JP4014942B2 - 光学情報記録媒体とその製造方法および初期化装置 - Google Patents

光学情報記録媒体とその製造方法および初期化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光等の照射により情報の記録再生を行う複数の記録層を備えた光学情報記録媒体及びその製造方法と初期化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大容量で高密度なメモリーとして光学情報記録媒体が注目されており、現在、書換えが可能な消去型と呼ばれるものの開発が進められている。この消去型光学情報記録媒体の一つとして、アモルファス状態と結晶状態の間で相変化する薄膜を記録層として用い、レーザー光の照射による熱エネルギーによって情報の記録及び消去を行うものがある。
【0003】
この記録層用の相変化材料としては、Ge,Sb,Te,In等を主成分とする合金膜、例えばGeSbTe合金が知られている。情報の記録は記録層を部分的にアモルファス化して記録マークを形成して行う。情報の消去は、通常、この記録マークを結晶化することによって行う場合が多い。アモルファス化は記録層を融点以上に加熱した後に冷却することによって行われる。一方、結晶化は記録層を結晶化温度以上、融点以下の温度に加熱することによって行われる。また、記録層の成膜はスパッタリングによって行われるのが一般的であるが、このスパッタリングによって形成された前記相変化材料の薄膜は、ほとんどの場合アモルファス状態となる。したがって、情報を記録する前に予め記録層を結晶状態にしておく必要がある。この処理を初期化と呼ぶ。
【0004】
前記初期化を行う従来の初期化装置は、1つの光源と1つの対物レンズを備えた1つの光学ヘッドを有し、前記光学ヘッドから記録媒体の記録層に光ビームを照射しながら、前記光学ヘッドを所定の方向に移動させて、前記記録層の所望の領域を初期化するものである。
【0005】
一方、最近では、各種情報機器の処理能力の向上に伴い、扱われる情報量が大きくなっている。そのために、より大容量かつ高速な記録再生が可能な記録媒体が求められている。この大容量化と高速化の手段として、複数の記録層を備え、片側の面からそれぞれの記録層に情報を記録再生することのできる多層記録媒体が提案されている(例えば特開平9-91700号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平9-91700号公報の初期化方法では、ビーム照射側から見て手前側の記録層から先に初期化するため、記録層にむらが発生しやすい問題があった。すなわち、初期化すると結晶化により光が透過しにくくなり、奥側の記録層の初期化が均一にできなくなる問題がある。
【0007】
また、前記多層記録媒体を従来の初期化装置を用いて初期化する場合、一度に初期化できる記録層の数は1つだけであるため、記録層の数だけ初期化動作を繰り返す必要があり、初期化に要する時間が著しく長くなるという問題があった。また、記録媒体の記録再生には記録密度を大きくするために短波長の光ビームが用いられるのに対して、記録媒体の初期化には光強度を大きくするために長波長の光ビームが用いられる。したがって、記録媒体の光学設計波長とは異なる波長の光ビームで初期化することとなり、焦点位置を正確に記録層に合わせるフォーカスサーボが不安定になるため、記録層に初期化のむらが発生し、記録媒体の性能が低下するという問題があった。特に多層記録媒体では複数の記録層のうちの特定の記録層に正確に焦点位置を合わせる必要があり、前記問題が顕著になる。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、フォーカスサーボが安定で、複数の記録層を備えた多層記録媒体を短時間で初期化することが可能な、光学情報記録媒体の製造方法及び初期化装置を提供するとともに、記録層に初期化むらの無い高性能な多層記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明の光学情報記録媒体の製造方法は、光学情報記録媒体における記録層の初期化開始時において、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッドの焦点位置を前記光学情報記録媒体の予め定めた位置を中心に上下させて前記記録層を部分的に初期化することを特徴とする。
【0010】
本発明の光学情報記録媒体の初期化装置は、光学情報記録媒体の初期化装置であって、前記光学情報記録媒体の記録層に光ビームを照射する少なくとも1つの光学ヘッドと、前記光学ヘッドに備えられた対物レンズを上下動させる駆動システムと、前記光学ヘッドから照射される光ビームの強度及び前記駆動システムを制御するコントローラーと、前記光学ヘッドを所定の方向に移動させる移動システムとを備え、初期化開始時において、前記コントローラーが初期化に十分な光ビームの強度で前記駆動システムを制御することで、光学ヘッドの焦点位置を前記光学情報記録媒体の予め定めた位置を中心に上下させて、前記記録層を部分的に初期化することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光学情報記録媒体の製造方法においては、前記少なくとも1つの記録層を初期化する際に、初期化開始時において、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッドの焦点位置を上下させて前記記録層を部分的に結晶化させてもよい。部分的に結晶化させると、結晶化させた部分の反射率は高くなるので、記録膜の位置を正確に検知できる。その結果、記録層のアモルファス状態での反射率が非常に小さい記録媒体であっても、フォーカスサーボの安定な初期化方法となる。
【0024】
前記少なくとも1つの記録層を初期化する際に、初期化開始時において、前記記録層よりも大きな反射光量が得られる記録層に焦点を合わせた後に、光学ヘッドの焦点位置を前記記録媒体の厚さ方向に予め定められた距離だけ移動して目的とする記録層を初期化してもよい。この方法によっても記録膜の位置を正確に検知できる。
【0026】
少なくとも前記目的とする記録層を初期化しない光ビームの強度で前記記録層よりも大きな反射光量が得られる記録層に焦点を合わせた後に、予め定められた距離だけ光学ヘッドの焦点位置を前記記録媒体の厚さ方向に移動させ、光ビームを前記目的とする記録層の初期化に十分な強度として、前記目的とする記録層を初期化してもよい。この方法によっても記録膜の位置を正確に検知できる。
【0031】
また、光学情報記録媒体の初期化装置であって、前記光学情報記録媒体の記録層に光ビームを照射する少なくとも1つの光学ヘッド、前記光学ヘッドに備えられた対物レンズを上下動させる駆動手段と前記光学ヘッドから照射される光ビームの強度及び前記駆動手段を制御するコントローラーと、前記光学ヘッドを所定の方向に移動させる移動手段とを備え、初期化開始時において、前記コントローラーが初期化に十分な光ビームの強度で前記駆動システムを制御することで、前記記録層を部分的に初期化する構成としてもよい。これによって、初期化開始時において、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッドの焦点位置を上下させて前記記録層を部分的に結晶化することで、記録層のアモルファス状態での反射率が非常に小さい記録媒体であっても、フォーカスサーボの安定な初期化装置となる。
【0032】
また、前記光学情報記録媒体が複数の記録層を有する構成としてもよい。
また、前記対物レンズの上下動回数を計数するカウンターを備える構成としてもよい。
【0033】
また、前記光学ヘッドには、対物レンズと複数の光源を有し、少なくとも1つの光源から照射される光ビームの固有の光路上に光路補正手段を備えていてもよい。これによって、1つの光源から照射される光ビームの焦点を対物レンズの移動によって特定の記録層に合わせながら、他の光源から照射される光ビームの焦点を前記光路補正手段によって別の記録層に合わせることが可能となる。つまり、記録媒体中の記録層間の距離が設計値に対して異なる場合や不均一な場合でも、複数の光源から照射される光ビームの焦点を、同時にそれぞれの目的とする記録層に正確に合わせることができ、むらのない安定な初期化が可能となる。前記において、対物レンズは単一であることが好ましい。
【0034】
また、前記光路補正手段が液晶素子またはレンズであることが好ましい。
【0035】
また、前記複数の光源の波長が互いに異なっていてもよい。
【0036】
以下、本発明の光学情報記録媒体とその製造方法及び初期化装置について、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置の構成図であり、2つの記録層を有する情報記録媒体1を設置した状態を示している。記録媒体1は、ポリカーボネートからなる厚さ約1.1mmの基板6上に第1の記録層5、厚さ約0.04mmの透明分離層4、厚さ約100nmの半透明層からなる第2の記録層3を順次形成し、その上に保護膜2を設けたものであり、記録層3及び5には、深さ約20nm、幅約0.2μm、トラックピッチ約0.32μmの溝によって構成され、記録再生時にレーザー光をトラッキングする案内溝(図示せず)が設けられている。
【0038】
記録媒体1のさらに詳細な構造を図12に示す。図12において、記録層3は、誘電体材料(ZnS−SiO2、厚み50nm)からなる保護層33と、GeSbTe薄膜(厚み7nm)からなる相変化層34及び誘電体材料(ZnS−SiO2、厚み40nm)からなる保護層35の多層薄膜で構成されており、初期化等で相変化層34がアモルファス状態から結晶状態に変化することによって、反射率が増大し、透過率が低下する。記録層5は、誘電体材料(ZnS−SiO2、厚み60nm)からなる保護層36と、GeSbTe薄膜(厚み10nm)からなる相変化層37と、誘電体材料(ZnS−SiO2、厚み30nm)からなる保護層38及び金属材料(Ag合金、厚み100nm)からなる反射層39の多層薄膜で構成されており、相変化層37がアモルファス状態から結晶状態に変化することによって、反射率が増大する。なお透明分離層4は厚み0.04mmの紫外線硬化樹脂で形成し、保護膜2は0.07mmのポリカーボネートシートと厚み0.01mmの紫外線硬化樹脂で形成した。
【0039】
図1において、初期化装置は、スピンドルモータ7、2つの光学ヘッド8a、8b、前記光学ヘッドを設置した移送台9、前記移送台を所望の位置に移動させる移動手段10、コントローラ11から構成されている。
【0040】
光学ヘッド8a、8bの構造を図2に示す。この光学ヘッドでは、波長800nmの半導体レーザからなる光源12から出射された光ビームはコリメータレンズ13、ビームスプリッター14、1/4波長板15、対物レンズ16を通して記録媒体に集光される。この集光された光ビームは、ボイスコイル17により対物レンズ16の位置を調整することによって、記録媒体中の記録層に焦点を合わせられる。記録層から反射された光は再び対物レンズ16、1/4波長板15を通り、ビームスプリッター14で反射されて検出器18に入射し、電気信号に変換され、ボイスコイル17の制御に用いられる。
【0041】
図1において、光学ヘッド8aと8bから照射される光ビームは前記の方法でそれぞれ記録層3及び5に焦点を合わせられる。前記光ビームの記録層上でのスポット形状は、記録媒体の径方向に100μm、周方向に1μmの長さの長円形に成形されている。また、光学ヘッド8bは、光学ヘッド8aに対して約1mm記録媒体の外周側に配置されている。初期化を行う際には、記録媒体1を設置したスピンドルモータ7を回転させながら、光ビームの焦点を記録層に合わせた状態で光学ヘッド8a及び8bを移送台9によって前記記録媒体の内周側から外周側に向けて記録媒体1回転あたり50μmの送りピッチで移動させる。このとき、スピンドルモータ7の回転数は光学ヘッド8aの位置における線速度が略一定になるように制御される。これによって、記録層3及び5を同時に初期化することができるため、複数の記録層を備えた多層記録媒体の短時間での初期化を実現できる。
【0042】
このとき、光学ヘッド8bが光学ヘッド8aに対して光学ヘッドの移動方向である記録媒体の外周側に配置されているため、記録媒体上の同一位置においては、記録層5が初期化された後に記録層3が初期化される。つまり、記録層5の初期化は、未初期化状態(すなわち、透過率の高い状態)の記録層3を通して光ビームを照射して行われる。したがって、記録層5の初期化を記録層3による光ビーム強度の減衰が小さい状態で効率よく、しかも、記録層3の初期化むらの影響なく実施できるという利点がある。したがって、本実施形態における複数の記録層を有する光学情報記録媒体は、記録層に初期化むらの無い高性能な多層記録媒体となる。
【0043】
ここで、初期化むらとは、記録層の部分的あるいは全面にわたって結晶化が不十分なことであり、情報を記録する際に、その記録層の結晶状態が安定化するまでの間、書き換え(overwrite)回数毎に信号の品質であるジッター値が変動し、記録された情報が正常に再生できない場合があるという不都合が生じる。ジッター値の変動量は2%以内であることが好ましく、これ以上の変動がある状態を初期化むらとした。
【0044】
本実施形態における多層記録媒体に、線速度5.3m/sで、NA=0.85の対物レンズによって集光された波長405nmのレーザー光によるoverwrite試験を行った。記録した信号は、マークの長さ及びスペースの長さ(つまり、マークの前端及び後端のエッジ位置)が情報を担うようにしたPWM記録方式で、基準クロックT=15.1nsecの1−7PP方式で変調されたランダム信号である。レーザー光は、記録する信号に応じてパルス状に変調して照射し、そのピークパワーとボトムパワーを、記録層3では10mWと4mW、記録層5では10mWと5mWに設定した。前記ピークパワーとボトムパワーは、それぞれにパワーを変えて、前記ランダム信号を10回overwriteしたときのジッター値が最小となるように選んだ。この条件で10回のoverwriteを行い、その1回毎の再生信号のジッター値を測定した。その結果、記録層3及び5の両方においてジッター値は10〜11%の範囲であった。つまり、ジッター値の変動量は1%以内であり、初期化むらは認められなかった。
【0045】
これに対して光ビーム照射側から見て手前側の記録層3から先に初期化する従来の方法で初期化した場合、同様のoverwrite試験を行ったところ、記録層5では1回目から10回目の間でJIT値が10〜14%の範囲で変動し、初期化むらが認められた。
【0046】
光学ヘッド8aと8bの好ましい位置関係について、以下に説明する。図3は、図1における記録媒体1の光ビーム照射部における径方向の断面図である。光学ヘッド8a及び8bから照射される光ビーム8a’と8b’の記録媒体1上の半径位置の差zは、光ビーム8a’の記録層3上での径方向のスポット長さ及び光ビーム8b’の記録層5上での径方向のスポット長さを各々x,yとし、光ビーム8b’の入射角をθ、透明分離層の厚さをdとしたとき、
z>(x/2)+(y/2)+(d・tanθ)
の関係を満たすように光学ヘッド8aと8bの位置関係を設定するのが好ましい。
【0047】
なお、光ビームの入射角θは、対物レンズの開口数をNA、基板の屈折率をnとしたとき、
NA=n・sinθ
の関係を有している。
【0048】
ここで、半径位置の差zは0.1〜2mmの範囲が好ましく、スポット長さx及びyは50〜200μmの範囲が好ましく、NAは0.3〜0.7の範囲が好ましく、透明分離層の厚さdは10〜60μmが好ましい。
【0049】
前記において、光ビーム8a’の記録層3上でのスポット中心から径方向のスポット端部までの長さは、x/2であり、光ビーム8b’の記録層3上でのスポット中心から径方向のスポット端部までの長さは、(y/2)+(d・tanθ)であり、両者の和である(x/2)+(y/2)+(d・tanθ)よりも光ビーム8a’と8b’のスポット中心の距離zが大きいために、記録層3上で光ビーム8a’と8b’が重なり合うことがない。つまり、光ビーム8b’は、初期化状態の記録層3を通ることなく記録層5に照射される。なお、光ビーム8a’と8b’の記録媒体1上の半径位置の差zを必要以上に大きくすると記録層5の初期化を開始してから記録層3の初期化を開始するまでの待機時間が長くなり、全体の初期化に要する時間が長くなるが、タクトタイム(1枚の記録媒体を初期化する時間)の許す範囲で設定することが出来る。
【0050】
さらに、光学ヘッド8a及び8bは同一移送台上に設けられているため、移送機構及びその制御回路は光学ヘッドが1つの場合と同等で良く、光学ヘッドを2つにすることによる装置の大きさを小さくできるとともに、2つの光学ヘッドを正確な位置関係で設置できるという利点がある。
【0051】
次に、光学ヘッド8aと8bから照射される光ビームの、基板を通して集光したスポット径が最小となる最適基板厚さが、記録層3と5の距離に応じて予め互いに異なるように前記光学ヘッドを設計した例について説明する。
【0052】
図1において、光学ヘッド8aは、前述の最適基板厚さが0.08mmとなるように光学系が設定されており、光学ヘッド8bは、前記の最適基板厚さが0.12mmとなるように光学系が設定されている。これにより、光学ヘッド8aは記録媒体1に光ビームを照射した際に、厚さ0.08mmの保護膜を透過した位置、つまり記録層3に収差無く焦点を結ぶ。一方、光学ヘッド8bは記録媒体1に光ビームを照射した際に、厚さ0.08mmの保護膜、厚さ100nmの記録層3及び厚さ0.04mmの透明分離層を透過した位置、つまり記録層5にほぼ収差無く焦点を結ぶ。したがって、各々の光学ヘッドでそれぞれ目的とする記録層に正確に光ビームの焦点を結ぶことができ、むらのない安定な初期化ができるという利点がある。
【0053】
上記実施形態では、光学ヘッド8aと8bから照射される光ビームの記録層上でのスポット形状を同一としたが、互いに異なるスポット形状としても良い。記録層3と記録層5は、構造の違いによって熱特性が異なり、照射する光ビームのスポット形状が同一であっても前記光ビームを照射したときの温度分布の形状が異なる。したがって、初期化を行う記録層の熱特性に応じたスポット形状とすることで、むらのない安定な初期化ができる。
【0054】
また、上記実施形態では、2個の光学ヘッドを有する初期化装置と2層の記録層を有する記録媒体の組み合わせについて説明したが、光学ヘッドの数は3個以上でもよく、記録層の数と光学ヘッドの数を一致させることで、n層の記録層を有する記録媒体において、光学ヘッドが1個の場合のn倍の速度の初期化を実現できる。図4は、3個の光学ヘッドを設けた例の構成図であり、3つの記録層を有する情報記録媒体1’を設置した状態を示している。第3の光学ヘッド8cを設けたことを除いて、図1に示した初期化装置と同様の構成である。また、光学ヘッド8cは、図2に示した光学ヘッド8a、8bと同様の構造である。光学ヘッド8cは、記録媒体1’の光ビーム照射側から見て最も奥側の記録層に光ビームを照射して初期化するものであり、3つの光学ヘッドのうちで最も移動方向側に配置されている。これによって、図1で説明した2個の光学ヘッドを有する初期化装置で2層の記録層を有する記録媒体を初期化する場合と同様に、3層の記録層を有する記録媒体についても、短時間で初期化するとともに、光ビーム照射側から見てより奥側の記録層の初期化を手前側にある記録層の初期化むらの影響なく行うことができる。
【0055】
また、初期化を行う際の光学ヘッドの移動方向は、記録媒体の外周側から内周側に向かう方向とすることも可能である。この場合、光学ヘッド8bを光学ヘッド8aに対して光学ヘッドの移動方向である記録媒体の内周側に配置すればよい。
【0056】
(第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置の構成図であり、情報記録媒体1を設置した状態を示しおり、光学ヘッドを除いて、図1に示した第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置と同様の構成である。
【0057】
光学ヘッド8dは、単一の対物レンズと記録層を結晶化する結晶化用光ビームを照射する光源と記録層を結晶化させない強度の焦点位置制御用光ビームを照射する光源を有しており、その構造を図6に示す。
【0058】
この光学ヘッドでは、それぞれの波長が800nm及び680nmの半導体レーザからなる光源40、41を備えている。
【0059】
図6において、波長選択性ミラー46は、光源40の波長の光を透過し、光源41の波長の光を反射する。光源40から出射された光ビームは、波長選択性ミラー46を透過し、対物レンズ47を通して記録層に結晶化用光ビーム49として照射される。一方、光源41から出射された光ビームはコリメータレンズ43、ビームスプリッター44、1/4波長板45を通り、波長選択性ミラー46で反射され、対物レンズ47を通して記録媒体の記録層に焦点位置制御用光ビーム50として照射される。記録層から反射された焦点位置制御用光ビーム50は再び対物レンズ47を通り、波長選択性ミラー46で反射され、1/4波長板45を通り、ビームスプリッター44で反射されて検出器51に入射し、電気信号に変換される。この電気信号によって、ボイスコイル48を制御することによって対物レンズ47の位置を調整し、結晶化用光ビーム49の焦点位置を記録層に合わせる。
【0060】
この初期化装置は、結晶化用光ビームの波長において記録層3のアモルファス状態での反射率が非常に低い記録媒体を初期化する場合に特に有効である。通常、多層記録媒体は、光ビーム照射側から見て奥側の記録層への記録再生を容易にするために、手前側の記録層の透過率が大きくなるように光学的な設計が成されている。これに伴って、手前側の記録層の反射率は小さくなる。
【0061】
本発明の一実施形態における光学情報記録媒体は、各層の膜厚を除いて図12で説明した多層記録媒体と同様の構成を有する。
【0062】
各記録層の反射率及び透過率は波長依存性があり、波長800nmの光に対する記録層3のアモルファス状態での反射率は1%及び透過率は60%であり、記録層5の結晶状態の反射率は10%であった。また、波長680nmの光に対する、記録層3のアモルファス状態での反射率は3%及び透過率は50%であり、記録層5の結晶状態の反射率は8%であった。
【0063】
記録層5の初期化は、記録層3の初期化むらの影響を受けないようにする等のために、記録層3の初期化に先立って行う。したがって、記録層3の初期化を行う際には、記録層3がアモルファス状態であり、記録層5が結晶状態となっている。
【0064】
このとき、波長800nmの結晶化用光ビームを照射した場合の記録層3からの反射光量は1%であるのに対して、記録層5からの反射光量は3.6%(10%×60%×60%)である。したがって、ナイフエッジ法、非点収差法などの一般的な方法で光ビームの焦点を合わせようとする場合、記録層3から得られるフォーカスエラー信号と記録層5から得られるフォーカスエラー信号の強度比は1/3.6である。
【0065】
図7Aは、このときの各記録層から得られるフォーカスエラー信号の強度を表したもので、矢印aは記録層3におけるS字曲線、矢印bは記録層5におけるS字曲線である。フォーカスエラー信号の強度は、記録層5の方が記録層3に比べて3倍以上の大きさとなるため、記録層3と記録層5の間隔が0.04mmと短い記録媒体1では、記録層3及び記録層5から得られるフォーカスエラー信号、いわゆるS字曲線の分離が困難となる。したがって、光ビームの焦点は反射光量の大きい記録層5に合ってしまい、反射光量の小さい記録層3に焦点を合わせることが困難となり、結晶化用光ビームで焦点を合わせながら記録層3を初期化することは困難である。
【0066】
これに対して、本実施形態における初期化装置では、波長680nmの焦点位置制御用光ビームを用いて結晶化用光ビームの焦点位置を制御する。波長680nmの光ビームを照射した場合の記録層3からの反射光量は3%であるのに対して、記録層5からの反射光量は2.5%(10%×50%×50%)である。
【0067】
したがって、記録層3から得られるフォーカスエラー信号と記録層5から得られるフォーカスエラー信号の強度比は3/2.5である。図7Bは、このときの各記録層から得られるフォーカスエラー信号の強度を表したもので、矢印aは記録層3におけるS字曲線、矢印bは記録層5におけるS字曲線である。フォーカスエラー信号の強度は、記録層3の方が大きく、確実に記録層3に焦点を合わせることができる。
【0068】
したがって、本実施形態における複数の記録層を有する光学情報記録媒体は、記録層に初期化むらの無い高性能な多層記録媒体となる。
【0069】
なお、結晶化用光ビーム及び焦点位置制御用光ビームの波長は、記録媒体の光学特性に応じて適宜設定することができる。
【0070】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置の構成図であり、第1の実施形態で説明した2つの記録層を有する情報記録媒体1を設置した状態を示しおり、光学ヘッド8a及び8bをそれぞれ別の移送台9及び9’上に設けたことを除いて、図1に示した第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置と同様の構成である。
【0071】
光学ヘッド8aと8bから照射される光ビームはそれぞれ記録層3及び5に焦点を合わせられる。前記光ビームの記録層上でのスポット形状は、記録媒体の径方向に100μm、周方向に1μmの長さの長円形に成形されている。また、光学ヘッド8bは、光学ヘッド8aに対して約1mm記録媒体の外周側に配置されている。初期化を行う際には、記録媒体1を設置したスピンドルモータ7を回転させながら、光ビームの焦点を記録層に合わせた状態で光学ヘッド8a及び8bを移送台9及び9’によって前記記録媒体の内周側から外周側に向けて記録媒体1回転あたり50μmの送りピッチで移動させる。このとき、スピンドルモータ7の回転数は光学ヘッド8aの位置における線速度が略一定になるように制御される。これによって、記録層3及び5を同時に初期化することができるため、複数の記録層を備えた多層記録媒体の短時間での初期化を実現できる。
【0072】
このとき、光学ヘッド8bが光学ヘッド8aに対して光学ヘッドの移動方向である記録媒体の外周側に配置されているため、記録媒体上の同一位置においては、記録層5が初期化された後に記録層3が初期化される。つまり、記録層5の初期化は、未初期化状態(すなわち、透過率の高い状態)の記録層3を通して光ビームを照射して行われる。したがって、記録層5の初期化を記録層3による光ビーム強度の減衰が小さい状態で効率よく、しかも、記録層3の初期化むらの影響なく実施できる。
【0073】
また、光学ヘッド8a及び8bをそれぞれ別の移送台上に設けることによって、装置規模がやや大きくなるものの、従来の移送機構を用いることで製造コストを低減できるという利点がある。
【0074】
なお、初期化を行う際の光学ヘッドの移動方向は、記録媒体の外周側から内周側に向かう方向とすることも可能である。この場合、光学ヘッド8bを光学ヘッド8aに対して光学ヘッドの移動方向である記録媒体の内周側に配置すればよい。
【0075】
さらに、第2の実施形態における初期化装置と同様に光学ヘッドに結晶化用光ビームを照射する光源と焦点位置制御用光ビームを照射する光源の2つの光源を設けても良い。
【0076】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、複数の記録層を有し、光ビーム照射側から見て手前側の記録層のアモルファス状態における反射率が小さい光学情報記録媒体の初期化方法及び初期化装置に関するものである。
【0077】
図9は、本実施形態における初期化装置の構成図であり、第2の実施形態で説明した2つの記録層を有する情報記録媒体1を設置した状態を示しており、対物レンズの上下動回数を計数するカウンター52を設けたことを除いて、図1に示した第1の実施形態における初期化装置と同様の構成であり、図2に示した光学ヘッドを備えている。
【0078】
記録層3を初期化する際には、初期化開始時において、コントローラー11で制御することによって、光学ヘッド8aから照射される光ビームを初期化に十分な強度とし、図2におけるボイスコイル17を駆動して対物レンズ16を上下させることによって前記光ビームの焦点位置を所定の回数だけ上下させる。光ビームの焦点位置を上下させる範囲は、少なくとも記録層3を含む領域とし、ここでは予め定めた位置を基準に100μmとした。このとき、カウンター52によって対物レンズの上下動回数を数え、コントローラー11によってその回数を制御する。
【0079】
この動作によって記録層3を部分的に結晶化し、この部分的に結晶化されて反射率が大きくなった記録層3からの反射光を用いて光学ヘッド8aの焦点を記録層3に合わせる。これによって、光ビームの焦点を確実に記録層3に合わせて初期化を行うことが出来る。
【0080】
前記対物レンズの上下動の回数は、記録媒体と光学ヘッドの相対速度及び上下動の速度に応じて設定されるものであり、2回以上とするのが好ましい。
【0081】
この初期化方法は、光学ヘッド8aから照射される光ビームの波長において記録層3のアモルファス状態での反射率が非常に低い記録媒体を初期化する場合に特に有効である。
【0082】
本発明の一実施形態における光学情報記録媒体は、各層の膜厚を除いて図12で説明した多層記録媒体と同様の構成を有し、記録層3のアモルファス状態での反射率が1%及び結晶状態での反射率が6%、アモルファス状態での透過率が60%及び結晶状態での透過率が30%であり、記録層5のアモルファス状態での反射率が15%及び結晶状態での反射率が10%である。記録層5が初期化済で記録層3が初期化前の状態では、記録層5からの反射光量が3.6%(10%×60%×60%)であるのに対して、記録層3からの反射光量は1%である。
【0083】
したがって、ナイフエッジ法、非点収差法などの一般的な方法で光ビームの焦点を合わせようとする場合、記録層3から得られるフォーカスエラー信号と記録層5から得られるフォーカスエラー信号の強度比は1/3.6と非常に小さい。図10Aは、このときの各記録層から得られるフォーカスエラー信号の強度を表したもので、矢印a,bはそれぞれ記録層3及び記録層5におけるS字曲線である。
【0084】
フォーカスエラー信号の強度は、記録層5の方が記録層3に比べて3倍以上の大きさとなるため、記録層3と記録層5の間隔が0.04mmと短い記録媒体1では、記録層3及び記録層5から得られるフォーカスエラー信号、いわゆるS字曲線の分離が困難となる。したがって、光ビームの焦点は反射光量の大きい記録層5に合ってしまい、反射光量の小さい記録層3に焦点を合わせることが困難となり、結晶化用光ビームで焦点を合わせながら記録層3を初期化することは困難である。
【0085】
しかし、記録層3の初期化開始時において、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッド8aの焦点位置を上下させて記録層3を部分的に結晶化することによって、記録層3からの反射光量は6%、記録層5からの反射光量は0.9%(10%×30%×30%)となり、記録層3から得られるフォーカスエラー信号と記録層5から得られるフォーカスエラー信号の強度比は6/0.9となる。図10Bは、このときの各記録層から得られるフォーカスエラー信号の強度を表したもので、矢印a,bはそれぞれ記録層3及び記録層5におけるS字曲線である。フォーカスエラー信号の強度は、記録層3の方が非常に大きく、確実に記録層3に焦点を合わせることができる。
【0086】
また、初期化中の各記録層から得られるフォーカスエラー信号の強度を図10Cに示す。矢印a,bはそれぞれ記録層3及び記録層5におけるS字曲線である。記録層上での光ビームの径方向の長さが100μm、送りピッチが50μmである本実施形態の場合、光ビームスポットの半分が初期化済みの領域にかかるため、記録層3からの反射光量は3.5%((1%+6%)/2)、記録層5からの反射光量は2.25%((3.6%+0.9%)/2)であり、記録層3から得られるフォーカスエラー信号と記録層5から得られるフォーカスエラー信号の強度比は3.5/2.25と十分に大きく、光ビームの焦点を確実に記録層3に合わせることができる。
【0087】
したがって、本実施形態における複数の記録層を有する光学情報記録媒体は、記録層に初期化むらの無い高性能な多層記録媒体となる。
【0088】
なお、光ビームスポットの形状と送りピッチの関係は、記録層3から得られるフォーカスエラー信号が記録層5から得られるフォーカスエラー信号よりも大きくなるように設定するのが好ましい。
【0089】
また、対物レンズの上下動の範囲を小さくすることで、1回当たりの初期化範囲を広げる方法として、いったん反射光量が大きくS字曲線の振幅が大きい記録層に光ビームの焦点を合わせ、他の記録層の位置を特定してから初期化する方法もある。
【0090】
記録層3の初期化開始時において、光学ヘッド8aから照射される光ビームの焦点を記録層5に合わせるフォーカス動作を行った後に、フォーカス動作を中止して光学ヘッド8aの焦点位置を記録層3と記録層5の間隔に相当する0.04mmだけ下げたうえで、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッド8aを上下させるのが好ましい。これによって、光学ヘッド8aの短距離の上下動で光ビームの焦点が記録層3を確実に通過するようにできる。したがって、記録層3の初期化開始時の部分的な結晶化を確実に行うとともに、光学ヘッド8aの記録媒体への衝突を防止することができる。ここで、記録層5に焦点を合わせる前に誤って記録層3を部分的に結晶化させた場合には、記録層3からの反射光量が大きくなり、記録層5からの反射光量が小さくなるため、記録層5と誤って記録層3に焦点を合わせてしまい、その結果、記録層3の初期化を行う際の光学ヘッド8aの位置に誤りが生じる可能性がある。したがって、光ビームの焦点を記録層5に合わせるときには、その強度を記録層3を結晶化させない強度とするのが好ましい。これによって、記録層5に焦点を合わせる前に誤って記録層3を部分的に結晶化させる事を防止できる。つまり、記録層3の初期化を行う際の光学ヘッド8aの位置を正しく設定することができる。
【0091】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置は、光学ヘッドを除いて、図1に示した第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置と同様の構成である。その光学ヘッドの構成を図11に示す。この光学ヘッドでは、それぞれの波長が680nm及び800nmと、互いに異なる波長の半導体レーザからなる光源19、20を備えている。
【0092】
図11において、波長選択性ミラー27は、光源19の波長の光を透過し、光源20の波長の光を反射する。光源20から出射された光ビームはコリメータレンズ22、ビームスプリッター24、1/4波長板26を通り、波長選択性ミラー27で反射され、対物レンズ28を通して記録層5に集光される。記録層5から反射された光ビームは再び対物レンズ28を通り、波長選択性ミラー27で反射され、1/4波長板26を通り、ビームスプリッター24で反射されて検出器32に入射し、電気信号に変換され、ボイスコイル29の制御に用いられる。一方、光源19から出射された光ビームは液晶素子からなる光路補正手段30、コリメータレンズ21、ビームスプリッター23、1/4波長板25を通り、波長選択性ミラー27を透過し、対物レンズ28を通して記録層3に集光される。記録層3から反射された光ビームは再び対物レンズ28を通り、波長選択性ミラー27を透過し、1/4波長板25を通り、ビームスプリッター23で反射されて検出器31に入射し、電気信号に変換され、光路補正手段30の制御に用いられる。
【0093】
光源20から出射された光ビームは、ボイスコイル29によって対物レンズ28の位置を調整することによって、2つの記録層を有する記録媒体1中の一方の記録層5に焦点を合わせられる。また、それと同時に光源19から出射された光ビームの焦点を、他方の記録層3に正確に合わせようとするとき、記録媒体1の面振れによる記録層位置の変動に対しては記録層5と共通であるため、前記のように光源20からの光ビームの焦点を記録層5に合わせることによって補償されるが、透明分離層4の厚みむら等による変動は記録層5とは独立のものであるため、この方法だけでは補償することができない。
【0094】
この記録層3固有の変動を補償するために、本実施形態の初期化装置は、光路補正手段30を動作させて光ビームの強度及び位相の分布を変えることによって、透明分離層4の厚みむら等に応じて焦点位置を調整し、光源19から出射された光ビームの焦点を記録層3に正確に合わせることができる。
【0095】
したがって、本実施形態における初期化装置によれば、1つの光源から照射される光ビームを対物レンズの移動によって特定の記録層に焦点を合わせると同時に、他の光源から照射される光ビームを前記光路補正手段によって別の記録層に焦点を合わせることができる。これにより、記録媒体中の透明分離層4の厚みが設計値に対して異なる場合や不均一な場合でも、複数の光源から照射される光ビームの焦点を、同時にそれぞれの目的とする記録層に正確に合わせることができ、むらのない安定な初期化が可能となる。また、同じ対物レンズを使用した場合には、短波長の光の方が長波長の光に比べて焦点距離が短くなるため、記録媒体の光ビームの入射面に近い記録層3の初期化に用いる光源19の波長を光ビームの入射面から遠い記録層5の初期化に用いる光源20の波長よりも短くすることによって光学系の設計が容易となる。
【0096】
なお、上記実施形態では、光路補正手段を液晶素子としたが、例えば圧電素子などによる可動機構を備えたレンズによって構成しても良いし、設置場所はコリメータレンズ21とビームスプリッター23の間でも良い。
【0097】
さらに、光路補正手段30を光源20から照射される光ビームの固有の光路上に設け、光源19から照射される光ビームの焦点を記録層5に合わせる動作をボイスコイル29によって対物レンズ28の位置を調整することによって行い、光源20から照射される光ビームの焦点位置を光路補正手段30を動作させることによって調整しても良い。
【0098】
また、記録層5に照射される光ビームの位置を記録層3に照射される光ビームの位置よりも光学ヘッドの移動方向側に配置し、記録層上で2つの光ビームが重ならないようにした例では、記録層3の初期化むらの影響なく記録層5の初期化を行うことができるという利点がある。
【0099】
また、上記実施形態では、記録媒体の光ビームの入射面に近い記録層3の初期化に用いる光源19の波長を光ビームの入射面から遠い記録層5の初期化に用いる光源20よりも短くしたが、記録層3の透過率が波長が短くなるにしたがって増大する材料で構成されている等の場合には、光源19の波長を光源20の波長よりも長くしても良い。
【0100】
また、光源の数は、3個以上でもよく、記録媒体の記録層の数と一致している必要もない。
【0101】
さらに、光源として互いに波長の異なる半導体レーザを用いたが、光源19、20から出射された光ビームの光路を互いに異なる角度とし、記録媒体からの反射光が検出器部分で結像する位置を異ならせる等、異なる光源から出射された光ビームの記録媒体からの反射光を分離する別の手段を用いる場合には、同じ波長の光源としても良い。
【0102】
前記第1から第5の実施形態において、光源の波長及び対物レンズの開口数は、初期化の対象となる記録媒体における記録層の光学特性、基板の厚さ等に応じて、適宜設計できる。
【0103】
また、上記説明ではディスク状の情報記録媒体を用いて説明したが、カード状など他の形状の多層記録媒体にも応用できる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学情報記録媒体の製造方法及び初期化装置によれば、フォーカスサーボが安定で、複数の記録層を備えた多層記録媒体を短時間で、むらなく安定に初期化することができる。また、本発明の光学情報記録媒体は、記録層に初期化むらの無い高性能な多層記録媒体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置を示す部分断面構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置の要部を示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における光学情報記録媒体の要部を示す断面説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置の形態を示す部分断面構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置を示す部分断面構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置の要部を示す部分断面構成図である。
【図7】AおよびBは本発明の第2の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置から得られるフォーカスエラー信号の一例を示す波形図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置を示す部分断面構成図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置を示す部分断面構成図である。
【図10】A,BおよびCは本発明の第4の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置から得られるフォーカスエラー信号の一例を示す波形図である。
【図11】本発明の第5の実施形態における光学情報記録媒体の初期化装置を示す部分断面構成図である。
【図12】本発明の光学情報記録媒体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光学情報記録媒体
2 保護膜
3,5 記録層
4 透明分離層
5 反射層成膜室
6 基板
7 スピンドルモータ
8a,8b,8c、8d 光学ヘッド
8a’,8b’ 光ビーム
9,9’ 移送台
10,10’ 移動手段
11、11’ コントローラ
12,19,20 光源
13,21,22 コリメータレンズ
14,23,24 ビームスプリッター
15,25,26 1/4波長板
16,28 対物レンズ
17,29 ボイスコイル
18,31,32 検出器
27 波長選択性ミラー
30 光路補正手段
33,35,36,38 保護層
34,37相変化層
39 反射層

Claims (10)

  1. 光学情報記録媒体における記録層の初期化開始時において、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッドの焦点位置を前記光学情報記録媒体の予め定めた位置を中心に上下させて前記記録層を部分的に初期化する、光学情報記録媒体の製造方法。
  2. 前記光学情報記録媒体が複数の記録層を有するとともに、前記複数の記録層の少なくとも1つを初期化する際に、初期化開始時において、初期化に十分な光ビームの強度で光学ヘッドの焦点位置を上下させて前記記録層を部分的に初期化する、請求項1に記載の光学情報記録媒体の製造方法。
  3. 前記少なくとも1つの記録層を初期化する際に、初期化開始時において、前記記録層よりも大きな反射光量が得られる記録層に焦点を合わせた後に、光学ヘッドの焦点位置を前記記録媒体の厚さ方向に予め定められた距離だけ移動して目的とする記録層を初期化する、請求項2に記載の光学情報記録媒体の製造方法。
  4. 少なくとも前記目的とする記録層を初期化しない光ビームの強度で前記記録層よりも大きな反射光量が得られる記録層に焦点を合わせた後に、予め定められた距離だけ光学ヘッドの焦点位置を前記記録媒体の厚さ方向に移動させ、光ビームを前記目的とする記録層の初期化に十分な強度として、前記目的とする記録層を初期化する、請求項2に記載の光学情報記録媒体の製造方法。
  5. 光学情報記録媒体の初期化装置であって、前記光学情報記録媒体の記録層に光ビームを照射する少なくとも1つの光学ヘッドと、前記光学ヘッドに備えられた対物レンズを上下動させる駆動システムと、前記光学ヘッドから照射される光ビームの強度及び前記駆動システムを制御するコントローラーと、前記光学ヘッドを所定の方向に移動させる移動システムとを備え、
    初期化開始時において、前記コントローラーが初期化に十分な光ビームの強度で前記駆動システムを制御することで、光学ヘッドの焦点位置を前記光学情報記録媒体の予め定めた位置を中心に上下させて、前記記録層を部分的に初期化する、光学情報記録媒体の初期化装置。
  6. 前記光学情報記録媒体が複数の記録層を有する、請求項5に記載の光学情報記録媒体の初期化装置。
  7. 前記光学ヘッドには対物レンズと複数の光源を有し、少なくとも1つの光源から照射される光ビームの固有の光路上に光路補正システムを含む、請求項5または6に記載の光学情報記録媒体の初期化装置。
  8. 前記光路補正システムが液晶素子またはレンズである、請求項7に記載の光学情報記録媒体の初期化装置。
  9. 前記複数の光源の波長が互いに異なる、請求項7に記載の光学情報記録媒体の初期化装置。
  10. 前記対物レンズの上下動回数を計数するカウンターを備える、請求項5または6に記載の光学情報記録媒体の初期化装置。
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