JP4013139B2 - タンデム印刷システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の印刷装置を直列に配置した、いわゆるタンデム印刷システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
長尺に連続した帯状の用紙に代表されるウェブの両面に画像を形成する印刷システムとして、2台の印刷装置を直列に配置し、前段の印刷装置でウェブの第1の面(表面)に印刷を行ない、前段の印刷装置から排出されたウェブを反転装置にて表裏反転させた後、ウェブを後段の印刷装置に送り込み、後段の印刷装置でウェブの第2の面(裏面)に印刷を行うようにしたタンデム印刷システムが提案され、実用化されている。
【0003】
近来、このようなタンデム印刷システムに用いられるウェブとしては、両縁に送り孔を備えた形態の連続紙に加え、送り孔を持たないウェブにも対応可能な印刷システムが普及しつつある。上記のような印刷システムにおいては、少なくとも前段に配置した印刷装置が電子写真方式を用いて画像を形成するタイプの印刷装置である場合、ウェブ上に転写された画像(トナー像)をウェブに溶融定着させるための熱定着工程での熱作用により、後段の印刷装置に送り込まれるウェブは当初の状態よりも熱収縮してしまい、表面印刷時のページ長と、裏面印刷時のページ長とが異なるため、ウェブ上に形成された表面側の画像位置と裏面側の画像位置とが揃っていないという現象が生じる。
【0004】
このような現象に対処するため、第1印刷装置で印刷ページの先頭等ウェブの規定された位置に位置合わせマークを形成し、第2印刷装置で位置合わせマークの間隔又はタイミングを計測し、この計測結果からウェブの搬送速度を変化させることで表面側の画像位置と裏面側の画像位置とを揃える制御が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような制御において、ページ先頭にある位置合わせマークにより印刷位置合わせ制御を実施した場合、ページ長が長くなるほど制御契機が粗になり、印刷位置合わせ精度が悪化する。
【0006】
本発明の目的は、印刷ページ長が長くなった場合でも、安定した精度で表面側の画像位置と裏面側の画像位置とを揃えられるタンデム印刷システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、送り孔を持たないウェブの第1の面に画像を形成する第1印刷装置と、第1印刷装置の後段に設けられ前記ウェブの第2の面に画像を形成する第2印刷装置とを有し、少なくとも第1印刷装置は、前記ウェブの各ページの予め指定された位置に位置合わせマークを形成するマーク形成手段を有し、少なくとも第2印刷装置は、前記位置合わせマークを検出するマーク検出手段と、前記位置合わせマークを検出することにより前記ウェブの第1の面に形成された画像位置と第2の面に形成される画像位置との位相を整合させる制御手段を有するタンデム印刷システムにおいて、前記第1印刷装置にて形成されるマークの間隔を前記第2印刷装置に報告する通信手段を有し、前記第2印刷装置において報告された前記マーク間隔に基づき前記制御手段を用いることにより達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0009】
はじめに、図1を用いて印刷システムに適用され得る電子写真式印刷装置の全体構成を説明する。図1において、Wはウェブである。ウェブWは、搬送ローラ8,9によって印写部10へ送り込まれる。印写部10には、例えば電子写真記録方式による印写装置が用いられ、像担持体として例示される感光体ドラム101が回転を開始すると、コロナ帯電器102に高電圧が印加され、感光体ドラム101表面は均一に帯電される。半導体レーザや発光ダイオードなどで構成された光源103から出力された光は、感光体ドラム101上を像露光し、感光体ドラム101上に静電潜像を形成する。この静電潜像を保持した感光体ドラム領域が現像装置104と対向する位置に到達すると、静電潜像に現像剤が供給され、感光体ドラム101上にトナー像が形成される。感光体ドラム101上に形成されたトナー像は、ウェブWの背面側にトナー像と逆極性の電荷を付与する転写器105の作用によってウェブW上に吸引される。
【0010】
上記のようにして印写部10からトナー像が転写されたウェブWは、搬送ベルト11によって後段へと搬送されて行く。ここで、搬送ローラ8,9に関して、搬送ローラ8は駆動源を持つ駆動ローラとして設けられており、搬送ローラ9はバネ9aの弾性力によってウェブWを介して搬送ローラ8に圧接された従動ローラとして設けられている。また、搬送ベルト11は、駆動ローラ11aと従動ローラ11bに掛け渡して支持されるとともに、吸引装置(図示せず)を備えた構成となっており、ウェブWの背面を搬送ベルト11上に吸着させた状態で搬送するように構成されている。
【0011】
搬送ベルト11から送り出されたウェブWは、バッファプレート12を経て定着装置13に搬送される。定着装置13に到達したウェブWは、プレヒータ13aで予熱された後、加熱ローラ13bと加圧ローラ13cからなる一対の定着ローラによって形成されるニップ部によって加熱加圧されながら挟持搬送され、トナー像がウェブWに溶融定着される。
【0012】
加熱ローラ13bと加圧ローラ13cによって送り出されてきたウェブWは、送出しローラ14を経るとともに、通常は、スイングフィン15の振り子動作によって交互に折り分けられ、印刷装置P内で折りたたまれて積み重ねられる。これに対し、印刷システムを構成すべく当該印刷装置Pの後段にもう1台の印刷装置を配置させた場合には、加熱ローラ13bと加圧ローラ13cによって送り出されてきたウェブWは、送出しローラ14を経て図1に破線で示すように印刷装置Pの外へと排出され、2台目の印刷装置(図示せず)に向けて搬送される。
【0013】
また、符号16は、ウェブWに形成された位置合わせマークを検出するマーク検出手段(マークセンサ)を示している。マークセンサ16は特に後段に置かれた印刷装置において必須とされるものであり、マークセンサ16は、前段の印刷装置にてウェブWの表面に画像印刷を行う際にそれと同時にページ先頭端を含む等間隔の位置に印刷された位置合わせマークを検出し、2台目の印刷装置にてウェブWの裏面に印刷される画像と、1台目の印刷装置でウェブWの表面に印刷された画像とが位置ずれなく、正確に行なわれるように制御するための信号を発生させる(詳細は後述する)。
【0014】
以上の構成は、印刷装置単体の構成の説明であって、印刷システムとして用いる場合は、印刷装置Pを例えばもう1台準備し、図2に示すように設置する。このように設置することにより、先頭の印刷装置P1から送り出されてきたウェブWの表裏は、反転装置Tによって反転され、その後、後続の印刷装置P2に送り込まれて、ウェブWの第2の面にも画像が形成される。
【0015】
次に、マークセンサの出力信号とウェブ搬送制御の関係を説明する。
【0016】
1台目の印刷装置P1においてウェブW上には、図3に示すように印刷データに基づく画像Imが印刷されるとともに、各ページの先頭端を含む等間隔の位置には位置合わせマークRmが印刷され、印刷装置P1から排出される。このとき、位置合わせマークの間隔情報は1台目の印刷装置P1またはコントローラ17によって把握されており、2台目の印刷装置P2へ転送される。なお、位置合わせマークを形成する手段は、画像Imを形成する手段とは独立させて別に設けてもよいし、また、感光体ドラム上に画像Imと一緒に形成してもよい。本例においては、後者の構成により位置合わせマークを形成している。
【0017】
印刷装置P1から排出されたウェブWは、反転装置Tにて表裏が反転された上で2台目の印刷装置P2へ送り込まれる。反転装置TによるウェブWの表裏反転により、位置合わせマークRmを保持した側のウェブ面(第1の面)は、マークセンサ16の検出面と対向するようになり、また、白紙状態のウェブ面(第2の面)は感光体ドラム101表面と対向するようになる。
【0018】
感光体ドラム101上に仮想的に設定されるページ先頭は、コントローラ17からのウェブ送り制御信号(以下、「CPF−N信号」と称する)の発信タイミングによって把握される。また、感光体ドラム101は予め設定されたプロセス速度で定速回転するように制御されているため、感光体ドラム101上におけるページ先頭は、上記CPF−N信号の一周期毎、すなわちCPF長毎に転写ポイントTPに到達することになる。一方、ウェブ上に形成された位置合わせマークは、各ページ先頭から等間隔の位置にあるので、ページ先頭に対し一定周期で転写ポイントTPに到達することになる。
【0019】
従って、2台目の印刷装置P2において、コントローラ17から発信されるCPF−N信号のページ先頭を示すタイミング、及びそこから一定周期となる、転送されてきた位置合わせマークの間隔情報に基づいたタイミングと、マークセンサ16が位置合わせマークRmを検出するタイミングとの位相が一致するように、ウェブ搬送速度を制御することにより、感光体ドラム101上のページ先頭と、ウェブWのページ先頭とを転写ポイントTPで高精度に一致させることが可能となる。
【0020】
このようなウェブ搬送制御を実施するために、2台目の印刷装置P2には図6に示すような制御手段20が必要となる。制御手段20は、マイコン部21、マーク信号処理部22、ウェブ搬送モータ処理部23、CPF信号処理部24とから構成される。マイコン部21は、演算及びデバイス操作を実施するCPU211と、CPU211の動作プログラムが格納されているROM212と、演算結果などを一時的に記憶するRAM212とから構成される。
【0021】
本実施例では、図4に示すように転写器105による転写ポイントTPから露光ポイントEPまでの感光体ドラム表面上での距離をL1とし、転写ポイントTPからマークセンサ16による検出ポイントDPまでのウェブ搬送路上における距離をL2としている。ここで、感光体ドラム101上に仮想的に設定されるページ先頭を含む位置合わせマークが一致すると予想される位置PPと、ウェブWのページ先頭を含む位置合わせマークRmとが転写ポイントTPで一致する関係にてウェブ搬送が行なわれている状態における、位置合わせマーク検出タイミングを「制御タイミング」と定義する。
【0022】
ところで、印刷開始時の第1ページ目の裏面印刷に関しては、オペレータが予めウェブWを印刷装置P2の所定位置に装填した上で印刷を開始させるので、表面のページ先頭位置と裏面のページ先頭位置とは通常一致する。
【0023】
第1ページ目の印刷データが感光体ドラム101上に形成し始めるタイミングに、印刷装置は図5に示すようにコントローラ17からCPF−N信号を受信する。CPF−N信号は図6のCPF信号処理部24の波形成形回路241に供給され、第1回目のCPF−N信号の立下りに同期した信号がつくられる。マイコン部21からは、予め定められたカウント値がカウンタ242に格納される。そして1回目のCPF−N信号の立下りのタイミングで、クロックによりカウントダウンの動作が開始される。カウント値が0になるとカウンタ242は出力パルスを発生し、これがウェブ搬送モータ制御部23に加えられる。この出力パルスは、CPF−N信号の立下りからCPU211が指定した時間後に発生し、後段の回路でモータ233の動作を開始するタイミングを決定するために用いられる。また、この信号がI/O装置243を通してマイコン部21に取り込まれたことを契機に、上記制御タイミングの算出がCPU211にて実行される。ここで、上記制御タイミングの算出は例えば以下のような思想に基づき行なわれる。すなわち、ウェブ搬送開始時にウェブW上の第1ページ先頭にある位置合わせマークを1番目のマークとし、ウェブ搬送開始後最初に検出される位置合わせマークをn番目のマークとすると、感光体ドラム101上に仮想的に設定されるn番目のマークに一致すると予想される位置と、ウェブW上のn番目のマークとを転写ポイントTPで一致させるには、感光体ドラム101上のn番目のマークに一致すると予想される位置が転写ポイントTPからL2の位置に来た時にウェブW上のn番目のマークが検出される必要がある。従って、第1回目のCPF−N信号を受信してから上記制御タイミングまでの時間をt1、転送された位置合わせマーク間隔の時間をt3、印刷装置のプロセス速度をvpとすると、t1は下式にて表される。
【0024】
このt1に相当するカウント値は、1回目のCPF−N信号の立ち下がりを契機にマイコン部21によりマーク検出処理部22のカウンタ222にセットされ、同時にI/O装置223からの信号がフリップフロップ221のセット端子Sに印加され、カウンタ222のカウントダウンが開始する。カウンタ222は、マークセンサ16からの信号がフリップフロップ221のリセット端子Rに印加されることでカウントダウンを停止する。このときのカウンタ222の値を読み出すことで、マイコン部21は1個目の制御タイミングに対する位置合わせマークRmの検出時間の差Δtを把握できる。
t1=(L1−L2)/vp+t3×(n−1) … 式(1)
また、感光体ドラム101上の位置合わせマークが一致すると予想される位置が転送された位置合わせマークの間隔毎に転写ポイントTPに到達することから、これ以降の制御タイミングは転送された位置合わせマーク間隔の時間t3毎となる。よって、1個目の位置合わせマークRm検出時にt3に相当するカウント値をカウンタ222にセットし、同様にカウントダウンの停止後にカウンタ222の値を読み出すことで、マイコン部21は2個目以降の制御タイミングに対する位置合わせマークRmの検出時間の差Δtを把握できる。CPU211はこの制御タイミングに対する位置合わせマークRmの検出時間の差Δtから、表面の位置合わせマーク位置に対し、位置合わせマークが一致すると予想される裏面の位置ずれ方向を比較し、位置合わせマークRmの検出タイミングが、前記制御タイミングよりも遅い場合はウェブ搬送速度を加速させる。逆に位置合わせマークRmの検出タイミングが制御タイミングよりも早い場合はウェブ搬送速度を減速する。
【0025】
ここで、ウェブ搬送モータ233は、ウェブ搬送モータ制御部23によって速度制御される。ウェブ搬送モータ233に接続されたエンコーダ234から出力されるWFエンコーダパルス信号と、カウンタ231によって発生するWF基準パルス信号は、パルス比較器232に入力され、この2つのパルスが同期するようにウェブ搬送モータ233の速度を制御している。これにより、マイコン部21がカウンタ231のカウント値を増加させればウェブ搬送速度は減速し、カウンタ231のカウント値を減少させればウェブ搬送速度は増速する。すなわち、位置合わせマークRmを検出するタイミングが制御タイミングと一致するようにウェブ搬送速度を制御するのである。
【0026】
さらに上記制御に加え、位置合わせマークRmを検出する毎に、制御タイミングに対する位置合わせマークRmの検出時間の差ΔtをRAM213に記憶させ、位置合わせマークRmを検出する毎に、前回の位置合わせマーク検出時にRAM213に記憶された旧データΔtoと、今回の位置合わせマーク検出時にRAM213に記憶された新データΔtnとの差ΔtvをCPU211にて例えば下式に基づき算出する。
Δtv=Δtn−Δto … 式(2)
そして、位置合わせマーク間隔の時間t3に対するΔtvの割合だけ、その時点でのウェブ搬送速度を加速あるいは減速させる。ウェブ搬送速度をv、補正する速度をΔvとすると、Δvは下式にて求められる。
Δv=(Δtv/t3)×v … 式(3)
このΔvを当該検出時点におけるウェブ搬送速度vに加えることにより、位置合わせマークRmを検出するタイミングが制御タイミングと一致するようになる。
【0027】
以上の構成によれば、位置合わせ制御の制御周期を密にすることが可能となり、印刷ページ長が長い印刷データに対する印刷信頼性を高めることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、印刷ページ長が長くなった場合でも、安定した精度で、第1の面の画像と一致させて第2の面に正確に画像を印刷することが可能なタンデム印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷装置単体の全体構成図である。
【図2】印刷システムの全体構成図である。
【図3】位置合わせマークの位置関係を示す模式図である。
【図4】位置合わせ制御の説明図である。
【図5】位置合わせ制御の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】位置合わせ制御を実現する制御手段の一例である。
【符号の説明】
W ウェブ
P,P1,P2 印刷装置
16 マーク検出手段
17 コントローラ

Claims (1)

  1. 送り孔を持たないウェブの第1の面に画像を形成する第1印刷装置と、第1印刷装置の後段に設けられ前記ウェブの第2の面に画像を形成する第2印刷装置とを有し、少なくとも第1印刷装置は、前記ウェブの各ページの予め指定された位置に位置合わせマークを形成するマーク形成手段を有し、少なくとも第2印刷装置は、前記位置合わせマークを検出するマーク検出手段と、前記位置合わせマークを検出することにより前記ウェブの第1の面に形成された画像位置と第2の面に形成される画像位置との位相を整合させる制御手段を有するタンデム印刷システムにおいて、
    前記第1印刷装置にて形成されるマークの間隔を前記第2印刷装置に報告する通信手段を有し、前記第2印刷装置において報告された前記マーク間隔に基づき前記制御手段を用いることを特徴とするタンデム印刷システム。
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