JP4015331B2 - Pwr用バスケットおよびそれを構成する角パイプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃焼を終えた使用済み核燃料集合体を収納、運搬、貯蔵するPWR(加圧水型原子力発電:pressurized water reactor)用キャスクを構成するPWR用バスケットおよびそれを構成する角パイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終え使用できなくなった核燃料集合体を、使用済み核燃料という。使用済み核燃料は、FPなど高放射能物質を含むので熱的に冷却する必要があるから、原子力発電所の冷却ピットで所定期間(3〜6ヶ月間)冷却される。その後、遮蔽容器であるキャスクに収納され、トラックや船舶等で再処理施設に搬送、貯蔵される。使用済み核燃料集合体をキャスク内に収容するにあたっては、バスケットと称する格子状断面を有する保持要素を用いる。この使用済み核燃料集合体は、バスケットに形成した複数の収納空間であるセルに1体ずつ挿入され、これによって、輸送中の振動などに対する適切な保持力を確保している。
【0003】
このようなキャスクの従来例としては、「原子力eye」(平成10年4月1日発行:日刊工業出版プロダクション)や特開昭62−242725号公報などにて様々な種類のものが開示されている。
【0004】
図5は、従来のキャスクの斜視図である。図6は、図5に示した従来のキャスクの軸方向断面図である。図7は、図5に示した従来のキャスクの径方向断面図である。キャスク100は、胴本体101のキャビティ102内面をバスケット130の外周形状に合わせて機械加工したものである。キャビティ102内面の機械加工は、専用の加工装置によってフライス等によって加工する。胴本体101および底板104は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品である。なお、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。胴本体101と底板104は、溶接によって結合する。また、耐圧容器としての密閉性能を確保するため、一次蓋110と胴本体101との間には金属ガスケットを設けておく。
【0005】
胴本体101と外筒105との間には、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するレジン106、すなわち上述した中性子遮蔽体が充填されている。また、胴本体101と外筒105との間には、熱伝導を行う複数の銅製内部フィン107が溶接されており、レジン106は、内部フィン107によって形成される空間に流動状態で図示しないパイプ等を介して注入され、冷却固化される。なお、内部フィン107は、放熱を均一に行うため、熱量の多い部分に高い密度で設けるようにするのが好ましい。また、レジン106と外筒105との間には、数mmの熱膨張しろ108が設けられる。熱膨張しろ108は、ホットメルト接着剤等にヒーターを埋め込んだ消失型を外筒105内面に配し、レジン106を注入固化した後、ヒーターを加熱して溶融排出することによって形成する。
【0006】
蓋部109は、一次蓋110と二次蓋111によって構成される。一次蓋110は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼からなる円盤形状である。また、二次蓋111も、ステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状であるが、その上面には、中性子遮蔽体としてレジン112、すなわち上述した中性子遮蔽体が封入されている。一次蓋110および二次蓋111は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト113によって胴本体101に取り付けられている。さらに、一次蓋110および二次蓋111と胴本体101との間には、それぞれ金属ガスケットが設けられ、内部の密封性を保持している。また、蓋部109の周囲には、レジン114を封入した補助遮蔽体115が設けられている。
【0007】
キャスク本体116の両側には、キャスク100を吊り下げるためのトラニオン117が設けられている。なお、図5では、補助遮蔽体115を設けたものを示したが、キャスク100の搬送時には、補助遮蔽体115を取り外して緩衝体118を取り付ける(図6参照)。緩衝体118は、ステンレス鋼材によって作成された外筒120内にレッドウッド材などの緩衝材119を組み込んだ構造である。バスケット130は、使用済み核燃料集合体を収容するセル131を構成する69本の角パイプ132からなる。角パイプ132には、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金を用いる。また、中性子吸収材としては、ボロンの他にカドミウムを用いることができる。
【0008】
ところで、軽水型原子力発電には、加圧水型原子力発電(PWR:pressurized water reactor)と沸騰水型原子力発電(BWR:boiling water reactor)とがあるが、PWR用のキャスクでは、ウランの濃縮度が高いため、各バスケット間に軽水を介在させて中性子を減衰させる空隙部(ウォーターゾーン)をさらに設けている。なお、一般にバスケットは、使用済み核燃料の崩壊熱を効率的に除去し、使用済み核燃料集合体における燃料被覆管の健全性を維持するための伝熱性と、核燃料の相互干渉による未臨界を保持する未臨界性とが要求される。
【0009】
図8は、従来のPWR用キャスクの概要径方向断面図を示す図である。また、図9は、図8に示した従来のPWR用キャスクの部分A−A線断面図である。PWR用キャスクは、キャスク本体201のバスケット205内に、使用済み核燃料集合体203を収納するセル202を有するとともに、各セル202間には空隙部204を有する。上述したように、PWR用キャスクは、ウランの濃縮度が高いため、未臨界を担保する使用済み核燃料集合体間の距離を確保する必要がある。特に、使用済み核燃料集合体の冷却期間においては、空隙部204に軽水を満たして中性子を効果的に減速させるようにしている。バスケット205は、上述したセル202および空隙部204を有した円盤状部材206を軸方向に積み重ね、各円盤状部材206を溶接することによって形成される。
【0010】
ところで、セル202間に空隙部204を設けるバスケット205の構造を鋳造あるいは鍛造によって製造する場合、多くの機械加工を必要とする。このため、従来は、たとえば、図10に示すように、複数のH型プレート301を格子状に組み立ててバスケットを構成するものがある。H型プレート301は、断面形状がH型形状をなし、長手方向の所定複数箇所に切り欠き部302を有する。この切り欠き部302を順次軸方向に縦横組み合わせることによって、軸方向に延びる格子状のセル202を形成することができる。なお、H型プレート301自体には、軽水を満たす流路303が設けられる。この流路303は、空隙部204に相当する。また、H型プレート301を格子状に組み合わせるのみでは、H型プレート301間の位置ずれをなくすために、切り欠き部302が相互に係合する部分に、軸方向に支持棒304を設けている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のPWR用キャスクにおけるバスケット構造は、H型プレート301を格子状に組み合わせているため、形成されたバスケット構造の強度が弱く、収納、運搬、貯蔵する使用済み核燃料集合体を確実に保持できない可能性があるという問題点があった。
【0012】
また、H型プレート301を格子状に組み合わせて形成する作業は、多大な時間と労力とがかかるという問題点があった。
【0013】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、使用済み核燃料集合体を確実に保持できる強度を有したバスケット構造をもち、簡易な構成で伝熱性と未臨界性とを担保することができるPWR用バスケットおよびそれを構成する角パイプを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるPWR用バスケットは、外周に中性子遮蔽体を有し且つγ線の遮蔽を行う胴本体のキャビティ内に、中性子吸収能と熱伝導性とを持たせて使用済み核燃料集合体の収納を行うPWR用バスケットにおいて、前記使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形した角パイプをキャビティ内に挿入し、径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形した角パイプをキャビティ内に挿入し、径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成し、中性子の減速および吸収によって未臨界を担保する距離を確保し、角パイプの接合部分において伝熱性を確保している。
また、この発明によれば、角パイプを押出加工によって形成し、各種の機械加工にかかる処理を削減している。
【0018】
また、請求項にかかるPWR用バスケットは、上記の発明において、前記溝部は、一つの外部壁面に複数設けたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、一つの外部壁面に複数の溝部を設け、角パイプの隣接配置によるバスケット形成時における角パイプ間の接合箇所を多くするようにしている。
【0023】
この発明によれば、角パイプは、押出加工によって成形され、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加したアルミニウム合金によって構成するようにしている。
【0024】
また、請求項3にかかる角パイプは、使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形、複数を径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成可能であることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形した角パイプをキャビティ内に挿入し、径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成し、中性子の減速および吸収によって未臨界を担保する距離を確保し、角パイプの接合部分において伝熱性を確保している。
また、この発明によれば、角パイプを押出加工によって形成し、各種の機械加工にかかる処理を削減している。
【0028】
また、請求項にかかる角パイプは、上記の発明において、前記溝部は、一つの外部壁面に複数設けたことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、一つの外部壁面に複数の溝部を設け、角パイプの隣接配置によるバスケット形成時における角パイプ間の接合箇所を多くするようにしている。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかるPWR用バスケットとそれを構成する角パイプの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1であるPWR用バスケットの径方向断面の一部を示す図である。図1において、バスケット1は、角パイプ2が互いに隣接配置されて構成される。すなわち、バスケット1は、図7に示したキャビティ102内に角パイプ2を挿入することによって形成される。したがって、角パイプ2の長手方向(軸方向)長さは、同一である。
【0032】
角パイプ2は、内部に使用済み核燃料集合体6が挿入されて収納されるように、ある程度のクリアランスが設けられたセル5を形成し、このセル5は、断面が矩形形状をなす。角パイプ2の外部壁面には、溝部3が形成される。角パイプ2が隣接配置されてバスケット1を形成する場合、外部壁面同士が向き合った溝部3によって空隙部4が形成される。また、角パイプ2の隣接配置時に空隙部以外の部分、すなわち角部7では、互いに密に接合される。したがって、使用済み核燃料集合体6の崩壊熱は、この角部7による接合によって伝導されるため、バスケット1の伝熱性が良好に保持される。
【0033】
一方、角パイプ2は、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつB(ボロン)またはB化合物の粉末を添加したアルミニウム合金によって構成される。また、空隙部4には、使用済み核燃料集合体6の冷却期間において、水が満たされ、使用済み核燃料集合体6から放射される中性子を減速させ、角パイプ2内に添加されたBによる中性子吸収を効率的に行わせる。これによって、セル5内に収納された使用済み核燃料集合体6間における未臨界を担保するための距離を保持することができる。
【0034】
ここで、図2に示すフローチャートを参照して、バスケット1を構成する角パイプ2の製造方法について説明する。まず、アトマイズ法などの急冷凝固法によってAlまたはAl合金粉末を作製する(ステップS101)とともに、BまたはB化合物の粉末を用意し(ステップS102)、これら両粒子をクロスロータリーミキサー等によって10〜15分間混合する(ステップS103)。
【0035】
AlまたはAl合金には、純アルミニウム地金、Al−Cu系アルミニウム合金、Al−Mg系アルミニウム合金、Al−Mg−Si系アルミニウム合金、Al−Zn−Mg系アルミニウム合金、Al−Fe系アルミニウム合金などを用いることができる。また、BまたはB化合物には、B4C、B23などを用いることができる。ここで、アルミニウムに対するボロンの添加量は、1.5重量%以上、7重量%以下とするのが好ましい。1.5重量%以下では十分な中性子吸収性能が得られず、7重量%を超えると引っ張りに対する延びが低下するためである。
【0036】
つぎに、混合粉末をラバーケース内に封入し、CIP(Cold Isostatic Press)によって常温で全方向から均一に高圧をかけ、粉末成形を行う(ステップS104)。CIPの成形条件は、成形圧力を200MPaとし、成形品の直径が600mm、長さ1500mmになるようにする。CIPによって全方向から均一に圧力を加えることによって、成形密度のばらつきが少ない高密度な成形品を得ることができる。
【0037】
続いて、粉末成形品を缶に真空封入し、300℃まで昇温する(ステップS105)。この脱ガス工程によって缶内のガス成分および水分を除去する。つぎの工程では、真空脱ガスした成形品をHIP(Hot Isostatic Press)によって再形成する(ステップS106)。HIPの成形条件は、温度400℃〜450℃、時間30sec、圧力6000tonとし、成形品の直径が400mmになるようにする。続いて、缶を除去するために外削、端面削を施し(ステップS107)、ポートホール押出機を用いてビレットを熱間押出しする(ステップS108)。この場合の押出条件として、加熱温度を500℃〜520℃、押出速度を5m/minとする。なお、この条件は、Bの含有量によって適宜変更する。
【0038】
つぎに、押出成形後、引張矯正を施す(ステップS109)とともに、非定常部および評価部を切断し、製品とする(ステップS110)。この角パイプ2は、その後、フライスによって各外部壁面に溝部3を形成し、図1に示したバスケット2を完成する。なお、角パイプ2の外部壁面に設けられる溝部3を押出成形後に形成せずに、溝部3を有する角パイプ2そのものを押出成形するようにしてもよい。
【0039】
また、このバスケット2の他の製造方法として、本願出願人により平成11年5月27日付け(「バスケット及びキャスク」)で既に出願済みのものがあるから、そちらを参照して製造するようにしてもよい。
【0040】
この実施の形態1によれば、PWR用キャスクを構成するバスケット1を、溝部3をもち、中性子吸収材が添加された角パイプ2をキャビティ内に挿入し、隣接配置して形成するようにしているので、PWR用の使用済み核燃料集合体6に対する未臨界のための距離を空隙部4を含めて保持でき、かつ角パイプ2の角部7の接合によって伝熱性を確保できる。また、角パイプ2の隣接配置によってバスケット1を構成しているので、H型プレート等の組立によるバスケットに比してバスケット強度を高めることができるとともに、角パイプ2の成形およびバスケット1の形成にかかる時間と労力とを削減することができる。
【0041】
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、角パイプ2の一つの外部壁面に一つの溝部3を形成するようにしていたが、この実施の形態2では、各外部壁面に複数の溝部13を形成するようにしている。
【0042】
図3は、この発明の実施の形態2であるPWR用バスケットの径方向断面の一部を示す図である。図3において、バスケット11は、角パイプ12が互いに隣接配置されて構成される。すなわち、バスケット11は、図7に示したキャビティ102内に角パイプ12を挿入することによって形成される。したがって、角パイプ12の長手方向(軸方向)長さは、同一である。
【0043】
角パイプ12は、内部に使用済み核燃料集合体16が挿入されて収納されるように、ある程度のクリアランスが設けられたセル15を形成し、このセル15は、断面が矩形形状をなす。角パイプ12の外部壁面には、断面が半円状の溝部13が複数形成される。角パイプ12が隣接配置されてバスケット11を形成する場合、外部壁面同士が向き合った複数の溝部13によって複数の空隙部14が形成される。この空隙部14の断面は、円形となる。溝部13は、一つの外部壁面に対して複数設けられ、溝部13以外の部分は、隣接する他の角パイプ12と密に接合することになり、角パイプ12の角部17においても密に接合される。したがって、使用済み核燃料集合体16の崩壊熱は、この複数の接合部分よって伝導されるため、バスケット1の伝熱性が良好に保持できるとともに、壁面の撓み等が生じない構造となるため、バスケット強度も強くなる。
【0044】
一方、角パイプ12は、角パイプ2と同様に、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加したアルミニウム合金によって構成される。また、空隙部14には、使用済み核燃料集合体16の冷却期間において、水が満たされ、使用済み核燃料集合体16から放射される中性子を減速させ、角パイプ12内に添加されたBによる中性子吸収を効率的に行わせる。これによって、セル15内に収納された使用済み核燃料集合体16間における未臨界を担保するための距離を保持することができる。
【0045】
この実施の形態2によれば、実施の形態1と同様な作用効果を奏するとともに、各外部壁面に複数の溝部13を設けて複数の空隙部14を形成し、隣接する角パイプ12の外部壁面間を複数の接合面によって保持しているので、バスケット11の強度をさらに高めることができるとともに、伝熱性を一層高めることができる。
【0046】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、いずれも中性子吸収材を添加した角パイプ2,12によってバスケット1,11を形成するようにしていたが、この実施の形態3では、中性子吸収材をバスケット1,11の溝部3,13、すなわち空隙部4,14に貼り付けるようにしている。
【0047】
図4は、この発明の実施の形態3であるPWR用バスケットの径方向断面の一部を示す図である。図4において、バスケット21は、角パイプ22が互いに隣接配置されて構成される。すなわち、バスケット21は、図7に示したキャビティ102内に角パイプ22を挿入することによって形成される。したがって、角パイプ22の長手方向(軸方向)長さは、同一である。
【0048】
角パイプ22は、内部に使用済み核燃料集合体26が挿入されて収納されるように、ある程度のクリアランスが設けられたセル25を形成し、このセル25は、断面が矩形形状をなす。角パイプ22の外部壁面には、溝部23が形成される。この溝部23は、実施の形態1における溝部3と同じ形状である。溝部23の底部には、B等の中性子吸収材27が貼り付けられる。角パイプ22が隣接配置されてバスケット21を形成する場合、外部壁面同士が向き合った溝部23によって空隙部24が形成される。この場合、角パイプ22の隣接配置時に空隙部以外の部分、すなわち角部27では、互いに密に接合される。したがって、使用済み核燃料集合体26の崩壊熱は、この角部27による接合によって伝導されるため、バスケット21の伝熱性が良好に保持される。
【0049】
一方、角パイプ22は、Al等によって構成される。また、空隙部24には、使用済み核燃料集合体26の冷却期間において、水が満たされ、使用済み核燃料集合体26から放射される中性子を減速させ、空隙部24内の中性子吸収材27による中性子吸収を効率的に行わせる。これによって、セル25内に収納された使用済み核燃料集合体6間における未臨界を担保するための距離を保持することができる。
【0050】
また、中性子吸収材27は、セル25内ではなく、空隙部24内に貼り付けられるため、セル25内に使用済み核燃料集合体26を挿入する際に、使用済み核燃料26によって中性子吸収材27を損傷することがないので、PWR用キャスクの繰り返し使用においても、中性子吸収材27の中性子吸収能を損なうことがない。
【0051】
なお、実施の形態2における空隙部14を形成する溝部13に中性子吸収材27と同様な中性子吸収材を貼り付けるようにしてもよい。この場合、空隙部14の断面形状を、半円形状でなく、矩形とすることによって、中性子吸収材の貼り付けが容易になる。
【0052】
この実施の形態3によれば、中性子吸収材を角パイプ22内に添加するのではなく、角パイプ22の溝部23の底部に中性子吸収材27を貼り付けるようにしているので、中性子吸収材27の損傷がないため、PWR用キャスクの繰り返し使用によっても中性子吸収能が損なわれることがなく、かつ、中性子吸収材を添加した角パイプの形成に比して角パイプの形成が容易となる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかるPWR用バスケット(請求項1)および角パイプ(請求項3)によれば、使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形した角パイプをキャビティ内に挿入し、径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成し、中性子の減速および吸収によって未臨界を担保する距離を確保し、角パイプの接合部分において伝熱性を確保しているので、簡易な構成によって伝熱性と未臨界性とを確保することができ、かつ角パイプの形成およびバスケットの形成にかかる時間と労力とを軽減することができ、さらにはバスケット強度を高めることができるという効果を奏する。
また、角パイプを押出加工によって形成し、各種の機械加工にかかる処理を削減しているので、角パイプの製造にかかる時間と労力とを格段に削減することができるという効果を奏する。
【0055】
また、この発明にかかるPWR用バスケット(請求項)および角パイプ(請求項)によれば、一つの外部壁面に複数の溝部を設け、角パイプの隣接配置によるバスケット形成時における角パイプ間の接合箇所を多くするようにしているので、バスケット強度および伝熱性を一層高めることができるという効果を奏する。
【0057】
また、この発明にかかるPWR用バスケットによれば、角パイプは、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金によって構成するようにしているので、中性子吸収能を有する角パイプの製造にかかる時間と労力とを格段に削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1であるPWR用バスケットの径方向断面の一部を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1であるPWR用バスケットの製造方法を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2であるPWR用バスケットの径方向断面の一部を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態3であるPWR用バスケットの径方向断面の一部を示す図である。
【図5】従来のキャスクの斜視図である。
【図6】図5に示した従来のキャスクの軸方向断面図である。
【図7】図5に示した従来のキャスクの径方向断面図である。
【図8】従来のPWR用バスケットの径方向断面図である。
【図9】図8に示したPWR用バスケットのA−A線断面の一部を示す図である。
【図10】従来のPWR用バスケットの一部組立斜視図である。
【符号の説明】
1,11,21 バスケット
2,12,22 角パイプ
3,13,23 溝部
4,14,24 空隙部
5,15,25 セル
6,16,26 使用済み核燃料集合体
7,17,27 角部
27 中性子吸収材

Claims (4)

  1. 外周に中性子遮蔽体を有し且つγ線の遮蔽を行う胴本体のキャビティ内に、中性子吸収能と熱伝導性とを持たせて使用済み核燃料集合体の収納を行うPWR用バスケットにおいて、
    前記使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形した角パイプをキャビティ内に挿入し、径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成することを特徴とするPWR用バスケット。
  2. 前記溝部は、一つの外部壁面に複数設けたことを特徴とする請求項1に記載のPWR用バスケット。
  3. 使用済み核燃料集合体が挿入可能な矩形の内部断面形状をもつとともに長手方向の外部壁面に溝部を、外部四隅壁面にそれぞれ突起する角部を有するように、AlまたはAl合金粉末に中性子吸収性能をもつBまたはB化合物の粉末を添加した混合粉末を粉末成形し、該粉末成形されたアルミニウム合金一体押出成形、複数を径方向に相互に隣接させた状態において前記角部同士を接合し、前記溝部同士が互いに向かい合うことでウォーターゾーンとしての空隙部を形成可能であることを特徴とする角パイプ。
  4. 前記溝部は、一つの外部壁面に複数設けたことを特徴とする請求項3記載の角パイプ。
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