JP4013141B2 - 吸引車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気吸引力によって土砂等を吸引する吸引車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地中に埋設物(ガス管や水道管など)がある場合において、埋設物を損傷しないように、埋設物近傍の土壌を掘削して空気吸引で吸い上げ、回収ホッパに回収し、所望の排出場所に回収した土砂を排出する吸引車が知られている。特許文献1、非特許文献2では、圧縮空気で土壌を破砕してその土壌を真空吸引力で車両上の回収ホッパに回収するようにしてあるものが開示してある。特に特許文献1では、回収ホッパを傾斜させることなく、回収ホッパの底板を開いて車両下側に回収土砂を排出するものが開示されている。
特許文献2には、車両後部に設けた土砂回収容器の後部蓋を後方に開き、回収容器を後方に傾斜して排出するいわゆる後方ダンプ方式のものが開示されている。
非特許文献1には、車両上の回収ホッパが上向きに開口の箱形状を成して車両の右方向に傾動できるようにシャーシ上に取り付けられ、その開口を覆う蓋が、回収ホッパの傾動方向と逆方向に傾動して開口を開くように設けてあり、該蓋に土砂を空気吸引する可撓性吸引ダクトの端末が連結されていて、土砂排出時には、前記蓋を傾動してホッパ上側を開放し、その状態でホッパを側方傾動して回収土砂を排出するサイドダンプ方式のものが開示してある。
【0003】
【特許文献1】
特許2963263号公報
【特許文献2】
特開2001−123521号公報
【非特許文献1】
技術情報-ESE 26/7(Technical data - ESE 26/7)、[online]、RSP有限会社(RSP.GMBH)、[平成15年2月28日検索]、インターネット、<URL:http://www.rsp-germany.com/eng/techdataese26.htm>
【非特許文献2】
エアーショベル、[online]、兼松エンジニアリング株式会社営業管理部、[平成15年2月28日検索]、K&E NEWS NO.30の”NEXT PAGE”、インターネット、<URL: http://www.kanematsu-eng.jp/news30/30-2-3.htm>
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、シャーシ上に設けた固定の回収ホッパの底板が開いてシャーシ下方に排出するものであるため、排出高さが低い上に特許文献1の車両のシャーシ下に、別の運搬専用車両(ダンプトラック)のベッセルを位置させることができず、回収土砂をダンプトラックに移し変えるなどの場合には不都合がある。特許文献2や非特許文献1のものは、回収ホッパがシャーシ上で傾動するため、ダンプトラックへの移し変えは容易であるが、特許文献2のものでは、土砂排出時に回収ホッパが後方に傾動すると、回収ホッパに接続されている吸引用の可撓管を撓めつつ傾動するため、傾動の度に可撓管が撓められることになって可撓管が傷みやすい。また、非特許文献1のものでは、ホッパ上方の排出口を塞いでいる蓋を、蓋に可撓性吸引ホースを接続したまま側方に大きく傾斜させてホッパ上方を開放してホッパを側方に傾動させる構造であるから、傾動時に可撓性吸引ホースが撓められる事は前記特許文献2と同様である。また、ホッパ上側の蓋を側方に傾動させるので、装置が大変大型化する。
この発明は、回収ホッパを傾動させるときに吸引ホースが撓められず、しかも、ダンプトラックなどへの移し変えも容易で小型化できる吸引車を提供することを目的とする。また、本願では、より高い位置への土砂排出を可能とした上記吸引車を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のため、本願では、シャーシ上に土砂回収ホッパを傾動するように備えると共に吸引ブロアを設け、前記土砂回収ホッパに吸引ホースの末端を連通して、吸引ブロアの吸引力を回収ホッパを介して吸引ホースの先端に作用させて土砂を吸引する吸引車において、土砂回収ホッパを、シャーシ上に水平保持されて土砂を回収する土砂回収位置からシャーシ側方に傾動するように設けると共にホッパ上面に設けた排出口を開閉する排出扉をホッパ上面に設け、その土砂回収ホッパには吸引ホース末端との接続部を備え、シャーシには吸引ホース保持部材を固着してその吸引ホース保持部材に吸引ホースの末端を保持させ、吸引ホースの末端と前記接続部とは、土砂回収ホッパが土砂排出のために土砂回収位置から傾動すると離間し、土砂回収ホッパが土砂回収位置に戻ると接続するように構成したことを特徴とする。
【0006】
前記土砂回収ホッパは、底部から傾動方向側に向けて上り勾配の傾斜側板としてあり、その傾斜側板の上部位置で車両前後方向の軸線周りに側方傾動可能に支持してあることを特徴とする。
【0007】
また、土砂回収ホッパの後面に接続パイプを後方に突設し、ホッパが土砂回収位置にあるときの前記接続パイプ後方に対向して吸引ホースの末端を位置させ、接続パイプの接続端面を接続パイプの軸線に対して後方に向かうにつれて上って行く傾斜接続端面とし、吸引ホースの末端の接続端面を前記接続パイプの傾斜接続端面と同方向に傾斜した傾斜接続端面として、土砂回収ホッパが土砂回収位置に戻ると両傾斜接続端面が接続するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
また、土砂回収ホッパは、回収室の前側にフィルタ室を備え、フィルタ室の上部にフィルタを備え、そのフィルタの下方となるフィルタ室底板が回収室に向かって下がり勾配の傾斜底板となって回収室に開口していることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態について図1から図5を参照して説明する。図1において、1は吸引車であり、吸引車1のシャーシ2の前部には運転席3が設けられている。また、シャーシ2上には、運転席3側から吸引ブロア4と土砂回収ホッパ5が設けられている。吸引ブロア4のインペラ6は、その回転軸7が運転席3下方に設けられた車両の走行用エンジン8の出力軸に動力伝達機構9を介して連繋されており、高速に回転される。吸引ブロア4は、吸引ダクト10を介して土砂回収ホッパ5の排気部11に係脱可能に接続されている。吸引ダクト10の吸引開口部12の接続端面は、土砂回収ホッパ5が土砂回収位置Aにあるとき、排気部11の開口端に設けた気密部材13と密着する着座に形成されており、後述のように土砂回収ホッパ5が傾動(ダンプ)されたときには、吸引ダクト10の吸引開口部12と排気部11の開口端14とは離間するようになっている。また、吸引ブロア4には、消音器15を通して循環空気を排出するブロア俳風部(排気管)16が連接されている。
【0010】
土砂回収ホッパ5は、シャーシ2上に立設された支柱17とブラケット18により回動可能に連結されている。土砂回収ホッパ5は、図1の如く運転席3側からフィルタ室19と回収室20とに区画されており、フィルタ室19と回収室20とは開口21により連通している。フィルタ室19は、その上部に細塵を濾過するフィルタ22を備えており、フィルタ22は適宜な除塵装置23によってフィルタ22に堆積する粉塵を除去できるようになっている。除塵装置23の概要を説明すると、モータ24のモータ軸25に設けた加振部材(フィルタ叩打板)26を回転してフィルタ22を加振して除塵する。フィルタ室19は、フィルタ22の上方で土砂回収ホッパ5上部に形成された排気部11に連通している。また、フィルタ室19は、そのフィルタ22の下方となるフィルタ室底板27が回収室20に向かって下がり勾配の傾斜底板となっている。
【0011】
回収室20の一方側の側板は、底部から傾動方向側に向けて上り勾配の傾斜側面28としてあり(図3)、その傾斜側面28の下面の上部位置にはブラケット18が設けられており、ブラケット18はシャーシ2上の土砂回収ホッパ5傾動側に立設された支柱17の上端に回動可能に連結されており、土砂回収ホッパ5を車両前後方向の軸線周りに側方傾動可能に支持している。支柱17の上端で土砂回収ホッパ5を回動可能に支持することで、傾動支点Cをシャーシ2から相当量上方(本願実施の形態では運転席の屋根の高さ程度)とし、土砂の排出を高い位置で行えるようにしてある。また、傾斜側面28の下面には、シャーシ2上に後端が回動可能に連結されたサイドダンプシリンダ31のシリンダロッド先端が回動可能に連結されている。このサイドダンプシリンダ31の伸縮により、土砂回収ホッパ5はシャーシ2上に水平保持されて土砂を回収可能な土砂回収位置Aと(図3の状態)、図4に示すシャーシ2に対して上方に側方傾動されて土砂を排出可能な土砂排出位置Bとに位置するようになっている。回収室20の傾動方向側の上方には回収室20に回収された土砂を排出する排出口32が形成されており、その排出口32を開閉する排出扉33が回収室上板34に設けられている。この排出扉33には、回収室上板34に一端が回動可能に設けられた開閉用シリンダ35のシリンダロッド先端が回動可能に連結されており、開閉用シリンダ35により開閉されるようになっている。また、回収室20の傾動方向側と反対側(図3において右側)の上部分には、接続部36が設けられている。接続部36は、回収室20の後面から後方に突設された接続パイプであり、吸引ホース末端39と接続及び離間するようになっている。接続パイプ36の端面は、接続パイプ36の軸線に対して後方に向かうにつれて上っていく傾斜接続端面36aに形成されている。
【0012】
また、シャーシ2の後部には、図1に示すように吸引ホース保持部材38が立設されている。吸引ホース保持部材38には、吸引ホース末端である末端パイプ39が保持されている。吸引ホース37は、可撓性を有するホース本体40と、ホース本体40の末端に設けられた末端パイプ39と、ホース本体40の先端に設けられた吸引ノズル41とから構成されている。吸引ホース37の末端パイプ39の端面は前記接続パイプ36の傾斜接続端面36aと同じ方向に傾斜する傾斜接続端面39aに形成されており、吸引ホース37の傾斜接続端面39aの外周部分には気密部材42が設けられている(図5)。末端パイプ39は土砂回収ホッパ5が土砂回収位置Aにあるとき、接続パイプ36後方に対向し接続パイプ36の傾斜接続端面36aと吸引ホース37の気密部材42とが密着して接続パイプ36と吸引ホース37とが接続するようになっている。また、土砂回収ホッパ5が土砂排出位置Bに傾動すると、両傾斜接続端面36a,39aの密着が解かれ、接続パイプ36と吸引ホース37とが離間するようになっている。吸引ホース37の吸引ノズル41側には、図1に示すように作業者が吸引ノズル41の吸引位置を操作する為の取っ手43が設けられている。吸引ノズル41は、振動機44によって機械的に上下振動や回転させることによって、吸引ノズル41先端に取り付けた掘削爪で路盤Rの掘削をする機能を備えたものであり、例えば特許第3331438号に開示のもののように、上下動させることで土壌の掘削や土塊の粉砕を行うように構成してもよいし、特許第2963263号に開示のように回転によって土壌を切削するようにしてもよい。また、吸引ノズル41は単に土砂を吸引するだけのものであってもよい。
【0013】
シャーシ2には、吸引ホース37を移動支持するためのホース支持装置45が設けられている。ホース支持装置45は吸引ホース末端39の直下となる位置に設けた上下方向の回動軸46とホースリフトアーム47とを備えている。回転軸46はシャーシ2上に回動可能に垂設されており、回動軸46の上部にはホースリフトアーム47の一端が設けられている。ホースリフトアーム47の他端にはホース支持ローラ48が回動自在に設けらている。ホースリフトアーム47は、第1アーム49と第2アーム50とから成っており、第1アーム49に対して第2アーム50が相対的に長手方向に移動可能となっており、第1アーム49に伸縮用シリンダ51のシリンダチューブが取り付けられ、第2アーム50に伸縮用シリンダ51のシリンダロッドが連結されており、ホースリフトアーム47は伸縮用シリンダ51の伸縮に伴って長手方向に伸縮するようになっている。回動軸46の下部には、ホースリフトアーム47を上下方向に揺動する揺動シリンダ52の後端が揺動可能に連結されている。揺動シリンダ52のシリンダロッド先端は第1アーム49に回動可能に連結されている。
【0014】
53は、シャーシの側方(傾動方向側)にシャーシ2長手方向に並設されたアウトリガーであり、シリンダにより伸張して車体を接地固定し、主に土砂排出時の車両の転倒を防止する。54は、車体の空きスペースに載置された油圧式削岩機である。
【0015】
次に吸引車1の動作について説明する。吸引車1を路盤Rの掘削位置近傍に位置させ、走行用エンジン8の出力を動力伝達機構9を介してインペラ6に伝達するように切り替え、吸引ブロア4の作動によって土砂回収ホッパ5内に吸引力を発生させる。ホース支持装置45により吸引ホース37を掘削位置に移動し、吸引ノズル41を路盤Rに当接する。吸引ノズル41の上下振動や作業者による油圧式削岩機により土壌を突き崩しながら、吸引ノズル41で土壌を吸引掘削する。吸引された土砂は回収室20に回収され、また、細塵はフィルタ22によって吸引気流からフィルタ作用により分離されてフィルタ室底板27上に落下し、フィルタ室底板27に沿って回収室20に向けて落ちる。
【0016】
土砂回収ホッパ5内が吸引した土砂によって満杯になると、ダンプトラックに積み込まれる。このダンプトラックに積み替えるとき、アウトリガー53により車体を接地固定した後、土砂回収ホッパ5は、図3の土砂回収位置Aから図4の土砂排出位置Bへサイドダンプシリンダ31によって側方傾動される。傾動された土砂回収ホッパ5は、前述のように傾動支点Cをシャーシ2に対して相当量上方に設けたので、ダンプトラックのベッセルの上方に位置することになる。そして、開閉用シリンダ35により排出扉33が開かれて排出口32からダンプトラックに土砂を直接積み替える。また、土砂回収ホッパ5が傾動されると、土砂回収ホッパ5の接続部36の傾斜接続端面36aは吸引ホース37のホース末端の傾斜接続面39aから、排気部11の気密部材13は吸引ダクト10の吸引開口部12の接続端面から、夫々切り離される。ダンプトラックへの土砂の移載が終わると、土砂回収ホッパ5が土砂排出位置Bから土砂回収位置Aに傾動され、排気部11の気密材13と吸引ダクト10の吸引開口部12の接続端面と、土砂回収ホッパ5の傾斜接続端面36aと吸引ホース37の傾斜接続端面39aとが自動的に気密に接続され、再び吸引掘削可能になる。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本願では、土砂排出時に土砂回収ホッパを傾動した時には、吸引ホースはホッパ側から切り離されるので、可撓性の吸引ホースがホッパ傾動動作で撓むことがなく、傷みを少なくでき、しかも、排出後にホッパを水平状態とすれば、吸引ホースの末端とホッパの接続部が自動的に接続されるので、別途、作業者が接続作業する手間がない。また、ホッパ上面に排出扉を設けたので、ホッパ上面全体を開口としてそれを覆う蓋を設けた従来に比べて装置が簡易で、小型化できる。また、傾動支点をシャーシから相当量上方としたので、高い位置への排出が可能である。また、フィルタ下方が回収室に向かって傾斜している底板となっているため、フィルタから落とした塵埃も回収室に回収される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸引車の縦断面図である。
【図2】吸引車の平面図である。
【図3】土砂回収ホッパの土砂回収位置を示す説明図である。
【図4】土砂回収ホッパの土砂排出位置を示す説明図である。
【図5】吸引ホースの末端と接続パイプとの接続を示す説明図である。
【符号の説明】
1 吸引車
2 シャーシ
4 吸引ブロア
5 土砂回収ホッパ
19 フィルタ室
20 回収室
21 開口
22 フィルタ
27 フィルタ室底板(傾斜底板)
28 傾斜側板
32 排出口
33 排出扉
36 接続部(接続パイプ)
37 吸引ホース
38 吸引ホース保持部材
36a,39a 傾斜接続端面
A 土砂回収位置
Claims (4)
- シャーシ上に土砂回収ホッパを傾動するように備えると共に吸引ブロアを設け、前記土砂回収ホッパに吸引ホースの末端を連通して、吸引ブロアの吸引力を回収ホッパを介して吸引ホースの先端に作用させて土砂を吸引する吸引車において、土砂回収ホッパを、シャーシ上に水平保持されて土砂を回収する土砂回収位置からシャーシ側方に傾動するように設けると共にホッパ上面に設けた排出口を開閉する排出扉をホッパ上面に設け、その土砂回収ホッパには吸引ホース末端との接続部を備え、シャーシには吸引ホース保持部材を固着してその吸引ホース保持部材に吸引ホースの末端を保持させ、吸引ホースの末端と前記接続部とは、土砂回収ホッパが土砂排出のために土砂回収位置から傾動すると離間し、土砂回収ホッパが土砂回収位置に戻ると接続するように構成したことを特徴とする吸引車。
- 土砂回収ホッパは、底部から傾動方向側に向けて上り勾配の傾斜側板としてあり、その傾斜側板の上部位置で車両前後方向の軸線周りに側方傾動可能に支持してあることを特徴とする請求項1記載の吸引車。
- 土砂回収ホッパの後面に接続パイプを後方に突設し、ホッパが土砂回収位置にあるときの前記接続パイプ後方に対向して吸引ホースの末端を位置させ、接続パイプの接続端面を接続パイプの軸線に対して後方に向かうにつれて上って行く傾斜接続端面とし、吸引ホースの末端の接続端面を前記接続パイプの傾斜接続端面と同方向に傾斜した傾斜接続端面として、土砂回収ホッパが土砂回収位置に戻ると両傾斜接続端面が接続するように構成してあることを特徴とする請求項2記載の吸引車。
- 土砂回収ホッパは、回収室の前側にフィルタ室を備え、フィルタ室の上部にフィルタを備え、そのフィルタの下方となるフィルタ室底板が回収室に向かって下がり勾配の傾斜底板となって回収室に開口していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の吸引車。
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