JP4013279B2 - 生分解性結束紐 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性結束紐に係り、特に塑性変形可能で、柔軟性と可撓性を付与すると同時に、低コストで物性の向上をはかることができる生分解性結束紐に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、農園芸の用途において、苗木を添え木に固定したり、あるいは蔓を同様に固定したりする目的で使用される結束紐としては、例えば、プラスチック製の紐や針金をプラスチック製テープで被覆して紐状としたものなどが一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような用途に使用される結束紐は、苗木や蔓を添え木に固定した後には不要となるので、植物と一緒にそのまま処理できれば好都合であるが、針金があるので危険なこと、またプラスチック製テープまたは紐は腐らないので分別しなければならないことなど、後始末に手間がかかるという問題があった。
したがって、本発明の課題は、使用後にそのまま放置しておいても地表に落ちると自然に分解してしまう後処理が容易であり、しかも安価で、捩じったときに塑性変形可能な生分解性結束紐を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、従来使用されていたプラスチック製の結束紐または針金とプラスチック製テープからなる結束紐に代えて、生分解性の芯材とテープ部材からなる生分解性の新たな結束紐またはテープ部材をスリットし、延伸させてなる結束紐を用いることにより、実用上望ましい生分解性結束紐を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の生分解性結束紐は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、充填剤50〜300重量部を含有してなる芯材を、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、(1)エポキシ系のシランカップリング剤で表面処理された、セラミックバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、シリカ、または、シリカを主成分とする製紙ヘドロ焼却灰からなる充填剤、(2)チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アセチレングリコール、または、アセチレングリコールの誘導体で表面処理された(1)に示した充填剤以外の無機充填剤、または、(3)アセチレングリコールで表面処理された澱粉質の有機充填剤10〜150重量部を含有してなるテープ部材で被覆してなることを特徴としている。
本発明の第2の生分解性結束紐は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、(1)エポキシ系のシランカップリング剤で表面処理された、セラミックバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、シリカ、または、シリカを主成分とする製紙ヘドロ焼却灰からなる充填剤、(2)チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アセチレングリコール、または、アセチレングリコールの誘導体で表面処理された(1)に示した充填剤以外の無機充填剤、または、(3)アセチレングリコールで表面処理された澱粉質の有機充填剤、10〜150重量部を含有してなるテープ部材が、所定幅にスリットされ、200〜800%に延伸されてなることを特徴としている。
【0005】
本発明に用いられる芯材は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂に充填剤を配合してなるものであるが、芯材を塑性変形させるために、望ましくはこの充填剤を表面処理せずに高充填することにより、材料自体のコストを安価にすることができる。
また、本発明に用いられるテープ部材は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂を主材としてなるものであり、該樹脂をそのまま用いてもよいが、好ましくは表面処理された充填剤を高充填することによって、低価格で物性の低下、特に伸びの低下の少ないものにすることができる。
さらに、本発明に用いられる別のテープ部材は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、表面処理された充填剤10〜150重量部を含有してなるシートからなるものであり、これを所定幅にスリットし、200〜800%に延伸することにより、柔軟性を付与するとともに長さ当たりの単価をさらに安価にすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の生分解性結束紐の一例を示す部分斜視図である。この図に示すように、生分解性結束紐は、芯材2とこれを覆うテープ部材3から構成されている。この芯材2は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂に対して、特定量の充填剤が含有されてなるものである。
本発明に用いられる上記生分解性脂肪族ポリエステル樹脂としては、生分解性を有するものであればよく、具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などで例示される多価カルボン酸及びこれらの無水物などと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールとの縮重合物、乳酸の環状二量体であるラクチドやε−カプロラクトンなどの環状エステルの開環重合物(ポリカプロラクトン)、乳酸やヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸のようなヒドロキシ酸の縮重合物などが例示され、1種または2種以上の混合物として使用される。
【0007】
また、芯材2に含有されている充填剤としては、無機充填剤と有機充填剤とが例示され、無機充填剤としては炭酸カルシウム、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、セラミックバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、製紙ヘドロを焼却して得られるシリカを主成分とする焼却灰などが挙げられ、有機充填剤としては小麦、トウモロコシなどの穀物、バレイショ、サツマイモ、タピオカなどの芋類の澱粉などが挙げられる。これらの平均粒径は0.1〜100μmのものがよく、また上記充填剤は1種または2種以上の混合物として使用され、混合することにより互いに特性を補完することができる。
【0008】
これら例示した充填剤の中で、炭酸カルシウムについては、平均粒径が0.1〜6μmのものであれば重質、軽質、コロイド質のいずれでもよいが、脂肪酸などによる表面処理がなされていないほうが好ましい。また粒径の大小による比表面積の差異は成形時の粘度、物性に影響が出るので、粒径の小さな炭酸カルシウムは粒径の大きなものよりも添加量を少なくするのが望ましい。クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムまたはシリカについても、炭酸カルシウムと同様の粒径、表面処理のものが用いられる。
【0009】
また、セラミックバルーン、ガラスバルーンまたはガラスビーズについては、平均粒径が1〜100μm程度、特には40〜50μmであればよい。これら球状の充填剤は充填時の粘度上昇が小さく、特にセラミックバルーン、ガラスバルーンは中空のため比重が小さく、この添加によって生分解性樹脂の比重も小さくなるのでコスト面で有利となる。また真球のセラミックバルーン、ガラスバルーンを使用すると、添加した生分解性樹脂中で方向性が現れないため、成形の際に方向性のない製品の得られる利点がある。
【0010】
有機充填剤としての澱粉は、小麦、トウモロコシなどの穀物の澱粉、バレイショ、サツマイモ、タピオカなどの芋類の澱粉など、材料の種類によって種々の形状をとり、アミロース及びアミロペクチンの含量、その重合度も異なり、粒径も種々であるが、平均粒径は1〜100μm程度、特には10〜25μmのものであればいずれの澱粉でもよい。澱粉には滑性があり、樹脂との混合物に滑剤を添加せずに成形時の滑性を付与できるので、配合の手間、コストの点で有利となる。
【0011】
芯材2は、これを被覆するテープ部材3より伸びを少なく塑性変形を起し易くさせるものであるから、芯材に用いる上記充填剤は表面処理を行わないものを使用するのが好ましい。また充填剤の添加量は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、50〜300重量部であり、この添加量が50重量部未満では、芯材が塑性変形を起こし難く、300重量部を超えると、あまりにも脆くなり過ぎて結束紐として使用できなくなってしまうので好ましくない。
このような芯材の直径は、目的とする結束用途により異なるが、通常0.2〜1.0mmの範囲内のものが用いられる。
【0012】
次に、本発明を構成するテープ部材3は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂を主材としてなるものであるが、この樹脂単独でもよいが、これに表面処理された充填剤を添加したものが好ましく採用される。
このテープ部材3に用いられる生分解性脂肪族ポリエステル樹脂としては、上記芯材2で例示したものが挙げられるが、芯材で用いたものと同一でも同種のものでもよい。
また、テープ部材3に用いられる充填剤としては、上記芯材2で例示したものと同様の素材が用いられるが、これに表面処理を施したものが好ましい。
その理由は、被覆用テープ部材の素材は、前記芯材が捩じられて結束されたときに、塑性変形を起こした状態あるいは破断に近い状態になったときにこれを保持するのに十分な伸び、強度が必要なためである。したがって、充填剤に表面処理を施して樹脂との親和性を高めることが好ましく、この表面処理された充填剤を添加することによって材料に粘り特性を付与すると同時に、安価にすることができる。
テープ部材3に用いられる充填剤に添加して表面処理するためのカップリング剤は、充填剤がセラミックバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、シリカ及びシリカを主成分とする製紙ヘドロ焼却灰の場合では、エポキシ系のシランカップリング剤(表1)がよく、これら以外の無機充填剤ではチタネート系カップリング剤(表2)、アルミニウムカップリング剤(表3)あるいはアセチレングリコール及びこの誘導体(表4)が適当である。
【0013】
【表1】
Figure 0004013279
【0014】
【表2】
Figure 0004013279
【0015】
【表3】
Figure 0004013279
【0016】
【表4】
Figure 0004013279
【0017】
一方、有機充填剤としての澱粉質の表面処理については、アセチレングリコールが好ましい。
上記アセチレングリコールは、強力な界面活性剤で、澱粉中のOH基に配向し有機の部分が樹脂に向かう形となるため、樹脂中への均一分散および相互作用が生じることにより物性低下が小さくなると考えられる。澱粉などの有機の粉末を樹脂中に均一に分散させるのは、通常の表面処理剤には期待できないものであり、アセチレングリコールの大きな効果である。
【0018】
これらの充填剤の表面処理の方法については、湿式法(加水分解による方法)、乾式法、ミキシングロール上でのインテグラルブレンドなど、いずれの方法で処理しても差しつかえない。表面処理するためのカップリング剤の添加量は0.5〜5PHRの範囲であることが望ましく、この添加量が0.5PHR未満ではカップリング剤としての効果があまり期待できず、また5PHRを超えると高価になって経済性に劣るものとなる。
【0019】
このように表面処理された充填剤は、テープ部材に用いる前記生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、好ましくは10〜150重量部の範囲内で必要な特性に応じて添加されるもので、充填剤の添加による粘度調整、流動性、接着性、強度などを調整することもできる。なお、この添加量が150重量部を超えると粘度が上がり過ぎて成形性、物性の低下が著しく、実用性がなくなってしまい、また10重量部未満であると、目的とする効果が得られない。
【0020】
表面処理された充填剤が添加された生分解性樹脂族ポリエステル樹脂は、通常使用時に、光劣化を起こしてはならないため、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加してもよく、また着色のための顔料や柔軟性を付与するための可塑剤などを添加してもよい。
【0021】
さらに生分解性脂肪族ポリエステル樹脂は、通常発熱量がポリエチレンなどの約1/2であるが、表面処理された充填剤が添加された上記生分解性脂肪族ポリエステル樹脂では、発熱量がさらに少なく、ポリエチレンなどの1/3〜1/4となり、焼却炉での焼却処理も全く問題なく、また無機充填剤の種類によってはpHが8以上のアルカリ性のものがあり、これらは土壌中で樹脂の加水分解を促進させ、微生物による分解速度を速めることができる。澱粉などの添加は、微生物による樹脂の分解をし易くするため、さらに分解が促進されるという効果も期待できる。
【0022】
本発明の生分解性結束紐を製造するには、まず、充填剤を所定量配合した生分解性脂肪族ポリエステル樹脂を押出機などを用いて押し出して、予め芯材を作製し、これを電線と同様にクロスヘッドダイを使用してテープ状の中間部に押出し一体化するか、あるいは2台の押出機をダイス直前で結合しておき芯材とテープ部材を同時に押出し一体化させて製造する。この材料には吸湿性があり、かつ充填剤によって、この水分が保持されるので、表面抵抗が小さく静電気による帯電がなくなるので汚れの付着がなく、生分解性結束紐として望ましい特性も有する。
【0023】
なお、芯材を被覆するテープ部材の幅は、3〜8mmの範囲であればよく、そのテープ部材の厚さは0.05〜0.3mm程度あれば使用上問題はない。
また、このようにして得られた生分解性結束紐は、図1に示すように、テープ部材3の中央に芯材2を配置したもの、あるいはテープ部材の端部に芯材を施したもの(図示せず)でもよく、芯材がテープ部材によって被覆されていれば、いずれであってもよい。
このような本発明の生分解性結束紐は、内部の芯材が、充填剤を高充填することによって、塑性変形が可能となり、これを被覆するテープ部材は塑性変形が進みヒビ割れた状態になった場合に、この芯材を保護すると同時にテープ部材自体の絡まりによる緩みを防止する働きもする。
【0024】
次に、本発明の生分解性結束紐に用いられる別のテープ部材は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂に、表面処理された充填剤を含有したシートからなるものである。この生分解性脂肪族ポリエステル樹脂及び表面処理された充填剤は、上記で例示したものと同様のものが挙げられ、両者の配合割合は、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、表面処理された充填剤10〜150重量部の範囲内である。
この範囲が、150重量部を超えると、粘度が上がり過ぎて成形性、物性の低下が著しくなって延伸性も劣り、実用性がなくなってしまい、また10重量部未満であると、充填剤を添加することによる粘度調整、流動性などに及ぼす効果が少なくなってしまう。
【0025】
このテープ部材は、所定幅にスリットされるが、この幅は通常用いられている範囲であれば特に制限はないが、例えば5〜50mm程度の範囲内で使用される。またスリットされたものは、200〜800%の範囲内で延伸されて本発明の別の生分解性結束紐が作製される。
この延伸条件は重要であって、この値が200%未満であると、延伸が不十分で強度的に問題が生じ、またコスト的に不利である。逆に800%を超えると、破断してしまうので好ましくない。
【0026】
このようなテープ部材から本発明の別の生分解性結束紐を製造するには、まず上記例示した材料を用いて、これを混合し、Tダイあるいはインフレーションによる押し出しによってシートを作製する。次いで、これら押し出されたシートを冷却した後、適宜幅にスリットした後、200〜800%で延伸させることによって薄くなり、柔軟性が増し、また延伸によって樹脂の配向、充填剤の配向が起こり、強度が増し、結束紐として好都合のものが得られる。
このシートの厚さは押し出し後に、延伸を行うため、100〜200μmが適当であり、延伸率は配合内容(充填剤の種類、添加量)によって調整すればよいが、例えば、300%延伸によって、テープの体積はほぼ1/2〜1/3となり、厚さは初期厚さの60〜70%、幅は50〜40%となる。
【0027】
このような生分解性結束紐は、吸湿性があり、かつ充填剤によって、この水分が保持されるので表面抵抗が小さく静電気による帯電がないので、汚れの付着がないという結束紐として望ましい特性も有し、さらに充填剤添加により、硬度調整、柔軟性調整も行うこともできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に限定されるものではない。
[芯材の作製]
まず、生分解性結束紐の芯材として下記を準備した。
1.脂肪族ポリエステル:ビオノーレ3010(昭和高分子社製、商品名 1,4−ブタンジオールとアジピン酸の重合体)100重量部、平均粒径50μmの製紙ヘドロ焼却灰45重量部、ステアリン酸2重量部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム:7764(昭島化学工業社製、商品名)3重量部を120℃のミキシングロールで樹脂の溶融後5分間混練した。これをシート状として取り出し、室温まで冷却した後、粉砕して、芯材Aのペレットを作製した。
2.製紙ヘドロ焼却灰添加量を150重量部とした他は、上記芯材Aのペレットと同様にして芯材Bのペレットを作製した。
3.製紙ヘドロ焼却灰添加量を305重量部とした他は、上記芯材Aのペレットと同様にして芯材Cのペレットを作製した。
上記芯材A,B,Cのペレットをスクリュー径20mmφの押出機を用い、1mmφのロッドを押出した。このロッドの状況を確認したところ、以下のとおりであった。
A…柔軟性があり、塑性変形し難く、本用途には不適切であった。
B…適度に塑性変形を起こし、本用途には適性があった。
C…脆くなり過ぎ、簡単に折れてしまい本用途には不適切であった。
【0029】
[実施例1]
テープ部材として、脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ1001(昭和高分子社製、商品名、1,4−ブタンジオールとコハク酸の重合体)100重量部、チタネートカップリング剤としてテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート1重量部を添加した平均粒径2μmの重質炭酸カルシウム120重量部、ステアリン酸2重量部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム:7764(同前)3重量部を、120℃のミキシングロールで樹脂の溶融後、5分間混練した。これをシート状として取り出し、室温まで冷却した後、粉砕してペレットを作製した。
次に、これをダイスの手前で接合されたスクリュー径50mmの押出機2台を用いて、シリンダー温度80〜170℃、ダイス温度180℃の条件で、上記芯材Bのペレットを用いて外径を0.4mmとし、これがテープ部材の中間になるようにして同時押し出しを行ない、テープ部材の厚さ0.1mm、幅5mmの生分解性結束紐を作製した。
この結束紐を捩ったときの塑性変形性は良好であり、紐による結束は問題なく行うことができた。
【0030】
[実施例2]
テープ部材として、脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ1001(同前)100重量部、アセチレングリコールの酸化エチレン付加体:サーフィノール440(日信化学工業社製、商品名)1重量部を添加したコーンスターチ100重量部(日本製粉社製)とを120℃のミキシングロールで樹脂の溶融後、5分間混練した。これをシート状として取り出し、室温まで冷却した後、粉砕してペレットを作製した。
また、芯材は実施例1と同様Bのペレットを使用し、これらの芯材とテープ部材を用いて実施例1と同様の方法で生分解性結束紐を作製した。
この結束紐を捩ったときの塑性変形性は良好であり、紐による結束は問題なく行うことができた。
【0031】
[実施例3]
テープ部材として、脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ1001(同前)100重量部、高分子量エポキシ系シランカップリング剤:MAC2101(日本ユニカー社製、商品名)1重量部を添加したガラスバルーン:X−39(旭硝子社製、商品名)60重量部、ステアリン酸を2重量部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム:7764(前出)3重量部とを90℃のミキシングロールで樹脂の溶融後、5分間混練した。これをシート状として取り出し、室温まで冷却した後、粉砕してペレットを作製した。
また、芯材は実施例1と同様Bのペレットを使用し、これらの芯材とテープ部材を用いて実施例1と同様の方法で生分解性結束紐を作製した。
この結束紐を捩ったときの塑性変形性は良好であり、紐による結束は問題なく行うことができた。
【0032】
[比較例1]
芯材として、上記Aのペレットを使用した以外は、実施例1と同様の方法で芯材とテープ部材からなる生分解性結束紐を作製した。
この結束紐は、捩った時の弾力性が強過ぎて十分な塑性変形が起こらず、結束性は不可であった。
【0033】
[比較例2]
芯材として、上記Cのペレットを使用した以外は、実施例1と同様の方法で芯材とテープ部材からなる生分解性結束紐を作製した。
この結束紐は捩った時、芯材が脆過ぎて十分な結束力が得られなかった。
【0034】
[実施例4]
テープ部材として、脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ1001(同前)100重量部、チタネートカップリング剤としてテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート1重量部を添加した平均粒径2μmの重質炭酸カルシウム120重量部、ステアリン酸2重量部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム:7764(同前)3重量部を、120℃のミキシングロールで樹脂の溶融後、5分間混練した。これをシート状として取り出し、厚さ2mmの型枠に入れ、140℃で5分間プレスして厚さ2mmのシートとした。このシートからJISに規定されている2号ダンベルで打ち抜き試験用サンプルを作製し、200mm/minの速度で引張試験を行い、機械特性を測定し、その結果を表5に示した。
他方、前記シート状物を室温に冷却後、粉砕してペレットを作製した。これをスクリュー径65mmの押出機を用いて、シリンダー温度80〜170℃、ダイス温度180℃で厚さ100μm、幅70mmのシートを押し出した。
これを20mm幅にスリットした後、300%延伸して厚さ60μm、幅13mmの柔軟な生分解性結束紐を得た。
これは、結束用紐として十分な柔軟性があり、扱い易いものであった。
【0035】
[実施例5]
テープ部材として、脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ1001(同前)100重量部、アセチレングリコールの酸化エチレン付加体:サーフィノール440(前出)1重量部を添加したコーンスターチ100重量部(日本製粉社製)とを120℃のミキシングロールで樹脂の溶融後、5分間混練した。これをシート状として取り出し、実施例4と同様にして打ち抜き試験用サンプルを作製し、同様の測定を行ったところ、表5に示す結果が得られた。
上記シート状物を室温に冷却後、粉砕してペレットを作製した。これを用いて実施例4と同様の条件でシートを押し出した。
このシートも20mm幅にスリットし、実施例4と同様の条件で生分解性結束紐を得た。
これは、結束用紐として十分な柔軟性があり、扱い易いものであった。
【0036】
[実施例6]
テープ部材として、脂肪族ポリエステル樹脂:ビオノーレ1001(同前)100重量部、高分子量エポキシ系シランカップリング剤:MAC2101(同前)1重量部を添加したガラスバルーン:X−39(旭硝子社製、商品名)60重量部、ステアリン酸を2重量部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム:7764(前出)3重量部とを90℃のミキシングロールで樹脂の溶融後、5分間混練した。これをシート状として取り出し、実施例4と同様にして打ち抜き試験用サンプルを作製し、同様の測定を行ったところ、表5に示す結果が得られた。
上記シート状物を室温に冷却後、粉砕してペレットを作製した。これを用いて実施例4と同様の条件でシートを押し出した。
このシートも20mm幅にスリットし、実施例4と同様の条件で生分解性結束紐を得た。
これは、結束用紐として十分な柔軟性があり、扱い易いものであった。
【0037】
なお、本発明の生分解性結束紐である上記実施例1〜6で得られた結束紐を腐葉土中に埋設し、23℃、55%RHの恒温室中に放置したところ、3か月後には分解はかなり進行していた。
【0038】
【表5】
Figure 0004013279
【0039】
【発明の効果】
本発明の生分解性結束紐は、捩じったときに塑性変形が可能であり、充填剤を多量に添加したときでも、物性の低下が少なく、土中に埋めておけば樹脂分の少ない分だけ分解が速く、アルカリ性充填剤であれば、土壌中での加水分解を促進するので微生物による分解がより速くなる。また、澱粉質の充填剤を添加してあれば、微生物による分解はさらに速くなる。
しかも、焼却したときの発熱量も従来の生分解性樹脂の1/2程度で、焼却炉を傷めることがないなどの利点を有する。
さらに、テープ部材が延伸されたものでは、延伸によって、長さ当たりの単価も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解結束紐の一例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
1…生分解性結束紐
2…芯材
3…テープ部材

Claims (2)

  1. 生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、充填剤50〜300重量部を含有してなる芯材を、生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、(1)エポキシ系のシランカップリング剤で表面処理された、セラミックバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、シリカ、または、シリカを主成分とする製紙ヘドロ焼却灰からなる充填剤、(2)チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アセチレングリコール、または、アセチレングリコールの誘導体で表面処理された(1)に示した充填剤以外の無機充填剤、または、(3)アセチレングリコールで表面処理された澱粉質の有機充填剤10〜150重量部を含有してなるテープ部材で被覆してなることを特徴とする生分解性結束紐。
  2. 生分解性脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し、
    (1)エポキシ系のシランカップリング剤で表面処理された、セラミックバルーン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、シリカ、または、シリカを主成分とする製紙ヘドロ焼却灰からなる充填剤、(2)チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アセチレングリコール、または、アセチレングリコールの誘導体で表面処理された(1)に示した充填剤以外の無機充填剤、または、(3)アセチレングリコールで表面処理された澱粉質の有機充填剤、10〜150重量部
    を含有してなるテープ部材が、所定幅にスリットされ、200〜800%に延伸されてなることを特徴とする生分解性結束紐。
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