。
【図20】 図19の装置における主制動片及び副制動片を備えた摺動ブロックの摺動状態を示す部分拡大断面図。
【図21】 図19の装置の切換部材による切換状態を示す断面図。
【符号の説明】
A:本発明の第1参考例にかかる回転制動装置
B:本発明の第2参考例にかかる回転制動装置
C:本発明の第3参考例にかかる回転制動装置
D:本発明の実施形態にかかる回転制動装置
E:本発明の第4参考例にかかる回転制動装置
F:本発明の第5参考例にかかる回転制動装置
1:リール本体
7:ロータ(回転部)
7a:係合歯
17:制動操作部材
18:主制動片(第1制動片)
19:副制動片(第2制動片)
20:一方向クラッチ
24:制動体
25:切換部材
30:連結部材
48:係合爪

Claims (2)

  1. リール本体に支持されたスプールに釣糸を巻取案内するロータを備え、このロータの繰出し方向の回転時にロータと共に回転する制動体に制動力を与えるべく構成された制動機構を有し、前記制動機構は、前記制動体に任意の制動力を負荷する制動力調節可能状態と、前記制動体への制動力の負荷を解除するフリー状態と、前記制動体又はロータの少なくとも繰出し方向の回転を規制する規制状態とに単一のレバー状の制動操作部材の操作によって切換え可能とした魚釣用リールの回転制動装置において、前記制動操作部材の非操作時にフリー状態及び規制状態の2つの状態の何れかに切換保持可能にしたことを特徴とする魚釣用リールの回転制動装置。
  2. 規制状態への切換を前記ロータまたは制動体に形成された係合歯に係脱可能にリール本体に設けられた係合爪を前記制動操作部材の操作にて前記係合歯に係合可能な位置に切り換えて行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールの回転制動装置。
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