以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の放射性物質収納容器としてのキャスクの縦断面図、図2は、キャスクの水平断面図、図3は、放射性物質収納用バスケットの組立斜視図である。
第1実施形態において、図1及び図2に示すように、放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13と放射性物質収納用バスケット14とから構成されている。胴部12は、胴本体21の一方、つまり、上部に開口部22が形成され、他方、つまり、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしており、内部に放射性物質(例えば、使用済燃料集合体)を収納可能となっている。すなわち、胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面が放射性物質収納用バスケット14の外周形状に合わせた形状となっている。放射性物質収納用バスケット14は、複数の放射性物質(図示略)を個々に収納するセルを複数有している。放射性物質収納用バスケット14の構成の詳細については後述する。そして、胴本体21は、下部に底部23が溶接により結合されており、この胴本体21及び底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっている。胴本体21及び底部23は、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、胴本体21及び底部23は、球状黒鉛鋳鉄や炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の隙間を空けて外筒25が配設されており、胴本体21の外周面と外筒25の内周面との間に、熱伝達を行う銅製の伝熱フィン25aが周方向に等間隔で複数溶接されている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒25との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(中性子遮蔽体)26が流動状態で図示しないパイプ等を介して注入され、固化されている。
また、胴部12は、底部23の下側に複数の連結板27により所定の隙間を空けて底板28が連結されていてもよく、この連結板27と底板28との空間部にレジン(中性子遮蔽体)29が設けられている。更に、胴部12は、外周部における所定の位置にトラニオン30が固定されている。
胴部12における胴本体21の開口部22を閉塞する蓋部13は、一次蓋部31と二次蓋部32によって構成されている。一次蓋部31は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼からなる円盤形状である。また、二次蓋部32も、ステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状であるが、その内部にレジン(中性子遮蔽体)33が封入されている。この一次蓋部31及び二次蓋部32は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト(図示略)により胴本体21の上端部に着脱自在に取付けられている。この場合、一次蓋部31及び二次蓋部32と胴本体21との間に、それぞれ図示しない金属ガスケットが介装され、内部の密封性を確保している。なお、レジン33は、一次蓋部31の内部に設けられていてもよく、一次蓋部31にのみ設けられていてもよい。また、蓋部13の周囲には、レジンを封入した補助遮蔽体34が設けられる場合もある。
第1実施形態の放射性物質収納用バスケット14は、バスケット本体41を有する。バスケット本体41は、互いに平行かつ所定間隔で配置されるセルとしての放射性物質収納部42が上下方向Aで連続して形成されている。上下方向Aとは、キャスク11において胴部12の円筒形状の中心軸に沿う方向であり、胴本体21の上下方向Aに相当する。
また、放射性物質収納用バスケット14は、バスケット本体41の周囲にサポート部材45が設けられている。サポート部材45は、バスケット本体41の外形をなすもので、胴本体21の内面と接触し、バスケット本体41から胴本体21に熱を伝えるものである。このサポート部材45は、炭素鋼やアルミニウム合金のような熱伝達性の高い材料からなる。また、サポート部材45は、製作を容易とするため上下方向Aや、上下方向Aに直交する横方向に適宜分割されていてもよい。また、サポート部材45は、バスケット本体41に対し、ボルト止めや溶接などにより結合され、バスケット本体41との熱の伝達を良好としている。ボルト止めであれば、修理時などにおいてバスケット本体41とサポート部材45の分解組み立てが容易である。
バスケット本体41は、図3に示すように、複数の板材43を、上下方向Aで積み重ねて立設させると共に、複数の板材43を積み重ね方向と直交する横方向で交差して組み合わせて形成されている。これにより、バスケット本体41は、横方向に平行かつ所定間隔で上下方向Aに延在する複数の放射性物質収納部42を区画形成する。また、バスケット本体41は、板材43が、強度部材となる剛板材(第1の板材)51と、機能性部材となる機能性板材(第2の板材)52とを板厚方向に重ね合わせて構成されている。なお、機能性部材とは、中性子吸収性または剛板材(第1の板材)51以上の熱伝導性のいずれか1つ以上の機能を有するものである。但し、機能性板材52は、中性子吸収性または剛板材51より高い熱伝導性のいずれか1つ以上の機能を有するものであることが望ましい。この各板材51,52は、上端部及び下端部に切欠部53,54がそれぞれ設けられており、横方向で交差する相互の切欠部53,54を嵌合させるようにして組み合わされている。そのため、上下に積み重ねられる各板材43は、その間に横方向で交差する各板材43が挿入されるように組み合わされる。
このとき、板材43(剛板材51、機能性板材52)は、各切欠部53,54が嵌合して組み立てられるため、この切欠部53,54への挿入により剛板材51と機能性板材52との重ね合わせを接着することなく保持することができる。そして、各切欠部53,54は、上下に積み重ねられる各板材43(剛板材51、機能性板材52)同士の上端と下端とが当接し合うように、上下方向Aの寸法が設定されている。
なお、バスケット本体41は、複数の板材43を積み重ね方向と直交する横方向で交差して組み合わせて平面視が矩形状の格子状に形成された形態を示している。これに限らず、例えば、バスケット本体41は、複数の板材43を積み重ね方向と直交する横方向で交差して組み合わせて平面視が三角形状などの矩形状以外に形成されていてもよい。
また、剛板材51は、炭素鋼、ステンレス鋼またはアルミニウム合金からなる。また、機能性板材52は、中性子吸収材として炭化ホウ素を含むセラミック層をステンレス鋼板またはアルミニウム合金板で包んだ構成である。また、機能性板材52は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の中性子吸収材としてボロン、またはボロン化合物を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されてもよい。なお、機能性板材52は、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。また、機能性板材52は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の他にステンレス鋼を用いることができる。
ここで、バスケット本体41について詳細に説明する。図4は、放射性物質収納用バスケットの一部を表す平面図、図5は、放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す図4のV−V断面図、図6は、放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す図4のVI−VI断面図、図7は、放射性物質収納用バスケットにおける剛板材と機能性板材の分解斜視図、図8は、放射性物質収納用バスケットにおける上下の板材の分解斜視図である。
バスケット本体41は、前述したように、複数の板材43を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置し、互いの切欠部53,54を介して組付けることで、複数の放射性物質収納部42を区画形成している。そして、この板材43は、剛板材51と機能性板材52が板厚方向に重ねられて構成されている。
そして、図4及び図5に示すように、剛板材51に高さ方向に組付けられる剛板材51の板厚方向の移動を規制する規制部が設けられている。この規制部は、剛板材51の切欠部53に形成されて高さ方向に組付けられる剛板材51だけが嵌合可能な第1切欠部55である。また、剛板材51に高さ方向に組付けられる機能性板材52の板厚方向の移動を許容する許容部が設けられている。この許容部は、剛板材51の切欠部53に形成されて剛板材51及び機能性板材52が嵌合可能な第2切欠部56である。
即ち、図7及び図8に示すように、剛板材51は、上端部及び下端部に切欠部53が形成されており、切欠部53は、第1切欠部55と第2切欠部56とから構成されている。切欠部53は、端面から高さ方向に長さL1だけ切り欠かれることで、第1切欠部55が形成され、第1切欠部55は、先端部の幅W1が、剛板材51の幅Waにその両側の嵌合隙間W3(図5参照)が付加されるものとなっている。また、切欠部53は、端面から高さ方向に長さL2だけ切り欠かれると共に第1切欠部55に連続して形成されることで、第2切欠部56が形成され、第2切欠部56は、幅W2が、剛板材51の幅Waにその両側の嵌合隙間W3が付加されると共に、機能性板材52の幅Wbにその片側の移動隙間W4(図5参照)が付加されるものとなっている。
即ち、剛板材51の切欠部53は、第1側面53aに対向して平行をなす第2側面53b及び第3側面53cが形成され、第1側面53aと第2側面53bがこれに直交する第1底面53dにより連結され、第2側面53bと第3側面53cがこれに直交する第2底面53eにより連結されている。そして、第1側面53aと第2側面53bと第1底面53dにより第1切欠部55が形成され、第1側面53aと第3側面53cと第2底面53eにより第2切欠部56が形成されている。
ここで、剛板材51の幅Waは、機能性板材52の幅Wbより大きく(Wa>Wb)設定される。また、第1切欠部55の長さL1は、第2切欠部56の長さL2より大きく(L1>L2)設定される。更に、機能性板材52の移動隙間W4は、剛板材51の嵌合隙間W3より大きく(W4>W3)設定される。
また、機能性板材52は、上端部及び下端部に切欠部54が形成されており、切欠部54は、第1切欠部57と第2切欠部58とから構成されている。切欠部54は、端面から高さ方向に長さL11だけ切り欠かれることで、第1切欠部57が形成され、第1切欠部57は、先端部の幅W11が、剛板材51の幅Waにその両側の嵌合隙間W3(図5参照)が付加されるものとなっている。また、切欠部54は、端面から高さ方向に長さL12だけ切り欠かれると共に第1切欠部57に連続して形成されることで、第2切欠部58が形成され、第2切欠部58は、幅W12が、剛板材51の幅Waにその両側の嵌合隙間W3が付加されると共に、機能性板材52の幅Wbにその片側の移動隙間W4(図5参照)が付加されるものとなっている。
即ち、機能性板材52の切欠部54は、第1側面54aに対向して平行をなす第2側面54b及び第3側面54cが形成され、第1側面54aと第2側面54bがこれに直交する第1底面54dにより連結され、第2側面54bと第3側面54cがこれに直交する第2底面54eにより連結されている。そして、第1側面54aと第2側面54bと第1底面54dにより第1切欠部57が形成され、第1側面54aと第3側面54cと第2底面54eにより第2切欠部58が形成されている。
ここで、第1切欠部57の長さL11は、第2切欠部58の長さL12より大きく(L11>L12)設定される。また、機能性板材52における第1切欠部57の長さL11は、剛板材51における第1切欠部55の長さL1より大きく(L11>L1)設定される。また、機能性板材52における第2切欠部58の長さL12は、剛板材51における第2切欠部56の長さL2より大きく(L12>L2)設定される。
そのため、図5に示すように、剛板材51と機能性板材52が板厚方向に重ねられて板材43が構成され、複数の板材43が板厚方向に所定間隔をあけて配置されると共に、高さ方向に交差するように配置され、複数の板材43における互いの切欠部53,54同士が嵌合することで、バスケット本体41が形成される。このとき、上下方向Aに嵌合する一対の板材43にて、一方の板材43における剛板材51は、他方の板材43における剛板材51の第1切欠部55に嵌合し、一方の板材43における機能性板材52は、他方の板材43における剛板材51の第2切欠部56に嵌合する。
すると、一方の剛板材51は、他方の剛板材51の第1切欠部55に嵌合することで、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)の量だけ移動することができる。また、一方の機能性板材52は、他方の剛板材51の第2切欠部56に嵌合することで、板厚方向に移動隙間W4の量だけ移動することができる。
キャスク11が横倒し状態で落下すると、放射性物質収納用バスケット14に対して横方向の衝撃が作用する。バスケット本体41は、剛板材51と機能性板材52が重ねられた板材43が格子状に組付けられて構成されている。そのため、剛板材51と機能性板材52は、切欠部53,54で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。特に、機能性板材52は、十分な強度を有していないから、板厚方向に圧縮力を受けると、せん断力や圧潰力により破損してしまうおそれがある。
しかし、剛板材51は、高さ方向に交差する第1切欠部55同士が嵌合することで、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)だけ移動可能であるが、機能性板材52は、高さ方向に交差する第2切欠部56同士が嵌合することで、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)より大きい移動隙間W4の量だけ移動可能である。即ち、剛板材51は、第1切欠部55で嵌合する剛板材51により板厚方向の移動量が、移動隙間W4より小さい嵌合隙間W3(2×W3)により規制されている。そのため、剛板材51が放射性物質収納用バスケット14の横倒時に発生する圧縮力を受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材52の破損を抑制することができる。
このように第1実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、複数の板材43を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置し、互いの切欠部を介して組付けることで、複数の放射性物質収納部42を区画形成し、強度部材からなる剛板材51と、中性子吸収体からなる機能性板材52を板厚方向に重ねられて板材43を構成し、剛板材51に高さ方向に組付けられる剛板材51の板厚方向の移動を規制する規制部として第1切欠部55を設けている。
従って、板材43に対して板厚方向に衝撃力が作用すると、高さ方向で交差する一対の板材43の各切欠部53,54に圧縮力が作用する。しかし、剛板材51は、規制部(第1切欠部55)により板厚方向の移動が規制されることから、この圧縮力を受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止する。そのため、機能性板材52の破損を抑制して安全性を向上することができる。
第1実施形態の放射性物質収納用バスケットでは、規制部として、剛板材51の切欠部53に形成されて高さ方向に組付けられる剛板材51だけが嵌合可能な第1切欠部55を設けている。従って、簡単な構成で、剛板材51における板厚方向の移動を規制することができ、高コスト化を抑制しながら機能性板材52への圧縮力の伝達を防止することができる。
第1実施形態の放射性物質収納用バスケットでは、剛板材51に高さ方向に組付けられる機能性板材52の板厚方向の移動を許容する許容部として第2切欠部56を設けている。従って、規制部により剛板材51の板厚方向の移動を規制するとき、許容部(第2切欠部56)により機能性板材52の板厚方向の移動が許容されることで、剛板材51が圧縮力を受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止することができる。
第1実施形態の放射性物質収納用バスケットでは、許容部として、切欠部53に形成されて剛板材51及び機能性板材52が嵌合可能な第2切欠部56を設けている。従って、簡単な構成で、機能性板材52における板厚方向の移動を許容することができ、高コスト化を抑制しながら機能性板材52への圧縮力の伝達を防止することができる。
第1実施形態の放射性物質収納用バスケットでは、第1切欠部55を第2切欠部56より板材43の高さ方向に長く形成している。従って、容易に剛板材51における板厚方向の移動を規制することができる。
第1実施形態の放射性物質収納用バスケットでは、第1切欠部55,57と第2切欠部56,58を剛板材51と機能性板材52に形成し、機能性板材52における第1切欠部57を剛板材51における第1切欠部55より板材43の高さ方向に長く形成している。従って、容易に規制部を構成することができる。
また、第1実施形態の放射性物質収納容器にあっては、筒形状をなして一方に開口部22が形成されて他方に閉塞部が形成される胴部12と、開口部22を閉塞するように胴部12に対して着脱可能な蓋部13と、胴部12内に収容される放射性物質収納用バスケット14とを設けている。
従って、放射性物質収納用バスケット14を構成する板材43を、剛板材51と機能性板材52を板厚方向に重ねて構成し、剛板材51に高さ方向に組付けられる剛板材51の板厚方向の移動を規制する規制部を設けるので、板材43に対する衝撃力を規制部により板厚方向の移動が規制される剛板材51が受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材52の破損を抑制して安全性を向上することができる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図9に示すように、バスケット本体61は、複数の板材43を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置し、互いの切欠部53,54を介して組付けることで、複数の放射性物質収納部42を区画形成している。そして、この板材43は、剛板材51における板厚方向の両側に機能性板材52が重ねられて構成されている。
そして、剛板材51に高さ方向に組付けられる剛板材51の板厚方向の移動を規制する規制部が設けられている。この規制部は、剛板材51の切欠部53に形成されて高さ方向に組付けられる剛板材51だけが嵌合可能な第1切欠部55である。また、剛板材51に高さ方向に組付けられる機能性板材52の板厚方向の移動を許容する許容部が設けられている。この許容部は、剛板材51の切欠部53に形成されて剛板材51及び機能性板材52が嵌合可能な第2切欠部56である。この場合、剛板材51の両側に機能性板材52が重ねられていることから、第1切欠部55の両側に第2切欠部56が形成されている。
なお、剛板材51と機能性板材52にて、各種の寸法は、第1実施形態と同様である。即ち、剛板材51が第1切欠部55に嵌合したときに嵌合隙間が設けられ、剛板材51と機能性板材52が第2切欠部56に嵌合したときに移動隙間が設けられ、機能性板材52の移動隙間は、剛板材51の嵌合隙間より大きく設定される。
バスケット本体61に対して横方向の衝撃力が作用すると、剛板材51と2個の機能性板材52は、切欠部53,54で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。このとき、剛板材51は、高さ方向に交差する剛板材51の第1切欠部55に嵌合し、機能性板材52は、高さ方向に交差する第2切欠部56に嵌合し、板厚方向に移動可能となっている。即ち、剛板材51は、第1切欠部55により板厚方向の移動量が規制されている。そのため、剛板材51が圧縮力を受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材52の破損を抑制することができる。
このように第2実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、剛板材51の両側に機能性板材52を重ねて板材43を構成している。機能性板材52により中性子吸収機能を高めることができると共に、剛板材51により横方向の圧縮力を受け止めて機能性板材52の破損を抑制することができる。
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す断面図、図11は、放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す図10のXI−XI断面図、図12は、放射性物質収納用バスケットにおける板材の分解斜視図である。
第3実施形態において、図10及び図11に示すように、バスケット本体71は、複数の板材72を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置して組付けることで、複数の放射性物質収納部を区画形成している。この板材72は、剛板材(第1の板材)73に機能性板材(第2の板材)74が重ねられて構成され、互いの切欠部75,76を介して組付けられている。
そして、剛板材73に高さ方向に組付けられる剛板材73の板厚方向の移動を規制する規制部が設けられている。この規制部は、剛板材73に設けられて高さ方向に組付けられる剛板材73の切欠部75に当接可能な突起部77であり、この突起部77は、剛板材73の高さ方向における中間位置に設けられている。また、剛板材73に高さ方向に組付けられる機能性板材74の板厚方向の移動を許容する許容部が設けられている。この許容部は、剛板材73及び機能性板材74に形成されて剛板材73及び機能性板材74が嵌合可能な切欠部75,76である。
即ち、図12に示すように、剛板材73は、上端部及び下端部に切欠部75が形成されると共に、上下の切欠部75の中間位置にねじ穴81が形成されている。機能性板材74は、上端部及び下端部に切欠部76が形成されると共に、上下の切欠部76の中間位置に矩形状をなす貫通孔82が形成されている。突起部77を構成するブロック83は、貫通孔82に貫通可能な直方体形状をなし、取付孔84が形成されている。そして、固定ねじ85がブロック83の貫通孔84を貫通してねじ穴81に螺合することで、ブロック83が剛板材73に固定される。このとき、固定ねじ85は、ブロック83の貫通孔84内に入り込み、ブロック83の表面に突出することはない。ここで、ブロック83の厚さは、機能性板材74の厚さより大きく、且つ、各切欠部75,76の幅より小さい寸法に設定されている。
そのため、図10及び図11に示すように、剛板材73と機能性板材74からなる複数の板材72が高さ方向に交差するように組付けられたとき、剛板材73と機能性板材74は、各切欠部75,76同士が嵌合する。このとき、各切欠部75,76は、嵌合隙間W3と移動隙間W4が確保されているが、突起部77により剛板材73の板厚方向の移動が嵌合隙間W3に規制されている。そのため、剛板材73及び機能性板材74は、高さ方向に交差する切欠部75,76同士及び突起部77が嵌合することで、剛板材73は、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)だけ移動可能であるが、機能性板材74は、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)より大きい移動隙間W4の量だけ移動可能である。
バスケット本体71に対して横方向の衝撃力が作用すると、剛板材73と機能性板材74は、切欠部75,76で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。このとき、剛板材73と機能性板材74は、高さ方向に交差する各切欠部75,76に嵌合し、板厚方向に移動可能となっている。即ち、剛板材73は、切欠部75,76及び突起部77により板厚方向の移動量が規制されている。そのため、剛板材73が圧縮力を受け止め、機能性板材74への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材74の破損を抑制することができる。
このように第3実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、規制部として、剛板材73に対して高さ方向に組付けられる剛板材73の切欠部75に当接可能な突起部77を設けている。従って、切欠部75,76の形状を複雑に変更することが不要となり、構造の簡素化を可能とすることができる。
第3実施形態の放射性物質収納用バスケットでは、突起部77を剛板材73の高さ方向における中間位置に設けている。従って、突起部77を別部材のブロック83として構成することができ、設計の自由度を確保することができる。
[第4実施形態]
図13は、第4実施形態の放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す断面図、図14は、放射性物質収納用バスケットにおける板材の分解斜視図である。
第4実施形態において、図13に示すように、バスケット本体91は、複数の板材72を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置して組付けることで、複数の放射性物質収納部を区画形成している。この板材72は、剛板材73に機能性板材74が重ねられて構成され、互いの切欠部75,76を介して組付けられている。
そして、剛板材73に高さ方向に組付けられる剛板材73の板厚方向の移動を規制する規制部が設けられている。この規制部は、剛板材73の切欠部75に設けられて高さ方向に組付けられる剛板材73の切欠部75に当接可能な突起部92である。また、剛板材73に高さ方向に組付けられる機能性板材74の板厚方向の移動を許容する許容部が設けられている。この許容部は、剛板材73及び機能性板材74に形成されて剛板材73及び機能性板材74が嵌合可能な切欠部75,76である。
即ち、図14に示すように、剛板材73は、上端部及び下端部に切欠部75が形成されている。機能性板材74は、上端部及び下端部に切欠部76が形成されている。突起部92を構成するブロック93は、各切欠部75,76に嵌合可能な直方体形状をなし、剛板材73の切欠部75の底部にボルトや溶接などにより固定されている。ここで、ブロック93の厚さは、機能性板材74の厚さより大きく、且つ、各切欠部75,76の幅より小さい寸法に設定されている。
そのため、図13に示すように、剛板材73と機能性板材74からなる複数の板材72が高さ方向に交差するように組付けられたとき、剛板材73と機能性板材74は、各切欠部75,76同士が嵌合する。このとき、各切欠部75,76は、嵌合隙間W3と移動隙間W4が確保されているが、突起部92により剛板材73の板厚方向の移動が嵌合隙間W3に規制されている。そのため、剛板材73及び機能性板材74は、高さ方向に交差する切欠部75,76同士及び突起部92が嵌合することで、剛板材73は、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)だけ移動可能であるが、機能性板材74は、板厚方向に嵌合隙間W3(2×W3)より大きい移動隙間W4の量だけ移動可能である。
バスケット本体91に対して横方向の衝撃力が作用すると、剛板材73と機能性板材74は、切欠部75,76で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。このとき、剛板材73と機能性板材74は、高さ方向に交差する各切欠部75,76に嵌合し、板厚方向に移動可能となっている。即ち、剛板材73は、切欠部75,76及び突起部92により板厚方向の移動量が規制されている。そのため、剛板材73が圧縮力を受け止め、機能性板材74への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材74の破損を抑制することができる。
このように第4実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、規制部として、剛板材73に対して高さ方向に組付けられる剛板材73の切欠部75に当接可能な突起部92を切欠部75に設けている。従って、切欠部75,76の形状を複雑に変更することが不要となり、構造の簡素化を可能とすることができる。また、突起部92を剛板材73の切欠部75に設けることで、装着性を向上することができる。
[第5実施形態]
図15は、第5実施形態の放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す断面図である。
第5実施形態において、図15に示すように、バスケット本体101は、複数の板材43を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置し、互いの切欠部53,54を介して組付けることで構成されている。そして、この板材43は、剛板材51における板厚方向に機能性板材52が重ねられて構成されている。
そして、剛板材51に高さ方向に組付けられる剛板材51の板厚方向の移動を規制する規制部が設けられている。この規制部は、剛板材51の切欠部53に形成されて高さ方向に組付けられる剛板材51だけが嵌合可能な第1切欠部55である。また、剛板材51に高さ方向に組付けられる機能性板材52の板厚方向の移動を許容する許容部が設けられている。この許容部は、剛板材51の切欠部53に形成されて剛板材51及び機能性板材52が嵌合可能な第2切欠部56である。
なお、剛板材51と機能性板材52にて、各種の寸法は、第1実施形態と同様である。即ち、剛板材51が第1切欠部55に嵌合したときに嵌合隙間W3が設けられ、剛板材51と機能性板材52が第2切欠部56に嵌合したときに移動隙間W4が設けられ、機能性板材52の移動隙間W4は、剛板材51の嵌合隙間W3より大きく設定される。
また、剛板材51と機能性板材52にて、各第2切欠部56,58と機能性板材52との間に保護部材としての当て板102が配置されている。この当て板102は、機能性板材52の高さ方向における中間位置、つまり、機能性板材52における上下の切欠部54の間に配置されている。この場合、当て板102を所定の大きさの平板とし、機能性板材52における上下の切欠部54の間に配置したが、この形状に限定されるものではない。例えば、機能性板材52と同形状としてもよい。また、当て板102は、剛板材51と機能性板材52の各切欠部53,54における移動隙間W4内に配置することで、当て板102と切欠部53,54との間に嵌合隙間W3が確保されている。
バスケット本体101に対して横方向の衝撃力が作用すると、剛板材51と機能性板材52は、切欠部53,54で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。このとき、剛板材51は、高さ方向に交差する剛板材51の第1切欠部55に嵌合し、機能性板材52は、高さ方向に交差する第2切欠部56に嵌合し、板厚方向に移動可能となっている。即ち、剛板材51は、第1切欠部55により板厚方向の移動量が規制されている。そのため、剛板材51が圧縮力を受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材52の破損を抑制することができる。
また、バスケット本体101に衝撃力が作用し、剛板材51と機能性板材52における切欠部53,54に圧縮力を受けたとき、当て板102により機能性板材52と切欠部53,54との直接的な接触が防止され、機能性板材52の破損を抑制することができる。
このように第5実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、剛板材51と機能性板材52が切欠部53,54で組付けられたとき、切欠部53,54と機能性板材52との間に当て板102を配置している。従って、剛板材51からの衝撃を当て板102により受け止め、機能性板材52への伝達を阻止することができる。
[第6実施形態]
図16は、第6実施形態の放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す断面図、図17は、放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す図16のXVII−XVII断面図である。
第6実施形態において、図16及び図17に示すように、バスケット本体111は、複数の板材43を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置し、互いの切欠部53,54を介して組付けることで構成されている。そして、この板材43は、剛板材51における板厚方向に機能性板材52が重ねられて構成されている。
そして、剛板材51に高さ方向に組付けられる剛板材51の板厚方向の移動を規制する規制部として、第1切欠部55が形成されている。また、剛板材51に高さ方向に組付けられる機能性板材52の板厚方向の移動を許容する許容部として、第2切欠部56が形成されている。
また、剛板材51と機能性板材52にて、各第2切欠部56,58と機能性板材52との間に保護部材としてのはね出し部112が設けられている。このはね出し部112は、剛板材51の切欠部53における第2切欠部56側の端部に設けられている。この場合、はね出し部112は、剛板材51における切欠部53の端部を折曲して形成したり、別部材を固定したりして設けられている。また、はね出し部112は、三角板形状としたが、この形状に限定されるものではない。
バスケット本体111に対して横方向の衝撃力が作用すると、剛板材51と機能性板材52は、切欠部53,54で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。このとき、剛板材51は、高さ方向に交差する剛板材51の第1切欠部55に嵌合し、機能性板材52は、高さ方向に交差する第2切欠部56に嵌合し、板厚方向に移動可能となっている。即ち、剛板材51は、第1切欠部55により板厚方向の移動量が規制されている。そのため、剛板材51が圧縮力を受け止め、機能性板材52への圧縮力の伝達を防止し、機能性板材52の破損を抑制することができる。
また、バスケット本体111に衝撃力が作用し、剛板材51と機能性板材52における切欠部53,54に圧縮力を受けたとき、はね出し部112により機能性板材52と切欠部53,54との直接的な接触が防止され、機能性板材52の破損を抑制することができる。
このように第6実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、剛板材51と機能性板材52が切欠部53,54で組付けられたとき、切欠部53に機能性板材52に対向したはね出し部112を設けている。従って、剛板材51からの衝撃をはね出し部112により受け止め、機能性板材52への伝達を阻止することができる。
[第7実施形態]
図18は、第7実施形態の放射性物質収納用バスケットにおける板材の嵌合部を表す断面図である。
第7実施形態において、図18に示すように、バスケット本体121は、複数の板材72を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置して組付けることで、複数の放射性物質収納部を区画形成している。この板材72は、剛板材73に機能性板材74が重ねられて構成され、互いの切欠部75,76を介して組付けられている。
そして、剛板材73と機能性板材74にて、各第2切欠部75,76と機能性板材74との間に保護部材としての当て板122が配置されている。この当て板122は、機能性板材74の高さ方向における中間位置、つまり、機能性板材74における上下の切欠部76の間に配置してもよいし、機能性板材74と同形状としてもよい。また、剛板材73と機能性板材74は、切欠部75,76同士が嵌合し、当て板122が配置されることで、剛板材73及び機能性板材74の各切欠部75,76と剛板材73との間、各切欠部75,76と当て板122との間に嵌合隙間W3が確保されている。
バスケット本体121に対して横方向の衝撃力が作用すると、剛板材73と機能性板材74は、切欠部75,76で嵌合していることから、互いに圧縮力を受ける。このとき、剛板材73の切欠部75が機能性板材74を圧縮しようとする。しかし、剛板材73の切欠部75と機能性板材74との間に当て板122が設けられていることから、当て板122がこの圧縮力を受け、切欠部75と機能性板材74との直接的な接触が防止され、機能性板材74の破損を抑制することができる。
このように第7実施形態の放射性物質収納用バスケットにあっては、剛板材73と機能性板材74が切欠部75,76で組付けられたとき、切欠部75,76と機能性板材74との間に当て板122を配置している。
従って、板材72に対して板厚方向に衝撃力が作用すると、高さ方向で交差する一対の板材72(剛板材73、機能性板材74)の各切欠部75,76に圧縮力が作用する。しかし、切欠部75,76と機能性板材74との間に保護部材が配置されることから、当て板122がこの圧縮力を受け止め、機能性板材74への圧縮力の伝達を防止する。そのため、機能性板材74の破損を抑制して安全性を向上することができる。
なお、上述した実施形態では、複数の板材を板厚方向に所定間隔をあけて配置すると共に、高さ方向に交差するように配置することで、複数の正方形をなす放射性物質収納部を区画形成したが、放射性物質収納部は、長方形や三角形など、どのような形状であってもよい。
また、上述した実施形態では、各板材における上下に同形状をなす切欠部を形成したが、異なる形状の切欠部を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、強度部材からなる第1の板材と中性子吸収体からなる第2の板材を板厚方向に重ねて板材を構成したが、第1の板材と第2の板材との重ねる順序や個数は、各実施形態に限定されるものではない。