JP4012984B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾球遊技機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機に代表される弾球遊技機は、遊技盤に備えられている入賞口に入賞した遊技球(入賞球)を例えば入賞球センサにて検出し、その入賞口に設定されている個数の遊技球(賞球)を賞球払出装置にて払い出すが、
この賞球払出装置の動作の制御は、遊技盤に設置されている可動入賞装置等の電気部品の制御を司る遊技制御装置(主基板あるいはメイン基板と呼ばれることが多い。)が行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、遊技制御装置が賞球払出装置の制御までも司る構成であると、遊技制御装置の負担が大きかった。
【0004】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための請求項1記載の弾球遊技機は、
入賞球を検出すると入賞信号を出力する入賞球検出手段であって、設定されている賞球数が異なる入賞口への入賞球を識別可能に配置されている入賞検出手段と、
賞球を払い出す賞球払出装置と、
該賞球払出装置から排出される賞球を検出すると賞球検出信号を出力する賞球検出手段と、
前記入賞検出手段及び賞球検出手段からの信号に基づいて賞球の払出状況を監視する払出監視装置であって、
前記入賞信号及び賞球検出信号を取得する信号取得手段と、
該信号取得手段が取得した前記入賞信号に基づいて前記賞球払出装置による払出が未了の賞球数に相当する賞球データを加算演算し、該信号取得手段が取得した前記賞球検出信号に基づいて前記賞球データを減算演算する賞球データ演算手段と、
該賞球データを記憶する賞球データ記憶手段と、
前記賞球データの加算分に相当する払出要求を送出する払出要求手段と
を備える払出監視装置と、
該払出監視装置からの前記払出要求に従って前記賞球払出装置を稼働させる払出制御装置と
を備えており、
前記払出制御装置は、前記払出要求を取得する毎に払出が未了の賞球数に相当する払出未了データを加算演算し、前記賞球検出手段からの賞球検出信号に基づいて前記払出未了データを減算する未了数演算手段と、前記払出未了データを記憶する未了データ記憶手段とを備え、
前記賞球監視装置は、賞球データが1以上あって前記賞球検出手段からの賞球検出信号が設定時間よりも長期にわたって入力されない場合に賞球不足として前記払出制御装置に賞球不足コマンドを送出し外部に報知するエラー処理を実行し、該賞球不足の原因が解消されたことを示すエラー解除信号の入力があると前記エラー処理を終了するエラー処理手段と、賞球データがないときに前記賞球検出信号が入力されると前記未了データ記憶手段に記憶されている前記払出未了データをクリアさせる払出未了データクリア手段とを備え、
前記払出制御装置は、賞球不足コマンドを受けるとリセットスイッチのオン入力があるまでは前記賞球払出装置の稼働を停止させ、前記リセットスイッチのオン入力があっても前記払出未了データは消去しない
ことを特徴とする。
【0005】
請求項1記載の弾球遊技機では、入賞検出手段は、設定されている賞球数が異なる入賞口への入賞球を識別可能に配置されている。例えば賞球数が5個の入賞口、10個の入賞口、15個の入賞口の3種類があるとして、入賞検出手段を、全ての入賞口に一対一の関係で配置してもよいし、設定されている賞球数が同じ(例えば5個)入賞口2つ以上に対して1個の入賞検出手段を配置するような構成でもよい。入賞検出手段は入賞球を検出すると入賞信号を出力するが、どの入賞検出手段からの入賞信号であるかに基づいて、入賞球に対する賞球数を特定できる。
【0006】
賞球払出装置は賞球を払い出し、賞球検出手段は、賞球払出装置から排出される賞球を検出すると賞球検出信号を出力する。払出監視手段は、入賞検出手段及び賞球検出手段からの信号に基づいて賞球の払出状況を監視する。詳しくは、払出監視手段の信号取得手段が入賞信号及び賞球検出信号を取得し、賞球データ演算手段が、信号取得手段が取得した入賞信号に基づいて賞球払出装置による払出が未了の賞球数に相当する賞球データを加算演算し、信号取得手段が取得した賞球検出信号に基づいて賞球データを減算演算する。賞球データ記憶手段は賞球データを記憶し、払出要求手段は、賞球データの加算分に相当する払出要求を送出する。
【0007】
そして、払出制御装置は、払出監視装置からの払出要求に従って賞球払出装置を稼働させる。
つまり、払出監視装置は、入賞信号と賞球検出信号とに基づいて賞球データを演算し、記憶し、払出要求を送出するだけでよいから、払出監視装置を遊技制御装置の一部としても、遊技制御装置の負担は軽い。
また、請求項1記載の弾球遊技機においては、前記払出制御装置は、前記払出要求を取得する毎に払出が未了の賞球数に相当する払出未了データを加算演算し、前記賞球検出手段からの賞球検出信号に基づいて前記払出未了データを減算する未了数演算手段と、前記払出未了データを記憶する未了データ記憶手段とを備え、前記賞球監視装置は、賞球データが1以上あって前記賞球検出手段からの賞球検出信号が設定時間よりも長期にわたって入力されない場合に賞球不足として前記払出制御装置に賞球不足コマンドを送出し外部に報知するエラー処理を実行し、該賞球不足の原因が解消されたことを示すエラー解除信号の入力があると前記エラー処理を終了するエラー処理手段と、賞球データがないときに前記賞球検出信号が入力されると前記未了データ記憶手段に記憶されている前記払出未了データをクリアさせる払出未了データクリア手段とを備え、前記払出制御装置は、賞球不足コマンドを受けるとリセットスイッチのオン入力があるまでは前記賞球払出装置の稼働を停止させ、前記リセットスイッチのオン入力があっても前記払出未了データは消去しない構成であるので、例えば賞球払出装置の故障、球詰まり、補給遅れ等で賞球の払出が完了されないときには、賞球不足コマンドを払出制御装置に送ってエラー状態にあることを知らせ、また外部に報知するエラー処理を実行でき、エラーのリセットによっても払出未了データは維持されるから遊技者が損をすることもない。払出未了データは、払出が未了の賞球数に相当するデータであるから、賞球の不足数を正確に把握でき、リセット後に正確に不足分を払い出せる。
【0008】
また、賞球監視装置は、賞球データがないときに前記賞球検出信号が入力されると前記未了データ記憶手段に記憶されている前記払出未了データをクリアさせる払出未了データクリア手段を備えるので、賞球の過剰払出によるデータの混乱を回避できる。
払出制御装置は、未了数演算手段により、払出要求を取得する毎に払出未了データを加算演算し賞球検出手段からの賞球検出信号に基づいて払出未了データを減算し、未了データ記憶手段に払出未了データを記憶する。つまり、払出制御装置も払出個数を管理できるから、払出要求さえ取得できれば、あとは自律的に賞球払出装置を制御できる。なお、払出未了データは、例えば5個払いが何回、10個払いが何回、15個払いが何回というように、払出個数別にカウントしてもよいし、トータルの払出必要数であってもよい。
なお、払出要求は具体的な個数であってもよいし、設定されている賞球数の違いに基づく入賞球の種別(例えば賞球数5個の入賞、10個の入賞口、15個の入賞口)であってもよい。
請求項2記載の弾球遊技機は、請求項1記載の弾球遊技機において、前記払出要求は、前記設定されている賞球数を示す設定数データを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の弾球遊技機では、払出要求には、入賞口に設定されている賞球数を示す設定数データが含まれている。なお、設定数データは賞球数(上記の例なら5個、10個、15個)そのものであってもよいが、例えばコード00なら5個、01なら10個、10なら15個というように、コード化するとデータ量が少なくてすむ。また、入賞球が連続して発生することはあるものの、その間隔は、コンピュータの演算処理速度から見ればきわめて長時間といえるから、払出要求として上述のようなコードを送出するだけ(例えばコード00により5個払いの入賞が1個あったことを示す)だけででも十分である。
【0013】
請求項3記載の弾球遊技機は、請求項1又は2記載の弾球遊技機において、前記エラー解除信号は前記賞球検出信号であるからエラー解除信号を生成するための手段は特に必要としない。
【0015】
請求項4記載の弾球遊技機は、請求項1、2又は3記載の弾球遊技機において、前記賞球監視装置は、賞球の過剰払出の頻度が設定値を越えたときに過剰エラーと判定する過剰エラー判定手段を備える。賞球の過剰払出の頻度が許容できる頻度なら(例えば1日当たり数回なら)、いちいちエラー処理を行わないほうが弾球遊技機の稼働率を低下させないメリットがある。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明することにより、発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0017】
【実施例】
図1に示すように、弾球遊技機としてのパチンコ機10はCR機と呼ばれる機種で、プリペイドカードの読み書きを行うCRユニット12を付属させて使用される。パチンコ機10の前面側には、上皿14、下皿16、発射ハンドル18等の公知の構成が備わっており、ガラス板20にて覆われている部分には、図2に示す構造の遊技盤22が配されている。
【0018】
図2に示すように、遊技盤22の中央部には液晶モニタ24aを有する図柄表示装置24が設置され、その下方にはチューリップ式の可変入賞装置である始動入賞装置26が、さらにその下方にはアタッカーと呼ばれる構造の大入賞装置28が設置されている。また、遊技盤22には、普通入賞装置30、ゲート32、風車34、障害釘(図示は一部のみ)36等が装着されている。なお、始動入賞装置26、大入賞装置28及び普通入賞装置30は、それぞれ入賞口に該当する。
【0019】
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、賞球タンク38、タンクレール40、払出装置42、発射装置44等が配されており、図柄表示装置24、始動入賞装置26、大入賞装置28、払出装置42、発射装置44等を制御する主制御装置50が取付けられている。なお、詳細は後述するが、主制御装置50は、図柄表示装置24、払出装置42及び発射装置44を直接制御するわけではない。
【0020】
主制御装置50を中心とする制御系の構成は図4に示すとおりである。まず主制御装置50は制御基板用出力回路51、1チップマイコン52、入出力インタフェイス(入出力I/F)53等から構成されている。1チップマイコン52及び入出力インタフェイス53は公知のものと変わるところはないが、制御基板用出力回路51の構成は独特であるので、図5を参照して説明する。
【0021】
1チップマイコン52には、8ビットデータバスを介してデータ用出力ポートIC51aとストローブ用出力IC51bが接続され、またアドレスデコーダ51cも接続されている。そして、データ用出力ポートIC51aからの8ビットデータ及びストローブ用出力IC51bからの1ビット信号が、それぞれドライバIC51d〜51hに入力される構成である。各ドライバIC51d〜51hは、ストローブ用出力IC51bからの1ビット信号によってアクティブとされ、そのときにデータ用出力ポートIC51aから入力されている8ビットデータとストローブ信号を出力する構成である。
【0022】
各ドライバIC51d〜51hには、それぞれ払出制御基板60、図柄制御基板70、音声制御基板80、ランプ制御基板90及び発射制御基板100が接続されており、1チップマイコン52が、アドレスデコーダ51cを介してデータ用出力ポートIC51a及びストローブ用出力IC51bを制御することにより、1個のデータ用出力ポートIC51aにより、複数の周辺回路(本例では最大8つの周辺回路)にデータを出力できる。したがって、主制御装置50の配線パターンを簡略化でき、またソフト面では、データ用及びストローブ用とも各々1個の出力用I/Oで済むというメリットがある。
【0023】
なお、データ用出力ポートIC51a、ストローブ用出力IC51b及びドライバIC51d〜51hは、いずれもC−MOSICを使用している。C−MOSICは、出力電圧を高くでき、またHレベルとLレベルの電位差も大きいので、ノイズや静電気に対する耐性が高く、それだけ信頼性も高い。
【0024】
図4に戻り、主制御装置50には、始動入賞装置26に設けられている5個入賞センサ31、各普通入賞装置30に1個当て設けられている10個入賞センサ33(図示は1個のみ)、大入賞装置28に設けられている15個入賞センサ35、払出装置42から排出される遊技球を検出するための賞球払出センサ37(賞球検出手段)、賞球タンク38の球切れを検出する球切れスイッチ39、下皿16の満杯状態を検出する下皿満タンスイッチ41、リセットスイッチ43、その他のスイッチ類45、入賞球排出装置から排出される遊技球を検出するセーフ球排出センサ47等の検出信号が入力される。5個入賞センサ31、10個入賞センサ33及び15個入賞センサ35は、入賞球検出手段に該当する。
【0025】
また、主制御装置50の出力側としては、前述した払出制御基板60、図柄制御基板70、音声制御基板80、ランプ制御基板90、発射制御基板100等が接続されている。
払出制御基板60は、払出装置42の払出モータ64の稼働を制御することにより賞球の払出を行わせ、また賞球の払出に応じて入賞球排出装置の排出ソレノイド66を稼働させて入賞球を排出させる。この払出制御基板60は、データ入出力回路61、1チップマイコン62、入出力インタフェイス(入出力I/F)63等からなり、データ入出力回路61は、前述した制御基板用出力回路51のドライバIC51dに接続されている。また入出力インタフェイス63には、払出モータ64、エラー表示LED65、排出ソレノイド66、賞球払出センサ37及びリセットスイッチ67が接続されている。
【0026】
図柄制御基板70、音声制御基板80、ランプ制御基板90及び発射制御基板100の回路構成は、ほぼ払出制御基板60と同様であり、図柄制御基板70は図柄表示装置24を、音声制御基板80は音声出力を、ランプ制御基板90は通報用及び装飾用のランプ類を、発射制御基板100は発射装置44を制御する。
【0027】
次に、本実施例のパチンコ機10の動作について、主制御装置50と払出制御基板60及び図柄制御基板70との間のデータ通信を中心にして説明する。
[入賞検知]
図6に示すように、主制御装置50は、入賞検知ルーチンにおいて、5個入賞センサ31、10個入賞センサ33及び15個入賞センサ35の信号をスキャンし(S101)、入賞球が検出されていれば(S102:YES)、賞球データ加算処理として、払い出すべき賞球個数の総合計を更新記憶する(S103)。なお、総合計つまり1入賞当たりの賞球個数(5個、10個、15個)に各入賞球数を乗じたもの総和を記憶する代わりに、1入賞当たりの賞球個数別に入賞球数を記憶してもよい。この場合、乗算処理が不要であるからプログラムが簡単となり、メモリも少なくて済む。
【0028】
続いて、主制御装置50は、入賞データを払出制御基板60に送信する(S104)。入賞データは、賞球個数(5個、10個、15個の別)を表す部分とその賞球個数の入賞球数を表す部分とからなる8ビットデータであり、この入賞データにより5個払出の入賞球、10個払出の入賞球及び15個払出の入賞球が、それぞれ何個検出されたかが分かる。
[賞球払出]
図7に示すように、払出制御基板60は、主制御装置50から入賞データが送信されてきたこれを取得したなら(S201:YES)、払出未了データを加算更新する(S202)。具体的には、5個払出、10個払出、15個払出がそれぞれ何回必要かを記憶する。入賞データを取得しなければ(S201:NO)、払出未了データの加算更新は行わない。
【0029】
続いて、払出制御基板60は、払出未了データを参照して払出の要否を判断する(S203)。具体的には、5個払出、10個払出、15個払出の必要回数がいずれも0か否かを判断し、どれか1つでも0でなければ払出必要として(S203:YES)、払出装置42の払出モータ64を稼働させて賞球の払出を行わせる(S204)。本実施例の場合、払出の優先順位は15個、10個、5個と多い順に設定されており、入賞が検出された順序(入賞データの入力順)とは無関係に、優先順に払出される。このため、遊技者には払出が迅速に行われている印象を与える。
【0030】
払出の実行に続いて、その実行された払出分を払出未了データから減算して、これを更新し(S205)、S201に回帰する。
そして、払出未了データの5個払出、10個払出、15個払出のいずれも0なら(S203:NO)、本ルーチンからリターンする。
[賞球個数管理]
図8に示すように、主制御装置50は、賞球個数管理ルーチンを開始するとまず賞球データが有るか(0ではないか)を判断する(S401)。賞球データがあれば、賞球払出センサ37の検出信号に基づいて、払出装置42から賞球が払出されたか否かを判断する(S402)。賞球の払出が確認できたなら(S402:YES)、その分だけ賞球データを減算して更新記憶する(S403)。
【0031】
一方、賞球払出センサ37の検出信号が入力されないときには(S402:NO)、設定された時間が経過するまで待ち(S404〜S402)、その設定時間内に賞球払出センサ37の検出信号が入力されれば、上述のとおりS403の処理を実行する。
【0032】
しかし、例えば払出装置42内での球詰まり等により賞球の払出がなされなくて、設定時間を超えて賞球払出センサ37の検出信号が途絶えることがある(図10参照)。その場合には(S404:YES)、主制御装置50はエラー処理(S405)として、賞球不足状態コマンドを送信し、エラー表示の点灯等を行う。
【0033】
その後、例えば遊技店員が、払出不良の原因(例えば払出装置42の球詰まり)を解消して、1チップマイコン62のユーザリセット端子に接続されているリセットスイッチ67を押すと、払出制御基板60が払出モータ64を再稼働させて、不足分の賞球を払出す。なお、このリセットスイッチ67によって払出制御基板60のRAMは初期化されないので、払出未了データが消滅することはない。主制御装置50は、賞球払出センサ37の検出信号が再開されたことによってエラー状態が解除されたことを認識する。なお、賞球不足のエラーが解除されるまでの間、遊技球の発射は停止される。
【0034】
また、賞球データがない場合にも(S401:NO)、賞球払出センサ37の検出信号に基づいて、払出装置42から賞球が払出されたか否かを判断する(S406)。これは、過剰な払出が行われた場合に対処するもので、S406で肯定判断なら、払出制御基板60の払出未了データに誤記憶があった可能性があるので、払出制御基板60に過剰コマンドを送信して、払出未了データをクリアさせる(S407)。
[賞球動作]
以上のように、入賞検知(主制御装置50)、賞球払出(払出制御基板60)及び賞球個数管理(主制御装置50)が行われて、入賞球に対応する賞球が払い出される。この一連の動作を各信号のタイミングチャートで示すと図9のとおりである。なお、説明を簡明にするために、10個入賞センサ33の検出信号は図示を省略してある。
【0035】
まず5個入賞センサ31の検出信号があったとして、それに対応する入賞データ(5個賞球コマンド)が主制御装置50から払出制御基板60に送られる(A〜B)。それに従って払出制御基板60が払出モータ64を稼働させると、払出装置42から賞球が払出される。その賞球を検出した賞球払出センサ37の検出信号(5パルス)によって、5個の賞球が払出されたと確認される。
【0036】
同様に、15個入賞センサ33の検出信号があれば、それに対応する入賞データ(15個賞球コマンド)が主制御装置50から払出制御基板60に送られ(B〜C)、払出モータ64が稼働して賞球が払出され、賞球払出センサ37の検出信号(15パルス)によって、15個の賞球が払出されたと確認される。
[球切れ処理]
ときには賞球タンク38が空になってしまい、払出装置42に遊技球が供給されなくて、払出を実行できないことがある。このような場合に対処するために、主制御装置50は、図11に示す球切れ処理ルーチンを実行する。
【0037】
図11に示すように、主制御装置50は、まず球切れフラグがセットされているか否かを確認する(S601)。球切れフラグがセットされていなければ(S601:NO)、球切れスイッチ39がオンか否かを判断する(S602)。本実施例のパチンコ機10では、賞球タンク38が空になって球切れスイッチ39に遊技球の荷重がかからなくなると、球切れスイッチ39がオンになる設定である。したがって、球切れスイッチ39のオンは賞球タンク38が空であることを示している。よって、S602で否定判断(球切れスイッチ39がオフ)なら球切れではないから、本ルーチンからリターンする。
【0038】
一方、S602で肯定判断(球切れスイッチ39がオン)なら賞球タンク38に遊技球がなくて、賞球の払出を実行できない状態であるから、
主制御装置50は、払出制御基板60に球切れ状態コマンドを送信し(図12、D〜E参照)、エラー表示の点灯や球切れフラグのセット等のエラー処理を実行する(S603)。
【0039】
また、球切れフラグがセットされている場合には(S601:YES)、球切れスイッチ39の状態を確認する(S604)。球切れスイッチ39がオンなら(S604:YES)、エラー状態(この場合賞球タンク38が空の状態)が継続しているわけだから、一旦本ルーチンからリターンする。しかし、球切れスイッチ39がオフになっているなら(S604:NO)、賞球タンク38に遊技球が供給されて賞球の払出が可能となったから、払出制御基板60に球切れ解除コマンドを送信し(図12、F〜参照)、エラー表示の消灯や球切れフラグのリセット等のエラー解除処理を実行する(S605)。
【0040】
払出制御基板60は、図12に示すように、球切れコマンドを受け取ると払出モータ64を停止させ、球切れ解除コマンドが送られてくると払出モータ64の稼働を再開させる。
なお、球切れエラーが解除されるまでの間は、上述の賞球不足の場合と同様に遊技球の発射は停止される。
[下皿満タン]
下皿16が満杯状態になった場合には、払出装置42から下皿16に至る賞球の通路が賞球で閉塞状態となるので、払出装置42を稼働させても賞球を正常に排出できない。このため、下皿満タンスイッチ41がオンになった場合(下皿16が満杯状態になった場合)も、球切れ処理と同様に払出装置42の稼働を停止させる必要がある。この下皿満タンの場合に主制御装置50及び払出制御基板60が実行する処理は、球切れ処理と同様である。ただし、図13に示すように、球切れコマンドの代わりに下皿満タンコマンドが送受信され、球切れ解除コマンドの代わりに下皿満タン解除コマンドが送受信される点は異なる。また、下皿満タンスイッチ41がオンの間は、上述の賞球不足の場合と同様に遊技球の発射は停止される。
[図柄制御]
図14に示すように、主制御装置50から図柄制御基板70に送信されるデータ構成は、図柄(当たり外れを表示するための図柄)、キャラクタまたは背景を示す識別子を先頭として、表示対象(図柄、キャラクタまたは背景)毎に、動作内容や表示データ等を示すデータ(コマンド)及び識別子によって指定された表示対象についての一連のデータ(コマンド)の終了を示すエンドコードにて構成されている。そして、図柄制御基板70の画像制御プログラムは、コマンド受信部と図柄、キャラクタ及び背景の各ドライバにて構成されている。
【0041】
この図柄制御基板70に主制御装置50からデータ(コマンド)が送信されて来ると、コマンド受信部が、その識別子に基づいて表示対象すなわち動作させるべきドライバを判断し、そのドライバに処理を実行させ、その処理によりモニタの表示を制御する。
【0042】
このように、主制御装置50から図柄制御基板70に送信されるデータを、画像の種類(図柄、キャラクタ、背景)を中心としたデータ構成とし、画像の種類(図柄、キャラクタ、背景)毎にドライバを用意し、画像制御プログラムをそれらドライバの集合体として構成することで、無駄なデータの送受信が不要となる。よって、主制御装置50の動作に余裕ができる。
【0043】
なお、コマンドデータに優先順位を指示するデータを含ませ、画像制御プログラムには、その優先順位のデータに従って各ドライバに優先順位を割り当てるための、優先順位ドライバを追加することもできる。こうすれば、シチュエーション毎に特定のドライバを優先的に動作させ、それによって良好な表示を行うことができる。
【0044】
従来の技術を比較例として説明する。従来の技術では、主制御装置50から図柄制御基板70に送られるデータ構成は、図15(a)に示すとおり、遊技状態(図柄変動中、大当たり中、エラー中)を示す遊技状態コマンド、これに続く遊技状態に応じたデータ(コマンド)及びエンドコードで構成されていた。遊技状態に応じたデータ(コマンド)には、図15(c)に示すように、図柄の変動中なら左図柄データ、中図柄データ、右図柄データが含まれ、大当たり中ならラウンド数、カウント数、V表示のデータが含まれていた。さらに必要によりキャラクタのデータ及び背景のデータが含まれていた。
【0045】
つまり、各コマンドデータには、図柄、キャラクタ、背景の各データが含まれる場合と、それらのいずれかが含まれない場合とがあった。
そして、図柄制御基板70に主制御装置50からデータ(コマンド)が送信されて来ると、コマンド受信部にてこれを取得し、メインプログラムにてそのコマンドデータを解釈して図柄制御部、キャラクタ制御部、背景制御部に振り分けて処理し、画像を表示させていた。
【0046】
このような構成であると、コマンドデータを解釈し振分けるメインプログラムが必須となり、プログラム構成が複雑であった。またコマンドデータの構成も複雑であり、余分なデータが送られることもあった。
この比較例に対して、本実施例の場合には、必要なデータだけが送られるので、コマンドデータの構成は単純化され、比較例のメインプログラムに該当するプログラムは必要としないから、画像制御プログラムの構成も単純化される。
【0047】
なお、上記の実施例では、主制御装置50が払出監視装置に該当し、その1チップマイコン52が信号取得手段、賞球データ演算手段、賞球データ記憶手段、払出要求手段、エラー処理手段、払出未了データクリア手段として機能する。また、払出制御基板60は払出制御装置に該当し、1チップマイコン62は未了数演算手段及び未了データ記憶手段として機能する。
また、実施例ではS406で肯定判断の場合、ただちにS407を実行するが、S406で肯定判断になった頻度が設定値を越えたときに過剰エラーと判定して(過剰エラー判定手段)、S407を実行する構成にしてもよい。
【0048】
以上、実施例に従って、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のパチンコ機の正面側の斜視図である。
【図2】 実施例のパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】 実施例のパチンコ機の背面側の斜視図である。
【図4】 実施例のパチンコ機の制御系のブロック図である。
【図5】 実施例のパチンコ機の制御基板用出力回路のブロック図である。
【図6】 実施例のパチンコ機の主制御装置が実行する入賞検知ルーチンのフローチャートである。
【図7】 実施例のパチンコ機の払出制御基板が実行する賞球払出ルーチンのフローチャートである。
【図8】 実施例のパチンコ機の主制御装置が実行する賞球個数管理ルーチンのフローチャートである。
【図9】 実施例のパチンコ機の賞球動作のタイミングチャートである。
【図10】 実施例のパチンコ機の賞球不足時の処理を説明するタイミングチャートである。
【図11】 実施例のパチンコ機の主制御装置が実行する球切れ処理ルーチンのフローチャートである。
【図12】 実施例のパチンコ機の球切れ時の処理を説明するタイミングチャートである。
【図13】 実施例のパチンコ機の下皿満タン時の処理を説明するタイミングチャートである。
【図14】 実施例のパチンコ機における図柄制御の説明図であり、図14(a)はデータ構成、図14(b)は表示対象と識別コードの対応例、図14(c)は画像制御プログラムのブロック図、図14(d)はドライバ選択を説明するフローチャートである。
【図15】 比較例の図柄制御の説明図であり、図15(a)はデータ構成、図15(b)は遊技状態と状態コードの対応例、図15(c)は送信されるデータ例、図15(d)は画像制御プログラムのブロック図である。
【符号の説明】
10…パチンコ機(弾球遊技機)、22…遊技盤、24…図柄表示装置、24a…液晶モニタ、26…始動入賞装置(入賞口)、28…大入賞装置(入賞口)、30…普通入賞装置(入賞口)、31…5個入賞センサ(入賞球検出手段)、33…10個入賞センサ(入賞球検出手段)、35…15個入賞センサ(入賞球検出手段)、37…賞球払出センサ(賞球検出手段)、42…払出装置(賞球払出装置)、44…発射装置、50…主制御装置(払出監視装置)、51…制御基板用出力回路、52…1チップマイコン(信号取得手段、賞球データ演算手段、賞球データ記憶手段、払出要求手段、エラー処理手段、過剰時リセット手段)、60…払出制御基板(払出制御装置)、62…1チップマイコン(未了数演算手段、未了データ記憶手段)、64…払出モータ、67…リセットスイッチ、70…図柄制御基板、80…音声制御基板、90…ランプ制御基板、100…発射制御基板。
Claims (4)
- 入賞球を検出すると入賞信号を出力する入賞球検出手段であって、設定されている賞球数が異なる入賞口への入賞球を識別可能に配置されている入賞検出手段と、
賞球を払い出す賞球払出装置と、
該賞球払出装置から排出される賞球を検出すると賞球検出信号を出力する賞球検出手段と、
前記入賞検出手段及び賞球検出手段からの信号に基づいて賞球の払出状況を監視する払出監視装置であって、
前記入賞信号及び賞球検出信号を取得する信号取得手段と、
該信号取得手段が取得した前記入賞信号に基づいて前記賞球払出装置による払出が未了の賞球数に相当する賞球データを加算演算し、該信号取得手段が取得した前記賞球検出信号に基づいて前記賞球データを減算演算する賞球データ演算手段と、
該賞球データを記憶する賞球データ記憶手段と、
前記賞球データの加算分に相当する払出要求を送出する払出要求手段と
を備える払出監視装置と、
該払出監視装置からの前記払出要求に従って前記賞球払出装置を稼働させる払出制御装置と
を備えており、
前記払出制御装置は、前記払出要求を取得する毎に払出が未了の賞球数に相当する払出未了データを加算演算し、前記賞球検出手段からの賞球検出信号に基づいて前記払出未了データを減算する未了数演算手段と、前記払出未了データを記憶する未了データ記憶手段とを備え、
前記賞球監視装置は、賞球データが1以上あって前記賞球検出手段からの賞球検出信号が設定時間よりも長期にわたって入力されない場合に賞球不足として前記払出制御装置に賞球不足コマンドを送出し外部に報知するエラー処理を実行し、該賞球不足の原因が解消されたことを示すエラー解除信号の入力があると前記エラー処理を終了するエラー処理手段と、賞球データがないときに前記賞球検出信号が入力されると前記未了データ記憶手段に記憶されている前記払出未了データをクリアさせる払出未了データクリア手段とを備え、
前記払出制御装置は、賞球不足コマンドを受けるとリセットスイッチのオン入力があるまでは前記賞球払出装置の稼働を停止させ、前記リセットスイッチのオン入力があっても前記払出未了データは消去しない
ことを特徴とする弾球遊技機。 - 請求項1記載の弾球遊技機において、
前記払出要求は、前記設定されている賞球数を示す設定数データを含む
ことを特徴とする弾球遊技機。 - 請求項1または2記載の弾球遊技機において、
前記エラー解除信号は前記賞球検出信号である
ことを特徴とする弾球遊技機。 - 請求項1、2又は3記載の弾球遊技機において、
前記賞球監視装置は、賞球の過剰払出の頻度が設定値を越えたときに過剰エラーと判定する過剰エラー判定手段を備える
ことを特徴とする弾球遊技機。
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