JP4013775B2 - 電子部品供給用テープおよび電子部品供給方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープ状部材に電子部品を保持して供給する電子部品供給用テープおよび電子部品供給用テープを用いた電子部品供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装装置における部品供給方法としてテープフィーダが多用されている。テープフィーダによる部品供給では、電子部品はテープ状部材に形成された凹部内に収容された状態で供給され、このテープ状部材より成るキャリアテープを順次送給することにより電子部品を移載ヘッドによるピックアップ位置に供給する。電子部品のピックアップ動作においては、凹部内に位置する電子部品の上面に対して吸着ノズルを下降させ、吸着ノズルから真空吸引することにより、電子部品は凹部から取り出される。
【0003】
このテープによる電子部品の搬送および搬送された電子部品を吸着ノズルによって保持するピックアップ動作を安定して行うためには、凹部内において電子部品を正しく位置保持する必要がある。このため、凹部の寸法を電子部品に対して適正に設定する方法(例えば特許文献1参照)や、凹部を電子部品位置保持に適した形状にする方法(例えば特許文献2参照)などが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−142787号公報
【特許文献2】
特開昭62−146172号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで電子機器の小型化に伴って使用される電子部品の微小化が進展し、1mmを下回るサイズの微小チップが多数用いられるようになっている。このような微小部品を保持するキャリアテープには、部品に対応した微小サイズの凹部を形成しなければならない。しかしながらこのような微小サイズ部品をキャリアテープによって供給するに場合には、電子部品を吸着ノズルによってピックアップする際に次のような不都合が生じている。
【0006】
ピックアップ時のミスを防止するためには、電子部品を吸着ノズルに対して精度良く位置合わせしなければならず、このためには電子部品をキャリアテープの凹部内に収容した状態における電子部品と凹部内周面との間のクリアランスをできるだけ小さくすることが望ましい。ところが個片の電子部品をキャリアテープに収納する際には、凹部内への入れ込み作業を容易にするためある程度のクリアランスを確保する必要がある。すなわち、従来の電子部品供給用テープでは、ピックアップ動作の安定化と電子部品の収納作業の容易化とを両立することが難しく、改善策が望まれていた。
【0007】
そこで本発明は、ピックアップ動作の安定化と電子部品の収納作業の容易化とを両立させることができる電子部品供給用テープおよび電子部品供給方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品供給用テープは、電子部品実装装置の部品供給部に配置されたテープフィーダに用いられる電子部品供給用テープであって、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質の紙よりなるテープ状部材と、このテープ状部材に定ピッチで設けられ内部に電子部品を収納する矩形状の凹部と、この凹部の内周を形成し前記電子部品の位置を保持する位置保持面と、前記凹部のコーナ部を部分的に切り欠いて前記凹部と同じ深さで設けられ前記吸湿による収縮において前記位置保持面の凹部内側への変位を許容する切り欠き部とを備えた。
【0009】
請求項2記載の電子部品供給方法は、電子部品供給用テープに保持された電子部品を部品供給部に配置されたテープフィーダを介して電子部品実装装置に供給する電子部品供給方法であって、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質の紙よりなるテープ状部材に定ピッチで設けられた矩形状の凹部内に電子部品を収納する部品収納工程と、部品収納工程後の電子部品供給用テープを吸湿させる過程を経ることにより、前記凹部の内周を形成し前記電子部品の位置を保持する位置保持面を凹部内側へ変位させる凹部収縮工程と、凹部収縮工程によって電子部品と位置保持面との間の隙間が縮小した状態の電子部品供給用テープを前記テープフィーダに装着するテープ装着工程とを含む。
【0010】
請求項3記載の電子部品供給方法は、請求項2記載の電子部品供給方法であって、前記凹部収縮工程において、電子部品供給用テープを加湿する。
【0011】
請求項4記載の電子部品供給方法は、請求項2記載の電子部品供給方法であって、前記凹部収縮工程において、電子部品供給用テープを一旦冷却して結露させる。
【0012】
本発明によれば、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質よりなるテープ状部材に定ピッチで設けられた矩形状の凹部内に電子部品を収納し、部品収納工程後の電子部品供給用テープを吸湿させて凹部の内周の位置保持面を凹部内側へ変位させることにより、電子部品と位置保持面との隙間が縮小した状態で電子部品をピックアップすることができ、ピックアップ動作の安定化と電子部品の収納作業の容易化とを両立させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープが使用される電子部品実装装置の断面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープを送給するテープフィーダの側面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープを送給するテープフィーダのピックアップ位置の側面図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープの拡大平面図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープの部品収納用凹部の収縮状態の説明図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品供給方法のフロー図である。
【0014】
まず図1を参照して電子部品実装装置の構造について説明する。図1において、電子部品実装装置1は電子部品を供給する部品供給部2を備えており、部品供給部2にはテープフィーダ4を装着するためのフィーダベース3が設けられている。フィーダベース3の下面側には、部品供給用の台車5が搬入されており、台車5には複数の供給リール6がセットされている。供給リール6は、電子部品供給用テープであるキャリアテープ7を卷回状態で供給する。
【0015】
フィーダベース3の上面にはテープフィーダ4が複数基配置されており、テープフィーダ4は供給リール6からキャリアテープ7を引き出し、移載ヘッド8によるピックアップ位置までピッチ送りする。移載ヘッド8は制御部11によって制御され、テープフィーダ4からピックアップした電子部品を搬送路9上に位置決めされた基板10に実装する。
【0016】
次に図2、図3を参照してテープフィーダ4の構造およびキャリアテープ7の構成を説明する。図2に示すように、テープフィーダ4はフィーダベース3上面に本体部4aの下面を沿わせた形で装着され、本体部4aから下方に突出して設けられた係止部4bをフィーダベース3の端部に係止させることによりテープフィーダ4が固定される。係止部4bには、テープフィーダ4の電源や制御信号などの電気配線を電子部品実装装置1の電気回路と接続するためのコネクタが内蔵されており、テープフィーダ4をフィーダベース3に装着することにより、電気的な接続が完了するようになっている。
【0017】
ここで、キャリアテープ7の構成を説明する。キャリアテープ7は、テープ状部材であるベーステープ7aに定ピッチで設けられたポケット状の電子部品収納用の凹部7bの内部に電子部品Pを保持し、凹部7bの上方をトップテープ7cによって覆った構成となっている。ベーステープ7aの一方側の側端部には、テープ送りに用いられる送り穴7cが長さ方向に沿って定ピッチで設けられている。
【0018】
図3において、テープフィーダ4の前端部(図3において右側)には、スプロケット12が配設されている。スプロケット12の送りピン12aはベーステープ7aに設けられた送り穴7dに噛み合い、テープ送り機構13のモータ13aよってスプロケット12がピッチ回転することにより、キャリアテープ7をピッチ送りする。このテープ送りにより、供給リール6からキャリアテープ7が引き出される。引き出されたキャリアテープ7は、図2に示すようにテープフィーダ4の後端部に設けられたテープ導入部18から本体部4a内に導かれ、テープ送給経路14に沿って前方へ送られる。
【0019】
テープフィーダ4の先端部は移載ヘッド8による電子部品のピックアップ位置となっており、図3に示すように送られてきたキャリアテープ7は先端部上面に設けられた押さえ部材17の下方をピッチ送りされる。このピッチ送りの途中で、押さえ部材17に設けられた開口部17aを介して、ベーステープ7aの凹部7b内に保持された電子部品Pが移載ヘッド8によってピックアップされる。電子部品Pのピックアップに先だって、ベーステープ7aの上面からトップテープ7cが剥離され、後方へ折り返されてトップテープ送り機構15によってテープ収納容器16内に収納される。
【0020】
次に図4を参照して、キャリアテープ7の主体となるベーステープ7aの構造について説明する。ベーステープ7aは紙製のテープ状部材に部品収納用の矩形状の凹部7bを定ピッチで形成した構造となっている。凹部7bは所定厚の紙製テープの片面に、プレス加工によって長さ寸法L・幅寸法Wの矩形状の窪みを設けて形成されている。ここで凹部7bのコーナ部は部分的に切り欠かれており、円形の切り欠き部7eが凹部7bと同じ深さで形成されている。この切り欠き部7eは、後述するように、部品収納後のベーステープ7aにおける凹部7bの収縮変形を許容し、さらに望ましくは収縮変形を促進する機能を有する。
【0021】
凹部7bの内周面は、凹部7b内に電子部品Pを収納した状態において、電子部品Pが一方側に偏った場合に電子部品Pの外面と当接して位置を保持する位置保持面7fとしての機能を有している。このため長さ寸法L・幅寸法Wは、対象となる電子部品Pを収納した状態において、位置保持面7fと電子部品Pの外側面との間に適正クリアランスC1,C2が確保されるような寸法に設定される。例えば、長さ・幅がそれぞれ0.6mm・0.3mmのチップ型部品(0603部品と略称される)の場合には、クリアランスC1,C2をそれぞれ35μm見込んで、凹部7bの長さ寸法L・幅寸法Wは、0.37mm・0.67mmに設定される。
【0022】
次にこのような構成のベーステープ7aが吸湿過程を経た場合の凹部7bの形状変化について、図5を参照して説明する。ベーステープ7aは吸湿性が高く吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質の紙で製作されている。常温・常湿雰囲気(例えば25℃・湿度50%)で部品収納用の凹部7bが形成された状態では、図5(a)に示すように凹部7bは内周の位置保持面7fが直線状に保たれた矩形形状を保っている。
【0023】
図5(b)は、ベーステープ7aに一旦吸湿させて乾燥させた後、すなわち吸湿過程を経た後の凹部7bの形状を示している。紙は吸湿により一旦膨張し、その後再乾燥することにより収縮することが一般に知られており、この収縮は凹部7bが設けられたベーステープ7aにおいても同様に発生する。この収縮変形において、凹部7bのサイズ全体が平均的に減少するような収縮が生じるのではなく、凹部7bの内周の位置保持面7fは、各辺の中央部がより大きく凹部内側へ変位するような凸状変形挙動を示す(図5(b)に示す変位d参照)。実測結果では、上述の0603部品用の凹部において、長さ寸法Lでは約20μm、幅寸法Wでは約12μmの収縮変位が計測されている。
【0024】
本実施の形態に示すキャリアテープ7においては、この凹部7bの収縮による位置保持面7fの凸状変形を、電子部品の凹部7b内における位置安定のために積極的に利用するようにしている。すなわち、前述のクリアランスC1,C2は部品収納時の作業を容易にする観点からは大きい方が望ましいが、部品ピックアップ時の位置保持の観点からはできるだけ小さい方が望ましい。このため、本実施の形態においては、部品収納後のクリアランスC1,C2を吸湿による凹部7bの凸状収縮変形によって減少させるようにしている。
【0025】
この凸状変形挙動において、凹部7bのコーナ部に切り欠き部7eを設けることにより、コーナ部における各辺の角変位を拘束する拘束度合いが低下する。これにより、各辺の中央部が凹部内側へ最も大きく変位して、位置保持面7fの凸状変形が促進される。すなわち、切り欠き部7eは、吸湿による収縮において位置保持面7fの凹部内側への変位を許容する。
【0026】
なお切り欠き部7eの形状としては、ここで示す円形の切り欠き形状以外にも、コーナ部における各辺の角変位を拘束する拘束度合いを低下させるような形状であれば、単なるスリット形状やVノッチ状の切り欠きなど各種の形状を用いることができる。切り欠き部7eの形状や深さについては、ベーステープ7aの材質や厚み寸法と凹部7bの形状との関連で、最適な形状、深さを試行によって求めることが望ましい。
【0027】
次に図6を参照して、このキャリアテープ7による電子部品供給方法について説明する。まず、常温・常湿雰囲気(例えば25℃・湿度50%)において、ベーステープ7aの凹部7b内に電子部品を収納する(部品収納工程)(ST1)。このとき、凹部7bのクリアランスC1,C2(図4参照)は、前述のように吸湿による収縮を見込んで大きめに設定されており、凹部7b内への電子部品の収納時の作業を容易に行うことができる。この部品収納後凹部7bを覆ってトップテープ7cが貼着され、トップテープ貼着後のベーステープ7aを供給リールに卷回して収容する(ST2)。これにより、キャリアテープ7を供給リール単位で取り扱うことが可能となる。
【0028】
この後供給リールを加湿器内に収容し、所定時間放置することにより、ベーステープ7aを加湿して吸湿させる(ST3)。そして所定の吸湿時間経過後、供給リールを加湿器から取り出し、キャリアテープ7を再乾燥させることにより凹部7bを収縮させて、位置保持面7fを凹部内側へ変位させる(凹部収縮工程)(ST4)。次いで、凹部収縮処理後、電子部品と位置保持面7fとの隙間が縮小した状態のキャリアテープ7を収容した供給リールを電子部品実装装置に供給し、テープフィーダに装着する(テープ装着工程)(ST5)。
【0029】
なお、電子部品実装装置が設置されている環境雰囲気の湿度が低い場合には、再乾燥のためのプロセスは必要なく、そのまま電子部品実装装置へ供給してもよい。また、上記実施の形態では、ベーステープ7aを吸湿させるために、加湿器に収容する方法を用いる例を示しているが、これ以外の方法によって吸湿させるようにしてもよい。
【0030】
例えば図6のフローにおいて、(ST3)で加湿器に収容する替わりに、冷蔵庫もしくは冷凍庫に供給リールを収容し、キャリアテープ7全体を一旦冷却するようにしてもよい。これにより、冷却状態から常温常湿または高温高湿状態に戻されたキャリアテープ7の表面には結露が生じ、ベーステープ7aはこの結露によって吸湿する。そしてこの後再乾燥させることにより、図6に示す例と同様に凹部7bが収縮する。
【0031】
上記説明したように、本実施の形態に示すキャリアテープ7を用いた電子部品供給方法においては、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質よりなるベーステープ7aを用い、ベーステープ7aの吸湿による収縮を積極的に利用することにより、部品収納用の凹部7bを部品収納後に望ましい形状に変化させるようにしたものである。
【0032】
これにより、ピックアップ動作の安定化と電子部品の収納作業の容易化とを両立するができる。前述の0603部品を対象として行った試行の結果によれば、吸湿による凹部収縮処理を行った場合には、未処理状態のキャリアテープ7を用いた場合と比較して、吸着ミスの発生頻度が約半減することが確認されている。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質よりなるテープ状部材に定ピッチで設けられた矩形状の凹部内に電子部品を収納し、部品収納工程後の電子部品供給用テープを吸湿させて凹部の内周の位置保持面を凹部内側へ変位させるようにしたので、電子部品と位置保持面との隙間が縮小した状態で電子部品をピックアップすることができ、ピックアップ動作の安定化と電子部品の収納作業の容易化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープが使用される電子部品実装装置の断面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープを送給するテープフィーダの側面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープを送給するテープフィーダのピックアップ位置の側面図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープの拡大平面図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品供給用テープの部品収納用凹部の収縮状態の説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品供給方法のフロー図
【符号の説明】
1 電子部品実装装置
2 部品供給部
4 テープフィーダ
6 供給リール
7 キャリアテープ
7a ベーステープ
7b 凹部
7e 切り欠き部
7f 位置保持面
Claims (4)
- 電子部品実装装置の部品供給部に配置されたテープフィーダに用いられる電子部品供給用テープであって、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質の紙よりなるテープ状部材と、このテープ状部材に定ピッチで設けられ内部に電子部品を収納する矩形状の凹部と、この凹部の内周を形成し前記電子部品の位置を保持する位置保持面と、前記凹部のコーナ部を部分的に切り欠いて前記凹部と同じ深さで設けられ前記吸湿による収縮において前記位置保持面の凹部内側への変位を許容する切り欠き部とを備えたことを特徴とする電子部品供給用テープ。
- 電子部品供給用テープに保持された電子部品を部品供給部に配置されたテープフィーダを介して電子部品実装装置に供給する電子部品供給方法であって、吸湿過程を経ることにより収縮する性質を有する材質の紙よりなるテープ状部材に定ピッチで設けられた矩形状の凹部内に電子部品を収納する部品収納工程と、部品収納工程後の電子部品供給用テープを吸湿させる過程を経ることにより、前記凹部の内周を形成し前記電子部品の位置を保持する位置保持面を凹部内側へ変位させる凹部収縮工程と、凹部収縮工程によって電子部品と位置保持面との間の隙間が縮小した状態の電子部品供給用テープを前記テープフィーダに装着するテープ装着工程とを含むことを特徴とする電子部品供給方法。
- 前記凹部収縮工程において、電子部品供給用テープを加湿することを特徴とする請求項2記載の電子部品供給方法。
- 前記凹部収縮工程において、電子部品供給用テープを一旦冷却して結露させることを特徴とする請求項2記載の電子部品供給方法。
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