上述した特許文献1に記載されたキャスク用バスケットは、複数重ねた板状ブロックに複数の燃料挿入穴と挿入スリットとを貫通成形したものであり、必要な剛性を確保することができる。しかし、板状ブロックに燃料挿入穴と挿入スリットを別々に形成しなければならず加工コストが増加してしまう。また、特許文献2に記載された放射性物質の受容装置は、中心円筒形孔を有するエレメントを複数固定したものでるが、中性子吸収材を別途設けなければならない。また、特許文献3に記載された放射性物質貯蔵用ケージは、複数の管の間にクロスピース(中性子吸収材)が配置されており、複数の管同士が接触していないことから全体の剛性が不十分となる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、十分な剛性を確保する一方で製造コストの増加を抑制可能とする放射性物質収納用バスケット及び放射性物質収納容器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の放射性物質収納用バスケットは、バスケット本体と、前記バスケット本体に互いに平行をなして所定間隔で形成される複数の放射性物質収納孔と、前記複数の放射性物質収納孔の内面に沿って配置される複数の中性子吸収材と、を有することを特徴とするものである。
従って、バスケット本体に複数の放射性物質収納孔を容易に形成することができ、各放射性物質収納孔に中性子吸収材を挿入することで、この中性子吸収材の内側に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができ、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記放射性物質収納孔は円形断面を有し、前記中性子吸収材は円筒形状をなすことを特徴としている。
従って、放射性物質収納孔を円形断面とし、中性子吸収材を円筒形状とすることで、加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記放射性物質収納孔は円形断面を有し、前記中性子吸収材は周方向における端部に切欠部を有する円環形断面をなすことを特徴としている。
従って、放射性物質収納孔を円形断面とし、板材を湾曲加工して中性子吸収材を形成することで、加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記中性子吸収材は周方向における端部が厚さ方向に重ねて配置されることを特徴としている。
従って、放射性物質収納孔内で、中性子吸収材の周方向における端部を重ねて配置することで、中性子吸収材の内側に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記中性子吸収材は、前記放射性物質収納孔の内面に圧着されることを特徴としている。
従って、中性子吸収材を放射性物質収納孔の内面に圧着することで、中性子吸収材の脱落を防止することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、複数の前記放射性物質収納孔が千鳥状に配列されることを特徴としている。
従って、複数の放射性物質収納孔が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記バスケット本体は、所定厚さの板材が複数積み重ねられ、固定部材により一体に固定されて構成され、前記放射性物質収納孔が前記複数の板材を貫通して形成されることを特徴としている。
従って、板材を複数積み重ねてバスケット本体を構成することで、部品コストを抑制することができると共に、放射性物質収納孔などの加工性を向上して加工コストの増加を抑制することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記バスケット本体は、内側に前記放射性物質収納孔が形成された複数の筒状部材が束ねられて構成されることを特徴としている。
従って、放射性物質収納孔が形成された筒状部材を束ねてバスケット本体を構成することで、加工性を向上して加工コストの増加を抑制することができる。
また、本発明の放射性物質収納用バスケットは、内側に放射性物質収納孔が形成された複数の筒状部材が束ねられて形成されるバスケット本体と、前記複数の筒状部材の外周部同士が当接して位置決めされる位置決め部と、前記複数の筒状部材の間に介装される複数の中性子吸収材と、を有することを特徴とするものである。
従って、バスケット本体に複数の放射性物質収納孔を容易に形成することができ、各筒状部材の外周部の位置決め部同士を当接して位置決めし、中性子吸収材を介装することで、この中性子吸収材の内側に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができ、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記筒状部材は、外周部が多角形状をなし、外周面における平面部または角部に前記位置決め部が形成され、前記位置決め部の間に前記中性子吸収材が配置されることを特徴としている。
従って、筒状部材の外周部に複数の位置決め部が配置されることで、バスケット本体における十分な剛性を確保することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記筒状部材は、外周部が多角形状をなし、長手方向における各端部に前記位置決め部が形成され、前記位置決め部の間に前記中性子吸収材が配置されることを特徴としている。
従って、筒状部材の各端部に位置決め部を形成することで、中性子吸収材の構成を簡素化して低コスト化することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、前記放射性物質収納孔は円形断面を有することを特徴としている。
従って、放射性物質収納孔を円形断面とすることで、加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットでは、複数の前記放射性物質収納孔が千鳥状に配列されることを特徴としている。
従って、複数の放射性物質収納孔が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
また、本発明の放射性物質収納容器は、一方に開口部が形成されて他方に閉塞部が形成されて筒形状をなす胴部と、前記開口部を閉塞するように前記胴部に対して着脱可能な蓋部と、前記胴部内に収容される前記放射性物質収納用バスケットと、を有することを特徴とするものである。
従って、放射性物質収納用バスケットにおける十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができ、放射性物質収納容器の製造コストを低減することができる。
本発明の放射性物質収納用バスケットによれば、バスケット本体に複数の放射性物質収納孔を形成し、各放射性物質収納孔の内面に沿って中性子吸収材を配置するので、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
また、本発明の放射性物質収納用バスケットによれば、放射性物質収納孔が形成された複数の筒状部材を束ねてバスケット本体を構成し、各筒状部材の外周部同士が当接して位置決めされる位置決め部と、各筒状部材の間に介装される中性子吸収材とを設けるので、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
また、本発明の放射性物質収納容器によれば、放射性物質収納用バスケットの構成により、バスケットにおける十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができ、放射性物質収納容器の製造コストを低減することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る放射性物質収納用バスケット及び放射性物質収納容器の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の実施例1に係る放射性物質収納容器としてのキャスクを表す縦断面図、図2は、実施例1の放射性物質収納用バスケットの一部切欠正面図、図3は、実施例1の放射性物質収納用バスケットの平面図、図4−1は、実施例1の放射性物質収納用バスケットに形成された収納用孔及び中性子吸収材の概略図、図4−2から図4−4は、別の収納用孔及び中性子吸収材の概略図である。
実施例1において、図1に示すように、放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13とバスケット(放射性物質収納用バスケット)14とから構成されている。胴部12は、胴本体21の一方、つまり、上部に開口部22が形成され、他方、つまり、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしており、内部に放射性物質(例えば、使用済燃料集合体)を収納可能となっている。即ち、この胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面がバスケット14の外周形状に合わせた形状となっている。このバスケット14は、複数の使用済燃料集合体(図示略)を収納するセルを有している。そして、胴本体21は、下部に底部23が溶接により結合されており、この胴本体21及び底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっているが、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、球状黒鉛鋳鉄や炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の隙間を開けて外筒25が配設されており、胴本体21の外周面と外筒25の内周面との間に、熱伝導を行う銅製の伝熱フィン(図示略)が周方向に等間隔で複数溶接されている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒25との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(第2中性子遮蔽体)26が流動状態で図示しないパイプ等を介して注入され、固化されている。
また、胴部12は、底部23の下側に複数の連結板27により所定の隙間を開けて底板28が連結されており、この連結板27と底板28との空間部にレジン(中性子遮蔽体)29が設けられている。更に、胴部12は、外周部における所定の位置にトラニオン30が固定されている。
胴部12における胴本体21の開口部22を閉塞する蓋部13は、一次蓋部31と二次蓋部32によって構成されている。一次蓋部31は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼からなる円盤形状である。また、二次蓋部32も、ステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状であるが、その上面にレジン(中性子遮蔽体)33が封入されている。この一次蓋部31及び二次蓋部32は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト(図示略)により胴本体21の上端部に着脱自在に取付けられている。この場合、一次蓋部31及び二次蓋部32と胴本体21との間に、それぞれ図示しない金属ガスケットが介装され、内部の密封性を確保している。また、蓋部13の周囲には、レジンを封入した補助遮蔽体34が設けられる場合もある。
ここで、バスケット14について詳細に説明する。このバスケット14は、図2から図4−1に示すように、バスケット本体41と、複数の放射性物質収納孔42と、複数の中性子吸収材43とを有する。
バスケット本体41は、所定厚さの円板形状をなす板材51が複数積み重ねられて構成されている。そして、各板材51は、複数(本実施例では、4個)の貫通孔52が形成され、固定部材としての固定ロッド53が貫通し、各端部に固定ナット54が螺合することで、一体に固定されている。また、各板材51は、連結部材55により互いに位置決めされると共に連結されている。なお、この板材51は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。
複数の放射性物質収納孔42は、バスケット本体41に互いに平行をなして所定間隔で形成されている。本実施例にて、複数の放射性物質収納孔42は、千鳥状に配列するように形成されている。この放射性物質収納孔42は、複数の板材51が積み重ねられた状態で、各板材51を貫通するように形成されており、全て同じ円形断面形状となっている。
即ち、バスケット本体41は、所定厚さの複数の板材51を積み重ね、各板材51を連結部材55により位置決め連結し、固定ロッド53及び固定ナット54により一体に固定することで構成される。そして、例えば、切削工具により複数の板材51を貫通するように孔加工をおこなうことで、複数の放射性物質収納孔42を千鳥状に形成する。
複数の中性子吸収材43は、複数の放射性物質収納孔42の内面に沿って配置されている。この中性子吸収材43は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の粉末に中性子吸収性能をもつボロンまたはボロン化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されている。なお、中性子吸収材としては、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。
中性子吸収材43は、円筒形状をなしている。この中性子吸収材43は、例えば、押し出し成形により形成され、外径が放射性物質収納孔42の内径より少し小さい寸法に設定されている。そして、中性子吸収材43は、放射性物質収納孔42内に挿入され、溶接またはネジ止めなどの方法により固定される。なお、中性子吸収材43を、外径が放射性物質収納孔42の内径より少し大きい寸法に設定し、圧入または冷やしばめにより放射性物質収納孔42内面に圧着して固定してもよい。また、中性子吸収材43は、押し出し成形ではなく、所定厚さの板材を円環状に曲げ加工し、周方向における端部を溶接により連結することで円筒形状としてもよい。
なお、この中性子吸収材43は、円筒形状に限定されるものではない。例えば、図4−2に示すように、中性子吸収材44は、周方向における端部44a,44bに切欠部44cを有するC型円環形断面をなしている。この中性子吸収材44は、所定厚さの板材を円環状に曲げ加工して形成されている。中性子吸収材44は、中性子吸収材43と同様に、放射性物質収納孔42内に挿入して溶接などの方法により放射性物質収納孔42内に固定してもよいし、圧入または冷やしばめにより放射性物質収納孔42内に固定してもよい。また、中性子吸収材44を、外径が放射性物質収納孔42の内径より少し大きい寸法に設定し、スプリングバックにより放射性物質収納孔42内に圧着して固定してもよい。また、中性子吸収材44は、切欠部44cを複数として複数に分割された円弧断面を集合して円筒形状に構成されるものであってもよい。
また、図4−3に示すように、中性子吸収材45は、周方向における端部に対向する傾斜面45a,45bが形成されたC型円環形断面をなしている。中性子吸収材45は、外径が放射性物質収納孔42の内径より少し大きい寸法に設定し、スプリングバックにより放射性物質収納孔42内に圧着して固定される。このとき、中性子吸収材45は、2つの傾斜面45a,45bが厚さ方向に重ねて配置される。また、中性子吸収材45は、周方向における端部に対向する傾斜面45a,45bが形成されて複数に分割された円弧断面を集合して円筒形状に構成されるものであってもよい。
また、図4−4に示すように、中性子吸収材46は、周方向における端部に対向する段付き部46a,46bが形成されたC型円環形断面をなしている。中性子吸収材46は、外径が放射性物質収納孔42の内径より少し大きい寸法に設定し、スプリングバックにより放射性物質収納孔42内に圧着して固定される。このとき、中性子吸収材46は、2つの段付き部46a,46bが厚さ方向に重ねて配置される。また、中性子吸収材46は、周方向における端部に対向する段付き部46a,46bが形成されて複数に分割された円弧断面を集合して円筒形状に構成されるものであってもよい。
このように構成されたバスケット14は、図1に示すように、キャスク11を構成する胴部12内に配置される。即ち、胴部12は、内部に内周面が円形状をなすキャビティ24が形成され、バスケット14は、このキャビティ24に嵌合するように配置される。このとき、バスケット14は、キャビティ24に対して位置決め部材(図示略)により位置決めされ、回り止めが施される。そして、バスケット14は、セルとして複数の放射性物質収納孔42が形成され、内部に中性子吸収材43(44,45,46)が挿入されていることから、複数の使用済燃料集合体をこの放射性物質収納孔42(中性子吸収材43)に収納することができる。その後、胴部12は、開口部22に蓋部13が固定されることで、複数の使用済燃料集合体がキャスク11内に密封されることとなる。
このように実施例1のバスケット14にあっては、バスケット本体41と、バスケット本体41に互いに平行をなして所定間隔で形成される複数の放射性物質収納孔42と、複数の放射性物質収納孔42の内面に沿って配置される複数の中性子吸収材43,44,45,46とを設けている。
従って、バスケット本体41が構造体であることから、このバスケット本体41に複数の放射性物質収納孔42を容易に形成することができる。そして、各放射性物質収納孔42内に中性子吸収材43を挿入することで、この中性子吸収材43の内側に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができる。その結果、バスケット14の十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
実施例1のバスケット14では、放射性物質収納孔42を円形断面形状とし、中性子吸収材43を円筒形状としている。従って、放射性物質収納孔42を円形断面形状とすることで、回転切削工具により放射性物質収納孔42を形成することができ、加工を容易として加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。また、中性子吸収材43を円筒形状とすることで、押し出し加工により形成することで、加工を容易として加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。
実施例1のバスケット14では、放射性物質収納孔42は円形断面形状とし、中性子吸収材44を周方向における端部に切欠部44cを有する円環形断面としている。従って、板材を曲げ加工して中性子吸収材44を形成することで、加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。
実施例1のバスケット14では、中性子吸収材45,46の周方向における端部(傾斜面45a,45b、段付き部46a,46b)を厚さ方向に重ねて配置している。従って、放射性物質収納孔42内で、中性子吸収材45,46の端部(傾斜面45a,45b、段付き部46a,46b)を重ねて配置することで、中性子吸収材45,46の内側に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができる。
実施例1のバスケット14では、中性子吸収材43,44,45,46を放射性物質収納孔42の内面に圧着している。従って、中性子吸収材43,44,45,46が放射性物質収納孔42の内面に圧着されることで、中性子吸収材43,44,45,46の脱落を防止することができ、キャスク11内への組付を容易に行うことができる。
実施例1のバスケット14では、複数の放射性物質収納孔42を千鳥状に配列している。従って、複数の放射性物質収納孔42が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔42をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
実施例1のバスケット14では、所定厚さの板材51を複数積み重ねて固定ロッド53及び固定ナット54により一体に固定してバスケット本体41を構成し、放射性物質収納孔42を複数の板材51を貫通して形成している。従って、板材51を複数積み重ねてバスケット本体41を構成することで、部品コストを抑制することができると共に、放射性物質収納孔42などの加工性を向上して加工コストの増加を抑制することができる。
また、実施例1のキャスク11にあっては、一方に開口部22が形成されて他方に底部23が形成されて筒形状をなす胴部12と、開口部22を閉塞するように胴部12に対して着脱可能な蓋部13と、胴部12内に収容されるバスケット14とを有している。従って、バスケット14における十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができ、放射性物質収納容器の製造コストを低減することができる。
なお、この実施例1にて、放射性物質収納孔42を円形断面形状としたが、この形状に限るものではなく、四角断面形状など多角形断面形状としてもよい。また、板材51を複数積み重ねてバスケット本体41を構成したが、この構成に限るものではなく、円柱ブロック形状としてもよい。
図5は、本発明の実施例2に係る放射性物質収納容器としてのキャスクを表す縦断面図、図6は、実施例2の放射性物質収納用バスケットの平面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2において、図5及び図6に示すように、キャスク11は、胴部12と蓋部13とバスケット(放射性物質収納用バスケット)60とから構成されている。ここで、胴部12と蓋部13は、実施例1と同様の構成をなすことから説明は省略する。
バスケット60は、バスケット本体61と、複数の放射性物質収納孔62と、複数の中性子吸収材63とを有する。
バスケット本体61は、複数の筒状部材64が束ねられて構成されている。この筒状部材64は、外周部が六角形状をなし、内側に放射性物質収納孔62が形成されて構成されている。この複数の筒状部材64は、平面視が正六角形をなし、6個の外周面64aが互いに隙間なく接触した状態で、図示しないバンド部材などにより固定される。このバスケット本体61は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。
正六角形をなす複数の筒状部材64が隙間なく接触した状態で固定されることで、複数の放射性物質収納孔62は、バスケット本体61に互いに平行をなして所定間隔で形成され、各放射性物質収納孔62内に中性子吸収材63が配置される。本実施例にて、複数の放射性物質収納孔62は、全て同じ円形断面形状となし、千鳥状に配列するように形成されている。従って、複数の放射性物質収納孔62が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔62をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
複数の中性子吸収材63は、複数の放射性物質収納孔62の内面に沿って配置されている。この中性子吸収材63は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の粉末に中性子吸収性能をもつボロンまたはボロン化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されている。なお、中性子吸収材としては、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。
なお、中性子吸収材63は、円筒形状(円環形状)をなしているが、前述の実施例1で説明した中性子吸収材43,44,45,46を適用してもよい。
このように構成されたバスケット60は、キャスク11を構成する胴部12内に配置される。即ち、胴部12は、内部に内周面が円形状をなすキャビティ24が形成され、バスケット60は、このキャビティ24に嵌合するように配置される。このとき、バスケット60は、正六角形をなす複数の筒状部材64が束ねられて構成されていることから、外周部に図示しないスペーサを固定することで、キャビティ24に嵌合可能としている。そして、バスケット60は、セルとして複数の放射性物質収納孔62が形成され、内部に中性子吸収材63が挿入されていることから、複数の使用済燃料集合体をこの放射性物質収納孔62(中性子吸収材63)に収納することができる。その後、胴部12は、開口部22に蓋部13が固定されることで、複数の使用済燃料集合体がキャスク11内に密封されることとなる。
このように実施例2のバスケット60にあっては、内側に放射性物質収納孔62が形成された複数の筒状部材64を束ねてバスケット本体61を構成し、複数の放射性物質収納孔62の内面に沿って中性子吸収材63をそれぞれ配置している。
従って、バスケット本体61が複数の筒状部材64からなることから、このバスケット本体61に複数の放射性物質収納孔62を容易に確保することができる。そして、各放射性物質収納孔62内に中性子吸収材63を挿入することで、この中性子吸収材63の内側に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができる。その結果、バスケット60の十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
図7は、実施例3の放射性物質収納用バスケットの平面図である。
実施例3において、図7に示すように、バスケット70は、バスケット本体71と、複数の放射性物質収納孔72と、複数の中性子吸収材73とを有する。
バスケット本体71は、複数の筒状部材74が束ねられて構成されている。この筒状部材74は、外周部が六角形状をなし、内側に放射性物質収納孔72が形成されて構成されている。この複数の筒状部材74は、平面視が正六角形をなし、外周部に隣接する同士が当接して位置決めされる位置決め部74aが形成されている。即ち、筒状部材74は、6個の外周面における平面部の周方向の中央部に位置決め部74aが形成されると共に、この位置決め部74aの両側の角部側に凹部74bが形成されている。そして、複数の筒状部材74は、6個の位置決め部74aが互いに隙間なく接触した状態で、図示しないバンド部材などにより固定される。このバスケット本体71は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。
中性子吸収材73は、3個の板材の端部が集合して連結された形状をなし、複数の筒状部材74の間に介装される。即ち、この中性子吸収材73は、複数の筒状部材74が固定されることで形成された隙間、即ち、複数の凹部74bにより形成された隙間に配置される。この場合、2個の筒状部材74が隣接する外周面における周方向の中間位置に位置決め部74aが配置され、この位置決め部74aの両側に中性子吸収材73が配置される。この場合、中性子吸収材73は、3個の板材の端部が集合して連結せずに、板材を複数の筒状部材74の間に介装してもよい。
正六角形をなす複数の筒状部材74が隙間なく接触した状態で固定されることで、複数の放射性物質収納孔72は、バスケット本体71に互いに平行をなして所定間隔で形成され、各放射性物質収納孔72の間、つまり、隣接する筒状部材74の間に中性子吸収材73が配置される。本実施例にて、複数の放射性物質収納孔72は、全て同じ円形断面形状となし、千鳥状に配列するように形成されている。従って、複数の放射性物質収納孔72が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔72をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
複数の中性子吸収材73は、複数の放射性物質収納孔72の間に配置されている。この中性子吸収材73は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の粉末に中性子吸収性能をもつボロンまたはボロン化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されている。なお、中性子吸収材としては、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。
このように実施例3のバスケット70にあっては、内側に放射性物質収納孔72が形成された複数の筒状部材74が束ねられて形成されるバスケット本体71と、複数の筒状部材74の外周部同士が当接して位置決めされる位置決め部74aと、複数の筒状部材74の間に介装される複数の中性子吸収材73とを設けている。
従って、バスケット本体71が複数の筒状部材74からなることから、このバスケット本体71に複数の放射性物質収納孔72を容易に確保することができる。そして、各筒状部材74は、外周部に形成された位置決め部74a同士を当接して位置決めすることで、バスケット本体71の剛性を確保することができ、各筒状部材74の間に中性子吸収材73を介装することで、放射性物質収納孔72に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができ、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
実施例3のバスケット70では、筒状部材74の外周部を多角形状とし、外周面における平面部に位置決め部74aを形成し、その両側に中性子吸収材73を配置している。従って、筒状部材74同士が各位置決め部74aにより接触して位置決めされることから、バスケット本体71における十分な剛性を確保することができる。
実施例3のバスケット70では、放射性物質収納孔72は円形断面としている。従って、回転切削工具により放射性物質収納孔72を形成することができ、加工を容易として加工性を向上することができ、加工コストを低減することができる。
図8は、実施例4の放射性物質収納用バスケットの平面図である。
実施例4において、図8に示すように、バスケット80は、バスケット本体81と、複数の放射性物質収納孔82と、複数の中性子吸収材83とを有する。
バスケット本体81は、複数の筒状部材84が束ねられて構成されている。この筒状部材84は、外周部が六角形状をなし、内側に放射性物質収納孔82が形成されて構成されている。この複数の筒状部材84は、平面視が正六角形をなし、外周部に隣接する同士が当接して位置決めされる位置決め部84aが形成されている。即ち、筒状部材84は、6個の外周面における角部に位置決め部84aが形成されると共に、この位置決め部84aの間に凹部84bが形成されている。そして、複数の筒状部材84は、6個の位置決め部84aが互いに隙間なく接触した状態で、図示しないバンド部材などにより固定される。このバスケット本体81は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。
中性子吸収材83は、板形状をなし、複数の筒状部材84の間に介装される。即ち、この中性子吸収材83は、複数の筒状部材84が固定されることで形成された隙間、即ち、複数の凹部84bにより形成された隙間に配置される。この場合、2個の筒状部材84が隣接する外周面における周方向の中間位置に中性子吸収材83が配置され、この中性子吸収材83の両側に位置決め部84aが配置される。
正六角形をなす複数の筒状部材84が隙間なく接触した状態で固定されることで、複数の放射性物質収納孔82は、バスケット本体81に互いに平行をなして所定間隔で形成され、各放射性物質収納孔82の間、つまり、隣接する筒状部材84の間に中性子吸収材83が配置される。本実施例にて、複数の放射性物質収納孔82は、全て同じ円形断面形状となし、千鳥状に配列するように形成されている。従って、複数の放射性物質収納孔82が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔82をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
複数の中性子吸収材83は、複数の放射性物質収納孔82の間に配置されている。この中性子吸収材83は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の粉末に中性子吸収性能をもつボロンまたはボロン化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されている。なお、中性子吸収材としては、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。
このように実施例4のバスケット80にあっては、内側に放射性物質収納孔82が形成された複数の筒状部材84が束ねられて形成されるバスケット本体81と、複数の筒状部材84の外周部同士が当接して位置決めされる位置決め部84aと、複数の筒状部材84の間に介装される複数の中性子吸収材83とを設けている。
従って、バスケット本体81が複数の筒状部材84からなることから、このバスケット本体81に複数の放射性物質収納孔82を容易に確保することができる。そして、各筒状部材84は、外周部に形成された位置決め部84a同士を当接して位置決めすることで、バスケット本体81の剛性を確保することができ、各筒状部材84の間に中性子吸収材83を介装することで、放射性物質収納孔82に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができ、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
実施例4のバスケット80では、筒状部材84の外周部を多角形状とし、外周面における角部に位置決め部84aを形成し、その両側に中性子吸収材83を配置している。従って、筒状部材84同士が各位置決め部84aにより接触して位置決めされることから、バスケット本体81における十分な剛性を確保することができる。
図9は、実施例5の放射性物質収納用バスケットの一部を表す斜視図、図10は、実施例5の放射性物質収納用バスケットの平面図、図11は、実施例5の放射性物質収納用バスケットの水平断面図である。
実施例5において、図9から図11に示すように、バスケット90は、バスケット本体91と、複数の放射性物質収納孔92と、複数の中性子吸収材93とを有する。
バスケット本体91は、複数の筒状部材94が束ねられて構成されている。この筒状部材94は、外周部が六角形状をなし、内側に放射性物質収納孔92が形成されて構成されている。この複数の筒状部材94は、平面視が正六角形をなし、外周部に隣接する同士が当接して位置決めされる位置決め部94aが形成されている。即ち、筒状部材94は、長手方向における上下の各端部に位置決め部94aがそれぞれ形成され、上下の位置決め部94aの間に凹部94bが形成されている。そして、複数の筒状部材94は、上下の端部にある6個の位置決め部94aが互いに隙間なく接触した状態で、図示しないバンド部材などにより固定される。このバスケット本体91は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。
中性子吸収材93は、板形状をなし、複数の筒状部材94の間に介装される。即ち、この中性子吸収材93は、複数の筒状部材94が固定されることで形成された隙間、即ち、複数の凹部94bにより形成された隙間に配置される。この場合、2個の筒状部材94が隣接する外周面における上下の中間位置に中性子吸収材93が配置される。
正六角形をなす複数の筒状部材94が隙間なく接触した状態で固定されることで、複数の放射性物質収納孔92は、バスケット本体91に互いに平行をなして所定間隔で形成され、各放射性物質収納孔92の間、つまり、隣接する筒状部材94の間に中性子吸収材93が配置される。本実施例にて、複数の放射性物質収納孔92は、全て同じ円形断面形状となし、千鳥状に配列するように形成されている。従って、複数の放射性物質収納孔92が千鳥状に配列されることで、隣接する放射性物質収納孔92をより近づけて配置できるため、放射性物質の収納効率を向上することができる。
複数の中性子吸収材93は、複数の放射性物質収納孔92の間に配置されている。この中性子吸収材93は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の粉末に中性子吸収性能をもつボロンまたはボロン化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されている。なお、中性子吸収材としては、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。
このように実施例5のバスケット90にあっては、内側に放射性物質収納孔92が形成された複数の筒状部材94が束ねられて形成されるバスケット本体91と、複数の筒状部材94の外周部同士が当接して位置決めされる位置決め部94aと、複数の筒状部材94の間に介装される複数の中性子吸収材93とを設けている。
従って、バスケット本体91が複数の筒状部材94からなることから、このバスケット本体91に複数の放射性物質収納孔92を容易に確保することができる。そして、各筒状部材94は、外周部に形成された位置決め部94a同士を当接して位置決めすることで、バスケット本体91の剛性を確保することができ、各筒状部材94の間に中性子吸収材93を介装することで、放射性物質収納孔92に挿入される放射性物質から放出される中性子を適正に吸収することができ、十分な剛性を確保することができる一方で、製造コストの増加を抑制することができる。
実施例5のバスケット90では、筒状部材94の外周部を多角形状とし、長手方向における各端部に位置決め部94aを形成し、その間の中間部に中性子吸収材93を配置している。従って、筒状部材94同士が各位置決め部94aにより接触して位置決めされることから、バスケット本体91における十分な剛性を確保することができる。
なお、上述した実施例2−5にて、筒状部材64,74,84,94の外周部を六角形としたが、この形状に限るものではなく、四角断面形状など多角形断面形状としてもよい。
また、上述した各実施例では、放射性物質収納孔42,62,72,82,92を円形断面形状としたが、この形状に限るものではなく、四角断面形状など多角形断面形状としてもよい。
また、上述した各実施例では、キャスク11を胴部12と蓋部13とバスケット14とから構成したが、この構成に限るものではなく、また、胴部12と蓋部13とバスケット14の構成を実施例に限るものではない。