JP4015813B2 - 画像形成方法および電子写真感光体、並びに画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法および電子写真感光体、並びに画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式接触現像手段を有する画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法、これに用いる電子写真感光体およびその画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置に用いられるトナーの製造方法としては、
(1)特開平9-101632号公報;結着樹脂と顔料の混合物をあらかじめ有機溶剤と共に結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で1段目の混練を行い、さらに結着樹脂、帯電制御剤を加えて2段目の加熱溶融混練してカラートナーを得る技術。
(2)特開平4-230770号公報;溶剤と該溶剤に可溶な第1の結着樹脂および該溶剤に不溶な着色剤の粒子を混合し、加圧条件下で温度50〜100℃で、剪断力をかけながら該着色剤の粒子を該結着樹脂に分散した後、該溶剤を除去して該着色剤の粒子が分散されている着色結着樹脂組成物を得て、さらに結着樹脂、帯電制御剤を加えて2段目の加熱溶融混練してトナーを得る技術。
が開示されている。
【0003】
(1)、(2)の公報に記載された方法は、顔料の分散は向上するものの、いずれの方法も溶剤(メタノール、エタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、トルエン、キシレン等の炭化水素、エチルエーテル等のエーテルなど)を使用するため、いくら除去したとしてもトナー中に極微量ではあるが溶剤が残り、乾式接触現像手段を用いた画像形成装置に適合する有機系電子写真用感光体と該トナーを組み合わせたところ、画像形成時に画像形成装置の機内温度の上昇により、該トナーが加温されて溶剤が揮発してしまい、有機系電子写真用感光体の最表層である電荷輸送層を侵していることが解った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、乾式接触現像手段を有する画像形成装置内の電子写真感光体のソルベントクラック及びフィルミングの発生がなく、長期にわたり画像欠陥の発生しない画像を形成する画像形成方法、これに用いる電子写真感光体およびその画像形成装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、画像形成装置において、電子写真感光体のソルベントクラック及びフィルミングの発生が電子写真トナー中に残存する微量の溶剤成分と関係することが解った。
【0006】
そこで、本発明の画像形成方法は、乾式接触現像手段を有する画像形成装置を用いて画像を形成するに際して、トナーとして、マスターバッチ混練工程において少なくとも結着樹脂、顔料、水を含有した原材料混合物を溶融混練し、希釈混練工程において該マスターバッチ混練工程で得られた混練物をトナーの所望の顔料濃度になるように同種または異種の結着樹脂で希釈し、次いで該希釈混練工程で得られた混練物を粉砕して製造されるトナーであって、しかも上記マスターバッチ混練工程で用いる顔料として乾燥粉体顔料およびウエットケーキ状顔料のうちのいずれかの顔料を用い、該顔料と結着樹脂を混合する際に水を加え、この混合物を加熱混練して混合時に加えた水を除去し、混練後の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%となるように混練されたマスターバッチ顔料から得られたトナーを用い、かつ電子写真感光体として、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなる電子写真感光体を用いることを特徴としている。
【0007】
この画像形成方法において、上記トナーは、マスターバッチ顔料の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%であり、しかも70℃における乾燥減量が0.05%以下であるマスターバッチ顔料から得られたトナーであってもよい。
【0008】
さらに、本発明の電子写真感光体は、上記画像形成方法に用いられる電子写真感光体であって、該電子写真感光体の電荷輸送層が、少なくとも1種類の電荷輸送物質および必要に応じて用いられる少なくとも1種のバインダー樹脂からなり、しかも該電荷輸送物質および必要に応じて用いられる該バインダー樹脂を溶剤に溶解した状態でロールコート法、浸漬塗工法、スプレーコート法、ノズルコート法およびブレード塗工法のうちのいずれかの方法により成膜されたものであることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段および粉末トナーを用いた乾式接触現像手段を有する画像形成装置であって、乾式接触現像手段に用いるトナーが、マスターバッチ混練工程において少なくとも結着樹脂、顔料、水を含有した原材料混合物を溶融混練し、希釈混練工程において該マスターバッチ混練工程で得られた混練物をトナーの所望の顔料濃度になるように同種または異種の結着樹脂で希釈し、次いで該希釈混練工程で得られた混練物を粉砕して製造されるトナーであって、しかも上記マスターバッチ混練工程で用いる顔料として乾燥粉体顔料およびウエットケーキ状顔料のうちのいずれかの顔料を用い、該顔料と結着樹脂を混合する際に水を加え、この混合物を加熱混練して混合時に加えた水を除去し、混練後の110 ℃における乾燥減量が0.01〜1.0%となるように混練されたマスターバッチ顔料から得られたトナーであり、しかも磁性1成分トナー、非磁性1成分トナーおよび磁性キャリアを使用した2成分現像方式のトナーのうちからなるいずれかのトナーであることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の画像形成装置は、乾式接触現像手段を用いた画像形成装置の現像手段部内のトナー温度が70℃以下であることを特徴としている。
【0011】
このように、本発明の画像形成方法および画像形成装置では、電子写真トナーは、樹脂中に顔料を分散するマスターバッチ混練工程において、顔料として乾燥粉体顔料またはウエットケーキ状顔料を用い、該顔料と結着樹脂を混合する際に水を加え、この混合物を加熱混練して混合時に加えた水を除去し、混練後の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%となるように、あるいは混練後の110 ℃における乾燥減量が0.01〜1.0%で、しかも70℃における乾燥減量が0.05%以下となるように混練するので、まったく溶剤が使われていない。
【0012】
よって、乾式接触現像手段を用いた画像形成装置に適合する有機系電子写真用感光体と上記トナーを組み合わせた画像形成装置を提供することにより、画像形成時に画像形成装置の機内温度上昇により、該トナーが加温されてもトナー中の微量残留溶剤が揮発されることがないので、有機系電子写真用感光体の最表層である電荷輸送層をまったく侵すことがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の本発明の画像形成方法、電子写真感光体および画像形成装置についてさらに詳しく説明する。
【0014】
(トナーの製造方法)
本発明の対象となるトナーは、着色剤として顔料を用いるトナーで、通常の溶融混練、粉砕方法で製造される全てのトナー(カラートナー、黒トナー)に適用可能である。
【0015】
本発明におけるマスターバッチ顔料は、顔料として乾燥粉体顔料またはウエットケーキ状顔料を用い、これを結着樹脂と混合する際に水を加え、この混合物を加熱混練して混合時に加えた水を除去し、混練後の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%となるように混練することを最大の特徴とする。
【0016】
こうすることで顔料の分散性が著しく向上するのと同時に、マスターバッチ顔料中に70℃という比較的低温域での減量成分の少ないマスターバッチ顔料、さらに、このマスターバッチ顔料を用いたトナーを得ることができる。
【0017】
その理由は以下に記述するとおりである。
顔料はそもそも、その1次粒子は0.001〜0.1 μmと非常に小さなものであるが、原材料の乾燥粉体の状態では数μm大の大きな凝集体を形成している。
【0018】
理想的な顔料の分散は、この凝集体を解砕し1次粒子にまでバラバラにすることであるが、通常の混練方法で0.001〜0.1μmの1次粒子を、それ以下に小さくすることは、このような通常の機械的な繰り返し剪断による混練方法では限界である。すなわち、顔料の分散が悪いということは、この凝集体を解砕できないことに他ならない。
【0019】
凝集体が解砕されるための必要条件は、凝集体内部の空隙にまで、周りの樹脂が入り込み、全ての1次粒子表面を効率よく濡らすことである。したがって、顔料分散のポイントは、凝集体内部の空隙にまで、周りの樹脂が入り込めるかどうかにある。しかし、通常のトナーに用いられる結着樹脂は溶融粘度が高いため、凝集体内部にまで入り込ませるには、大きなエネルギを必要とし、それでも、顔料は目指す1次粒子にはなっていないのが現状である。
本発明では、乾燥粉体顔料を濡らす方法として水を用いるのが特徴である。
【0020】
一般的に着色剤として使用される有機顔料は疎水性であるが、その製造工程においては水洗、乾燥という工程をとっているため、ある程度の力を加えれば顔料凝集体内部にまで水を染み込ませることが可能である。この凝集体内部に水が染み込んだ顔料と樹脂を混合したものを、開放型の混練機で、100 ℃以上の設定温度で混練すると、凝集体内部の水は瞬時に沸点に達し、体積膨張するため、凝集体内部から凝集体を解砕しようとする力が加わることになる。
【0021】
この凝集体内部からの力は、外部から加える力に比べ非常に効率良く凝集体を解砕することが可能である。さらにこの時、樹脂は軟化点以上の温度に加熱されているため、粘度が低くなり、凝集体を効率よく濡らすようになるのと同時に、凝集体内部の沸点温度に近い水といわゆるフラッシングに似た効果で置換されることにより、1次粒子に近い状態で顔料が分散したマスターバッチ顔料を得ることができる。さらに、水が蒸発している過程においては、水の蒸発に伴う気化熱を混練物から奪うため、混練物の温度は100℃以下の比較的低温高粘度に保持されるため、剪断力が有効に顔料凝集体に加えられるという効果も合せ持つ。
【0022】
さらに、本発明において、顔料や樹脂と親和性の低い水を使用する理由は、分散処理の終了したマスターバッチ顔料中に溶剤や水といった成分が多量に残存することは好ましくない。したがって、前記開放型混練機で加熱混練する際には加えた水あるいは溶剤を除去する必要があるが、この時、樹脂や顔料と親和性の高い溶剤を用いた場合より、沸点は高くても、樹脂や顔料と親和性の低い水を用いた方が容易に除去することができるためである。さらに、ここで通常用いられるような溶剤はトナーで使用する帯電制御剤とも親和性が高いため、トナー中に極微量存在した場合でも、高温環境という特殊な条件下では、トナー中の溶剤が移動/拡散/蒸発するために、帯電量が低下するといった問題の原因となる。
【0023】
本発明で用いる開放型混練機としては、通常の2本ロール、3本ロールの他、バンバリーミキサーを開放型として使用する方法や、三井鉱山社製連続式2本ロール混練機等を用いることができる。
【0024】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネル ブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
【0025】
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
【0026】
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
【0027】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
【0028】
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
【0029】
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
【0030】
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
【0031】
これらは、いずれも乾燥した粉体顔料であり、1種または2種以上を使用することができる。
【0032】
さらに、本発明により得られたマスターバッチ顔料は110 ℃における乾燥減量が0.01〜1.0%であり、70℃における乾燥減量が0.05 %以下であることが望ましい。110 ℃における乾燥減量が1.0%以上ではマスターバッチ顔料中に存在する水が品質に影響をおよぼすばかりでなく、マスターバッチ混練における剪断が不十分であるために顔料の分散が悪いものとなる。一方、110 ℃における乾燥減量が0.01 %以下とするためには、マスターバッチ混練時に過剰の剪断、加熱を加えなくてはならないため、結着樹脂の一部が剪断されて低分子量成分が増加するといった問題があり好ましくない。さらに、70℃における乾燥減量が0.05 %以上では、本マスターバッチ顔料を用いてトナーにした場合、高温環境下の使用で帯電量が低下するという問題があり好ましくない。
【0033】
本発明における乾燥減量は、まずサンプルの粒径を整えるため、目開き0.15mm〜2.0 mmの篩で篩い分けし、両篩の間に存在したものをサンプルとし、所定の乾燥温度に2時間静置保管した後、デシケーター中で0.5 時間冷却したものの重量減少量から求めた。
【0034】
本発明で用いるマスターバッチ用結着樹脂およびトナーにする場合の希釈用の結着樹脂としては、従来公知のものを広く使用することができる。
【0035】
例えば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂あるいはポリオール樹脂からなり、中でも、ポリエステル樹脂またはポリオール樹脂が好適に用いられる。
【0036】
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリP−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:
スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどがある。
【0037】
ポリエステル樹脂としては、以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
【0038】
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど。
【0039】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステルなど。
【0040】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸などの3価以上のカルボン酸など。
【0041】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0042】
その他、必要に応じて以下の樹脂を混合して使用することもできる。
エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂など。
【0043】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノールとエピクロロヒドリンとの重縮合物が代表的である。
【0044】
本発明をトナーとして用いる場合には、荷電制御剤をトナー粒子に配合(内添)、又はトナー粒子と混合(外添)して用いることができ好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となる。
【0045】
帯電制御剤としては、ニグロシン、炭素数2〜16のアレキル基を含むアジン系染料(特公昭42-1627号公報)、塩基性染料(例えば、C.I.Basic Yello 2(C.I.41000) C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic VIolet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue 25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料のレーキ 顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルーヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド、等の4級アンモニウム塩あるいは、ジブチル又はジオクチルなどのジアルキル錫化合物、ジアルキル錫ボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0046】
また、本発明におけるトナーには定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することも可能である。
【0047】
離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステルなどがある。これらは、結着樹脂および定着ローラー表面材質により選択される。
【0048】
これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0049】
流動性や現像性・転写性を改善するため、無機微粉末をトナーに外添する事も可能である。無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。
【0050】
これらのうち、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。
【0051】
これらの無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナーが飛び散り,機内の汚染,感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。
【0052】
また、本発明のトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤のいずれでも使用可能であるが、二成分現像剤として用いる場合にはキャリア粉と混合して用いられる。
【0053】
この場合のキャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。これら磁性キャリアの平均粒径は35〜75μmが良い。
【0054】
さらに、本発明のトナーは、磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。
磁性トナーとする場合には、トナー粒子に磁性体の微粒子を含有させれば良い。
【0055】
斯かる磁性体としては、フェライト、マグネタイトをはじめとする鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性を示す金属もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えば、マンガン銅アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種頼の合金、二酸化クロム、その他を挙げることができる。磁性体は、平均粒径が0.1〜1μmの微粉末の形態で均一に分散されて含有されることが好ましい。そして磁性体の含有割合は、得られるトナーの100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましく、特に20〜50重量部であることが好ましい。
【0056】
本発明に係るトナーを作製する方法の一例としては、先ず、前述した乾燥粉体顔料またはウエットケーキ状顔料、結着樹脂、水をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、通常の2本ロール、3本ロールの他、バンバリーミキサーを開放型として使用する方法や、三井鉱山社製連続式2本ロール混練機等の開放型混練機により加熱混練してマスターバッチ顔料を得る。さらに該マスターバッチ顔料と結着樹脂、荷電制御剤、磁性トナーとする場合は磁性体、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、日本製鋼所社製TEX型2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えば、ブッス社製コ・ニーダ等の熱混練機を用いて構成材料を良く混練し、冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、さらに、ジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。
【0057】
ついで、無機微粉体と該トナーをヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、ついで250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し、本発明のトナーを得ることができる。
【0058】
(感光体の製造方法)
感光体を構成する材料は、導電性基体として、体積抵抗1010Ω・cm以下のもの、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、ステンレスなどの金属、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を蒸着又はスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン等)もしくは紙等に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらをD.I.,I.I.,押出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理した管、あるいは上記金属を電気メッキなどの方法により、フィルム状もしくは円筒状にしたもの、又、導電性粉体をプラスチックに分散成型してなるフィルム状もしくは円筒状にしたもの等を用いることができる。
【0059】
この他上記支持体上に、導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散し、塗工したものも用いることができる。導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉あるいはチタンブラック、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物等が挙げられる。
【0060】
また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルガルバゾール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂ないしは光硬化性樹脂が挙げられる。
【0061】
このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、メチレンエチルケトン、トルエン等に分散塗布することにより設けることができる。
【0062】
さらに、適当な円筒状基体上に、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルデン、ポリエチレン、塩化ビム、テフロン等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性基体として良好に用いることができる。
【0063】
電荷発生層は、電荷発生物質を主材料とした層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。
バインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は単独または2種類以上混合して用いられる。
【0064】
電荷発生物質としては、例えば、シーアイピグメントブルー25〔カラーインデックス(CI)21180〕、シーアイピグメントレッド41〔CI21200〕、シーアイアシッドレッド52〔CI45100〕、シーアイベーシックレッド3〔CI45210〕、さらにポリフィリン骨格を有するフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクアリック塩顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、スチルスチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−138229号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132547号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17734号公報に記載)、カルバゾール骨格を有するトリアゾ顔料(特開昭57−195767号公報、同57−195768号公報に記載)等、さらにシーアイピグメントブルー16(CI74100)等のフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI73410)、シーアイバットダイ(CI73030)等のインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB(バイオレット社製)、インダスレンスカーレットR(バイエル社製)等のペリレン系顔料等の有機顔料がある。これらの電荷発生物質は単独で、あるいは2種以上併用して用いられる。
【0065】
バインダー樹脂は、電荷発生物質に対して重量比で0/1〜3/1用いるのが適当であり、好ましくは0/1〜1/1である。
【0066】
電荷発生層は、電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂とともに、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジクロルエタン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は浸漬塗工法やスプレーコート、ロールコート法などを用いて行うことができる。
【0067】
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0068】
電荷輸送層は、電荷輸送物質及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂よりなる。以上の物質を適当な溶剤に溶解ないし分散してこれを塗布乾燥することにより電荷輸送層を形成することができる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
【0069】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。この中でも特に、トリフェニルアミン誘導体、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体が望ましい。
【0070】
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノンジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体、チオピラン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電荷輸送物質は単独または2種類以上混合して用いられる。
【0071】
また、本発明において必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。なかでも、ポリカーボネート、ポリアリレート樹脂、ポリエステル、ポリビニルブチラール、メラミン樹脂、フェノール樹脂が望ましい。これらのバインダー樹脂は単独又は2種類以上混合して用いられる。
【0072】
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレンなどが用いられる。
【0073】
バインダー樹脂は、電荷輸送物質に対して重量比で10/1〜1/100、好ましくは3/1〜1/10である。電荷輸送層の厚さは5〜100μm程度が適当である。また、本発明において電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0074】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は電荷輸送層に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類が使用され、その使用量は電荷輸送層に対して、0〜1重量%程度が適当である。
【0075】
本発明においては、必要に応じて下引き層を用いることも有効である。
下引き層に用いる結着剤樹脂としては適宜のものを用いることができる。
このような結着剤樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂があり、また熱硬化性樹脂、例えば、活性水素(−OH基、−NH2 基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物及び/またはエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂等も使用できる。
【0076】
活性水素を複数個含有する化合物としては、例えば、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0077】
イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0078】
また、オイルフリーアルキド樹脂とアミノ樹脂、例えば、ブチル化メラミン樹脂等を熱重合させた熱硬化性樹脂、さらにまた不飽和結合を有するポリウレタン、不飽和ポリエステル等の不飽和結合を有する樹脂と、チオキサントン系化合物、メチルベンジルフォルメート等の光重合開始剤との組合せ等の光硬化性樹脂も結着剤樹脂として使用できる。これらの樹脂は単独または2種類以上混合して用いられる。又、これらの樹脂は適当な溶剤に溶解して用いられる。
【0079】
さらに特性を向上させるために、下引き層には上記結着剤樹脂に金属酸化物粉末を加えて用いることが好ましい。
【0080】
金属酸化物としては、SnO2、Sb23、In23、ZnO、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23等が挙げられ、単独もしくは二種類以上を適宜選択して使用することができる。金属酸化粉末を用いる時は、溶剤と結着剤樹脂と共に常法により、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター等により分散して用いることができる。
【0081】
導電性基体上への下引き層の形成は、ロールコート法、浸漬塗工法、スプレーコート法、ノズルコート法、ブレード塗工法等により成膜される。塗布後は、乾燥や加熱、光等の硬化処理により乾燥あるいは硬化される。下引き層の膜厚さは0.1〜30μm、好ましくは0.2〜10μmとするのが適当である。
【0082】
また、下引き層に金属酸化物を加える時は、結着剤樹脂に対して容量比で0.5/1〜3/1の範囲が好ましい。なお、本発明において電子写真感光体の構成は、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層してもかまわないし、導電性基体上に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層してもかまわない。
【0083】
(画像形成装置)
図1に2成分現像剤を使用した乾式接触現像手段を有する画像形成装置の1例を示す。
【0084】
図1において、(101)は矢印方向に回転する感光体ドラムで、その周辺部には、帯電装置(102)、露光装置(103)からの像露光、現像装置(104)、2成分現像剤(105)、現像剤撹拌ローラ(106)、現像スリーブ(107)、磁気キャリアブラシ(108)、トナータンク(109)、トナー供給ローラ(110)、転写体(111)、転写チャージャー(112)、分離チャージャー(113)、クリーニングユニット(114)、除電ランプ(115)、定着装置(116)等が設けられている。
【0085】
ここでイメージ露光装置(103)による露光は、複写原稿の反射光をレンズやミラーを介して照射するアナログイメージ露光、又はコンピュータ等からの電気信号あるいは、複写原稿をCCD等の画像センサで読み取り変換した電気信号等を、レーザ光やLEDアレイ等により光像として再現するデジタルイメージ露光の何れであってもかまわない。
【0086】
帯電、及び画像露光を受けて感光体ドラム(101)表面に形成された静電潜像は、現像装置(104)において、トナーが付着し、可視化される。
すなわち、現像装置(104)内で現像剤撹拌ローラ(106)により撹拌されて、摩擦帯電による静電引力で引き合った磁気キャリアとトナーが回転する現像スリーブ(107)により感光体表面まで運ばれ、磁気キャリアブラシ(108)を形成して感光体ドラム(101)表面に接し、静電潜像部へトナーが選択的に付着する。このとき、トナーの付着量や安定性を制御あるいは改善する目的で、現像スリーブ(107)と感光体ドラム(101)に線速差を持たせたり、現像スリーブ(107)に直流あるいは交流のバイアスを印加する等の工夫が行われる。
【0087】
また、図1の例では一つの現像装置しか表示されていないが、マルチカラー画像装置やフルカラー画像装置のような場合には、必要な数の現像装置が感光体周辺に配置される。
【0088】
また、現像手段部周辺は排気ファンが具備されており、現像手段部内のトナーは70℃以下に制御されている。
【0089】
次に、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ここでの部は重量基準である。
【0090】
(実施例1)
乾燥粉体顔料:キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I. Pigment Red122):50部
結着樹脂:ポリオール樹脂 :50部
水 :30部
【0091】
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、マスターバッチ顔料を得た。この乾燥減量を測定したところ110℃では0.80%、70℃では0.07%であった。
【0092】
次に、このマスターバッチ顔料を用いて、以下の方法により、トナーとした。
結着樹脂 ポリオール樹脂 :100部
着色剤 マスターバッチ顔料 : 13部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 : 2部
【0093】
上記原材料をヘンシェルミキサーにより混合し、2軸押出し機により溶融混練した。これを圧延冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、さらにジェット気流式粉砕機により、微粉砕を行い、風力式分級機にて微粉分級を行って、粉砕粒子を得た。
【0094】
さらに、得られた粉体に疎水性シリカ1部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、その後、超音波式振動篩により凝集体を除去して、実施例1のトナーを得た。このトナー5部をシリコン樹脂コートキャリア95部と混合して2成分現像剤を作成した。
【0095】
次に下記の方法で電子写真用感光体を得た。
φ80mmのAlドラム上に下記組成の電荷発生層用塗工液を浸漬塗布し、110℃15分間乾燥して厚さ0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0096】
電荷発生層用塗工液
フルオレノン骨格を有するアゾ顔料 45部
ポリエステル〔東洋紡績(株)、バイロン300〕 18部
シクロヘキサノン 600部
ポリアルキレングリコール(テラタンT2900、デュポン製) 4.5部
以上を混合し、48時間ボールミリングし、その後、
シクロヘキサノン 1650部
4−メチル−2−ペンタノン 750部
で希釈し、電荷発生層用塗工液を作成した。次に電荷発生層上に下記組成の電荷輸送層用塗工液を浸漬塗布し、110℃50分間乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の電子写真感光体を作成した。
【0097】
電荷輸送層用塗工液
トリフェニルアミン誘導体 430部
ポリカーボネート樹脂(パンライトK−1300、帝人化成製) 470部
1,2−ジクロロメタン 4100部
酸化防止剤 2,6−ジ−tert−ブチルフェノール 1部
シリコンオイル(KF−50、信越化学工業製) 0.1部
【0098】
評価として、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置に得られた実施例1のトナー及び電子写真感光体をセットし、初期及び60万コピー枚後の電子写真感光体の最表層の電荷輸送層のソルベントクラック及びフィルミングの発生の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0099】
(実施例2)
ウエットケーキ状顔料:キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I. Pigment Red122):70部
結着樹脂:ポリオール樹脂 :50部
水 :10部
【0100】
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、マスターバッチ顔料を得た。この乾燥減量を測定したところ110℃では1.00%、70℃では0.10%であった。
【0101】
次に、このマスターバッチ顔料を用いて、以下の方法により、トナーとした。
結着樹脂 ポリオール樹脂 :100部
着色剤 マスターバッチ顔料 : 13部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 : 2部
【0102】
上記原材料をヘンシェルミキサーにより混合し、2軸押出し機により溶融混練した。これを圧延冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、さらにジェット気流式粉砕機により、微粉砕を行い、風力式分級機にて微粉分級を行って、粉砕粒子を得た。さらに、得られた粉体に疎水性シリカ1部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、その後、超音波式振動篩により凝集体を除去して、実施例2のトナーを得た。このトナー5部をシリコン樹脂コートキャリア95部と混合して2成分現像剤を作成した。
【0103】
次に実施例1と同じ方法で電子写真用感光体を得た。
評価として、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置に得られた実施例2のトナー及び電子写真感光体をセットし、初期及び60万コピー枚後の電子写真感光体の最表層の電荷輸送層のソルベントクラック及びフィルミングの発生の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0104】
(実施例3)
乾燥粉体顔料:キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I. Pigment Red122) :50部
結着樹脂:ポリオール樹脂 :50部
水 :30部
【0105】
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより60分間混練を行い、マスターバッチ顔料を得た。この乾燥減量を測定したところ110℃では0.02%、70℃では0.00%であった。
【0106】
次に、このマスターバッチ顔料を用いて、以下の方法により、トナーとした。
結着樹脂 ポリオール樹脂 :100部
着色剤 マスターバッチ顔料 : 13部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 : 2部
【0107】
上記原材料をヘンシェルミキサーにより混合し、2軸押出し機により溶融混練した。これを圧延冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、さらにジェット気流式粉砕機により、微粉砕を行い、風力式分級機にて微粉分級を行って、粉砕粒子を得た。
【0108】
さらに、得られた粉体に疎水性シリカ1部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、その後、超音波式振動篩により凝集体を除去して、実施例3のトナーを得た。このトナー5部をシリコン樹脂コートキャリア95部と混合して2成分現像剤を作成した。
【0109】
次に実施例1と同じ方法で電子写真用感光体を得た。
評価として、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置に得られた実施例3のトナー及び電子写真感光体をセットし、初期及び60万コピー枚後の電子写真感光体の最表層の電荷輸送層のソルベントクラック及びフィルミングの発生の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0110】
(実施例4)
乾燥粉体顔料:キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I. Pigment Red122):50部
結着樹脂:ポリオール樹脂 :50部
水 :30部
【0111】
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより60分間混練を行い、マスターバッチ顔料を得た。この乾燥減量を測定したところ110 ℃では0.50%、70℃では0.03%であった。
【0112】
次に、このマスターバッチ顔料を用いて、以下の方法により、トナーとした。
結着樹脂 ポリオール樹脂 :100部
着色剤 マスターバッチ顔料 : 13部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 : 2部
磁性体 四三酸化鉄 : 4部
【0113】
上記原材料をヘンシェルミキサーにより混合し、2軸押出し機により溶融混練した。これを圧延冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、さらにジェット気流式粉砕機により、微粉砕を行い、風力式分級機にて微粉分級を行って、粉砕粒子を得た。
【0114】
さらに、得られた粉体に疎水性シリカ1部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、その後、超音波式振動篩により凝集体を除去して、実施例4の磁性1成分トナーを作成した。
【0115】
次に実施例1と同じ方法で電子写真用感光体を得た。
評価として、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置に得られた実施例4のトナー及び電子写真感光体をセットし、初期及び60万コピー枚後の電子写真感光体の最表層の電荷輸送層のソルベントクラック及びフィルミングの発生の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0116】
(実施例5)
乾燥粉体顔料:キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I. Pigment Red122):50部
結着樹脂:ポリオール樹脂 :50部
水 :30部
【0117】
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより60分間混練を行い、マスターバッチ顔料を得た。この乾燥減量を測定したところ110 ℃では0.50%、70℃では0.03%であった。
【0118】
次に、このマスターバッチ顔料を用いて、以下の方法により、トナーとした。
結着樹脂 ポリオール樹脂 :100部
着色剤 マスターバッチ顔料 : 13部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 : 2部
【0119】
上記原材料をヘンシェルミキサーにより混合し、2軸押出し機により溶融混練した。これを圧延冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、さらにジェット気流式粉砕機により、微粉砕を行い、風力式分級機にて微粉分級を行って、粉砕粒子を得た。
【0120】
さらに、得られた粉体に疎水性シリカ1部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、その後、超音波式振動篩により凝集体を除去して、実施例5の非磁性1成分トナーを得た。
【0121】
次に実施例1と同じ方法で電子写真用感光体を得た。
評価として、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置に得られた実施例5のトナー及び電子写真感光体をセットし、初期及び60万コピー枚後の電子写真感光体の最表層の電荷輸送層のソルベントクラック及びフィルミングの発生の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0122】
(比較例1)
乾燥粉体顔料:キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I. Pigment Red122):50部
結着樹脂:ポリオール樹脂 :50部
水 :15部
溶剤(アセトン) :15部
【0123】
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、マスターバッチ顔料を得た。この乾燥減量を測定したところ110 ℃では1.50%、70℃では0.10%であった。
【0124】
次に、このマスターバッチ顔料を用いて、以下の方法により、トナーとした。
結着樹脂 ポリオール樹脂 :100部
着色剤 マスターバッチ顔料 : 13部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 : 2部
【0125】
上記原材料をヘンシェルミキサーにより混合し、2軸押出し機により溶融混練した。これを圧延冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、さらにジェット気流式粉砕機により、微粉砕を行い、風力式分級機にて微粉分級を行って、粉砕粒子を得た。
【0126】
さらに、得られた粉体に疎水性シリカ1部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、その後、超音波式振動篩により凝集体を除去して、比較例1のトナーを得た。このトナー5部をシリコン樹脂コートキャリア95部と混合して2成分現像剤を作成した。
【0127】
次に実施例1と同じ方法で電子写真用感光体を得た。
評価として、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置に得られた比較例1のトナー及び電子写真感光体をセットし、初期及び60万コピー枚後の電子写真感光体の最表層の電荷輸送層のソルベントクラック及びフィルミングの発生の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0128】
(比較例2)
比較例1で得られたトナー及び電子写真感光体を用い、乾式接触現像手段を用いたリコー製画像形成装置で、現像手段周辺に具備された冷却用排気ファンを停止させた状態にし、トナー温度を75℃にして同様の評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
Figure 0004015813
【0130】
表1より、本発明においては、乾式接触現像手段を用いる画像形成装置内の電子写真感光体のソルベントクラック及びフィルミングの発生がなく、長期にわたり画像欠陥の発生しない画像が提供できることが分かる。
【0131】
【発明の効果】
本発明においては、乾式接触現像手段を用いる画像形成装置内の電子写真感光体のソルベントクラック及びフィルミングの発生がなく、長期にわたり画像欠陥の発生しない画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。
【0132】
さらに、本発明の電子写真感光体を用いることにより、良好な画像を形成できる画像形成装置および画像形成方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
101 感光体ドラム
102 帯電装置
103 露光装置
104 現像装置
109 トナータンク
111 転写体
114 クリーニングユニット
116 定着装置

Claims (4)

  1. 乾式接触現像手段を有する画像形成装置を用いて画像を形成するに際して、トナーとして、マスターバッチ混練工程において少なくとも結着樹脂、顔料、水を含有した原材料混合物を溶融混練し、希釈混練工程において該マスターバッチ混練工程で得られた混練物をトナーの所望の顔料濃度になるように同種または異種の結着樹脂で希釈し、次いで該希釈混練工程で得られた混練物を粉砕して製造されるトナーであって、しかも前記マスターバッチ混練工程で用いる顔料として乾燥粉体顔料およびウエットケーキ状顔料のうちのいずれかの顔料を用い、該顔料と結着樹脂を混合する際に水を加え、この混合物を加熱混練して混合時に加えた水を除去し、前記加熱混練後の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%となるように混練されたマスターバッチ顔料から得られたトナーを用い、かつ電子写真感光体として、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層してなる電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記トナーが、マスターバッチ顔料の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%であり、しかも70℃における乾燥減量が0.05%以下であるマスターバッチ顔料から得られたトナーである請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 請求項1記載の画像形成方法で用いられる電子写真感光体であって、該電子写真感光体の電荷輸送層が、少なくとも1種類の電荷輸送物質と、必要に応じて用いられる少なくとも1種のバインダー樹脂からなり、しかも該電荷輸送物質および必要に応じて用いられる該バインダー樹脂を溶剤に溶解した状態で浸漬塗工法により成膜されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
  4. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段および粉末トナーを用いた乾式接触現像手段を有する画像形成装置であって、乾式接触現像手段で用いるトナーが、マスターバッチ混練工程において少なくとも結着樹脂、顔料、水を含有した原材料混合物を溶融混練し、希釈混練工程において該マスターバッチ混練工程で得られた混練物をトナーの所望の顔料濃度になるように同種または異種の結着樹脂で希釈し、次いで該希釈混練工程で得られた混練物を粉砕して製造されるトナーであって、しかも前記マスターバッチ混練工程で用いる顔料として乾燥粉体顔料およびウエットケーキ状顔料のうちのいずれかの顔料を用い、該顔料と結着樹脂を混合する際に水を加え、この混合物を加熱混練して混合時に加えた水を除去し、前記加熱混練後の110℃における乾燥減量が0.01〜1.0%となるように混練されたマスターバッチ顔料から得られたトナーであり、しかも磁性1成分トナー、非磁性1成分トナーおよび磁性キャリアを使用した2成分現像方式のトナーのうちからなるいずれかのトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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